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【発明の名称】 磁気共鳴の空間的情報の取得方法
【発明者】 【氏名】上野 照剛

【氏名】入口 紀男

【要約】 【課題】高周波磁界が不均一であってもこれを補償した磁気共鳴画像情報を得ることが可能な手段を提供すること。

【解決手段】フリップ角を微小にした磁気共鳴情報を取得する第1のステップと、フリップ角をθにした磁気共鳴情報を取得する第2のステップと、フリップ角を2・θにした磁気共鳴情報を取得する第3のステップと、第1のステップ、第2のステップ、および、第3のステップでの磁気共鳴信号の強度を夫々I0 、I1 、I2 として、I12/(I0 ・(1−(I2 /(2・I1 ))2 ))なる式で演算を行った信号強度に対応する情報を得る第4のステップとを含む磁気共鳴の空間的情報の取得方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 静磁場中に被検査体を置き、該静磁場の方向に対して垂直な方向を有する高周波磁界を印加することによって前記被検査体内の原子核スピンを励起し、励起された原子核スピンの巨視的磁化のフリップ角(Euler nutation angle)が一定となように前記高周波磁界を発生させるための電力を与えて磁気共鳴を発生させ、発生させた磁気共鳴による磁気共鳴信号に基づいて、被検査体の磁気共鳴の空間的情報を取得する方法において、前記フリップ角を微小にするように電力を与えて磁気共鳴情報を取得する第1のステップと、前記フリップ角をθにするように電力を与えて磁気共鳴情報を取得する第2のステップと、前記フリップ角を2・θにするように電力を与えて磁気共鳴情報を取得する第3のステップと、前記第1のステップ、第2のステップ、および、第3のステップで得られた磁気共鳴情報における磁気共鳴信号の強度を夫々I0 、I1 、I2 として、I12/(I0 ・(1−(I2 /(2・I1 ))2 ))なる式で演算を行った信号強度に対応する情報を得る第4のステップとを含むことを特徴とする磁気共鳴の空間的情報の所得方法。
【請求項2】 静磁場中に被検査体を置き、該静磁場の方向に対して垂直な方向を有する高周波磁界を印加することによって前記被検査体内の原子核スピンを励起し、励起された原子核スピンの巨視的磁化のフリップ角(Euler nutation angle)が一定となように前記高周波磁界を発生させるための電力を与えて磁気共鳴を発生させ、発生させた磁気共鳴による磁気共鳴信号に基づいて、被検査体の磁気共鳴の空間的情報を取得する方法において、前記フリップ角を微小にするように電力を与えて磁気共鳴情報を取得する第1のステップと、前記フリップ角をθにするように電力を与えて磁気共鳴情報を取得する第2のステップと、前記フリップ角を2・θにするように電力を与えて磁気共鳴情報を取得する第3のステップと、前記第1のステップ、第2のステップ、および、第3のステップで得られた磁気共鳴情報における磁気共鳴信号の強度を夫々I0 、I1 、I2 として、I14/(I0 ・I2 2 ・(1−(I2 /(2・I1 ))22 )なる式で演算を行った信号強度に対応する情報を得る第4のステップとを含むことを特徴とする磁気共鳴の空間的情報の取得方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気共鳴(エムアール、Magnetic Resonance、MR)の原理を利用して、磁気共鳴画像、磁気共鳴分光曲線等の磁気共鳴の空間的情報を取得する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気共鳴周波数(ν0 =(1/2π)ω0 )は、原子核の種類に固有の物理量であり、磁気共鳴周波数ν0 は、周囲の磁束密度(磁場強度B0 )に比例する(ν0 =(1/2π)γB0 、γは原子核の種類に固有の磁気回転比)。例えば、人体に多量に含まれる水素原子核( 1H、プロトン)の磁気共鳴周波数は、磁束密度1T(テスラ)の静磁場中では約42(MHz)である。
【0003】プロトンは、この共鳴周波数で歳差運動を行い、歳差運動を行うプロトンが複数集まると、静磁場の磁界方向に、いわゆる巨視的磁化が発生する。そして、静磁場の磁界方向と垂直な方向の磁場を発生するRF(radio frequency )コイルに電力を供給して歳差運動と同一の周波数の高周波磁界を発生させたときに、巨視的磁化が基準方向(静磁場の方向)から傾斜する。
【0004】この傾斜角度θはフリップ角と称され、RFコイルへの電力供給量に応じて変化する。そして、巨視的磁化のフリップ角θが一定、例えば90°であるような電力をRFコイルに与えると、RFコイルには90°傾斜した巨視的磁化の作用によって、ファラデーの電磁誘導の原理に基づき起電力が発生し、この起電力が磁気共鳴信号となる。
【0005】もちろん、巨視的磁場の傾斜角は90°でなくても良く、0°以外であれば巨視的磁場の正弦成分( sinθ)が存在すれば、起電力は発生する。もちろん、フリップ角θが90°であるときは sinθ=1となり、最大の起電力が発生する。
【0006】そして、この磁気共鳴信号を検出して、磁気共鳴画像や磁気共鳴分光曲線が作成される。磁気共鳴画像の作成を行なうには、まず、巨視的磁化のフリップ角を例えば90°とするための電力をRFコイルに供給するとともに、スライス位置を決めるためのスライス選択傾斜磁場コイルに電力供給を行なう。さらに、位相エンコード傾斜磁場コイルへ電力供給を行う。このとき、位相エンコード傾斜磁場コイルへの電力供給をN回(Nは整数)繰り返すことによって、位相エンコードコイルへの電力供給量が徐々に変化するようにして、徐々に傾斜磁場を変化させていくようにしている。さらに、読み出し傾斜磁場コイル(リードアウトコイル)への電力供給を行ないながら、RFコイルによって検出された共鳴信号を検出し、検出された信号に対して、二次元のフーリエ変換等のアルゴリズムを用いた処理を行なうことによって、被検査体の磁気共鳴画像を作成する。
【0007】また、磁気共鳴分光曲線の作成を行なうには、まず、巨視的磁化のフリップ角を例えば90°とするための電力をRFコイルに供給するとともに、スライス位置を決めるためのスライス選択傾斜磁場コイルに電力供給を行なう。このスライス選択傾斜磁場コイルへの電力供給は空間的に三方向について行って、空間中の特定箇所を関心体積として定めるようにして、さらに、このスライス位置に対してRFコイルによって検出された信号に対して、一次元のフーリエ変換等のアルゴリズムを用いた処理を行なうことによって、被検査体の磁気共鳴分光曲線を作成する。なお、以上の処理は公知の技術である磁気共鳴映像法や磁気共鳴分光法の一例の概要を述べたにすぎない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、巨視的磁化のフリップ角を被検査体中で一定、例えば90°とするタめには、RFコイルに所定量の電力を供給して、被検査体中で均一な高周波磁界を発生させることが必要である。
【0009】しかしながら、現実には、RFコイルを構成する導電性の巻回物(導体リング)に高周波電流を流して高周波磁界を発生させると、導体リングの中心近房では均一な高周波磁界が得られるものの、導体リングの巻回部近傍では高周波磁界が均一にならないため正確な磁気共鳴画像を得ることはできなかった。
【0010】しかも、有限の長さの導体リングを用いてRFコイルをどのように設計しようとも、被検査体全体に渡って均一な高周波磁界を加えるようにするのは困難であることが知られていた。
【0011】本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、その目的は、高周波磁界が不均一であってもこれを補償した情報を得ることが可能な手段を提供する点にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に係る発明によれば、静磁場中に被検査体を置き、該静磁場の方向に対して垂直な方向を有する高周波磁界を印加することによって前記被検査体内の原子核スピンを励起し、励起された原子核スピンの巨視的磁化のフリップ角(Euler nutation angle)が一定となように前記高周波磁界を発生させるための電力を与えて磁気共鳴を発生させ、発生させた磁気共鳴による磁気共鳴信号に基づいて、被検査体の磁気共鳴の空間的情報を取得する方法において、前記フリップ角を微小にするように電力を与えて磁気共鳴情報を取得する第1のステップと、前記フリップ角をθにするように電力を与えて磁気共鳴情報を取得する第2のステップと、前記フリップ角を2・θにするように電力を与えて磁気共鳴情報を取得する第3のステップと、前記第1のステップ、第2のステップ、および、第3のステップで得られた磁気共鳴情報における磁気共鳴信号の強度を夫々I0 、I1 、I2 として、I12/(I0 ・(1−(I2 /(2・I1 ))2 ))なる式で演算を行った信号強度に対応する情報を得る第4のステップとを含むことを特徴とする磁気共鳴の空間的情報の取得方法が提供される。
【0013】これによれば、フリップ角を微小にした磁気共鳴情報、フリップ角をθにした磁気共鳴情報、および、フリップ角を2・θにした磁気共鳴情報の夫々に対応する磁気共鳴信号強度I0 、I1 、I2 を用いて、自由誘導減衰(Free InductionDecay,FID) 信号を取得して磁気共鳴画像を得る際にフリップ角θに依存しない情報を得られるような演算を行うので、例えばフィールドエコー法を用いて磁気共鳴画像を得る際に、高周波磁界が不均一であってもこれを補償した画像情報を得ることが可能となる。
【0014】また、請求項2に係る発明によれば、静磁場中に被検査体を置き、該静磁場の方向に対して垂直な方向を有する高周波磁界を印加することによって前記被検査体内の原子核スピンを励起し、励起された原子核スピンの巨視的磁化のフリップ角(Euler nutation angle)が一定となように前記高周波磁界を発生させるための電力を与えて磁気共鳴を発生させ、発生させた磁気共鳴による磁気共鳴信号に基づいて、被検査体の磁気共鳴の空間的情報を取得する方法において、前記フリップ角を微小にするように電力を与えて磁気共鳴情報を取得する第1のステップと、前記フリップ角をθにするように電力を与えて磁気共鳴情報を取得する第2のステップと、前記フリップ角を2・θにするように電力を与えて磁気共鳴情報を取得する第3のステップと、前記第1のステップ、第2のステップ、および、第3のステップで得られた磁気共鳴情報における磁気共鳴信号の強度を夫々I0 、I1 、I2 として、I14/(I0 ・I2 2 ・(1−(I2 /(2・I1 ))22 )なる式で演算を行った信号強度に対応する情報を得る第4のステップとを含むことを特徴とする磁気共鳴の空間的情報の取得方法が提供される。
【0015】これによれば、フリップ角を微小にした磁気共鳴情報、フリップ角をθにした磁気共鳴情報、および、フリップ角を2・θにした磁気共鳴情報の夫々に対応する磁気共鳴信号強度I0 、I1 、I2 を用いて、再収束(Refocused )信号を取得して磁気共鳴の空間的情報を得る際にフリップ角θに依存しない情報を得られるような演算を行うので、例えばスピンエコー法を用いて磁気共鳴画像を得る際に、高周波磁界が不均一であってもこれを補償した画像情報を得ることが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の理解の容易化を図るため、まず、本発明の目的を図示説明し、その後にブロック図を参照して、本発明の具体的な実施方法について説明する。
【0017】図1は、静磁場B0 中に被検査体2をおき、RFコイル1によってこの被検査体2に、静磁場B0 に垂直な方向の高周波磁場B1 を印加した様子を示している。そして、この被検査体2は、RFコイル1に比べて大きなものを想定している。ここで、被検査体2のRFコイル1を含む面での断面上の最も長い距離が、RFコイル1の半径以上であれば、通常、被検査体2は、RFコイル1に比べて大きなものであるといえる。
【0018】さて、このような被検査体2に対しては、RFコイル1によって均一な高周波磁場B1 を印加することは困難であり、RFコイル1中心近傍では比較的磁界強度が小さく、一方、RFコイル1の巻回部近傍では比較的磁界強度が大きい。
【0019】一般に、巨視的磁場が倒れる角周波数ωf は、ωf =γ・Brfとなるため、RFコイル1に巨視的磁場が所定の角度だけ倒れるように電力を供給しても、RFコイル1中心近傍での巨視的磁場の傾き角度θ4 は、RFコイル1の巻回部近傍での巨視的磁場の傾き角度θ3 より大きくなる。
【0020】したがって、傾斜した巨視的磁場の静磁場B0 と垂直な成分(点線矢印で図示)は被検査体2の場所で異なってしまい、このことは、被検査体2に対する巨視的磁場が所定の角度だけ倒れるようにRFコイル1に電力を供給しても巨磁気共鳴信号の検出レベルに差が生じてしまうことを意味する。
【0021】そこで、高周波磁界が不均一であってもこれを補償した画像情報を得ることが必要であり、発明者等はこれを解決する手段を提案するに至った。以下、本発明の具体的な実施の形態について説明する。図2は、本発明に係る方法を実施するためのシステム構成を示すブロック図である。被検査体50を載置する架台60が配設されており、この回りには、ある方向に静磁場B0 を発生させるコイルであるB0 コイル78と、RFコイル70と、位相エンコード傾斜磁場コイルとして機能するGP コイル72と、スライス位置を定めるスライス選択傾斜磁場コイルとして機能するGS コイル76と、読み出し傾斜磁場コイル(リードアウトコイル)として機能するGr コイル74とが設置されている。なお、被検査体50に対する磁気共鳴映像を得るための各コイルの有効な設置態様は、公知の技術にて開示されている。
【0022】また、B0 コイル78、Gr コイル74、GS コイル76、および、GP コイル72の夫々には、B0 電源36、Gr 電源34、GS 電源32、および、GP電源30が、電力供給可能に接続されている。Gr 電源34、GS 電源32、および、GP 電源30は、与えられた起動信号に応じて、対応するコイルに電力を供給する。
【0023】RFコイル70には、与えられた起動信号に応じて起動する出力パワーアンプ42と自身との接続動作、または、検出プリアンプ44と自身との接続動作を、与えられた制御信号により交互に行うスイッチング回路40が接続されている。
【0024】出力パワーアンプ42とRFコイル70とが接続されることによって、出力パワーアンプ42からRFコイル70への電力供給が可能となり、一方、検出プリアンプ44とRFコイル70とが接続されることによって、RFコイル70で得られる磁気共鳴信号が検出プリアンプ44で増幅され、さらに、この増幅信号は、中間アンプ46で増幅されてコンピュータ10に供給されるようになっているタイミングコントローラ20は、与えられた動作開始信号に応じて、Gr 電源34、GS 電源32、GP 電源30、および、出力パワーアンプ42の起動信号やスイッチング回路40の制御信号を、所定のタイミングで供給する。
【0025】コンピュータ10には、各種のコマンドを与えるためのキーボード12と、画像処理結果等を表示するディスプレイ14が接続されていて、タイミングコントローラ20への動作開始信号の供給や、中間アンプ46の出力信号をフーリエ変換して磁気共鳴画像を求める処理を含む本発明に係る処理を行う。コンピュータ10は、例えば、動作プログラムを内蔵したROM等の記憶媒体、ワークエリアとして機能するRAM、および、動作プログラムにしたがった動作を行うCPU等の電子デバイスにて実現可能である。
【0026】さて、このシステムの動作を説明する。なお、以下、磁気共鳴画像の処理について具体的に説明するが、もちろん、磁気共鳴分光曲線の作成にも適用可能である。 まず、フィールドエコー法を用いた磁気共鳴画像の取得処理を利用した実施の形態について、図5のフローチャートと図3のタイミングチャートを参照して説明する。
【0027】ステップS500において、フリップ角が10°程度の微小角(「m・θ」とする)として画像取得処理を行う。まず、オペレータが、キーボード12を操作して動作開始のコマンドを与えると、コンピュータ10は、タイミングコントローラ20に動作開始信号を与える。
【0028】タイミングコントローラ20は、スイッチング回路40に制御信号を与えて、RFコイル70と出力パワーアンプ42とを接続させ、さらに、図3のタイミングチャートに示すように、出力パワーアンプ42に制御信号を与えて、RFコイル70に対してフリップ角「m・θ」に相当するパルス(α°=m・θ)を供給するようにするとともに、スライス位置を決めるためにGS 電源32に起動信号を与えて、GS 電源32に、Gp コイル76への電力供給をさせる。
【0029】さらに、GP 電源30に起動信号を与えて、GP 電源30に、GP コイル72への電力供給をさせる。なお、磁気共鳴画像を取得するためには、図3のタイミングチャートで示される動作を、1回目からN回目(Nは、例えば256)までN回繰り返す必要があり(即ち、Trの期間での動作を繰り返す)、GP 電源30は、N回の繰り返し動作によって、徐々に、GP コイル72への電力供給量を多くするようにしてある。なお、実際には、このN回の繰り返しを、さらに、M回(Mは、例えば256)繰り返して画像を得る。
【0030】次に、タイミングコントローラ20は、スイッチング回路40に制御信号を与えて、RFコイル70と検出プリアンプ44を接続させ、さらに、図3のタイミングチャートに示すように、Gr 電源34に起動信号を与えて、Gr 電源34に、Gr コイル74への電力供給をさせながら、RFコイル70で検出された共鳴信号を検出プリアンプ44に導く。検出プリアンプ44で増幅された信号は、さらに、中間アンプ46で増幅されてコンピュータ10に送られ、コンピュータ10は、2次元(p方向およびr方向)のフーリエ変換等の公知のアルゴリズムを用いた処理を行って、被検査体50のフリップ角「m・θ」での磁気共鳴画像を取得する。コンピュータ10は内蔵された図示しないメモリ(記憶手段)に各画素でのエコー信号の強度情報を格納しておく。
【0031】なお、フィールドエコー法では、Gr コイル74への電力供給を行うとき、図中aからbでは、空間的に磁場が不均一になってスピンがばらばらになり、ある所では速くまた他のある所では遅くまわりマクロ的には巨視的磁化は零になるが、図中cからdでGr コイル74によって発生させる磁場を反転させると、斜線部Aと斜線部Bとの面積が等しくなる点eで、Gr コイル74によって発生させた磁場がキャンセルされる。よって、bからcで速くまわっていたスピンはdからeでは遅くなるとともに、bからcで遅くまわっていたスピンはdからeでは速くなるため、点eで再度、巨視的磁化が結ばれて磁気共鳴信号が発生する。
【0032】次に、ステップS510において、被検査体50のフリップ角θでの磁気共鳴画像を得る。この処理では、タイミングコントローラ20は、フリップ角θでの磁気共鳴画像を得るように、出力パワーアンプ42を起動する点に特徴があり、これ以外の点では、ステップS500での処理と変わるところがない。まず、タイミングコントローラ20は、スイッチング回路40に制御信号を与えて、RFコイル70と出力パワーアンプ42とを接続させ、さらに、図3のタイミングチャートに示すように、出力パワーアンプ42に制御信号を与えて、RFコイル70に対してフリップ角θに相当するパルス(α°=θ)を供給するようにするとともに、スライス位置を決めるためにGS 電源32に起動信号を与えて、GS 電源32に、Gp コイル76への電力供給をさせる。
【0033】さらに、GP 電源30に起動信号を与えて、GP 電源30に、GP コイル72への電力供給をさせる。なお、磁気共鳴画像を取得するためには、図3のタイミングチャートで示される動作を、1回目からN回目(Nは、例えば256)までN回繰り返す必要があり(即ち、Trの期間での動作を繰り返す)、GP 電源30は、N回の繰り返し動作によって、徐々に、GP コイル72への電力供給量を多くするようにしてある。なお、実際には、このN回の繰り返しを、さらに、M回(Mは、例えば256)繰り返して画像を得る。
【0034】次に、タイミングコントローラ20は、スイッチング回路40に制御信号を与えて、RFコイル70と検出プリアンプ44を接続させ、さらに、図3のタイミングチャートに示すように、Gr 電源34に起動信号を与えて、Gr 電源34に、Gr コイル74への電力供給をさせながら、RFコイル70で検出された共鳴信号を検出プリアンプ44に導く。検出プリアンプ44で増幅された信号は、さらに、中間アンプ46で増幅されてコンピュータ10に送られ、コンピュータ10は、2次元(p方向およびr方向)のフーリエ変換等の公知のアルゴリズムを用いた処理を行って、被検査体50のフリップ角「θ」での磁気共鳴画像を取得する。コンピュータ10は内蔵された図示しないメモリ(記憶手段)に各画素でのエコー信号の強度情報を格納しておく。
【0035】さらに、ステップS520において、被検査体50のフリップ角「2・θ」での磁気共鳴画像を取得する。なお、この処理は、タイミングコントローラ20は、スイッチング回路40に制御信号を与えて、RFコイル70と出力パワーアンプ42とを接続させ、さらに、図3のタイミングチャートに示すように、出力パワーアンプ42に制御信号を与えて、RFコイル70に対してフリップ角「2・θ」に相当するパルス(α°=2・θ)を供給するようにするとともに、スライス位置を決めるためにGS 電源32に起動信号を与えて、GS 電源32に、Gpコイル76への電力供給をさせ、以下、ステップS510と同様な処理を行えばよい。コンピュータ10は内蔵された図示しないメモリ(記憶手段)に各画素でのエコー信号の強度情報を格納しておく。
【0036】そして、ステップS530においては、コンピュータ10は、ステップS500の処理、ステップS510の処理、および、ステップS520の処理で得られてメモリ内に格納しておいた夫々のエコー信号の強度情報を用いて、高周波磁場の不均一を補正するための画像処理を行う。なお、この処理は全画素に対して画素単位に行えばよい。
【0037】以下、この処理内容について説明する。フィールドエコーの信号強度IFEは、以下の式1で与えられることが知られている。
FE=ρ・θs ・sinθ・(1−exp(−Tr /T1 ))・exp(−Te /T2s) (式1)
ここで、expは自然対数の底のべき乗、θはフリップ角、Tr (repetition time)は繰り返し時間(図3に図示)、T1 は物質の縦緩和時間、Te は励起から信号取得までの時間(図3に図示)、T2s(ティーツースター)は物質の横緩和時間T2 に周囲の磁場不均一を考慮して短くなった時間、θs はフリップ角θに比例する変数である。
【0038】今、「(1−exp(−Tr /T1 ))・exp(−Te /T2s)=定数=X」とすれば、式1は「IFE=ρ・θs ・sinθ・X」となる。また、θs =n・θとする。
【0039】ステップS500、510、520で取得した画像における、ある画素に対するフィールドエコーの信号強度を夫々、I0 、I1 、I2 とすると以下のようになる。即ち、I0 =ρ・X・(n・θ)・sinmθ=ρ・X・n・m・θ2 (mθは微小なためsinmθをmθで近似)、I1 =ρ・X・(n・θ)・sinθ、I2 =ρ・X・(n・θ)・sin2θ=2・ρ・X・(n・θ)・sinθ・cosθとなる。
【0040】したがって、「I12/(I0 ・(1−(I2 /(2・I1 ))2 ))」を求めると以下のようになる。
12/(I0 ・(1−(I2 /(2・I1 ))2 ))=(ρ・X・(n・θ)・sinθ)2 /((ρ・X・n・m・θ2 )・(1−(cosθ)2 )=ρ・X・n/mとなる。
【0041】これによれば、フリップ角θに依存しない画像情報を得られるようになり、コンピュータ10は、このような画像処理を画素毎に行って得られた画像情報をディスプレイ14に表示する。このようにして、フィールドエコー法を用いて磁気共鳴画像を得る際に、高周波磁界が不均一であってもこれを補償した画像情報を得ることが可能となる。
【0042】次に、スピンエコー法を用いた磁気共鳴画像の取得処理を利用した実施の形態について、図5のフローチャートと図4のタイミングチャートを参照して説明する。
【0043】ステップS500において、フリップ角が10°程度の微小角(「m・θ」とする)として画像取得処理を行う。まず、オペレータが、キーボード12を操作して動作開始のコマンドを与えると、コンピュータ10は、タイミングコントローラ20に動作開始信号を与える。
【0044】タイミングコントローラ20は、スイッチング回路40に制御信号を与えて、RFコイル70と出力パワーアンプ42とを接続させ、さらに、図4のタイミングチャートに示すように、出力パワーアンプ42に制御信号を与えて、RFコイル70に対してフリップ角「m・θ」に相当するパルス(α°=m・θ)を供給するようにするとともに、スライス位置を決めるためにGS 電源32に起動信号を与えて、GS 電源32に、Gp コイル76への電力供給をさせる。
【0045】さらに、GP 電源30に起動信号を与えて、GP 電源30に、GP コイル72への電力供給をさせる。なお、磁気共鳴画像を取得するためには、図4のタイミングチャートで示される動作を、1回目からN回目(Nは、例えば256)までN回繰り返す必要があり(即ち、Trの期間での動作を繰り返す)、GP 電源30は、N回の繰り返し動作によって、徐々に、GP コイル72への電力供給量を多くするようにしてある。なお、実際には、このN回の繰り返しを、さらに、M回(Mは、例えば256)繰り返して画像を得る。
【0046】さらに、タイミングコントローラ20は、出力パワーアンプ42に制御信号を与えて、RFコイル70に対し180°パルスを与えるようにするとともに、スライス位置を決めるためにGS 電源32に起動信号を与えて、GS 電源32に、GS コイル76への電力供給をさせる。
【0047】次に、タイミングコントローラ20は、スイッチング回路40に制御信号を与えて、RFコイル70と検出プリアンプ44を接続させ、さらに、図4のタイミングチャートに示すように、Gr 電源34に起動信号を与えて、Gr 電源34に、Gr コイル74への電力供給をさせながら、RFコイル70で検出された共鳴信号を検出プリアンプ44に導く。検出プリアンプ44で増幅された信号は、さらに、中間アンプ46で増幅されてコンピュータ10に送られ、コンピュータ10は、2次元(p方向およびr方向)のフーリエ変換等の公知のアルゴリズムを用いた処理を行って、被検査体50のフリップ角「m・θ」での磁気共鳴画像を取得する。コンピュータ10は内蔵された図示しないメモリ(記憶手段)に各画素でのエコー信号の強度情報を格納しておく。
【0048】次に、ステップS510において、被検査体50のフリップ角θでの磁気共鳴画像を得る。この処理では、タイミングコントローラ20が、フリップ角θでの磁気共鳴画像を得るように、出力パワーアンプ42を起動する点に特徴があり、これ以外の点では、ステップS500での処理と変わるところがない。まず、タイミングコントローラ20は、スイッチング回路40に制御信号を与えて、RFコイル70と出力パワーアンプ42とを接続させ、さらに、図4のタイミングチャートに示すように、出力パワーアンプ42に制御信号を与えて、RFコイル70に対してフリップ角θに相当するパルス(α°=θ)を供給するようにするとともに、スライス位置を決めるためにGS 電源32に起動信号を与えて、GS 電源32に、Gp コイル76への電力供給をさせる。
【0049】さらに、GP 電源30に起動信号を与えて、GP 電源30に、GP コイル72への電力供給をさせる。なお、磁気共鳴画像を取得するためには、図4のタイミングチャートで示される動作を、1回目からN回目(Nは、例えば256)までN回繰り返す必要があり(即ち、Trの期間での動作を繰り返す)、GP 電源30は、N回の繰り返し動作によって、徐々に、GP コイル72への電力供給量を多くするようにしてある。なお、実際には、このN回の繰り返しを、さらに、M回(Mは、例えば256)繰り返して画像を得る。
【0050】さらに、タイミングコントローラ20は、出力パワーアンプ42に制御信号を与えて、RFコイル70に対し180°パルスを与えるようにするとともに、スライス位置を決めるためにGS 電源32に起動信号を与えて、GS 電源32に、GS コイル76への電力供給をさせる。
【0051】次に、タイミングコントローラ20は、スイッチング回路40に制御信号を与えて、RFコイル70と検出プリアンプ44を接続させ、さらに、図4のタイミングチャートに示すように、Gr 電源34に起動信号を与えて、Gr 電源34に、Gr コイル74への電力供給をさせながら、RFコイル70で検出された共鳴信号を検出プリアンプ44に導く。検出プリアンプ44で増幅された信号は、さらに、中間アンプ46で増幅されてコンピュータ10に送られ、コンピュータ10は、2次元(p方向およびr方向)のフーリエ変換等の公知のアルゴリズムを用いた処理を行って、被検査体50のフリップ角「θ」での磁気共鳴画像を取得する。コンピュータ10は内蔵された図示しないメモリ(記憶手段)に各画素でのエコー信号の強度情報を格納しておく。
【0052】さらに、ステップS520において、被検査体50のフリップ角「2・θ」での磁気共鳴画像を取得する。なお、この処理は、タイミングコントローラ20は、スイッチング回路40に制御信号を与えて、RFコイル70と出力パワーアンプ42とを接続させ、さらに、図4のタイミングチャートに示すように、出力パワーアンプ42に制御信号を与えて、RFコイル70に対してフリップ角「2・θ」に相当するパルス(α°=2・θ)を供給するようにするとともに、スライス位置を決めるためにGS 電源32に起動信号を与えて、GS 電源32に、Gpコイル76への電力供給をさせ、以下、ステップS510と同様な処理を行えばよい。コンピュータ10は内蔵された図示しないメモリ(記憶手段)に各画素でのエコー信号の強度情報を格納しておく。
【0053】そして、ステップS530においては、コンピュータ10は、ステップS500の処理、ステップS510の処理、および、ステップS520の処理で得られてメモリ内に格納しておいた夫々のエコー信号の強度情報を用いて、高周波磁場の不均一を補正するための画像処理を行う。なお、この処理は全画素に対して画素単位に行えばよい。
【0054】以下、この処理内容について説明する。スピンエコーの信号強度IsEは、以下の式2で与えられることが知られている。
sE=ρ・θs ・sinθ・sin2 (θr /2)・(1−exp(−Tr /T1 ))・exp(−Te /T2 ) (式2)
ここで、expは自然対数の底のべき乗、θはフリップ角、θr はスピン反転角、Tr (repetition time)は繰り返し時間(図4に図示)、T1 は物質の縦緩和時間、Te は励起から信号取得までの時間(図4に図示)、T2 (ティーツー)は物質の横緩和時間、θs はフリップ角θに比例する変数である。
【0055】今、「(1−exp(−Tr /T1 ))・exp(−Te /T2 )=定数=Y」とすれば、式2は「IsE=ρ・θs ・sinθ・sin2 (θr /2)・Y」となる。また、θs =n・θ、θr =4θとする。
【0056】ステップS500、510、520で取得した画像における、ある画素に対するフィールドエコーの信号強度を夫々、I0 、I1 、I2 とすると以下のようになる。即ち、I0 =ρ・Y・(n・θ)・sinmθ・sin2 2θ=4・ρ・Y・n・m・θ2 ・sin2 θ・cos2 θ(mθは微小なためsinmθをmθで近似)、I1 =4・ρ・Y・n・θ・sin3 θ・cos2 θ、I2 =8・ρ・Y・n・θ・sin3 θ・cos3 θとなる。
【0057】したがって、「I14/(I0 ・I2 2 ・(1−(I2 /(2・I1 ))22)」を求めると以下のようになる。
14/(I0 ・I2 2 ・(1−(I2 /(2・I1 ))22 )=(64・ρ4 ・Y4 ・n4 ・θ4 ・sin12θ・cos12θ)/((4・ρ・Y・n・θ2 ・m・sin2 θ・cos2 θ)・(64・ρ2 ・Y2 ・n2 ・θ2 ・sin6 θ・cos6 θ)・(sin2 θ)2 )=ρ・Y・n/(4m)となる。
【0058】これによれば、フリップ角θに依存しない画像情報を得られるようになり、コンピュータ10は、このような画像処理を画素毎に行って得られた画像情報をディスプレイ14に表示する。このようにして、スピンエコー法を用いて磁気共鳴画像を得る際に、高周波磁界が不均一であってもこれを補償した画像情報を得ることが可能となる。
【0059】以上説明してきたように、本発明の実施の形態によれば、RFコイルにより被検査対に印加されるる高周波磁場に不均一が生じても、これを補償して画像情報を得ることが可能となる。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、フリップ角を微小にした磁気共鳴情報、フリップ角をθにした磁気共鳴情報、および、フリップ角を2・θにした磁気共鳴情報の夫々に対応する磁気共鳴信号強度I0 、I1 、I2 を用いて、FID信号を取得して磁気共鳴の空間的情報を得る際にフリップ角θに依存しない情報を得られるような演算を行うので、例えばフィールドエコー法を用いて磁気共鳴画像を得る際に、高周波磁界が不均一であってもこれを補償した画像情報を得ることが可能となる。
【0061】また、請求項2に係る発明によれば、フリップ角を微小にした磁気共鳴情報、フリップ角をθにした磁気共鳴情報、および、フリップ角を2・θにした磁気共鳴情報の夫々に対応する磁気共鳴信号強度I0 、I1 、I2 を用いて、再収束信号を取得して磁気共鳴画像を得る際にフリップ角θに依存しない画像情報を得られるような演算を行うので、例えばスピンエコー法を用いて磁気共鳴画像を得る際に、高周波磁界が不均一であってもこれを補償した画像情報を得ることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】390022910
【氏名又は名称】シーメンス旭メディテック株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外3名)
【公開番号】 特開平11−104107
【公開日】 平成11年(1999)4月20日
【出願番号】 特願平9−271575