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【発明の名称】 MRI映像生成方法
【発明者】 【氏名】クリストファー ダブリュ.クラウリイ

【氏名】フリーマン エイチ.ローズ,ジュニア.

【要約】 【課題】その場観察の生体組織の映像を生成するための方法を提供する。

【解決手段】不均一磁場のMRI装置を用いて励起パルスの逐次的なエポックで以って組織にパルスを供給する。励起パルスの各エポックは、初期の傾斜パルス、x−yエンコード、および再フォーカスパルスの列をこの順に含む。特に、各x−yエンコードはi(0,1...m)+j(0,1...n)の形のK空間識別子を有しており、傾斜パルスはK空間識別子(i+j)が奇数であるか偶数であるかに従って符号を変える。(m+1)×(n+1)個のピクセルを有する映像に対して、映像化可能なスピンエコー信号の(m+1)×(n+1)個の測定値を発生させるために、(m+1)×(n+1)個のエポックが使用される。次にこれら(m+1)×(n+1)個の測定値を配置することによって前記映像が生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 その場観察の生体組織の映像を生成するためのシステムであって、励起パルスの逐次的なエポックを提供するためのMRI装置を使用しており、各エポックが映像化可能なスピンエコー信号の測定値(measurement)を1つ発生するようになっており、ここにおいて各エポックが初期の90°傾斜パルスとそれに続く少なくとも1つの180°再フォーカスパルスを含んでいるシステムにおいて、前記エポックの各々において、前記初期の90°傾斜パルスと前記少なくとも1つの180°再フォーカスパルスとの間に、逐次的なK空間識別子を有する予め定められたx−yエンコードを挿入する工程、前記初期の90°傾斜パルスを、前記K空間識別子に従って、正の90°と負の90°との間で変化させる工程、組織に対して、前記逐次的なエポックで以ってパルスを供給して、複数の前記測定値を得る工程、および前記測定値を配置することによって前記映像を生成する工程、を含む方法。
【請求項2】 請求項第1項記載の方法であって、前記K空間識別子がi(0,1...m)+j(0,1...n)の形をしており、(m+1)×(n+1)個のピクセルを有する前記映像に対して、i+jが偶数の時は前記初期の傾斜パルスが負の90°であり、i+jが奇数の時は前記初期の傾斜パルスが正の90°である方法。
【請求項3】 請求項第1項記載の方法であって、前記K空間識別子がi(0,1...m)+j(0,1...n)の形をしており、(m+1)×(n+1)個のピクセルを有する前記映像に対して、i+jが奇数の時は前記初期の傾斜パルスが負の90°であり、i+jが偶数の時は前記初期の傾斜パルスが正の90°である方法。
【請求項4】 請求項第2項記載の方法であって、m=nである方法。
【請求項5】 請求項第2項記載の方法であって、(m+1)×(n+1)個のピクセルを有する映像に対して、(m+1)×(n+1)個の異なるx−yエンコードを使用して(m+1)×(n+1)個の測定値が得られる方法。
【請求項6】 請求項第1項記載の方法であって、前記MRI装置が不均一な磁場を発生させる方法。
【請求項7】 請求項第1項記載の方法であって、前記エポックの各々が複数の180°再フォーカスパルスを含んでいる方法。
【請求項8】 請求項第7項記載の方法であって、前記複数の180°再フォーカスパルスがパルス列を含んでいる方法。
【請求項9】 請求項第1項記載の方法であって、前記交代する工程が逐次的に実行される方法。
【請求項10】 その場観察の生体組織の映像を生成するための方法であって、a)生体組織に対して初期の90°傾斜パルスを供給する工程、b)生体組織の原子核を、i(0,1...m)+j(0,1...n)の形を有するx−yエンコードで以ってエンコーディングする工程、c)少なくとも1つの180°パルスで以って組織原子核を再フォーカスする工程、d)i+jが第1のパリティを有する時はいつでも正の90°傾斜パルスを、また、i+jが第2のパリティを有する時はいつでも負の90°傾斜パルスを使用する工程、およびe)前記工程aないしdを(m+1)×(n+1)回繰り返して、前記映像を生成するための映像化可能なスピンエコー信号の(m+1)×(n+1)個の別々の測定値を発生させる工程、を含む方法。
【請求項11】 請求項第10項記載の方法であって、前記第1のパリティが偶数で、前記第2のパリティが奇数である方法。
【請求項12】 請求項第10項記載の方法であって、前記第1のパリティが奇数で、前記第2のパリティが偶数である方法。
【請求項13】 請求項第10項記載の方法であって、前記方法が複数の180°パルスを含んでいる方法。
【請求項14】 請求項第13項記載の方法であって、前記複数の180°再フォーカスパルスがパルス列を含んでいる方法。
【請求項15】 請求項第10項記載の方法であって、前記工程aないしcが逐次的に実行される方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一般に磁気共鳴映像(MRI)システムに関する。更に詳細には、本発明はMRIシステム用の映像処理技術に関する。本発明は不均一磁場MRI装置を用いてその場で生体組織を映像化する時に雑音を抑制するための方法として特に有用であるが、それに限られるわけではない。
【0002】
【従来の技術】数多くの個別画素(すなわち、ピクセル)を適正に配置することによって、ビジュアルに認識できる映像が生成できることは良く知られている。例えば、ビデオディスプレイはそのようにして映像を生成しており、デジタルデータ送信に含まれる映像はピクセルを用いて再生される。更に、核磁気共鳴技術(MRI)を用いて生成される映像をデータからピクセルとして取り揃えなければならない場合もそうである。
【0003】議論の便宜上、本発明に関してピクセルの意味をより良く理解してもらうために、本質的に長方形の二次元映像をx−y面に配置して考察することとする。更に、映像、または画像はx方向で“m”番までセグメント化され、y方向には“n”番までセグメント化されているとする。この配置において、映像はm×n個のピクセルを含むことになる。良く知られたように、また容易に示すことができるように、もし映像中のピクセルすべてが十分小さければ、人間の眼は個々のピクセルを区別することができない。その代わりに、個別ピクセルの小さい寸法のために、それらは互いに溶け合って一貫性のある連続した映像となる。このように、個々のピクセルではなく映像全体が認識される。
【0004】上で示唆したように、MRI技術を用いて生成される映像は、潜在的には個々に異なるピクセルを非常に多数含む配置を含むことになろう。しかし、MRIの性格上、MRI映像として個別のピクセルを生成する過程は、映像中の他のピクセルすべてから個々のピクセルを区別する何らかの手段を必要とする。このような区別を行うために、MRI技術ではピクセルをエンコードする何らかの方式を含み、それによってそれらが後に再キャプチャーされて所望の映像を生成できるようになっているのが普通である。
【0005】エンコーディング方式の明細について考察するために、まず、MRI手順においては、映像化すべきその場観察の生体組織が高周波(RF)信号を照射されるということを理解しておくべきであろう。重要なことに、それらの信号は、映像化すべき組織のある場所における磁場強度に依存する特定の周波数を有している。この周波数は技術用語でラーマー周波数(Larmor frequency)と呼ばれる。当業者には良く知られたように、組織をラーマー周波数で照射することによって組織の原子核はスピンエコー信号を発生する。MRIの目的のために、それらのスピンエコー信号を記録することが可能である。記録されたスピンエコー信号は、しかし、理解できる映像を得るためには処理しなければならない。
【0006】MRI信号を処理する時に克服すべき問題点の1つは、映像化すべきその場観察の生体組織のすべてが同時に照射を受けるという事実に根差している。従って、各照射によって、組織中のすべての原子核からのスピンエコー信号を含む1つの測定値が得られる。映像のためのm×n個のピクセルを発生させるためには、m×n個のエンコードを実行しなければならないということになる。エンコーディングなしでは、複数の照射エポックに対するすべての応答が同じになって、組織の1つの部位の原子核の応答を組織の他の部位の原子核の応答から区別する方法はないことになる。このように、エンコーディングが必要となるのである。
【0007】本発明によって考案された、MRI映像のピクセルをエンコードする本方法は、二次元の位相エンコーディング方式を採用するものである。位相エンコーディングのために、各エンコード信号は、特有の二次元空間パターンを持つ位相によって特徴付けられる。映像化組織の各照射について1つのエンコード信号と別のものとで位相を変えることによって、発生するスピンエコー信号の区別ができるようになる。従って、これらの区別は、映像の再生時に各種ピクセルを並べ替え、区別する時に有用となろう。
【0008】位相エンコーディングの技術的な面に加えて、MRI手順のどの時点で位相エンコーディングを実行すべきかについて考察することも必要である。遠隔地に設置された本質的に不均一な磁場を採用するMRI装置の場合には、特殊な技術が含まれており、エンコーディングのための特別な時間シーケンスが観測される必要がある。“遠隔地に設置されたMRIシステム”と称する発明に関してクロウレイ(Crowley)等に対して発行され、本発明と同じ譲受人に譲渡された米国特許第5,304,930号は、不均一な磁場を使用して映像を生成するための方法を開示している。
【0009】簡単に説明すると、上記‘930号の特許は遠隔地に設置されたMRI装置について開示し、特許請求しているが、それはマグネットの外部に不均一な静磁場を発生するためのマグネットを含んでいる。重要なことに、このマグネットは磁場の中に、本質的に平坦な測定表面として有効に使用できる領域を確立するような構造となっている。更に、この測定表面は、磁場強度の大きさ(B0 )が実質的に一定であり、測定表面に垂直な方向の磁場勾配Gzがほぼ一定であることによって特徴付けられる。
【0010】‘930号の特許の教えるところに従えば、この装置には適切なラーマー周波数の傾斜パルスで以って測定表面にある原子核を照射するためにRFアンテナが設けてある。当業者には良く知られたようにして、この最初のパルスは、静磁場中のB0 の影響下で原子核が持っているスピンの向きを傾けるさせる。一旦傾いてしまうと、その原子核をエンコードすることが可能となる。傾いた原子核をエンコードするために、第1の勾配コイルおよび第2の勾配コイルがこの装置中に組み込まれており、測定表面における磁場勾配をx(Gx)およびy(Gy)の両方向で変化させるために使用されるようになっている。更に詳細には、原子核が最初にRFアンテナからの第1の照射パルスによって傾けられた後で、第1および第2の勾配コイルを選択的に駆動して個々の原子核のスピンベクトルを測定表面のx−y面で回転させることができる。これによってその原子核は予め定められた横方向の位相パターンで以ってエンコードされる。
【0011】‘930号の特許に開示された装置のRFアンテナの別の機能は、原子核がエンコードされた後でそれらを再フォーカスすることである。不均一な磁場中の永久的な磁場勾配のために、勾配の中の原子核は異なる速度で歳差運動することになる。この結果、コーヒレントなデフォーカスおよびインコーヒレントな原子核の拡散の両方が起こり、それらは原子核が加速された速度で周期的に再フォーカスされることを要求する。この再フォーカスは、RFアンテナから適切なラーマー周波数で再フォーカスパルスを送信することによって実行される。重要なことに、横方向の勾配印加と組み合わされた加速された再フォーカスおよび信号平均化の結果、映像再構築に利用可能なエンコードされたスピンエコー信号が原子核から発生することになる。
【0012】‘930号の特許に開示された発明のMRI装置はまた、RFアンテナの動作(傾けたり再フォーカスしたりする動作)をエンコーディング勾配コイルの動作と調和させるための電子的手段を含む。特に、アンテナから適切なRF照射パルスを送信すること、第1および第2の勾配コイルによって原子核をエンコードすること、そして原子核からのエンコードされたスピンエコー信号を受信すること、は予め定められ制御されたシーケンスで発生する必要がある。更に、複数のエンコードされたスピンエコー信号を、エンコードされたNMR応答へ変換するための、更には複数のNMR応答を映像へ変換するための電子的手段が必要とされる。
【0013】上で述べた‘930号特許開示の短い要約に加えて、ここで参考のために、’930号特許の開示全体をすべて引用する。更に、‘930号特許で開示されたシステムおよび方法は、本発明のそれと同様に、不均一な磁場を有する他のシステムにも利用できることは理解されるはずである。
【0014】
【発明の解決しようとする課題】MRI信号処理に関する上記議論に加えて、雑音による一定のアーティファクトが、最終的に生成されるMRI映像を悪化させる可能性があるという事実がある。特に、不均一な磁場システムに関して、加速されたRF照射パルスから生ずる音響的および電磁的残存物がデータ記録の各工程においてアーティファクトを提供する可能性がある。熱雑音と違って、上述のアーティファクトはコーヒレントであり、従って平均化技法によって減衰させることができない。更に、位相エンコーディングのために、エンコーディング中に最小量の位相変化にさらされた映像のピクセルは、エンコーディング位相の変化がより強調されたピクセルよりも雑音悪化に対してより敏感であることが知られている。位相エンコーディングは視野全体に沿っての位相変化のサイクル数を変えることによって実行するのが普通であるため、ピクセルの長さ方向の中央に位置するピクセルは、MRI手順全体を通して、もしあったとしても僅かなエンコーディング位相変化を経験するであろう。他方、中央部から最も遠くにあるピクセルはそれらのエンコード位相において1つのエンコードから次のエンコードへと幅広い変化を経験するであろう。この結果、再構築された映像の中央部にあるピクセルが最も雑音に影響されることになる。実際問題として、このことは映像の中央が雑音によって悪化して、映像の隅が少ないアーティファクトを有するということを意味する。
【0015】以上のことに照らして、本発明の1つの目的は、MRI映像から音響的雑音を抑制するための方法を提供することであり、それにより、映像の中央部において映像に対する最も明瞭な分解能が確立されることになる。本発明の別の目的は、MRI映像から雑音を抑制するための方法を提供することであり、それは最良の映像分解能を要求するMRI映像の部分から、外因性雑音のような一定のアーティファクトを効果的に濾過するものである。本発明の更に別の目的は、MRI映像から雑音を抑制するための方法を提供することであり、それは実現が比較的簡単で、比較的コスト効率のよい方法である。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、その場観察の生体組織のMRI映像測定値から雑音を抑制するための方法は、不均一磁場のMRI装置を使用することを含む。m×n個のピクセルを有する組織の二次元映像を生成するために、MRI装置は励起パルスの逐次的エポック(epoch)をm×n個発生することが必要である。特に本発明に関して、各エポックは初期の90°傾斜パルスを含んでおり、それに続いて、180°再フォーカスパルスの列を含んでいる。良く知られたように、各エポックは映像化可能なスピンエコー信号の測定値を1つ発生するであろう。
【0017】1つのエポック測定値を別の測定値から区別するために、各エポック中で初期の90°傾斜パルスとそれに続く180°再フォーカスパルス列との間に、予め定められたx−yエンコードが挿入される。各x−yエンコードはそのエンコードに特有なK空間識別子を割り当てることによってユニークなものとすることができる。本発明に関しては、各x−yエンコードはi(0,1...m)+j(0,1...n)の形をした固有の逐次的K空間識別子を有することになろう。K空間での空間的エンコーディングパターンの識別は当業者には良く知られている。
【0018】重要なことに、本発明の方法は、引き続くエポックの間で、逐次的に交代する初期の90°傾斜パルスを必要とする。すなわち、正の90°傾斜パルスで始まる1つのエポックに、負の90°傾斜パルスを有するエポックが続くことになろう。今度は、負の90°傾斜パルスを備えたこのエポックの後に、正の90°傾斜パルスを備えたエポックが続く、等々となろう。正の90°と負の90°の間の実際の決定は、そのエポックに関する特有のK空間識別子に従って行うことができる。特に、(m+1)×(n+1)個のピクセルを有する映像に関して、初期の90°傾斜パルスは、K空間識別子のi+jが奇数の時は負の90°であってよい。他方、初期の傾斜パルスは、i+jが偶数の時は、正の90°であってよい。
【0019】その映像に関して一旦すべての(m+1)×(n+1)回測定が行われれば、その映像のための(m+1)×(n+1)個のピクセルを生成するために従来の信号処理が利用できる。初期の90°傾斜パルスに対して、位相を逐次的に変化させることによって、さもなければ映像の中央部のピクセルを悪化させたであろう雑音は効果的に濾過される。
【0020】本発明の新規な特徴は、本発明それ自身とともに、その構造およびその動作のいずれに関しても、以下の説明と一緒に添付の図面を参照することで最も良く理解できるであろう。図面において、同様な参照符号は類似の部品を示している。
【0021】
【発明の実施の形態】まず図1を参照すると、本発明の方法のために使用されるような、RF照射パルスのための代表的なエポックの時系列が示されており、個々に番号10が付けられている。各エポック10a−cは初期の90°傾斜パルス12a−cを含むように示されており、その後には初期の180°再フォーカスパルス14が続き、更に180°再フォーカスパルス16の列が続いている。更に、再フォーカスパルス16の列は、予め定められた時間遅れ18を置いて、初期の90°傾斜パルス12に続いている。当業者には良く知られたように、90°傾斜パルス12の後に180°再フォーカスパルス16の列が続くこのシーケンスは、不均一磁場を備え、遠隔地に設置されたMRI装置を用いてスピンエコー信号の記録可能な測定値を発生させるためには効果的である(米国特許第5,304,930号参照)。
【0022】時間遅れ18の間に、エポック10をxおよびyの両エンコードで以って位相エンコードすることができ、それによってその特定のエポック10を他のすべてのエポック10から区別することができることは理解されるはずである。例えば、エポック10aはエポック10bとは異なり、また後者はエポック10cとは異なる。それらはそれぞれに異なるx−yエンコードを有しているためである。このことをどのようにして実現するかは、まず図2を参照することによって最も良く分かるであろう。
【0023】図2では、i(0,1...m)+j(0,1...n)の形でマトリックス20が提示されていることが分かるであろう。特に、明らかなように、マトリックス20はx方向に“m”番までのセグメント22を含み、y方向には“n”番までのセグメント22を含んでいる。本発明に関しては、マトリックス20は、照射される組織の映像を構成するであろう(m+1)×(n+1)個のピクセルに対する空間的パターンを個別に表現するK空間識別子を各々の22に対して定める。例えば、セグメント22’はK空間識別子(1,2)を設定している。このことは、特定の二次元エンコードに対して、視野に沿った1つの方向には一サイクル位相エンコードがあり、視野に沿った別の横切る方向には二サイクル位相エンコードがあることを意味する。サイクル位相エンコードの違い、そしてそれが本発明に対して持つ重要な点は図3および図4を参照することで最も良く理解できよう。
【0024】図3はMRI映像のピクセルをエンコードするために有用な4個の代表的なエンコード24a−dのシーケンスを示す。図示のように、エンコード24a−dの各々は複数の矢印26を含み、それらは対応するピクセルの組織に関する位相磁化の実成分をそれぞれ表している。例えば、矢印26aa、26ab、および26acはそれぞれ視野の一端、視野の中央、および視野の反対側の端におけるピクセルの位相磁化の実成分を表している。図示のように、エンコード24aはxエンコードまたはyエンコードのいずれかである。しかし、エンコード24aのユニークな点は、それがゼロサイクル位相エンコードを表していることである。ゼロサイクル位相エンコードに関しては、エンコード24a中のすべての矢印26が、すべてのピクセルに関して位相磁化の実成分が同じであることを示している。他方、図3に明瞭に示されたように、エンコード24b−dのピクセルはすべてが同じ位相磁化の実成分を持たない。実際、エンコード24b−dはそれぞれ一サイクル位相エンコード、二サイクル位相エンコード、および三サイクル位相エンコードを表す。各種のエンコードを比較してみることは役立つ。
【0025】エンコード24bについて考えてみると、エンコード24aと違って、矢印26baと矢印26bcとの間のすべてのピクセルが、異なる位相磁化の実成分を有していることが分かるであろう。更に、矢印26baと26bcとの間の位相磁化の実成分は360度(360°)一サイクルをぐるっと変化していることが分かるはずである。面白いことに、エンコード24aの矢印26abに対する位相磁化の実成分がエンコード24bの矢印26bbに対するものと同じになっている。
【0026】図3に示されたエンコード24c(二サイクルエンコード)およびエンコード24d(三サイクルエンコード)は更に別のエンコーディング位相変化を表している。理解されるように、この位相変化は最終のエンコードまで引き続くエンコードについても続けられ、エンコードの方向に依存して“m”サイクルまたは“n”サイクルのいずれかの位相変化を経過する。エンコード24a−dを分析することによって、視野の中央付近のピクセル(例えば、ピクセル/矢印26ab、bb、cb、およびdb)がエンコーディング手順の間に最小限の位相量にさらされることが明らかとなろう。このように、それらは、エンコーディング位相変化がより強調された、視野の中央部分から離れたピクセルよりも雑音の悪化に対してより敏感である。
【0027】本発明では、雑音悪化は解消もしくは軽減されないかもしれないが、不均一磁場のMRI装置からのMRI映像生成に対して雑音が持つ悪化効果は最小化できると考えている。特に、ビジュアル分解能が最も必要とされる映像の中央部においてより少ない悪化を有する映像を提供するように雑音効果を移動させることができる。このことを行うために、照射パルスエポックとエンコーディング位相サイクルとの組み合わせは、映像の中央部分にあるピクセルからの雑音悪化をより効率的に濾過するように変更される。このために、しかし、中央部分から離れたピクセルがより大きな雑音悪化を経験することを許容するという犠牲を払っている。
【0028】本発明に従えば、視野の中央部分における雑音抑制は、初期の90°傾斜パルス12の位相を1つのエポック10と直後に続くエポック10とで変えることによって実現される。例えば、もしエポック10aの初期の90°傾斜パルス12aが正であれば、エポック10bの初期の90°傾斜パルス12bは負となろう。エポック10cに関しては、従って初期の90°傾斜パルス12cは正となる、等々と続くことになろう。初期の90°傾斜パルスの正および負の符号を交代させる効果は図4に見られる。
【0029】図3のエンコード24と同様に、図4は4個の代表的なサイクル位相エンコード28のシーケンスを示している。ここでも同様に、図4のエンコード28a−dは、それぞれ対応するピクセルに関する位相磁化の実成分を表す一連の矢印30を備えて示されている。再び、図3のエンコード24と同じように、エンコード28a−dはそれぞれ、ゼロサイクル位相エンコード、一サイクル位相エンコード、二サイクル位相エンコード、および三サイクル位相エンコードを表している。しかし、図4のサイクル位相エンコードは補償位相変化にさらされている。このことの影響は図3を図4と比較するとはっきりする。
【0030】まず、図4の一サイクル位相エンコード28bを図3の一サイクル位相エンコード24bと比較する。この比較によって、視野の中央部分のピクセル(それぞれ、矢印30bbおよび26bb)が互いに約180°位相がずれていることに気付くであろう。重要なことに、図4に示されたエンコーディング方式では、一サイクル位相エンコードに関するピクセル/矢印30bbは、それぞれゼロサイクル位相エンコード28aおよび二サイクル位相エンコード28cの前のピクセル/矢印30abおよび後続のピクセル/矢印30cbとは約180°位相がずれている。更に、三サイクル位相エンコード28cでは、視野の中央部分におけるピクセル/矢印30dbはその前のピクセル/矢印30cbとは位相が180°ずれている。このように、図3に示されたエンコード24の未補償方式とは違って、図4に示されたように、視野の中央付近のピクセル/矢印30はそれらの補償位相変化のために、雑音を効率的に濾過するであろう。
【0031】本発明に従った、その場観察の生体組織の映像を生成するための方法の動作時における第1の工程は、組織の原子核に対して初期の90°傾斜パルスを印加することである。次に組織原子核を、i(0,1...m)+j(0,1...n)の形をしたK空間識別子を有するx−yエンコードを有するようにエンコードする必要がある。組織が一旦エンコードされれば、この組織の原子核は180°パルスの列で以って繰り返し再フォーカスされる。重要なことに、パルスの引き続くエポック間で、i+jのK空間識別子が偶数の時はいつでも正の90°傾斜パルスを、またi+jが奇数の時はいつでも負の90°傾斜パルスを使用するように初期の90°傾斜パルスが変えられる。この工程シーケンスはその後(m+1)×(n+1)回繰り返されて、映像を生成するための映像化可能なスピンエコー信号の(m+1)×(n+1)個の別々の測定値が生成される。
【0032】ここに示し詳細に開示してきた、MRI映像から雑音を抑制するための特別な方法は既に述べた目的および特徴を実現、提供できるものであるが、それはここに示した本発明の好適実施例の単なる例示でしかなく、特許請求の範囲に記述した以外の、ここに示した構成または設計の詳細に対して何ら制限を加える意図のものではないことを理解されるはずである。
【出願人】 【識別番号】598102605
【氏名又は名称】パナシーア メディカル ラボラトリーズ
【出願日】 平成10年(1998)8月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓 (外3名)
【公開番号】 特開平11−104111
【公開日】 平成11年(1999)4月20日
【出願番号】 特願平10−225990