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【発明の名称】 超音波診断装置
【発明者】 【氏名】加藤 恵司

【氏名】城 和博

【要約】 【課題】体腔内において超音波診断を行う場合に、超音波画像を見てもどちらが体表側であるか判断できなかった。

【解決手段】体腔内用超音波探触子12の他に体外マイクロフォン14を設ける。体外マイクロフォン14は体腔内用超音波探触子12から放射された超音波を検出する。その検出信号に基づきピーク検出部34が基準方位を判定する。その基準方位は、マーカーとして超音波画像に合成表示される。体外マイクロフォン14に代えて体外送波器を用いることもできる。この場合、体腔内用超音波探触子12では自己が送波した超音波の他に体外送波器から送波された超音波が受波されることになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超音波の送受波を行う超音波振動子を備え、その超音波振動子にて形成される超音波ビームが回転走査される体腔内用超音波探触子と、前記体腔内超音波探触子からの受信信号に基づいて超音波画像を形成する画像形成手段と、体表に当接して使用され、前記超音波振動子で発生された超音波を補助的に受波するマーカー用受波手段と、前記マーカー用受波手段からの受波信号に基づいて前記超音波画像上における基準方位を判定する基準方位判定手段と、を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】 請求項1記載の装置において、前記基準方位を表すマーカーを前記超音波画像に挿入するマーカー生成手段を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】 請求項1記載の装置において、前記基準方位に基づいて前記超音波画像を回転させる画像回転処理手段を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】 請求項1記載の装置において、前記基準方位判定手段は、各方位における前記受波信号の強度を比較して基準方位を判定することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】 第1超音波の送受波を行う第1の超音波振動子を備え、その第1の超音波振動子にて形成される超音波ビームが回転走査される体腔内用超音波探触子と、前記体腔内超音波探触子からの受信信号に基づいて超音波画像を形成する画像形成手段と、体表に当接して使用され、前記第1の超音波振動子による第1超音波の送波とは別に第2超音波の送波を行う第2の超音波振動子を備えた体外用超音波探触子と、を含み、前記第1の超音波振動子ではそれ自身が送波した第1超音波に加えて前記第2の超音波振動子が送波した第2超音波が受波されることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】 請求項5記載の装置において、前記体腔内超音波探触子からの受信信号から前記第2超音波の受波成分を抽出する抽出手段と、前記抽出された受波成分に基づいて基準方位を判定する方位判定手段と、を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波診断装置に関し、特に体腔内で超音波の送受波を行う超音波超音波探触子を備えた超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】体腔内に挿入される超音波探触子としては、カテーテル状で血管に挿入される細径超音波探触子や食道を介して胃に挿入される超音波内視鏡探触子などがある。これらの体腔内超音波探触子は、超音波の送受波を行う超音波振動子を有する。その超音波振動子の機械的な走査や電子走査によって、超音波ビームをラジアル走査すると円形の走査面(エコーデータ取り込み領域)を形成できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の超音波診断装置において、体腔内超音波探触子を利用して取得されたエコーデータを超音波画像として画像表示すると、どの方位が被検者の腹側であるのか、あるいは背中側であるのか、即座に判断できないという問題があった。勿論、他の臓器が画像化されているような場合には医学的な知識から超音波画像の上下方向をおよそ把握可能であったが、常に超音波画像の向きを把握することは困難であった。例えば、胃の中の超音波診断であれば、体表側から胃を圧迫することによって超音波探触子の先端部を間接的に動かし、その際の超音波画像の動きを見ることによって超音波画像の基準方位を認識することも行われていたが、そのような措置は煩雑であり、また診断部位によっては適用できない。
【0004】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、体腔内での超音波診断によって超音波画像を形成する場合に、その超音波画像の基準方位を認識できるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、超音波の送受波を行う超音波振動子を備え、その超音波振動子にて形成される超音波ビームが回転走査される体腔内用超音波探触子と、前記体腔内超音波探触子からの受信信号に基づいて超音波画像を形成する画像形成手段と、体表に当接して使用され、前記超音波振動子で発生された超音波を補助的に受波するマーカー用受波手段と、前記マーカー用受波手段からの受波信号に基づいて前記超音波画像上における基準方位を判定する基準方位判定手段と、を含むことを特徴とする。
【0006】上記構成によれば、体腔内用超音波探触子が例えば血管、食道、尿管などの体腔へ挿入され、その挿入状態で超音波ビームの回転走査が実行される。これは、超音波振動子の機械的回転あるいはアレイ振動子の電子走査によって達成される。
【0007】勿論、超音波ビームが360度回転される場合のみならず、一定の角度範囲内で回転走査されるような場合にも本発明を適用できる。
【0008】その走査状態において、体外配置されたマーカー用受波手段で間欠的に超音波が受波される。その受波タイミングなどを計測することによって、超音波画像上における基準方位が判定される。ここで、基準方位は、例えば、マーカー用受波手段が存在している方位であり、あるいはそれを基準として認定される所定方位である。なお、マーカー用受波手段としては、音響ピックアップ、サウンドマイク、超音波探触子などが挙げられる。
【0009】本発明によれば、体腔内を画像化した超音波画像上において基準方位を把握できるので、疾病部位を簡単に特定できるなどの利点を得られる。
【0010】本発明の望ましい態様では、前記基準方位を表すマーカーを前記超音波画像に挿入するマーカー生成手段を含む。マーカーは、例えばカーソル像である。
【0011】本発明の望ましい態様では、前記基準方位に基づいて前記超音波画像を回転させる画像回転処理手段を含む。例えば、基準方位が常に上になるように超音波画像を回転表示させてもよい。
【0012】本発明の望ましい態様では、前記基準方位判定手段は、各方位における前記受波信号の強度を比較して基準方位を判定する。この場合、信号強度のピークがある方位がマーカー用受波手段の存在する方位と判定され、あるいは基準方位と判定される。
【0013】(2)上記目的を達成するために本発明は、第1超音波の送受波を行う第1の超音波振動子を備え、その第1の超音波振動子にて形成される超音波ビームが回転走査される体腔内用超音波探触子と、前記体腔内超音波探触子からの受信信号に基づいて超音波画像を形成する画像形成手段と、体表に当接して使用され、前記第1の超音波振動子による第1超音波の送波とは別に第2超音波の送波を行う第2の超音波振動子を備えた体外用超音波探触子と、を含み、前記第1の超音波振動子ではそれ自身が送波した第1超音波に加えて前記第2の超音波振動子が送波した第2超音波が受波されることを特徴とする。
【0014】体腔内用超音波探触子の第1の超音波振動子では、超音波ビームが所定方位になると、自己が送波した超音波の他に体外用超音波探触子が送波した超音波も受波されることになる。よって、例えば後者の超音波の受信タイミングを認識して、基準方位を判定できる。体外用超音波探触子は例えば送信専用の超音波探触子であってもよい。第1の超音波と第2の超音波の互いの周波数を変えれば、第2の超音波の受波を簡単に識別できる。勿論、同じ超音波であっても、超音波画像上で体外用超音波探触子の配置方位の画像輝度が高くなるなどの変化が現れるので、そのような手法によっても基準方位を判定できる。
【0015】本発明の望ましい態様では、前記体腔内超音波探触子からの受信信号から前記第2超音波の受波成分を抽出する抽出手段と、前記抽出された受波成分に基づいて基準方位を判定する方位判定手段と、を含む。
【0016】上記同様に、判定された基準方位を表すマーカーを超音波画像上に表示してもよく、あるいはその基準方位に従って超音波画像を回転させる処理を行ってもよい。なお、本発明は、断層画像(Bモード画像)及びドプラ画像のいずれの画像の形成に当たっても適用できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。
【0019】この実施形態に係る超音波診断装置は、大別して、装置本体10と、その装置本体10にケーブルによって接続される体腔内用超音波探触子12と、装置本体10にケーブルによって接続される体外マイクロフォン14と、で構成される。体腔内用超音波探触子12は、例えば生体の食道内に挿入される超音波探触子であり、あるいは血管内に挿入される超音波探触子である。もちろん、それら以外の他の部位を診断する場合にも本発明を適用できる。体腔内用超音波探触子12は、操作部16と、生体内に挿入される挿入部18と、で構成され、挿入部18の先端には図示されていない超音波振動子が設けられている。この先端部にて超音波ビームが挿入部18の軸方向と直交する方向に形成され、かつその超音波ビームが回転走査される。
【0020】体外マイクロフォン14は生体の体表面に当接して使用されるものであり、生体内からの超音波を受波する手段として機能する。体外マイクロフォン14は例えば音響ピックアップやサウンドマイクなどを内蔵している。この体外マイクロフォン14として超音波振動子を備えた超音波探触子を利用することもできる。
【0021】装置本体10において、タイミング信号発生器20によって送信タイミング信号100が生成される。この送信タイミング信号100は送信回路22に供給される。その送信タイミング信号のタイミングで送信回路22が送信パルスを出力する。この送信パルスは体腔内用超音波探触子12の超音波振動子に供給され、これによって超音波が生体内で放射される。その超音波振動子にて受波された超音波エコーは受信信号となって受信回路24に入力される。この受信回路24は増幅器や検波器等を有するものである。送信回路22及び受信回路24は送受信制御部26によって制御されている。受信回路24による受信信号処理によって超音波画像が形成され、その画像信号は画像形成部28に送られる。この画像形成部28は例えばデジタルスキャンコンバータ(DSC)で構成される。
【0022】一方、体外マイクロフォン14から出力される検出信号はアンプ30によって増幅された後、検波器32に送られる。タイミング信号発生器20からゲート信号102が検波器32に出力されており、検波器32では、そのゲート信号102が表すゲート期間内において検出信号の検波を行っている。ここで、ゲート信号102は送信タイミング信号の発生から所定の診断距離までの区間を表すものである。検波後の検出信号はピーク検出部34に入力される。このピーク検出部34は、各方位間での検出信号のピークを検出する回路である。すなわち、各方位についての検出信号がこのピーク検出部34で比較され、最も検出レベルの高い方位がこのピーク検出部34によって判定される。ピーク検出部34でピーク検出されると、そのピーク検出部34からマーカー信号104が画像形成部28へ出力される。これによって超音波画像に後に示すマーカーの像が合成され、その合成画像が表示器36に表示されることになる。
【0023】したがって、上記構成によれば、ラジアル走査によって形成される超音波画像上において、体外マイクロフォン14が設けられている方位を基準方位としてマーカー像によって常に認識できるので、例えば疾病部位の位置等を容易に把握できるという利点がある。
【0024】図2には、体腔内用超音波探触子12の一例が示されている。この例では、挿入部18がチューブ19と回転軸21とで構成され、その回転軸21の先端に単一の超音波振動子からなる単振動子40が配置されている。回転軸21を回転させることによって単振動子40が回転され、これによって超音波ビームがラジアル走査される。この際、特定の方位においては単振動子40から放射された超音波が体外マイクロフォン14にて観測されることになり、上述したようにその観測結果に基づいて基準方位が判定される。
【0025】図3には、体腔内用超音波探触子12の他の例が示されている。この例においては挿入部18の先端にアレイ振動子42が設けられている。このアレイ振動子42は挿入部18の円周方向に沿って配列された複数の振動素子で構成されるものであり、そのアレイ振動子42を電子走査することによって超音波ビームがラジアル走査される。この例においても上記同様に特定の方位において超音波がマイクロフォン14にて観測され、その観測結果に基づいて基準方位が判定される。
【0026】ちなみに、体腔内用超音波探触子12が食道に挿入され、胃の中で超音波診断を行う場合には、体外マイクロフォン14は例えば腹部体表面に当接して使用される。その一方、体腔内用超音波探触子12が例えば心臓から伸びる大動脈に挿入されるような場合には体外マイクロフォン14はその大動脈近傍の胸部体表面上に当接して使用される。この場合、体外マイクロフォン14の受波面が肋骨間に臨むように位置決めするのが望ましい。
【0027】上述した実施形態では検出信号のピークを検出することによって基準方位が判定されていたため、例えば超音波ビームに一定の広がりがあるような場合においてもピーク検索によってそのビームの中心を精度良く判定することができる。但し、他の手法によって基準方位を判定してもよい。ちなみに、超音波ビームの向きと体外マイクロフォン14の位置関係によっては明確にピーク検出を行えないような場合があるが、その場合には体外マイクロフォン14の位置や向きを適宜変化させればよい。
【0028】図4には、表示器36に表示される超音波画像200の一例が示されている。画像形成部28によって超音波画像200にはマーカー表示202が合成されている。このマーカー表示202は例えば矢印の記号で構成され、その記号を認識することによって超音波画像上において体外マイクロフォン14の位置すなわち基準方位を容易に認識することができる。
【0029】ちなみに、上述のように基準方位が確認された時点で、その基準方位の垂直方向からのずれの角度を求め、その角度分だけ超音波画像を回転させることもできる。すなわち、図5に示すように、画像ローテーション204によって基準方位を常に垂直方向に位置決めするものである。すなわち、上記構成によれば、体外マイクロフォン14の利用によって基準方位を取得し、その基準方位をベースとして各種の画像処理を行うことが可能である。
【0030】図6には、他の実施形態が示されている。この実施形態に係る超音波診断装置は、大別して、装置本体44と、体腔内用超音波探触子12と、体外送波器46と、で構成されるものである。すなわち、図1に示した実施形態では体外マイクロフォン14が用いられていたが、この実施形態では体外送波器46が利用されている。この体外送波器46は、超音波振動子を内蔵した送波器等を用いることができ、あるいは超音波探触子そのものを利用してもよい。何れにしても、この体外送波器46によって連続的に超音波が送波される。
【0031】したがって、体腔内用超音波探触子12においては、その先端部において超音波の送受波が行われるが、その超音波エコーの受波に当たっては自己が放射した超音波の他に、体外送波器46から放射された超音波も受波されることになる。送信回路52は、体外送波器46に対して送信信号を供給しており、これによって上述したように連続して超音波が体内に放射される。
【0032】体腔内用超音波探触子12は上述した実施形態と同様の構成であり、送信回路54から一定のパルス間隔で送信パルスが供給される。また、体腔内用超音波探触子12から出力された受信信号は受信回路56に入力され、所定の受信信号の処理を経た後、超音波画像を表す信号が画像形成部58に入力され、表示器60においてその超音波画像が表示される。送受信制御部50は送信回路52,54及び受信回路56の制御を行っている。
【0033】図6に示す構成では、画像形成部58によって形成される、超音波画像上の特定の方位において体外送波器46から放射された超音波の影響が現れることになる。すなわち、図7に示すように、超音波画像200上では基準方位に相当する方位において他の超音波の混入による混入領域206が見られることになる。例えば、この領域は他の領域よりも輝度が高く表現されることになる。もちろん、この混入領域206のみを自動判別してその領域に対して着色を施してもよい。
【0034】図6に示す実施形態では、体腔内用超音波探触子12から出力される受信信号をそのまま処理して超音波画像として表示させていたが、例えば体外送波器46からの超音波の受波成分を分離抽出して、その成分に基づいて基準方位を判定し、例えば図4に示したような表示を行ってもよい。この場合には、例えば体腔内用超音波探触子12で送受波される超音波の周波数と体外送波器46から送波される超音波の周波数とを異ならせ、周波数弁別によって2つの受信信号を区別して取り扱ってもよい。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、体腔内での超音波診断によって超音波画像を形成する場合に、その超音波画像の基準方位を明確に認識することができる。
【出願人】 【識別番号】390029791
【氏名又は名称】アロカ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開平11−33027
【公開日】 平成11年(1999)2月9日
【出願番号】 特願平9−190323