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【発明の名称】 部分的に結ばれた状態の外科結び目とそのアセンブリ
【発明者】 【氏名】デイル・アール・シュルゼ

【氏名】トロイ・エイ・マクミラン

【要約】 【課題】完全に結ばれた時に安全性が十分に高められるような、縫合糸から形成される部分的に結ばれた状態の外科結び目を提供する。

【解決手段】この部分的に結ばれた状態(不完全な状態)の外科結び目は、近位ループと、第1ループと、複数の結び目ループと、これら複数の結び目ループによって形成された共通ループコア内に収められたコアループからなる。この部分的に結ばれた状態の結び目は、容易に非すべり性結び目に変換して、高い縫合糸結び目安定性を与えることができる。本発明の結び目を最終形成するための手法によれば、ユーザは毎回一貫して変換を行い、複数の用途に一貫した結び目安定性を与えることができる。また、部分的に結ばれた状態(不完全な状態)の結び目から完全に結ばれた状態の結び目への変換を容易にするためのコア管と組み合わせた部分的に結ばれた状態の外科結び目のアセンブリも開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 a)結び目の第1端部にある近位ループと、b)結び目の反対側端部にある第1ループと、c)前記近位ループ及び前記第1ループの周囲に形成され、共通ループコアを形成する複数の結び目ループと、d)前記共通ループコア内に収められており、前記共通ループコアから前記結び目の第1端部へ向かって延びた自由な近位端と、前記共通ループコアから前記結び目の反対側端部へ向かって延びたループ端とを有するコアループであって、前記ループ端は前記第1ループ内に配置されるコアループと、を有してなる部分的に結ばれた状態の外科結び目。
【請求項2】 部分的に結ばれた外科結び目のアセンブリであって、a)i) 結び目の第1端部にある近位ループと、ii) 結び目の反対側端部にある第1ループと、iii) 前記近位ループ及び前記第1ループの周囲に形成され、共通ループコアを形成する複数の結び目ループと、iv) 前記共通ループコア内に収められており、前記共通ループコアから前記結び目の第1端部へ向かって延びた自由な近位端と、前記共通ループコアから前記結び目の反対側端部へ向かって延びたループ端とを有するコアループであって、前記ループ端は前記第1ループ内に配置されるコアループと、を有してなる部分的に結ばれた状態の外科結び目と、b)前記部分的に結ばれた状態の結び目から完全に結ばれた状態の結び目の形成を容易にするコア管であって、前記コア管内を通して前記近位ループを収めたコア管と、を具備したアセンブリ。
【請求項3】 請求項1に記載の部分的に結ばれた状態の外科結び目から完全に結ばれた状態の非すべり性結び目を形成する方法であって、前記結び目ループは第2、第3及び第4ループを含み、前記第4ループから延びた自由な遠位端には外科用針が取り付けられており、前記針を先ず組織に通し、次に前記自由な遠位端を前記第1ループに通すことによって組織縫合ループを形成し、前記近位ループに軸方向の張力を付加して前記近位ループと前記コアループを前記共通ループコア内に引き込み、前記共通ループコアに隣接して遠位ループを形成する工程からなる方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は縫合糸からなる外科結び目に関する。さらに詳細には本発明は、対象部位への接近が限定されるような最小限度の体内侵入による外科手術中に、完全に結ばれた状態の結び目を形成配置するのに特に適した部分的に結ばれた状態の結び目に関する。
【0002】
【従来の技術】外科手術の主要な技術として、従来から及び今後も、手術中に、縫合糸からなる外科結び目を形成し、その結び目を体内に配置して、組織を縫合する技術が挙げられる。数多くの外科結び目が長期間に亘って開発されてきた。結び目を形成して組織を縫い付ける技術は、外科医が安全にかつ効率的に手術を行うために取得しなければならない重要な技術である。従って、このような技術が広範に開発されている。例えば、「Tissue Approximation in Endoscopic Surgery(内視鏡による外科手術における切開組織の縫合)」、Alfred Cuschieri及びZoltan Szabo著、Times Mirror International Publishers(1995年発行)は、外科手術中に行われる切開組織の縫合を簡素化させるための縫合糸からなる数多くの外科結び目を記載している。
【0003】外科結び目の技術は、特許文献においても多く開示されている。米国特許第2,012,776号は縫合糸からなる種々の形態のすべり性結び目の配置を簡素化させるための外科用器具を開示している。この米国特許第2,012,776号の発明者であるH.A.Roederは、現在も外科手術において頻繁に用いられている「ローダ結び目(Roeder Knot)」と呼ばれる外科結び目を開発している。さらに最近、米国特許第5,573,286号は、整形外科の分野で特に有用な縫合用撚り糸からなる外科結び目を開示している。この米国特許第5,573,286号に記載されている好適な実施例においては、結び目が骨に対して適用されている。
【0004】従来、遠隔操作によって接近可能な外科手術の対象部位内に、外科結び目を形成かつ配置するのは難しく、また煩瑣であり、さらに信頼性に欠ける場合が多い、と見なされていた。そのために、遠隔操作による結び目の配置を簡素化させるための器具が開発されてきた。好ましい方法として、緊密に締め込まれる結び目を形成するのに必要な段階数を減らすために、縫合糸からなる予め形成された結び目ループを用いる方法がしばしば行われている。例えば、米国特許第2,566,625号及び第3,090,386号は、特に接近が困難な組織の手術において、その組織を縫合または縛るための縫合糸からなる予め形成された結び目ループを支持するのに適した外科用装置を記載している。
【0005】さらに最近、特に最小限度の体内侵入による外科手術中の結び目の配置を簡素化させる器具が開発されている。具体的には、米国特許第5,320,629号に、内視鏡による外科手術において切開組織を縫合する際に、縫合糸からなる結び目ループを予め形成し、その結び目ループを外科用装置に配置することによって、結び目ループの締め込みを簡素化する方法が開示されている。ドイツ特許第912619号も米国特許第5,320,629号に開示された装置と同様の装置を開示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、外科結び目の技術は十分に開発され、また、遠隔操作によって行われる部位の手術に対して、縫合糸からなる予め形成された結び目ループから緊密な結び目を容易に形成するための外科用装置も開発されているが、まだ検討されるべき問題点がある。それは、具体的に述べると、対象部位への接近が限定されているような外科手術において、例えば、内視鏡による外科手術のような最小限度の体内侵入による手術中において、形成配置される結び目は決まって安全性の乏しいすべり性結び目となる。もし結び目の安全性が乏しいと、縫合された組織は傷を癒すのに十分な期間保持されないことがある。加えて、最小限度の体内侵入による外科手術中において、従来技術の装置に関して述べた縫合糸からなる予め形成された結び目ループは、最終的な結び目の形成のために効率よく締め込むのが困難である。
【0007】従って、対象部位への接近が限定されているような最小限度の体内侵入による外科手術において、必要とされるのは、完全に結ばれた時に安全性が十分に高められるような縫合糸から形成される部分的に結ばれた状態(不完全な状態)の外科結び目である。このような部分的に結ばれた結び目は比較的単純な構成を有するべきである。また、縫合糸からなる予め形成された結び目ループの形態を特徴とするこの部分的に結ばれた結び目から、緊密な結び目が簡単に形成されるべきである。縫合糸からなる予め形成された結び目ループから緊密な結び目を形成するにあたっては、未熟な外科医であっても確実にかつ効率的に縫合糸からなる安全な結び目を確保できるように、結び目が締め込まれる度毎に一貫して強固な結び目の安全性が得られるべきである。加えて、外科結び目は、形成時においてのみ結び目の安全性が高められるだけでなく、傷を癒すに十分な期間その対象組織が縫合された状態に安全に保持されるべきである。さらに加えて、縫合糸からなる予め形成された結び目ループを締め込む時に縫合糸に付加されなけらばならない張力の大きさは、その結び目が形成配置時に縫合糸が破壊しない程度の小さい値に維持されるとすれば、理想的であろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は部分的に結ばれた状態(不完全な状態)の外科結び目を提供する。この結び目は近位ループと、第1ループと、複数の結び目ループと、コアループからなる。近位ループは、結び目の第1端部にある。第1ループは、結び目の反対側端部にある。複数の結び目ループは、近位ループと第1ループの周囲に形成され、共通ループコアを形成する。コアループは、共通ループコア内に収められている。コアループは、共通ループコアから結び目の第1端部へ向かって延びた自由な近位端を有する。コアループはまた、共通ループコアから結び目の反対側端部へ向かって延びたループ端も有する。ループ端は第1ループ内に配置される。
【0009】本発明の部分的に結ばれた状態(不完全な状態)の外科結び目は、容易に完全な状態の非すべり性結び目に変形して、人体組織を縫合し高い安全性の結び目を与えることができる。この部分的に結ばれた状態の結び目は、一連の容易に形成された縫合糸ループから構成されるので、つくるのが容易である。この部分的に結ばれた状態の結び目はまた、完全に結ばれた状態の非すべり性結び目への変換が容易である。結び目を変換するための手法は簡潔かつ直接的であることが好ましい。このような手法であれば、未熟なユーザであっても毎回強固で安全な結び目を一貫して配置することができ、不適切に配置するおそれがない。さらに、本発明の部分的に結ばれた結び目は、縫合糸を破壊するのに必要な限界張力を超えるような張力を該結び目の縫合糸にかけることなく、変換することができる。これは、部分的に結ばれた状態の結び目を変換するときに、コアループが共通コアループ内に好適に引き込まれ、そのため、同時に共通コアループ内に引き込まれる第1ループの通過のための隙間もしくはゆとりが生ずることにより、第1ループの通過が容易になるからである。隙間もしくはゆとりが追加されることにより、結び目を変換するのに必要な縫合糸の張力の大きさが減少する。
【0010】本発明の好ましい実施形態では、部分的に結ばれた状態(不完全な状態)の結び目から完全に結ばれた状態の結び目の形成を容易にするコア管(脱離管)と組み合わせた上述の部分的に結ばれた状態の外科結び目のアセンブリが提供される。このコア管(脱離管)は、最終的な結び目の形成のためにユーザが部分的に結ばれた状態(不完全な状態)の結び目を対象の人体組織に隣接して正確かつ効率的に配置できるようにする。
【0011】本発明の部分的に結ばれた状態(不完全な状態)の外科結び目は、組織を縫合する必要があるときに、手術における非すべり性結び目の形成配置を容易にするために使用することができる。従来の切開手術及び最小限度の体内侵入による手術の両方のどのような外科手術においても使用することができる。もっとも、本発明の部分的に結ばれた結び目は、手術対象部位への接近が限定されているような最小限度の体内侵入による手術の場合に理想的に適する。
【0012】
【発明の実施の形態】図1乃至図6は、一定長さの縫合糸からいかにして部分的に結ばれた状態の外科結び目が形成され得るかを例示している。このようにして形成された不完全な状態の外科結び目は、本発明による種々の実施例を行うのに用いられる。
【0013】図1に示される縫合糸30は、現在用いられている或いは今後開発され得る如何なる縫合材料から構成されてもよい。縫合糸としては、単一縫合糸、又は3本以上の糸で編まれた多重縫合糸が挙げられる。縫合糸は、その縫合糸が用いられる具体的な組織の縫合例によるが、その縫合糸の構成に関わらず、吸収性さらに詳細には生物学的な吸収性を有しない材料からなるとよい。
【0014】一定長さの縫合糸30は、近位端31と遠位端32を有している。さらに、近位端31に隣接して、近位部33を有している。同様に、遠位端32に隣接して、遠位部34を有している。
【0015】図2に示されるように、縫合糸30の遠位部34を操ることによって、第1ループ35が形成される。図3を参照して、縫合糸30の近位部33を固定したままで、遠位部34を操ることによって、第1ループ35の周囲にほぼその第1ループ35を横切るように巻きつく第2ループ36が形成される。同様に、図4に示されるように、第3ループ37及び第4ループ38が第1ループ35の周囲に形成される。第2,第3及び第4ループ36,37,38は互いにほぼ平行であり、第1ループ35をほぼ横切るように配向している。本発明の記述を簡素化するために、以後、これらの第2,第3及び第4ループ36,37,38を集合的に「結び目ループ」と呼ぶこともある。結び目ループの数は、結び目が用いられる具体的な用途によって変更されてもよい。例示された実施例においては、第2,第3及び第4ループ36,37,38は第1ループ35を保持する共通ループコア39を形成する。
【0016】図5を参照して、緩やかに形成された結び目は縫合糸30の遠位部34に張力を付加させることによって緊密に締め込まれる。その場合、第2,第3及び第4ループ36〜38は第1ループ35に接して締め込まれ、その結果、第1ループ35は共通ループコア39内に安全に保持される。
【0017】図6に示されるように、縫合糸30の遠位端32と遠位部34を第1ループ35内に通すことによって、組織縫合ループ40が形成される。
【0018】本発明の第1実施例としての外科結び目を形成するには、図6に示される不完全な状態に結ばれる結び目を形成してから、縫合糸30の近位部33に張力を図7において矢印によって示される近位方向に沿って付加させる。この外科結び目の形成を容易にするために、好ましくは、外科医が指先で結び目ループの近位側を抑えながら張力を縫合糸30の近位部33に付加させるとよい。或いは、下記の実施例において説明するように、結び目ループを適切な位置に保持するための器具を用いることもできる。張力が付加されると、第1ループ35は結び目の共通ループコア39内に引き込まれはじめる。そして、この第1ループ35のループの大きさが図6に示される状態から十分に縮小され、その縮小されたループによって縫合糸30の遠位部34が捕獲される。縫合糸30の近位部33に近位方向の張力がさらに継続的に付加されると、縫合糸30の第1ループ35とその第1ループ35によって捕獲された遠位部34が共通ループコア39内に引き込まれる。縫合糸30のこの第1ループ35と遠位部が第4ループ38から外方に現れると、プツッというユーザの耳に聞こえる程度の音が生じ、その音によって、ユーザは完全な状態の外科結び目が形成されたことを知ることができる。
【0019】「血液」結び目と呼ばれることもある、図6に例示される不完全な状態に結ばれている結び目は本発明の完全な状態に結ばれる非すべり性外科結び目への変換に好適であるが、前述の文献に記載された他のすべり性結び目を用いることもできる。他の不完全な状態に結ばれている結び目に本発明を適用させるための鍵となる特性は縫合糸を通過させる共通ループコア(図6の例では、共通ループコア39)の形成である。他の不完全な状態に結ばれている結び目として、例えば、「The Encyclopedia of Knots and Fancy Ropewark, R.Graumont & J.Hensel 著Fourth Edition, Cornell Maritime Press」の71頁,83頁,87頁及び102頁に作品第102号,185号,227号及び349号として部分的に結ばれた状態の結び目の適切な例が示されている。
【0020】図8に示されるように、本発明による完全な状態の外科結び目は非すべり性結び目41からなる。第1ループ35は消滅し、第4ループ38に隣接して縫合糸の遠位部34の一部である遠位ループ42が形成される。結果的に、組織の縫合に用いられる組織縫合ループ40は強固にかつ安全に固定される。なお、縫合された組織端は拡張すなわち互いに離れるように引っ張られるので、その張力がループ40に付加されて非すべり性結び目41がさらに締め込まれるという有利な結果が得られる。
【0021】図9及び図10において、図1乃至図6に示された部分的に結ばれた状態の結び目をコア管43の周囲に形成する例が示されている。このコア管43を用いることによって、部分的に結ばれた状態の結び目を図8に示された完全な状態の非すべり性結び目に容易に変換させることができるのみならず、その部分的に結ばれた状態の結び目を容易に被縫合組織に隣接して配置させることができる。コア管43は近位端44と遠位端45を有している。外科用針46が縫合糸30の遠位端32に取り付けられている。縫合糸30の近位部33はコア管43内を貫通している。縫合糸30の長さはコア管43の長さよりも長く、縫合糸30の近位部33がコア管43の近位端44から外方に延出している。又、縫合糸30の十分に長い部分(遠位部34)がコア管43の遠位端45から外方に延びているので、コア管43の遠位端45の周囲に部分的に結ばれた状態の結び目を形成することができる。具体的には、第1ループ35とそれに続く結び目ループ(第2,第3及び第4ループ36,37,38)がコア管43の遠位端45の周囲に形成されている。いったん結び目ループが形成されると、その結び目ループをコア管43の遠位端45の周囲を締め込むために、縫合糸30の遠位部34に張力が付加される。
【0022】本発明の他の実施例において、コア管43の周囲に不完全な状態で部分的に締め込まれた結び目を、図11に例示される縫合カートリッジ47内に装填させることができる。縫合カートリッジ47は細長の本体48を有している。コア管43を受容するための管スロット49がカートリッジ47の本体48内に設けられている。又、この本体は一対の脱離ショルダー51を有する結び目凹部50を備えている。管スロット49の近位端52から近位方向に延びているのは縫合糸スロット53である。同様に、管スロット49の遠位端54からカートリッジ本体48の遠位端に向かって延びているのはループスロット55である。図11においてL1 で示されるコア管43の長さは、図11においてL2 で示されている管スロット49の長さよりも短い。
【0023】部分的に結ばれた状態の結び目がコア管43の周囲に形成されると、結び目ループがコア管43の遠位端45の周囲に巻き付けられ、縫合糸の自由な近位部33はコア管43の近位端44から外方に延出し、部分的に結ばれた状態の結び目の第1ループ35はコア管43の遠位端45から外方に延出する。このようなコア管43がカートリッジ本体48の管スロット49内に装填されると、結び目ループは結び目凹部50内に置かれてその結び目凹部50の脱離ショルダー51に当接する。縫合糸30の近位部33の一部はカートリッジ本体48内に設けられた縫合糸スロット53内に置かれ、縫合糸30の近位部33の残りの部分はカートリッジ本体48の近位端52から外方に延出する。同様に、部分的に結ばれた状態の結び目の第1ループ35と縫合糸30の遠位端32がループスロット55内に受容される。第1ループ35の大部分と縫合糸30の遠位部34はカートリッジ本体48から外方に延出している。図13に最もよく例示されている基本位置において、コア管43の遠位端45は管スロット49の遠位端54に隣接している。管スロット49はコア管43よりも長いので、コア管43は管スロット49の近位端52に向かって近位方向に滑動することができる。この基本位置において、結び目は凹部50内に閉じ込められている。こうして、外科医は、結び目を早い段階で偶発的に締め込んでしまうおそれもなく、針46と縫合糸30の遠位部34を容易に操ることができる。
【0024】コア管43がカートリッジ本体48内の管スロット49に装填されると、図12に示されるように、カートリッジ天板56がカートリッジ本体48上に取り付けられる。カートリッジ天板56が取り付けられると、コア管43はカートリッジ47内に十分に密封される。
【0025】コア管43が縫合カートリッジ47内に十分に密封されると、コア管43の周囲に巻き付けられた部分的に結ばれた状態の結び目は、図14及び図15に例示されるように、所定の人体組織を縫合するのに用いられる。第1段階として、縫合カートリッジ47が縫合される人体組織57に隣接して配置される。続いて、外科用針46が組織内を貫通し、第1ループ35内を通過し、組織縫合ループ40が形成される。組織縫合ループ40の大きさは、縫合される人体組織57の互いに対向する部分に適当な張力が付加されるように調整される。いったん結び目が完全に締め込まれて非すべり性結び目が形成されると、組織縫合ループ40は強固に固定され、それ以上の調整はできなくなる。組織縫合ループ40が適当な大きさに形成された後、縫合糸30の近位部33に近位方向の張力が図15の矢印によって示される方向に付加される。近位部33に十分な張力が付加されることによって、以下に述べるように、完全な状態の結び目が形成される。
【0026】すなわち、好都合なことに、縫合糸30の近位部33に張力が付加されると、第1ループ35が引っ張られ、その結果、近位方向の力がコア管43の遠位端45に対して付加され、コア管43が図15に示されるように近位方向に滑る。結び目ループは結び目凹部50内の脱離ショルダー51に当接しているので、コア管43が近位方向に滑っても固定されたままである。コア管43が管スロット49の近位端52に隣接する位置にまで滑動すると、結び目ループはコア管43の遠位端45から脱離される。これによって、結び目は完全な状態に形成され、ユーザはカートリッジ天板56を取り外して、縫合糸30の残りの近位部33と遠位部34を切除して、コア管43を取り外す。或いは、近位部33に付加される張力を解放してカートリッジ47を近位方向に引っ張って、コア管43内に含まれている縫合糸30の近位部33と遠位部34の一部を凹部50から遠位方向に延出させることによって、カートリッジ天板56を取り外すことなく縫合糸30の近位部33と遠位部34をカートリッジ47から露出させることができる。
【0027】縫合カートリッジ47は、従来の切開手術器具及び内視鏡的検査器具に容易に適用でき、外科結び目の形成を容易に行えるという利点がある。この縫合カートリッジ47は使い捨てでもよいし、又は何人かの患者に対して用いてもよい。何人かの患者に用いるときには、部分的に結ばれた状態の結び目を周囲に巻き付けた複数の使い捨てコア管が縫合カートリッジに順次装填することによって、組織を縫合するための数多くの外科結び目を単一の縫合カートリッジを用いて提供することができる。
【0028】図21乃至図23に例示される本発明の他の実施例においては、前述の実施例と同様に、部分的に結ばれた状態の結び目がコア管の周囲に巻き付けられ、組織を縫合するための完全な状態の非すべり性結び目に変換される。この実施例が図9乃至図15に例示された実施例と異なる主な特徴は、コア管が傾斜された遠位端を有するという点にある。説明を簡単にするために、図21乃至図23において、図9乃至図15に示される部品と類似の部品は同じ参照番号で示される。
【0029】本発明のさらに他の実施例において、部分的に結ばれた状態の結び目が図16及び図17に示されるように形成される。結び目は近位端59と遠位端60を有する縫合糸58からなる。外科用針61が遠位端60に取り付けられている。縫合糸の近位端59を固定したままの状態で縫合糸の遠位端60を操ることによって、その結び目が形成される。コアループ62,近位ループ63及び第1ループ64が最初に形成される。近位ループ63は結び目の第1端部70にあり、第1ループ63は結び目の反対側端部71にある。コアループ62はそれらの第1端部と反対側端部間に位置している。この好適な実施例においては第2,第3及び第4ループ65,66,67からなる結び目ループが近位ループ63及び第1ループ64の周囲に形成されている。これらの結び目ループが共通ループコア68を形成する。コアループ62は共通ループコア68内に位置している。結び目ループの近位端を保持したままの状態で縫合糸の遠位端60に張力が付加されると、結び目ループが締め付けられる。さらに具体的に述べると、結び目ループが第1ループ64,近位ループ63及びコアループ62の周囲に締め付けられる。そして、結び目ループが締め付けられると、図17に示されるように、第1ループ64、コアループ62及び近位ループ63は結び目ループ内に安全に保持され、部分的に結ばれた状態の結び目が形成される。
【0030】図17に特に示されているように、コアループ62は共通ループコア68から結び目の第1端部70に向かって延出する自由な近位端59を有している。コアループ62は又、共通ループコア68から結び目の反対側端部71に向かって反対方向に延出するループ端72を有している。コアループ62のループ端72は第1ループ64内に配置されている。
【0031】図17に示されている部分的に結ばれた状態の結び目は、結び目ループの近位端59を保持しながら近位ループ63に軸方向張力を近位方向に付加することによって、完全な状態の非すべり性結び目に変換させることができる。図1乃至図8において好ましく例示された方法と同様の方法で、第1ループを共通ループコア68内に引き込んで遠位ループを形成することによって、結び目を変換させることができる。好都合なことに、近位ループ63に張力が付加されると、第1ループ64が共通ループコア68内に引き込まれるだけではなく、コアループ62も又共通ループコア68内に引き込まれる。これは、コアループ62が十分な空間を共通ループコア68内に形成して、第1ループ64が共通ループコア68内を貫通して完全な状態の結び目を形成するのを容易にさせるという利点がある。このように第1ループ64が共通ループコア68内を容易に貫通するので、完全な状態の結び目を形成するために近位ループ63に付加される張力の大きさを減少させることができ、従って、結び目を形成する際のユーザの制御性を向上させることができる。
【0032】図18乃至図20は、脱離管(コア管)73を用いて、図17に示される部分的に結ばれた状態の結び目から組織を縫合するための完全な状態の結び目に変換させる例を示している。図17に示される部分的に結ばれた状態の結び目が形成されたあと、近位ループ63が脱離管73内を通される。近位ループ63の一部は脱離管73の近位端から外方に延出している。結び目ループが脱離管73の遠位端74に当接するまで、近位ループ63は脱離管73内を通される。ここで重要な点は、脱離管73が傾斜された(即ち、テーパ付きの)遠位端74を有していることである。コアループ62と第1ループ64が管73の傾斜された遠位端74から外方に延出している。管73の遠位端74の開口は結び目ループの径よりも小さい。その結果、近位ループ63に張力が近位方向に付加されても、結び目ループは脱離管73内を通らない。
【0033】部分的に結ばれた状態の結び目から完全な状態の結び目への変換は前述の実施例に記載された方法と実質的に同様の方法で行われる。
【0034】図19及び図20に示されるように、脱離管73は縫合される人体組織75に隣接して配置される。外科用針61が組織75内に通される。外科用針61と縫合糸30の遠位端60が第1ループ64内に導かれることによって、組織縫合ループ76が形成される。ここでも、結び目が完全に形成される前に縫合組織に適当な張力が付加されるように組織縫合ループ76の大きさを調整することが重要である。所定の組織縫合ループ76が形成されると、近位ループ63に張力が図19の矢印によって示される近位方向に付加され、コアループ62と第1ループ64が共通ループコア内に引き込まれる。そして、第1ループ64が第4結び目ループ67から現れて遠位ループ77が形成され、完全な状態の非すべり性結び目が形成される。
【0035】上記の種々の実施例は、本発明の好適な実施例を代表するものであり、単なる例示に過ぎない。従って、本発明の範囲は、これらの実施例または当業者が思いつくいかなる他の具体的な実施例によっても限定されるべきではなく、請求の範囲に基づいて決定されるべきである。
【0036】本発明の具体的な実施態様は、次の通りである。
(1)前記結び目ループは第2,第3及び第4ループを含む請求項1記載の結び目。
(2)前記第4ループから延びた自由な遠位端をさらに有する実施態様(1)記載の結び目。
(3)前記結び目の前記自由な遠位端には外科用針が取り付けられる実施態様(2)に記載の結び目。
(4)前記針を先ず組織に通し、次に前記自由な遠位端を前記第1ループに通すことによって形成される組織縫合ループをさらに有する実施態様(3)記載の結び目。
【0037】(5)前記結び目ループは前記コア管の遠位端に当接する請求項2記載のアセンブリ。
(6)前記コア管の遠位端は開口径を有しており、前記結び目ループは結び目ループ径を有しており、前記結び目ループ径は、前記結び目ループが前記コア管内を通らないように、前記開口径よりも大きい実施態様(5)記載のアセンブリ。
(7)前記コア管の遠位端は傾斜されている実施態様(6)記載のアセンブリ。
(8)前記結び目ループは第2,第3及び第4ループを含む実施態様(6)アセンブリ。
(9)前記第4ループから前記部分的に結ばれた状態の結び目の自由な遠位端が延びている実施態様(8)記載のアセンブリ。
(10)前記自由な遠位端には外科用針が取り付けられる実施態様(9)記載のアセンブリ。
(11)前記針を先ず組織に通し、次に前記自由な遠位端を前記第1ループに通すことによって、組織縫合ループが形成される実施態様(10)記載のアセンブリ。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、容易に完全な状態の非すべり性結び目に変換して人体組織を縫合し安全性の高い結び目を与えることができるような部分的に結ばれた状態の外科結び目が提供される。これにより、ユーザは毎回強固で安全な結び目を一貫して形成配置することができ、不適切に形成配置するおそれがない。さらに、本発明の部分的に結ばれた結び目は、縫合糸を破壊する限界張力を超えるような張力を該結び目の縫合糸にかけることなく、変換することができる。
【出願人】 【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【出願日】 平成10年(1998)4月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 博昭 (外1名)
【公開番号】 特開平11−42234
【公開日】 平成11年(1999)2月16日
【出願番号】 特願平10−112817