| 【発明の名称】 |
内視鏡湾曲部の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】外山 隆一
【氏名】棚井 均
|
| 【要約】 |
【課題】作業性に優れた内視鏡湾曲部の製造方法を提供する。
【解決手段】歯車53を芯金ガイド55にセットして芯金51を転がすと、芯金ガイド55のラック歯車と歯車53とがかみ合いながら回転するため、網状被覆44をセットした芯金51がスクリーン版57の表面と接触し、スクリーン版57の帯状部分に浮き出た柔軟性樹脂が網状被覆44と接触する。この状態でさらに歯車53を回転することによって、網状被覆44の全周に帯状に柔軟性樹脂が塗布される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 関節部を形成する互いに回動可能に連結された複数の節輪に、細長の素線を円筒状に編むことで形成された網状被覆を被覆する第1の工程と、前記網状被覆の少なくとも一部に柔軟性樹脂を塗布する第2の工程とを備えた内視鏡の湾曲部の製造方法において、前記第2の工程は、スクリーン印刷により前記柔軟性樹脂を塗布し固着させることを特徴とする内視鏡湾曲部の製造方法。 【請求項2】 関節部を形成する互いに回動可能に連結された複数の節輪に、細長の素線を円筒状に編むことで形成された網状被覆を被覆する第1の工程と、前記網状被覆の少なくとも一部に柔軟性樹脂を塗布する第2の工程とを備えた内視鏡の湾曲部の製造方法において、前記第2の工程は、前記柔軟性樹脂を加熱溶融した状態で塗布し、冷却固化させて前記網状被覆に固着させることを特徴とする内視鏡湾曲部の製造方法。 【請求項3】 関節部を形成する互いに回動可能に連結された複数の節輪に、細長の素線を円筒状に編むことで形成された網状被覆を被覆する第1の工程と、前記網状被覆の少なくとも一部に柔軟性樹脂を塗布する第2の工程とを備えた内視鏡の湾曲部の製造方法において、前記第2の工程は、前記柔軟性樹脂を前記網状被覆に対して被覆した後に、前記柔軟性樹脂を加熱溶融して前記網状被覆に対して前記柔軟性樹脂を固着させることを特徴とする内視鏡湾曲部の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は内視鏡湾曲部の製造方法、更に詳しくは網状被覆への柔軟性樹脂の塗布部分に特徴のある内視鏡湾曲部の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、内視鏡には所要の観察・処置をしたり挿入性を高めたりするため、その挿入部に湾曲部を形成し、この湾曲部を手元側操作部側からの遠隔操作により強制的に湾曲し得るようになっている。 【0003】ところで、一般の湾曲部においては、湾曲部先端に操作ワイヤを固着してそれを引っ張って湾曲形状を操作する構造をとっている関係から、操作ワイヤを引っ張った際の湾曲部先端側の曲げモーメントは小さく、逆に基端側の曲げモーメントは大きくなる。そのため、湾曲部は先端側より基端側の方が優先的に曲がっていくことになる。 【0004】しかし、実際の使用状況においては先端側に近い部分から湾曲し始める方が先端が小回りするので、狭い管腔内での挿入性・観察性の点から望ましい。 【0005】そこで、この現象を解決する手段として、湾曲部に被装される網状被覆に柔軟性樹脂を充填する方法が知られている。 【0006】例えば、網状金属被覆は、金属製の細長の素線を密着して並べた素線帯を円筒状に編むことで構成されており、この素線帯によって菱形状の網目が形成されている。この網目間に柔軟性樹脂を充填して、網状被覆の弾力性を部分的に変化させる。 【0007】例えば特公平8−17766号公報によると、網状被覆の円周上の軸線方向の所定の位置までの部位に、柔軟性樹脂を充填して部分的に硬さの変化を持たせている。この構造によれば柔軟性樹脂を充填した部分は湾曲しないか、あるいは緩い角度で湾曲するようになるので、網状被覆の手元側に柔軟性樹脂を充填することによって、湾曲部は先端側から優先的に曲がるようになる。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、網状被覆に柔軟性樹脂を塗布する構造は、非常に生産しにくいという問題を有していた。 【0009】例えば、図29に示すように、湾曲の骨組みを構成する関節部136の網状被覆144部分にマスキング151を施し、外表面から刷毛塗りまたはスプレーにより柔軟性樹脂を塗布する方法が考えられる。 【0010】しかし、このような方法では、塗布した柔軟性樹脂が湾曲部内部に浸透しやすいという問題があり、樹脂が内部に浸透すると湾曲の作動悪化の原因となるため、そうならないよう細心の注意が必要であり、作業性が極めて悪いという欠点がある。 【0011】他に以下の方法も考えられる。すなわち、図30に示すように、関節部に組み付ける前の網状被覆144に金属製の円柱部材である芯金161を通してマスキングテープ162によりマスキングを施し、スプレーによる吹き付け、刷毛塗り、浸漬等により柔軟性樹脂を塗布する。塗布後は柔軟性樹脂が乾燥するのを待って芯金から網状被覆を取り外し、関節に被覆した後両端を関節に対して半田付け等により固定する。 【0012】これによれば、前記のように柔軟性樹脂が関節内部に浸入して作動不良を起こす虞はないが、網状被覆の両端を関節に対して半田付けで固定する関係上、両端部に対してのマスキングが必要となり、正確なマスキング作業は非常に面倒であり、やはり生産性が悪いという問題がある。 【0013】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、網状被覆に柔軟性樹脂を塗布した内視鏡湾曲部の製造方法において、作業性に優れた内視鏡湾曲部の製造方法を提供することを目的としている。 【0014】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の内視鏡の湾曲部の製造方法では、関節部を形成する互いに回動可能に連結された複数の節輪に、細長の素線を円筒状に編むことで形成された網状被覆を被覆する第1の工程と、前記網状被覆の少なくとも一部に柔軟性樹脂を塗布する第2の工程とを備えた内視鏡の湾曲部の製造方法において、前記第2の工程は、スクリーン印刷により前記柔軟性樹脂を塗布し固着させる。 【0015】請求項2に記載の内視鏡の湾曲部の製造方法では、前記第2の工程は、前記柔軟性樹脂を加熱溶融した状態で塗布し、冷却固化させて前記網状被覆に固着させる。 【0016】請求項3に記載の内視鏡の湾曲部の製造方法では、前記第2の工程は、前記柔軟性樹脂を前記網状被覆に対して被覆した後に、前記柔軟性樹脂を加熱溶融して前記網状被覆に対して前記柔軟性樹脂を固着させる。 【0017】請求項1ないし3に記載の内視鏡の湾曲部の製造方法では、網状被覆に柔軟性樹脂を塗布した内視鏡湾曲部の製造方法において、作業性に優れた内視鏡湾曲部の製造方法を実現することを可能とする。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について述べる。 【0019】図1ないし図11は本発明の第1の実施の形態に係わり、図1は内視鏡装置の構成を示す構成図、図2は図1の湾曲部の長手方向の断面を示す断面図、図3は図2の網状被覆の構成を示す構成図、図4は図3の網状被覆の製造方法を説明する第1の説明図、図5は図3の網状被覆の製造方法を説明する第2の説明図、図6は図3の網状被覆の製造方法を説明する第3の説明図、図7は図3の網状被覆の製造方法を説明する第4の説明図、図8は図3の網状被覆の製造方法の第1の変形例を説明する説明図、図9は図3の網状被覆の製造方法の第2の変形例を説明する説明図、図10は図3の網状被覆の製造方法の第3の変形例を説明する第1の説明図、図11は図3の網状被覆の製造方法の第3の変形例を説明する第2の説明図である。 【0020】図1に示すように、第1の実施の形態の内視鏡装置1は、体腔内の観察部位を撮像する電子内視鏡2と、この電子内視鏡2に照明光を供給する光源装置3と、電子内視鏡2に内蔵された撮像素子に対する信号処理を行うビデオプロセッサ4と、このビデオプロセッサ4から出力される映像信号を表示するカラーモニタ5と、電子内視鏡2の観察窓を洗浄するために送気及び送水をそれぞれ行う送気装置6及び送水装置7と、ビデオプロセッサ4と接続され、映像信号を記録及び再生するVTRデッキ8と、映像信号を記録する大容量の記録装置であるビデオディスク9と、カラーモニタ5に表示された内視鏡像のハードコピーを得るビデオプリンタ10とを有する。 【0021】電子内視鏡2は、可撓性を有する細長の挿入部11と、この挿入部11の後端に形成された太幅の操作部12と、この操作部12から延出されたユニバーサルコード13とを有し、ユニバーサルコード13の末端に設けたコネクタ14を光源装置3に着脱自在で接続することができるようになっている。また、コネクタ14より延出するアダプタ4aを介してビデオプロセッサ4が接続されている。 【0022】挿入部11は、先端側から硬質の先端構成部15と、湾曲自在の湾曲部16と、長尺の可撓部17とが順次形成されており、操作部12に設けたグリップ部18を把持してアングルノブ19を回動する操作を行うことにより、湾曲部16を上下、左右方向等に湾曲することができる。なお、前記挿入部11の基端には破損を防止するための折れ止めカバー20が設けられている。 【0023】また、先端構成部15には、挿入部11に内挿された鉗子チャンネルの開口15dが設けられており、鉗子チャンネルの他方の開口は、操作部12に設けられた鉗子開口部21と連通している。この鉗子開口部21には、必要に応じて鉗子栓22が取り付けられる。 【0024】さらに、先端構成部15には、観察部位を光源装置3からの照明光により照明するための照明窓15cと、観察部位の像を取り込む観察窓15bと、観察窓15bに向かって送気や送水を行うことができるノズル15aとが設けられている。 【0025】前記ユニバーサルコード13のコネクタ14は、送気装置6と送水装置7と共に吸引装置23に接続されている。 【0026】また、ユニバーサルコード13のコネクタ14より延出するアダプタ4aを介してビデオプロセッサ4が接続されており、ビデオプロセッサ4にはカラーモニタ5、VTRデッキ8、ビデオプリンタ10及びビデオディスク9等が接続されている。 【0027】前記操作部12には、ビデオプロセッサ4を操作するスイッチ24と、挿入部11の先端構成部15に開口するノズル15aへ連なり送気、送水するための送気送水切換装置25と、吸引するための吸引操作装置26が設けられている。 【0028】図2に示すように、可撓部17は細長の可撓性を有した筒状部材である蛇管31を有し、この蛇管31は細い板状の金属部材を螺旋状に巻いて筒状にしたフレックス32を有している。そして、フレックス32の上には、細い金属素線を編んで筒状に形成した網状被覆33が被覆され、さらにこの網状被覆33の上に樹脂34が溶着被覆されている。 【0029】蛇管31の一端には湾曲部16と接続される円筒状の口金35が一体に取り付けられており、蛇管31の他端は電子内視鏡2の操作部12と連結されている。 【0030】前記口金35の外周には、湾曲部16の関節部36の円筒状の一端36aが嵌合されており、両者は接着剤等により一体的に固定されている。前記関節部36は、薄肉円筒状の金属部材である節輪37を複数組み合わされることにより形成され、各節輪37同志は、関節ピン38を中心にして、互いに回動可能に連結されている。 【0031】前記関節部36の他端36bには円柱状の金属部材である先端ブロック39が一体に取り付けられている。この先端ブロック39にはその長手方向に複数の孔が設けられており、その孔に対して、前記照明窓15c、前記観察窓15b(図示せず)、固体撮像素子(図示せず)、ライトガイド40、鉗子チャンネル41の開口15dが固定されている。 【0032】関節部36の内部には、4本の操作ワイヤ42が関節部36の上下左右の内面に対してそれぞれ配置されている。前記操作ワイヤ42は、蛇管31の内部では、先端部が口金35の内面に固定された中空円筒状の可撓性部材であるコイルパイプ43の内部に挿通されている。 【0033】前記操作ワイヤ42は、関節部36の内部では、節輪37の内周面に固着された円筒状部材であるワイヤ受け42aの内部に挿通されており、これにより先端ブロック39まで誘導されて、操作ワイヤ42の先端部は先端ブロック39に対して固着されている。また、操作ワイヤ42の他端はコイルパイプ43を介して操作部12内に誘導されており、アングルノブ19に連動して、牽引操作されるようになっている。 【0034】また、関節部36は網状被覆44が被覆されており、その両端は関節部36の端部36a、36bに対して半田付け固定されている。 【0035】図3に示すように、網状被覆44は、金属製の細長の素線45を密着して並べた素線帯46を円筒状に編むことで構成されており、図2に示すように、網状被覆44の基端部から湾曲部の途中まで、柔軟性樹脂47がその網間及び網上に塗布されている。なお、柔軟性樹脂47の具体例としては、シリコンゴム、ウレタン、弾性接着剤等が考えられる。 【0036】図2に示すように、網状被覆44の上層には、筒状の軟質ゴム部材である弾性被覆48が被覆されており、その先端側端部48aは、前記先端ブロック39に対して糸で縛った後その糸の上から接着剤を塗布する事で固定されていて、操作部12側の端部48bも同様の方法で蛇管31に対して固定されている。 【0037】なお、図2では説明を簡単にするため、蛇管31、関節部36に内蔵される各種内蔵物は図示は省略している。 【0038】次に、本実施の形態の要旨である網状被覆44の製造方法について説明する。 【0039】図4に示すように、網状被覆44は、その中心に金属製の円柱である芯金51が挿入されている。 【0040】芯金51の外径は、節輪37の外径と同等かやや大きくなっており、網状被覆44を湾曲部16に組み付ける際に、網状被覆44と節輪37との摩擦抵抗があまり大きくならないようにしている。 【0041】このとき、芯金51に対して網状被覆44の両端は、粘着テープ52で張力を掛けて固定されており、網状被覆44の内面と芯金51の外面とは密着している。 【0042】そして、図5に示すように、芯金51の両端には、網状被覆44を芯金に固定した後に、歯車53が中心軸を同一にして取り付けられている。つまり、歯車53と中心軸を同一にして雄ネジ53aが一体に設けられており、これを芯金51の端部に設けられた雌ネジ51aに螺合することによって、歯車53と芯金51との接続がなされている。 【0043】図4に戻り、両端の歯車53は、平板54に平行に設けられた2つの凹状の溝である芯金ガイド55に配置され、芯金ガイド55間の距離は上記歯車53を芯金51にセットした時の歯車53間の距離となっている。そして、図6に示すように、芯金ガイド55の溝の底面にはラック歯車56が設けられており、歯車53はこのラック歯車56に対して噛み合うようになっている。 【0044】図4に戻り、平板54にはナイロン、ポリエステル、ステンレス等で編まれたメッシュの表面にフォトレジストによってパターンが形成されたスクリーン版57が配置され、このスクリーン版57の裏側で柔軟性樹脂をスクイージして、レジストで覆われていないメッシュの部分から柔軟性樹脂を押し出すようになっている。本実施の形態では、図4に示すとおりメッシュを複数の平行な帯状に形成している。 【0045】なお、柔軟性樹脂は、溶剤により適度に希釈されている。この希釈量を変化させることで網状被覆44への付着量を調整することが可能であり、柔軟性樹脂塗布部分の弾性を内視鏡の用途に合わせて容易に変化できる。 【0046】また、歯車53の大きさは、ラック歯車56に噛み合わせた時に、芯金51に取り付けた網状被覆44とスクリーン版57の表面とが接触するような大きさになっている。また、芯金ガイド55の溝の幅は、歯車53の幅と略同一であり、芯金ガイド55に歯車53をセットしたとき、軸方向へのずれが生じないようになっている。 【0047】本実施の形態では、芯金51の両端には歯車53を設けているが、歯車53の代りに同様の大きさが摩擦係数の大きい硬質ゴム製のローラを取り付けることも考えられる。このようなローラを用いれば歯車に比べて回転がスムーズになるため、樹脂塗布部分の膜厚が均一になりやすいというメリットがある。 【0048】そして、歯車53を芯金ガイド55にセットして芯金51を転がすと、芯金ガイド55のラック歯車56と歯車53とがかみ合いながら回転するため、網状被覆44をセットした芯金51がスクリーン版57の表面と接触し、スクリーン版57の帯状部分に浮き出た柔軟性樹脂が網状被覆44と接触する。 【0049】この状態でさらに歯車53を回転することによって、図7に示すように、網状被覆44の全周に帯状に柔軟性樹脂が塗布されることになる。塗布した樹脂は網状被覆44の編み目間に浸透しており、編み目間に浸透させることで、単に網状被覆44の表面に塗布するより湾曲抵抗を大きくすることが可能であるため、少量の柔軟性樹脂の塗布でも十分な湾曲形状の改良がなれさる。従って使用する材料が少なくて済みコストダウンにつながる。 【0050】編み目間に樹脂を効率的に浸透させる方法としては、図8に示すように、芯金51をある程度柔軟性のある部材、例えばシリコンゴム等で形成し、樹脂塗布後に軽く数回曲げることが考えられる。このようにすると、網状被覆を構成する素線が動いて柔軟性樹脂を素線間に引き込むため、より編み目間に樹脂が浸透するようになる。 【0051】また、本実施の形態では、主に芯金51の自重によってスクリーン版57に網状被覆44を圧接させているが、より確実に接触させるために板バネや重り等を用いて芯金51をスクリーン方向へ強く圧迫させる方法を用いても良い。 【0052】樹脂塗布後の乾燥行程は、図9に示すように、芯金51に網状被覆44をセットしたまま、中心軸を水平方向にして中心軸回りにゆっくりと回転させながら乾燥させる。具体的には上面に半円状の切り欠きを有したブロック61を2つ用意して、芯金51の両端部に配置し、この切り欠き上に芯金51を乗せるようにして水平に保ち、モーター等の動力(図示せず)で回転駆動する歯車62に歯車53を噛み合わせることで乾燥を行う。 【0053】このようにすることで、柔軟性樹脂の液垂れを防止し、塗布厚が不均一になることを防止することができる。 【0054】ただし、乾燥方法はこれに限るものではなく、例えば図10に示すように、切り欠き固定具63で網状被覆44の中心軸が鉛直方向になるように固定して乾燥させても良い。このようにすれば樹脂の塗布厚が周方向には一定になる。そのため塗布厚が周方向で不均一なために生じる、操作した方向とは違う方向に湾曲してしまう現象を避けることができる。 【0055】また、網状被覆44の先端側を鉛直上向きにすると、乾燥中に重力により柔軟性樹脂が下方に移動するので、図11に示すように、後端側の樹脂厚さが厚く、先端側が薄い状態で固着される。このようにすると網状被覆44の後端から先端に向けて順次柔軟性樹脂の塗布厚が薄くなるので、湾曲抵抗もそれにつれて少しづつ減少していく。その結果、樹脂塗布部分と非塗布部分との間で急激に湾曲抵抗が変化しないため、局所的に急激な湾曲をすることによる内蔵物や網状被覆44の破損を防ぐことができる。 【0056】樹脂乾燥後は、図7に示すように、網状被覆44を必要な長さにカットしてそのカットした網状被覆44を関節部36に被覆し、柔軟性樹脂塗布部分の先端を所定の位置に合わせて、その後両端を節輪にロー付け固定することで湾曲部16に組み付ける。 【0057】このように本実施の形態である予め樹脂を塗布した網状被覆44を組み付ける方法によれば、関節部36に網状被覆44を組み付けた状態で塗布する場合と比較して、樹脂が関節内部に浸入して作動不良を起こす虞がない。 【0058】また、芯金51と網状被覆44とを密着させて樹脂塗布しているので、塗布部の内径が小さすぎて関節部36に組み付かなかったり、逆に内径が大きすぎて関節部36の間に余分な隙間が生じたりする不具合がない。 【0059】従って、本実施の形態では、マスキングをする必要がなく、さらにに複数の網状被覆44に対して同時に樹脂の塗布を行えるため、非常に生産性が良く、また網状被覆44を湾曲部16に組み付ける前に柔軟性樹脂の塗布・乾燥が完了しているため、塗布した柔軟性樹脂が湾曲部16内部に侵入して湾曲部16の作動不良を起こす虞がないという効果がある。 【0060】なお、網状被覆44を関節部36に組み付けた後、使用している樹脂が熱可塑性のもの(例:ウレタン等)であれば、網状被覆44との密着性をより高めるために、加熱溶融させて樹脂を素線間の深部まで浸透させるようにしても良い。また、溶剤で希釈した樹脂は、乾燥時に溶剤が揮発する際に微小な穴や気泡が多数存在するが、加熱溶融することでこれらを軽減することができ、繰り返し使用でそれから亀裂が発生してしまうという不具合の解消にも効果がある。これは特に網状被覆44を関節部36に組み付けた後でなくとも、組み付け前の網状被覆単体の状態で行っても良い。 【0061】また、塗布した樹脂が柔軟性で劣るものの場合は、樹脂乾燥後に網状被覆44を繰り返し湾曲させてならしておく方法が考えられる。このような方法により、湾曲に伴い樹脂に発生する微小な亀裂を製造段階で飽和状態にしておけるので、繰り返し使用するにつれて網状被覆44の弾性が変化する、即ち湾曲部16の湾曲形状が次々と変化してしまい、ユーザーが操作感の変化に戸惑うという事態を回避できる。 【0062】本実施の形態では、網状被覆44単体で樹脂を塗布しているが、他に網状被覆44を関節部36に組み付けた後に、内部に芯金51を挿入して前記と同様の方法で柔軟性樹脂を塗布するようにしても良い。このようにすると、前記のような柔軟性樹脂の端部位置合わせ作業がなくなるため、生産性が向上する。 【0063】図12ないし図14は本発明の第2の実施の形態に係わり、図12は網状被覆の製造方法を説明する第1の説明図、図13は図12の網状被覆の製造方法を説明する第2の説明図、図14は図12の網状被覆の製造方法を説明する第3の説明図である。 【0064】第2の実施の形態は、第1の実施の形態とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。 【0065】図12に示すように、本実施の形態では、網状被覆44は、芯金50に対して粘着テープ52がその両端を固定され、網状被覆44上には、樹脂の非塗布部分に対して粘着テープ52が帯状に巻かれてマスキングされている。 【0066】また、本実施の形態では、図13に示すような略中央に円形孔71を有する直方体のブロックであるダイス72が用いられる。円形孔71は、その内径が網状被覆44の外径より若干大きく形成されている。また、円形孔71の内周面には噴出孔73が等間隔に複数設けられ、各噴出孔73はダイス72の内部で全てつながっており(図示せず)、さらに供給管74に対して連通している。 【0067】そして、図14に示すように、芯金51にセットした網状被覆44を、ダイス72の円形孔71と芯金51の中心軸とを一致させて、一定速度で円形孔71内に通す。この際、供給管74を介して、溶融した柔軟性樹脂が噴出孔73に供給される。 【0068】この結果、網状被覆44には、噴出孔73から噴出した溶融樹脂が(ダイス72の円形孔71の内径−網状被覆44の外径)÷2の塗布厚で塗布される。塗布後は、樹脂が冷却固化するまで放置して、粘着テープ52であるマスキングを外す。 【0069】その後の網状被覆44の関節部36への組付けは、第1の実施の形態と同じである このように本実施の形態では、第1の実施の形態の効果に加え、第1の実施の形態のように柔軟性樹脂を塗布した後に溶剤を乾燥する工程がいらず、塗布した柔軟性樹脂を冷却するだけで良いので、生産に要する時間が少なくて済み、生産コストが安いという効果がある。 【0070】図15及び図16は本発明の第3の実施の形態に係わり、図15は網状被覆の製造方法を説明する第1の説明図、図16は図15の網状被覆の製造方法を説明する第2の説明図である。 【0071】第3の実施の形態は、第1の実施の形態とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。 【0072】本実施の形態では、図15に示すように、網状被覆44は関節部35に取り付けられ、この関節部36に薄肉円筒状の柔軟性樹脂部材である熱溶着チューブ81を、図16(a)に示すように、関節部36の長手方向後端から中央付近にかけて被覆するようにする。なお、熱溶着チューブ81の内径は、関節部36の外径とほぼ同等となっている。 【0073】熱溶着チューブ81の被覆後は、図16(b)に示すように、熱溶着チューブ81を加熱することで、熱溶着チューブ81を溶融し、網状被覆44の編み目間に樹脂を浸入させる。 【0074】そして、十分に熱溶着チューブ81の樹脂が網状被覆44に浸透し、冷却固化することで網状被覆44に対して柔軟性樹脂が固着される。 【0075】なお、熱溶着チューブ81としては、特にウレタン樹脂で硬度60〜70°のものが好適であり、溶融後に網状被覆との付着力が良好である。また冷却固化後に十分な柔軟性と弾発生を有するため湾曲形状が非常に良好であり、しかも比較的安価なため生産コストも安いというメリットがある。 【0076】このように本実施の形態では、第1の実施の形態の効果に加え、第1の実施の形態のように溶剤で希釈した液状の柔軟性樹脂を塗布した場合には、その塗布むらが問題となるが、本構成によれば円筒状の柔軟性樹脂を被覆するだけなのでそのような問題が発生しない。 【0077】またマスキング作業を行う必要がなく、特別な生産設備も必要ないので、生産コストが非常に安いという効果もある。 【0078】図17ないし図25は本発明の第4の実施の形態に係わり、図17は網状被覆の製造方法を説明する第1の説明図、図18は図17の網状被覆の製造方法を説明する第2の説明図、図19は図17の網状被覆の製造方法を説明する第3の説明図、図20は図17の網状被覆の製造方法を説明する第4の説明図、図21は図17の網状被覆の製造方法を説明する第5の説明図、図22は図17の網状被覆の製造方法を説明する第6の説明図、図23は図17の網状被覆の製造方法を説明する第7の説明図、図24は図17の網状被覆の製造方法を説明する第8の説明図、図25は図17の網状被覆の製造方法を説明する第9の説明図である。 【0079】第4の実施の形態は、第1の実施の形態とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。 【0080】本実施の形態では、図17に示す操作ワイヤ42を備えた関節部36に、図18に示すように、網状被覆44を被覆し、後端側で節輪37とロー付け固定する。 【0081】次に、図19に示すように、関節部36と網状被覆44との間に先端側からテフロンチューブ91を挿入する。テフロンチューブ91の内径は、関節部36の外径と略同一に作られており、被覆すると節輪37表面とテフロンチューブ91との内面とがしっかりと密着し、水密を保つようになっている。 【0082】本実施の形態では、外径が同一の通常のチューブを使用しているが、後端部のみ内径を節輪37の外径と略同一にして水密を保ち、他の部分は節輪37の外径よりも若干大きめにする方法が考えられる。このようにすれば組み付け時に生じるチューブと関節との抵抗を減らすことができるメリットがある。 【0083】なお、上記ではチューブの材料にテフロンを用いているが、特にこれに限られるものではなく、例えばゴアテックス等の滑り性の良好な材料を使用して組み付け時の滑り性を向上させたり、ゴムのように弾力性の強い材料で内径が節輪37よりも若干小さいチューブにして節輪との密着性を高めたりしても良い。 【0084】テフロンチューブ91は、図20に示すように、後端側の固着部に突き当たるまで挿入し、その後に網状被覆44の上からゴムバンド92で網状被覆44とテフロンチューブ92の両者を締め付けてそれぞれの位置がずれないようにする。この時、網状被覆44は張った状態になっていて、テフロンチューブ91の外面と網状被覆の内面とが密着するようになっている。 【0085】次に、図21に示すように、後端側から延出している操作ワイヤ42を先端側から延出させるようにする。また後端側には水密的にゴム栓93が取り付けられる。 【0086】そして、図22に示すように、容器94に入った柔軟性樹脂95に対して、中心軸を鉛直方向に一致させてゴム栓93側から長手方向の途中位置まで浸漬する。このとき、テフロンチューブ91とゴム栓93によって仕切られているため、湾曲部12内部には柔軟性樹脂は侵入しない。 【0087】浸漬後はそのまま上方へ引き上げて、ゴム栓93側を下にして釣り下げて乾燥させ、乾燥後は図23に示すような状態となる。 【0088】つぎに、図24に示すように、ゴムバンド92、テフロンチューブ91を取り外し、網状被覆44の先端側を節輪37に対して固着し、操作ワイヤ42の延出方向を後端側から出るように元に戻す。 【0089】最後に、網状被覆44の先端側の余り部分をグラインダ等で削り落とすと、図25に示すような柔軟性樹脂を操作部側に塗布した湾曲部16が完成する。 【0090】このように本実施の形態では、第1の実施の形態の効果に加え、複雑なマスキング作業や、第1の実施の形態のように網状被覆44を湾曲部16に組み付ける際に生じる位置合わせ作業が無いため、作業性が良好であり生産原価の低減につながる。また、加えて塗布した柔軟性樹脂が湾曲部16内部に侵入して湾曲部16の作動不良を起こす虞がない。 【0091】[付記1] (付記項1−1) 関節部を形成する互いに回動可能に連結された複数の節輪に、細長の素線を円筒状に編むことで形成された網状被覆を被覆する第1の工程と、前記網状被覆の少なくとも一部に柔軟性樹脂を塗布する第2の工程とを備えた内視鏡の湾曲部の製造方法において、前記第2の工程は、スクリーン印刷により前記柔軟性樹脂を塗布し固着させることを特徴とする内視鏡湾曲部の製造方法。 【0092】付記項1−1の内視鏡湾曲部の製造方法では、マスキングをする必要がなく、更に複数の網状被覆に対して樹脂の塗布を行える為、非常に生産性が良い。 【0093】(付記項1−2) 前記第2の工程は、溶剤で液状に希釈された前記柔軟性樹脂を塗布した後、溶剤を揮発乾燥させることで前記網状被覆に柔軟性樹脂を固着させることを特徴とする付記項1−1に記載の内視鏡湾曲部の製造方法。 【0094】付記項1−2の内視鏡湾曲部の製造方法では、付記項1−1の内視鏡湾曲部の製造方法の効果に加えて、溶剤の希釈度を変えることで柔軟性樹脂が網状被覆に付着する量を調整できる為、柔軟性樹脂塗布部分の弾性を内視鏡の用途に合わせて変化させることが容易である。 【0095】(付記項1−3) 前記第2の工程は、前記網状被覆単体に前記スクリーン印刷により前記柔軟性樹脂を塗布し、前記第2の工程の後、前記網状被覆を前記関節部に組み付ける第3の工程を備えたことを特徴とする付記項1−1に記載の内視鏡湾曲部の製造方法。 【0096】付記項1−3の内視鏡湾曲部の製造方法では、付記項1−1の内視鏡湾曲部の製造方法の効果に加えて、網状被覆を湾曲部に組み付ける前に柔軟性樹脂の塗布・乾燥が完了しているため、塗布した柔軟性樹脂が湾曲部内部に侵入して湾曲部の作動不良を起こす虞がない。 【0097】(付記項1−4) 前記第2の工程は、前記網状被覆内に芯棒を挿入し、前記芯棒と前記網状被覆の内面とを密着させた状態で前記スクリーン印刷を施すことを特徴とする付記項1−3に記載の内視鏡湾曲部の製造方法。 【0098】付記項1−4の内視鏡湾曲部の製造方法では、付記項1−3の内視鏡湾曲部の製造方法の効果に加えて、柔軟性樹脂塗布部分の内径を一定にできるので、内径が小さすぎて湾曲管に組み付かなかったり、内径が大きすぎて関節部との間に余分な隙間が生じたりする虞がない。 【0099】(付記項1−5) 前記第2の工程は、前記網状被覆の両端を前記関節部に組み付けた後、前記スクリーン印刷により前記網状被覆に前記柔軟性樹脂を塗布することを特徴とする付記項1−1に記載の内視鏡湾曲部の製造方法。 【0100】付記項1−5の内視鏡湾曲部の製造方法では、付記項1−1の内視鏡湾曲部の製造方法の効果に加えて、芯棒等の器具を用いて網状被覆の内径を確保する必要がない為、生産性に優れる。 【0101】(付記項1−6) 関節部を形成する互いに回動可能に連結された複数の節輪に、細長の素線を円筒状に編むことで形成された網状被覆を被覆する第1の工程と、前記網状被覆の少なくとも一部に柔軟性樹脂を塗布する第2の工程とを備えた内視鏡の湾曲部の製造方法において、前記第2の工程は、前記柔軟性樹脂を加熱溶融した状態で塗布し、冷却固化させて前記網状被覆に固着させることを特徴とする内視鏡湾曲部の製造方法。 【0102】付記項1−6の内視鏡湾曲部の製造方法では、柔軟性樹脂の固化に要する時間が短くて済む為、生産のリードタイムが短縮する。 【0103】(付記項1−7) 関節部を形成する互いに回動可能に連結された複数の節輪に、細長の素線を円筒状に編むことで形成された網状被覆を被覆する第1の工程と、前記網状被覆の少なくとも一部に柔軟性樹脂を塗布する第2の工程とを備えた内視鏡の湾曲部の製造方法において、前記第2の工程は、前記柔軟性樹脂を前記網状被覆に対して被覆した後に、前記柔軟性樹脂を加熱溶融して前記網状被覆に対して前記柔軟性樹脂を固着させることを特徴とする内視鏡湾曲部の製造方法。 【0104】付記項1−7の内視鏡湾曲部の製造方法では、溶剤の希釈度を変えることで柔軟性樹脂が網状被覆に付着する量を調整できるため、柔軟性樹脂塗布部分の弾性を内視鏡の用途に合わせて変化させることが可能である。また単に溶剤で希釈した樹脂を網状被覆に塗布するよりも網状被覆に対する密着性に優れている。 【0105】(付記項1−8) 前記柔軟性樹脂は、溶剤で希釈された液状の柔軟性樹脂であって、前記第2の工程は、前記溶剤で希釈された液状の前記柔軟性樹脂を前記網状被覆に対して塗布し被覆し、乾燥させた後に、前記柔軟性樹脂を加熱溶融して前記網状被覆に対して柔軟性樹脂を固着させることを特徴とする付記項1−7に記載の内視鏡湾曲部の製造方法。 【0106】付記項1−7の内視鏡湾曲部の製造方法の効果に加え、溶剤で希釈した樹脂は、乾燥時に溶剤が揮発する際に微小な穴や気泡が多数存在するが、加熱溶融することでこれらを軽減することができるため、繰り返し使用でそれらから亀裂が発生してしまうという不具合の解消に効果がある。 【0107】(付記項1−9) 前記柔軟性樹脂は、円筒状の柔軟性樹脂であって、前記第2の工程は、前記円筒状の柔軟性樹脂を前記網状被覆に被覆した後に、前記柔軟性樹脂を加熱溶融して前記網状被覆に固着させることを特徴とする付記項1−7に記載の内視鏡湾曲部の製造方法。 【0108】付記項1−9の内視鏡湾曲部の製造方法では、円筒状の柔軟性樹脂を被覆して熱溶着させるので、柔軟性樹脂の塗布むらが発生せず品質が安定する。 【0109】またマスキング作業を行う必要がなく、特別な生産設備も必要ないので、生産コストが非常に安い。 【0110】(付記項1−10) 前記円筒状の柔軟性樹脂は、硬度60〜70°のウレタン樹脂からなることを特徴とする付記項1−9に記載の内視鏡湾曲部の製造方法。 【0111】付記項1−10の内視鏡湾曲部の製造方法では、付記項1−9の内視鏡湾曲部の製造方法の効果に加えて、溶融後の網状被覆との付着力が良好である。しかも冷却固化後に十分な柔軟性と弾発性を有する為、湾曲形状が非常に良好である。また材質が安価な為生産コストが安い。 【0112】(付記項1−11) 前記第2の工程は、前記柔軟性樹脂を前記網状被覆の編み目間に染み込ませることを特徴とする付記項1−1、付記項1−6または付記項1−7に記載の内視鏡湾曲部の製造方法。 【0113】付記項1−11の内視鏡湾曲部の製造方法では、付記項1−1、付記項1−6または付記項1−7の内視鏡湾曲部の製造方法の効果に加えて、単に網状被覆の表面に柔軟性樹脂を付着させるよりも湾曲抵抗を大きくすることが可能なため、少量の柔軟性樹脂の塗布でも十分な湾曲形状の改良がなされている。従って使用する材料費が少なくて済む。 【0114】(付記項1−12) 前記第2の工程は、軟性樹脂が固化する前に網状被覆を湾曲させて柔軟性樹脂を網状被覆の微小な素線間に浸透させることを特徴とする付記項1−1、付記項1−6または付記項1−7に記載の内視鏡湾曲部の製造方法。 【0115】付記項1−12の内視鏡湾曲部の製造方法では、付記項1−1、付記項1−6または付記項1−7の内視鏡湾曲部の製造方法の効果に加えて、網状被覆に対する柔軟性樹脂の食いつきが向上するため、繰り返し使用による柔軟性樹脂と網状被覆の剥離が生じない。 【0116】(付記項1−13) 前記第2の工程は、前記柔軟性樹脂がある程度固化しているか又は完全に固化している状態で、前記網状被覆を湾曲させて前記柔軟性樹脂に微小な亀裂を多数生させることを特徴とする付記項1−1、付記項1−6または付記項1−7に記載の内視鏡湾曲部の製造方法。 【0117】付記項1−13の内視鏡湾曲部の製造方法では、付記項1−1、付記項1−6または付記項1−7の内視鏡湾曲部の製造方法の効果に加えて、湾曲に伴い樹脂に発生する微小な亀裂を生産段階で飽和状態にしておけるので、繰り返し使用するにつれて網状被覆の弾性が変化する、即ち湾曲部の湾曲形状が次々と変化してしまい、操作感の変化に戸惑うという事態を回避できる。 【0118】(付記項1−14) 前記第2の工程は、前記網状被覆の長手軸を略水平にして回転させながら前記柔軟性樹脂を固化させることを特徴とする付記項1−1、付記項1−6または付記項1−7に記載の内視鏡湾曲部の製造方法。 【0119】付記項1−14の内視鏡湾曲部の製造方法では、付記項1−1、付記項1−6または付記項1−7の内視鏡湾曲部の製造方法の効果に加えて、柔軟性樹枝の塗布厚さを均一にできる為、湾曲方向が片寄る不具合を起こすことがない。 【0120】(付記項1−15) 前記第2の工程は、前記柔軟性樹脂の塗布後から前記柔軟性樹脂が固化するまでの間に、前記網状被覆長手軸を鉛直方向にして固化させることを特徴とする付記項1−1、付記項1−6または付記項1−7に記載の内視鏡湾曲部の製造方法。 【0121】付記項1−15の内視鏡湾曲部の製造方法では、付記項1−1、付記項1−6または付記項1−7の内視鏡湾曲部の製造方法の効果に加えて、円周方向においては、均一に柔軟性樹枝が塗布されている為、湾曲方向が片寄る不具合を起こすことがない。 【0122】また、特別な設備を必要とせず、釣り下げる等の簡単な方法が利用できるので、生産コストを安くできる。 【0123】(付記項1−16) 前記第2の工程は、前記網状被覆の先端側を鉛直上向きにして前記柔軟性樹脂を固化させることを特徴とする付記項1−15に記載の内視鏡湾曲部の製造方法。 【0124】付記項1−16の内視鏡湾曲部の製造方法では、付記項1−15の内視鏡湾曲部の製造方法の効果に加えて、後端側の樹脂厚さが厚く先端側が薄い状態で固着されるので、網状被覆の後端から先端に向けて柔軟性樹脂の塗布厚が薄くなり、湾曲抵抗がそれにつれて少しづつ減少していく。その結果樹脂塗布部分と非塗布部分との間で急激に湾曲抵抗が変化しない為、局所的に急激な湾曲をする事により内蔵物や網状被覆の破損を防ぐことができる。 【0125】(付記項1−17) 関節部を形成する互いに回動可能に連結された複数の節輪に、細長の素線を円筒状に編むことで形成された網状被覆を被覆する第1の工程と、前記網状被覆の少なくとも一部に柔軟性樹脂を塗布する第2の工程とを備えた内視鏡の湾曲部の製造方法において、前記第2の工程は、前記網状被覆の一端を前記節輪に固着した状態で他端から前記節輪と前記網状被覆との間に仕切り部材を介装し、この状態で前記柔軟性樹脂を塗布・乾燥した後に、前記仕切り部材を取り外し、前記網状被覆他端に対して前記柔軟性樹脂を固着することを特徴とする内視鏡湾曲部の製造方法。 【0126】付記項1−17の内視鏡湾曲部の製造方法では、複雑なマスキング作業や、網状被覆を湾曲部に組み付ける際に生じる位置合わせ作業が無い為、作業性が良好であり生産原価の低減につながる。 【0127】加えて塗布した柔軟性樹脂が湾曲部内部に侵入して湾曲部の作動不良を起こす恐れがない。 【0128】ところで、内視鏡は使用する毎に洗浄消毒する必要があるため、内視鏡は防水構造であることが要求され、当然その操作部の各種スイッチもまた防水構造でなければならない。 【0129】このため、例えば実公平2−38721号公報に示されるように、防水膜の外周面とスイッチボックスの嵌合孔の内周面の間に弾性変形凸部を設け両者を圧着することが考えられているが、弾性変形凸部の潰れによる歪みが嵌合部付近に生じ確実に水密機能を発揮することができなかった。 【0130】また、一般に防水カバーの材質は、ゴムまたはエラストマーなど柔らかいものが多く、穴あきや切れが生じやすい。そのため、防水カバーでの水密が破れ易く防水カバー内の接点スイッチを破損することがあった。特に、防水カバーとスイッチボックスとの嵌合面と嵌合しない部分の境界付近はスイッチ操作により応力が集中し易く穴あきや切れが生じやすい。 【0131】さらに、各々の接点スイッチはスイッチボックス内に於いて互いに水密的に閉ざされていないので、1つのスイッチ周辺の水密が破れた場合、その部位からスイッチボックスに侵入した液体が他の接点スイッチ周辺に達し、他のスイッチも破損するという欠点があった。 【0132】また、接点スイッチ周辺は内視鏡内部に対して水密構造になっていないので、内視鏡全体の一部でも水密が破れると、その部位から侵入した液体が接点スイッチ周辺に達し、接点スイッチを破損するという欠点もあった。 【0133】そこで、次に、確実に接点スイッチ周辺の水密を確保する構造を有する内視鏡の実施の形態について説明する。 【0134】この実施の形態は、防水カバーの一部の穴あきや切れが生じても接点スイッチ周辺の水密が保てる構造を有する内視鏡を提案すると共に、特定の接点スイッチ周辺の水密が破れた場合に他のスイッチ周辺の水密を保ち続け、また、内視鏡全体の一部の水密が破れた場合には全ての接点スイッチ周辺の水密が保てる構造を有する内視鏡を提案する。 【0135】図26ないし図28は確実に接点スイッチ周辺の水密を確保する構造を有する内視鏡の実施の形態に係わり、図26は内視鏡の操作部の構成を示す構成図、図27は図26の内視鏡の操作部の第1の変形例の構成を示す図、図28は図26の内視鏡の操作部の第2の変形例の構成を示す図である。 【0136】図26に示すように、内視鏡の操作部201は、スイッチボックス202を備えており、スイッチボックス202の外筐部203にはスナップフィット孔204と嵌合孔205が形成されている。スイッチ受け206はスナップフィット足207と信号線孔208を有し、外筐部203にスナップフィット固定されている。スイッチ受け206は信号線209が接続された接点スイッチ210を外装側に保持し、信号線209は信号線孔208を通して操作部内に通じている。嵌合孔5には防水カバー211の外周面が嵌合している。スイッチ受け206とスイッチボックス202の固定は図27に示すようにネジ200によるものでも良い。この場合、スナップフィット孔204とスナップフィット足207は必要なく、信号線孔208はスイッチボックスも貫通している。 【0137】防水カバー211はスイッチ受け206を覆っている。前記防水カバー211の開口端近傍には内側に全周延出した平面部212を有し、前記平面部212の内側端部には弾性変形凸部213を有している。弾性変形凸部213はスイッチ受け206の外周側に設けられた第1フランジ部215とスイッチボックス202に設けられた第2フランジ部216に挟持されている。弾性変形凸部213は防水カバー211、スイッチボックス202どちら側に形成されてもよい。スイッチ受け206と弾性変形凸部213の間には、変形空間214がある。 【0138】防水カバー211とスイッチボックス202との嵌合面に第2弾性変形凸部217を有している。第2弾性変形凸部217は防水カバー211、スイッチボックス202どちらか側に形成されてもよい。また、防水カバー211とスイッチ受け206の接点スイッチが保持される側の間には、第3弾性変形凸部218が設けられている。第3弾性変形凸部218が形成されるのは防水カバー211、スイッチ受け206どちら側でもよく、他方に圧接している。 【0139】信号線209と信号線孔208の隙間にはRTVゴム等の水密確保剤219が充填されている。 【0140】本実施の形態では、スイッチボックス202にスイッチ受け206をスナップフィットまたはネジで固定するので、弾性変形凸部213は弾性変形し、スイッチボックス202に強制的に圧接する。この際、弾性変形凸部213はスイッチボックス202と防水カバー211との嵌合面から遠方に形成されているので、該嵌合面に弾性変形凸部213の弾性変形による歪みが生じることはない。また、弾性変形凸部213とスイッチ受け206の間には変形空間214が存在するのでスイッチ受け206によって弾性変形が妨げられることはない。 【0141】したがって、スイッチボックスに防水カバーが強制的に圧接するので十分な防水効果が得られる。また、弾性変形凸部の弾性変形による不具合を生じない。 【0142】また、防水カバー211に形成された第2弾性変形凸部217は防水カバー211をスイッチボックス202に嵌合する際、弾性変形凸部213と同様に弾性変形してスイッチボックス202に圧着する。弾性変形凸部213、第2弾性変形凸部215のうちどちらか一方が破損しても他方が水密に確保する。 【0143】防水カバー211に形成された第3弾性変形凸部218はスイッチ受け206に圧接しているので、防水カバーとスイッチボックスの嵌合部と嵌合しない部分の境界付近の防水カバーに穴あきや破れが生じても液体は接点スイッチ周辺に達することを阻止される。 【0144】つまり、2箇所の弾性変形凸部のうち一方が破損して水密が破れても、他方の弾性変形凸部が水密を確保するので、確実に水密を確保できる。また、弾性変形凸部213でスナップフィット軸方向、第2弾性変形凸部217でスナップフィット軸に垂直方向の防水カバーの緩みを防止することができる。更に、防水カバーに形成された第3弾性変形凸部218はスイッチ受け206に圧接しているので、防水カバーとスイッチボックスの嵌合部と嵌合しない部分の境界付近の防水カバーに穴あきや破れが生じて液体が侵入しても、液体は接点スイッチ周辺に達することはなく接点スイッチの破損を防止することができる。 【0145】さらに、特定のスイッチ近傍の防水カバーの水密が破れたことによって侵入した液体は水密確保剤、防水膜からなる水密確保部によってスイッチボックス内に侵入することが妨げられる。また、内視鏡全体の一部の水密が破れたことによって侵入した液体は水密確保によって接点スイッチ周辺に達することが妨げられている。 【0146】特定の接点スイッチ周辺の水密が破れても他の接点スイッチ周辺の水密が確保されるので、接点スイッチの破損は最小限で済む。 【0147】また、内視鏡全体の一部の水密が破れが生じても、接点スイッチ周辺の水密を保つことができるので、接点スイッチの破損を妨げる。 【0148】なお、図28に示すように、スイッチ受け206に信号線209の外径φDより小さい外径φdの信号線孔208を形成したRTVゴム等の防水膜220を1体成型した構成としてもよく、信号線208は、信号線孔209に挿嵌されている。防水膜220が1体成型されるのはスイッチボックスでも良い。 【0149】[付記2] (付記項2−1) 信号線が接続された接点スイッチと、前記接点スイッチを外表側に保持し、信号線を内視鏡内部に導く信号線孔を設けたスイッチ受けと、前記スイッチ受けを受け入れる穴を有するスイッチボックスと、前記スイッチ受けを囲み、前記スイッチ受けと前記スイッチボックスの穴の側面とで挟持されることにより前記接点スイッチ周辺の水密を確保する防水カバーとを有する内視鏡に於いて、前記スイッチ受けの前記接点スイッチ側と反対側を水密的に隔離するように防水手段を設けたことを特徴とする内視鏡。 【0150】(付記項2−2) 前記防水手段は、充填剤を充填してなる防水手段であることを特徴とする付記項2−1に記載の内視鏡。 【0151】(付記項2−3) 前記充填材は弾性材であり、弾性力で水密にすることを特徴とする付記項2−2に記載の内視鏡。 【0152】(付記項2−4) 前記充填材はRTVゴムであることを特徴とする付記項2−2に記載の内視鏡。 【0153】(付記項2−5) 前記防水手段は、前記スイッチボックスと前記スイッチ受けの間に設けられ、前記スイッチ受けを覆う前記防水カバーの開口端近傍に内側に全周延出した平面部を有し、前記平面の内側端部に形成され、前記スイッチ受けの外周側に設けた第1のフランジ部と前記スイッチボックスの穴の底面で弾性変形しながら挟持される弾性変形凸部によることを特徴とする付記項2−1に記載の内視鏡。 【0154】(付記項2−6) 前記弾性変形凸部間隔と前記スイッチ受けの間に変形空間を設けたことを特徴とする付記項2−5に記載の内視鏡。 【0155】(付記項2−7) 前記弾性変形凸部を2カ所以上設けたことを特徴とする付記項2−5に記載の内視鏡。 【0156】(付記項2−8) 前記弾性変形凸部を前記変形空間を設ける位置と前記スイッチ受けを覆う前記防水カバーの操作部が嵌合する周に設けたことを特徴とする付記項2−6に記載の内視鏡。 【0157】(付記項2−9) 前記弾性変形凸部は、前記変形空間の位置と前記スイッチ受けを覆う前記防水カバーと前記スイッチ受けの前記接点スイッチを保持する面の間に設けられ、かつ、前記接点スイッチを囲むように配したことを特徴とする付記項2−6に記載の内視鏡。 【0158】 【発明の効果】以上説明したように請求項1ないし3に記載の内視鏡の湾曲部の製造方法によれば、網状被覆に柔軟性樹脂を塗布した内視鏡湾曲部の製造方法において、作業性に優れた内視鏡湾曲部の製造方法を実現することできるという効果がある。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000376 【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月21日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】伊藤 進
|
| 【公開番号】 |
特開平11−56759 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−225197 |
|