| 【発明の名称】 |
内視鏡可撓管 |
| 【発明者】 |
【氏名】小漉 滋
【氏名】古海 聡
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| 【要約】 |
【課題】外皮の表面に皺が無く、可撓性が均一で、捻回追従性に富み、捩れを生じにくく、かつ素材の柔軟性が保たれ、体腔内への挿入性及び耐久性を向上させた内視鏡可撓管を提供することにある。
【解決手段】螺旋管2の外周に網状管4を被嵌した可撓管素材4の外周に、熱可塑性弾性体の外皮6を被覆した内視鏡可撓管において、無機物と有機物の両方に密着する機能を持つシラン系・チタネート系・アルミニウム系・ジルコニウム系等のカップリング剤5を仲立ちとして、前記可撓管素材4と前記外皮6とを密着形成したことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 螺旋管の外周に網状管を被嵌した可撓管素材の外周に、熱可塑性弾性体の外皮を被覆した内視鏡可撓管において、無機物と有機物の両方に密着する機能を持つシラン系・チタネート系・アルミニウム系・ジルコニウム系等のカップリング剤を仲立ちとして前記可撓管素材と前記外皮とを密着形成したことを特徴とする内視鏡可撓管。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、螺旋管の外周に網状管を被嵌した可撓管素材の外周に、熱可塑性弾性体の外皮を被覆した内視鏡可撓管に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に内視鏡可撓管は、条帯を螺旋状に巻いて形成された螺旋管の外周に金属細線を含む素線を編組して形成した網状管を被せた可撓管素材に、合成樹脂の外皮を被覆して形成されている。 【0003】この種の内視鏡可撓管は、特公昭63−24380号公報、特公平3−29406号公報及び特開平8−122656号公報等で知られており、可撓管素材に、合成樹脂の外皮を被覆する外皮の被覆方法としては、(a)可撓管素材に対し、予め成形された合成樹脂のチューブを被覆したものがある。 【0004】(b)可撓管素材に対し、熱可塑性弾性体を直接被覆して成形したものがある。 (c)可撓管素材に接着剤を塗布した上から熱可塑性弾性体を押し出し成形により密着被覆する方法がある。 【0005】(d)可撓性を有する可撓管素材の外周面に、熱可塑性チューブを外装した後に、軸線を回転中心として回転させながらチューブの軟化点温度以上に加熱して、チューブを可撓管素材と一体化させ被覆層としたものがある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した従来例のうち、(a)は、可撓管素材と合成樹脂チューブとの密着力が弱いために、体腔内に挿入した際に可撓管の屈曲によって外表面に皺を生じやすいばかりでなく、体腔内挿入時の圧縮力に対して弱いという欠点があった。また回転追従性が劣るために外周部が捩れを生じやすく、一旦捩れを生じると、外チューブが体腔内壁や皺の間に引掛り、挿入時に患者に苦痛を与え、円滑な挿入操作を妨げる等の問題があった。 【0007】(b)は、可撓管素材に熱可塑性弾性体を強固に密着させようとすると、熱可塑性弾性素材が可撓管素材の隙間に浸透し、浸透素材が可撓管の内面にまではみ出しやすく、その結果熱可塑性素材が浸透した部分と浸透しない部分とでむらを生じることとなり、その結果中心軸線に対し外皮の肉厚が不均衡になって、これが撓曲時に一様であるべき可撓性に悪影響を及ぼすといった問題をおこしていた。 【0008】(c)は、接着剤の塗布工程及びそれに付随する前後の複雑な工程を伴い作業が複雑になっていた。また、接着剤を可撓管素材に塗布したときに接着剤が可撓管素材の隙間に浸透し、浸透素材が可撓管の内面にまではみ出しやすく、その結果接着剤が浸透した部分と浸透しない部分とでむらを生じることとなり、(b)と同様の問題を生じていた。 【0009】(d)は、熱可塑性チューブの軟化点温度以上に加熱した際に熱可塑性チューブ全体が加熱されるので、熱可塑性チューブがその内周面のみにとどまらず外周面までも溶融してしまう問題があった。そのため、加熱中の熱可塑性チューブが重力方向に垂れ下がり、この熱可塑性チューブの外周面に皺が発生したり、溶融樹脂材料をチューブの内周面側へ押し込む方向に加圧され、可撓管素材の内周面へのしみこみにつながる恐れがあり、均一な可撓性が得られなくなったり、設計通りの内径寸法を確保できなくなる危険性があった。さらに、加熱時に可撓管素材および熱可塑性チューブを回転させる方法では熱可塑性チューブの外周面側から先に溶融され、流れ始めるので、熱可塑性チューブのチューブ樹脂層の外形寸法が中心軸線に対して直角に波模様状に不均一になりやすく、熱可塑性チューブの外周面の外観が損なわれる問題があった。 【0010】この発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、外皮に皺の発生も無く、可撓性も均一で、捻回追従性に富み、捩れを生じ難く、したがって内視鏡に要請される操作性及び耐久性を向上させることができる内視鏡可撓管を提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】この発明は、前記目的を達成するために、螺旋管の外周に網状管を被嵌した可撓管素材の外周に、熱可塑性弾性体の外皮を被覆した内視鏡可撓管において、無機物と有機物の両方に密着する機能を持つシラン系・チタネート系・アルミニウム系・ジルコニウム系等のカップリング剤を仲立ちとして前記可撓管素材と前記外皮とを密着形成したことを特徴とする。 【0012】無機物と有機物の両方に密着する機能を持つカップリング剤を可撓管素材と外皮の界面に配することで、無機物である可撓管素材と有機物である外皮を強固に密着させる。カップリング剤には無機物どうしを結合させる性質はほとんどなく、また単独での凝集力は低いために、接着剤や外皮樹脂が可撓管内面に過度に浸透したときのような問題はほとんど発生しない。また、希釈溶媒として水を用いることができるため有機溶剤を大量に含む接着剤を使用する場合よりも作業環境を改善することができる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、この発明の各実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は第1の実施形態を示し、図1は医療用に用いられる内視鏡挿入部における内視鏡の可撓管1の一部を断面して示し、図2は図1のA部を拡大して断面図である。この可撓管1は例えば金属製の条帯を螺旋状に巻いて形成された螺旋管2と、その外周を覆う網状管3とからなる可撓管素材4の外周面にカップリング剤5の層を設け、その上に熱可塑性弾性体の外皮6が密着被覆され、さらにその外表面には、熱硬化型または湿気硬化型の樹脂からなるコート層7が形成されている。 【0014】螺旋管2は、ステンレス鋼またはリン青銅などの金属帯材を一定ピッチで一定の径に螺旋状に巻いて形成されている。なお、巻き方向は左右どちらでもよく、また螺旋管2は一重でもよく、二重以上でもよい。 【0015】網状管3は、ステンレス鋼,銅,真鍮,タングステン,鉄,等の金属細線からなる素線を複数本束ねたものを編組みして管状に形成されており、素線の一部に合成樹脂,絹糸,たこ糸,等の非金属細線を用いてもよい。 【0016】カップリング剤5は、例えばシラン系カップリング剤を水で希釈させたものを用いスプレーにて塗布し、その後、希釈剤である水分を加熱乾燥または自然乾燥させる。希釈剤には水以外の例えばエタノ一ル等の有機溶剤を用いることもできるが、人体への安全性や作業環境を考慮すれば水が望ましい。カップリング剤5には、シラン系の他にチタネート系・アルミニウム系・ジルコニウム系等を用いることができる。なお、無色のため塗布されたかの判別を容易にするため顔料を添加してもよい。 【0017】外皮6の被覆において、予め成形されたチューブを用いてもよいが、押し出し成形やディッピングにより直接被覆することは溶解した熱可塑性弾性体を溶着させる作用を伴い、また高温で被覆されることでカップリング剤の結合力を高めることができるので、より効果的である。外皮6に予め成形されたチューブを用いる場合には、可撓管素材4へカップリング剤5を塗布する代りに、そのチューブ内面に塗布してもよい。外皮6を形成する熱可塑性弾性体の素材には、ポリウレタン、軟質塩化ビニール、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等が用いられる。 【0018】なお、被覆に際しカップリング剤を塗布・結合させた可撓管素材4の外周に接着剤を塗布した上で外皮6を被覆すれば場合によっては密着力の向上が多少できるが、作業が煩雑になるわりには効果に差がない。 【0019】さらに、コート層7を形成時あるいはその前後に、熱風循環式加熱炉にて80〜200℃で数分間の加熱処理をすることにより、カップリング剤5の結合力を高めることができ、可撓管素材4と外皮6の密着力をより向上させることができる。 【0020】また、外皮6の被覆時またはそれ以前に可撓管素材4を予め加熱し、可撓管素材4が高温の状態で外皮6を被覆する作業を単独でまたは上記工程と併用して行っても効果は高い。 【0021】前述した実施形態によれば、可撓管素材4と外皮6の界面に、無機物と有機物の両方に密着する機能を持つカップリング剤5の層を設けたことで、それを仲立ちとして無機物である可撓管素材4と有機物である外皮6を強固に密着させることができる。 【0022】したがって、可撓管素材4と外皮6を強固に密着させることができるため、表面に皺が無く、可撓性が均一で、捻回追従性に富み、捩れを生じにくく、かつ素材の柔軟性が保たれ、体腔内への挿入性及び耐久性を向上させた内視鏡可撓管を提供できる。 【0023】図3は第2の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。本実施形態のカップリング剤5は、外皮6全体に含有されており、その結果可撓管素材4との界面となる内表面にもカップリング剤5が配されるように形成されている点が異なる。 【0024】製造工程としては、外皮6の素材である熱可塑性弾性体ぺレットを例えばシラン系カップリング剤5を水で希釈させた溶液中に浸漬する。その後取出したものを前記熱可塑性弾性体の乾燥温度である50〜100℃において加熱乾燥させ熱可塑性弾性体ペレット表面にカップリング剤5を付着させる。この熱可塑性弾性体ペレットを素材として、可撓管素材4の外周面に直接押し出し成形により被覆させ外皮6を形成する。なお、このようにカップリング剤5を付着させた熱可塑性弾性体ペレットにより別途チューブ状に成形したものを外皮6として可撓管素材4の外周面に被覆しても良い。 【0025】本実施形態によれば、無機物と有機物の両方に密着する機能を持つカップリング剤5を可撓管素材4との界面となる外皮6の内表面に配したことで、それを仲立ちとして無機物である可撓管素材4と有機物である外皮6を強固に密着させることができる。 【0026】したがって、可撓管素材4と外皮6を強固に密着させることができるため、外皮6の表面に皺が無く、可撓性が均一で、捻回追従性に富み、捩れを生じにくく、かつ素材の柔軟性が保たれ、体腔内への挿入性及び耐久性を向上させた内視鏡可撓管を提供できる。 【0027】前記実施形態によれば、次のような構成が得られる。 (付記1)螺旋管の外周に網状管を被嵌した可撓管素材の外周に、熱可塑性弾性体の外皮を被覆した内視鏡可撓管において、無機物と有機物の両方に密着する機能を持つシラン系・チタネート系・アルミニウム系・ジルコニウム系等のカップリング剤を仲立ちとして、前記可撓管素材と前記外皮とを密着形成したことを特徴とする内視鏡可撓管。 【0028】(付記2)螺旋管の外周に網状管を被嵌した可撓管素材の外周に、熱可塑性弾性体の外皮を被覆する内視鏡可撓管の製造方法において、無機物と有機物の両方に密着する機能を持つシラン系・チタネート系・アルミニウム系・ジルコニウム系等のカップリング剤を仲立ちとして、前記可撓管素材と前記外皮とを密着形成することを特徴とする内視鏡可撓管の製造方法。 【0029】(付記3)可撓管素材の外周にカップリング剤を塗布させた後、その外周に外皮を被覆するようにしたことを特徴とする付記2記載の内視鏡可撓管の製造方法。 【0030】(付記4)可撓管素材の外周に、カップリング剤を添加し、または内面にカップリング剤を塗布した外皮を被覆するようにしたことを特徴とする付記1記載の内視鏡可撓管。 (付記5)外皮を押し出し成形やディッピングあるいは予め成形されたチューブ等で形成したことを特徴とする付記1記載の内視鏡可撓管。 (付記6)外皮の外周に熱硬化型または湿気硬化型のコート層を設けたことを特徴とする付記1記載の内視鏡可撓管。 (付記7)可撓管素材の外周に熱可塑性弾性体の外皮を被覆させた後、熱処理を施しカップリング剤の結合を促進させることを特徴とする付記2記載の内視鏡可撓管の製造方法。 【0031】(付記8)外皮被覆時またはそれ以前に可撓管素材を予め加熱し、可撓管素材が高温の状態で外皮被覆を行い、その熱によりカップリング剤の結合を促進させることを特徴とする付記2記載の内視鏡可撓管の製造方法。 【0032】(付記9)付記7または8記載の加熱手段は、熱風式循環炉・赤外線ヒーター・ヒートガン・セラミックヒーター・高周波ヒーター・可撓管素材の通電発熱・その他これら以外の装置や方式により行なわれたことを特徴とする内視鏡可撓管の製造方法。 【0033】付記1〜6は、無機物と有機物の両方に密着する機能を持つカップリング剤を可撓管素材と外皮の界面に配することで、無機物である可撓管素材と有機物である外皮を強固に密着させる。カップリング剤には無機物どうしを結合させる性質はほとんどなく、また単独での凝集力は低いために、接着剤や外皮樹脂が可撓管内面に過度に浸透したときのような問題はほとんど発生しない。また、希釈溶媒として水を用いることができるため有機溶剤を大量に含む接着剤を使用する場合よりも作業環境を改善することができる。 【0034】付記7,8は、可撓管素材への加熱または外皮被覆後の加熱により、カップリング剤をより活性化させ、可撓管素材および外皮との結合力を増大させることができる。 【0035】 【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、可撓管素材と外皮を強固に密着させ、外皮の表面に皺が無く、可撓性が均一で、捻回追従性に富み、捩れを生じにくく、かつ素材の柔軟性が保たれ、体腔内への挿入性及び耐久性を向上させた内視鏡可撓管を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000376 【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月25日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−42205 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)2月16日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−200085 |
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