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【発明の名称】 X線透視撮影装置
【発明者】 【氏名】原 茂一

【要約】 【課題】速写装置の変更を行うことなく大判のX線フィルムによるX線撮影を行うことが可能なX線透視撮影装置を提供すること。

【解決手段】撮影台の天板に設定される被検体を撮像したX線透視像を表示手段に表示し、該表示手段に表示されるX線透視像に基づいて前記被検体の撮像位置を決定し、該撮像位置のX線像を撮像してX線像記録手段に記録する速写手段を備えたX線透視撮影装置において、前記X線像撮影記録手段とはサイズの異なる他のX線像記録手段を、前記天板と前記速写装置との間に設置させるための空間を設け、必要に応じて、前記他のX線像記録手段を前記空間に設置させ、前記撮像位置のX線像を撮像して前記他のX線像記録手段に記録する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮影台の天板に設定される被検体を撮像したX線透視像を表示手段に表示し、該表示手段に表示されるX線透視像に基づいて前記被検体の撮像位置を決定し、該撮像位置のX線像を撮像してX線像記録手段に記録する速写手段を備えたX線透視撮影装置において、前記X線像撮影記録手段とはサイズの異なる他のX線像記録手段を、前記天板と前記速写装置との間に設置させるための空間を設け、必要に応じて、前記他のX線像記録手段を前記空間に設置させ、前記撮像位置のX線像を撮像して前記他のX線像記録手段に記録することを特徴とするX線透視撮影装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線透視撮影装置に関し、特に、オーバーテーブルチューブ型カセッテレス透視撮影台において、カセッテレス速写装置(以下、速写装置と記す)に搭載されないフィルムサイズでのX線撮影が可能なX線透視撮影装置に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、消化器系のX線診断に使用されるX線透視撮影装置は、たとえば、図8に示すように、支持台1に回転自在に支持されたテーブル支持枠2と、該テーブル支持枠2上に縦横移動可能にガイドされた天板3と、該天板3を挟んでテーブル支持枠2と対向する位置に配置されたX線管装置5と、テーブル支持枠2と同じ側に配置された速写装置6と、速写装置6と同じ側に配置され被検体を透過したX線を光学像に変換するイメージインテンシファイア7と、該光学像をビデオ信号に変換するテレビカメラ8とから構成されていた。
【0003】このX線透視撮影装置でX線撮影を行う場合は、まず、作業者は少ないX線量のX線像を被検体4に照射し、該被検体4を透過したX線をイメージインテンシファイア7で光学像に変換した後、該光学像をテレビカメラ8で撮像したX線像を図示しないテレビモニタに表示させる、いわゆる、X線透視によって、作業者が撮影位置を決定する。
【0004】次に、作業者は、X線透視時の撮像条件(いわゆる、透視条件)に基づいて、X線像をX線フィルムに撮像する場合の撮像条件(いわゆる、撮影条件)として、X線管装置5のX線量、X線コリメータの種類およびX線フィルタの種類等を自動あるいは作業者からの指示により決定する。
【0005】ここで、作業者からX線撮影の指示があったならば、速写装置6が、まず、図示しない供給マガジンに予め収納されている未撮影フィルムを1枚ずつ取り出し、このフィルムを速写装置6に設けたX線照射開孔の位置(X線照射視野範囲内)にまで移動させた後、X線撮影を行う。ただし、このときに速写装置6に格納されているX線フィルムは、10″(インチ)×12″(インチ)の四切判サイズの1種類のみであった。
【0006】しかしながら、被検体の腹部全体のX線撮影を行なわなければならないような場合には、11″×14″(大陸判),14″×14″(大角判)あるいは14″×17″(半切判)というような大判のX線フィルムでのX線撮影を行う必要があった。
【0007】このような場合、従来のX線透視撮影装置では、図9に示すように、速写装置6内にカセッテ補助枠12で固定したカセッテ12aを直接挿入することによって、大判のX線フィルムでのX線撮影を行う、いわゆる、カセッテ撮影を行っていた。
【0008】次に、図9に基づいて、大判のX線フィルムを用いたX線撮影の手順を説明すると、まず、作業者は、速写装置6のX線フィルムの供給マガジンおよび収納マガジンの蓋を閉じて、フィルムの光かぶりを防止する。さらには、増感紙を装備し、X線フィルムを1枚ずつ挟み込んで密着した後、X線管装置5のX線照射視野内に該X線フィルムを搬送する機構である、いわゆる、フィルムホルダを速写装置6から取り外す作業を行う。
【0009】次に、作業者は、遮光蓋6aの側からカセッテ補助枠12で固定したカセッテ12aを、X線管装置5の照射視野範囲内にカセッテ12aが入るように速写装置6内に挿入し、この状態でX線撮影を行うことによって、大判のX線フィルムでのX線撮影を行っていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、前記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。従来のX線透視撮影装置では、たとえば、消化器系のX線透視撮影装置においては、速写装置に適合する四切判のX線フィルムを使用する頻度は、全撮影枚数の1/3程度であり、他の撮影の大多数が速写装置6内にカセッテ補助枠12で固定したカセッテ12aを挿入して、X線撮影を行っていた。
【0011】しかしながら、速写装置6が適合するサイズ以外のX線フィルムを使用するX線撮影、すなわち、カセッテ撮影では、カセッテを挿入する空間を確保するために、フィルムホルダを取り外す作業と共に、通常は密閉されている速写装置6を開けてしまうことに伴う、X線フィルム等の感光防止処置等が必要となるので、X線撮影を行うための準備作業に多くの時間と労力とが必要になるという問題があった。
【0012】また、大判のX線フィルムでのX線撮影を可能とするためには、速写装置6のX線管装置側に設けられるX線取り込み口となるいわゆる照射野開孔6bの大きさは、大判のX線フィルムの大きさに見合うだけの大きさが必要となる。このため、分割撮影の際に使用する分割マスク11の大きさも照射野開孔6bの大きさに見合うだけの大きさが必要となるので、前述するように、カセッテ補助枠12を用いてX線撮影を行う場合には、不要となる分割マスク11を待避させておくためのスペースも大きくなってしまうので、速写装置6すなわちX線透視撮影装置の大きさが大きくなってしまうという問題があった。
【0013】たとえば、速写装置6のX線フィルムサイズが四切判(10″×12″)の場合に、カセッテ撮影を行う場合のX線フィルムのサイズが半切判(14″×17″)の時には、分割マスク11を待避するためのスペースが四切判専用のX線透視撮影装置と比較して、横方向で8インチ,縦方向で10インチ余分に必要となっていた。
【0014】本発明の目的は、大判のX線フィルムによるX線撮影を行う場合であっても、速写装置の変更を行うことなく大判のX線フィルムによるX線撮影を行うことが可能なX線透視撮影装置を提供することにある。本発明の他の目的は、X線撮影画像の先鋭度を落とすことなく、ケース部のサイズおよび速写装置を小さくすることが可能なX線透視撮影装置を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0016】(1)撮影台の天板に設定される被検体を撮像したX線透視像を表示手段に表示し、該表示手段に表示されるX線透視像に基づいて前記被検体の撮像位置を決定し、該撮像位置のX線像を撮像してX線像記録手段に記録する速写手段を備えたX線透視撮影装置において、前記X線像撮影記録手段とはサイズの異なる他のX線像記録手段を、前記天板と前記速写装置との間に設置させるための空間を設け、必要に応じて、前記他のX線像記録手段を前記空間に設置させ、前記撮像位置のX線像を撮像して前記他のX線像記録手段に記録する。
【0017】前述した(1)の手段によれば、速写手段に対応するX線像記録手段とは異なる大きさの他のX線像記録手段でX線像を撮像して記録する場合に、天板と速写手段との間に設けた空間に、他のX線像記録手段を設置してX線像の記録を行うので、速写手段の変更を行うことなく、異なる大きさのX線像記録手段での記録が容易となる。
【0018】また、X線像撮影記録手段とはサイズの異なる他のX線像記録手段でX線像を撮像して記録する場合に、天板と速写手段との間に設けた空間に、他のX線像記録手段を設置するのみでよいので、容易に、他のX線像記録手段を設置できる。
【0019】さらには、前記搬送手段内にX線像を導くX線照射孔の大きさを搬送手段に予め格納される第2のX線撮像手段の大きさに合わせるのみでよいので、撮像位置制限手段の大きさを小型化できる。したがって、速写手段を小型化できるので、X線透視撮影装置も小型化できる。
【0020】また、以下に示す(2)から(6)の構成とすることにより、それぞれ前述する効果に加え、さらに以下に示す効果がある。
【0021】(2)前述する(1)のX線透視撮影装置が、速写手段に入射するX線視野を制限し、X線像記録手段に記録されるX線撮影像の記録位置を制限する記録位置制限手段を有する場合には、天板と記録位置制限手段との間に設けた空間に、他のX線像記録手段を設置し、該他のX線像記録手段にX線像を記録することにより、他のX線像記録手段にX線像を記録する際の記録位置制限手段の待避を行う必要がなくなるので、記録位置制御手段を待避するために必要な空間を設ける必要がなくなる。
【0022】したがって、速写手段をさらに小型化できるので、X線透視撮影装置もさらに小型化できる。
【0023】(3)前述するX線透視撮影手段において、X線像記録手段でX線像の記録を行う場合には、他のX線像記録手段で記録を行う場合よりも被検体とX線源との距離を大きくしてX線像の記録を行うことにより、X線像記録手段に記録されるX線像の拡大率の増加を抑えることができるので、天板あるいは記録位置制限手段と速写手段との間に、他のX線像記録手段を設置するための空間を設けたことによる速写手段でのX線撮影像の画質の低下を防止することができる。
【0024】(4)前述するX線透視撮影手段において、X線像記録手段でX線像の記録を行う場合には、他のX線像記録手段で撮像を行う場合よりもX線焦点の大きさを小さくしてX線像の記録を行うことにより、X線像記録手段に記録されるX線像の拡大率の増加を抑えることができるので、天板あるいは記録位置制限手段と速写手段との間に、他のX線像記録手段を設置するための空間を設けたことによる速写手段でのX線撮影像の画質の低下を防止することができる。
【0025】(5)前述するX線透視撮影手段において、X線源と天板との距離をL,天板とX線像記録手段との距離をA,天板と被検体の体軸との距離をHとしたときに、拡大率E=(L+A)/(L−H)が1.2以下になるように、LあるいはAを設定することにより、天板あるいは記録位置制限手段と速写手段との間に、他のX線像記録手段を設置するための空間を設けたことによる速写手段でのX線撮影像の画質の低下を防止することができる。
【0026】(6)前述するX線透視撮影手段において、X線源のX線焦点の一端側から他端側までの距離をSとしたときに、X線像記録手段でX線像を記録する時のX線像のズレ量M=S(E−1)が、他のX線像記録手段で記録を行う時のズレ量以下になるように、SあるいはEを設定することにより、X線焦点の一端部と他端部とから照射されるX線の光路差を小さくできるので、天板あるいは記録位置制限手段と速写手段との間に、他のX線像記録手段を設置するための空間を設けたことによる速写手段でのX線撮影像の画質の低下を防止することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、発明の実施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0028】図1は、本発明の一実施の形態のX線透視撮影装置の概略構成を示す側面図であり、3は天板,5はX線管装置(X線源),6は速写装置(速写手段),6aは遮光蓋,7はイメージインテンシファイア,8はテレビカメラ(撮像手段),10はX線グリッド、11は分割マスク(記録位置制御手段)、12はカセッテ補助枠,61は供給マガジン,62は収納マガジン,63は搬送ローラ群,70はフィルムホルダを示す。
【0029】なお、本実施の形態のX線透視撮影装置は、たとえば、四切判サイズのみのX線フィルムの速写装置を有する。
【0030】図1において、天板3は周知の寝台天板であり、本実施の形態においては、従来のX線透視撮影装置と同様の図示しない保持によって、保持される。
【0031】X線管装置5は、たとえば、周知のX線管と該X線管で発生させたX線を天板3上の被検体に照射する時の照射領域を制限するX線コリメータと、該X線の線量分布を制御するX線フィルタとから構成される周知のX線管装置である。
【0032】速写装置6は、たとえば、図示しない作業者の指示に基づいて、供給マガジン61に格納される四切判のX線フィルム(X線像記録手段)を1枚ずつ取り出し、X線管装置5のX線照射視野内に搬送すると共に、X線撮影後のX線フィルムを収納マガジンに格納する周知の速写装置である。イメージインテンシファイア7は、入力面に入射したX線像を出力面に光学像として出力する周知のX線イメージインテンシファイアである。
【0033】テレビカメラ8は、イメージインテンシファイア7の出力面の光学像を電気信号であるビデオ信号に変換する周知のテレビカメラであり、本実施の形態においては、テレビカメラ8の出力は図示しないテレビモニタに接続されている。したがって、作業者は、このテレビカメラ8で撮像し図示しないテレビモニタに映し出された透視像に基づいて、X線撮影の位置を決定する。
【0034】グリッド10は、特に、図示しない被検体を透過するときに発生するX線散乱線を除去するための周知のグリッドであり、本実施の形態においては、天板3とカセッテ補助枠12との間に配置(設置)される。
【0035】分割マスク11は、分割撮影時にX線フィルムの所定位置を覆い、該所定位置の露光を防止するための周知の分割マスクであり、本実施の形態においては、速写装置6で使用されるX線フィルムのサイズである、四切判(10″(インチ)×12″(インチ))に最適となる大きさである。
【0036】カセッテ補助枠12は、カセッテ撮影時において、たとえば、半切判等のX線フィルム(他のX線像記録手段)をセットしたカセッテ12aを保持するための周知のカセッテ補助枠であり、該カセッテ補助枠12は、グリッド10と分割マスク11を有する速写装置6との間に設けた空間に、図示しない固定機構によって固定される。ただし、カセッテ補助枠12をに固定する固定機構については後述する。なお、カセッテ撮影時に、速写装置6に格納されるのと同じ大きさの四切判のX線フィルムを用いてもよいことは言うまでもない。
【0037】供給マガジン61は、未撮影のX線フィルムを格納しておき、速写装置6に該X線フィルムを供給する周知の供給マガジンであり、本実施の形態において、たとえば、四切判のX線フィルムを格納する。
【0038】収納マガジン62は、撮影済みのX線フィルムを格納するための周知の収納マガジンである。
【0039】ローラー群63は、図示しないフィルム取り出し機構が供給マガジン61から取り出したX線フィルムをフィルムホルダ70に搬送するための周知の機構である。
【0040】フィルムホルダ70は、供給マガジン61から取り出されたX線フィルムと増感紙とを密着してX線管装置5のX線照射野へと速写移動させる周知のフィルムホルダであり、本実施の形態においては、フィルムホルダ70の取り外し機構が必要ない。
【0041】次に、図1に基づいて、本実施の形態のX線透視撮影装置の動作を説明する。ただし、少量のX線を天板3上の図示しない被検体に照射し、そのX線像を図示しないテレビモニタに表示し、X線撮影における撮像位置の決定を行ういわゆるX線透視、および、該透視位置で、速写装置6を使用して四切判のX線フィルムにX線像を撮像する、いわゆる、X線撮影時の動作については、従来のX線透視撮影装置におけるX線透視およびX線撮影と同じとなるので、本実施の形態での説明は省略するものとする。
【0042】まず、X線透視によって、撮影条件および撮像位置等を決定した後、作業者は、カセッテ補助枠12にセットしたカセッテ12aを、グリッド10と分割マスク11との間に設けた固定機構に設置する。
【0043】次に、作業者は、たとえば、速写装置6を使用しないX線撮影の指示を、図示しない操作卓から行うことにより、X線管装置5から所定量のX線が照射されて、カセッテ12aでのX線撮影が行われる。このとき、分割マスク11は、カセッテ12aの下側、すなわち、X線管装置5とカセッテ12aとの間に位置しないので、大判のX線フィルムを使用する場合においても待避する必要がない。なお、この効果については、後に詳述する。
【0044】次に、図2に本実施の形態のX線透視撮影装置のカセッテ補助枠の設置機構部の概略構成を説明するための斜視図を示し、以下、図2に基づいて、カセッテ補助枠の設置方法およびその効果を説明する。
【0045】図2において、201は速写装置側のガイドレール,202はカセッテ補助枠側のガイドレール,203は第1のマイクロスイッチ,204は第2のマイクロスイッチ,205は四切判X線透過窓を示す。また、点線はカセッテ補助枠12を収納した場合のカセッテ12aを示す。
【0046】速写装置側のガイドレール201は、カセッテ補助枠12に設けた凸部分のガイドレール202が入るための溝を有しており、このガイドレール201によって該カセッテ補助枠12の移動方向を図中の矢印の方向に規制する。
【0047】第1のマイクロスイッチ203は、カセッテ補助枠12が収納されている状態(図2中の収納した状態)にあるか否かを検出するための周知のマイクロスイッチであり、カセッテ補助枠12が収納されている場合にONとなる。
【0048】第2のマイクロスイッチ204は、カセッテ補助枠12にカセッテ12aが収納されているか否かを検出するためのスイッチであり、カセッテ12aが収納されている場合にONとなる。
【0049】X線透過窓205は、たとえば、10″×12″の四切判サイズのカセッテレス撮影(速写装置による撮影)を行う場合に、X線を速写装置6にまで透過させるための透過窓である。
【0050】次に、図2に基づいて、本実施の形態のX線透視撮影装置においてカセッテを用いた撮影を行う場合について説明する。ただし、本実施の形態においては、カセッテを用いた撮影は、14″×17″まで対応可能であるが、以下の説明においては、14″×14″の大角判のX線フィルムを用いる場合について説明する。
【0051】まず、検者はカセッテ補助枠12を引き出して、大角判のX線フィルムをセットしたカセッテ12aをカセッテ補助枠12にセットした後、該カセット補助枠12を図中に示す収納した状態の位置にまで押し入れることによって、カセッテ12aが点線で示す撮影位置にセットされると共に、第1および第2のマイクロスイッチ203,204がONとなる。
【0052】したがって、検者が図示しない操作卓からX線撮影の指示をしたならば、速写装置6は動作せずに、カセッテ補助枠12にセットしたカセッテ12aでの撮影となる。このとき、前述するように、分割マスク11にはX線が照射されないので、分割マスク11を退避する必要がない。
【0053】このように、速写装置6にセットしたサイズと異なるサイズのX線フィルムでの撮影を行う場合であっても、カセット補助枠12に異なるサイズのX線フィルムをセットしたカセッテ12aをセットするのみで、所望のサイズのX線フィルムを用いた撮影を容易に行うことができる。
【0054】ただし、本実施の形態のX線透視撮影装置において、カセッテ補助枠12を引き出している状態すなわち第1のマイクロスイッチ203がOFFの場合には、X線撮影が禁止され、カセッテ補助枠12が収納され且つカセッテ12aがセットされていない場合すなわち第1のマイクロスイッチ203のみがONの場合には、速写装置6によるX線撮影が行われる。
【0055】ただし、図2においては、カセッテ補助枠12を速写装置6に設けたガイドレール201から外れない構成としたが、これに限定されることはなく、取り外し可能な構成としてもよいことはいうまでもない。
【0056】次に、図3にX線管装置、グリッドおよび速写装置内のX線フィルムの位置関係を説明するための図を、図4にX線管装置、グリッドおよび速写装置内のX線フィルム位置と半影サイズとの関係を説明するための図を示し、以下、図3および図4に基づいて、本実施の形態のX線透視撮影装置でのX線像の先鋭度を保持する方法について説明する。
【0057】なお、本願明細書中においては、有限の大きさを有するX線管から照射されるX線路の違いに基づいて生じるX線像のぼけ量を半影(あるいは、半影サイズ)と記すものとする。
【0058】図3および図4において、301はX線管の焦点,302は被検体,303は被検体,304はX線フィルム,LはX線管301の中心から被検体302の中心までの距離,Hは被検体302の中心からグリッド3までの距離、Aはグリッド3からカセッテレス撮影時のX線フィルム304までの距離,SはX線管301の焦点サイズ,S1はX線管301の焦点の一方の端点,S2はX線管301の焦点の他方の端点,Mは端点S1から照射されたX線と端点S2から照射されたX線との光路差によって生じる半影の大きさを示す。
【0059】図3に示すように、X線管の焦点301,被検体302の中心304,天板3およびX線フィルム304の位置を定めたときの被検体302の拡大率Eは、その定義より、下記の数1に示すようになる。
【0060】
【数1】E=(L+A)/(L−H)
一方、このときの半影のサイズMは、図3,4より、下記の数2に示すようになる。
【0061】
【数2】M=S(E−1)
本実施の形態のX線透視撮影装置においては、L=1〜1.2m,A=60mmに設定されていると共に、被検体302の厚さが平均的には260mm程度(H=130mm)であるので、拡大率Eは1.18〜1.22となる。一方、X線フィルムに撮像されるX線像の拡大率は、医師等による診断のしやすさ等の要望により、E=1.2以下が望ましいとされており、本実施の形態のX線透視撮影装置は、この条件をほぼ満足すると考えられる。
【0062】また、このときの半影のサイズは、たとえば、従来ではX線管の焦点サイズが1.2のものが一般的に使用されていた場合には、本実施の形態では、それよりもサイズが小さい1.0のものを用いることによって、半影サイズを従来のX線透視撮影装置の半影サイズと同様のサイズにすることによって、カセッテレス撮影時のX線フィルム304で撮影されるX線像の先鋭度の低下を防止できる。
【0063】さらには、支持アーム101を周知の油圧機構等によって伸縮可能な構成とし、大判のX線フィルムを用いたX線撮影を行う場合には、該支持アームをのばすことによって、X線管装置5と天板3との距離を大きくする、すなわち、図3中のLを大きくすることによって、拡大率Eが小さくなり、半影サイズを小さくできるので、カセッテ12aを挿入する空間を設けたことによるカセッテレス撮影時のX線像の先鋭度の低下を防止できる。
【0064】次に、図5に四切判(10″×12″)のX線フィルムの撮影サイズを説明するための図を、図6に図5に示す分割サイズを実現するために必要な分割マスクのサイズを説明するための図を、図7に四切判のX線フィルムの分割撮影を行うためのマスクサイズを説明するための図を示し、以下、これらの図に基づいて、本実施の形態のX線透視撮影装置の速写装置部分の大きさについて説明する。
【0065】
【0066】図5において、図5(a)は四切判のX線フィルムの前面撮影時を示す図であり、図5(b)は四切判のX線フィルムの左右2分割撮影時を示す図であり、図5(c)は四切判のX線フィルムの上下2分割時を示す図であり、図5(d)は四切判のX線フィルムの4分割撮影時を示す図である。
【0067】本実施の形態のX線透視撮影装置では、速写装置6の内部にカセッテ補助枠12を挿入してX線撮影を行う必要がないので、速写装置6に設けられたX線照射孔の大きさは、四切判の大きさ(サイズ)となる。一方、図5に示すように、最小のX線照射視野は、図5(d)の時の4分割撮影時となるので、その大きさは5″×6″となる。なお、図5において、斜線で示す部分がそれぞれ1回のX線撮影で使用される部分を示す。
【0068】したがって、図6(a)に示すように、上下方向の分割マスク11は横10″×縦3″のサイズのマスクが2枚1組で構成されると共に、左右方向の分割マスク11は横2.5″×縦12″のサイズのマスクが2枚1組で構成される。全面撮影時(図5(a)に示す撮影を行う場合)においては、前述の上下左右のマスクを待避させた後、X線撮影を行う。このときに、分割マスクを待避させるために必要となる寸法を示したのが図6(b)であり、縦方向が15″,横方向が18″となる。
【0069】一方、従来のX線透視撮影装置では、速写装置6によるX線撮影に加え、カセッテ補助枠12を用いた場合においても分割マスク11の待避が必要になると共に、カセッテ補助枠12を用いた大判のX線フィルムでのX線撮影に必要な大きさのX線照射孔が必要となる。したがって、図7(a)に示すように、上下方向の分割マスクは、横14″×縦5.5″のサイズのマスクが2枚1組で必要になると共に、左右方向の分割マスクは、横4.5″×縦17″のサイズのマスクが2枚1組で必要になる。
【0070】このため、従来のX線透視撮影装置において、カセッテ補助枠12を用いたカセッテ撮影時には、図7(b)に示すように、分割マスクを待避させるために縦方向が28″,横方向が23″必要となる。
【0071】図6(b)と図7(b)とから明らかなように、本願発明のX線透視撮影装置においては、分割マスクを最大に待避させたときに、必要となる大きさが縦方向で10″,横方向で8″少なくてもよいので、速写装置6の大きさを小さくできる。したがって、X線透視撮影装置そのものの大きさを小型化できるという効果がある。
【0072】なお、本実施の形態においては、カセッテ撮影を行う時には、大判のX線フィルムを使用する場合について説明したが、X線フィルムに限定されることはなく、たとえば、イメージングプレート等にX線像を撮影する場合にも適用できることは言うまでもない。
【0073】以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0074】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0075】(1)大判のX線フィルムによるX線撮影を行う場合であっても、速写装置の変更を行うことなく大判のX線フィルムによるX線撮影を行うことができる。
(2)X線撮影画像の先鋭度を落とすことなく、分割フィルタのケース部のサイズおよび速写装置を小さくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
【出願日】 平成9年(1997)7月24日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−42223
【公開日】 平成11年(1999)2月16日
【出願番号】 特願平9−212748