| 【発明の名称】 |
体動検出方法及びその装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】眞鍋 一宏
【氏名】福井 美仁
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| 【要約】 |
【課題】(1)運動形態を判別でき、(2)運動に起因した体振動か、外来振動に起因した体振動かを識別でき、(3)運動形態の区別なく、安定して歩数の測定を行える。
【解決手段】水平面に平行な人体の前後方向乃至は水平面に平行な人体の前後方向より10度前後上向きな進行方向加速度の強度(XACT)と重力方向に概ね平行な上下方向加速度の強度(ZACT)とを算出し、XACTおよびZACTより加速度強度比率を算出し、平地歩行,平地走行,階段上昇,階段下降等の運動形態を判別する。また、XACTとZACTの分布から運動に起因した体振動か、外来振動に起因した体振動かを識別する。更に、進行方向加速度と上下方向加速度で独立に歩数を測定し、平地歩行時は進行方向加速度による歩数を、平地歩行以外は上下方向加速度による歩数を選択する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人体に装着、あるいは植え込まれた互いに直交する2軸もしくは3軸の加速度を独立に検出可能な加速度センシング手段と、前記加速度センシング手段の出力を人体の進行方向加速度及び上下方向加速度に変換する座標変換手段と、前記座標変換手段の出力から前記人体の進行方向加速度の強度と上下方向加速度の強度とを算出する加速度強度算出手段と、前記2方向の加速度の強度から前記人体の運動形態を判別する運動形態判別手段とを備えることを特徴とする体動検出装置。 【請求項2】 前記運動形態判別手段は、前記進行方向加速度の強度と上下方向加速度の強度とから加速度強度比率を算出する手段と、前記進行方向加速度の強度と上下方向加速度の強度と前記加速度強度比率とから運動の形態を判別する手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の体動検出装置。 【請求項3】 前記運動の形態を判別する手段は、平地歩行と平地歩行以外とを判別する第1処理手段と、平地歩行以外を更に平地走行、階段上昇、階段下降に判別する第2処理手段とを備えることを特徴とする請求項2に記載の体動検出装置。 【請求項4】 前記座標変換手段の出力から前記人体の進行方向加速度と上下方向加速度とで独立に歩数を算出する歩数算出手段と、前記第1処理手段の判別結果に基づいて、前記歩数算出手段の2つの歩数のどちらか一方を選択する歩数選択手段とを更に備えることを特徴とする請求項3に記載の体動検出装置。 【請求項5】 前記2方向の加速度の強度から運動による体動か外来振動による体動かを判断する外来振動識別手段を更に備えることを特徴とする請求項1または4に記載の体動検出装置。 【請求項6】 人体に装着、あるいは植え込まれた互いに直交する2軸もしくは3軸の加速度を独立に検出可能な加速度センシング手段と、前記加速度センシング手段の出力を人体の進行方向加速度及び上下方向加速度に変換する座標変換手段と、前記座標変換手段の出力から前記人体の進行方向加速度の強度と上下方向加速度の強度とを算出する加速度強度算出手段と、前記2方向の加速度の強度から運動による体動か外来振動による体動かを判断する外来振動識別手段とを備えることを特徴とする体動検出装置。 【請求項7】 前記2方向の加速度の強度から前記人体の運動形態が平地歩行か平地歩行以外かを判別する運動形態判別手段と、前記座標変換手段の出力から前記人体の進行方向加速度と上下方向加速度とで独立に歩数を算出する歩数算出手段と、前記運動形態判別手段の判別結果に基づいて、前記歩数算出手段の2つの歩数のどちらか一方を選択する歩数選択手段とを更に備えることを特徴とする請求項6に記載の体動検出装置。 【請求項8】 人体に装着、あるいは植え込まれた互いに直交する2軸もしくは3軸の加速度を独立に検出可能な加速度センシング手段と、前記加速度センシング手段の出力を人体の進行方向加速度及び上下方向加速度に変換する座標変換手段と、前記座標変換手段の出力から前記人体の進行方向速度の強度と上下方向加速度の強度とを算出する加速度強度算出手段と、前記2方向の加速度の強度から前記人体の運動形態を判別する運動形態判別手段と、前記座標変換手段の出力から前記人体の進行方向加速度と上下方向加速度とで独立に歩数を算出する歩数算出手段と、前記運動形態判別手段の判別結果に基づいて、前記歩数算出手段の2つの歩数のどちらか一方を選択する歩数選択手段とを備えることを特徴とする体動検出装置。 【請求項9】 前記運動形態判別手段は、前記進行方向加速度の強度と上下方向加速度の強度とから加速度強度比率を算出する手段と、前記進行方向加速度の強度と上下方向加速度の強度と前記加速度強度比率とから運動の形態が平地歩行か平地歩行以外かを判別する手段とを備えることを特徴とする請求項8に記載の体動検出装置。 【請求項10】 前記歩数選択手段は、運動の形態が平地歩行であると判別されたならば進行方向加速度を用いた歩数算出手段で測定される歩数を選択し、運動の形態が平地歩行以外であると判別されたならば上下方向加速度を用いた歩数算出手段で測定される歩数を選択することを特徴とする請求項4または7または8に記載の体動検出装置。 【請求項11】 前記歩数算出手段は、ある一定時間あたりの歩数を測定する手段と単位時間あたりの歩数を算出する手段とのいずれか、又はその両方を備えることを特徴とする請求項4または7または8に記載の体動検出装置。 【請求項12】 前記一定時間あたりの歩数を測定する手段は、加速度の強弱から歩行が行われたかどうかを判断する歩行判断手段と、ある一定時間内の歩数を測定する歩数計数手段とを備えることを特徴とする請求項11に記載の体動検出装置。 【請求項13】 前記単位時間あたりの歩数を算出する手段は、前記一定時間あたりの歩数を測定する手段と、一定時間内の最初の歩行検出と最後の歩行検出の間の時間間隔を測定する歩行時間測定手段と、{(一定時間あたりの歩数)−1)}/(最初の歩行検出と最後の歩行検出の間の時間間隔)を算出する単位時間あたり歩数換算手段とを備えることを特徴とする請求項11に記載の体動検出装置。 【請求項14】 前記歩行判断手段は、歩行を検出した後の所定時間内に再度歩行が検出されても、歩数に含めない機能を有することを特徴とする請求項12に記載の体動検出装置。 【請求項15】 前記進行方向加速度は水平面に平行な人体の前後方向乃至は水平面に平行な人体の前後方向より10度前後上向きの加速度であることを特徴とする請求項1または6または8に記載の体動検出装置。 【請求項16】 前記加速度強度算出手段は、加速度を検波、あるいは絶対値化、あるいは2乗する第1処理手段と、その処理出力の一定時間の平均値、あるいは積分値、あるいは加算値を算出する第2処理手段とからなることを特徴とする請求項1または6または8に記載の体動検出装置。 【請求項17】 人体に装着、あるいは植え込まれた加速度センサにより、互いに直交する2軸もしくは3軸の加速度を独立に検出し、前記検出された加速度を人体の進行方向加速度及び上下方向加速度に変換し、前記人体の進行方向加速度と上下方向加速度から人体の進行方向加速度の強度と上下方向加速度の強度とを算出し、前記2方向の加速度の強度の分布から前記人体の運動形態を判別することを特徴とする体動検出方法。 【請求項18】 前記2方向の加速度の強度の分布から運動による体動か外来振動による体動かを判断する行程を更に備えることを特徴とする請求項17に記載の体動検出方法。 【請求項19】 前記運動形態判別結果により、前記人体の進行方向加速度と上下方向加速度とで独立に算出された2つの歩数のどちらか一方を選択する工程を更に備えることを特徴とする請求項17または18に記載の体動検出方法。 【請求項20】 人体に装着、あるいは植え込まれた体動検出機能を果す手段を有する装置であって、前記体動検出機能を果す手段が、互いに直交する2軸もしくは3軸の加速度を独立に検出可能な加速度センシング手段と、前記加速度センシング手段の出力を人体の進行方向加速度及び上下方向加速度に変換する座標変換手段と、前記座標変換手段の出力から前記人体の進行方向加速度の強度と上下方向加速度の強度とを算出する加速度強度算出手段と、前記2方向の加速度の強度から前記人体の運動形態を判別する運動形態判別手段とを備えることを特徴とする装置。 【請求項21】 前記体動検出機能を果す手段が、前記2方向の加速度の強度から運動による体動か外来振動による体動かを判断する外来振動識別手段を更に備えることを特徴とする請求項20に記載の装置。 【請求項22】 前記体動検出機能を果す手段が、前記座標変換手段の出力から前記人体の進行方向加速度と上下方向加速度とで独立に歩数を算出する歩数算出手段と、前記運動形態判別手段の判別結果に基づいて、前記歩数算出手段の2つの歩数のどちらか一方を選択する歩数選択手段とを更に備えることを特徴とする請求項20または21に記載の装置。 【請求項23】 前記装置は、代謝量(あるいは消費カロリー)が計算可能な万歩計、心臓刺激頻度の制御が可能な心臓ペースメーカー、あるいは拍出量の制御が可能な人工心臓を含むことを特徴とする請求項20または21または22に記載の装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は体動検出方法及びその装置、例えば万歩計の消費カロリー計算の指標とする体振動の検出、あるいは心臓ペースメーカーの心臓刺激頻度の制御や人工心臓の拍出量の制御の指標とする体振動の検出において利用される体動検出方法及びその装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来から、運動時における代謝量(あるいは消費カロリー)の簡便な測定手段として、運動に伴う体振動が用いられてきた。体振動からは、下肢の運動に伴う、足が地面を蹴りそして着地するといった動作が検出され、この検出された回数が運動時における歩数として、代謝量(あるいは消費カロリー)を示す指標とされてきた。また体振動を一定時間積分した量が、同様に代謝量(あるいは消費カロリー)を示す指標とされてきた。 【0003】体振動を検出するセンサーとしては、体振動に伴って、重りがある空間を往復運動することによって起こる、重りに接続された機械的スイッチの動作を検出するもの、磁石がある空間を往復運動することによって生ずる磁界変化を検出するもの、 電気的接点が配置された容器内に封入された水銀が移動することによって、その接触を検出するもの、 圧電素子の変形による電圧変化を検出するもの、 ピエゾ抵抗素子の変形による抵抗変化を検出するもの、等が一般的である。これらの体動検出センサーを利用したものとして、 例えば、万歩計と心臓ペースメーカーとが挙げられる。 【0004】万歩計は、運動管理やカロリー管理に用いられ、歩数をカウントし、この歩数に基づいて予め定められた計算式に従って代謝量(あるいは消費カロリー)が計算される。万歩計では上下方向の振動をセンサーによって検出し、 その検出回数を歩数としてカウントする構造のものが一般的である。心臓ペースメーカーは、心臓の機能不全や刺激伝導系障害を有する患者に用いられ、 一定時間心臓活動が起こらない場合に、心臓に電気刺激を行って心臓活動を補うものである。過去においては、電気刺激を行う頻度が一定に固定されていたために、患者の運動が制限される場合があった。これに対して昨今は、患者の代謝要求をセンサーによって検出し、 自動的に刺激頻度を調整するペースメーカーが開発されており、この種のペースメーカーにおいては、体振動を代謝要求の指標として利用したものが最も多い。 【0005】体振動として歩数を利用したものでは、 患者の前後方向、あるいは上下方向のどちらか一方の振動をセンサーによって検出し、 そのセンサー信号をフィルタ処理した後にある閾値と比較し、 その閾値を越えた回数を一定時間カウントすることによって、一種の歩行速度を求め、 これによって刺激頻度を調節するものがある。また、体振動として一定時間の積分量を利用したものでは、 前後方向、あるいは上下方向のどちらか一方の振動をセンサーによって検出し、 そのセンサー信号をフィルタ処理した後に、積分を行うものである。 【0006】 【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、体振動として歩数を利用した際には、 同じ歩行速度ならば、平地,階段昇り,階段降り,坂道昇り,坂道下りといったように歩行の状態が異なっている場合においてもその区別はできず、全て同レベルの運動として認識されることになる。従って、例えば平地と階段昇りを比較した場合には明らかに階段昇りの方が代謝量(あるいは消費カロリー)は大きく、 歩数のみの判断では運動の状態に合った代謝量(あるいは消費カロリー)の指標とはなり得ない。 【0007】又、体振動として一定時間の積分量を利用した際には、 同じ歩行速度であっても階段昇降時の前後方向の体振動は水平歩行時のそれと比較して小さく、 また階段昇降時の上下方向の体振動は水平方向のそれと比較して大きい。従って、体振動の一定時間積分量は、前後方向において水平歩行に比較して階段昇降時が小さい。また、上下方向では水平歩行に比較して階段昇降時が大きくなるが、階段昇降では階段降りの方が階段昇りよりも大きくなってしまい、実際の代謝レベルの応答とは異なって、 やはり体振動の一軸方向の一定時間積分量のみの判断では、運動の状態に合った代謝量(あるいは消費カロリー)の指標とはなり得ない。 【0008】歩数や一軸方向の一定時間積分量を刺激頻度調整の指標として採用しているペースメーカーにおいては、階段上昇時に十分な刺激頻度の増加が得られなかったとの報告がある。又、運動時の代謝量(あるいは消費カロリー)の指標として体振動を利用する際には、運動に起因した振動と、バス,自動車,電車等に乗車することによって生じた振動、即ち外来振動とを区別し、外来振動の影響を除去する必要がある。外来振動の影響を除去するために、 体振動として歩数を利用したものではセンサーの閾値を高く設定し、 体振動として一定時間の積分量を利用したものではある閾値を設定してそれ以上の成分のみの積分を行うことが一般的である。しかしながら、いずれの場合も外来振動が設定した閾値を越えることが多く、 外来振動の影響を除去することは難しい。また特に、体振動の一定時間積分を利用する際に、外来振動除去を目的として閾値を高く設定することは、運動時において指標とする代謝量(あるいは消費カロリー)を小さく見積もってしまう可能性がある。これらの手法を採用しているペースメーカーにおいては、バス,自動車といった交通手段の利用によって運動とは無関係なペースメーカーの刺激頻度の増加が報告されている。 【0009】又、万歩計における上下方向の振動検出による歩数測定では、平地をゆっくりと歩行した場合に上下方向の振動が小さく、検出精度が劣る。ペースメーカーにおける前後方向の振動検出による歩数測定では、階段上昇や階段下降時のように進行方向の振動が小さい場合に、検出精度が劣る。すなわち、平地歩行,平地走行,階段上昇,階段下降等は運動形態も異なり、同じ歩行速度であっても代謝量(あるいは消費カロリー)が異なる。よって、体振動(歩数,体動信号の積分値等)と代謝量(あるいは消費カロリー)との相関性を平地歩行に合わせた場合、平地走行,階段上昇,階段下降時には相関しない。また、バス,自動車,電車等の乗り物に乗車した場合の外来振動による体振動を、運動に起因した体振動と誤認識してしまう。更に、進行方向の振動で歩数を測定する場合、階段上昇,階段下降時に精度良く歩数を測定することができず、また上下方向の振動で歩数を測定する場合、ゆっくりした平地歩行時に精度良く歩数を測定することができない。 【0010】本発明は、上記課題を解決するために、(1)平地歩行,平地走行,階段上昇,階段下降等の運動形態を判別でき、(2)運動に起因した体振動か、外来振動に起因した体振動かを識別でき、(3)平地歩行,平地走行,階段上昇,階段下降等の運動形態の区別なく、安定して歩数の測定を行える体動検出方法及びその装置を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明においては、互いに直交する2軸もしくは3軸の加速度から、水平面に平行な人体の前後方向乃至は水平面に平行な人体の前後方向より10度前後上向きの方向である進行方向加速度の強度(XACT)と重力方向と概ね平行な上下方向加速度の強度(ZACT)とを算出し、XACTおよびZACTより加速度強度比率を算出し、XACTとZACTもしくは加速度強度比率の分布から平地歩行,平地走行,階段上昇,階段下降等の運動形態を判別する。また、XACTとZACTの分布から運動に起因した体振動か、外来振動に起因した体振動かを識別する。更に、進行方向加速度と上下方向加速度で独立に歩数(ある一定時間内の歩数、あるいは単位時間あたりの歩数、あるいはその両方)を測定し、運動形態が平地歩行か平地歩行以外かにより、平地歩行時は進行方向加速度による歩数を、平地歩行以外は上下方向加速度による歩数を選択する。 【0012】 【発明の実施の形態】以下に、ペースメーカーの刺激頻度の制御指標として体振動を用いた場合の例に従って、体動検出装置の実施の形態を詳細に説明する。尚、本発明の体動検出方法及びその装置はペースメーカーへの適用に限定されず、特に人体の振動を利用するあらゆる機器に適用され、同様の効果を奏するものである。 【0013】図1は、本実施の形態の体動検出装置の構成例である。本実施の形態の体動検出装置は複数の加速度センサーを有する加速度センシング部(1)と、加速度センシング部(1)より出力される加速度情報から、進行方向加速度と上下方向加速度とを算出する座標変換部(49)と、座標変換部(49)より出力される進行方向加速度と上下方向加速度とから進行方向加速度の強度と上下方向加速度の強度とを算出する加速度強度算出部(2)と、座標変換部(49)より出力される進行方向加速度と上下方向加速度とから、歩数を測定する歩数測定部(3)と、加速度強度算出部(2)より出力される加速度強度から運動形態を判別する運動形態判別部(46)と、加速度強度算出部(2)より出力される加速度強度から運動に起因する体動か外来振動に起因する体動かを識別する外来振動識別部(47)と、運動形態判別部(46)より出力される運動形態(平地歩行、平地歩行以外)と歩数測定部(3)より出力されるいくつかの歩数とから、適切な歩数を選択する歩数情報選択部(45)と、加速度センシング部(1)より出力される加速度波形を処理し、角度補正係数を算出する角度補正係数算出部(48)とを有している。特に、座標変換部(49)と加速度強度算出部(2)と歩数測定部(3)には動作アルゴリズムが図示されている。尚、これら動作アルゴリズム、及び運動形態判別部(46)、及び外来振動識別部(47)、及び歩数情報選択部(45)、及び角度補正係数算出部(48)の処理は、ハードウエアで構成されても、ソフトウエアによりマイクロプロセッサで実行されても、ハードウエアとソフトウエアとを組み合わせた構成を取っても良い。一般的に、ハードウエアは変更の少ない高速処理部分で使用され、ソフトウエアは融通性が必要な処理部分で使用される。又、加速度センシング部(1)以外は共通のマイクロプロセッサで処理されてもよいし、平行処理が必要な場合には複数のマイクロプロセッサの平行処理で実現してもよい。更に、上記マイクロプロセッサはペースメーカーの動作を制御するマイクロプロセッサを共用するものでもよい。 【0014】加速度センサーを含む加速度センシング部(1)では3軸の加速度を測定し、直流成分を含んだ値を座標変換部(49)に入力する。加速度センサーはペースメーカー内部に固定されており、この時のセンサーX軸はペースメーカーケース平面と垂直な向き、すなわち植え込み時に身体の前後方向を向くように設定する。入力レンジは任意であるが、本実施の形態ではX軸が±1.5G、Y,Z軸が±3Gとした。発明者によるデータの分析によれば、進行方向の加速度と上下方向の加速度との交流成分の振幅の絶対値の比は、平地歩行,階段上昇,下降時において概ね約1対2であった。従って、X軸のレンジをY,Z軸のレンジの1/2とし、X軸加速度の精度を向上させた。 【0015】次にバンドパスフィルタ(4,5,6)で、重力加速度と高周波振動とを除去する。バンドパスフィルタの帯域は、重力加速度と高周波振動とを除去するという目的が達成されれば任意である。しかし、発明者によるデータの分析によれば、運動による体動の周波数は歩行,走行周期の逆数の2倍として現れ、速い走行時は6Hz 以上の周波数帯域を持つことがわかっている。従って、運動による体動の高周波成分を除去しないように、高周波のカットオフ周波数は10Hzとした。低周波のカットオフ周波数は重力加速度を除去することと、60歩/ 分程度の遅い歩行の体動を除去しないことを考慮し0.5Hz とした。バンドパスフィルタ(4,5,6)を通ったX,Y,Z軸の加速度をAx,Ay,Azとする。 【0016】万歩計で用いられる体動検出装置のように、体表に装着することが可能な場合は直交する2方向の加速度の測定が可能な加速度センシング部を用い、これら2軸を水平面に平行な人体の前後方向乃至は水平面に平行な人体の前後方向より10度前後上向きの方向と重力方向と概ね平行な方向とに設定することで、進行方向加速度の強度(XACT)と上下方向加速度の強度(ZACT)とが測定可能である。しかし、ペースメーカーで用いられる体動検出装置のように人体に植え込まれる場合は、加速度の検出方向が進行方向,上下方向と一致しないため、そのずれを補正する座標変換機能が必要である。 【0017】座標変換部(49)における進行方向加速度と上下方向加速度との算出は、以下の(1式) ,(2式) に示すように、3軸の加速度のそれぞれに角度補正係数Kx1(7),Ky1 (8),Kz1 (9),Kx2(10),Ky2(11),Kz2(12)を乗算器(13,14,15,16,17,18)で乗算して、3軸の加速度のそれぞれの進行方向成分と上下方向成分とを算出し、加算器(19,20)で3軸の成分を加算することで行う。 【0018】 進行方向加速度: AxX=Kx1 ×Ax + Ky1×Ay + Kz1×Az (1式) 上下方向加速度: AzZ=Kx2 ×Ax + Ky2×Ay + Kz2×Az (2式) 角度補正係数Kx1 〜Kz2 の算出は角度補正係数算出部(48)で行う。まず、Kx1 〜Kz2 の算出に必要なペースメーカーの仰角とずれ角は、定期検診時に、X,Y,Z軸のそれぞれのフィルタ処理を行う前の加速度信号をテレメトリでペースメーカー内より読み出し、外部でその直流成分を測定するか、もしくは所定の時間毎にX,Y,Z軸のそれぞれのフィルタ処理を行う前の加速度信号の直流成分を測定することで、以下の(3式) ,(4式) ,(5式) に従って算出する。ここで、ペースメーカーの仰角とずれ角を説明するために、軸を図10に示すように定義する。(水平面に平行な人体の前後方向をXo軸、水平面に平行な人体の横方向をYo軸、重力方向をZo軸、加速度センサのX,Y,Z軸をそれぞれXs,Ys,Zsとする。)まずペースメーカーの仰角とは、ペースメーカーの一般的な植え込み部である鎖骨下の体表面と重力方向との間の角度であり、言い換えればXs軸とXo軸との間の角度である。また、ペースメーカーのずれ角とは、Ys軸とYo軸との間の角度であり、Zs軸とZo軸との間の角度である。その角度を使用し、Kx1 〜Kz2 は、定期検診時に、もしくは所定の時間毎に、(6式) ,(7式) ,(8式) ,(9式) ,(10 式) ,(11 式) にのように算出する。この時ペースメーカーの仰角φは、測定値乃至は測定値より10度前後小さな値とすることで、進行方向加速度は水平面に平行な人体の前後方向乃至は水平面に平行な人体の前後方向より10度前後上向きの方向となる。なおXo−Yo平面におけるXo軸とXs軸の間の角度(Ys軸とYo軸との間の角度)の影響はペースメーカーを腋下に植え込むようなことがない限り小さいので、本実施の形態では無視した。ただしXo−Yo平面におけるXo軸とXs軸の間の角度のずれも考慮した進行方向加速度と上下方向加速度の算出も可能である。 【0019】 ペースメーカーの仰角:φ=sin-1{ センサーX軸加速度の直流成分/重力加速度} (3式) ペースメーカーのずれ角:θ=sin-1{センサーY 軸加速度の直流成分/( 重力加速度×cos φ)} (4式) θ=cos-1{センサーZ軸加速度の直流成分/( 重力加速度×cos φ)} (5式) 角度補正係数: Kx1 = K/2 ×cos φ (6式) Ky1 = −K ×sin φ×sin θ (7式) Kz1 = −K ×sin φ×cos θ (8式) Kx2 = K/4 ×sin φ (9式) Ky2 = K/2 ×cos φ×sin θ (10 式) Kz2 = K/2 ×cos φ×cos θ (11 式) 加速度センシング部のX軸とY,Z軸の入力ダイナミックレンジの違いを考慮し、角度補正係数Kx1 ,Kx2 は1 /2した。また、進行方向加速度と上下方向加速度とでは加速度強度を算出した時に、同じ振幅でも進行方向より上下方向の方が加速度強度が大きいという性質を考慮し、角度補正係数Kx2 ,Ky2 ,Kz2 は1/2した。従って、角度補正係数Kx2 は1/4となっている。角度補正係数Kx1〜Kz2 内の係数Kは加速度強度の最大値を調整するための任意の係数で、患者の体格や活動状況に応じて調整されるものである。次に、進行方向加速度と上下方向加速度を2乗(あるいは絶対値化、あるいは検波)して、その処理出力の一定時間の平均値(あるいは積分値、あるいは加算値)を算出して、加速度強度とする。本実施の形態では、進行方向加速度と上下方向加速度とを乗算器(21,22)で2乗し、ローパスフィルタ(23,24)で過去4秒間の平均値を算出する。更に、クリップ器(25,26)によりクリップし、走行時等の大きな加速度を処理した場合のオーバーフローを防止し、進行方向加速度強度(XACT),上下方向加速度強度(ZACT)を算出する。 【0020】次に、歩数測定部(3)のアルゴリズムを説明する。歩数は進行方向加速度と上下方向加速度とでそれぞれ独立に測定する。上下方向加速度においては、上方向加速度成分あるいは下方向加速度成分のいずれの成分からも歩数の測定が可能なように、加算器(20)の出力である上下方向加速度にKneg(27)、値は1か−1、を乗算器(28)で乗算し、正負反転可能とする。以下の説明では、図2の歩数測定の様子を参照されたい。 【0021】まず、進行方向と上下方向の加速度信号と閾値 sthX ,sthZ(29,30)をコンパレータ(31,32)で比較し、加速度信号が閾値よりも大となった時に信号を発生する。そのコンパレータ信号に同期してパルス発生器(33,34)にて300ms 幅のノントリガーのパルスを発生する。ノントリガー機能は、300ms 以内に再度コンパレータ信号が来てもパルスを発生せず、一歩あたり2つのピークが現れる歩行に対処するために付加した。尚、300ms 幅のノントリガーのパルスを発生する手段は、コンパレータ信号を検出後、経過時間を測定する手段を設け、経過時間が300ms 以内に再度コンパレータ信号を検出してもコンパレータ信号を検出しないようなソフト的な手段に置き換え可能である。 【0022】次に、所定時間(本実施の形態では4秒間)毎に現れたパルスの数をカウンタ(35,36)でカウントしXWS ,ZWS (一定時間あたりの歩数)とする。また、所定時間の最初のパルスの立ち上がりから次のパルスの立ち上がりまでの時間をカウンタ(37,38)でカウントし、加算器(39,40)で加算しながらレジスタ(41,42)に記録し、更に次のパルスまでの時間をカウントしてレジスタ(41,42)に加算し、最終的には4秒間内の最後のパルスまでの時間を加算し、レジスタ(41,42)の値をXWTM,ZWTM(歩行時間)とし、レジスタ(41,42)、カウンタ(37,38)の値をリセットする。最後に除算器(43,44)で{XWS (一定時間あたりの歩数)−1}/XWTM(歩行時間)、{ZWS (一定時間あたりの歩数)−1}/ZWTM(歩行時間)を算出し、単位時間当たりの歩数とする。図2では、4秒あたりの歩数が5、歩行時間がt1+t2+t3+t4、単位時間あたりのは歩数は{4/(t1+t2+t3+t4)}となる。尚、以上の手段はハード的に構築した場合であるが、ソフト的な手段に置き換え可能である。 【0023】表1に発明者が収集した歩行の速さを変えた平地歩行,平地走行,階段上昇,階段下降時のXACT,ZACT,ZACT/XACTの平均値,最大値,最小値を表す。 【0024】 【表1】
【0025】この表をグラフ化したものが図3である。図3を元に構築した運動形態判別部(46)での運動形態判別のアルゴリズムを図4に示す。尚、図4のアルゴリズムはハードウエアによっても実現可能である。 【0026】運動形態判別では、XACT(単位は1.07×10-4G2),ZACT(単位は8.5×10-4G2)を入力し(S45) 、ZACT/XACTを算出して加速度強度比率とする(S46) 。最初に、XACTが100 以下かどうかを判断する(S47) 。もし真なら、次にZACT/XACTが5以下かどうかを判断し(S48) 、真なら運動形態は平地歩行とする(S49) 。偽なら運動形態は平地歩行以外であり、更にZACT/XACTが20以上かどうかを判断し(S50) 、真なら運動形態は階段下降とし(S51) 、偽なら階段上昇とする(S52) 。 【0027】前記比較(S47) でXACTが100 以下かどうかを判断した結果が偽なら、ZACTが200 以下かどうかを判断し(S53) 、真なら運動形態は平地歩行とし(S54) 、偽なら平地歩行外の平地走行とする(S55) 。また、表2に発明者が収集したバス,自動車,電車乗車時のXACT,ZACTの平均値,最大値を表す。 【0028】 【表2】
【0029】表1と表2をグラフ化したものが図5である。図5を元に構築した外来振動識別部(47)での外来振動識別のアルゴリズムを図6に示す。尚、図6のアルゴリズムはハードウエアによっても実現可能である。 【0030】まず、XACT(単位は1.07×10-4G2)とZACT(単位は8.5×10-4G2)を入力し(S61) 、XACTが30以下かどうかを判断する(S62) 。偽なら運動による体動とする(S63) 。もし真なら、更にZACTが15以下かどうかを判断し(S64) 、真なら外来振動による体動とし(S65) 、偽なら運動による体動とする(S66) 。図7に、歩数情報選択部(45)での運動形態による歩数情報選択のアルゴリズムを示す。尚、図7のアルゴリズムはハードウエアによっても実現可能である。 【0031】運動形態と歩数情報とを入力し(S71) 、運動形態が平地歩行か平地歩行以外かを判断する(S72) 。もし平地歩行なら進行方向加速度による歩数を選択する(S73) 。平地歩行以外なら上下方向加速度による歩数を選択する(S74) 。尚、ここで入力される運動形態は、前記図4のステップS48及びS53でのYES/NOに対応した情報の使用が考えられるが、これに限定されず他の平地歩行か平地歩行以外かの判別結果であってもよい。図8は、本実施の形態の体動検出手順を組み込んだペースメーカーの構成例を示す図である。図8には、体動検出手順をソフトウエアで組み込んだ例を示すが、一部及び全体をハードウエアで構成しても良いことは先に示した通りである。又、図8の多くの部分は集積されたICチップでの実現が可能である。 【0032】81はペースメーカー全体の動作を制御するCPU、82はCPU81の処理手順を格納するROMであり、処理手順としては体動検出プログラム82aやペースメーカーの駆動制御プログラム82bが格納されている。83は補助記憶用のRAMであり、体動検出プログラム82aの実行で検出された運動形態情報83aや歩数情報83b及び角度補正係数等の定数が記憶されて、ペースメーカーの駆動制御に利用される。84は種々の外部情報を入力する入力インタフェースであり、例えば利用者の心拍等を検出するパルス検知部84aや加速度検出部84bからの情報をインタフェースする。85は種々の情報を外部出力する出力インタフェースであり、例えば心臓への駆動パルスを出力するパルス発生部85aが接続される。86は電源である。 【0033】図9に図8のペースメーカーの概略動作手順を示す。ここでは、ペースメーカー自体の詳細な制御手順は省かれている。図9の動作手順では、ペースメーカーが本実施の形態で開示した全ての機能を有した例を記載しているが、1つの独立した機能を有するものでも、いずれかの複数の機能を組み合わせたものでも、本願発明の目的を達成し得るものである。加速度検出部84b等から外部情報を入力し(S91) 、外部からの加速度情報を基に利用者の運動か外来振動かを判定する(S92;図6参照)。外来振動の場合はペースメーカーの出力は変化させない(S93) 。運動の場合は、進行方向加速度の強度及び上下方向加速度を算出し(S94)、強度運動形態を判定し(S95;図4参照)、歩数出力を選択し(S96;図7を参照) 、運動形態と進行方向加速度の強度と歩数の情報とに基づいてペースメーカーの出力制御を行う(S97) 。 【0034】 【実施例】表3に平地歩行時の進行方向加速度による歩数測定結果を、表4に平地走行,階段上昇,階段下降時の上下方向加速度による歩数測定結果を示す。最大標準偏差±2.3歩/ 分で歩数の測定が可能であった。 【0035】 【表3】
【0036】 【表4】
【0037】前出の表2に併せて外来振動の誤検出結果が示されている。自動車,電車に乗車時は誤検出率0%、バス乗車時は誤検出率0.7%であった。この結果より明らかなように、本実施の形態の外来振動除去法を使用すれば、自動車,電車に乗車しても外来振動の影響は受けず、バスに乗車しても外来振動の影響は10分間に1回程度まで抑えられる。 【0038】尚、本発明の体動検出方法及びその装置はペースメーカーへの適用に限定されず、特に人体の振動を利用するあらゆる機器に適用され、同様の効果を奏することは明らかである。 【0039】 【発明の効果】本発明により、(1)平地歩行,平地走行,階段上昇,階段下降等の運動形態を判別でき、(2)運動に起因した体振動か、外来振動に起因した体振動かを識別でき、(3)平地歩行,平地走行,階段上昇,階段下降等の運動形態の区別なく、安定して歩数の測定を行える体動検出方法及びその装置を提供できる。 【0040】すなわち、進行方向加速度の強度と上下方向加速度の強度もしくは加速度強度比率の分布から、平地歩行,平地走行,階段上昇,階段下降等の運動形態を判別することにより、平地歩行,平地走行,階段上昇,階段下降等の運動形態別に、代謝量(あるいは消費カロリー)を示す指標を算出することが可能となる。また、進行方向加速度の強度と上下方向加速度の強度の分布で運動に起因した体振動か、外来振動に起因した体振動かを判断する。すなわち、バス,自動車,電車等の乗り物に乗車し、その外来振動により体振動(歩数や体動信号の積分値等)を誤検出してしまっても、外来振動と判断すれば体振動(歩数や体動信号の積分値等)を0と見なすことができ、外来振動の影響を除去できる。 【0041】更に、進行方向加速度の強度と上下方向加速度の強度もしくは加速度強度比率の分布から、運動形態を平地歩行か、平地歩行以外かを判断する。そして、運動形態が平地歩行と判断されれば、進行方向加速度による歩数を選択し、平地歩行以外と判断されれば、上下方向加速度による歩数を選択する。この方法により、平地歩行,平地走行,階段上昇,階段下降等の区別なく安定して歩数が測定できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】592132741 【氏名又は名称】株式会社カージオペーシングリサーチ・ラボラトリー
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)4月17日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】大塚 康徳 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−42220 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)2月16日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−100306 |
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