トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 骨振動数測定方法
【発明者】 【氏名】横井 正之

【要約】 【課題】再現性の良好な振動数を得ることができる骨振動数測定方法を提供する。

【解決手段】肘の骨の固有振動数をインパルスハンマーで衝撃を与えることにより測定する骨振動数測定方法において、測定の際10〜2000Hzの固有振動数を持つ標準物を測定する骨振動数測定方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 肘の骨の固有振動数をインパルスハンマーで衝撃を与えることにより測定する骨振動数測定方法において、測定の際10〜2000Hzの固有振動数を持つ標準物を測定することを特徴とする骨振動数測定方法。
【請求項2】 肘の骨の固有振動数をインパルスハンマーで衝撃を与えることにより測定する骨振動数測定方法において、測定の際2.00×105 g・cm/sec以上の運動量を前記骨に与えることを特徴とする骨振動数測定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、身体の骨密度又は骨強度を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】骨中のカルシウムが減少すると、骨折が起こりやすくなり骨粗鬆症となる。この骨粗鬆症の予防のための啓蒙又は診断の目的で、腕、腫、肋骨等の骨を叩くことによって、骨の固有振動数を測定し、その固有振動数と骨の長さから骨密度や骨強度を測定することが広く行われている。
【0003】特開平8−294492号公報には、ソレノイドにハンマーを取り付け、通電させるとハンマーが回転し、ヘッドの慣性力で骨に衝撃を与えるという方法が開示されている。しかしながら、このような方法では、回転力を利用してハンマーを打撃部に当てるため、腕や腫などの対象部位を置く位置をかなり厳密に一定にしておかないと、測定する度にハンマーと対象部位の当たる角度が変わってしまうこととなり、しかも、いつも同じ角度で骨や腫などの対象部位にハンマーを当てることはきわめて難しい。このため、良好な振動数の再現性を得ることが困難であった。また、この方法では、ハンマーによる叩き方が弱い場合においても、骨全体が振動しないため、良好な振動数の再現性を得ることが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に鑑み、肘の骨の固有振動数をインパルスハンマーで衝撃を与えることにより測定する骨振動数測定方法において、再現性の良好な振動数を得ることができる骨振動数測定方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明1は、肘の骨の固有振動数をインパルスハンマーで衝撃を与えることにより測定する骨振動数測定方法において、測定の際10〜2000Hzの固有振動数を持つ標準物を測定する骨振動数測定方法である。本発明2は、肘の骨の固有振動数をインパルスハンマーで衝撃を与えることにより測定する骨振動数測定方法において、測定の際2.00×105 g・cm/sec以上の運動量を上記骨に与える骨振動数測定方法である。
【0006】本発明1は、10〜2000Hzの固有振動数を持つ標準物を肘の骨と同じ測定機会に測定し、肘の骨の測定振動数を標準物の測定値によって補正することによって、測定日又は測定機器による骨の振動数値のバラツキをなくすものである。
【0007】上記標準物の固有振動数は、10〜2000Hzである。10Hz未満では、充分な補正値を得ることができず、2000Hzを超えると、標準物の測定振動数が大きくばらつき、良好な振動数の再現性を得ることができないので、上記範囲に限定される。本発明において、標準物とは、骨振動数測定方法において測定可能なものであって、その測定振動数によって肘の骨の振動数を補正する目的に使用するものをいう。上記標準物としては特に限定されず、骨振動数測定方法において測定可能であり、固有振動数が10〜2000Hzのものであればよく、例えば、塩化ビニル製パイプ等が挙げられる。
【0008】本発明においては、上記標準物の固有振動数をY、標準物の測定振動数をX、及び、実際に測定した骨の振動数をX′とする。このとき、Y=aXとおき、aの値を求める。このようにして求めたaを用い、Y′=aX′を求めることができる。このY′をもとに骨の振動数を評価することによって、骨の振動数測定における再現性を向上させることができる。上記標準物が1個以上あるときは、それぞれにaを求めて、その平均値を用いることができる。
【0009】本発明2において、インパルスハンマーで骨に衝撃を与える場合の与える運動量(=質量×速度)は、2.00×105 g・cm/sec以上である。2.00×105 g・cm/sec未満では、与える運動量が小さすぎるため、骨全体が振動せず、良好な振動数の再現性を得ることができないので、上記範囲に限定される。
【0010】本発明1及び本発明2を組み合わせることにより、骨振動数測定方法において振動数の再現性を一層良好なものとすることができる。本発明の骨振動数測定方法において使用する骨振動数測定装置としては特に限定されず、例えば、電子情報通信学会編、信学技報、MBE92−51(1992−09)記載のインパルス衝撃装置、特開平8−294492号公報記載の加振台、打骨式骨強度評価装置「骨年齢計」(積水化学工業社製)等が挙げられる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0012】実施例1打骨式骨強度評価装置「骨年齢計」(積水化学工業社製)のRS232C端子からRS232CケーブルでパソコンNEC9821AS(日本電気社製)につなぎ、高速フーリエ変換ソフト(イーアールシー社製)をパソコン上で起動させた。これにより、骨年齢計で得られた打骨時の衝撃信号を高速フーリエ変換し、周波数に変換し、ピーク周波数を測定できるようにした。
【0013】標準物及び骨の振動数の測定塩化ビニル製パイプ「エスロンパイプVE22」(外径26.2mm、内径22mm、積水化学工業社製)を長さ42.5cm、33.5cm、21cm、15cm及び14cmに切断したものを作製し、それぞれ固有振動数255Hz、412Hz、1050Hz、1970HZ及び2444Hzの標準物として用いた。これらの標準物及び被験者の肘の骨について、上記装置を用いてそれぞれの振動数(Hz)の測定を5日間行った。結果を表1に示した。測定した標準物の周波数から求めたaの値を表2に示した。次いで、被験者の肘の骨の測定振動数に上記aの値を掛けて補正した振動数(Hz)を表3に示した。
【0014】
【表1】

【0015】
【表2】

【0016】
【表3】

【0017】実施例1より、10〜2000Hzの固有振動数を持つ標準物を同じ測定機会に測定することによって骨の測定値(Hz)を補正した値(表3)は、実際に得られた測定値(表1)よりバラツキが少なく、日差再現性が良好であることがわかった。
【0018】実施例2実施例1記載の打骨式骨強度評価装置を用いて、被験者の肘の骨の振動数の測定を行った。表4に示す測定条件によって、同一物を10回ずつ測定し、それらの測定値(Hz)、並びに、平均値、標準偏差(S.D.)及び変動係数(CV値、%)を求めたものを表5に示した。
【0019】実施例3表4に示すように、速度を変えることによって運動量を変えたこと以外は、実施例2と同様の実験を行った。結果を表5に示した。
【0020】比較例1表4に示すように、速度を変えることによって運動量を変えたこと以外は、実施例2と同様の実験を行った。結果を表5に示した。
【0021】比較例2表4に示すように、速度を変えることによって運動量を変えたこと以外は、実施例2と同様の実験を行った。結果を表5に示した。
【0022】
【表4】

【0023】
【表5】

【0024】実施例2及び3、並びに、比較例1及び2により、2.00×105 g・cm/sec以上の運動量で叩いた場合、変動係数は10%以下となり、再現性が向上した。
【0025】
【発明の効果】本発明は上述の構成によりなるので、ハンマーによる打骨により骨振動数を測定する方法の骨振動数の再現性を向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月2日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−104087
【公開日】 平成11年(1999)4月20日
【出願番号】 特願平9−269840