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【発明の名称】 X線診断装置
【発明者】 【氏名】西木 雅行

【氏名】山田 真一

【要約】 【課題】オーバチューブ型のX線診断装置における寝台1の、床近くまでの下降を可能として患者の乗り降りを容易化すると共に、X線管3と固体平面検出器5との間の十分な距離を確保し、この距離が必要な胸部撮影等を容易化する。

【解決手段】オーバチューブ型のX線診断装置の寝台1内に、X線検出手段としてイメージインテンシファイヤに代えて固体平面検出器5を設ける。そして、この固体平面検出器5を、寝台1の既存の昇降機構を用いて昇降駆動する。固体平面検出器5は、複数の固体撮像素子を2次元的に配列して形成されているため、小型かつ薄型とすることができる。このため、寝台1を床近くまで下降させることができ、患者の乗り降りを容易化することができると共に、X線管3と固体平面検出器5との間の十分な距離を確保して胸部撮影等を容易化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検者が載置される寝台と、前記寝台に載置された被検者に対してオーバチューブとなるようにX線を曝射するX線発生手段と、前記X線発生手段と相対向するように前記寝台の寝台面より下側に設けられ、前記X線発生手段から曝射されたX線が被検者を透過することにより形成されたX線像を、2次元的に配列された複数の固体検出素子で検出する固体平面検出器と、前記寝台及び前記固体平面検出器を、被検者に近付く方向及び被検者から離反する方向に移動する移動手段とを有することを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】 前記固体平面検出器を、前記寝台から独立して被検者に近付く方向及び被検者から離反する方向に移動する検出器移動手段を有することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項3】 前記X線発生手段を、前記固体平面検出器に近付く方向及び固体平面検出器から離反する方向に移動するX線発生部移動手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のX線診断装置。
【請求項4】 前記X線発生手段は、前記検出器移動手段により前記固体平面検出器が移動された際に、この固体平面検出器の移動量と同じ移動量となるように前記X線発生手段を移動することを特徴とする請求項3記載のX線診断装置。
【請求項5】 前記寝台に載置された被検者に対して斜めにX線を曝射するように前記X線発生手段を回転する回転手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項記載のX線診断装置。
【請求項6】 前記回転手段によりX線発生手段が回転された際に、この回転されたX線発生手段と前記固体平面検出器のX線像の検出面とが相対向するように該固体平面検出器の位置を設定する位置設定手段を有することを特徴とする請求項5記載のX線診断装置。
【請求項7】 前記寝台、及び/又は、前記固体平面検出器の移動制御に応じて、表示画像に反映されない被検者の部位にX線が曝射されないように前記X線発生手段からのX線の曝射範囲を制御するX線絞り部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項記載のX線診断装置。
【請求項8】 前記固体平面検出器のX線像の検出面は、矩形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちいずれか1項記載のX線診断装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オーバチューブ型のX線診断装置に関し、特にイメージインテンシファイヤに対して小型化及び薄型化が可能な平面検出器を寝台内に設けることにより、寝台を床近くまで下降可能として患者の乗り降りの容易化等を図ったX線診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、図7に示すようなオーバチューブ型のX線診断装置が知られている。
【0003】このX線診断装置は、患者が載置される寝台100と、寝台100に載置された患者に対してX線を曝射するX線管101と、X線管101を支持するX線支柱102とを有している。また、寝台100を、当該X線診断装置が載置された床に対して垂直方向(上下)に駆動する寝台駆動部103と、X線管101に相対向するように寝台内に設けられたイメージインテンシファイヤ104(I.I)と、I.I104からの可視像を撮像するテレビジョンカメラ装置105とを有している。
【0004】このようなX線診断装置は、寝台駆動部103により寝台100を下降駆動して患者を寝台100に載置し、この患者に対してX線管101からのX線を曝射する。寝台100内に設けられているI.I104は、この曝射されたX線が患者を介すことにより形成されたX線像を可視像に変換する。テレビジョンカメラ装置105は、この可視像の撮像を行い、これにより形成したテレビジョン信号をモニタ装置に供給する。
【0005】これにより、モニタ装置の表示画面上に、前記X線像に応じた透視画像或いは撮影画像を表示することができ、医師等は、この透視画像或いは撮影画像に基づいて治療計画等を立てることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従来のオーバチューブ型のX線診断装置は、X線像の検出手段として真空管で形成され容積の大きなI.I104を寝台100内に設けるようにしていたため、このI.I104が設けられている高さ以下には寝台100を下降させることができず、体の不自由な患者にとって寝台100への乗り降りが困難なものとなる問題があった。
【0007】また、例えば胸部撮影では、X線の発生手段であるX線管101の焦点と、X線の検出手段であるI.I104との間に1.5m〜2.0mの距離が必要とされるのであるが、I.I104が設けられている高さ以下には寝台100を下降させることができないため、前記X線管101の焦点とI.I104との間に十分な距離をとることができず、胸部等の撮影が困難となる問題があった。
【0008】なお、この問題は、X線管101を上下に駆動する機構を設けることで解決することができるが、そのためにはX線管101に対してこのような上下駆動機構を新たに設ける必要があり、構造的,コスト的な問題を生ずる。
【0009】また、I.I104からの出力像(前記可視像)は、例えば径が15mm〜30mmの円形状となっているため、視野(モニタ装置の表示画像)が円形となり、人体の観察には不向きな表示画像しか得られない問題があった。
【0010】さらに、I.I104は、電子ビームの走査等により、表示画像に幾何学的,磁気的歪みを発生する問題があった。
【0011】本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、寝台の大幅な下降を可能として患者の寝台への乗り降りの容易化を図る共に、X線発生手段とX線検出手段との間に十分な距離をとることを可能とし、また、幾何学的,磁気的歪みのない、人体の観察に適した形状の表示画像を得ることができるようなX線診断装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るX線診断装置は、上述の課題を解決するために、被検者が載置される寝台と、前記寝台に載置された被検者に対してオーバチューブとなるようにX線を曝射するX線発生手段と、前記X線発生手段と相対向するように前記寝台の寝台面より下側に設けられ、前記X線発生手段から曝射されたX線が被検者を透過することにより形成されたX線像を、2次元的に配列された複数の固体検出素子で検出する固体平面検出器と、前記寝台及び前記固体平面検出器を、床に近付く方向及び床から離反する方向に移動する移動手段と有する。
【0013】すなわち、本発明に係るX線診断装置は、寝台に載置された患者の上方からX線の曝射を行い、これにより形成されたX線像を寝台の寝台面より下側に設けられた固体平面検出器で検出する、いわゆるオーバチューブ型のX線診断装置となっている。
【0014】固体平面検出器は、複数の固体検出素子を2次元的に配列して構成されているため、真空管で形成されるイメージインテンシファイヤよりも小型及び薄型に形成することができる。特に、その厚みに対しては、イメージインテンシファイヤの例えば数十分の一(或いは数分の一)に形成することができる。
【0015】このため、移動手段により、寝台を床に近付く方向に移動した際に、床近くまで寝台を下降させることができ、体の不自由な患者の寝台への乗り降りを容易化することができる。
【0016】また、このように寝台を大きく下降させることができるため、X線発生手段を昇降させるための特別な機構を設けることなく、X線発生手段と固体平面検出器との間に十分な距離をとることができ、撮影に当該距離が必要な胸部撮影等を容易に実施可能とすることができる。
【0017】また、固体平面検出器は、X線像に応じて各固体検出素子により形成された電荷(電荷蓄積型)或いは電圧(電圧読出型)を電気的に読み出すようになっており、イメージインテンシファイヤのように電子ビームの走査等が不要となるため、表示画像に幾何学的,磁気的歪みを発生することがなく、明瞭な表示画像を得ることができる。
【0018】また、固体平面検出器の検出面を矩形状とすることにより、モニタ装置等の表示手段に矩形状の表示画像を表示することができ、人体の観察に適した形状の表示画像の表示を可能とすることができる。
【0019】さらに、X線発生手段から曝射されるX線は、いわゆるコーンビームとなっており、前記移動手段により、寝台及び前記固体平面検出器を昇降制御することにより、被検者の中心のX線の曝射範囲の径と、これに対応する固体平面検出器5上のX線の曝射範囲の径との比が変化する。
【0020】すなわち、寝台を上昇制御すると被検者の中心のX線の曝射範囲の径が小さくなるため表示画像が拡大され、寝台を上昇制御すると被検者の中心のX線の曝射範囲の径が大きくなるため表示画像が縮小される。これにより、医師等は、寝台を昇降操作するのみで所望の拡大率の表示画像を得ることができ、その後の治療計画を容易化することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るX線診断装置の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】まず、本発明の第1の実施の形態のX線診断装置は、いわゆるオーバチューブ型のX線診断装置となっており、図1(a)に示すように患者が載置される寝台1と、寝台1を床に近付く方向及び床から離反する方向(以下、この方向の動きを上下動という。)に移動可能なように支持する寝台支柱2と、寝台1に載置された患者の上方からX線を曝射するX線管3と、X線管3を上下動しないように固定して支持するX線支柱4とを有している。
【0023】また、このX線診断装置は、寝台1内に、X線管3に相対向するように設けられた固体平面検出器5と、当該X線診断装置全体を支持する支持台6と、患者の撮影範囲に応じてX線管3からのX線の曝射範囲を絞るX線絞り7と、図示はされていないが、寝台1と共に固体平面検出器5を上下に移動する移動機構とを有している。
【0024】この移動機構は、寝台1を上下動させるために設けられている既存の機構が設けられており、この移動機構により寝台1が上下に移動されることで、これに連動して寝台1内に設けられた固体平面検出器5が上下に移動されるようになっている。
【0025】固体平面検出器5は、図2に示すように画素11及び薄膜トランジスタ(TFT)12からなる複数のX線検出素子を列方向及び行方向に2次元的に配列して構成されており、全体的には縦×横が3:4のアスペクト比(HD対応であれば9:16のアスペクト比、HD:ハイディフィニション)の矩形状を有している。
【0026】各画素11は、X線を可視光に変換し、この可視光の光量に応じた電荷を形成するフォトダイオードと、このフォトダイオードにより形成された電荷を蓄積するコンデンサ(蓄積用コンデンサ)とで構成されており、TFT12は、この各画素11の蓄積用コンデンサに蓄積された電荷を読み出すスイッチとして動作するようになっている。
【0027】フォトダイオードのカソード端子と蓄積用コンデンサの一方の端子との接続点は電源ライン15−1,15−2・・・15−nにより逆バイアス電源(−Vn)に接続され、フォトダイオードのアノード端子と蓄積用コンデンサの他方の端子との接続点はTFT12のソース端子に接続されている。
【0028】TFT12のゲート端子は、各読出ライン13−1,13−2・・・13−nにより各行毎に共通に接続され、ライン駆動部14の各ライン出力端子に接続されている。
【0029】また、各TFT12のドレイン端子は、対応する垂直転送ライン16−1,16−2・・・16−nにより各列毎に共通に接続され、各リードアウトアンプ17を介してマルチプレクサ18の各スイッチ18−1,18−2・・・18−nに接続されている。
【0030】制御部10は、ライン駆動部14を介して各読出ライン13−1,13−2・・・13−nに接続された各TFT12をオンオフ制御して各蓄積用コンデンサに蓄積された電荷を読出制御すると共に、これにより各垂直転送ライン16−1,16−2・・・16−nに現れる電荷を、マルチプレクサ18を選択制御して出力端子19を介してモニタ装置側に出力するようになっている。
【0031】さらに具体的には、各画素11及びTFT12からなるX線検出素子の断面は、図3に示すようになっており、支持体25上に、TFT領域26及び画素領域27(PD領域)が設けられている。
【0032】PD領域27の支持体25上には、SiNx層32が積層されている。このSiNx層32上には、以下に説明するTFT領域26のソース電極36に接続された透明電極44が積層されており、この透明電極44上にn+ a−Si層37、ia−Si層38、p+ a−Si層39,透明電極40が順に積層されることで、Pin構造のフォトダイオードが形成されている。
【0033】TFT領域26の支持体25上には、ゲート電極31が形成されており、このゲート電極31上に、前記PD領域27から延長されたSiNx層32が積層されている。また、このTFT領域26上におけるSiNx層32上にはa−Si層33が積層されており、その上にn+ a−Si層34を介してドレイン電極35及びソース電極36がそれぞれ形成されている。また、このドレイン電極35及びソース電極36上には、TFT領域26とPD領域27を区切るようにして第1のポリイミド樹脂層41が積層されている。
【0034】この第1のポリイミド樹脂層41上には、当該ポリイミド樹脂層41に隣接するPD領域27の透明電極40同士を電気的に接続するように金属電極42が設けられている。そして、透明電極40及び金属電極42上には、第2のポリイミド樹脂層43が積層されており、この第2のポリイミド樹脂層43上に、透明保護膜30,蛍光体29及び光反射層28が順に積層されている。
【0035】このような固体平面検出器5は、光反射層28が、外部から照射される可視光及びX線のうち、可視光を全反射してX線のみの取り込みを行う。蛍光体29は、光反射層28により取り込まれたX線を可視光に変換してPD領域27に照射する。
【0036】これにより、前述のようにPD領域27に設けられている蓄積用コンデンサに、X線の線量に応じた可視光に対応する電荷が蓄積され、この電荷がTFT領域26のTFT12のオンオフ制御に応じて読み出されモニタ装置等に供給されることとなる。
【0037】次に、このような構成を有する当該第1の実施の形態のX線診断装置の動作説明をする。
【0038】まず、オペレータは、患者を寝台1の載置する際、操作部を操作して寝台1の下降を支持する。制御部は、この支持がなされると、移動機構を制御して寝台1を下降制御する。これにより、図1(a)に示すように寝台1内に設けられている固体平面検出器5が、寝台1と共に下降する。
【0039】前述のように、固体平面検出器5は、複数のX線検出素子で構成されているため、非常に薄型でかつ小型となっている。このため、寝台1の下降の障害とはならず、図1(a)に示すように寝台1を床近くまで下降させることを可能とすることができ、体の不自由な患者の寝台1への乗り降りを容易化することができる。
【0040】次に、オペレータは、このようにして患者を寝台1に載置させると、操作部を操作して寝台1の上昇を支持すると共に、撮影の実行を支持する。制御部は、この支持がなされると、移動機構を制御して寝台1を上昇制御し、この後にX線管3を曝射制御する。これにより、図1(b)に示すように寝台1上に載置された患者の所望の部位にX線が曝射される。そして、このX線の曝射により形成されたX線像が固体平面検出器5により取り込まれモニタ装置上に表示される。
【0041】前述のように、当該X線診断装置は、寝台1を大きく下降させることができるため、X線管3を昇降させるための特別な機構を設けることなく、X線管3と固体平面検出器5との間に十分な距離をとることができる。このため、撮影に対して当該距離が必要な胸部撮影等を容易に実施可能とすることができる。
【0042】また、固体平面検出器5は、X線像に応じて各X線検出素子により形成された電荷を電気的に読み出すようになっており、イメージインテンシファイヤのように電子ビームの走査等が不要となるため、表示画像に幾何学的,磁気的歪みを発生することがなく、明瞭な表示画像を得ることができる。
【0043】また、固体平面検出器5の検出面は矩形状となっているため、モニタ装置の表示画面に矩形状の表示画像を表示することができ、人体の観察に適した形状の表示画像の表示を可能とすることができる。従って、医師等による治療計画に大きく貢献することができる。
【0044】ここで、当該X線診断装置は、前記移動機構により寝台1を昇降制御することで表示画像の拡大表示が可能となっている。
【0045】具体的には、X線管3から曝射されるX線は、その焦点から遠ざかるにつれて徐々に曝射範囲が広がる、いわゆるコーンビームとなっている。このため、図1(b),(c)に示すように、移動機構により寝台1を昇降制御することで、被検体の中心のX線の曝射範囲の直径A1と、これに対応する固体平面検出器5上のX線の曝射範囲A2との比が変化し、この両者の比の変化が表示画像の拡大率にそのまま反映されるようになる。
【0046】すなわち、表示画像の拡大率を「M」とし、被検体の中心のX線の曝射範囲の直径を「A1」、これに対応する固体平面検出器5上のX線の曝射範囲の直径を「A2」とすると、拡大率Mは、M=A2/A1となる。
【0047】これは、寝台1を上昇制御すると被検体の中心のX線の曝射範囲の直径A1が小さくなるため表示画像が拡大されることを示し、寝台1を上昇制御すると被検体の中心のX線の曝射範囲の直径A1が大きくなるため表示画像が縮小されることを示している。従って、オペレータは、寝台1を昇降操作するのみで所望の拡大率の表示画像を得ることができ、前述の医師等による治療計画をさらに容易化することができる。
【0048】次に、このように寝台1を昇降制御して拡大率の変更を行った場合、表示画像として実際に表示される画像以外の部位にX線の曝射が行われることが懸念される。このため、当該X線診断装置には、X線絞り部7が設けられており、被検体の表示画像に反映されない部位にはX線が曝射されないように、図示しない制御部がこのX線絞り部7を開閉制御してX線の曝射範囲を制御する。
【0049】具体的には、寝台1の昇降状態と各昇降状態時のX線の曝射範囲との関係は予め検出されており、この検出結果が例えばX線絞り部7の開閉幅を示す開閉制御データとしてテーブル化(開閉制御テーブル)され記憶されている。このため、前記制御部は、寝台1が昇降制御されると、この寝台1の昇降状態に応じて開閉制御テーブルから、対応する開閉制御データを読み出し、この開閉制御データに基づいて、X線絞り部7の開閉幅を制御する。
【0050】これにより、拡大率の変更を行った場合でも、被検体の表示画像に反映しない部位に無駄にX線が曝射される不都合を防止することができる。このため、患者の被曝低減を図ることができ、当該X線診断装置の安全性の向上及び信頼性の向上を図ることができる。
【0051】次に、本発明の第2の実施の形態のX線診断装置の説明をする。
【0052】上述の第1の実施の形態のX線診断装置は、寝台1と共に固体平面検出器5が昇降するものであったが、この第2の実施の形態のX線診断装置は、固体平面検出器5を寝台1とは別に独立して昇降可能としたものである。
【0053】なお、この第2の実施の形態は、この点のみが第1の実施の形態と異なるため、以下の第2の実施の形態の説明において第1の実施の形態と同じ動作を示す箇所には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】すなわち、この第2の実施の形態のX線診断装置は、図4(a)に示すように寝台1内に設けられた固体平面検出器5を寝台1とは別に昇降制御する昇降駆動部50を有している。
【0055】具体的には、この昇降駆動部50は、蝶番状の一対の昇降機構52の各一片を固定すると共に、各他片を固体平面検出器5に接続して構成されている。この昇降機構52及び固体平面検出器5は、各昇降機構52の屈曲状態に応じて伸縮する蛇腹状の蛇腹カバー51により被覆されており、固体平面検出器5の昇降制御により患者の衣服等が巻き込まれる危険等を防止するようになっている。
【0056】次に、このような構成を有する当該第2の実施の形態のX線診断装置の動作説明をする。
【0057】まず、オペレータは、前述と同様にして寝台1を床近くまで下降操作して患者を寝台に載置させた後、寝台1を所望の高さまで上昇させ、X線を曝射操作する。これにより、上述のようにモニタ装置の表示画面に患者の所望の部位の表示画像を得ることができる。
【0058】ここで、この表示画像を見たオペレータが表示画像の拡大率を変更したい場合、操作部を操作して表示画像の拡大或いは縮小を支持する。各昇降機構52は、オペレータより表示画像の拡大の支持がなされると固体平面検出器5を下降制御して被検体から離反させ、オペレータより表示画像の縮小の支持がなされると固体平面検出器5を上昇制御して被検体に近づける。
【0059】具体的には、X線管3から曝射されるX線はいわゆるコーンビームとなっているため、そのX線の広がりはX線管3の焦点から離れる程大きくなり、図4(a)に示すように人体の中心でA1の径の広がりを有するX線は、固体平面検出器5の検出面では、A1の径の広がりよりも大きなA2の径の広がりを有するようになる。
【0060】この状態で、各昇降機構52により固体平面検出器5を上昇制御すると、図4(b)に示すように固体平面検出器5は、X線のコーンビームが収束する方向(X線管3の焦点に近付く方向)に移動されることとなるため、人体の中心でB1(=A1)の径の広がりを有するX線は、固体平面検出器5の検出面では、前記A2の径の広がりよりも狭いB2の径の広がりを有するようになる。
【0061】従って、人体へのX線の曝射位置は変わらないのであるが(A1,B1)、このX線像の検出範囲が、固体平面検出器5の上昇制御により狭くなるため、表示画像が縮小されて表示されることとなる。
【0062】この逆に、固体平面検出器5を図4(b)に示す位置から下降制御すると、図4(a)に示すようにX線のコーンビームがB2の径よりも広がったA2の径の位置でX線像を検出することとなるため、表示画像が拡大されて表示されることとなる。
【0063】このような拡大率は、以下の式で定義することができる。
【0064】すなわち、前述のようにX線管3は固定されているため、図4(a)に示すようにX線管3(の焦点)から患者の体の中心までの距離「L2」は寝台1が昇降制御されない限り一定である。そして、X線管3から固体平面検出器5までの距離「L1」が固体平面検出器5の昇降制御により変化する。このため、拡大率「M」は、M=L1/L2(L2は一定)
となる。
【0065】このように、当該第2の実施の形態のX線診断装置は、各昇降機構52により固体平面検出器5を昇降制御することにより、表示画像の拡大率を変更することができる。このため、例えば患部を拡大表示したい場合等に寝台1を昇降制御することなく所望の拡大率の表示画像を得ることができ、正確かつ迅速な診断治療に大きく貢献することができる他、上述の第1の実施の形態のX線診断装置と同じ効果を得ることができる。
【0066】なお、この第2の実施の形態のX線CT装置においても、上述の第1の実施の形態のX線診断装置のように、寝台1を昇降制御することで拡大率を変更することができる。そして、このような寝台1の昇降制御、或いは固体平面検出器5の昇降制御に対応して前記制御部によりX線絞り部7が開閉制御され被検体に対する被曝低減が図られることは勿論である。
【0067】次に、本発明の第3の実施の形態のX線診断装置の説明をする。
【0068】上述の第2の実施の形態のX線診断装置は、X線管3が固定された状態のまま固体平面検出器5が昇降制御されるものであったが、この第3の実施の形態のX線診断装置は、固体平面検出器5の昇降制御と共にX線管3を昇降制御し、X線管3と固体平面検出器5との間の距離を維持した状態で表示画像の拡大率を変更可能としたものである。
【0069】なお、この第3の実施の形態は、この点のみが第2の実施の形態と異なるため、以下の第3の実施の形態の説明において第2の実施の形態と同じ動作を示す箇所には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0070】すなわち、この第3の実施の形態のX線診断装置は、図5(a)に示すようにX線管3を、X線管支柱4に沿って昇降制御するX線管昇降機構を有している。
【0071】このような第3の実施の形態のX線診断装置は、オペレータによりX線管3と固体平面検出器5との間の距離を維持した状態で表示画像の拡大率の変更が支持されると、固体平面検出器5の各昇降機構52の昇降制御にリンクして、X線管3と固体平面検出器5との間の距離を維持するように、前記X線管昇降機構がX線管3を昇降制御する。
【0072】ここで、上述の第2の実施の形態のX線診断装置は、X線管3が固定されていたため、固体平面検出器5を下降制御することで拡大率が小さくなり、固体平面検出器5を上昇制御することで拡大率が大きくなったが、当該第3の実施の形態のX線診断装置は、固体平面検出器5の昇降制御に対応してX線管3が昇降制御されるため、X線管3及び固体平面検出器5を下降制御することで拡大率が大きくなり、X線管3及び固体平面検出器5を上昇制御することで拡大率が小さくなるようになっている。
【0073】すなわち、例えば図5(a)に示すように人体の中心でA1の径を有し、固体平面検出器5の検出面でA2の径を有するX線のコーンビームは、固体平面検出器5を下降制御すると、X線管3と固体平面検出器5との間の当初の距離を維持するようにX線管3が下降制御されるため、X線のコーンビームが狭まる位置に人体の中心が位置するようになり、図5(b)に示すように固体平面検出器5の検出面での径はB2(=A2)の径と変わらないのであるが、人体の中心の径がB1の径に狭まることとなる。
【0074】これは、人体へのX線の曝射範囲は狭まるが、このX線像を、該狭まる前と同じ範囲で検出することを意味するため、表示画像が拡大表示されることとなる。
【0075】この逆に、図5(b)に示す位置からX線管3及び固体平面検出器5を上昇制御すると、X線のコーンビームが広がる位置に人体の中心が位置するようになり、図5(a)に示すように固体平面検出器5の検出面での径はA2(=B2)の径と変わらないのであるが、人体の中心の径がA1の径に広がることとなる。
【0076】これは、人体へのX線の曝射範囲は広がるが、このX線像を、該広がる前と同じ範囲で検出することを意味するため、表示画像が縮小表示されることとなる。
【0077】このような拡大率は、以下の式で定義することができる。
【0078】この場合、X線管3は固体平面検出器5の昇降制御に応じて昇降制御されるため、X線管3と固体平面検出器5との間の距離「L1」は常に一定であり、X線管3(の焦点)と患者の中心との間の距離「L2」のみが変化することとなる。このため、拡大率「M」は、M=L1/L2(L1は一定)
となる。
【0079】このように、当該第3の実施の形態のX線診断装置は、各昇降機構52により固体平面検出器5が昇降制御された際に、X線管3と固体平面検出器5との間の距離を維持するようにX線管3を昇降制御することにより、表示画像の拡大率を変更することができる。このため、上述の第1,第2の実施の形態のX線診断装置と同じ効果を得ることができる。
【0080】なお、この第3の実施の形態のX線CT装置においても、上述の第1の実施の形態のX線診断装置のように、寝台1を昇降制御することで拡大率を変更することができる。そして、このような寝台1の昇降制御、或いは前記固体平面検出器5の昇降制御に対応して前記制御部によりX線絞り部7が開閉制御され被検体に対する被曝低減が図られることは勿論である。
【0081】次に、本発明の第4の実施の形態のX線診断装置の説明をする。
【0082】上述の第3の実施の形態のX線診断装置は、X線管3が床に対して垂直方向に昇降制御されるものであったが、この第4の実施の形態のX線診断装置は、X線管支柱4を回転制御することで患者に対して斜めにX線を曝射し、斜入撮影を可能としたものである。
【0083】なお、この第4の実施の形態は、この点のみが第3の実施の形態と異なるため、以下の第4の実施の形態の説明において第3の実施の形態と同じ動作を示す箇所には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0084】すなわち、この第4の実施の形態のX線診断装置は、図6(a)に示すように患者に対して垂直にX線を曝射するようにX線管3を支持しているX線管支柱4を、患者に対して斜めにX線が曝射されるように回転制御する回転制御機構を有している。
【0085】このような第4の実施の形態のX線診断装置は、オペレータが斜入撮影を行う際にX線の曝射角度を設定すると、回転制御機構が図6(a)の矢印で示すようにX線管支柱4(と共にX線管3)を回転制御する。
【0086】具体的には、このX線の曝射角度は、患者に対して垂直にX線を曝射する曝射角度を基準として、例えば±80度程度の曝射角度の設定が可能となっている。オペレータによりこの曝射角度が指定されると、前記回転制御機構はX線管支柱4を回転制御するのであるが、この際、昇降駆動部50の各昇降機構52は、図6(b)に示すようにこの曝射角度で曝射されるX線を略々垂直に検出するように固体平面検出器5を位置制御する。
【0087】これにより、斜入撮影を可能とすることができ、体の断層像を得ることができる。また、図6(a)に示すように患者に対して垂直にX線を曝射したときのX線のコーンビームの人体の中心における径がAの径であるのに対し、斜入撮影時にはX線のコーンビームが人体に対して斜めに曝射されることとなるため、図6(b)に示すように人体の中心における径を前記Aの径よりも大きなBの径とすることができ、このX線を固体平面検出器5で垂直に検出することにより、垂直にX線を曝射したときと同じ拡大率で視野を大きくとることができる他、上述の各実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0088】なお、この第4の実施の形態のX線CT装置においても、上述の第1の実施の形態のX線診断装置のように、寝台1を昇降制御することで拡大率を変更することができる。そして、このような寝台1の昇降制御、或いは前記固体平面検出器5,X線管3の昇降制御に対応して前記制御部によりX線絞り部7が開閉制御され被検体に対する被曝低減が図られることは勿論である。
【0089】最後に、上述の各実施の形態の説明では、固体平面検出器5の検出面は矩形状であることとしたが、これは、円形状等の任意の形状としてもよい。また、固体平面検出器5は、X線の線量に応じた電荷を蓄積しこれを読み出す電荷読出型であることとしたが、これは、X線の線量に応じた電圧を形成し、この電圧を読み出す電圧読出型としてもよい。また、患者を寝台1に載置して撮影を行うこととしたが、これは、患者を立位の状態で撮影を行うようにしてもよい。さらに、固体平面検出器5は、曝射されたX線を一旦可視光に変換し、この可視光の光量に応じた電荷をフォトダイオードに蓄積して読み出す、いわば間接変換型の固体平面検出器であることとしたが、これは曝射されたX線を可視光に変換することなく、直接的に電荷に変換する直接変換型の固体平面検出器を用いるようにしてもよい。
【0090】そして、上述の各実施の形態は本発明のほんの一例である。このため、本発明は、上述の各実施の形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0091】
【発明の効果】本発明に係るX線診断装置は、寝台の大幅な下降を可能とすることができる。このため、患者の寝台への乗り降りの容易化を図ることができる。また、X線発生手段と固体平面検出器との間に十分な距離をとることを可能とすることができ、当該距離が必要な胸部撮影等を容易に実施可能とすることができる。
【0092】また、寝台の昇降を行う既存の機構をそのまま用いて寝台の大幅な下降を可能とすることができるため、このための特別な新たな機構を設ける必要がなく、構成の簡略化及びローコスト化を図ることができる。
【0093】さらに、X線検出手段として固体平面検出器を用いているため、幾何学的,磁気的歪みのない表示画像を得ることができるうえ、この固体平面検出器のX線の検出面を矩形状とすることで、人体の観察に適した形状の表示画像を得ることができ、医師の治療計画等に大きく貢献することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成9年(1997)7月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外3名)
【公開番号】 特開平11−42222
【公開日】 平成11年(1999)2月16日
【出願番号】 特願平9−198966