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【発明の名称】 内視鏡
【発明者】 【氏名】北野 誠二

【氏名】横井 武司

【要約】 【課題】先端部にビス孔等による凹部を有する内視鏡挿入部において、外観品質と内視鏡構成要素の修理性を良好に保つ。

【解決手段】内視鏡の挿入部先端の先端部本体26の外周面には、電気絶縁性の合成樹脂からなる絶縁カバー27が被嵌されている。内視鏡構成要素の一つである送気送水ノズルユニット29は、送気送水ノズル33と絶縁筒34とから構成され、固定ビス35により着脱自在に先端部本体26に固定されている。この固定ビス35は絶縁カバー27に設けたビス孔37より挿入されて先端部本体26に設けたビス孔36に螺合している。このビス孔37には絶縁部材38が嵌入固定され、ビス孔37の凹部を埋めるような構成となっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 挿入部先端における先端部本体の周囲を絶縁カバーで被覆した内視鏡において、内視鏡構成要素のうち少なくとも一つを前記先端部本体の絶縁カバーで被覆した側面から固定部材にてこの先端部本体に対して着脱可能に固定すると共に、前記絶縁カバーに前記固定部材を挿通する孔を設け、この孔の凹部空間に絶縁部材を着脱可能に嵌入し固定したことを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、観察対象部位に挿入する細長の挿入部を備えた内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、体腔内などの直接目視できない狭い部位の観察や処置などに利用される内視鏡が知られている。内視鏡の挿入部において、先端部に設けられるビス孔等による凹部が生じたときには、外表面を滑らかに仕上げるために、従来は例えば特開平8−136829号公報に示されるように、接着剤をその凹部に充填して穴埋めを行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】内視鏡挿入部において、先端部の凹部に充填する接着剤として、修理性を考慮して例えばシリコン系接着剤を使用した場合、粘性が高いため外表面が滑らかになるように凹部に接着剤を充填することは難しく、作業に手間がかかっていた。また、この部分が修理を必要とする部分であり、固定ビス等を取り外すのに凹部より接着剤を除去しようとする場合、凹部に充填したシリコン系接着剤をきれいに除去する作業に手間がかかるという問題点があった。また、内視鏡を洗滌するとき、ブラッシング時にその接着剤充填部をこすると接着剤が剥がれてしまうことがあった。
【0004】一方、凹部に充填する接着剤としてエポキシ系接着剤を使用した場合、外表面が滑らかになるように凹部に接着剤を充填することは可能であるが、接着剤乾燥後、粘性が低いため充填部に凹みができてしまうことがあり、外観品質の低下を招くという不具合が生じるおそれがあった。また、この部分が修理を必要とする部分であり、固定ビス等を取り外すのに凹部より接着剤を除去しようとする場合、接着強度が強いので凹部に充填したエポキシ系接着剤を除去することは困難であった。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、先端部にビス孔等による凹部を有する構成の内視鏡挿入部において、外観品質と内視鏡構成要素の修理性を良好に保つことが可能な内視鏡を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、挿入部先端における先端部本体の周囲を絶縁カバーで被覆した内視鏡において、内視鏡構成要素のうち少なくとも一つを前記先端部本体の絶縁カバーで被覆した側面から固定部材にてこの先端部本体に対して着脱可能に固定すると共に、前記絶縁カバーに前記固定部材を挿通する孔を設け、この孔の凹部空間に絶縁部材を着脱可能に嵌入し固定したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図8は本発明の第1実施形態に係り、図1は内視鏡システムの全体構成を示す構成説明図、図2及び図3は内視鏡の挿入部先端部の構成を示す軸方向断面図、図4は内視鏡の挿入部先端部の構成を示す径方向断面図(図2におけるA−A線断面図)、図5は絶縁部材の構成を示す外観図、図6は絶縁カバーに設けた切り欠き部を示す外観図、図7は切り欠き部の変形例を示す外観図、図8は絶縁部材を除去する方法を示す説明図である。
【0008】図1に示すように、本実施形態の内視鏡2を備えた内視鏡システム1は、内視鏡2に照明光を供給する光源装置3と、内視鏡2に対する信号処理を行うビデオプロセッサ4と、このビデオプロセッサ4から出力される映像信号を表示するモニタ5と、ビデオプロセッサ4と接続され映像信号を記録するVTRデッキ6およびビデオディスク7と、映像信号を映像としてプリントアウトするビデオプリンタ8とを備えて構成される。
【0009】上記内視鏡2は、細長の挿入部9を有し、この挿入部9の後端には太幅の操作部10が形成され、この操作部10からユニバーサルコード11が延出されている。操作部10の挿入部9側端部には、挿入部9の破損を防止するために折れ止め12が設けられている。
【0010】このユニバーサルコード11の先端のコネクタ13を光源装置3に接続することにより、挿入部9及びユニバーサルコード11内を挿通するライトガイドバンドル14の端部が光源装置3内に配置され、光源装置3のランプ15からの白色照明光がコンデンサレンズ16で集光されてライトガイドバンドル14の入射端面に供給される。このコネクタ13には、信号ケーブル17の一方のコネクタを接続可能であり、信号ケーブル17の他端のコネクタ18をビデオプロセッサ4に接続することにより、内視鏡2の撮像手段とビデオプロセッサ4とが電気接続され、内視鏡2で撮像した撮像信号がビデオプロセッサ4において信号処理されて所定の映像信号に変換され、モニタ5等に出力される。
【0011】挿入部9は、先端に硬性の先端部19が形成され、この先端部19に隣接する後方部分に湾曲自在にした湾曲部20が形成されており、操作部10に配設した図示しない湾曲ノブを回動操作することにより、この湾曲部20を左右とか上下方向に屈曲できるようになっている。
【0012】また、操作部10の前端寄りの部分には、処置具を挿入する挿入口21が設けてあり、この挿入口21は挿入部9内に設けた挿通チャンネル22と連通している。
【0013】前記湾曲部20は、図2及び図3に示すように、金属材からなる複数の湾曲用駒23を互いに図示しないリベットで回動自在に連結して構成され、湾曲用駒23の外周には電気絶縁性で可撓性を有するエラストマー等の合成樹脂からなる外皮24が被覆されている。この外皮24の端部は固定糸25によって絞り固定されており、さらに、固定糸25の外周には接着剤を塗布して被覆してある。
【0014】前記先端部19は、導電性の金属材等からなる先端部本体26を有してなり、この先端部本体26の外周面には、電気絶縁性の合成樹脂からなる絶縁カバー27が被嵌されている。先端部本体26には、対物観察ユニット28、送気送水ノズルユニット29、挿通チャンネルパイプ30、ライトガイドバンドルユニット31等が取り付けられている。
【0015】絶縁カバー27と先端部本体26は接着剤にて固定されていると共に、図4に示すように、脱落防止ピン32にて固定されている。なお、脱落防止ピン32は1本でもよいが、本実施形態のように複数本設けた方がより絶縁カバー27の脱落防止効果が高くなる。また、脱落防止ピン32を複数本設けることにより、絶縁カバー27と先端部本体26とのガタつきを少なくする効果もある。
【0016】送気送水ノズルユニット29は、互いに接着剤にて固定された送気送水ノズル33と絶縁筒34とから構成され、固定ビス35により着脱自在に先端部本体26に固定されている。この固定ビス35は先端部本体26に設けたビス孔36に螺合している。絶縁カバー27には固定ビス35を挿入するビス孔37が設けてあり、そのビス孔37に絶縁部材38を嵌入して固定することにより、ビス孔37の凹部を埋めるような構成となっている。さらに、絶縁部材38と絶縁カバー27との隙間にシリコン系接着剤を塗布して水密を確保している。
【0017】前記絶縁部材38は成形または切削にて製作されたものである。絶縁部材38の材質として、合成樹脂を用いると良い。合成樹脂の中ではポリサルフォンや変性PPOを使用すると良い。理由は、生体に対して支障のない安全な材料で成形性が良いためである。また、この絶縁部材38は、前記脱落防止ピン32と同様に絶縁カバー27と先端部本体26の両方にまたがるよう絶縁カバー27に嵌入され、両者を固定している。これにより、脱落防止ピン32と同様の効果を持たせている。
【0018】絶縁部材38の構成例を図5に示す。絶縁部材38は嵌入する孔に合わせて複数種類のものがあり、外形状は似通っているため、誤組立てが起こりやすくなる。そこで、図5の(a)〜(c)のように、絶縁部材38に孔39を設け、孔39の形状を例えば丸、三角、四角として絶縁部材38を区別できるようにしている。
【0019】また、絶縁カバー27及び先端部本体26のビス孔37,36周辺部において絶縁カバー27を厚肉とした異形形状とし、金属部材である先端部本体26と外気との必要な絶縁距離を絶縁カバー27において確保している。
【0020】対物観察ユニット28は、先端側にレンズ枠40が接着剤にて固定されており、このレンズ枠40の先端に第1レンズ41が接着剤にて固定されている。この対物観察ユニット28は対物観察ユニット取付孔部42内に挿入され、対物観察ユニット28のレンズ枠40が対物観察ユニット固定ビス43にて固定されている。これにより、対物観察ユニット28が先端部本体26に固定される。なお、図4において対物観察ユニット固定ビス43の近傍は図2のB−B線断面を示している。図2に示すように、対物観察ユニット固定ビス43の挿入部9の長手方向の取付位置は、絶縁カバー27の端面44よりも手元側(操作部10側)に位置している。また、先端部本体26の対物観察ユニット固定ビス43用のビス孔45には、シリコン系接着剤であるビス孔用接着剤46が充填されている。
【0021】送気送水ノズルユニット29に連通する送気送水パイプ47、挿通チャンネルパイプ30、及びライトガイドバンドルユニット31は、先端部本体26に対して半田や接着剤、またはビスにて固定されている。送気送水パイプ47には送気送水チューブ48が、挿通チャンネルパイプ30には挿通チャンネル22のチャンネルチューブ49がそれぞれ接続されている。ライトガイドバンドルユニット31の先端側には、ライトガイド枠50が固定されており、このライトガイド枠50の先端側内部にはライトガイドレンズが収納固定されてライトガイドレンズユニット51を構成している。このライトガイドレンズユニット51もライトガイドバンドルユニット31と同様に先端部本体26に対して半田や接着剤等にて固定されている。ライトガイドバンドルユニット31のライトガイドバンドル14の外周には、保護チューブ52が被覆されている。
【0022】前記チャンネルチューブ49は、図9に示すように、部分的に厚肉部53が設けられている。この厚肉部53は、挿入部9手元側の折れ止め12の先端側の端部より約90mm程度先端部19側の位置まで設けてある。これは、内視鏡使用中に、挿入部9の基端部近傍を術者の体やベットに押しつけたりして、図9のように挿入部9の折れ止め直下部が屈曲したときに、挿入部9の屈曲によりチャンネルチューブ49が座屈してしまうおそれがあるため、この座屈を防止するために厚肉部53を設けて補強している。また、挿入部9が屈曲したときの曲率頂点より先端側に厚肉部53の端部が位置するようになっている。チャンネルチューブ49の厚肉部53先端から通常の肉厚になる移行部54は、テーパ状に形成されて外径が滑らかに連続している。
【0023】なお、チャンネルチューブ49における厚肉部53の肉厚とそれ以外の肉厚とを比較すると、厚肉部53の肉厚はそれ以外の薄肉部の肉厚の1.5〜1.7倍とすることにより、挿入部9の外径を太らせることなく、チャンネルチューブ49の座屈を防止して十分な品質を確保できることが検討よりわかっている。ただし、この肉厚の比はこの値に限定されず、1.1〜2.5倍程度であっても良い。また、移行部54は、詳細は図示しないが、図3のライトガイドバンドルの保護チューブ52の操作部側端部や保護チューブ52よりもやや操作部側に位置している送気送水管路分岐部よりもさらに操作部側に位置するように設定してある。
【0024】チャンネルチューブ49を補強した他の構成例を図10に示す。この構成例は、図9の厚肉部53と同じ位置に熱収縮チューブ等からなる挿通チャンネル保護チューブ55をチャンネルチューブ49の外周にほぼ密着させて被覆したものである。挿通チャンネル保護チューブ55としては、熱収縮チューブ以外に、シリコンチューブやウレタンチューブのような可撓性チューブを用いて、接着剤や糸縛り等によりチャンネルチューブ49の外周に固定したものでも良い。
【0025】図10の構成の場合、チャンネルチューブ49を挿通チャンネルパイプ30に接続した後に、挿通チャンネル保護チューブ55を所定の位置で収縮させることにより、厚肉部53と同様の補強構造を得る。
【0026】従来の内視鏡では、実公平5−46723号公報に示されるように、挿通チャンネルの耐性を向上するために、挿通チャンネルの先端側の湾曲部内にある部分の肉厚を他の部分よりも薄くし、挿通チャンネルの薄肉部分全長から厚肉部分にまたがって、その外周に螺旋溝を形成し、コイル体を巻き付けたものが知られており、この挿通チャンネルの厚肉部分は薄肉部分から続く部分全長にわたって同じ厚さになっていた。しかしこの構成の場合、他の内蔵物の保護チューブ等があり挿入部の充填率が高い送気送水管路分岐部より先端側とそれより操作部側において、挿通チャンネルの厚肉部の厚さは同じであるため、湾曲操作したときに湾曲部から挿入部内の充填率が低くなる送気送水管路分岐部付近までの内蔵物の動きが悪く、耐久性が低くなるおそれがあった。
【0027】一方、本実施形態のように、折れ止め12の先端側の端部近傍に相当する位置においてチャンネルチューブ49に厚肉部53を設けることにより、チャンネルチューブ49の座屈を防止することができる。また、この厚肉部53先端と薄肉部の間の移行部54を、折れ止め部12付近の挿入部を曲げたときの曲率頂点よりも先端側で、かつ挿入部9の充填率が低くなるライトガイドバンドル保護チューブ52の操作部側端部や送気送水管路分岐部よりも操作部側になるように配置したので、湾曲操作等を行ったときにこれらの部分の内蔵物の動きが悪くなることがなく、また耐久性も低下することがない、十分な耐性を有する挿通チャンネルを提供することができる。
【0028】また、図10の構成では、挿通チャンネル保護チューブ55として熱収縮チューブを用いた場合、加熱によりチャンネルチューブ49の外周にほぼ密着させることができるので、組立作業性が良好である。また、チャンネルチューブ49の厚肉な補強部を特別なチューブ成形をしなくても形成できるので、部材の原価を安くできる。
【0029】上記のように構成された内視鏡2における挿入部9の先端部19の組立方法を以下に示す。
【0030】まず、先端部本体26に挿通チャンネルパイプ30と送気送水パイプ47を半田にて固定する。また、ライトガイド枠50及びライトガイドレンズユニット51を接着剤にて先端部本体26に固定する。次いで、絶縁カバー27と前記先端部本体26とを接着剤にて固定する。このとき、脱落防止ピン32を絶縁カバー27と先端部本体26のピン嵌合孔56に嵌挿し、接着剤にて絶縁カバー27と脱落防止ピン32との間に生じる隙間を埋める。そして、チャンネルチューブ49及び送気送水チューブ48をそれぞれ挿通チャンネルパイプ30,送気送水パイプ47と接続する。
【0031】次に、ライトガイドバンドルユニット31を先端部本体26に対して図示しないビスにより固定し、最後に対物観察ユニット28を先端部本体26に対して対物観察ユニット固定ビス43により固定する。
【0032】さらに、先端部本体26に設けられた対物観察ユニット固定ビス43用のビス孔45にビス孔接着剤46を充填し、前記ビス孔45の凹部を埋める。このビス孔接着剤46としては、シリコン系接着剤を用いるのがよい。その理由は対物観察ユニット28を交換するときに、シリコン系接着剤であれば除去しやすいからである。
【0033】また、ビス孔接着剤46を充填する際に、図2に示す絶縁カバー27の切り欠き部57に接着剤が付着してしまうことがある。このような場合、後の作業でその切り欠き部57にビス孔用接着剤46とは種類が異なる切り欠き部用接着剤60を充填しようとする際に、ビス孔用接着剤46が残っていると、切り欠き部用接着剤60を充填できない不具合が生じる。そこで、本実施形態ではビス孔用接着剤46を切り欠き部57より除去する方法として、ヤスリにて削り取る方法を用いる。ヤスリの形状は数種類あるため、その断面形状に応じて切り欠き部57の形状を設定する。
【0034】例えば使用するヤスリの断面形状が円弧状の場合、図6のように切り欠き部57の形状を円弧状とする。また、ヤスリの断面形状が平面である場合は、切り欠き部57の形状が円弧状であるとヤスリを切り欠き部57内部に当てることが困難であるため、切り欠き部57の形状を図7のように斜面部58を有する幅広の形状とする。このように切り欠き部57の形状を設定することにより、切り欠き部57に付着したビス孔用接着剤46をヤスリにて容易に除去することができる。
【0035】切り欠き部57のビス孔用接着剤46を除去した後、切り欠き部用接着剤60を切り欠き部57に充填する。この切り欠き部用接着剤60としては、エポキシ系接着剤を使用するとよい。エポキシ系接着剤であれば、硬化後、外表面を滑らかに仕上げることができる。
【0036】次に、送気送水ノズル33と絶縁筒34をあらかじめ接着剤にて固定して構成した送気送水ノズルユニット29を、絶縁カバー27及び先端部本体26に先端から嵌挿する。そして、絶縁カバー27に設けられたビス孔37より送気送水ノズルユニット固定ビス35を挿入し、その固定ビス35を先端部本体26に螺合して送気送水ノズルユニット29を側方より固定する。さらに、前記ビス孔37の凹部に絶縁部材38を嵌挿する。このようにして、内視鏡2の挿入部9の先端部19は組み立てられる。
【0037】対物観察ユニット28に不具合が発生し、交換する場合は、対物観察ユニット固定ビス43をゆるめて対物観察ユニット28を取り外す。このとき、図2に示すように、絶縁カバー27における対物観察ユニット固定ビス43が先端部本体26に螺合する位置には切り欠き部57が設けてあるので、絶縁カバー27を取り外すことなく対物観察ユニット固定ビス43の螺合を解除して対物観察ユニット28の交換を行うことができる。
【0038】また、送気送水ノズル33の開口部に物が詰まった場合に、その不具合を解消する方法として、送気送水ノズルユニット29の交換が行われる。送気送水ノズルユニット29を交換する際は、まず絶縁部材38を除去した後、送気送水ノズルユニット固定ビス35をゆるめて、送気送水ノズルユニット29を内視鏡先端部19から取り外す。
【0039】送気送水ノズルユニット29の交換時に絶縁部材38を除去するには、図8に示すような先端が鋭利な絶縁部材除去治具59を用いる。除去方法としては、まず絶縁部材除去治具59の先端を絶縁部材38の孔39へ向けて貫通させる。そして、絶縁部材除去治具59の基端部を把持して絶縁部材38を引き抜く。このとき、絶縁部材38には孔39が設けてあるため、この孔39に絶縁部材除去治具59の先端が引っかかり絶縁部材38を除去しやすくなる。
【0040】本実施形態の構成のように、送気送水ノズルユニット固定ビス35が挿通する絶縁カバー27のビス孔37に接着剤充填の代わりに絶縁部材38を嵌入して着脱自在に固定することにより、ビス孔37における凹部の穴埋めを行い外表面を滑らかに仕上げることができるため、先端部19の外観を損なうことなく、また送気送水ノズルユニット29の交換も絶縁部材38を取り外すことで容易に行うことができる。絶縁部材38の周囲のシリコン系接着剤は薄いので、きれいに除去することは容易である。
【0041】この絶縁部材38は、嵌入する孔に合わせて外形が非常に類似しているものが複数種類あるが、絶縁部材38に様々な形状の孔39を設けることにより、識別ができるようになり誤組立を防止できる。
【0042】また、絶縁カバー27及び先端部本体26のビス孔37,36周辺部において絶縁カバー27を厚肉とした異形部を設けることにより、金属部材である先端部本体26から外気までの必要な絶縁距離を絶縁カバー27において先端部19の外径を太らせることなく確保することができる。
【0043】また、絶縁カバー27と先端部本体26とのずれを防止する脱落防止ピン32を1本とした場合、絶縁カバー27と先端部本体26を接着剤にて固定するとき、脱落防止ピン32と絶縁カバー27のピン嵌合孔56との間の隙間分だけ絶縁カバー27が回転してしまい、例えば絶縁カバー27と先端部本体26の両者の対物観察ユニット28収納用の孔どうしの位置が一致しなくなり、対物観察ユニット28を先端部本体26に組み付けることが不可能となってしまうことがある。そこでこのような不具合を防止するために、本実施形態では脱落防止ピン32を外周方向に2本設けている。脱落防止ピン32の数が多いほど、脱落防止ピン32と絶縁カバー27との間の隙間は小さくなるため、絶縁カバー27と先端部本体26の接着固定以後の組立作業が行いやすくなる。
【0044】また、絶縁カバー27の対物観察ユニット固定ビス43を挿入する位置には、切り欠き部57が設けてあるので、絶縁カバー27を取り外すことなく、対物観察ユニット28の交換を行うことができる。
【0045】図11は本発明の第2実施形態に係る内視鏡の挿入部先端部の構成を示す径方向断面図である。
【0046】第2実施形態は、送気送水ノズルユニット29の固定に加えて、ライトガイドレンズユニット51についても固定ビスで固定して絶縁部材を嵌入した構成例である。ここでは第1実施形態と異なる部分の構成及び作用のみ記載し、同様な部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0047】ライトガイドレンズユニット51は先端部本体26に対してライトガイドレンズ固定ビス61により固定されている。この固定ビス61は先端部本体26に設けたビス孔62に螺合している。絶縁カバー27には前記ビス孔62と略同位置に固定ビス61を挿入するビス孔63が設けてあり、そのビス孔63にそれぞれ絶縁部材38が嵌入している。
【0048】第2実施形態では、図11のように絶縁部材38を3箇所使用しているが、外観形状が非常に似ているため、別の箇所に嵌入して誤って組み立ててしまうおそれがある。そこで、第1実施形態で記載したとおり、図5のように絶縁部材38に形状が異なる孔39を設けることにより区別できるようにしている。
【0049】なお、本実施形態ではライトガイドレンズユニット51と送気送水ノズルユニット29の両方の固定にこの構造を採用しているが、どちらか一方でも構わない。
【0050】挿入部9の先端部19を組立てる際には、第1実施形態と同様に絶縁カバー27と先端部本体26を接着剤にて固定した後、先端部本体26にライトガイドレンズユニット51を嵌入し、絶縁カバー27に設けられたビス孔63よりライトガイドレンズ固定ビス61を挿入して先端部本体26のビス孔62に螺合することにより、ライトガイドレンズユニット51を先端部本体26に対して固定する。その後、前記ビス孔63の凹部に絶縁部材38を嵌入する。
【0051】ライトガイドレンズユニット51を交換するときには、絶縁部材38を第1実施形態と同様に除去し、ライトガイドレンズ固定ビス61をゆるめて外すことにより、ライトガイドレンズユニット51を内視鏡先端部19から容易に取り外すことができる。
【0052】本実施形態によれば、内視鏡2の先端部19を壁や地面等にぶつけてしまい、ライトガイドレンズにヒビ、または割れが生じてしまったときに、絶縁カバー27を取り外したり接着剤を除去したりすることなく、絶縁部材38を取り外すことで容易にライトガイドレンズユニット51の交換を行うことができる。
【0053】図12は本発明の第3実施形態に係る内視鏡の挿入部先端部の構成を示す径方向断面図である。
【0054】第3実施形態は、対物観察ユニット28の固定用のビス孔に絶縁部材を嵌入した構成例である。ここでは第1実施形態と異なる部分の構成及び作用のみ記載し、同様な部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0055】対物観察ユニット28は先端部本体26に対して対物観察ユニット固定ビス43により固定されている。この固定ビス43は先端部本体26に設けたビス孔64に螺合している。絶縁カバー27には前記ビス孔64と略同位置に固定ビス43を挿入するビス孔65が設けてあり、そのビス孔65に絶縁部材38が嵌入している。
【0056】なお、本実施形態では対物観察ユニット28の固定のみにこの構造を採用しているが、第1,第2実施形態のように送気送水ノズルユニット29及びライトガイドレンズユニット51の固定においてもこの構造を採用しても構わない。
【0057】挿入部9の先端部19を組立てる際には、第1実施形態と同様に絶縁カバー27と先端部本体26を接着剤にて固定した後、先端部本体26に対物観察ユニット28を挿入し、絶縁カバー27に設けられたビス孔65より対物観察ユニット固定ビス43を挿入して先端部本体26のビス孔64に螺合することにより、対物観察ユニット28を先端部本体26に対して固定する。その後、前記ビス孔65の凹部に絶縁部材38を嵌入する。
【0058】対物観察ユニット28を交換するときには、絶縁部材38を第1実施形態と同様に除去し、対物観察ユニット固定ビス43をゆるめて外すことにより、対物観察ユニット28を内視鏡先端部19から容易に取り外すことができる。
【0059】本実施形態によれば、内視鏡2の先端部19を壁や地面等にぶつけてしまい、第1レンズ41にヒビ、または割れが生じてしまったとき、または対物観察ユニット28に何からの異常が発生して画像が出なくなってしまった場合に、絶縁カバー27を取り外したり接着剤を除去したりすることなく、絶縁部材38を取り外すことで容易に対物観察ユニット28の交換を行うことができる。
【0060】図13及び図14は本発明の第4実施形態に係り、図13は内視鏡の挿入部先端部の構成を示す径方向断面図、図14はビス孔と固定ビス及び絶縁部材との長さ寸法関係を示す説明図である。
【0061】第4実施形態は、送気送水ノズルユニット29を設定されたトルクで固定ビスにより螺合固定した構成例である。ここでは第1実施形態と異なる部分の構成及び作用のみ記載し、同様な部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0062】送気送水ノズルユニット29は、送気送水ノズルユニット固定ビス35により先端部本体26に対して固定されている。この固定ビス35は先端部本体26に設けたビス孔36に設定された所定のトルクで螺合している。絶縁カバー27には前記ビス孔36と略同位置に固定ビス35を挿入するビス孔37が設けてあり、そのビス孔37に絶縁部材38が嵌入している。
【0063】送気送水ノズルユニット固定ビス35を螺合した状態では、図13に示すように送気送水ノズル33及び絶縁筒34は固定ビス35の押圧により変形する。ここで、組み付ける前の状態では、図14の(A),(B)に示すように、絶縁カバー27に設けられたビス孔37と先端部本体26に設けられたビス孔36を足した長さL1 と、送気送水ノズルユニット固定ビス35と絶縁部材38を足した長さL2 を比較すると、L2 の方が長くなっている。すなわち、送気送水ノズルユニット固定ビス35にて所定のトルクで送気送水ノズルユニット29を押圧固定したとき、送気送水ノズル33及び絶縁筒34が変形するため、その変形量分だけL2 の方が長くなっている。
【0064】また、図13の組立状態において、絶縁部材38における挿入部外表面に露呈する部分の形状と、絶縁カバー27の外形形状がほぼ同じであるため、絶縁部材38をビス孔37に嵌挿したときに、絶縁カバー27と絶縁部材38が同一面となる。
【0065】挿入部9の先端部19を組立てる際には、第1実施形態と同様に絶縁カバー27と先端部本体26を接着剤にて固定した後、先端部本体26に送気送水ノズルユニット29を嵌挿し、絶縁カバー27に設けられたビス孔37より送気送水ノズルユニット固定ビス35を挿入して設定されたトルクで先端部本体26のビス孔36に螺合することにより、送気送水ノズルユニット29を先端部本体26に対して固定する。その後、前記固定ビス35の頭部と当接するまで絶縁部材38をビス孔37の凹部に嵌挿する。すると、絶縁カバー27と絶縁部材38の外表面が同一面となる。
【0066】送気送水ノズルユニット29を交換するときには、絶縁部材38を第1実施形態と同様に除去し、送気送水ノズルユニット固定ビス35をゆるめて外すことにより、送気送水ノズルユニット29を内視鏡先端部19から容易に取り外すことができる。
【0067】本実施形態の構成では、送気送水ノズルユニット29を固定する際に、ある一定の値に設定されたトルクで送気送水ノズル固定ビス35を螺合するので、送気送水ノズルユニット29の絶縁筒34はほぼ一定の変形量となる。よって、その変形量を考慮して絶縁部材38の長さを設定しているので、先端部19の外表面を常に凹凸のない滑らかな同一面に仕上げることができる。
【0068】図15は本発明の第5実施形態に係る内視鏡の挿入部先端部の構成を示す径方向断面図である。
【0069】第5実施形態は、送気送水ノズルユニット固定ビス35と絶縁部材38との間に接着剤を充填した構成例である。ここでは第1実施形態と異なる部分の構成及び作用のみ記載し、同様な部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0070】送気送水ノズルユニット29は、第4実施形態と同様に送気送水ノズルユニット固定ビス35により先端部本体26に対して固定されている。この固定ビス35が螺合するビス孔36と略同位置に設けられたビス孔37には、絶縁部材38が嵌入され、固定ビス35と絶縁部材38との間に接着剤66が充填されている。この接着剤66は、送気送水ノズルユニット29を交換することを考慮して、シリコン系接着剤が望ましい。また、絶縁カバー27の外周と絶縁部材38の外周はほぼ同一面となって、外表面の凹凸がない状態に構成されている。
【0071】挿入部9の先端部19を組立てる際には、第1実施形態と同様に絶縁カバー27と先端部本体26を接着剤にて固定した後、先端部本体26に送気送水ノズルユニット29を嵌挿し、絶縁カバー27に設けられたビス孔37より送気送水ノズルユニット固定ビス35を挿入して先端部本体26のビス孔36に螺合することにより、送気送水ノズルユニット29を先端部本体26に対して固定する。その後、前記ビス孔37の凹部に接着剤66を充填し、絶縁部材38をビス孔37に嵌挿する。このとき、絶縁部材38の外表面と絶縁カバー27の外表面がほぼ同じ面となるまで絶縁部材38をビス孔37に挿入する。なお、接着剤66は修理性を考慮して除去しやすいシリコン系接着剤を使用すると良い。
【0072】送気送水ノズルユニット29を交換するときには、絶縁部材38を第1実施形態と同様に除去し、接着剤66を除去した後、送気送水ノズルユニット固定ビス35をゆるめて外すことにより、送気送水ノズルユニット29を内視鏡先端部19から容易に取り外すことができる。
【0073】一般的に送気送水ノズルユニット固定ビス35、絶縁部材38、絶縁カバー27等全ての部品には大きさのバラツキが生じるが、本実施形態の構成の場合、そのバラツキを送気送水ノズルユニット固定ビス35と絶縁部材38との間の接着剤66により吸収できるので、部品それぞれの寸法公差を厳しく規定する必要がなく、部品の加工性、組立性に優れており、また安価に構成できるという効果がある。
【0074】[付記]
(1) 挿入部先端における先端部本体の周囲を絶縁カバーで被覆した内視鏡において、内視鏡構成要素のうち少なくとも一つを前記先端部本体の絶縁カバーで被覆した側面から固定部材にてこの先端部本体に対して着脱可能に固定すると共に、前記絶縁カバーに前記固定部材を挿通する孔を設け、この孔の凹部空間に絶縁部材を着脱可能に嵌入し固定したことを特徴とする内視鏡。
【0075】(2) 前記内視鏡構成要素は、送気送水ノズルユニットであることを特徴とする付記1に記載の内視鏡。
【0076】(3) 前記内視鏡構成要素は、対物観察光学系ユニットであることを特徴とする付記1に記載の内視鏡。
【0077】(4) 前記内視鏡構成要素は、照明光学系ユニットであることを特徴とする付記1に記載の内視鏡。
【0078】付記1ないし4の構成のように、内視鏡構成要素の先端部本体への固定を固定部材によって着脱可能に行い、絶縁カバーに設けた固定部材を挿通する孔の凹部に着脱可能に絶縁部材を嵌入し固定したことにより、外観品質と内視鏡構成要素の修正性が良好な内視鏡を提供することができる。
【0079】(5) 前記固定部材は、ネジ部材であることを特徴とする付記1に記載の内視鏡。
【0080】付記5の構成のように、内視鏡構成要素の固定をビス部材により行うことで、内視鏡構成要素の組立性、取り外し性が良好で固定強度を十分に確保することができる。
【0081】(6) 前記絶縁部材は、合成樹脂からなることを特徴とする付記1に記載の内視鏡。
【0082】付記6の構成のように、絶縁部材の材質を合成樹脂としたことで、絶縁部材の加工性が良好でかつ絶縁性も良好に保つことができる。
【0083】(7) 前記絶縁部材は、前記絶縁カバーの前記孔に嵌入したとき、この絶縁カバーの外周と略同一形状となることを特徴とする付記1に記載の内視鏡。
【0084】付記7の構成のように、絶縁部材を絶縁カバーの孔に嵌入したときに絶縁カバーの外周と略同一形状となるように成形したことにより、先端部の外表面を滑らかで、外観品質が良好な内視鏡を提供することができる。
【0085】(8) 前記絶縁部材は、成形品であることを特徴とする付記1に記載の内視鏡。
【0086】付記8の構成のように、絶縁部材を成形品としたことにより、安価かつ一定な寸法の絶縁部材を提供することができる。
【0087】(9) 体腔内に挿入する挿入部内から該挿入部の基端側に連設された操作部の挿入口にかけて処置具等を挿入する挿通チャンネルを有する内視鏡において、前記挿入部と前記操作部との間に補強用の折れ止め部を設けると共に、前記折れ止め部を含む部分の内部の挿通チャンネルに厚肉部を設け、この厚肉部の先端部の位置を、前記折れ止め部付近の挿入部を曲げたときの曲率頂点よりも先端側で、かつ前記挿入部内の充填率が一番低くなる変化点までの間に設けたことを特徴とする内視鏡。
【0088】付記9の構成のように、折れ止め部付近の挿入部を曲げたときの曲率頂点よりも先端側で、かつ挿入部内の充填率が一番低くなる変化点までの間に挿通チャンネルの厚肉部が位置するように配設することによって、湾曲操作したとき、内蔵物の動きを低下させることなく、折れ止め部付近の挿入部を小さな曲げ半径で屈曲させた場合にも挿通チャンネルの座屈等の損傷のない十分な耐性を有する挿通チャンネルを内蔵している内視鏡を提供することができる。
【0089】(10) 前記厚肉部は、前記挿通チャンネルと別体のチューブ体を該挿通チャンネルの外周にほぼ密着固定して形成したことを特徴とする付記9に記載の内視鏡。
【0090】付記10の構成のように、挿通チャンネルに別体のチューブ体を密着固定することで厚肉部を形成することによって、挿通チャンネルに厚肉部を設けるために特別なチューブ成形が不要であり、部材の原価を安くできる挿通チャンネルを提供することができる。
【0091】(11) 前記厚肉部は、加熱により前記挿通チャンネル外周にほぼ密着するように収縮する熱収縮チューブによって構成したことを特徴とする付記10に記載の内視鏡。
【0092】付記11の構成のように、挿通チャンネルに熱収縮チューブを被覆することにで厚肉部を形成することによって、挿通チャンネル外周に保護用のチューブ体を密着固定する際の組立作業が容易な挿通チャンネルを提供することができる。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、先端部にビス孔等による凹部を有する構成の内視鏡挿入部において、外観品質と内視鏡構成要素の修理性を良好に保つことが可能な内視鏡を提供できる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
【公開番号】 特開平11−56756
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平9−226777