| 【発明の名称】 |
超音波診断装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】松島 哲也
|
| 【要約】 |
【課題】本発明は、被検体内に超音波を送信しその被検体内で反射して戻ってきた超音波を受信することにより受信信号を得、その受信信号に基づく画像を出力する超音波診断装置に関し、多重反射ないし多重エコーによる画質の低下を抑える。
【解決手段】一本の送信超音波ビーム内で複数本の受信走査線2A,2B,2Cを形成し、それにより得られた複数枚の画像を重ね合わせる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検体にあてがわれ該被検体内に超音波を送信するとともに該被検体内で反射して戻ってきた超音波を受信する複数の超音波振動子が配列されてなる超音波プローブと、前記超音波振動子上に始点を有し該超音波振動子にあてがわれた被検体内に該超音波振動子上の始点を起点として延出する複数本の送信走査線それぞれに沿って進む送信超音波ビームが順次に形成されるように前記超音波振動子を駆動するとともに、該被検体内で反射して該超音波振動子に戻ってきた超音波を該超音波振動子で受信して該超音波振動子それぞれに対応した受信信号を得る送受信部と、前記送受信部で得られた、複数の超音波振動子に対応する複数の受信信号を、相対的に遅延するとともに互いに加算するビームフォーマを複数有し、一本の送信走査線に沿って進む一本の送信超音波ビームに対応して、前記ビームフォーマそれぞれで、前記超音波振動子上に始点を有し該超音波振動子上の始点を起点として該一本の送信超音波ビーム内に延出する複数本の受信走査線に沿う複数本の受信超音波ビームをあらわす複数の走査線信号それぞれを得るビームフォーマ部と、前記送受信部により前記複数本の送信走査線に沿って進む複数本の送信超音波ビームが形成される間に前記ビームフォーマ部で得られた走査線信号に基づいて、該走査線信号があらわす複数の画像が合成されてなる出力画像をあらわす出力画像信号を生成する出力画像生成部と、前記出力画像生成部で得られた出力画像信号に基づく出力画像を出力する画像出力部とを備えたことを特徴とする超音波診断装置。 【請求項2】 前記送受信部が、前記超音波プローブに配列された複数の超音波振動子に沿って順次に始点が移動する送信走査線それぞれに沿って進む送信超音波ビームが順次に形成されるように該超音波振動子を駆動するものであって、前記ビームフォーマ部が、一本の送信走査線に沿って進む一本の送信超音波ビームに対応して、前記ビームフォーマで、該一本の送信超音波ビーム内の互いに異なる方向に延びる複数本の受信走査線に沿う複数本の受信超音波ビームをあらわす複数の走査線信号を得るものであることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。 【請求項3】 前記送受信部が、一本の送信超音波ビームの形成のために駆動する超音波振動子の個数の変更が自在なものであって、前記ビームフォーマ部が、一本の送信走査線に沿って進む一本の送信超音波ビームに対応して、該一本の送信超音波ビームの形成のために前記送受信部が駆動する超音波振動子の個数の多少に応じて、該個数が多い場合に相互間の角度が狭く該個数が少ない場合に相互間の角度が広い複数本の受信走査線に沿う複数本の受信超音波ビームをあらわす複数の走査線信号を得るものであることを特徴とする請求項2記載の超音波診断装置。 【請求項4】 前記送受信部が、順次に方向が変化する送信走査線それぞれに沿って進む送信超音波ビームが順次に形成されるように該超音波振動子を駆動するものであって、前記ビームフォーマ部が、一本の送信走査線に沿って進む一本の送信超音波ビームに対応して、前記ビームフォーマで、前記超音波振動子上の互いに異なる点にそれぞれの始点を有しそれぞれの始点を起点として該一本の送信超音波ビーム内に延出する複数本の受信走査線に沿う複数本の受信超音波ビームをあらわす複数の走査線信号を得るものであることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。 【請求項5】 前記送受信部が、一本の送信超音波ビームの形成のために駆動する超音波振動子の個数の変更が自在なものであって、前記ビームフォーマ部が、一本の送信走査線に沿って進む一本の送信超音波ビームに対応して、該一本の送信超音波ビームの形成のために前記送受信部が駆動する超音波振動子の個数の多少に応じて、それぞれ異なる始点を有するとともに、該個数が多い場合に始点どうしの間の距離が小さく該個数が少ない場合に始点どうしの間の距離が大きい複数本の受信走査線に沿う複数本の受信超音波ビームをあらわす複数の走査線信号を得るものであることを特徴とする請求項4記載の超音波診断装置。 【請求項6】 前記送受信部が、一本の送信走査線に沿う一本の送信超音波ビームを形成するにあたり、該送信走査線の前記超音波振動子上の始点と該送信超音波ビームの焦点位置との間の距離の大小に応じて、該送信超音波ビームの形成のために、該距離が大きい場合に多い個数、該距離が小さい場合に少ない個数の超音波振動子を駆動するものであることを特徴とする請求項3又は5記載の超音波診断装置。 【請求項7】 一本の送信超音波ビームの形成のために駆動される超音波振動子の個数を直接もしくは間接に指示するための操作子を備えたことを特徴とする請求項3又は5記載の超音波診断装置。 【請求項8】 前記出力画像生成部が、前記複数の画像の互いに対応する画素の画素値どうしの相加平均、相乗平均もしくは二乗平均を含む演算を行なうことにより、前記出力画像をあらわす出力画像信号を生成するものであることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。 【請求項9】 被検体にあてがわれ該被検体内に超音波を送信するとともに該被検体内で反射して戻ってきた超音波を受信する複数の超音波振動子が配列されてなる超音波プローブと、前記超音波振動子上に始点を有し該超音波振動子にあてがわれた被検体内に該超音波振動子上の始点を起点として延出する複数本の送信走査線それぞれに沿って進む送信超音波ビームが順次に形成されるように前記超音波振動子を駆動するとともに、該被検体内で反射して該超音波振動子に戻ってきた超音波を該超音波振動子で受信して該超音波振動子それぞれに対応した受信信号を得る送受信部と、前記送受信部で得られた、複数の超音波振動子に対応する複数の受信信号を、相対的に遅延するとともに互いに加算するビームフォーマを有し、一本の送信走査線に沿って進む一本の送信超音波ビームに対応して、前記ビームフォーマで、前記超音波振動子上に始点を有し該超音波振動子上の始点を起点として該一本の送信超音波ビーム内に延出する受信走査線に沿う受信超音波ビームをあらわす走査線信号を得るビームフォーマ部と、前記送受信部により前記複数本の送信走査線に沿って進む複数本の送信超音波ビームが形成される間に前記ビームフォーマ部で得られた走査線信号に基づいて出力画像をあらわす出力画像信号を生成する出力画像生成部と、前記出力画像生成部で得られた出力画像信号に基づく出力画像を出力する画像出力部とを備え、前記ビームフォーマ部が、前記複数本の送信走査線に沿って進む複数本の送信超音波ビームの形成を一巡する過程を1フレームとしたとき、順次異なるフレームにおける同一の送信走査線に沿って進む超音波ビームに関し、該超音波ビーム内に延出する、順次異なるフレームについて交互にもしくは循環的に異なる受信走査線に沿う受信超音波ビームをあらわす走査線信号を得るものであることを特徴とする超音波診断装置。 【請求項10】 前記送受信部が、各フレーム内において、前記超音波プローブに配列された複数の超音波振動子に沿って順次に始点が移動する送信走査線それぞれに沿って進む送信超音波ビームが順次に形成されるように該超音波振動子を駆動するものであって、前記ビームフォーマ部が、複数フレームにおける同一の送信走査線に沿って進む送信超音波ビームに対応して、前記ビームフォーマで、該送信超音波ビーム内の、順次異なるフレームについて交互にもしくは循環的に異なる方向に延びる受信走査線に沿う受信超音波ビームをあらわす走査線信号を得るものであることを特徴とする請求項9記載の超音波診断装置。 【請求項11】 前記送受信部が、各フレーム内において、順次に方向が変化する送信走査線それぞれに沿って進む送信超音波ビームが順次に形成されるように該超音波振動子を駆動するものであって、前記ビームフォーマ部が、複数フレームにおける同一の送信走査線に沿って進む送信超音波ビームに対応して、前記ビームフォーマで、前記超音波振動子上の、順次異なるフレームについて交互にもしくは循環的に異なる点に始点を有し始点を起点として該送信超音波ビーム内に延出する受信走査線に沿う受信超音波ビームをあらわす走査線信号を得るものであることを特徴とする請求項9記載の超音波診断装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、被検体内に超音波を送信しその被検体内で反射して戻ってきた超音波を受信することにより受信信号を得、その受信信号に基づく画像を出力する超音波診断装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、人間の病気の診断を目的とした超音波診断装置が広く用いられている。図13は超音波診断装置の機能説明図である。配列された複数の超音波振動子21が被検体1(特に人体)の体表にあてがわれ、超音波振動子21上に始点2aを有しその始点2aを起点として被検体1内に延出する複数の走査線2に沿って順次に超音波ビームの送受信が行なわれる。ここでは、図に示すXの方向に順次移動する走査線2に沿って順次に超音波ビームの送受信が行なわれるものとする。走査線2に沿って超音波ビーム(送信超音波ビーム)を形成するには、配列された複数の超音波振動子21のうちの全部もしくは一部の複数の超音波振動子に、それぞれ調整された遅延量を持つ高電圧パルスを印加し、その高電圧パルスの印加のタイミングのずれによりそれら複数の超音波振動子から調整された位相を持ったバースト波の超音波がそれぞれ送信され、それら位相の異なる超音波どうしの重なり合いにより、走査線2に沿う送信超音波ビームが形成される。被検体2内部に送信された送信超音波ビームは、被検体2内部の各点で反射しながら被検体内部を進行し、被検体2内部の各点で反射した超音波は、配列された複数の超音波振動子21の全部もしくは一部の複数の超音波振動子で受信されて受信信号に変換される。それらの受信信号はそれぞれ調整された遅延量だけ相対的に遅延されて互いに加算され、これにより走査線2に沿って被検体内に延びる受信超音波ビームをあらわす走査線信号が形成される。受信超音波ビームの形成の仕方については、さらに後述する。 【0003】尚、走査線2は、上記のようにして形成した送信超音波ビームないし受信超音波ビームの中心線をいい、したがって送信超音波ビームないし受信超音波ビームが存在してはじめて走査線2が存在するが、ここでは走査線を先に観念し、その走査線に沿って送信超音波ビームないし受信超音波ビームを形成すると表現している。 【0004】以上のようにして、順次移動する走査線2それぞれに沿って送信超音波ビームおよび受信超音波ビームの形成を繰返すことにより、1フレーム分の画像をあらわす画像信号が生成される。その画像信号は、最終的には、例えばディスプレイ装置に送られ、そのディスプレイ装置の表示画面には、その画像信号に基づく画像が表示される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】引き続き図13を参照して、従来の超音波診断装置の問題点について説明する。被検体1の内部にシスト11が存在しているものとする。シフトとは、内部に水分や膿が溜まった臓器(例えば胆嚢)や病変部(例えば膿疱)等、その内部では超音波がほとんど反射していない部分をいう。そのシスト11の表皮の11aでは超音波は一般に強い反射を受ける。図13の中央を上下に延びる走査線2の線上の、シスト11と超音波振動子1上の始点2aとの間に、超音波を強く反射する反射点Aが存在していた場合、超音波振動子21から中央の走査線2に沿って送信された送信超音波ビームは、図13に(a)で示すように反射点Aで一部が反射を受け、反射点Aで反射されずに反射点Aを通過した成分は被検体1内部をさらに進み、その一部がテスト11の表皮11aで反射する。シスト11の表皮11aで反射した超音波のうちの一部は図13の(b)に示すように超音波振動子21に戻るが、図13の(c)に示すように、その反射超音波のうちの一部は反射点Aで再度反射して、さらにシスト11の表皮11aでもう一度反射した後に超音波振動子21に戻る。超音波診断装置は送信超音波ビームを送信した時点から反射超音波が超音波振動子21で受信するまでに要する時間で反射点の深さ位置を検出しており、このため、図13に(c)で示すルートを経由して超音波振動子に戻った超音波の反射点は、反射点Aとシスト11の表面との間の距離と等距離だけシスト11内に入り込んだ点A’であると認識され、このため、画像上には、シスト11の内部に虚像が現れる結果となる。この現象は多重反射もしくは多重エコーと呼ばれる現象であり、超音波振動子21側に近い上部に強い反射組織が存在し、下部に超音波反射率の低い領域が拡がるような部位で現われやすく、画質を低下させる要因となっている。 【0006】特開平6−125908号公報には、この多重反射ないし多重エコーの問題の解決を目的として、超音波受信ビームの延びる方向とは異なる斜めの方向に延びる受信超音波ビームを形成し、それら送信超音波ビームと受信超音波ビームとが交差する領域の反射超音波を受信するという考え方が開示されている。この公報では、図13に示すように送信超音波ビームの方向にのみ強い反射点(図13に示す反射点A)が存在するかのような説明が行なわれているが、実際には受信超音波ビームの方向にも同様に強い反射点が存在することもあり、したがって斜めから受信しても多重反射ないし多重エコーの問題は解決されない。また、斜めに受信することで正常の反射超音波の強度も弱まり、多重反射ないし多重エコーの問題とは別に受信信号のS/Nが低下し、この点からも画質の低下を免がれない。 【0007】本発明は、上記事情に鑑み、多重反射ないし多重エコーによる画質の低下を押えた超音波診断装置を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明の超音波診断装置のうちの第1の超音波診断装置は、(1_1)被検体にあてがわれその被検体内に超音波を送信するとともにその被検体内で反射して戻ってきた超音波を受信する複数の超音波振動子が配列されてなる超音波プローブ(1_2)超音波振動子上に始点を有し超音波振動子にあてがわれた被検体内に超音波振動子上の始点を起点として延出する複数本の送信走査線それぞれに沿って進む送信超音波ビームが順次に形成されるように超音波振動子を駆動するとともに、被検体内で反射して超音波振動子に戻ってきた超音波を超音波振動子で受信して超音波振動子それぞれに対応した受信信号を得る送受信部(1_3)送受信部で得られた、複数の超音波振動子に対応する複数の受信信号を、相対的に遅延するとともに互いに加算するビームフォーマを複数有し、一本の送信走査線に沿って進む一本の送信超音波ビームに対応して、上記ビームフォーマそれぞれで、超音波振動子上に始点を有し超音波振動子上の始点を起点としてその一本の送信超音波ビーム内に延出する複数本の受信走査線に沿う複数本の受信超音波ビームをあらわす複数の走査線信号それぞれを得るビームフォーマ部(1_4)送受信部により上記複数本の送信走査線に沿って進む複数本の送信超音波ビームが形成される間に上記ビームフォーマ部で得られた走査線信号に基づいて、走査線信号があらわす複数の画像が合成されてなる出力画像をあらわす出力画像信号を生成する出力画像生成部(1_5)出力画像生成部で得られた出力画像信号に基づく出力画像を出力する画像出力部を備えたことを特徴とする。 【0009】一本の送信超音波ビーム内に延出する複数本の受信走査線に沿う複数の受信超音波ビームを得る操作を1フレーム分の送信超音波ビームについて行なうと、複数枚の画像を得ることができるが、多重反射ないし多重エコーによる虚像があらわれる状況では、多少の強度の違いこそあれいずれの画像にも虚像があらわれることも多い。ただし、各画像上の虚像は互いに異なる位置にあらわれる。そこで、それらの画像を、対応する画素どうしが重ね合わされるように合成すると、正しい反射点の情報は重ね合わせにより強調され、虚像は相対的に画像上の広い領域に薄められて目立たなくなる。 【0010】本発明の第1の超音波診断装置は、このような原理に基づき構成されたものであり、虚像が目立ちにくい高画質の画像を得ることができる。ここで、上記本発明の第1の超音波診断装置において、上記(1_2)の送受信部が、超音波プローブに配列された複数の超音波振動子に沿って順次に始点が移動する送信走査線それぞれに沿って進む送信超音波ビームが順次に形成されるように超音波振動子を駆動するものであって、上記(1_3)のビームフォーマ部が、一本の送信走査線に沿って進む一本の送信超音波ビームに対応して、ビームフォーマで、その一本の送信超音波ビーム内の互いに異なる方向に延びる複数本の受信走査線に沿う複数本の受信超音波ビームをあらわす複数の走査線信号を得るものであることが好ましい。 【0011】この形態は、図13を参照して説明したように送信走査線が超音波振動子の配列方向に沿って平行に移動する、いわゆるリニア走査に好適である。ここで、上記送受信部が、一本の送信超音波ビームの形成のために駆動する超音波振動子の個数の変更が自在なものである場合に、上記ビームフォーマ部が、一本の送信走査線に沿って進む一本の送信超音波ビームに対応して、その一本の送信超音波ビームの形成のために送受信部が駆動する超音波振動子の個数の多少に応じて、その個数が多い場合に相互間の角度が狭くその個数が少ない場合に相互間の角度が広い複数本の受信走査線に沿う複数本の受信超音波ビームをあらわす複数の走査線信号を得るものであることがさらに好ましい。 【0012】一本の送信超音波ビームを形成するために駆動される超音波振動子の個数が多いとビーム幅が狭まり、その個数が少ないとビーム幅が広がる。虚像を薄めるためには、受信走査線相互間の角度が広い方が有利であるが、送信超音波ビームのビーム幅から外れると十分なS/Nでは反射超音波を受信できないことになる。そこで、一本の送信超音波ビームを形成するために駆動される超音波振動子の個数の多少に応じて、複数本の受信走査線相互間の角度を、その個数が多い場合に狭め、その個数が少ない場合に広げることにより、そのときそのときの超音波送信条件に応じて、最大限、虚像の低減化を図ることができる。 【0013】また、上記本発明の第1の超音波診断装置において、上記(1_2)の送受信部が、順次に方向が変化する送信走査線それぞれに沿って進む送信超音波ビームが順次に形成されるように超音波振動子を駆動するものであって、上記(1_3)のビームフォーマ部が、一本の送信走査線に沿って進む一本の送信超音波ビームに対応して、ビームフォーマで、超音波振動子上の互いに異なる点にそれぞれの始点を有しそれぞれの始点を起点としてその一本の送信超音波ビーム内に延出する複数本の受信走査線に沿う複数本の受信超音波ビームをあらわす複数の走査線信号を得るものであることも好ましい形態である。 【0014】この形態は、送信走査線を扇状に順次異なる方向に変更する、いわゆるセクタ走査に好適である。ここで、上記送受信部が、一本の送信超音波ビームの形成のために駆動する超音波振動子の個数の変更が自在なものである場合に、上記ビームフォーマ部が、一本の送信走査線に沿って進む一本の送信超音波ビームに対応して、その一本の送信超音波ビームの形成のために送受信部が駆動する超音波振動子の個数の多少に応じて、その個数が多い場合に始点どうしの間の距離が小さくその個数が少ない場合に始点どうしの間の距離が大きい複数本の受信走査線に沿う複数本の受信超音波ビームをあらわす複数の走査線信号を得るものであることがさらに好ましい。 【0015】虚像を薄めるためには、受信走査線相互間が離れている方が有利であり、上記形態を採用することにより、そのときそのときの超音波送信条件に応じて虚像の最大限の低減化を図ることができる。さらに、上記本発明の超音波診断装置において、上記送受信部が一本の送信超音波ビームの形成のために駆動する超音波振動子の個数の変更が自在なものである場合に、上記送受信部が、一本の送信走査線に沿う一本の送信超音波ビームを形成するにあたり、その送信走査線の超音波振動子上の始点とその送信超音波ビームの焦点位置との間の距離の大小に応じて、その送信超音波ビームの形成のために、その距離が大きい場合に多い個数、その距離が小さい場合に少ない個数の超音波振動子を駆動するものであることが好ましい。 【0016】多重反射ないし多重エコーは、一般に、反射超音波の受信レベルの高い、被検体内の浅い部位で発生することが多いので、上記の距離が小さい場合、すなわち焦点が浅い場合、さらに換言すれば浅い部位に関心があってその浅い部位の画像を得ようとしている場合は、もともと受信レベルが高いためその受信レベルが下がっても問題にならず、むしろ一本の送信超音波ビームの形成のための超音波振動子の数を減らし、ビーム幅を広げ、受信走査線どうしの角度ないし間隔を広げた方が虚像の低減に有利だからである。 【0017】上記の距離が大きい場合、すなわち焦点が深い場合は、被検体内での超音波の減衰を補償するためにパワーの大きな送信超音波ビームを形成する必要があり、その送信超音波ビームの形成のために多数個の超音波振動子が駆動されるが、上述のように被検体内の深い部位ではもともと受信レベルが小さいため多重反射ないし多重エコーの問題は生じにくい。 【0018】さらに、上記本発明の超音波診断装置において、上記送受信部が、一本の送信超音波ビームの形成のために駆動する超音波振動子の個数の変動が自在なものである場合に、一本の送信超音波ビームの形成のために駆動される超音波振動子の個数を直接もしくは間接に指示するための操作子を備えることが好ましい。同一の深さ領域に関心がある場合であっても、その被検体(人体)に応じて多重反射ないし多重エコーに起因する虚像があらわれにくい被検体やあらわれやすい被検体が存在する。多重反射ないし多重エコーが画像に及ぼす影響を低減するには、送信超音波ビームを広げて受信走査線どうしの角度ないし距離を広げた方が有利であり、このためには一本の送信超音波ビームの形成のために少ない個数の超音波振動子が駆動される。一方、画像の分解能を向上させるためには、多数個の超音波振動子を駆動してビーム径の細い送信超音波ビームを形成した方が有利である。このように、多重反射ないし多重エコーに起因する虚像の低減と分解能の向上は相反する要素を持っている。そこで、上記の操作子を備えると、虚像のあらわれやすい被検体を対象とするときはある程度分解能を犠牲にして虚像を低減させたり、虚像のあらわれにくい被検体の場合は高分解能の画像を形成するなど、操作者により好適な条件を設定することができる。 【0019】尚、上記操作子は、超音波振動子の個数を直接的に指示するものであってもよいが、例えば分解能や送信超音波のパワー等を指定することにより超音波振動子の個数を間接的に指示するものであってもよい。さらに上記本発明の超音波診断装置において、上記(5)の出力画像生成部は、上記複数の画像の互いに対応する画素の画素値どうしの相加平均、相乗平均もしくは二乗平均を含む演算を行なうことにより、出力画像をあらわす出力画像信号を生成するものであることが好ましい。 【0020】複数の画像の互いに対応する画素どうしを重ね合わせるには、平均演算を行なうことになるが、この平均演算は特定所定の平均演算に限られるものではなく、例えば相加平均であってもよく、相乗平均であってもよく、二乗平均であってもよい。また、上記目的を達成する本発明の超音波診断装置のうちの第2の超音波診断装置は、(2_1)被検体にあてがわれ該被検体内に超音波を送信するとともに該被検体内で反射して戻ってきた超音波を受信する複数の超音波振動子が配列されてなる超音波プローブ(2_2)超音波振動子上に始点を有し超音波振動子にあてがわれた被検体内に超音波振動子上の始点を起点として延出する複数本の送信走査線それぞれに沿って進む送信超音波ビームが順次に形成されるように超音波振動子を駆動するとともに、被検体内で反射して超音波振動子に戻ってきた超音波を超音波振動子で受信して超音波振動子それぞれに対応した受信信号を得る送受信部(2_3)送受信部で得られた、複数の超音波振動子に対応する複数の受信信号を、相対的に遅延するとともに互いに加算するビームフォーマを有し、一本の送信走査線に沿って進む一本の送信超音波ビームに対応して、上記ビームフォーマで、超音波振動子上に始点を有し超音波振動子上の始点を起点としてその一本の送信超音波ビーム内に延出する受信走査線に沿う受信超音波ビームをあらわす走査線信号を得るビームフォーマ部(2_4)送受信部により上記複数本の送信走査線に沿って進む複数本の送信超音波ビームが形成される間に上記ビームフォーマ部で得られた走査線信号に基づいて出力画像をあらわす出力画像信号を生成する出力画像生成部(2_5)出力画像生成部で得られた出力画像信号に基づく出力画像を出力する画像出力部を備え、上記(2_3)のビームフォーマ部が、上記複数本の送信走査線に沿って進む複数本の送信超音波ビームの形成を一巡する過程を1フレームとしたとき、順次異なるフレームにおける同一の送信走査線に沿って進む超音波ビームに関し、その超音波ビーム内に延出する、順次異なるフレームについて交互にもしくは循環的に異なる受信走査線に沿う受信超音波ビームをあらわす走査線信号を得るものであることを特徴とする。 【0021】前述した本発明の第1の超音波診断装置は、一本の送信超音波ビーム内に延出する複数の受信走査線に沿う複数の受信超音波ビームを同時に生成してそれらにより得られた複数の画像を合成して出力するものであるが、その場合、ビームフォーマが複数必要となるなど、来の超音波診断装置と比べ回路規模が多少大きくなる傾向を持つ。これに対し、本発明の第2の超音波診断装置では、複数フレームにおける同一の送信超音波ビームについてその送信超音波ビーム内に延出する複数の受信走査線に沿う複数の受信超音波ビームが各フレーム毎に順次に生成され、各フレーム毎の画像が順次に出力される。そうすると、各フレーム毎に虚像の位置が画像上で移動し、人間の目の残像効果等により虚像が薄まって見えることになる。この場合、各クレーム内では、従来の超音波診断装置の場合と同様、一本の送信超音波ビームに対応しては一本の受信超音波ビームしか形成する必要がなく回路規模も従来と同程度で済むことになる。 【0022】ここで、上記本発明の第2の超音波診断装置において、上記(2_2)の送受信部が、各フレーム内において、超音波プローブに配列された複数の超音波振動子に沿って順次に始点が移動する送信走査線それぞれに沿って進む送信超音波ビームが順次に形成されるように超音波振動子を駆動するものであって、上記(2_3)のビームフォーマ部が、複数フレームにおける同一の送信走査線に沿って進む送信超音波ビームに対応して、ビームフォーマで、その送信超音波ビーム内の、順次異なるフレームについて交互にもしくは循環的に異なる方向に延びる受信走査線に沿う受信超音波ビームをあらわす走査線信号を得るものであることが好ましい。 【0023】この形態は、図13を参照して説明したように送信走査線が超音波振動子の配列方向に沿って平行に移動する、いわゆるリニア走査に好適である。また、上記本発明の第2の超音波診断装置において、上記(2_2)の送受信部が、各フレーム内において、順次に方向が変化する送信走査線それぞれに沿って進む送信超音波ビームが順次に形成されるように超音波振動子を駆動するものであって、上記(2_3)のビームフォーマ部が、複数フレームにおける同一の送信走査線に沿って進む送信超音波ビームに対応して、ビームフォーマで、超音波振動子上の、順次異なるフレームについて交互にもしくは循環的に異なる点に始点を有しその始点を起点として送信超音波ビーム内に延出する受信走査線に沿う受信超音波ビームをあらわす走査線信号を得るものであることも好ましい形態である。 【0024】この形態は、送信走査線を扇状に順次異なる方向に変更する、いわゆるセクタ走査に好適である。 【0025】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の超音波診断装置の一実施形態を示すブロック図である。ここでは先ず、このブロック図を参照して超音波診断装置の概要について説明する。以下、各部の作用ないし機能の説明はあとにまわし、先ずは、この超音波診断装置の構成について説明する。 【0026】この超音波診断装置の本体部10は、大別して、制御部100、アナログ処理部200、ディジタルスキャンコンバータ部300、ドプラ処理部400、表示制御部500、生体信号アンプ部600から構成されている。制御部100は、CPU部101とビームスキャン制御部102とからなり、CPU部101には、操作パネル701、一体的に構成されたタッチパネル702とEL表示器703、およびフロッピィディスク装置704が接続されている。 【0027】また、アナログ処理部200は、送受信部201、受信ディレイ制御部202、ビームフォーマ部203、コントロールインターフェイス部204、アナログ信号処理部205、およびドプラシグナル処理部206から構成されており、コントロールインターフェイス部204と、送受信部201、受信ディレ制御部202、およびドプラシグナル処理部206は、制御ライン207で結ばれている。また、コントロールインターフェイス部204とアナログ信号処理部205は制御ライン208で結ばれており、さらに、受信ディレイ制御部202とビームフォーマ部203は制御ライン209で結ばれている。アナログ処理部200を構成する送受信部201には、超音波プローブ20が、着脱自在に、ここでは最大4本まで接続される。 【0028】また、ディジタルスキャンコンバータ部300には、白黒用スキャンコンバータ301、カラー用スキャンコンバータ302、およびスクロール用スキャンコンバータ303が備えられている。また、ドプラ処理部400には、パルス/連続波ドプラ解析部401とカラードプラ解析部402が備えられている。 【0029】さらに、表示制御部500は、ここでは1つのブロックで示されており、この表示制御部500には、プリンタ705、VTR(ビデオテープレコーダ)706、観察用テレビモニタ707、およびスピーカ708が接続されている。また、生体信号アンプ部600も、表示制御部500と同様、ここでは1つのブロックで示されており、この生体信号アンプ部600には、ECG電極ユニット709、心音マイク710、および脈波用トランスデューサ711が接続されている。 【0030】さらに、この超音波診断装置には、電源部800が備えられている。この電源部800は、商用電源に接続され、この超音波診断装置各部に必要な電力を供給する。また、本体部10は、CPUバス901を有しており、このCPUバス901は、制御部100を構成するCPU部101およびビームスキャン制御部102と、アナログ処理部200を構成するコントロールインターフェイス部204と、ディジタルスキャンコンバータ部300を構成する白黒用スキャンコンバータ301、カラー用スキャンコンバータ302、およびスクロール用スキャンコンバータ303と、ドプラ処理部400を構成するパルス/連続波ドプラ解析部401およびカラードプラ解析部402と、さらに画像表示部500とを接続している。また、この本体部10は、エコーバス902を有しており、このエコーバス902は、アナログ処理部200を構成するアナログ信号処理部205で生成される画像データを、ディジタルスキャンコンバータ部300に供給する。また、ドプラ処理部400を構成するパルス/連続波ドプラ解析部401およびカラードプラ解析部402で生成されたデータも、エコーバス902を経由してディジタルスキャンコンバータ部300に供給される。さらに、この本体部10は、ビデオバス903を有しており、このビデオバス903は、ディジタルスキャンコンバータ部300を構成する白黒用スキャンコンバータ301、カラー用スキャンコンバータ302、およびスクロール用スキャンコンバータ303のいずれかで生成されたビデオ信号を表示制御部500に伝達する。 【0031】操作パネル701は、配列された多数のキーを備えたキーボード等から成り、この操作パネル701を操作するとその操作情報がCPU部101で検知され、その操作情報に応じた指令が、その指令に応じて、ビームスキャン制御部102、コントロールインターフェイス部204、ディジタルスキャンコンバータ部300、ドプラ処理部400、あるいは表示制御部500に伝達される。また、この操作パネル701には、一本の送信超音波ビームを形成する送信開口の広さと画像の分解能とのバランスを調整する操作子7011が備えられている。この操作子7011の詳細については後述する。 【0032】EL表示器703は、液晶表示画面を有し、また、CPU部101は、そのEL表示器703の液晶表示画面に表示するEL用線画を作成するEL用線画作成部を兼ねており、そのCPU部101で生成されたEL用線画がEL表示器703の液晶表示画面上に表示される。そのEL表示器703の液晶表示画面上にはタッチパネル702が備えられており、そのタッチパネル702に指で触れるとそのタッチパネル702上の指で触れた位置をあらわす位置情報がCPU部101に伝達される。このタッチパネル702およびEL表示器703は、例えば、操作パネル701の操作により、この超音波診断装置に、ある1つのモードに関するパラメータを設定する旨指示すると、CPU101により、その1つのモード用に設定すべき多数のパラメータ一覧がEL表示器703に表示され、タッチパネル702を指で触れて所望のパラメータを設定するなど、この超音波診断装置への各種の指示を入力し易いように構成されたものである。 【0033】フロッピィディスク装置704は、図示しないフロッピィディスクが装脱自在に装填され、その装填されたフロッピィディスクをアクセスする装置であって、CPU部101により、オペレータが操作パネル701やタッチパネル702の操作により行なった指示がそのフロッピィディスク装置704に装填されたフロッピィディスクに書き込まれ、この超音波診断装置への電源投入時、あるいは操作パネル701の操作により初期状態へのリセットが指示された時に、そのフロッピィディスク装置704に装填されたフロッピィディスクからそこに書き込まれている各種の指示情報がCPU部101に入力され、CPU部101は、その指示情報に応じて各部を初期状態に設定する。これは、この超音波診断装置を稼働させるにあたって必要となる、操作パネル701やタッチパネル702から設定すべきパラメータ等が多数存在し、例えば電源投入のたびにそれら多数のパラメータ等を設定し直すのは極めて大変であり、このためフロッピィディスクに初期状態のパラメータ等を書き込んでおいて、電源投入時や初期状態へのリセットが指示された時には、そのフロッピィディスクに書き込まれているパラメータ等を読み込んでそれらのパラメータ等に応じて各部を設定することにより、パラメータ等の設定効率化を図るというものである。 【0034】制御部100を構成するCPU部101は、上述のように、主としてマン・マシンインターフェイスの役割りを担っているのに対し、同じく制御部100を構成するビームスキャン制御部102は、主として、この超音波診断装置による超音波の送受信のタイミング等、リアルタイム性が要求される制御を担当している。この超音波診断装置で超音波の送受信を行なう時には、ビームスキャン制御部102からCPUバス901を経由してアナログ処理部200のコントロールインターフェイス部204に、このアナログ処理部200を構成する各部を制御する制御信号が伝達され、このコントロールインターフェイス部204は、制御ライン207を経由して、送受信部201、受信ディレイ制御部202、およびドプラシグナル処理部206を制御し、また、このコントロールインターフェイス部204は制御ライン208を介して、アナログ信号処理部205を制御し、さらに受信ディレイ制御部202は、コントロールインターフェイス部204の制御を受けて、制御ライン209を介してビームフォーマ部203を制御する。 【0035】送受信部201には、超音波プローブ20が接続されている。この超音波プローブには、例えばリニア走査型超音波プローブ、コンベックス走査型超音波プローブ、セクタ走査型超音波プローブ、また特殊な超音波プローブとしては、体腔内に挿入されるタイプの超音波プローブ、さらには、これら各種の超音波プローブについて、使用される超音波の周波数の相違による種別等、多種類の超音波プローブが存在する。超音波プローブを本体部10に装着するにはコネクタ(図示せず)が用いられるが、本体部10側には超音波プローブを接続するためのコネクタが4個取り付けられており、前述したように、多種類の超音波プローブのうち最大4本まで同時装着が可能である。超音波プローブを本体部10に装着すると、どの種類の超音波プローブが装着されたかをあらわす情報が本体部10で認識できるように構成されており、その情報は、制御ライン207、コントロールインターフェイス部204、およびCPUバス901を経由してCPU部101に伝えられる。一方、操作パネル701からは、この超音波診断装置を使用するにあたり、今回、本体部10側の4つのコネクタのうちのどのコネクタに接続された超音波プローブを使用するか指示が入力される。その指示は、CPUバス901、コントロールインターフェイス部204、制御ライン207を経由して送受信部20に伝達され、送受信部201は、そのように指示された超音波プローブ20に対し、以下に説明するように高電圧パルスを送信して超音波を送信し、その超音波プローブで受信された信号を受け取る。ここでは、図1に1つだけ示す超音波プローブ20が超音波送受信のために選択されたものとする。超音波プローブ20の先端には、複数の超音波振動子21が配列されており、超音波の送受信にあたっては、被検体(特に人体)1の体表に超音波振動子21があてがわれる。その状態で、送受信部201から複数の超音波振動子21それぞれに向けて超音波送信用の各高電圧パルスが印加される。複数の超音波振動子21それぞれに印加される各高電圧パルスは、コントロールインターフェイス部204の制御により相対的な時間差が調整されており、これら相対的な時間差がどのように調整されるかに応じて、これら複数の超音波振動子21から、被検体1の内部に延びる複数の走査線2のうちのいずれか一本の走査線に沿って、被検体内部の所定深さ位置に焦点が結ばれた超音波パルスビームが送信される。この超音波パルスビームは被検体1の内部を進む間にその1本の走査線上の各点で反射して超音波プローブ20に戻り、その反射超音波が複数の超音波振動子21で受信される。この受信により得られた複数の受信信号は、送受信部201に入力されて送受信部201に備えられた複数のプリアンプ(図示せず)でそれぞれ増幅された後ビームフォーマ部203に入力される。このビームフォーマ部203には、多数の中間タップを備えたアナログ遅延線(後述する)が備えられており、受信ディレイ制御部202の制御により、送受信部201から送られてきた複数の受信信号がアナログ遅延線のどの中間タップから入力されるかが切り換えられ、これにより、それら複数の受信信号が相対的に遅延されるとともに互いに電流加算される。ここで、それら複数の受信信号に関する相対的な遅延パターンを制御することにより、被検体1の内部に延びる所定の走査線に沿う方向の反射超音波が強調され、かつ被検体1の内部の所定深さ位置に焦点が結ばれた、いわゆる受信超音波ビームが形成される。ここで、超音波は、被検体1内部を、信号処理の速度と比べてゆっくりと進むため、1本の走査線に沿う反射超音波を受信している途中で被検体内のより深い位置に焦点を順次移動させる、いわゆるダイナミックフォーカスを実現することもでき、この場合、超音波パルスビーム1回の送信に対応する1回の受信の間であっても、その途中で時間的に順次に、受信ディレイ制御部202により、各超音波振動子で得られた各信号が入力される、アナログ遅延線の各タップが切り換えられる。このビームフォーマ部203の構成については、さらに後述する。 【0036】尚、上記説明では、超音波振動子21には高電圧パルスを与え、超音波パルスビームを送信する旨説明したが、この場合、前述したように超音波は信号処理速度と比べるとゆっくりと被検体内を進むため、超音波振動子21に高電圧パルスを印加した時点を起点とし、超音波振動子21で反射超音波を受信する時点までの時間により、その時点で得られた信号が被検体内のどの深さ位置で反射した反射超音波に対応する信号であるかを知ることができる。すなわち、送信される超音波がパルス状のものであることにより、被検体の深さ方向に分解能を持つことになる。通常は、このように、超音波振動子21には高電圧パルスが印加されるが、特殊な場合には、被検体内の深さ方向に分解能を持たないことを許容し、超音波振動子21に連続的に繰り返す高電圧パルス列信号を印加して被検体内に連続波としての超音波ビームを送信することもある。 【0037】ただし、以下においても、ドプラ処理部400を構成するパルス/連続波ドプラ解析部401の説明の際に連続波に言及する場合を除き、パルス状の超音波ビームを送信するものとして説明する。送受信部201およびビームフォーマ部203は、以上のようにして、被検体1内部の複数の走査線2のそれぞれに沿って順次に超音波パルスビームの送信と受信とを繰り返し、これにより生成される各走査線に沿う受信超音波ビームをあらわす走査線信号が順次アナログ信号処理部205に入力される。このアナログ信号処理部205では、入力された走査線信号が対数圧縮され、検波され、さらに、操作パネル701からの、被検体1内部のどの深さ領域までの画像を表示するかという指定(つまり被検体内部の浅い領域のみの画像を表示すればよいのか、あるいはどの程度深い領域までの画像を表示する必要があるかという指定)に応じたフィルタリング処理等が施され、さらにA/D変換器によりディジタルの画像データに変換される。このアナログ信号処理部205から出力された画像データは、エコーバス902を経由して、ディジタルスキャンコンバータ部300を構成する白黒用スキャンコンバータ301に入力される。この白黒用スキャンコンバータ301では、入力された画像データが表示用のビデオ信号に変換され、その表示用のビデオ信号がビデオバス903を経由して表示制御部500に入力される。この表示制御部500は、複数の走査線2で規定される被検体断層面内の超音波反射強度分布によるBモード像を観察用テレビモニタ707に表示する。その際、必要に応じて、操作パネル701か入力された患者名や撮影年月日、撮影条件等も、そのBモード像に重畳されて表示される。このBモード像として、被検体1内部が動いている様子をあらわす動画像を表示することもでき、あるいは、ある時点における静止画像を表示することもでき、さらには、生体信号アンプ部600からの同期信号に基づいて、人体の心臓の動きに同期した、その心臓の動きの、ある位相における画像を表示することもできる。 【0038】生体信号アンプ部600には、被検体(人体)1の心電波形を得るためのECG電極ユニット709、心音をピックアップする心音マイク710、人体の脈をとらえる脈波用トランスデューサ711が接続されており、生体信号アンプ部600では、これらのうちのいずれか1つもしくは複数のセンサに基づいて同期信号が生成され、表示制御部500に送られる。 【0039】また表示制御部500には、観察用テレビモニタ707のほか、プリンタ705、VTR(ビデオテープレコーダ)706が接続されており、表示制御部500は、オペレータからの指示に応じて、観察用テレビモニタ707に表示された画像をプリンタ705ないしはVTR706に出力する。再度、アナログ処理部200の説明から始める。 【0040】被検体内部に延びるある一本の走査線上の超音波反射情報の時間変化を知ろうとするときは、オペレータからの指示に応じて、その関心のある一本の走査線に沿って超音波が繰り返し送受信され、その1本の走査線に沿う被検体の受信超音波ビームをあらわすデータがエコーバス902を経由してスクロール用スキャンコンバータ303に入力される。このスクロール用スキャンコンバータ303は、縦方向にその1本の走査線に沿う被検体の深さ方向の超音波反射強度分布、横軸が時間軸からなり時間軸方向にスクロールする画像(Mモード像)をあらわすビデオ信号が生成され、ビデオバス903を経由して表示制御部500に入力され、例えば観察用テレビモニタ707に、そのビデオ信号に基づく画像が表示される。尚、表示制御部500は、白黒用スキャンコンバータ301から送られてきたBモード像をあらわすビデオ信号とスクロール用スキャンコンバータ303から送られてきたMモード像をあらわすビデオ信号とを横に並べる機能や、Bモード像に、後述するカラーモード像を重畳する機能も有しており、観察用テレビモニタ707には、オペレータからの指示に応じて、複数の画像が並べて表示され、あるいは複数の画像が重畳して表示される。 【0041】もう一度、アナログ処理部200の説明に戻る。アナログ処理部200を構成するドプラシグナル処理部206は、被検体1内部の血流分布や、ある一点、ないしある1本の走査線上の血流速度を求めるための構成要素であり、このドプラシグナル処理部206では、ビームフォーマ部203で生成された受信超音波ビームをあらわす走査線信号に、いわゆる直交検波が施され、さらにA/D変換によりディジタルデータに変換される。ドプラシグナル処理部206から出力された直交検波後のデータは、ドプラ処理部400に入力される。ドプラ処理部400には、パルス/連続波ドプラ解析部401とカラードプラ解析部402とが備えられており、ここでは、ドプラシグナル処理部206から出力されたデータは、カラードプラ解析部402に入力されるものとする。カラードプラ解析部402では、各走査線それぞれに沿って例えば8回ずつ超音波送受信を行なったときのデータに基づく自己相関演算により、オペレータにより指定された、Bモード画像上の関心領域(ROI)内の血流分布をあらわすデータが求められる。ROI内の血流分布をあらわすデータは、エコーバス902を経由してカラー用スキャンコンバータ302に入力される。このカラー用スキャンコンバータ302では、そのROI内の血流分布をあらわすデータが表示に適したビデオ信号に変換され、そのビデオ信号は、ビデオバス903を経由して表示制御部500に入力される。表示制御部500では、白黒用スキャンコンバータ301から送られてきたBモード像上のROIに、例えば超音波プローブ20に近づく方向の血流を赤、遠ざかる方向の血流を青、それらの輝度で血流速度をあらわしたカラーモード像を重畳して、観察用テレビモニタ707に表示する。これにより、そのROI内の血流分布の概要を把握することができる。 【0042】ここで、オペレータにより、そのROI内のある1点もしくはある1本の走査線上の血流を詳細に観察する旨の要求が入力されると、今度は送受信部201により、その一点を通る一本の走査線、もしくはその関心のある1本の走査線に沿う方向に多数回超音波の送受信が繰り返され、それにより得られた信号に基づいてドプラシグナル処理部206で生成されたデータが、ドプラ処理部400を構成するパルス/連続波ドプラ解析部401に入力される。被検体内のある一点の血流に関心があるときは、被検体内にはパルス状の超音波ビームが送信され、ある1本の走査線上の血流情報が平均化されることを許容しS/Nの良い血流情報を得たいときは、被検体内には連続波としての超音波ビームが送信される。 【0043】パルス/連続波ドプラ解析部401では、ある1点もしくはある1本の走査線について多数回超音波送受信を行なうことにより得られたデータに基づくFFT(Fast Fourier Transform)演算により、その一点の血流情報あるいはその一本の走査線上の平均的な血流情報が得られる。このパルス/連続波ドプラ解析部401で得られた血流情報をあらわすデータは、エコーバス902を経由して、スクロール用スキャンコンバータ303に入力され、スクロールスキャンコンバータ303では、縦軸が血流速度、横軸が時間軸からなり時間軸方向にスクロールする画像をあらわすビデオ信号が生成される。このビデオ信号は、ビデオバス903を経由して表示制御部500に入力され、観察用テレビモニタ707上に、例えば白黒用スキャンコンバータ301から送られてきたBモード像と並べられて表示される。 【0044】図2は、ビームフォーマ部における、受信超音波ビームの形成の仕方を示す原理説明図である。ここでは、説明の簡単のため、複数のタップを備えた遅延線1001a,…,1001m,…,1001nと、制御信号に応じて受信信号の遅延線への入力ルートを切り換える選択スイッチ1002a,…,1002m,…,1002nとのペアが各超音波振動子21(図1参照)に対応して備えられているものとする。各選択スイッチ1002a,…,1002m,…,1002nにはそれぞれ1つの超音波振動子21で得られた1つの受信信号が入力され、各選択スイッチ1002a,…,1002m,…,1002nでは、その入力された受信信号が、遅延線の複数のタップのうちの、制御信号に応じたタップから遅延線に入力される。各遅延線は2001a,…,2001m,…,2001nは受信信号が入力されたタップに応じた遅延時間だけその入力された受信信号を遅延して加算器1003に入力する。各遅延線1001a,…,1001m,…,1001nに入力された各受信信号は、各遅延線内で、入力されたアップに応じた遅延時間だけ遅延を受けた後加算器1003に入力される。加算器1003は、その加算器1003に同時に入力された受信信号どうしを加算して、受信超音波ビームをあらわす走査線信号を出力する。 【0045】図3は、遅延パターンと走査線の方向との関係を示した図である。A−B間に複数の超音波振動子が配列されているものとし、A−B間の中点をOとする。このとき、各超音波振動子で得られた各受信信号を、図3(A)に示すようにB側の超音波振動子で得られた受信信号に対し長めの遅延時間を与えると、中点Oを始点としB側に傾いた受信走査線が得られ、図3(B)に示すように左右対称の遅延時間を与えると、中点0を始点として超音波振動子21の配列方向に対し垂直に延びる受信走査線が得られ、図3(C)に示すようにA側の超音波振動子で得られた受信信号に対し長めの遅延時間を与えると、点Oを始点としA側に傾いた受信走査線が得られる。また、同一の受信走査線であっても、遅延時間パターンに応じて焦点位置を定めることができる。具体的には、図3(A)〜(C)に破線で示すように焦点を中心としてA−B間を結ぶ線分に接する円弧を描くと、焦点で反射してそれぞれ各点A,O,Bに向かう超音波は焦点と各点A,O,Bとを結ぶ各線分と円弧との交点に同時に到達することになり、焦点で反射した超音波を各超音波振動子で受信する時刻に差異が生じることになる。そこで焦点で反射した超音波が先に到達した超音波振動子で得られた受信信号を、超音波が後から到達する超音波振動子に超音波が到達する迄の間遅延させた上で互いに加算すると、焦点を通る走査線に沿う方向に延び、かつその焦点で最も細く絞られた受信超音波ビームが形成されることになる。 【0046】ここで、A−B間に配列された、反射超音波の受信に用いられている複数の超音波振動子は、例えば超音波プローブ20(図1参照)に配列された複数の超音波振動子21の一部であって、反射超音波の受信に用いる複数の超音波振動子からなる受信開口を、超音波プローブ20に配列された超音波振動子21の配列方向に移動することにより、受信走査線の、配列された超音波振動子21上の始点を変更することができる。 【0047】このようにして、超音波プローブ20に配列された超音波振動子21上の任意の点を始点としてその始点を起点として被検体内の任意の方向に延出する受信走査線に沿うとともにその受信走査線上の任意の点に焦点を持つ受信超音波ビームを得ることができる。尚、送信走査線についても同様であり、超音波の送信のために各超音波振動子に印加する高電圧パルスを所定の遅延パターンに従って相対的に遅延させた上で各超音波振動子に印加することにより、配列された超音波振動子上の任意の点を始点とし被検体内の任意の方向に延出する送信走査線に沿うとともに、その送信走査線上の任意の点に焦点を持つ送信超音波ビームを形成することができる。 【0048】図2では、解りやすさのため、超音波振動子の個数と同数の、遅延線1001a,…,1001m,…,1001nと選択スイッチ1002a,…,1002m,…,1002nとのペアを備えるとともに、各遅延線1001a,…,1001m,…,1001nから出力された受信信号を互いに加算する加算器103を備えた構成について説明したが、実際には、多数のタップを備えた一本の遅延線に、複数の超音波振動子で得られた複数の受信信号が、入力されるタップが制御されながら入力され、それら複数の受信信号がそれぞれ入力された各タップに応じた時間だけ遅延されると共にその遅延線内で互いに電流的に加算され、その一本の遅延線から、制御された遅延パターンに従って遅延を受けかつ互いに加算された走査線信号が、直接に出力される。 【0049】図4は、図1にそれぞれ1つのブロックで示すビームフォーマ部およびアナログ信号処理部の内部構成を示すブロック図である。ここでは、図1およびこの図4を参照して、本発明の第1の超音波診断装置の実施形態に特徴的な構成について説明する。本実施形態では、ビームフォーマ部203に3つのビームフォーマ2031,,2032,2033が備えられている。各ビームフォーマは、それぞれが図2に示す構成全体と同様な作用をなすものであり、各ビームフォーマでは、配列された超音波振動子21上の各ビームフォーマごとに独立した点を始点とし、その始点から被検体内の独立した方向に延出する受信走査線に沿う受信超音波ビームを表わす走査線信号が生成される。各ビームフォーマ2031,2032,2033で得られた各走査線信号はアナログ信号処理部205に入力される。本実施形態では、アナログ信号処理部205には、3つのビームフォーマ2031,2032,2033にそれぞれ対応する、合計3つのアナログ信号処理回路2051,2052,2053が備えられており、各アナログ信号処理回路では、各ビームフォーマ2031,2032,2033から出力された各走査線信号がそれぞれ対数圧縮され、検波され、フィルタリング処理され、更にデジタルの画像データに変換され、エコーバス902を経由して白黒用スキャンコンバータ301に入力される。白黒用スキャンコンバータ301では、3つのアナログ信号処理回路2051,2052,2053で得られた3つの画像データを、それらの画像データが表わす3枚の画像の、互いに対応する画素の画素値どうしの平均値を新たな画素値とする平均演算が行われると共にBモード像を表わす表示用のビデオ信号に変換され、ビデオバス903を経由して表示制御部500に送られる。表示制御部500では、前述したように、必要に応じて画像の編集が行われ、観察用テレビモニタ707上にその平均処理されたBモード像が表示される。尚、この図4に示す例では、アナログ信号処理部205、白黒用スキャンコンバータ301、および図1に示す表示制御部500を合わせた機能が本発明にいう出力画像生成部に対応する。 【0050】図5〜図7は、図4に示す3つのビームフォーマで形成される各受信超音波ビームに対応する各受信走査線を示す図である。図5は、図13に示す従来例と同様、配列された超音波振動子21に垂直であって、図の左右に平行移動する受信走査線2Aを示す図であり、図4に示す3つのビームフォーマ2031,2032,2033のうち1つのビームフォーマ2031ではこのような受信走査線2Aが形成される。 【0051】図6,図7は、配列された超音波振動子21に垂直な方向に対し、それぞれ、右、左に角度θだけ傾いた受信走査線2B,2Cを示す図であり、図4に示す3つのビームフォーマ2031,2032,2033のうちの各ビームフォーマ2032,2033では、それぞれ、図6,図7に示すように右、左に傾いた受信走査線2B,2Cが形成される。 【0052】図5〜図7に示す受信走査線2A,2B,2Cは、一回の超音波送受信の際に形成される一本の送信超音波ビーム内に延びる3本の受信走査線2A,2B,2Cについて同時に走査線信号が得られ、その操作が配列された超音波振動子21に沿って送信走査線が移動する間繰り返され、これにより、図5〜図7に示す3枚の画像に対応する信号が生成される。それらの画像いずれにも虚像が現れることがあるが、被検体内の同一の反射点に起因する虚像は、画像上の互いに異なる画素に現れる。 【0053】図8は、図5〜図7に示す画像を、互いに対応する画素どうしを重ねて1枚の画像として表わした図である。このような画像の重ね合わせを行うと、正しい像は強調され、虚像は、3枚の画像でばらばらの位置に現れているため相対的に弱められ、虚像の目立たない高画質のBモード像が生成される。 【0054】図9は、一本の送信超音波ビームを形成する超音波振動子の個数と、その送信超音波ビームのビーム径と、一回に生成される3本の受信走査線どうしの角度との関係を示した図である。一本の送信超音波ビームを形成するに当り、送信開口D1の内部の少数の超音波振動子が駆動されると、図9に破線で示すようなビーム径の広い送信超音波ビームが形成される。このときは、その送信超音波ビームのビーム径が最も狭い焦点は、通常、被検体内の浅い位置に形成される。送信開口が狭いと送信される超音波のパワーが小さく、もともと受信レベルの大きな浅い領域しか観察することができないからである。このときは、その送信超音波ビーム内に、互いの間に大きな角度θ1をもった3本の受信走査線を形成することができる。 【0055】一方、一本の送信超音波ビームを形成するに当り、送信開口D2内部の多数の超音波振動子が駆動されると、図9に一点鎖線で示すような、通常は、被検体内の深い位置に焦点を有し、その焦点近傍で細いビーム径をもった送信超音波ビームが形成される。このときは、その送信超音波ビーム内に、互いの間に小さい角度θ2をもった3本の受信走査線が形成される。 【0056】重ね合わされた画像上で虚像を広く分布させて目立たなくするためには、受信走査線どうしの角度が大きい方が有利である。そこで、一本の送信超音波ビームの形成に関与する超音波振動子の個数(送信開口の広さ)に応じて、その一本の送信超音波ビーム内でできるだけ互いの間の角度の大きな超音波走査線を形成することにより、その超音波送信条件下で虚像が最も有効に低減された画像を得ることができる。 【0057】また、図1に示す操作子7011を操作すると、送信開口の広さが変化する。送信走査線および焦点深さが同一の送信超音波ビームを形成する場合、そのビーム径をできるだけ絞った方が分解能の上で有利であり、ビーム径が絞られた送信超音波ビームを形成するためには送信開口が広げられる。ところが、上述したように、ビーム径が絞られると受信走査線どうしの角度が小さくなってしまい、虚像が目立ちにくい画像を得る点からは不利である。被検体によって虚像の目立ち方は大きく異なるため、この操作子7011を備えることにより、その被検体に応じて、虚像の目立ちにくさと画像の分解能とのバランスのとれた画像が得られるように調整することができる。 【0058】図10は、セクタ走査時の受信走査線の形成方法の説明図である。セクタ走査とは、典型的は、配列された超音波振動子21上のある固定された一点を始点としてその始点から被検体内に延出する走査線を、全体として扇形が形成されるように、順次その方向を変更する走査方法をいう。このとき、受信走査線は、超音波振動子21上の互いに異なる点をそれぞれの始点として被検体内に延出する3本が一組となり、それら3本の受信走査線が互いに平行を保ちながら扇状に走査される。すなわち、一本の送信超音波ビームが形成される毎に、異なる始点から、その一本の送信超音波ビーム内に互いに平行に延出する3本の受信走査線2A,2B,2Cが形成される。このようにして、3本の受信走査線を扇状に走査することにより得られた3枚の画像が、対応する画素どうしが重ね合わされるように1枚の画像に合成される。こうすることにより、前述したリニア走査の場合と同様に、虚像の目立たない画像を得ることができる。 【0059】図11は、送信開口の広さと、送信超音波ビームのビーム径と、一回に生成される3本の受信走査線の始点どうしの距離との関係を示した図である。図9を参照して説明したように、狭い送信開口D1のときはビーム径の広い送信超音波ビームが形成され、このときには、互いの間に広い間隔d1をもった受信走査線が形成される。また、やはり図9を参照して説明したように、広い送信開口D2のときはビーム径の狭い送信超音波ビームが形成され、このときには、互いの間に狭い間隔d2をもった受信走査線が形成される。 【0060】重ね合わされた画像上で虚像を目立ちにくくするには、互いの間の間隔が広い受信走査線を形成した方が有利であり、送信開口の広さに応じて受信走査線どうしの間隔をできるだけ広げることにより、その超音波送信条件下で虚像が最も有効に低減された画像を得ることができる。また、このセクタ走査においても、図1に示す走査子7011を走査すると、送信開口の広さが変化し、それに伴って送信超音波ビームのビーム径が変化し、受信走査線どうしの間隔も変化する。前述と同様、この走査子7011を走査することにより、被検体に応じて、虚像の目立ちにくさと画像の分解能とのバランスを調整することができる。 【0061】尚、上記実施形態では、複数の画像を重ね合わせるにあたり、3つの画像の、互いに対応する画素の画素値をx1 ,x2 ,x3 としたとき、x=(x1 +x2+x3 )/3の相加平均演算によりそれら3つの画像が合成された1つの画像を形成する旨説明したが、相加平均演算に代え、相乗平均演算x= 3√(x1 ・x2 ・x3 )、もしくは二乗平均演算x=√{(x12+x22+x32)/3} を採用してもよい。 【0062】また、上記実施形態では、図4に示す3つのビームフォーマ2031,2032,2033で得られた3つの走査線信号を、 各アナログ信号処理回路2051,2052,2053でそれぞれ検波し、さらにデジタル信号に変換した後、それら3つの画像を重ね合わせるための演算を行ったが、アナログ信号処理部205内で、検波後のアナログ信号の状態でアナログ演算により重ね合わせ処理を行ってもよく、あるいは、ビームフォーマ2031,2032,2033から出力された検波前のキャリア成分を含んだ走査線信号の状態で重ね合わせ処理を行ってもよい。 【0063】さらに上記実施形態は3枚の画像を重ね合わせる処理を行う例であるが、本発明では3枚に限らず、虚像の目立ちにくさのほか、コスト、回路規模、演算処理速度等を総合的に考慮し、2枚もしくは4枚以上の画像を重ね合わせるように装置を構成してもよい。図12は、本発明の第2の超音波診断装置の一実施形態における、ビームフォーマ部およびアナログ信号処理部の内部構成を示すブロック図であり、本発明の第1の超音波診断装置の一実施形態における図4に相当する図である。 【0064】図12に示す実施形態では、ビームフォーマ部203には1つのビームフォーマ2131が備えられている。このビームフォーマ2131では、受信ディレイ制御部202(図1参照)からの制御信号に応じて、超音波振動子21上の任意の点を始点とし、その始点から被検体内の任意の方向に延出する受信走査線に沿う受信超音波ビームを表わす走査線信号が生成される。 【0065】このビームフォーマ2131では、例えばあるフレームでは、図5に示すような、配列された超音波振動子21に垂直であって図の左右に平行移動する受信走査線2Aが形成され、次のフレームでは、図6に示すような、配列された超音波振動子21に垂直な方向に対し右に角度θだけ傾いた受信走査線Bが形成され、さらに次のフレームでは、図7に示すような、配列された超音波振動子21に垂直な方向に対し左に角度θだけ傾いた受信走査線Cが形成され、さらに次のフレームでは、図5に戻って受信走査線2Aが形成され、このように各フレーム毎に循環的に異なる受信走査線が形成される。ここで、図5,図6,図7に示す多数の受信走査線2A,2B,2Cのうちの、ある一本の送信走査線に対応する3本の受信走査線2A,2B,2Cは、その一本の送信走査線に沿う送信超音波ビームの内部に存在する。 【0066】このようにして、図12に示すビームフォーマ2131は、図4に示す3つのビームフォーマ2031,2032,2033の役割りを、フレームを分けて順次循環的に担当している。ビームフォーマ2131で得られた走査線信号は、アナログ処理部205に入力される。図12に示す実施形態では、ビームフォーマ部203にビームフォーマ2131が1つのみ備えられていることに対応して、アナログ信号処理部205にも、アナログ信号処理回路2151が1つのみ備えられている。このアナログ信号処理回路2151では、ビームフォーマ2131から出力された走査信号が対数圧縮され、フィルタリング処理され、更にデジタルの画像データに変換され、エコーバス902を経由して白黒用スキャンコンバータ301に入力される。この白黒用スキャンコンバータ301では、図4に示す実施形態における白黒用スキャンコンバータとは異なり複数枚の画像の平均演算は行なわれず、各フレーム毎に順次に、Bモード像を表わす表示用のビデオ信号に変換され、ビデオバス903を経由して表示制御部500に送られ、観察用テレビモニタ707上にそのBモード像が表示される。この表示されるBモード像は、図5に示す受信走査線2Aによる画像、図6に示す受信走査線2Bによる画像、図7に示す受信走査線2Cによる画像が循環的に繰り返すBモード像であり、正しい像は常に表示されるため強調され、虚像は3枚の画像でばらばらの位置に現われるため、観察用テレビモニタの画像表示特性による残像効果や人間の目による残像効果により平均化されて相対的に弱められ、虚像の目立たない高画質のBモード像が生成される。 【0067】ここでは、リニア走査時の受信走査線の形成方法を例に挙げて本発明の第2の超音波診断装置の実施形態について説明したが、セクタ走査の場合も同様であり、セクタ走査の場合、あるフレームにおいては、図10に示す受信走査線2Aが形成され、次のフレームにおいては、配列された超音波振動子21上の始点が異なる受信走査線2Bが形成され、さらに次のフレームにおいては、配列された超音波振動子21上の始点がさらに異なる受信走査線2Cが形成され、さらに次のフレームについては、受信走査線2Aが形成され、このように各フレーム毎に循環的に受信走査線2A,2B,2Cが形成される。互いに対応する3本の受信走査線2A,2B,2Cは、一本の受信走査線に沿う送信超音波ビームのビーム内に含まれている。 【0068】観察用テレビモニタ707には、受信走査線2Aによる画像、受信走査線2Bによる画像、受信走査線2Cによる画像が循環的に表示され、観察用テレビモニタ707の残像効果や人間の目の残像効果等により虚像が相対的に弱められ、虚像の目立たない高画質のBモード像が生成される。尚、ここでは、受信走査線の位置や方向の異なる3フレームの画像を循環的に生成して順次表示する例を説明したが、循環的に生成する画像は3フレームとは限らず4フレームないしそれ以上のフレームで一巡するように受信走査線の位置や方向を定めてもよく、受信走査線の位置や方向の異なる2フレームの画像を交互に生成して交互に表示してもよい。 【0069】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、多重反射ないし多重エコーに起因する虚像の目立たない高画質の画像を得ることのできる超音波診断装置が実現する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005223 【氏名又は名称】富士通株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月25日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】山田 正紀
|
| 【公開番号】 |
特開平11−42224 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)2月16日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−200253 |
|