| 【発明の名称】 |
個人認証装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大島 亨
【氏名】河田 耕三
|
| 【要約】 |
【課題】身体的特徴を用いて個人認証を行う際に、同一ユーザ間の経時的変化による特徴量の差異を吸収し、効率良く個人認証を行うことができる個人認証装置を提供すること。
【解決手段】認証対象ユーザの指紋画像から特徴量抽出部12が特徴量を抽出し、類似度算出部18がこの特徴量と登録特徴量記憶部14に記憶した特徴量との類似度を求め、判定部20では、この類似度と、しきい値記憶部16に記憶した判定結果の履歴に応答して動的に変動するしきい値とを比較して、認証対象ユーザが正当ユーザ本人であるか否かを認証する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 認証対象ユーザの身体的特徴から検出した特徴量と該認証対象ユーザがあらかじめ登録した参照特徴量との差を求め、求めた差を所定のしきい値と比較して前記認証対象ユーザが正当ユーザ本人であるか否かを認証する個人認証装置において、前記認証対象ユーザに係わる過去の認証結果の履歴から、該認証対象ユーザが正当ユーザ本人であると認証された本人パス率を算定する算定手段と、前記算定手段が算定した本人パス率と、認証時に用いたしきい値と、目標として設定された所定の本人パス率とに基づいて、前記認証対象ユーザを次回に認証する際に用いるしきい値を設定する設定手段とを具備することを特徴とする個人認証装置。 【請求項2】 個人の身体的特徴を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した身体的特徴から個人の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、あらかじめ一又は複数の個人の身体的特徴量を参照特徴量として記憶する登録特徴量記憶手段と、個人ごとの過去の所定回数分の照合結果から本人であると判定された割合が、個人ごとに所定の割合となるようにしきい値を可変制御するしきい値制御手段と、前記しきい値制御手段が生成する個人ごとのしきい値を記憶するしきい値記憶手段と、照合動作をする際に、前記特徴量抽出手段が抽出した特徴量と前記登録特徴量記憶手段に記憶された特徴量との類似度を算出する類似度算出手段と、前記類似度算出手段の算出結果と前記しきい値制御手段が設定した個人ごとのしきい値とから本人または他人の判定を行う判定手段とを具備したことを特徴とする個人認証装置。 【請求項3】 前記しきい値制御手段は、個人ごとの過去の所定回数分の判定結果から本人と判定された割合を生成する本人パス率生成手段と、個人ごとに目標とする本人パス率を設定する目標本人パス率設定手段と、照合動作の都度、前記本人パス率生成手段が生成した結果と前記目標本人パス率設定手段により設定された目標本人パス率との差を生成する比較手段と、前記比較手段が生成した本人パス率と目標本人パス率との差からしきい値の補正量を生成する補正量生成手段と、前回の照合動作時のしきい値と前記補正量生成手段が生成したしきい値補正量とから次回の照合動作時のしきい値を生成するしきい値更新手段とを具備したことを特徴とする請求項2記載の個人認証装置。 【請求項4】 前記しきい値更新手段は、しきい値を少なくとも上限、または下限に制限するリミット手段を具備することを特徴とする請求項3記載の個人認証装置。 【請求項5】 前記補正量生成手段は、照合動作の都度、前記比較手段が生成した本人パス率と目標本人パス率との差に所定のゲインを乗じて補正量を生成することを特徴とする請求項3記載の個人認証装置。 【請求項6】 前記しきい値制御手段は、前記本人パス率生成手段が生成する本人パス率と前記しきい値更新手段が生成したしきい値の履歴を監視するしきい値監視手段を有し、前記しきい値監視手段は、本人パス率が目標本人パス率を超える判定結果が所定回数連続することを検知し、あるいはしきい値が前記リミット手段により上限または下限の値に制限されたことを検知すると、前記補正手段が用いるゲインを個人ごとに可変することを特徴とする請求項3記載の個人認証装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、指紋等の身体的特徴に基づいて個人認証を行う個人認証装置に関し、特に、同一人間の経時的変化による特徴量の差異を吸収し、効率良く個人認証を行う個人認証装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、暗証番号やIDカード等のセキュリティ技術を採用して、重要施設への入退出管理や重要データへのアクセス管理が行われることが多い。 【0003】ところが、この暗証番号やIDカード等の基礎的なセキュリティ技術では、入退出又はアクセスを企図する不正なユーザ(以下「不正ユーザ」と言う。)が正当ユーザになりすます不正行為に対応できない場合がある。 【0004】例えば、不正ユーザが正当ユーザの暗証番号又はIDカードを窃盗若しくは偽造し、本人になりすまして入退出操作等を行った場合には、セキュリティシステムがかかる不正ユーザを排除できない。 【0005】このため、最近では、指紋、掌形及び虹彩等の人間が持つ身体的特徴を認証技術に応用し、あらかじめ登録した身体的特徴を有しないユーザを全て不正ユーザとみなす個人認証技術が注目されている。 【0006】例えば、指紋を身体的特徴として利用する場合には、あらかじめ正当ユーザの指紋画像の特徴量を登録しておき、個人認証を行う際に、入退出要求を行うユーザの指紋画像の特徴量とあらかじめ登録した特徴量との類似度を算定し、この類似度が所定のしきい値以上であれば正当ユーザと判定する。 【0007】したがって、かかる身体的特徴を用いた個人認証を行う上で、上記所定のしきい値をいかに設定するかが極めて重要な要因となるが、このしきい値を各ユーザに共通の固定値としたのでは、ユーザごとの個人認証精度にばらつきが生じる。 【0008】その理由は、各ユーザの身体的特徴にはばらつきがあり、本人であると確認し易い特徴量を持つユーザと、本人と確認し難い特徴量を持つユーザが存在するためである。 【0009】このため、特開平6−208611号公報には、指紋を用いて個人認証を行う際に、他人を本人と間違える第2種エラー率が所定の値となるようにしきい値を個人ごとに登録しておき、ユーザが入力したID番号に基づいてユーザごとにしきい値を変更する個人認証装置が開示されている。 【0010】このように、かかる従来技術によれば、ユーザごとに異なる静的な特徴量に応答して上記しきい値を変動させるため、ユーザごとの特徴量の違いを吸収することができる。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術は、あくまでも異なるユーザ間の静的な特徴量の差異のみを吸収するものにすぎず、同一ユーザが複数回試行する際に生じる特徴量の差異を吸収するものではない。 【0012】このため、同じ正当ユーザが個人認証を行う場合であっても、その場その場の状況によって、正当ユーザと認識される場合と不正ユーザと認識される場合とが生ずる。 【0013】例えば、指紋認証を行うユーザの指の置き方のばらつきや、生理的現象又は温湿度等の環境変化に伴う指表面の変化が生ずるために、登録済みの指紋画像の特徴量と全く同じ特徴量を持つ指紋画像を入力することは不可能だからである。 【0014】したがって、上記従来技術を用いたとしても、同一ユーザ間の経時的変化による特徴量の差異を吸収できず、結果的に個人認証を行う正当ユーザ及びセキュリティ管理者を煩わせることになる。 【0015】これらのことから、身体的特徴を用いて個人認証を行う際に、同一ユーザ間の経時的変化による特徴量の差異をいかに吸収するかが極めて重要な課題となっている。 【0016】そこで、本発明では、上記課題を解決し、身体的特徴を用いて個人認証を行う際に、同一ユーザ間の経時的変化による特徴量の差異を吸収し、効率良く個人認証を行うことができる個人認証装置を提供することを目的とする。 【0017】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、第1の発明は、認証対象ユーザの身体的特徴から検出した特徴量と該認証対象ユーザがあらかじめ登録した参照特徴量との差を求め、求めた差を所定のしきい値と比較して前記認証対象ユーザが正当ユーザ本人であるか否かを認証する個人認証装置において、前記認証対象ユーザに係わる過去の認証結果の履歴から、該認証対象ユーザが正当ユーザ本人であると認証された本人パス率を算定する算定手段と、前記算定手段が算定した本人パス率と、認証時に用いたしきい値と、目標として設定された所定の本人パス率とに基づいて、前記認証対象ユーザを次回に認証する際に用いるしきい値を設定する設定手段とを具備することを特徴とする。 【0018】また、第2の発明は、個人の身体的特徴を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した身体的特徴から個人の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、あらかじめ一又は複数の個人の身体的特徴量を参照特徴量として記憶する登録特徴量記憶手段と、個人ごとの過去の所定回数分の照合結果から本人であると判定された割合が、個人ごとに所定の割合となるようにしきい値を可変制御するしきい値制御手段と、前記しきい値制御手段が生成する個人ごとのしきい値を記憶するしきい値記憶手段と、照合動作をする際に、前記特徴量抽出手段が抽出した特徴量と前記登録特徴量記憶手段に記憶された特徴量との類似度を算出する類似度算出手段と、前記類似度算出手段の算出結果と前記しきい値制御手段が設定した個人ごとのしきい値とから本人または他人の判定を行う判定手段とを具備したことを特徴とする。 【0019】また、第3の発明は、前記しきい値制御手段は、個人ごとの過去の所定回数分の判定結果から本人と判定された割合を生成する本人パス率生成手段と、個人ごとに目標とする本人パス率を設定する目標本人パス率設定手段と、照合動作の都度、前記本人パス率生成手段が生成した結果と前記目標本人パス率設定手段により設定された目標本人パス率との差を生成する比較手段と、前記比較手段が生成した本人パス率と目標本人パス率との差からしきい値の補正量を生成する補正量生成手段と、前回の照合動作時のしきい値と前記補正量生成手段が生成したしきい値補正量とから次回の照合動作時のしきい値を生成するしきい値更新手段とを具備したことを特徴とする。 【0020】また、第4の発明は、前記しきい値更新手段は、しきい値を少なくとも上限、または下限に制限するリミット手段を具備することを特徴とする。 【0021】また、第5の発明は、前記補正量生成手段は、照合動作の都度、前記比較手段が生成した本人パス率と目標本人パス率との差に所定のゲインを乗じて補正量を生成することを特徴とする。 【0022】また、第6の発明は、前記しきい値制御手段は、前記本人パス率生成手段が生成する本人パス率と前記しきい値更新手段が生成したしきい値の履歴を監視するしきい値監視手段を有し、前記しきい値監視手段は、本人パス率が目標本人パス率を超える判定結果が所定回数連続することを検知し、あるいはしきい値が前記リミット手段により上限または下限の値に制限されたことを検知すると、前記補正手段が用いるゲインを個人ごとに可変することを特徴とする。 【0023】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、この実施の形態では、指紋を用いて個人認証を行う個人認証装置に適用した場合について説明する。 【0024】図1は、第1の実施の形態で用いる個人認証装置の構成を示すブロック図である。 【0025】図1に示す個人認証装置は、入退出又はアクセスが許可された正当ユーザの指紋の特徴量を登録する登録モードと、実運用下で認証対象ユーザの正当性を認証する運用モードとからなる。 【0026】そして、この運用モードによるユーザ認証を行うためには、あらかじめ登録モードにおいて、各正当ユーザの所定の指の指紋の特徴量を参照特徴量として登録特徴量記憶部14に記憶しておかねばならない。 【0027】その理由は、この個人認証装置では、あらかじめ登録した正当ユーザの参照特徴量と、認証対象ユーザの特徴量とから類似度を求めて、認証対象ユーザが正当ユーザ本人であるか否かを検証するためである。 【0028】なお、登録モードと運用モードの切り替えは、図示しないモード切替スイッチ又はモード切替コマンドによって行われる。 【0029】図1に示すように、この個人認証装置は、身体的特徴検出部10と、操作部11と、特徴量抽出部12と、登録特徴量記憶部14と、しきい値記憶部16と、類似度算出部18と、判定部20と、判定結果記憶部21と、しきい値制御部22とからなる。 【0030】身体的特徴検出部10は、プリズム及びCCDカメラ等を用いて認証対象ユーザの所定の指から指紋の画像データを光学的に取得する入力部であり、特徴量抽出部12は、この身体的特徴検出部10が取得した指紋画像から空間周波数特性を特徴量として抽出する。 【0031】なお、この特徴量抽出部12では、その登録モードにおいては、抽出した特徴量を参照特徴量として正当ユーザのIDナンバーと対応づけて登録特徴量記憶部14に記憶し、また、運用モードにおいては、抽出した特徴量を類似度算出部18に出力する。 【0032】操作部11は、正当ユーザを特定するIDナンバーを入力するための操作部であり、具体的にはIDナンバーを入力するテンキー又はIDカードを読み取るカードリーダ等からなる。なお、正当ユーザとしてすでに登録されたIDナンバー又は正しいIDカードが入力されない限り、運用モードでの認証処理は開始されない。 【0033】登録特徴量記憶部14は、特徴量抽出部12が抽出した正当ユーザの参照特徴量を操作部11から入力された正当ユーザのIDナンバーと対応づけて記憶する記憶部である。 【0034】類似度算出部18は、上記運用モードでのみ動作する処理部であり、特徴量抽出部12から認証対象ユーザの特徴量を取得したならば、操作部11から入力されたIDナンバーに対応する正当ユーザの参照特徴量を登録特徴量記憶部14から読み出す。 【0035】そして、該特徴量抽出部12が抽出した特徴量と、登録特徴量記憶部14から読み出した参照特徴量との相関値を類似度として算出し、算定した類似度を判定部20に出力する。 【0036】しきい値記憶部16は、運用モードにおいて認証対象ユーザが正当ユーザであるか否かを認証する際に用いるしきい値をIDナンバーごとに記憶する記憶部である。 【0037】なお、このしきい値記憶部16に記憶されるしきい値は、後述するしきい値制御部22が、判定結果記憶部21に記憶した過去の判定結果に基づいて逐次更新する。 【0038】判定部20は、しきい値記憶部16から正当ユーザのIDナンバーに対応するしきい値を読み出して、類似度算出部18が算出した類似度と比較し、認証対象ユーザが正当ユーザであるか否かを判定する処理部である。 【0039】なお、この判定部20による判定結果は、外部に出力するだけでなく、判定結果記憶部21にも記憶される。 【0040】判定結果記憶部21は、正当ユーザのIDナンバーごとに過去N回の判定結果の履歴を記憶する記憶部である。 【0041】しきい値制御部22は、操作部11から受け取った正当ユーザのIDナンバーに対応する判定結果の履歴を判定結果記憶部21から読み出し、この判定結果の履歴に基づいて次回の認証に使用するしきい値を更新して、しきい値記憶部16に記憶する。 【0042】上記構成を有する個人認証装置を用いることにより、しきい値記憶部16に格納されるしきい値が、正当ユーザの過去の判定履歴に応答して動的に変動し、該変動するしきい値に基づいて、判定部20が認証対象ユーザを認証することになる。 【0043】次に、図1に示すしきい値制御部22について具体的について説明する。 【0044】図2は、図1に示すしきい値制御部22の細部構成を示すブロック図である。 【0045】同図に示すように、このしきい値制御部22は、本人パス率生成部30と、目標本人パス率設定部32と、比較部34と、しきい値補正量生成部36と、しきい値更新部38とからなる。 【0046】本人パス率生成部30は、判定結果記憶部21に記憶した過去N回の判定結果の履歴を読み出し、認証対象ユーザがIDナンバーを有する正当ユーザ本人であると判定された率(以下「本人パス率」と言う。)P[i] を生成する処理部である。この本人パス率生成部30が請求項1の算定手段に相当する。 【0047】例えば、ある正当ユーザが認証を過去L回行い、最近N回(L≧N)の認証においてn回(N≧n)が「本人」と判定された場合には、その時点iにおける当該正当ユーザの本人パス率P[i]は、P[i] = n/Nとなる。 【0048】ただし、本実施の形態では、Nを固定して考えているため、本人パス率生成部30は、「正当ユーザ本人であると判定された回数n」を直接本人パス率P[i] として使用することとする。 【0049】目標本人パス率設定部32は、あらかじめ設定された目標値となる所望の目標本人パス率Pref を設定する処理部である。ただし、本実施の形態では、上記本人パス率P[i]との整合性を担保するため、目標本人パス回数を使用するものとする。 【0050】比較部34は、本人パス率生成部30が生成した本人パス率P[i] と目標本人パス率設定部32が設定する目標本人パス率Pref とを比較して、その差(P[i]−Pref)を求める処理部である。 【0051】しきい値補正量生成部36は、比較部34が求めた本人パス率P[i] と目標本人パス率Pref との差(P[i]−Pref)に基づいて、次回の認証時に用いるしきい値の補正量δT[i] を生成する処理部である。 【0052】しきい値更新部38は、次回に同じ認証対象ユーザを認証する際に用いるしきい値T[i+1] を求めて、しきい値記憶部16に記憶するしきい値を更新する処理部である。尚、比較部34としきい値補正量生成部36としきい値更新部38とで請求項1の算定手段を構成する。 【0053】具体的には、第i回目の認証時に用いたしきい値がT[i] であり、第i+1回目の認証時に用いるしきい値がT[i+1] であり、しきい値補正量生成部36が生成した補正量がδT[i] である場合には、T[i+1]=T[i]+δT[i] がしきい値記憶部16に格納されることになる。 【0054】ただし、このしきい値記憶部16には、正当ユーザのIDナンバーごとに異なるしきい値が記憶される。 【0055】上記構成を有するしきい値制御部22を用いることにより、本人パス率P[i]と目標本人パス率Pref との差(P[i]−Pref)に基づいて、次回の認証時に用いるしきい値を動的に補正することができる。 【0056】次に、図1に示す個人認証装置の運用モードにおける処理手順について説明する。なお、ここでは、しきい値補正量生成部36が本人パス率P[i] と目標本人パス率Pref との差(P[i]−Pref)に比例する補正量δT[i] を生成する場合を示すこととする。 【0057】図3は、図1に示す個人認証装置の処理手順を示すフローチャートである。 【0058】同図に示すように、この個人認証装置は、まず最初にしきい値T[i] に初期値を設定した後(ステップ301)、操作部11がIDナンバーの入力待ち状態となる(ステップ302)。 【0059】ここで、操作部11においてIDナンバーの入力又はIDカードの挿入がなされ、身体的特徴検出部10に認証対象者の指が置かれると、身体的特徴検出部10が指紋画像を取り込み、特徴量抽出部12が該指紋画像から特徴量を抽出する。 【0060】その後、類似度算出部18は、操作部11に入力されたIDナンバーに対応する登録済みの参照特徴量を登録特徴量記憶部14から取り出し、特徴量抽出部12から受け取った特徴量との間で類似度S[i] を算出する(ステップ303)。 【0061】そして、この類似度S[i] が、しきい値記憶部16に記憶したしきい値T[i] よりも大きければ(S[i]>T[i])、判定結果R[i] が「本人」となり(ステップ305)、しきい値T[i]以下であれば(S[i]≦T[i])、判定結果R[i] が「他人」となる(ステップ306)。 【0062】なお、この判定結果R[i] は、外部に出力されるだけでなく、判定結果記憶部21にも格納される。 【0063】ここで、この個人認証装置では、過去N回の判定結果の履歴を次の補正量に反映させることとしているため、照合回数iが所定回数Nに達しない場合には、上記ステップ301〜306の処理を繰り返す(ステップ307)。 【0064】一方、すでにN回以上の判定がなされている場合には、しきい値制御部22が過去N回のうち「本人」とみなされた本人パス率P[i] を求める(ステップ308)。 【0065】そして、第i回目の本人パス率P[i]と目標本人パス率Prefとの差をα倍し、第i回目に使用したしきい値T[i]を加算したT[i]+α(P[i]−Pref) を、次回の照合時のしきい値T[i+1]とする(ステップ309)。ただし、ゲインαは正の定数とする。 【0066】そして、変数iをインクリメントして(ステップ310)、次回の認証に備えた後に処理を終了する。 【0067】次に、上記一連の処理を行った場合に生ずるしきい値の変動について具体例を用いて説明する。 【0068】図4は、図1に示す個人認証装置を用いた場合におけるしきい値の変動例を示す図である。ただし、ここでは、所定回数Nを4回とし、目標本人パス回数(率)を3回とする。 【0069】同図に示すように、第1回目〜第4回目(i=1〜4)までの判定結果が全て「本人」である場合には、第4回目の判定を終えた時点でのパス回数P[4]は、P[4] = 4となる。 【0070】ここで、目標本人パス率Pref =3であるから、第5回目の認証時に用いるしきい値T[5] は、 となり、ゲインα分高くなる。 【0071】次に、このしきい値T[5] を用いて第5回目の認証を行った結果が、「他人」である場合には、P[5] = 3となる。 【0072】このため、第6回目の認証時に用いるしきい値T[6] は、 となり、変動しない。 【0073】同様に、第6回目の判定結果によっても第7回目の認証時に用いるしきい値T[7] は変動しないが、第8回目及び第9回目の認証時に用いるしきい値T[8]及びT[9] は、それぞれゲインα分低くなる。 【0074】このように、次回の認証時に用いるしきい値は、過去N回の判定結果に応じて順次変動し、過去N回の本人パス率が高ければしきい値を上げ、過去N回の本人パス率が低ければしきい値を下げることになる。 【0075】次に、図1に示すしきい値制御部22の制御について説明する。ただし、ここでは、しきい値T[i] にリミッタを設け、所定範囲内でのみしきい値T[i]が変動するよう制御している。 【0076】図5は、図1に示すしきい値制御部22の制御ブロック図である。 【0077】同図に示すように、しきい値制御部22は、判定結果記憶部21に記憶した判定履歴から本人パス率P[i] を生成し、生成した本人パス率を比較器のプラス側端子に入力する。 【0078】ここで、この比較器のマイナス側端子には、目標パス回数Pref が入力されるため、その差(P[i]−Pref)が比較器から出力され、この出力結果にゲインαを乗じた値α(P[i]−Pref)が加え合せ点に出力される。 【0079】そして、この加え合せ点には、しきい値記憶部16に記憶したしきい値T[i]がフィードバックされているため、リミッタには、T[i]+α(P[i]−Pref) が出力されることになる。 【0080】そして、このリミッタは、入力した値が所定の上限値を越える場合や所定の下限値に至らない場合に、その値を上限値又は下限値とする処理を行ない、処理結果をしきい値記憶部16に出力する。 【0081】かかるリミッタを設けた理由は、しきい値T[i] が無制限に下がる場合を認めると、不正ユーザが他人のIDナンバーを用いて繰り返し認証を試行した場合に、「本人」と誤認する場合が生じ、またしきい値T[i] がむやみに上がり続けると、正当ユーザが「本人」であると認証されない認証誤りが頻繁に発生するためである。 【0082】上述してきたように、第1の実施の形態では、認証対象ユーザの指紋画像から特徴量抽出部12が特徴量を抽出し、類似度算出部18がこの特徴量と登録特徴量記憶部14に記憶した参照特徴量との類似度を求め、判定部20では、この類似度と、しきい値記憶部16に記憶した判定結果の履歴に応答して動的に変動するしきい値とを比較して、認証対象ユーザが正当ユーザであるか否かを認証するよう構成したので、下記に示す効果が得られる。 【0083】1)同一ユーザ間で経時的変化によりその特徴量が変化した場合であっても、効率良く個人認証を行うことができる。 【0084】2)認証対象ユーザが正当ユーザ本人とみなされる割合を一定にすることができ、各ユーザに均一な利便性を提供できる。 【0085】3)セキュリティ管理者のしきい値調整に係わる負担を軽減することができる。 【0086】以上、第1の実施の形態について説明した。 【0087】ところで、上記第1の実施の形態では、しきい値補正量生成部36が用いるゲインαを各ユーザ共通とすることとしたが、かかるゲインαを正当ユーザごとに変えることもできる。 【0088】そこで、以下では、しきい値補正量生成部が用いるゲインを正当ユーザごとに最適化する第2の実施の形態について説明する。なお、この場合においても、個人認証装置の全体構成は図1に示すものと同じであるため、その説明を省略する。 【0089】図6は、第2の実施の形態で用いるしきい値制御部60の構成を示すブロック図である。なお、図2に示すしきい値制御部22と同様の機能を有する部位は、同一符号を付すこととして、その説明を省略する。 【0090】同図に示すように、このしきい値制御部60は、しきい値監視部61を用いてしきい値更新部38の更新結果及び比較部34の比較結果の履歴を監視し、この監視の結果、しきい値を変更すべきとの判断した場合には、しきい値を変更する指示をしきい値補正量生成部36に通知する。 【0091】そして、この通知を受けたしきい値補正量生成部36は、個人ごとの次回照合時に用いるゲインαを更新する。 【0092】すなわち、このしきい値制御部60は、比較部34の比較結果から得られる本人パス率P[i]と目標本人パス率Pref との関係と、しきい値更新部38から得られるしきい値と制限値との関係とに基づいて、ゲインαの大きさを動的に更新している。 【0093】次に、図6に示すしきい値制御部60の制御について説明する。 【0094】図7は、図6に示すしきい値制御部60の制御ブロック図である。ただし、図5に示す制御ブロック図と共通する部分はその説明を省略する。 【0095】同図に示すように、しきい値制御部60は、比較器から出力される(P[i]−Pref)と、しきい値記憶部16から加え合せ点にフィードバックされるしきい値の変動とを監視し、ゲインαを制御する。 【0096】具体的には、比較器から出力される(P[i]−Pref)が正となる場合がM回連続する場合には、追従応答が遅すぎるとしてゲインαを大きくする。 【0097】また、しきい値がリミッタで上下限に制限される場合には、しきい値が発振状態にあると判断して、ゲインαを小さくする。 【0098】このように、かかるしきい値制御部60を用いることにより、しきい値を補正するゲインを状況に応じて適切な値に制御することができる。 【0099】次に、上記しきい値制御部60を有する個人認証装置の処理手順について説明する。 【0100】図8は、図6に示すしきい値制御部60を有する個人認証装置の処理手順を示すフローチャートである。ただし、ステップ801〜809及びステップ815については、図3に示すステップ301〜309及びステップ310に対応するため、その説明を省略する。 【0101】同図に示すように、次回の照合時に用いるしきい値T[i+1] を得たならば(ステップ809)、本人パス率P[i]が目標本人パス率PrefをM回連続して超えるか否かを判断する(ステップ810)。 【0102】そして、M回連続して本人パス率P[i]が目標本人パス率Prefを越える場合には、ゲインαに所定の補正量Bを加算してゲインα自体を大きくする(ステップ811)。 【0103】すなわち、図9(a)に示すように、本人パス率P[i]が目標本人パス率Pref をM回連続して超える原因は、認証結果の履歴にしきい値が追従できない点にあるため、この問題を解消すべく、ゲインαを大きくするのである。 【0104】その後、次回の認証に用いるしきい値T[i+1] がリミッタの制限値を越えたか否かを判断し(ステップ812)、制限値を越える場合には、しきい値T[i+1] を制限値とし(ステップ813)、ゲインαを補正量Bだけ減じる(ステップ814)。 【0105】すなわち、図9(c)に示すように、しきい値の変動が極めて大きく、所定の制限値を越えるということは、ゲインαが大きすぎることを意味するため、かかるゲインαを小さくすることにより、図9(b)に示すような適正なしきい値の変動を図っている。 【0106】上述してきたように、第2の実施の形態では、しきい値制御部60は、本人パス率P[i]及び目標本人パス率Pref の相互関係と、しきい値と制限値との関係とに基づいて、ゲインαの大きさを動的に制御するよう構成したので、しきい値の追従応答性を高めることができる。 【0107】次に、本実施の形態で用いる個人認証装置と、本人パス率との関係について説明する。 【0108】図10は、図1に示す個人認証装置と本人パス率との関係を示す概念図である。 【0109】同図に示すように、例えば本人の照合分布(A)と他人の照合分布とを考慮して最適しきい値を厳密に設定したとしても、経時的な変化によって本人の照合分布が分布(A)から分布(B)に移行したり、逆に分布(B)から分布(A)に移行する場合がある。 【0110】かかる場合に、従来の個人認証装置のように、かかるしきい値を固定して運用していたのでは、正当ユーザであるにも係わらず他人と認証されたり、不正ユーザであるにもかかわらず正当ユーザと認証される場合が生ずる。 【0111】しかしながら、図1に示す個人認証装置では、本人の照合分布が分布(A)から分布(B)又は分布(B)から分布(A)に移行したならば、これに追従してしきい値を変動し、一定の本人パス率を維持することができる。 【0112】なお、図1に示すかかるしきい値は、下限値以下になることはなく、常にそれ以上のしきい値で運用されるため、最適しきい値を用いて固定的に運用する場合と比べて、セキュリティ性も改善される。 【0113】なお、本実施の形態では、本発明を指紋を用いた個人認証装置に適用した場合を示したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、顔、虹彩、掌形などの身体的特徴を用いる各種個人認証装置にも適用することができる。 【0114】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、第1の発明は、認証対象ユーザに係わる過去の認証結果の履歴から、該認証対象ユーザが正当ユーザ本人であると認証された本人パス率を算定し、この本人パス率と、認証時に用いたしきい値と、目標として設定された所定の本人パス率とに基づいて、認証対象ユーザを次回に認証する際に用いるしきい値を設定するよう構成したので、下記に示す効果が得られる。 【0115】1)同一ユーザ間で経時的変化によりその特徴量が変化した場合であっても、効率良く個人認証を行うことができる。 【0116】2)認証対象ユーザが正当ユーザ本人とみなされる割合を一定にすることができ、各ユーザに均一な利便性を提供できる。 【0117】3)セキュリティ管理者のしきい値調整に係わる負担を軽減することができる。 【0118】また、第2の発明は、照合動作をする際に、個人の身体的特徴から抽出した特徴量と、あらかじめ登録された参照特徴量との類似度を求め、この類似度と該個人が過去に本人であると判定された割合に基づいて設定されたしきい値とから本人か否かの判定を行うよう構成したので、適正に可変制御されるしきい値に基づく認証を行うことができる。 【0119】また、第3の発明は、個人ごとの過去の所定回数分の判定結果から本人と判定された割合を生成し、この生成結果と所定の目標本人パス率との差からしきい値の補正量を生成し、この補正量と前回の照合動作時のしきい値とから次回の照合動作時のしきい値を生成するよう構成したので、目標本人パス率を達成するようにしきい値を変動させることができる。 【0120】また、第4の発明は、しきい値を少なくとも上限、または下限に制限するリミット手段を備えるよう構成したので、しきい値が極端に下がってセキュリティが低下する状況を排除することができる。 【0121】また、第5の発明は、照合動作の都度、本人パス率と目標本人パス率との差に所定のゲインを乗じて補正量を生成するよう構成したので、しきい値を効率良く補正することができる。 【0122】また、第6の発明は、本人パス率及びしきい値の履歴を監視し、本人パス率が目標本人パス率を超える判定結果が所定回数連続することを検知し、あるいはしきい値がリミット手段により上限または下限の値に制限されたことを検知すると、ゲインを個人ごとに可変するよう構成したので、個人ごとに最適なゲインを設定することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001432 【氏名又は名称】グローリー工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月30日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】木村 高久
|
| 【公開番号】 |
特開平11−104112 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月20日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−266215 |
|