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【発明の名称】 自覚式検眼装置
【発明者】 【氏名】三宅 信行

【氏名】諸橋 和男

【氏名】権田 常躬

【要約】 【課題】操作性の良い自覚式検眼装置を提供する。

【解決手段】被検眼の眼前に配置される複数の光学素子を収納する左右のレンズ室を備え、被検眼の屈折力を自覚的に測定するための自覚式検眼装置において、複数の光学素子のうちレンズ度数に関わる光学素子及び又は光学素子のレンズ度数を指示するためのボタン群55、56、59及びボタン57、58と、ボタン群55等にて指示された光学素子のレンズ度数を表示するための及び又は指示手段にて指示された光学素子を指示されていない光学素子から識別可能に表示するための表示窓54及び表示灯l1〜l3とを、右のレンズ室とは分離された操作パネル52上に配置した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】被検眼の眼前に配置される複数の光学素子を収納する左右のレンズ室を備え、被検眼の屈折力を自覚的に測定するための自覚式検眼装置において、前記複数の光学素子のうちレンズ度数に関わる光学素子及び又は光学素子のレンズ度数を指示するための指示手段と、前記指示手段にて指示された光学素子のレンズ度数を表示するための、及び又は前記指示手段にて指示された光学素子を指示されていない光学素子から識別可能に表示するための表示手段とを、前記左右のレンズ室とは分離された操作パネル上に配置したこと、を特徴とする自覚式検眼装置。
【請求項2】前記指示手段は、光学素子のレンズ度数を指示するための度数指示手段と、検眼の補助に用いる光学素子を指示するための補助素子指示手段とを有し、前記表示手段は、前記度数指示手段にて指示されたレンズ度数を表示するための度数表示手段を有し、前記度数指示手段と前記度数表示手段とを相互に隣接配置すると共に、これら度数指示手段と度数表示手段の周囲に前記補助素子指示手段を配置したこと、を特徴とする請求項1に記載の自覚式検眼装置。
【請求項3】前記度数指示手段は、測定に用いる光学素子のレンズ度数を概略的に指示するための粗指示手段と、測定に用いる光学素子のレンズ度数を小刻みに指示するための微指示手段を有することを特徴とする請求項2に記載の自覚式検眼装置。
【請求項4】前記表示手段は、前記指示手段にて指示された光学素子を指示されていない光学素子から識別可能に表示するための識別表示手段を有し、前記識別表示手段を、該識別表示手段の表示する光学素子を指示するための前記指示手段の近傍に配置したことを特徴とする請求項1乃至3に記載の自覚式検眼装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自覚式検眼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は従来の手動式自覚検眼装置の主としてレンズ室Rの正面図であり、装置を視力チャート側より見た図である。この装置は被検者の両眼に左右のレンズ室Rの視野窓1の中心が一致するようにセットされ、視野窓1を通して図1手前側にある視力チャートをのぞいている被検者にチャートの見え方を聞きながらレンズを視野窓1内で変換させて適切なるレンズを選択するものである。レンズ変換は各ハンドル2乃至6で行なう。図2は図1のA矢視部分断面図である。14乃至17はレンズ室Rが内蔵するレンズ等の保持板であり、各保持板14乃至17とも軸18を中心とする円板形状をしている。保持板14は一般にレコス板と称させているもので視野開放のための開口、視野遮蔽のための遮蔽板、さらには偏光レンズ、プリズムレンズ等の両眼視検査レンズ、マドックス・ロッドなどの眼位量測定レンズなどを内蔵している。レコス板14をハンドル2で直接回転させ希望のレンズ等を視野窓1に挿入する。レコス板14の表示は表示板8で示される。また、レンズ保持板15乃至17にはレンズの枚数に応じて軸中心に等分割の角度でレンズが内蔵されている。レンズ保持板15には球面レンズ15’が−18D〜+15D(Dはデイオプターを示す。以下同じ)まで3D間隔で計11枚(但しそのうちの0Dは素通しである)保持されている。レンズ保持板15の回転はハンドル6で図示なきギアを介して行なう。レンズ保持板16には球面レンズ16’が−1.00D〜+1.75Dまで0.25D間隔で計11枚(但しそのうちの0Dは素通しである)保持されている。レンズ保持板16の回転はハンドル5で図示なきギアを介して行なう。レンズ室Rの球面度数は視野窓1内で重なって2枚のレンズ15’と16’各々のデイオプターの合計の値となり、結果として−19.00D〜+16.75Dまで0.25D間隔で視野窓1に現出することが可能となっている。ハンドル6で3D間隔、ハンドル5で0.25D間隔でレンズ度数変換を行なうことになる。連続的に度数を変換するにはレンズ保持板15と16を同時に回転させる場合も必要になるため、一般にはレンズ保持板15と16の間にはゼネバ機構のような間欠機構(図示なき)が用いられている。球面レンズの表示は球面レンズ表示窓7で示される。レンズ保持板17には0D〜−2.25Dまで0.25D間隔で9枚の乱視レンズ(0Dは素通しである)が保持されるが、各々はそれぞれ乱視軸が回転可能となるように保持板17に回転可能なギア19内に収容されている。ハンドル4で図示なきギアを介してギア21を回転させることによってギア21とビス止めしたレンズ保持板17を回転可能にしている。乱視度数は乱視レンズ表示窓9で示される。乱視軸回転はハンドル3で図示なきギアを介してギア20を回転可能と成し、乱視レンズを収容した全てのギア19にギア20を結合させておき、その結果、ハンドル3の回転によって同時に全ての乱視レンズの軸回転を可能としている。乱視軸表示は乱視軸表示板10で示される。またこの種の装置にはクロスシリンダという乱視度数と乱視軸の精密測定を行なう装置11がレンズ室R外部に設けられている。クロスシリンダ11は、普段は視野窓1外に設けられていて(図示位置)必要時のみ軸13を中心に回転し、視野窓1内に入れて測定を行なう。クロスシリンダ11は図3、図4に示すように最強主経線と最弱主経線の度数の絶対値が等しく、その正負を異にすると共に、各経線が直交するような乱視レンズであり、一般には絶対値に0.25D又は0.5Dが使用される(図は±0.25Dのクロスシリンダを示す)。クロスシリンダ11は、乱視度数の精密測定と、乱視軸の精密測定とに使用される。すなわち、図3(a)に示すように被検者の乱視軸方向Bに最強主経線(+0.25Dの方向)を合わせ、ツマミ12でクロスシリンダ11を反転させ、(図3(b))反転の前後での被検者によるチャートの見え方の比較により乱視度数の精密測定が行なわれる。乱視軸の精密測定は図4(a)に示すように被検者の乱視軸方向Bと45゜方向に最強主経線(+0.25Dの方向)を合わせ(クロスシリンダ11を図3(b)に対して45゜回転させる)、次に反転させて(図4(b))、反転前後のチャートの見え方の比較により行なわれる。測定中、レンズ保持板17の乱視レンズの度数、軸を変更した場合に、再度同様クロスシリンダの検査を行なうために、クロスシリンダ11とレンズ保持板17の乱視レンズの乱視軸は常に連動されており、ハンドル3によって乱視軸を回転すると、クロスシリンダ11も同様に回転する(なお上記偏光レンズ、プリズムレンズ等の両眼視検査レンズ、マドックス・ロッドなどの眼位量測定レンズ、球面レンズ、乱視レンズ及びクロスシリンダー等、レンズ室に収納されて被検眼の眼前に配置され得る素子を必要に応じ「光学素子」と総称する)。このように従来の自覚検眼装置は、レンズ交換を行うためのハンドルや、視野窓内に配置されているレンズ等を表示するための表示窓や表示板がレンズ室に設けられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで自覚検眼を行う際、検者は左右のレンズ室のレンズを交換するための操作を行ったり、チャートを差し示したりと、レンズ操作とチャート操作の両方を行う必要がある。しかし従来の自覚検眼装置では、上述のようにハンドルや表示窓がレンズ室に設けられていたので、レンズ操作とチャート操作の両方を行うためには、レンズ室とチャートとの間を何回も動いたり、これらを首を回して見比べたりと、操作が困難でかつ長時間を要していた。
【0004】また測定を行うためにはレンズ室の視野窓を覗いている被検者の視線を遮らないようにする必要があるが、従来の自覚検眼装置ではハンドル等がレンズ室に設けられていたので、被検者の視線を回避しながらレンズ操作を行うことが困難であり、検者は非常に窮屈な姿勢でレンズ操作を行っていた。また表示窓もレンズ室に設けられていたので、被検者の視線を回避しながら表示窓を見るためには、表示窓を斜めから見る必要があったりする等、表示が非常に見えにくかった。またこのことから、検者は表示を見ないままレンズ操作をすることもあり、レンズ操作を間違える原因になっていた。本発明はこれらの欠点を解決し、操作性の良い自覚式検眼装置を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1記載の本発明は、被検眼の眼前に配置される複数の光学素子を収納する左右のレンズ室を備え、被検眼の屈折力を自覚的に測定するための自覚式検眼装置において、前記複数の光学素子のうちレンズ度数に関わる光学素子及び又は光学素子のレンズ度数を指示するための指示手段と、前記指示手段にて指示された光学素子のレンズ度数を表示するための、及び又は前記指示手段にて指示された光学素子を指示されていない光学素子から識別可能に表示するための表示手段とを、前記左右のレンズ室とは分離された操作パネル上に配置したことを特徴として構成されている。
【0006】また請求項2記載の本発明は、請求項1記載の本発明において、前記指示手段は、光学素子のレンズ度数を指示するための度数指示手段と、検眼の補助に用いる光学素子を指示するための補助素子指示手段とを有し、前記表示手段は、前記度数指示手段にて指示されたレンズ度数を表示するための度数表示手段を有し、前記度数指示手段と前記度数表示手段とを相互に隣接配置すると共に、これら度数指示手段と度数表示手段の周囲に前記補助素子指示手段を配置したことを特徴として構成されている。
【0007】また請求項3記載の本発明は、請求項2記載の本発明において、前記度数指示手段は、測定に用いる光学素子のレンズ度数を概略的に指示するための粗指示手段と、測定に用いる光学素子のレンズ度数を小刻みに指示するための微指示手段とを有することを特徴として構成されている。
【0008】また請求項4記載の本発明は、請求項1乃至3記載の本発明において、前記表示手段は、前記指示手段にて指示された光学素子を指示されていない光学素子から識別可能に表示するための識別表示手段を有し、前記識別表示手段を、該識別表示手段の表示する光学素子を指示するための前記指示手段の近傍に配置したことを特徴として構成されている。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面に示した実施例に基づいて本発明を説明する。図5乃至図9は本発明の実施例であって、図5は図1に対応し、主としてレンズ室Rの外観を示す図、図6は図5の左右のレンズ室のうち左側のレンズ室Rの表カバーをとった状態を示す図、図7は図5のC−C’断面図、図8(a)は図6のD矢視部分断面図、図8(b)は図8(a)のE矢視部分断面図、図8(c)は図8(a)のF矢視断面図、図9は操作パネルの平面図である。
【0010】図5を図1と比較すれば明らかなように、本実施例のレンズ室Rは操作ハンドルを有せず、視野窓1内に挿入されているレンズの球面度数(Sphere)、乱視度数(Cylinder)、軸(Axis)が液晶等の表示素子によって表示される如く大型の表示パネルが設けられているので、デザイン的に極めてすっきりした外観になっている。後述する如く、レンズ室R内には各種レンズ等が内蔵されており、これらは、パルスモータの回転により切換えられる。パルスモータの回転を制御するために、レンズ室Rにはコード50を介して制御装置51が接続されており、さらに制御装置51には操作パネル52が接続されている。また図5から明らかなように、操作パネル52は、左右のレンズ室Rに対して所定距離隔てて分離配置されている。そしてこの操作パネル52(図9)に適当な情報を入力することにより、上述のパルスモータの回転を制御する信号が制御装置51からレンズ室Rに導入される。
【0011】次に、レンズ室Rの内部を順次説明していく。図7に示した如くレコス板14、3D間隔の球面レンズ15’を有するレンズ保持板15、0.25D間隔の球面レンズ16’を有するレンズ保持板16は従来と同様なものであって、中心軸18の周りに回転可能に設けられている。レコス板14の外周面にはギヤ14’’が形成され、図6に示したパルスモータ140のギヤヘッドが該ギヤ14’’に噛合している。保持板15の外周面及び保持板16の外周面にも各々ギヤ15’’、16’’が形成され、図6に示した、パルスモータ150のギヤヘッドが前者に、パルスモータ160のギヤヘッドが後者に噛合している。中心軸18の周りにはさらにレンズ保持板22が回転可能に設けられている。レンズ保持板22は−0.0625D、−0.125D、−0.1875Dの三種の球面レンズを内蔵すると共に開口が形成された補助レンズ板であり、その外周にはギヤ22’’が形成されパルスモータ220のギヤヘッド220’が噛合している。視野窓1に重なるレンズとしてはさらに、絶対値が等しく正負の異なる度数を有する2枚の円柱レンズ23’、24’がある。円柱レンズ23’は、固定部材25上に回転可能に保持された枠23に固定されており、円柱レンズ24’は枠23に回転可能に保持された枠24に固定され、両者でいわゆるストークスのクロスシリンダを構成している。枠23の回転は枠23の外周面に形成したギヤ23’’に噛合する大ギヤ26、大ギヤ26に噛合する伝達ギヤ27、伝達ギヤ27と共軸の大ギヤ28、大ギヤ28に噛合するパルスモータ230のギヤヘッド、を介してパルスモータ230により行なわれる。枠24の回転も同様に大ギヤ26’、28’等を介してパルスモータ240によって行なわれる(図6参照)。
【0012】レンズ保持板14、15、16、22の初期位置の設定は、図8に示した如く光電的な検出装置により行なわれる。すなわち、各レンズ保持板には初期位置に対応せしめて爪29が固定されており、一方、固定部材25に設けた軸25’のまわりには、回転部材30が回転可能に成っている。回転部材30は、各レンズ保持板14、15、16、22の爪29に係合する如き位置に係合爪31が設けられる共に、遮光板32が設けられており、固定部材25に一端を固定したバネ33の他端が固定されることにより待機位置に付勢されている。遮光板32は、爪29が爪31に係合して回転部材30をバネ33の力に抗して回転させると、フォトカプラー34の光路を遮光し、フォトカプラー34から初期位置信号が得られる如く作動する。レンズ保持板14、15、16、22の各々は、初期位置信号が得られた後、遮光板32が元の非遮光位置に復帰するに十分な所定量回転され、この位置がレンズ保持板14、15、16、22の初期位置となる。
【0013】一方、枠23、24の回転においても初期位置を設定するために光電的な検出装置が設けられている。すなわち、図6に示した如く、大ギヤ28、28’に固定した遮光板35(大ギヤ28’側のみ図示、大ギヤ28側は一点鎖線で先端の軌跡のみ図示した)が取付板36に固定のフォトカプラー37、37’の光路を遮光することによってフォトカプラー37、37’から初期位置信号が得られる如く作動する。
【0014】次に上述の装置の動作を説明する前に、乱視レンズの出し方、及びクロスシリンダと同等の機能を達成できる原理説明を行なう。図10に示した如く、円柱レンズ23’の度数が−D、その軸が基準方向lに対し角度α傾いており、一方、円柱レンズ24’の度数が+D、その軸が基準方向lに対し角度π−α傾いているとき、この2つの円柱レンズ23’、24’を重ねることにより得られるストークスのクロスシリンダの基準方向lに対し角度θ方向(以下、軸θと称す)の度数D0 は、【数1】

で表わされることが知られている。(1)式によれば、軸が45度において度数D0 が最小値−Dsin2αとなり、同135度において度数D0 が最大値+Dsin2αとなることがわかる。すなわち、軸45度、135度が主経線となり、乱視度数が±Dsin2αのクロスシリンダが得られることになる。ここで上述のストークスのクロスシリンダに、球面レンズ15’、16’、22’で形成した球面度数が−Dsin2αの球面レンズを重ねると、主経線が45度で乱視度数が−2Dsin2αの円柱レンズを作ることができる。この様子を図11に示す。図11中、等号の左辺はストークスのクロスシリンダ23’、24’と球面レンズ15’、16、’22’を重ね合わせたことを示し等号の右辺は、その結果得られるレンズを示す。上述の実施例では乱視度数を実質上0.125D間隔で変換するために、円柱レンズ23’、24’の乱視度数を3Dとし、また角度αを0.5度間隔で動かすように成すと、共に、補助レンズ板22の球面レンズ22’を適当に選択して他の保持板15、16の球面レンズ15’、16’に重ね合わせる如く成している。
【0015】例えば、度数C1 (=3sin2α)D、軸θ1 の円柱レンズを作るには、■角度αを変えることにより円柱レンズ23’、24’で乱視度数【数2】

のクロスシリンダを作り、■3枚の球面レンズ15’、16、’22’の組合せで球面度数【数3】

の球面レンズを作り、■クロスシリンダの軸がθ1になる如く、円柱レンズ23’、24’を同方向へ同一角度β回転せしめる、によればよい。なお上述のレンズの組合せでは、正確に0.125D間隔で乱視度数を変化させることはできないが、実用上は問題ない。
【0016】次に、乱視検査で重要なクロスシリンダを用いた検査、すなわち乱視度数の精密測定(図3参照)、乱視軸の精密測定(図4参照)は下記に詳述する如く、2枚の円柱レンズ23’、24’によって達成される。いま、視野窓1に度数C1D、軸θ1 度の円柱レンズが入っており、この状態で従来のいわゆるクロスシリンダを用いた検査を行なう場合を考える。
(イ)乱視度数の精密測定【0017】図12(a)、(b)において等号の左辺は従来の乱視度数の精密測定の場合の状態を示したもので、図12(b)は図12(a)においてクロスシリンダ11を反転した状態に相当する。図12(a)、(b)の右辺は、円柱レンズと球面レンズの組み合わせであって左辺と等価な組み合わせを示したものである。すなわち、図12(a)、(b)は、従来、乱視レンズとクロスシリンダとで行なっていた乱視度数の精密測定が、ストークスのクロスシリンダと球面レンズの重ね合わせで実現できることを示している。前述の如く、度数C1 Dは(3sin2α)Dに等しいから、角度αを変化させて、まず角度α1 により乱視度数【数4】

を作り(図12(a))、次に角度α2 により乱視度数【数5】

を作る(図12(b))。それにより、度数C1 D、軸θ1 の円柱レンズに乱視度数±0.25Dのクロスシリンダを重ねクロスシリンダを反転させたのと同じ作用を持たせることができる。乱視度数【数6】

から乱視度数【数7】

への移動は、パルスモータ230、240により枠23、24を回転することにより行われる。
(ロ)乱視軸の精密測定図13(a)、(b)のレンズ11、17’は、従来の円柱レンズとクロスシリンダを用いた場合(図3、図4参照)の各レンズを示したものであり、図13(a)、(b)のレンズ(23’、24’)、(15’、16、’22’)は、本例のストークスのクロスシリンダと球面レンズを用いた場合の各レンズを示したものであり、両者は図13(a)、(b)の乱視レンズ39に等号で結びつけられている如く、光学的には全く等価である。そして図13(b)は図13(a)においてクロスシリンダを反転した状態を示している。
【0018】図13(a)のように反転前の状態を考えると、C1 D、+0.25D、−0.25Dの3枚の円柱レンズの合成としてのレンズ系は、球面度数S2 、乱視度数C2 、軸θ2 の如き1枚のレンズ39にて置き換えが可能である。すなわち【数8】

である。
【0019】一方、このような球面度数S2 、乱視度数C2 、軸方向θ2 のレンズは、乱視度数【数9】

のクロスシリンダ23’、24’と球面度数【数10】

の球面レンズ15’、16、’22’とに分解することができる。軸θ2 は前述の如くクロスシリンダ23’、24’を回転すれば良い。
【0020】また、図13(b)のように反転後の状態を考えると、C1 D、+0.25D、−0.25Dの3枚の円柱レンズの合成としてのレンズ系は、球面度数S3 、乱視度数C3 、軸θ3 の如き1枚のレンズ40にて置き換えが可能である。すなわち【数11】

となり、乱視度数【数12】

軸θ3 のクロスシリンダ23’、24’と球面度数【数13】

の球面レンズ15’、16、’22’の組み合せから作ることが可能である。
【0021】図14に示したフローチャートに基づいて動作を説明する。操作パネル52の電源スイッチ53をオンする(図14のブロック510)と制御装置51が作動を開始する。すなわち、制御装置51は、パルスモータ140、150、160、220、230、240を各々回転せしめ(図14のブロック511)、レコス板14、レンズ保持板15、16、22、2枚の円柱レンズ23’、24’の初期設定を行ない(図14のブロック512)、待機する。このとき操作パネル52の表示窓54、及び左右のレンズ室Rの表示パネルの表示は全て零表示となる(図14のブロック513)。なお表示窓54の上側(R)は右眼用のレンズ室Rの視野窓1にセットされたレンズのデータであり、下側(L)は左眼用のレンズ室Rの視野窓1にセットされたレンズのデータである。
【0022】操作パネル52のボタン群55はレコス板14の設定用であり、上側のボタン群(R)は右眼用のレンズ室Rの視野窓1にセットされる光学部材の設定用である。またボタン群55の下側のボタン群(L)は左眼用であり、他の構成は右眼用と同じである。ボタン群55のいずれかがオンされると、制御装置51は対応するパルス数を求め(図14のブロック514)た後、左右のレンズ室Rの判別を行ない(図14のブロック515)、指定されたレンズ室Rのパルスモータ140に求めたパルス数のパルスを入力せしめる(図14のブロック516)。パルスモータ140は入力したパルス数だけレコス板14を回転する。その結果、視野窓1内には、指示した光学部材が挿入される。パルスの供給が終了すると、制御装置51は表示パネル52に設定完了信号を入力する(図14のブロック517)。その結果、オンしたボタンの表示灯l1 が点灯し、設定が完了したことを示す。
【0023】操作パネル52のボタン群56は、球面度数(SPH)、乱視度数(CYL)、軸(Ax)を設定するものであり、また一対のボタン57は、右眼用(RIGHT)もしくは左眼用(LEFT)の指示ボタンである。従って、右眼に球面度数−10.50Dを設定するには、一対のボタン57のうち右眼用のボタン(RIGHT)をオンした後、ボタン群56のボタンSPHをオンし、符号ボタンと数字キーによって−10.50をオンし、INボタンをオンすれば、制御装置51は、−10.50をパルス数に変換し(図14のブロック518)、左右の判別をし(図14のブロック519)、指定されたレンズ室Rのパルスモータ150,160に求めたパルス数のパルスを入力せしめる(図14のブロック520)。パルスモータ150,160は入力したパルス数だけレンズ保持板15,16を回転する。その結果、視野室1内には、指示した球面度数のレンズが挿入される。パルスの供給が終了すると、制御装置51は操作パネル52に設定完了信号を入力する。その結果、表示窓54の上側のSphereの表示窓には−10.50が表示される。
【0024】次に、右眼に乱視度数−1.75Dを設定するには、右眼用のボタン(RIGHT)をオンし、ボタン群56のボタンCYLをオンし、符号ボタンと数字キーによって−1.75をオンした後、INボタンをオンすれば、制御装置51は、クロスシリンダが【数14】

になる如きクロスシリンダの角度αを達成するためにパルスモータ230,240に与えるパルス数、及び【数15】

に対応する球面度数を球面レンズ15′,16′,22′にて作るために、パルスモータ150,160,220に与えるパルス数を求め(図14のブロック522)、左右の判別を行ない(図14のブロック523)、指定されたレンズ室Rのパルスモータ150,160,220,230,240に求めたパルス数のパルスを入力せしめる(図14のブロック524)。パルスモータ150,160,220,230,240は入力されたパルス数だけレンズ保持板15,16,22、枠23,24を回転する。その結果、視野窓1内には、指示した乱視度数のレンズが挿入される。パルスの供給が終了すると、制御装置51は操作パネル52に設定完了信号を入力するから(図14のブロック525)、表示窓54の上側のCylinderの表示窓には−1.75が表示される。
【0025】次に上述の如き設定した乱視レンズの軸を35度に設定する場合を考えると、右眼用のボタン(RIGHT)をオンし、ボタン群56のボタンAxをオンし、数字キーによって30をオンした後、INボタンをオンすれば、制御装置51は、クロスシリンダの回転角度βを演算し、パルスモータ230,240に与えるパルス数を求め(図14のブロック526)、左右の判別を行ない(図14のブロック527)、指定されたレンズ室Rのパルスモータ230,240に求めたパルス数のパルスを入力せしめる(図14のブロック528)。パルスモータ230,240は入力されたパルス数だけ枠23,24を回転する。このとき枠23,24の回転方向及び量は同一である。その結果、視野窓1内の軸が35度に設定される。パルスの供給が終了すると、制御装置51は操作パネル52に設定完了信号を入力するから(図14のブロック529)、表示窓54の上側のAxisの表示窓には30が表示される。
【0026】このようにして、所望の球面度数の球面レンズ、所望の乱視度数、軸の乱視レンズを設定することができる。また、クロスシリンダ検査は、操作パネル52上のCROSS CYLINDERと書かれた部分の4つのボタン58によって達成される。すなわち、乱視度数の精密測定を行ないたい場合にはボタンCYLをオンする。そうすれば、制御装置51は、角度α1 ,α2 を計算してパルス数に変換し(図14のブロック530)、左右の判別(一対のボタン57のいずれがオンされているかによる)を行ない(図14のブロック531)、4つのボタン58のうちの符号ボタン(+,−)のいずれかがオンされるまで待機する。符号ボタン(+,−)は、上述の角度α1 ,α2 のいずれを選ぶかの選択を行なうものである。符号ボタンがオンされると、パルスモータ150,160,220,230,240を駆動し(図14のブロック532)、設定が完了すると設定完了入力信号を操作パネル52に入力するので(図14のブロック533)、CYLボタンの表示灯l2 が点灯する。
【0027】次に、乱視軸の精密測定を行ないたい場合には、ボタンAxをオンする。そうすれば、制御装置51は、角度α1 ,α2 と球面度数Sとを計算し、パルス数に変換する(図14のブロック534)。あとは、乱視度数の精密測定と同様にパルスモータの制御、表示灯l3 の表示の制御が行なわれる。
【0028】操作パネル52にはさらにボタン群59が設けられているが、このボタン群59は、球面度数(SPH)、乱視度数(CYL)、軸(Ax)を各ボタンに表示した如き単位で小刻みに変化せしめるもので、一対のボタン57にて設定されているレンズ室R内のレンズが変化する。勿論、それに伴って表示窓54の表示も変化する。ボタン群59のCYLボタン、Axボタンは主に乱視度数、乱視軸の精密検査によって、被検者からプラス(+)とマイナス(−)のいずれか見易い方を答えてもらった後、その符号のボタン(例えば、乱視度数の精密測定時に、被検者がプラス(+)の方が見易いと答えた場合には、CYLボタンの+0.25をオンする)をオンするために使われる。以上の実施例では、操作パネル52のボタン操作によって、球面度数、乱視度数、軸の設定、クロスシリンダ検査、を自動的に行なえるので、装置の操作性が良い。従って、検者は楽な姿勢で操作ができる。
【0029】これまで説明したことから明らかなように、ボタン群55、56、59及びボタン57、58は、複数の光学素子のうちレンズ度数に関わる光学素子を指示するための(すなわちクロスシリンダやレコス板14上に配置された光学素子を視野窓内に配置するか否かを指示するための)及び又は光学素子のレンズ度数(球面レンズやクロスシリンダのレンズ度数)を指示するための指示手段を構成する。また表示窓54及び表示灯l1〜l3は、指示手段にて指示された光学素子のレンズ度数を表示するための及び又は指示手段にて指示された光学素子を指示されていない光学素子から識別可能に表示するための表示手段を構成する。そして図9から明らかなように、指示手段を構成するボタン群55、56、59及びボタン57、58と、表示手段を構成する表示窓54とが操作パネル52の盤面上に配置されている。
【0030】ここで指示手段についてより詳細に説明すると、上述したことから明らかなように、該指示手段を構成するボタン群55、56、59及びボタン57、58のうち、ボタン群56、59及びボタン57、58は光学素子のレンズ度数を指示するための度数指示手段を構成し、またボタン群55は検眼の補助に用いる光学素子(レコス板14に配置された光学素子)を指示するための補助素子指示手段を構成する。さらに度数指示手段を構成するボタン群56、59及びボタン57、58のうち、ボタン群56は測定に用いる光学素子のレンズ度数を概略的に指示するための粗指示手段を構成し、ボタン群59は測定に用いる光学素子のレンズ度数を小刻みに指示するための微指示手段を構成する。
【0031】また表示手段についてより詳細に説明すると、上述したことから明らかなように、該表示手段を構成する表示窓54及び表示灯l1〜l3のうち、表示窓54は度数指示手段にて指示されたレンズ度数を表示するための度数表示手段を構成し、表示灯l1〜l3は指示手段にて指示された光学素子を指示されていない光学素子から識別可能に表示するための識別表示手段を構成する。
【0032】最後に操作パネル52の盤面配置について説明すると、図9から明らかなように、ボタン群56、59及びボタン57、58にて構成された度数指示手段と、表示窓54にて構成された度数表示手段とが相互に隣接配置されており、これら度数指示手段と度数表示手段の周囲には(より詳細には上部には)ボタン群55にて構成された補助素子指示手段が配置されている。また表示灯l1〜l3にて構成された識別表示手段は、該識別表示手段の表示する光学素子の近傍に配置した表示灯l1〜l3の表示する光学素子を指示するための指示手段の近傍に配置されている。例えば遮光板の配置を指示する表示灯l1は、ボタン群55のうち遮光板の配置を指示するためのボタンの上部に配置されている。
【0033】
【発明の効果】以上述べた如く請求項1記載の本発明によれば、指示手段と表示手段とをレンズ室から分離された操作パネル上に配置したので、レンズ操作のためにレンズ室を見る必要がなくなる。したがって検者は、操作パネルを机上や膝上等の任意位置に保持した状態で常にチャートの方向を見ながら全ての操作が出来る。ひいては検眼時間が短縮でき、測定時における被検者の苦痛を軽減することができる。またレンズ室の視野窓を覗く被検者の視線を不用意に遮ることもないので、検者は楽な姿勢で測定を行うことができ、検眼作業を一層容易に行うことができる。さらに検者は被検者の視線を遮ることなく操作を行うことができるので、常に見やすい状態で操作パネルを見ることができ、表示を見ないで検眼操作を行なうことによる操作ミスを少なくすることができる。
【0034】しかも請求項2に記載の本発明は、度数指示手段と度数表示手段とを相互に隣接配置したので、これらが互いに近接し、度数指示手段と度数表示手段とを交互に見ながらレンズ度数を調整等することが一層容易となる。また使用頻度が比較的少ない補助素子指示手段を、度数指示手段と度数表示手段の間でなくその周囲に配置したので、度数指示手段と度数表示手段とを交互に見ながらレンズ度数を調整等する際にも補助素子指示手段が邪魔にならず、一方、補助素子指示手段が遠方でなく周囲に配置されているので、該補助素子指示手段をスムーズに使用することができる。
【0035】しかもまた請求項3に記載の本発明は、度数指示手段は、測定に用いる光学素子のレンズ度数を概略的に指示するための粗指示手段と、測定に用いる光学素子のレンズ度数を小刻みに指示するための微指示手段とを有することにより、検眼初期における概略的なレンズ度数の入力と、検眼途中における小刻みなレンズ度数の入力とをいずれも迅速に行うことができ、検眼時間の短縮化及び検眼作業の容易化を図ることができる。
【0036】さらに請求項4に記載の本発明は、表示手段は、指示手段にて指示された光学素子を指示されていない光学素子から識別可能に表示するための識別表示手段を有し、識別表示手段を、該識別表示手段の表示する光学素子を指示するための指示手段の近傍に配置したことにより、指示手段の近傍の識別表示手段によって光学素子の指示状態が容易かつ迅速に識別でき、検眼時間の短縮化及び検眼作業の容易化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
【出願日】 昭和57年(1982)9月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幹雄 (外1名)
【公開番号】 特開平11−56779
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平10−173902