| 【発明の名称】 |
内視鏡用可撓管 |
| 【発明者】 |
【氏名】松本 潤
【氏名】福田 尚久
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、過酸化物系滅菌処理を行っても外皮の劣化を生ずることなく、内視鏡としての機能が保持される内視鏡用可撓管を提供することを目的とするものである。
【解決手段】内視鏡の可撓管外皮14の少なくとも最外側の表面層の部分を、柔軟なゴム弾性を有する熱可塑性フッ素系エラストマーで形成し、過酸化物系滅菌処理の耐性を高めた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】外皮を有した内視鏡用内視鏡において、その可撓管外皮もしくは外皮の最外層を柔軟なゴム弾性を有する熱可塑性フッ素系エラストマーで形成したことを特徴とする内視鏡用可撓管。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内視鏡用可撓管に係わり、特に、内視鏡の挿入部やライトガイドケーブル等に用いられる可撓管の外皮を改良した内視鏡用可撓管に関する。 【0002】 【従来の技術】内視鏡では挿入部を十二指腸、小腸、大腸のような体腔の深部まで挿入するが、その際の挿入性を良くし、患者に与える苦痛を和らげるために、挿入部の大部分は可撓管(蛇管)によって構成されている。また、可撓管の外皮は防水上、非透水性樹脂により形成してある。ところで、内視鏡は繰り返し使用され、その使用の都度、洗滌や消毒を行う必要があることから、その可撓管の外皮としては非透水性のみならず、耐熱性があり、しかも、可撓性と弾性反発力があって挿入性を損なわないものが望まれてきた。 【0003】従来の内視鏡用可撓管として、特公平7−110270号公報において提案されたものが知られている。この従来の内視鏡用可撓管の外皮は熱可塑性ポリエステルエラストマーと熱可塑性ポリウレタンエラストマーを混合したもので形成するか、軟性PCV(ポリビニルクロライド)を配合した熱可塑性ポリウレタンエラストマーと熱可塑性ポリエステルエラストマーを混合したもので形成したものである。このような外皮により形成された内視鏡用可撓管によれば、耐熱性、弾性反発力及び挿入性等の性能に優れたものとすることができる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】前述した特公平7−110270号公報の内視鏡用可撓管の外皮は一応、耐薬性を有する。しかし、最近、多種多様な消毒剤や滅菌方法が開発実用化されてきている状況にあって、中でも、過酸化物系滅菌処理(たとえば、過酸化水素を用いた低温プラズマ滅菌)が短時間で効率的な消毒滅菌が行える等の理由で、現場の主流となりつつある。 【0005】しかしながら、前述した特公平7−110270号公報に提案された内視鏡用可撓管の外皮は最近、盛んに用いられるようになってきた過酸化物系滅菌処理に対して十分な耐薬品性が得られていない。そして、過酸化物系滅菌処理の環境下にさらすと、その外皮表面が劣化し、これにより肌荒れ、微細な割れを発生させるなど、内視鏡用可撓管としての使用が早期に困難となるという問題が起きていた。 【0006】本発明は、以上の問題点を鑑みてなされたものであり、過酸化物系滅菌処理を行っても外皮の劣化を生ずることなく、内視鏡としての機能が保持される内視鏡用可撓管を提供することを目的とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段および作用】前記課題を解決するために、本発明は、可撓管外皮を柔軟なゴム弾性を有する熱可塑性フッ素系エラストマーで形成した。また、可撓管外皮の内層(下層)を、ポリウレタンエラストマーやポリエステルエラストマー等の合成樹脂で形成し、その内層の外側の最外層の部分を柔軟なゴム弾性を有する熱可塑性フッ素系エラストマーで形成して構成した。 【0008】前記熱可塑性フッ素系エラストマーとしては、エチレン4フッ化エチレン共重合体をハードセグメントにビニリデンフロライド−ヘキサフロロプロピレン−テトラフロロエチレン3元共重合体をソフトセグメントにしたポリマーを用いるのが好ましい。商品名としてはダイエルサーモプラスチックを使用する。 【0009】上述の熱可塑性フッ素系エラストマーは、他のエラストマーの中で、耐酸性、耐油性、耐溶剤性、耐熱性が最も優れたエラストマーであり、その後に過酸化物系滅菌処理により滅菌を行った場合でも外皮表面が劣化することがない。従って、内視鏡の機能を損なうことはない。 【0010】本発明は、熱可塑性フッ素系エラストマーだけで可撓管外皮を形成する場合に限らず、他のエラストマーで形成した内層の外側に、熱可塑性フッ素系エラストマーによる外層を形成して外皮の最外表面部を形成するものでもある。この場合、他のエラストマーで弾性反発性を高めて、外層の熱可塑性フッ素系エラストマーで外皮の外側表面部分の耐性を向上させることが可能である。 【0011】以上のように、本発明によると、少なくとも一番外側に位置する外皮部分を熱可塑性フッ素系エラストマーにより形成して、過酸化物系滅菌剤を用いて滅菌を行っても可撓管の外皮の外表面を劣化させることなく、内視鏡の機能を有効に保持することができる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1はその実施形態に係る内視鏡全体の概略的な構成を示す斜視図であり、図2は内視鏡用可撓管の縦断面図である。 【0013】図1において示す如く、内視鏡1は、操作部本体2と、体腔内挿入部3と、ライトガイドケーブル4とを備える。前記体腔内挿入部3は操作部本体2側から先端側へ順に可撓管5、湾曲部6、先端構成部7が連設されて構成されている。前記湾曲部6は前記操作部本体2に設けられた湾曲操作ノブ8による遠隔的操作によって、所望の向きに湾曲させられるようになっている。前記ライトガイドケーブル4の延出側端には図示しない光源装置に接続されるコネクター部9が連設されている。コネクター部9には機種を示す表示プレート10が取り付けられている。 【0014】次に、図2を参照して体腔内挿入部3の可撓管5の構造を説明する。可撓管5は最も内側に位置して弾性帯状板をスパイラル状に巻回してなるフレックス(螺旋管)12を設け、このフレックス12の外周に、金属細線、或いは金属細線と合成樹脂繊維で編組されたブレード(網管)13を被嵌し、さらにブレード13の外周に可撓性を有する外皮14を順次積層して構成される。図2(a)での外皮14は単層のものであり、図2(b)の外皮14は内層14aと外層14bの2重層に形成したものである。 【0015】体腔内挿入部3の湾曲部6は複数の湾曲駒16の外周に、ブレード17を被嵌し、さらに、そのブレード17の外周に柔軟な外皮18を積層して構成される。可撓管5と湾曲部6とは最後端の湾曲駒16と、可撓管5のフレックス12とブレード13の先端を接続する接続口金19を介して接続されている。 【0016】また、可撓管5の外皮14と湾曲部6の外皮18は各端縁が突き当てられると共に、両端部にわたり糸21が密に巻き付けられる。糸21には接着剤22が塗布され、気密的に固められている。図2(b)での積層した外皮14にあってはその内層14aの先端縁が湾曲部6の外皮18の後端縁に突き当てられて同じく糸21及び接着剤22で固められ、その外周に外層14bが被せられるように形成されている。 【0017】以下、可撓管5の外皮14についての本発明の種々の具体的な実施形態を示す。 (第1実施形態)図2(a)で示す如く、可撓管5の外皮14の層が熱可塑性フッ素系エラストマーからなり、この外皮14は成形によって製作される。前記熱可塑性フッ素系エラストマーは次の様な構造のもの(ソフトセグメントとハードセグメントの共重合)が用いられている。すなわち、エチレン4フッ化エチレン共重合体をハードセグメントにビニリデンフロライド−ヘキサフロロプロピレン−テトラフロロエチレン3元共重合体をソフトセグメントにしたポリマーからなる。このような成分の熱可塑性エラストマーを用いて、押出成形により外皮14を形成する。前記熱可塑性フッ素系エラストマーとしてダイエルサーモプラスチックT−530(ダイキン)を使用する。外皮14の外表面は加熱により平滑化されている。 【0018】(第2実施形態)図2(b)で示す如く、可撓管5の外皮14においての内層14aを、ポリエステルエラストマーとポリウレタンエラストマーをブレンドしたものを用いて、押出成形により内層14aを形成し、さらにこの内層14aの外周上に、熱可塑性フッ素系エラストマーで押出成形して最も外側外皮としての外層14bを形成する。さらに、このように形成された可撓管5の外皮14において最外側の外層14bを電子線架橋により加硫処理を行う。前記熱可塑性フッ素系エラストマーとしてダイエルサーモプラスチックT−550(ダイキン)を使用する。 【0019】(第3実施形態)図2(b)で示す如く、可撓管5の外皮14においての内層14aを、ポリウレタンエラストマーを用いて、押出成形により形成し、さらにこの内層14aの外周上に、熱可塑性フッ素系エラストマーで押出成形して、最も外側外皮としての外層14bを形成する。 【0020】前記熱可塑性フッ素系エラストマーとしては、ダイエルサーモプラスチックT−630(ダイキン)を使用する。このT−630に加硫剤を添加しておき、外皮14が形成された可撓管5を加熱することにより加硫処理を行う。 【0021】以上の第1〜3の実施形態の可撓管5の内視鏡を低温プラズマ滅菌法により滅菌処理を行った。滅菌処理は次のようにして行われた。まず滅菌チャンバー内に内視鏡を導入した後、滅菌チャンバー内を0.3Torrに減圧した。ついで、58%の過酸化水素水溶液を滅菌チャンバー内に注入した。その結果、過酸化水素水溶液が瞬時に気化して、ガス状の過酸化水素(H2 O2 )が滅菌チャンバー内全体に拡散する。 【0022】次に、滅菌チャンバー内を再び減圧して高周波エネルギーを印加し、過酸化水素(H2 O2 )の低温プラズマ状態を生成した。この低温プラズマから発生した活性種フリーラジカルの作用により内視鏡に付着する微生物は死滅する。 【0023】この滅菌処理を15分程度行った後、高周波エネルギーの印加を停止すると低温プラズマ状態は瞬時に終了し、活性種フリーラジカルは消滅した。最後に滅菌チャンバー内に清浄な空気を導入し、滅菌チャンバー内を大気圧に戻して滅菌処理工程を完了した。第1〜3の実施形態の内視鏡につき、以上のような過酸化水素低温プラズマ滅菌を100例につき行ったときの外観変化の検査結果を下記の表に示す。 【0024】 【表1】
【0025】前記表1に示すように、現行の可撓管は過酸化水素低温プラズマ滅菌により内視鏡可撓管の表面外観が表面荒れ、白化、マイクロクラックが発生し、表面劣化が生じたが、本発明による、最外層の外皮部分に熱可塑性フッ素系エラストマーを用いた場合にはいずれのものも過酸化水素低温プラズマ滅菌によって外皮に変化が生じることはなかった。 【0026】尚、本発明は前述した実施形態のものに限られるものではない。本発明の対象とする可撓管は柔軟なゴム弾性を有する外皮を形成する内視鏡の他の部分、例えば湾曲部やライトガイドケーブル等にも適用することができるものである。また、内視鏡は、通常、可撓管、湾曲部、及びこれらを接続する接続部より構成され、本発明の内視鏡では、これら全ての表面層の部分を、前記コーティング層で被覆してもよいが、これらのうちの1つまたは2つの外表面を前記コーティング層で被覆してもよい。また、これらの全ての外表面部分を、同材質の柔軟なゴム弾性を有する熱可塑性フッ素系エラストマーで形成してもよいが、それぞれ異なる材質のもので形成してもよい。 【0027】そして、前記実施形態によれば少なくとも下記に列挙する事項、及び各項の組み合わせのものが得られる。 [付記] 1.外皮を有した内視鏡用内視鏡において、その可撓管外皮もしくは外皮の最外層を柔軟なゴム弾性を有する熱可塑性フッ素系エラストマーで形成したことを特徴とする内視鏡用可撓管2.外皮を有した内視鏡用内視鏡において、その可撓管外皮は、ポリウレタンエラストマーやポリエステルエラストマー等の合成樹脂の内層を形成し、この内層の上に熱可塑性フッ素系エラストマーで形成した外層を形成して構成したことを特徴とする内視鏡用可撓管。 3.第1項もしくは第2項において、この熱可塑性フッ素系エラストマーを加硫及び電子線架橋処理を施したことを特徴とする内視鏡用可撓管。 【0028】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、可撓管の外皮の少なくとも最外層部分が熱可塑性フッ素系エラストマー製であるため、過酸化物系滅菌処理を行ってもその外皮の表面が劣化することなく、内視鏡の機能を有効に保持することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000376 【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月27日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−56762 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−231085 |
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