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【発明の名称】 眼科装置
【発明者】 【氏名】松本 和浩

【要約】 【課題】被検者に固視目標を見付け易くして撮影時間を短縮する。

【解決手段】液晶制御手段は液晶素子11の固視目標中心位置11bを中心とした4つのセルを透過状態とし、その他のセルを不透過状態にする制御を行って、所定の位置に固視目標11aを提示することができる。撮影者が固視目標強調スイッチの押釦を押すと、固視目標中心位置11bの右上、右下、左下、左上の4つのセルを順次に透過状態とすることによって、被検者から見ると固視目標11aが固視目標中心位置11bを中心に回転しているように提示されるので、被検者の注意を引き、容易に固視目標を見付けることができるので、短時間で良好な固視状態を得ることが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検者の視線を誘導する固視目標と、該固視目標の提示パターン形状又は提示位置を略一点を中心として変化させる制御手段とを有することを特徴とする眼科装置。
【請求項2】 前記制御手段の動作を指令する入力手段を有する請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】 前記制御手段は前記入力手段への入力から前記固視目標の提示パターン形状又は提示位置を一定時間変化させるようにした請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】 前記制御手段による前記固視目標の提示パターン形状又は提示位置を変化させる制御は撮影動作により終了する請求項3に記載の眼科装置。
【請求項5】 被検者の視線を誘導する固視目標と、該固視目標を一定の軌跡を描いて移動した後に、該固視目標の提示パターン形状又は提示位置を略一点を中心に変化させる制御手段とを有することを特徴とする眼科装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、眼科医院等において使用する眼底カメラ等の眼科装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から眼底カメラの固視灯は、被検者の視野の任意の位置に提示できるように構成されているが、白内障又は眼の投光部に混濁がある等により固視目標を見付け難い被検者に対しては、撮影者が固視目標の提示位置を変化させる手段を使用して、提示位置を細かく動かす等の操作を行って、被検者が固視目標を見付け易いように介助している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の従来例の眼科装置においては、次のような問題点がある。
(1) 固視目標の提示位置を動かすと、本体まで動いてアライメントがずれる。
(2) 固視目標の提示位置を動かしている間は、アライメントに集中できないために撮影に時間が掛かる。
(3) 被検者に見付け易いようにするために固視灯を細かく動かすと、固視灯提示位置の再現性が失われ、常に決まった範囲を撮影することができない。
【0004】本発明の目的は、上述の問題点を解消し、被検者が固視目標を見付け易いようにして撮影時間を短縮した眼科装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明に係る眼科装置は、被検者の視線を誘導する固視目標と、該固視目標の提示パターン形状又は提示位置を略一点を中心として変化させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0006】また本発明に係る眼科装置は、被検者の視線を誘導する固視目標と、該固視目標を一定の軌跡を描いて移動した後に、該固視目標の提示パターン形状又は提示位置を略一点を中心に変化させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。図1は実施例の眼底カメラの構成図を示し、被検眼Eに対向する対物レンズ1の後方の光路上には、孔部に撮影絞り2aを有する孔あきミラー2、光路方向に移動してピントを調節するフォーカスレンズ3、撮影レンズ4が配列され、眼底撮影光学系Aが構成されている。対物レンズ1と孔あきミラー2の間には、光路に挿脱自在なレンズ群5が配置され、対物レンズ1の近傍に配置された前眼部照明用光源6と共に前眼部観察光学系Bが構成されている。また、撮影レンズ4の後方には、切換ミラー7、マウント8、撮像面9aを有し画像メモリ9bを内蔵するデジタルカメラ9が配置されている。
【0008】切換ミラー7の反射方向にはハーフミラー10が配置され、ハーフミラー10の透過方向の光路上には透過式の液晶素子11、バックライト12が配置され、固視目標提示手段Cが構成されている。液晶素子11には、マトリックス状に液晶から成る複数個のセルが配置されており、個々のセルのオン/オフ即ち透過/不透過を制御する液晶制御手段13の出力が接続されている。ハーフミラー10の反射方向の光路上には、レンズ14、撮影レンズ15、撮像手段16が配列され、眼底観察手段Dが構成されている。また、孔あきミラー2の入射方向には、赤外光を定常的に発し、撮影時には可視光を発する通常の眼底照明手段Fが配置されている。
【0009】デジタルカメラ9と撮像手段16の出力は画像処理部17に接続され、画像処理部17の出力はモニタ18に接続されている。また、液晶制御手段13にはCPU19の出力が接続され、CPU19の出力は制御手段20に接続され、制御手段20の出力は前眼部観察光学系Bのレンズ群5、切換ミラー7、眼底照明手段Fにそれぞれ接続されている。更に、CPU19には観察部位選択スイッチ21、固視目標移動スイッチ22、固視目標強調スイッチ23、撮影スイッチ24の出力が接続されている。
【0010】このような構成において、前眼部観察状態において眼底撮影光学系Aの光軸が被検眼Eの瞳孔Epの中心を通り、かつ対物レンズ1と被検眼Eの角膜が適正な距離を保つように、撮影者は前眼部を観察しながら眼底撮影光学系Aと被検眼Eの位置合わせを行う。前眼部観察状態においては、前眼部観察光学系Bのレンズ群5は撮影光路内に挿入されており、前眼部照明用光源6を発した光束は、被検眼Eの瞼及びその周囲の虹彩や強膜等の前眼部を照明する。照明された前眼部の像は、対物レンズ1、レンズ群5、撮影絞り2a、フォーカスレンズ3、レンズ4を通り、切換ミラー7により下方に反射され、更にハーフミラー10により左方に反射され、レンズ14の付近に再度結像し、撮影レンズ15により撮像手段16付近に結像する。撮像手段16において、前眼部像は映像信号に変換されて画像処理部17に入力され、モニタ18に映出される。
【0011】このようにして、被検眼Eと対物レンズ1の位置合わせを完了した後に、観察部位選択スイッチ21を操作すると、CPU19はこの入力を検知し、制御手段20は前眼部照明用光源6を消灯し、前眼部観察光学系Bを光路外に退避させる。また、CPU19は液晶制御手段13を介して液晶素子11のバックライト12を点灯し、液晶素子11の予め決められたセルのみを透過状態として、被検眼Eに固視目標11aを提示する。そして、眼底照明手段Fは赤外光を発し、眼底Erを赤外光により定常的に照明する。
【0012】このように照明された眼底Erの像は、瞳孔Ep、対物レンズ1、孔あきミラー2の孔部の撮影絞り2a、フォーカスレンズ3、撮影レンズ4を通り、切換ミラー7により下方に反射され、更にハーフミラー10により左方に反射され、レンズ14の付近に再度結像し、レンズ15により撮像手段16付近に結像する。この眼底像は前眼部像と同様に映像信号に変換され、画像処理部17を通りモニタ18に表示される。撮影者はこのモニタ18に映った眼底像を観察し、撮影部位、フレアの有無、ピントの状態を確認する。
【0013】また、被検者に提示する固視目標11aの提示位置を示すキャラクタSが、画像処理部16によって、眼底像と合成されてモニタ18に映出される。撮影者はこの眼底像とキャラクタSを見ながら、所望の部位が撮影できるように固視目標移動スイッチ22を操作して、被検者が固視目標11aを固視するように促がし、被検者の視線を誘導する。
【0014】集団検診においては、図2に示すように被検眼Eの視神経乳頭と黄斑の中心が略光軸である画像の中心と一致するように、固視灯により視線を誘導する。被検者により差異はあるが、人眼の乳頭と黄斑は水平線上に位置することは少なく、乳頭の方が若干上方に変位していることが多いので、被検者側から見て、光軸よりも上方に約2°、左方に約8°の位置へ固視目標11aを提示する必要がある。そのためには、図2に示すように上方に2°左方に8°に相当する固視目標中心位置11bを中心とした4つのセルを透過状態とし、その他のセルを不透過状態にする制御を行えば、上述の位置に固視目標11aを提示することができる。
【0015】被検者に白内障等の混濁がある場合や、例えば図示しない既知のフォーカス用の他の視標が被検者に見えるような場合には、上述の位置に固視目標11aを提示しただけではこれを見付け難いこともある。従って、このことはモニタ18に映った黄斑の位置とキャラクタSの位置が一致しないことによって判別する。
【0016】このような場合に、撮影者が固視目標強調スイッチ23を操作すると、液晶制御手段13は固視目標中心位置11bに対して、図3に示すように右上の4つのセルのみ透過状態にする第1の状態、図4に示すように右下の4つのセルのみを透過状態にする第2の状態、図5に示すように左下の4つのセルのみを透過状態にする第3の状態、図6に示すように左上の4つのセルのみを透過状態にする第4の状態を順次に繰り返すように液晶素子11の制御を行う。このようにすると、固視目標強調スイッチ23の押釦を押している間だけ、被検者から見ると、固視目標11aが固視目標中心位置11bを中心に回転しているように提示されるので、被検者の注意を引き、容易に固視目標11aを見付けることができ、短時間で良好な固視状態を得ることが可能となる。
【0017】以上の操作により、所望の撮影部位が得られた後に、撮影スイッチ24を操作して眼底撮影を行う。検者が撮影スイッチ24を操作すると、制御部19は切換ミラー7を光路外に退避し、デジタルカメラ6が静止画撮影のための光蓄積を開始し、同時に眼底照明手段Fは可視の閃光を発する。この閃光は孔あきミラー2で反射され、対物レンズ1を通った後に眼底Erを照明する。
【0018】照明された眼底像は、対物レンズ1、孔あきミラー2の孔の中にある撮影絞り2a、レンズ3、4を通り、デジタルカメラ9の撮像面9aに結像する。この像はデジタル信号に変換され、デジタルカメラ9内の画像メモリ9bに記憶され撮影を終了し、同時にビデオ信号に変換されてモニタ18に再生される。このときは、固視目標提示位置を示すキャラクタSは表示されない。
【0019】上述の実施例では、被検者の注意を引くために固視目標11aが回転して見えるように制御を行ったが、図7に示すように固視目標中心位置11bを中心として、図4の固視目標11aを囲むようにセルの透過部分を有するパターンを形成し、図4のパターンと図7のパターンとを交互に表示することにより、固視目標11aを強調して提示してもよい。
【0020】また、図4と相似形状で大きさの異なる図8に示すようなパターンと、図4のパターンを交互に表示することにより、固視目標11aを強調して提示してもよい。更に、図9に示すように固視目標中心11bで交わる十字線を表示し、その交点である固視目標11aへ被検者の視線を誘導してもよい。この場合は、十字線を大きく設定すれば、被検者の視界に入り易いために、より効率良く被検者の視線を誘導することができる。また、図4のパターンと図9のパターンを交互に表示してもよい。
【0021】これらのパターンの変化に伴って、バックライト12の明るさを変化させたり、液晶素子11の開口時間を変化させる等により、被検者に対して見掛けの輝度を変化させることにより、効率良く被検者の注意を引くことができる。更に、中心を略共有する複数のパターンを順次に表示することによって、固視目標11aを強調することも可能である。
【0022】静止画像撮影後の静止画像再生時には、固視目標提示位置を示すキャラクタSの表示を消すようにしたが、このキャラクタSを表示し続けることにより、被検者は固視位置11aを正確に知ることができ、偏心固視の検査に用いることができる。このとき、静止画像再生中は固視目標強調スイッチ23を操作することにより、キャラクタSの表示/非表示を切換え可能に構成すれば、必要に応じて撮影時の固視位置11aを確認することが可能となり、操作性が向上する。
【0023】上述の実施例では、固視目標強調スイッチ23の操作により、被検者に目立つように固視目標パターンを変化させたが、観察部位選択スイッチ21の操作に連動して、一定時間固視目標パターンを変化させるようにしてもよい。これにより、他のスイッチ操作をしなくとも、被検者が直ちに固視目標11aを見付けることができるので、撮影の効率を向上させることができ、撮影者に合った設定ができ、装置の使い勝手が向上する。
【0024】また、固視目標強調スイッチ23を押している間だけ、提示パターンを変化させるようにしたが、撮影者が固視目標強調スイッチ23を操作した時から、予め決めた一定時間だけ固視目標11aのパターンを変化させるようにすれば、撮影者はその間アライメントに専念することができるので、更に効率良く撮影を行うことができる。
【0025】更に、一定時間以内に撮影が終了した場合には、その撮影終了に連動して、固視目標11aを通常の表示に戻した方が、次の撮影に効率良く移ることが可能となる。この固視目標パターン等の変化を、固視目標強調スイッチ23の入力から撮影終了まで継続できるようにすれば、特に視認能力の低い被検者に対して有効である。
【0026】また、バックライト12を複数の色を発するLEDのような発光素子により構成し、固視目標パターンの変化に同期して、その色を順次に切換えることにより、更に被検者の注意を引くことが可能となる。また、固視目標移動スイッチ22を倒した方向を検知して、その検知した方向に固視目標11aを移動する傾動スイッチを設け、この傾動スイッチの上部に押釦スイッチを付設し、この傾動スイッチを固視目標強調スイッチ23とすれば、固視目標11aの位置を変化させる動作と固視目標11aの位置を強調する動作が容易にかつ片手で操作できるので、更に効率の良い撮影が可能となる。
【0027】上述の実施例においては、検者のスイッチ入力又は動作に応じて、固視目標位置を中心としてパターンを変化させたが、図10に示すように、スイッチ入力に伴い、モニタ18上で始点18aから始まる一定の軌跡18bを描いて固視目標を移動させ、最終的に前記固視目標位置18cに収束するようにパターンを移動制御してもよい。被検者の視線がどこを見ているか分からないので、このように固視目標を軌跡を描いて移動させることにより、被検者の視線の近傍を通る可能性が高くなるために、更に効率良く視線を誘導することが可能となる。なお、軌跡の始点18aは画面中央でもよいが、検者の任意の位置から始めるようにすれば更に使い勝手が良くなる。
【0028】また、モニタ18上にタッチパネルセンサ等の位置検知手段を設け、検者がモニタ18に映った被検者の黄班位置を位置入力することにより、被検者の黄班付近から軌跡が始まって、所望の固視目標位置へ視線を誘導するようにすれば、直接被検者の視線を迎えに行くことができるので、更に効率良く被検者の視線を誘導することができる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る眼科装置は、固視目標のパターン形状又は提示位置を略一点を中心に変化させることにより、被検者の視線を確実に誘導して正確な固視位置を得ることができ、更に被検者が固視するまでの時間を短縮して、撮影の効率を向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
【公開番号】 特開平11−104085
【公開日】 平成11年(1999)4月20日
【出願番号】 特願平9−287909