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【発明の名称】 X線CT装置
【発明者】 【氏名】中村 洋

【要約】 【課題】トリガパルスの異常により画像の角度が大きく変動してしまうことを防止する。

【解決手段】トリガパルスが正常な時には、0°パルス(基準回転角度検出信号)の後でトリガパルスが7個(“Nv/2”個)来た時およびそれからトリガパルス14個(Nv個)毎をビューの切れ目とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 X線管1回転当りNr個が出力されるトリガパルスをカウントし且つX線管の回転角度が基準回転角度になった時に出力される基準回転角度検出信号の直後の前記トリガパルスでトリガカウント値をトリガカウント初期値に戻すことを繰り返すトリガカウント手段と、「前記トリガカウント値−前記トリガカウント初期値」が略“Nv/2”になった時をビューの開始タイミングとし且つあるビューを開始してから前記トリガパルスがNv個毎にビュー番号をカウントアップし且つ基準回転角度検出信号の直後に開始されるビューのビュー番号をビュー番号初期値に戻すことを繰り返すビューカウント手段とを具備したことを特徴とするX線CT装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線CT(Computed Tomography)装置に関し、さらに詳しくは、トリガパルスの異常により画像の角度が変動してしまうことを実質的に防止できるX線CT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図7は、従来のX線CT装置の一例の構成図である。このX線CT装置500は、被検体をX線で走査する走査装置1と、被検体を載せて移動する撮影テーブル2と、画像を再構成する処理装置3’と、再構成した画像を表示する表示装置4と、操作者がスキャン開始テーブル位置などを入力する入力装置5とから構成されている。
【0003】前記走査装置1は、前記処理装置3’から与えられるX線立ち上げ信号を受け取った時に高圧を供給する高圧供給装置11と、前記高圧を供給されてX線を発生するX線管12と、X線検出器13と、前記X線管12および前記X線検出器13の回転を制御すると共に前記X線管12の回転角度が0°になった時に0°パルスを出力し且つX線管1回転当りNr個のトリガパルスを出力する回転制御部14と、前記X線検出器13からデータを収集し当該データおよび当該データのビュー番号Vpを出力するデータ収集部15とを具備している。また、前記データ収集部15は、トリガカウンタ16とビューカウンタ17とを有している。前記トリガカウンタ16は、トリガパルスをカウントし、トリガカウント値Tpを0°パルスの直後のトリガパルスで“0”に戻すことを繰り返す。前記ビューカウンタ17は、処理装置3’から与えられるデータ収集スタート信号を受け取った時をビューの開始タイミングとし、あるビューを開始してからトリガパルスがNv個毎にビュー番号Vpをカウントアップし、0°パルスの直後に開始されるビューのビュー番号を“0”に戻すことを繰り返す。
【0004】前記処理装置3’は、全体的な制御を行うマスタープロセッサ31と、前記X線立ち上げ信号および前記データ収集スタート信号を出力するスキャンプロセッサ32’と、前記撮影テーブル2の移動を制御すると共にテーブル位置を前記マスタープロセッサ31に通知するテーブルコントローラ33と、前記トリガカウンタ16と同じ動作を行うトリガカウンタ34と、前記データおよび前記ビュー番号Vpを受信して画像を再構成する画像処理部35とを具備している。
【0005】前記マスタープロセッサ31は、前記入力装置5から入力されたスキャン開始テーブル位置に撮影テーブル2が到達すると、前記スキャンプロセッサ32’にスキャンスタートの指示を与える。スキャンスタートの指示を受けたスキャンプロセッサ32’は、トリガカウント値に関係なく、スキャン動作を開始する。そして、X線発生の立ち上りに必要な準備期間に相当するトリガ数をカウントした後、データ収集部15へデータ収集スタート信号を出力する。一方、ビューカウンタ17は、データ収集スタート信号を受け取った時をビュースタートのタイミングとする。従って、図8に示すように、ビューの切れ目がトリガカウント値が“0”または“Nvの倍数”になる場合がある。また、ビュー番号“0”のビュー開始は、0〜(Nv−1)パルス以内となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来のX線CT装置500では、ビューの切れ目がトリガカウント値が“0”または“Nvの倍数”になる場合がある。ところが、X線管1回転当たり2個くらいトリガパルスが増減することがある。その理由は、ガントリの構造的な歪みやスリップリングの接触不良やチャタリングなどが考えられる。
【0007】ここで、あるX線管1回転で(Nr+1)個のトリガパルスが出力された場合を考える。Nr=15120とすると、図9に示すように、12121個目(トリガカウント値“15120”)のトリガパルスが0°パルスの前に来るから、ビューカウンタ17は“1080”にカウントアップする。そして、それから14個(Nv個)目(トリガカウント値“12”)まではビューカウント値は“1080”のままであり、その次のトリガパルス(トリガカウント値“13”)でビューカウンタ17は“0”に戻る。よって、ビュー番号“0”のビューの開始は、0°パルスから(Nv−1)・360°/Nr以後となる。
【0008】つまり、図8,図9から判るように、X線管1回転当り1個だけトリガパルスが増えると、正常な場合に比べて、Nv・360°/Nrだけビュー番号“0”のビューの角度が変わってしまう。
【0009】しかし、ビュー番号“0”のビューの角度がNv・360°/Nrだけ変わってしまうと、再構成された画像の角度もNv・360°/Nrだけ変わってしまう。つまり、画像の角度が大きく変動する問題点がある。そこで、本発明の目的は、トリガパルスの異常により画像の角度が変動してしまうことを実質的に防止できるX線CT装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のX線CT装置は、X線管1回転当りNr個が出力されるトリガパルスをカウントし且つX線管の回転角度が基準回転角度になった時に出力される基準回転角度検出信号の直後の前記トリガパルスでトリガカウント値をトリガカウント初期値に戻すことを繰り返すトリガカウント手段と、「前記トリガカウント値−前記トリガカウント初期値」が略“Nv/2”になった時をビューの開始タイミングとし且つあるビューを開始してから前記トリガパルスがNv個毎にビュー番号をカウントアップし且つ基準回転角度検出信号の直後に開始されるビューのビュー番号をビュー番号初期値に戻すことを繰り返すビューカウント手段とを具備したことを特徴とするX線CT装置を提供する。上記構成において、「略“Nv/2”」とは、「“Nv/2”から前後数個程度の近傍」を意味する。後述するように、トリガパルスが正常な時には“Nv/2”をビューの開始タイミングとできるが、トリガパルスが異常な時にはビューの開始タイミングが“Nv/2”から数個程度ずれてしまう。また、正常な時でも、必ずしも“Nv/2”をビューの開始タイミングにしなくとも、「“Nv/2”から前後数個程度の近傍」をビューの開始タイミングとしても支障ない。これらの理由により、かかる表現とした。上記第1の観点によるX線CT装置では、「トリガカウント値−トリガカウント初期値」が略“Nv/2”になった時をビューの開始タイミングとする。つまり、基準回転角度検出信号の後でトリガパルスが略“Nv/2”個来た時およびそれからトリガパルスNv個毎をビューの切れ目とする。そうすると、トリガパルスが正常でX線管1回転当りNr個の場合のビュー番号“0”のビューの開始時の回転角度は略(Nv/2)・360°/Nrとなり、トリガパルスが異常でX線管1回転当り(Nr+1)個の場合のビュー番号“0”のビューの開始時の回転角度は略(Nv/2−1)・360°/Nrとなり、両者の差は360°/Nrとなる。よって、再構成された画像の角度は360°/Nrだけ変わることになる。これは従来の1/Nvである。つまり、画像の角度が大きく変動することを防止できるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図に示す発明の実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0012】図1は、本発明の一実施形態にかかるX線CT装置の構成図である。このX線CT装置100は、被検体をX線で走査する走査装置1と、被検体を載せて移動する撮影テーブル2と、画像を再構成する処理装置3と、再構成した画像を表示する表示装置4と、操作者がスキャン開始テーブル位置などを入力する入力装置5とから構成されている。
【0013】前記走査装置1は、前記処理装置3から与えられるX線立ち上げ信号を受け取った時に高圧を供給する高圧供給装置11と、前記高圧を供給されてX線を発生するX線管12と、X線検出器13と、前記X線管12および前記X線検出器13の回転を制御すると共に前記X線管12の回転角度が0°(基準回転角度)になった時に0°パルス(基準回転角度検出信号)を出力し且つX線管1回転当りNr個のトリガパルスを出力する回転制御部14と、前記X線検出器13からデータを収集し当該データおよび当該データのビュー番号Vpを出力するデータ収集部15とを具備している。また、前記データ収集部15は、トリガカウンタ16とビューカウンタ17とを有している。
【0014】前記トリガカウンタ16は、トリガパルスをカウントし、トリガカウント値Tpを0°パルスの直後のトリガパルスで“0”(トリガカウント初期値)に戻すことを繰り返す。図2に、前記トリガカウンタ16の動作のフロー図を示す。ステップA1では、0°パルスの入力をチェックし、入力がなければステップA2へ進み、入力があればステップA3へ進む。ステップA2では、トリガパルスの入力をチェックし、入力がなければ前記ステップA1に戻り、入力があればステップA5へ進む。ステップA3では、トリガパルスの入力を待ち、入力があればステップA4へ進む。ステップA4では、トリガカウント値Tpを“0”(トリガカウント初期値)に戻す。そして、前記ステップA1に戻る。ステップA5では、トリガカウント値Tpをカウントアップする。そして、前記ステップA1に戻る。
【0015】前記ビューカウンタ17は、処理装置3から与えられるデータ収集スタート信号を受け取った時をビューの開始タイミングとし、あるビューを開始してからトリガパルスがNv個毎にビュー番号Vpをカウントアップし、0°パルスの直後に開始されるビューのビュー番号を“0”(ビュー番号初期値)に戻すことを繰り返す。図3に、前記ビューカウンタ17の動作のフロー図を示す。ステップB1では、データ収集スタート信号の入力を待ち、入力があればステップB2へ進む。ステップB2では、トリガカウンタ16からトリガカウント値Tpを読み込む。ステップB3では、ビュー番号Vpを計算する。すなわち、整数部を得る関数を int{}とするとき、Vp=int{Tp/Nv}
ステップB4では、トリガパルスをNv個数えてから前記ステップB2に戻る。
【0016】前記処理装置3は、全体的な制御を行うマスタープロセッサ31と、前記X線立ち上げ信号および前記データ収集スタート信号を出力するスキャンプロセッサ32と、前記撮影テーブル2の移動を制御すると共にテーブル位置を前記マスタープロセッサ31に通知するテーブルコントローラ33と、前記トリガカウンタ16と同じ動作を行うトリガカウンタ34と、前記データおよび前記ビュー番号Vpを受信して画像を再構成する画像処理部35とを具備している。
【0017】前記マスタープロセッサ31は、前記入力装置5から入力されたスキャン開始テーブル位置に撮影テーブル2が到達すると、前記スキャンプロセッサ32にスキャンスタートの指示を与える。スキャンスタートの指示を受けたスキャンプロセッサ32は、スキャンスタートトリガカウント値を設定する(図4のスキャンスタートトリガカウント値設定処理)。そして、X線発生の立ち上りに必要な準備時間に相当するトリガ数(以下、X線立ち上り準備トリガ数という)だけ前記スキャンスタートトリガカウント値より前の値にトリガカウント値Tpが到達すると前記X線立ち上げ信号を出力し、前記スキャンスタートトリガカウント値にトリガカウント値Tpが到達すると前記データ収集スタート信号を出力する。
【0018】図4は、前記スキャンスタートトリガカウント値設定処理を示すフロー図である。ステップS1では、トリガカウンタ34からトリガカウント値Tpを読み込む。例えば、Tp=45とする。ステップS2では、トリガカウント値Tpに、X線立ち上り準備トリガ数Nxを加える。例えば、Nx=180とすると、Tp+Nx=225となる。ステップS3では、1ビュートリガ数Nvで(Tp+Nx)を割った整数部を求めて、仮ビュー番号Vkを算出する。すなわち、整数部を得る関数を int{}とするとき、Vk=int{(Tp+Nx)/Nv}
例えば、Nv=14とするなら、Vk=16である。なお、Vkが1回転ビュー数Ve(=Nr/Nv)以上になるなら、VkからVeを引いた値をVkとする。
【0019】ステップS4では、仮ビュー番号Vkに、0°パルス回避ビュー数として“0.5”を加えると共に、マージンビュー数(何らかの処理の遅れがあってもそれをカバーできるように、スキャンスタートのタイミングを予め遅らせておく余裕時間に相当するビュー数)として“1.0”を加えて、それをスキャンスタートビュー番号Vsとする。例えば、Vk=16なら、Vs=17.5となる。なお、“0.5”および“1.0”を加えると1回転ビュー数Veを越えるなら、スキャンスタートビュー番号Vs=0.5とする。ステップS7では、スキャンスタートビュー番号Vsをスキャンスタートトリガカウント値Nsに換算する。すなわち、Ns=Vs・Nv例えば、Vs=17.5なら、Ns=245となる。
【0020】ステップS8では、スキャンスタートトリガカウント値NsよりX線立ち上り準備トリガ数Nxを引き、X線立ち上げ信号位置Ns’を検出する。ステップS9では、X線立ち上げ信号位置Ns’が、0°パルスの前後のトリガパルスの±7個分の範囲に入っていないかチェックし、入っていないなら処理を終了し、入っているならステップS10へ進む。ステップS10では、X線立ち上げ信号位置Ns’に1ビュートリガ数Nvを加えたものを、X線立ち上げ信号位置Ns’とする。これは、0°パルスの前後のトリガパルス±7個分の範囲では競合する処理が発生するため、それを避けるためである。
【0021】上記のようにスキャンスタートトリガカウント値Nsを設定すると、スキャンスタートトリガカウント値Nsは必ず“Nvの倍数+Nv/2”になる。つまり、データ収集スタート信号は、トリガカウント値Tpが“Nvの倍数+Nv/2”になったタイミングで出力される。一方、ビューカウンタ17はデータ収集スタート信号を受け取った時をビューの開始タイミングとするから、ビューの開始タイミングはトリガカウント値Tpが“Nvの倍数+Nv/2”になった時となる。よって、Nv=14とするとき、図5に示すように、ビューの切れ目は、トリガカウント値が“7”または“14の倍数+7”になるタイミングとなる。そして、ビュー番号“0”のビューの開始は、0°パルスから7・360°/Nr以後で、8・360°/Nrより前となる。
【0022】ここで、あるX線管1回転で(Nr+1)個のトリガパルスが出力された場合を考える。Nr=15120とすると、図6に示すように、12121個目(トリガカウント値“15120”)のトリガパルスが増えるから、トリガカウント値“6”でビューカウンタ17は“0”に戻る。よって、ビュー番号“0”のビューの開始は、0°パルスから6・360°/Nr以後で、7・360°/Nrより前となる。
【0023】つまり、図5,図6から判るように、X線管1回転当り1個だけトリガパルスが増えると、正常な場合に比べて、360°/Nrだけビュー番号“0”のビューの角度が変わってしまう。しかし、これは従来の1/Nv(上記例では1/14)であり、それによる画像の角度の変動は実質的に無視できる程度である。すなわち、以上のX線CT装置100によれば、画像の角度が変動してしまうことを実質的に防止することが出来る。
【0024】
【発明の効果】本発明のX線CT装置によれば、トリガパルスの異常により画像の角度が大きく変動してしまうことを防止することが出来る。
【出願人】 【識別番号】000121936
【氏名又は名称】ジーイー横河メディカルシステム株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】有近 紳志郎
【公開番号】 特開平11−104118
【公開日】 平成11年(1999)4月20日
【出願番号】 特願平9−269454