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【発明の名称】 内視鏡の可撓管及びその製造方法
【発明者】 【氏名】近藤 光夫

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に挿通部材の挿通路を形成した可撓性のある筒体に軟性樹脂からなる外皮層を設けた内視鏡の可撓管において、前記外皮層に部分的な薄肉化部を形成することによって、この外皮層の軸線方向の厚みを変化させる構成としたことを特徴とする内視鏡の可撓管。
【請求項2】 前記薄肉化部は、前記外皮層の円周方向の少なくとも一部に、その一端側が最も薄く、この一端側から少なくとも途中位置まで厚みが連続的に増加するように構成したことを特徴とする請求項1記載の内視鏡の可撓管。
【請求項3】 前記可撓管は前記内視鏡の挿入部を構成する可撓管部として用いられ、その薄肉化部の最も肉厚の薄い側の端部はこの可撓管部のアングル部への連結部であることを特徴とする請求項1記載の内視鏡の可撓管。
【請求項4】 内部に挿通部材の挿通路を形成した可撓性のある筒体の外周面に押出成形機で軟性樹脂からなる外皮層を積層させることにより可撓管を形成し、次いで押出成形機の出口側で前記可撓管の外皮層にブレードを接触させて、この外皮層を所定の深さまで削り取り、前記可撓管の前記押出成形機からの送りに応じて前記ブレードを可撓管から離間する方向に変位させることにより、外皮層を削り取る深さを連続的に減少させて、この外皮層に軸線方向に向けて連続的に厚みが変化する薄肉化部を形成することを特徴とする内視鏡の可撓管の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内視鏡における挿入部の可撓管部やライトガイド軟性部等として用いられる可撓管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】医療用や工業用等として用いられる内視鏡は、図5に示したように、体腔等の内部に挿入される挿入部1の基端部に本体操作部2を接続し、また本体操作部2には光源装置(図示せず)に着脱可能に接続されるライトガイド軟性部3を接続したものである。挿入部1は本体操作部2への連設側から大半の長さ部分が可撓管部1aで構成され、この可撓管部1aは挿入経路に沿って任意の方向に曲がるように構成されている。また、可撓管部1aの先端にはアングル部1b、さらにこのアングル部1bに先端硬質部1cが連設されている。先端硬質部1cには内視鏡観察機構等が設けられており、その視野を所望の方向に向ける等のために、アングル部1bは本体操作部2による遠隔操作により湾曲できる構成となっている。
【0003】挿入部1を構成する可撓管部1aからアングル部1bを経て先端硬質部1cに至るまで、図示は省略するが、ライトガイドやイメージガイド(光学式の内視鏡の場合)を構成する光ファイバや、先端硬質部1cにCCD等の固体撮像素子が設けられている場合には、この固体撮像素子に接続した信号ケーブル(電子内視鏡の場合)、さらには鉗子等の処置具を導出するための処置具挿通チャンネル、送気送水管等からなるチューブ類、その他の長尺の挿通部材が挿通されている。一方、ライトガイド軟性部3内には、ライトガイドが挿通され、また送気送水管等も挿通されている。さらに、電子内視鏡の場合には、ライトガイド軟性部3は光源装置だけでなくプロセッサに接続されるようになっており、このために信号ケーブルもライトガイド軟性部3内に挿通されている。以上のように、内視鏡の内部の挿通部材はいずれも軟性構造となっている。
【0004】以上のように、可撓管部1a,アングル部1b及びライトガイド軟性部3は、内部に種々の挿通部材が挿通されており、これらの挿通部材は、その性質上、軟性の部材である。このために、可撓管部1a,アングル部1b及びライトガイド軟性部3が備えなけばならない条件としては、曲げ方向には可撓性を有し、かつ内部に挿通されている部材の保護を図るために、保形性、即ち耐潰性を有していなければならない。このために、これらは可撓管で形成される。アングル部1bは遠隔操作によって湾曲させられるものであるが、可撓管部1a及びライトガイド軟性部3は、外力が加わった時に曲がるようになっておれば良い。
【0005】図6に可撓管部1a及びライトガイド軟性部3として用いられる可撓管の構成を示す。ここで、可撓管部1aとライトガイド軟性部3とは、それらが用いられる部位及び連結される部材との関係から構造上多少の違いはあるものの、基本的には同様の構成になっている。
【0006】図中において、4は可撓管を示し、この可撓管4は構造体として、螺旋管5を有し、この螺旋管5は外側及び内側の螺旋体5a,5bから構成される。螺旋体5a,5bは、ステンレス等の金属帯体を螺旋状に巻回してなるものであって、これにより内部に各種の挿通部材の挿通路が確保される。また、曲げ方向に可撓性を持たせるために、螺旋体5a,5bは所定のピッチ間隔を空けるようにして巻回されており、巻回方向は相互に反対方向となっている。螺旋管5の外周には、金属線材を編組した筒状網体6が設けられており、この筒状網体6上にはさらに外皮層7が積層されている。ここで、外皮層7は、可撓管4の内部を密閉状態に保持すると共に、体腔内等への挿入を円滑に行うために滑りの良い軟性の樹脂材、例えばウレタン樹脂等で形成されている。外皮層7を螺旋管5上に直接形成すると、それから剥離して破損する等のおそれがあるから、筒状網体6はこの外皮層7のベースとして機能するものであり、筒状網体6と外皮層7とを一体化させるために、予め筒状網体6には接着剤を塗布しておくのが一般的である。
【0007】以上のようにして可撓管4が形成されるが、この可撓管4を挿入部1の可撓管部1aとして構成した場合には、その全長にわたって曲げが可能になっていなければならない。可撓管部4は体腔内等の挿入経路に沿って曲がるものであり、従って体腔内では、外力が作用した時には、それに追従してある程度は柔軟に曲がるようになっていなければならない。ただし、可撓管部1aの曲げ方向への柔軟性をあまり高くすると、例えば、大腸鏡等のように挿入経路に挿入する際の抵抗が大きい場合には、挿入操作に支障を来すおそれがある。従って、挿入経路によっては可撓管部1aを曲げ方向にある程度硬く、即ち曲げ方向に対する剛性を高くしなければならない。また、挿入部1を体内に挿入するに応じて抵抗が大きくなるから、可撓管部1aの曲げ方向の可撓性はその全長にわたって均一である必要はなく、むしろ先端側が曲げ方向に柔軟で、基端側に向かうに応じて剛性が高くなるような特性を持たせるのが好ましい。さらに、可撓管部1aにはアングル部1bが連結されるが、このアングル部1bは先端硬質部1cを所望の方向に向けるためのものであり、場合によっては180°以上にまで湾曲操作がなされる。このために、最大湾曲角乃至それに近い角度で湾曲させた時に、アングル部1bと可撓管部1aとの連結部分に応力が極端に集中しないようにするために、この可撓管部1aのアングル部1bとの連結部近傍はより柔軟性を高める必要がある。
【0008】以上の要請等から、特に挿入部1の可撓管部1aとして構成される可撓管4の曲げ特性としては、先端側が最も柔軟に曲がり、基端側に向けて少なくとも所定の位置までは連続的に硬くなるように変化させるのが好ましい。このように、可撓管4に軸線方向に曲げ方向の硬さを変化させるために様々な工夫がなされている。可撓管部4は螺旋体5a,5bと、筒状網管6及び外皮層7で構成されるから、これらの部材のいずれかに基づいて曲げ方向の可撓性を変化させるようにする。螺旋管5を構成する螺旋体5a,5bに関しては、連続的に幅や厚みを変えたり、表面にメッキを施し、このメッキの厚みを変化させたりする構成としたものが知られている。また、筒状網管6に関しては、その編み方や素線径等を軸線方向に変えるようにしたものがある。また、筒状網管6に供給される接着剤の量を変えることも知られている。さらに、外皮層7に関しては、この外皮層7は通常押出成形により形成されることから、押出成形機から硬度の違う2種類の樹脂を供給して、軸線方向に混合比率を変えるようにしたものもある。さらに、可撓管4を形成した後に、内部に樹脂コート層を形成することによっても、可撓管部4の軸線方向に可撓性の変化を持たせるように構成したものも提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、可撓管の軸線方向に曲げ方向の可撓性に関する特性を変化させるための工夫が種々なされているが、螺旋管は本質的には可撓管部に耐潰性を持たせるためのものであり、曲げ方向にはほぼ抵抗なく曲がるようになっている。従って、螺旋管の構造によってはあまり顕著な硬さの差を持たせることはできない。また、筒状網体は伸縮自在のものであり、筒状網体により実質的な硬さの差を持たせるように構成するのは容易ではない。さらに、接着剤は長期間の間には劣化する等の理由で、経時的に安定した特性を持たせることはできない。
【0010】可撓管における曲げ方向の可撓性に最も大きな影響を与えるのは外皮層である。可撓管が曲がる際には、外皮層は、その曲げ方向における内側の部位では収縮し、外側の部位は伸びることになる。外皮層は軟性樹脂で形成されているが、伸縮自在なものとなっている訳ではないから、その伸縮に対する抵抗は極めて大きい。従って、可撓管の曲げに対する抵抗としては、外皮層の伸縮に対する抵抗が最大の要因となる。この意味では、外皮層の硬さを変えるようにすることは、可撓管の曲げ方向の可撓性に変化を持たせる上で極めて有利である。しかしながら、性質の異なる2種類の樹脂を用いて押出成形するには、大掛かりな装置が必要であり、しかも2種類の樹脂の押し出し圧力の調整等、制御が極めて複雑になるだけでなく、製品によっては硬さにばらつきが生じたりする等、成形上での問題点が大きい点が難点となる。
【0011】本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、簡単な加工によって、可撓管の曲げ方向における可撓性を軸線方向に変化させることができるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明における内視鏡の可撓管としては、内部に挿通部材の挿通路を形成した可撓性のある筒体に軟性樹脂からなる外皮層を設けた内視鏡の可撓管において、前記外皮層に部分的な薄肉化部を形成することによって、この外皮層の軸線方向の厚みを変化させる構成としたことをその特徴とするものである。
【0013】前述したように、可撓管が曲がり、外皮層が伸縮する際における抵抗が曲げ特性に重大な影響を与えるが、外皮層の厚みによる伸縮時の抵抗を変化させることができる。従って、外皮層の厚みを変えると、軸線方向に向けて曲げ特性を変化させることができる。そこで、薄肉化部は外皮層の円周方向の全周またはその少なくとも1箇所形成するが、この薄肉化部は、一端側が最も薄く、この一端側から他端まで若しくは途中位置まで連続的に厚みを増す構成とするのが好ましい。また、挿入部の可撓管部として構成する場合には、薄肉化部による最も肉厚の薄い側の端部は挿入部のアングル部への接続部とする。
【0014】一方、本発明の内視鏡の可撓管の製造方法としては、内部に挿通部材の挿通路を形成した可撓性のある筒体の外周面に押出成形機で軟性樹脂からなる外皮層を積層させることにより可撓管を形成し、次いで押出成形機の出口側で前記可撓管の外皮層にブレードを接触させて、この外皮層を所定の深さまで削り取り、前記可撓管の前記押出成形機からの送り応じて前記ブレードを可撓管から離間する方向に変位させることにより、外皮層を削り取る深さを連続的に減少させて、この外皮層に軸線方向に向けて連続的に厚みが変化する薄肉化部を形成することをその特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。本発明においても、内視鏡の全体構成については、図5に示したものと実質的に差異はないので、この図で示したものと同一または均等な部材については、同一の符号を用いる。
【0016】而して、図1及び図2に可撓管の全体構成を示す。図中において、10は可撓管を示し、この可撓管10は内部に光ファイバやケーブル、さらにはチューブ類等、軟性の挿通部材を挿通するための挿通路が形成されている。この挿通路の構造体としては螺旋管、好ましくは相互に反対方向に所定のピッチ間隔を置いて巻回した2重の螺旋管で構成され、この螺旋管は筒状網体内に挿嵌されており、さらにこの筒状網体の外周には外皮層11が積層されている。図1及び図2では内部構造は示されていないが、これらの積層構造そのものについては、前述した図6の構成と実質的には差がないものである。そして、この可撓管10は、例えば挿入部1において、挿入経路に沿って任意の方向に曲がる可撓管部1aを構成するものとして用いられる。この場合には、一方側の端部にアングル部1bに連結するための口金12を連結すると共に、他方側の端部には本体操作部2に螺着するためのねじリング13が連結される。
【0017】ここで、可撓管10における外皮層11は、その全長にわたって均一な厚みを持ったものではなく、図2に仮想線で示した部位をカットして平坦化することにより薄肉化部11aが形成されている。この薄肉化部11aは、先端側、即ちアングル部1bに連結される口金12を装着した側の端部が最も深くて広く、基端側、即ち本体操作部2に連結されるねじリング13を設けた側が薄くて狭くなる略三角形の形をしている。ここで、可撓管10を曲げると、軟性樹脂からなる外皮層11は曲げ方向の内側が収縮し、外側には伸びるようになるが、外皮層11の厚みを大きくすると、曲げに対する抵抗が大きくなり、厚みを小さくすると、曲げに対する抵抗も小さくなる。従って、可撓管10の先端側は薄肉化した分だけ容易に曲がるようになり、かつ薄肉化部11aは基端側に向かうに応じて深さ及び幅が連続的に減少するから、可撓管10の先端側が最も曲げ易く、基端側に向かうに応じて連続的に曲げ方向に硬くなる特性を持たせることができる。また、外皮層11の厚みを変化させると、その変化の度合いにより所望の曲げ特性を持たせることができる。ただし、薄肉化部11bを形成すると、他の部位より弱くなるが、例えば最小の厚みを通常の厚みの半分程度に抑制すれば、十分な強度を保持し、破損等が生じたりするおそれはない。そして、厚みを半分にすれば、他の部位との間で曲げ方向の可撓性に極めて大きな差を持たせることができる。
【0018】以上のように構成することによって、例えば大腸鏡の挿入部1における可撓管部1aとして構成した場合には、挿入部1の体内への挿入深さが深くなるに応じて抵抗が増大するが、挿入部1の大半の長さを構成する可撓管部1aが体内に深く挿入されるに応じて曲げ方向に硬くなるので、確実に体内への押し込み推力を作用させることができる。また、先端側が柔軟に曲がるようになっているから、この可撓管部1aに連設したアングル部1bを湾曲操作してアングル部1bを湾曲させた時に、その可撓管部1aへの連設部分から急激に曲がるのを防止でき、応力の分散が図られることになるから、挿入部1の耐久性が向上すると共に、内部の挿通部材に無理な力が加わる等のおそれもない。
【0019】これに対して、ライトガイド軟性部3は、その一端が本体操作部2に連設され、他端は光源装置等に着脱可能に接続するためのコネクタが設けられており、従ってその両端が硬質構造となっている。このために、硬質構造への連結部分に剛性を持たせ、中間部は抵抗なく曲がるように軸線方向における曲げ特性を変化させる必要がある。この場合には、外皮層の薄肉化部は可撓管の中間部に形成し、両端部が最も厚くするのが好ましい。
【0020】ここで、外皮層11は押出成形機を用いた成形手段により形成される。従って、押出成形を行う際に外皮層11に薄肉化部11aを形成することができる。そこで、押出成形と共に外皮層11に薄肉化部11aを形成するための方法について図3を参照して説明する。なお、薄肉化部11aは必ずしも成形時に行う必要はなく、例えば外皮層11を形成した後に、必要に応じてカッタ等で削り取るようにすることも可能である。
【0021】而して、図3には可撓管10の外周に外皮層11を積層するための押出成形機の構成の一例が示されている。可撓管10における外皮層11が積層される前の段階では、螺旋管14(好ましくは2重の螺旋管)に筒状網体15を被着させた可撓管構成体16となっている。而して、図中において、20は成形機を示し、この成形機20は、ホッパ,スクリュー等からなる周知の押し出し部21と、押し出し部21により押し出された溶融状態の合成樹脂、例えばウレタン樹脂を可撓管構成体16の外周面に被覆形成するためのヘッド部22とから大略構成されている。
【0022】ヘッド部22は、ダイ内ヘッド、ダイ内クロスヘッド、充実型クロスヘッドと呼ばれるヘッド部として構成されている。このヘッド部22は、それを固定的に支持するヘッド支持体23に取付けられている。ヘッド支持体23は、前述した押し出し部21から押し出される溶融状態の合成樹脂24をヘッド部22に供給するための通路となるゲート23aを備えている。ヘッド部22は、ゲート23aから送り込まれる溶融状態の樹脂24を可撓管構成体16の外周面に外皮層11を供給できるようにするために、マニホールド25を形成するニップル26とダイス27とを有する構造となっている。ニップル26には、可撓管構成体16の挿入をガイドするための円錐状凹部26aとが設けられている。また、ニップル26の図中右端側には、ダイス27の左端側の円錐状凹部27aと協働してマニホールド25を形成する円錐状凸部26bが形成されている。
【0023】このようにして形成される成形機20において、ダイス27におけるマニホールド25の出口より図中の右側の位置には可撓管構成体16の外周に形成される外皮層11の肉厚を決定する内周壁27bを有する。なお、図中において、28はニップル26及びダイス27の抜け止め用の締付け部を示し、また、ダイス27はヘッド支持体23に形成した突条23bと、このヘッド支持体23に螺着される保持筒28に形成した突条28aとによって係止され、さらに、ニップル26にはロックナット29が螺挿されるようになっており、これによって成形機20は組立て状態に保持されるようになっている。
【0024】成形機20は以上のように構成されるが、可撓管構成体16は図示しない押動手段で軸線方向に押動することによりヘッド部22を通過させることにより、外皮層11が形成される。そして、この成形機20における出口側には薄肉化部11aを形成するためのブレード30が設けられている。このブレード30は、刃先が成形機20側に向くように斜めに設けられており、成形品である可撓管10が流れる方向と直交する方向、即ち上下方向に移動可能となっている。
【0025】このように構成することによって、可撓管構成体16をその口金12を連結した側から成形機20に挿通させ、口金部12がブレード30の位置を通過した直後にブレード30を最下降位置にまで下降させる。これによって、外皮層11の一部がカットされて取り除かれる。ここで、外皮層11を構成する樹脂は硬化前の状態であるから、ブレード30は容易に外皮層11に食い込ませることができる。外皮層11にブレード30が接触した位置が最も深くカットされることになる。そして、可撓管10の送りに応じてブレード30を引き上げるようにすると、外皮層11のカットされる深さ及び幅は連続的に減少することになり、ブレード30を外皮層11から離間させる位置まで薄肉化部11aが形成されることになる。従って、ブレード30の昇降動作を制御するだけの簡単な操作によって、所望の深さと幅とを持った薄肉化部11aを形成でき、可撓管10の軸線方向における曲げ方向の可撓性に関する所望の特性を持たせることができる。
【0026】ブレード30を1箇所設けただけでは、曲げ方向の可撓性に方向性が生じることになるが、例えばブレード30を等しい角度毎に2箇所以上、好ましくは4箇所程度設けるようにすると、実質的にどの方向にもほぼ均等な可撓性を持った可撓管を形成することができる。また、ブレード30の刃先は直線的なものであっても良いが、可撓管10の外径より大きな曲率半径の円弧状に形成することもできる。
【0027】薄肉化部は図1及び図2に示したように可撓管の全長にわたって設けることもできぐが、例えば、図4に示した可撓管40のように、その外皮層41における先端側における口金42を設けた側から途中位置まで薄肉化部41aを形成することもできる。そして、薄肉化部41aは1箇所だけでなく、円周方向に多数設けるようにしても良い。このように構成した可撓管40は、その口金42をアングル部1bに接続することによって、挿入部1の可撓管部1aとして用いると、この可撓管部1aは、基端側、即ち本体操作部2への接続側には、挿入操作性を良好にするために曲げ方向に対する剛性を十分持たせた上で、先端側の部分を柔軟な構成なし、アングル部1bの曲げに追従して容易に曲がることになる。この結果、アングル操作の操作性が向上すると共に、180°以上というような大きな湾曲角で曲げた時の応力が可撓管部1aからアングル部1bへの移行部に集中するのを抑制できるようになり、挿入部1の耐久性が向上する。
【0028】また、アングル部1bのアングル操作時において、上下方向の湾曲度合いを左右方向の湾曲度合いより大きくするというように、湾曲方向で湾曲角度に差を持たせるように構成した場合には、可撓管部1aの先端側において、大きく曲がる方向の薄肉化部の厚みをより薄くするということも可能である。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、外皮層の一部に薄肉化部を形成しているので、外皮層をカットするという簡単な加工により可撓管の軸線方向における曲げ方向における可撓性に所望の特性を持たせることができるようになり、しかもこの特性を極めて安定的に保持でき、かつ外皮層の厚みにより硬さ変化を持たせていることから、経時的に特性が変化してしまうおそれはない等の効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000005430
【氏名又は名称】富士写真光機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】影井 俊次
【公開番号】 特開平11−104066
【公開日】 平成11年(1999)4月20日
【出願番号】 特願平9−284287