| 【発明の名称】 |
頸部脳循環動態の測定法 |
| 【発明者】 |
【氏名】長谷川 元治
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| 【要約】 |
【課題】未発症、無症状の人々も広く対象として処理することを時間的にも可能とし、脳血管障害の責任病巣である頸部動脈系に焦点を合わせて早期病変、早期循環不全の予知、予防に有用となる新規な頸部脳循環動態の測定法とする。
【解決手段】超音波変位計を内蔵する装置と超音波ドップラー血流計を用い、前記超音波変位計のプローブを解剖学的に合致する箇所に装着して、頸部動脈中総頸、洞、内頸、椎骨左右8本の血管横軸変位からその血管機能を測定し、前記超音波ドップラー血流計により、cm/secの速度として血流を測定することとし、上腕血圧から頸部動脈系対数脈圧に変換し、口径/変位で表わされる血管機能を採用することとし、前記した頸部動脈系対数脈圧は平均血流速度と末梢抵抗の積を血管機能で割った商として計出し、頸部動脈系対数脈圧と平均血流速度の積を供給血流量とすることとする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超音波変位計を内蔵する装置と超音波ドップラー血流計を用い、前記超音波変位計のプローブを解剖学的に合致する箇所に装着して、頸部動脈中総頸、洞、内頸、椎骨左右8本の血管横軸変位からその血管機能を測定し、前記超音波ドップラー血流計により、cm/secの速度として血流を測定することを特徴とする頸部脳循環動態の測定法。 【請求項2】 上腕血圧から頸部動脈系対数脈圧に変換し、口径/変位で表わされる血管機能を採用することを特徴とする請求項1に記載の頸部脳循環動態の測定法。 【請求項3】 前記した頸部動脈系対数脈圧は平均血流速度と末梢抵抗の積を血管機能で割った商として計出し、頸部動脈系対数脈圧と平均血流速度の積を供給血流量とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の頸部脳循環動態の測定法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は頸部脳循環動態の測定法に関し、特に脳血管障害の責任病巣である頸部動脈系に焦点を合わせて、未発症、無症状の者も含めて早期の病変、循環不全を予知し、予防に有用であり、しかも処理人数を大きく増加させることを可能とする頸部脳循環動態の測定法に関する。 【0002】 【発明の背景】現在、社会は高齢化が進み、中高年代における老化や若さの度合を個別的に総合評価し、その個人の生活を指針する必要性が高まってきている。この総合評価をするための指標を総称して生体機能と定義づけると、この生体機能は静的機能、動的機能、代謝機能、臓器機能、精神機能に大別され、本発明はこのうち狭義では臓器機能、広義の精神機能に関与するものである。 【0003】一般的に、脳は体重の3%程度と小さいにもかかわらず、全血流量の約20%が流出入しており、平均的に他臓器の6倍もの血量を必要としている。しかも脳に流入する血管を構成する頸部動脈系は左右内頸、椎骨の4系統となっており、脳は特に情報の入手、解析、対応にふさわしい形態、機能を持っている。 【0004】この脳の機能を制御するのは脳内の実質的な神経細胞ではあるが、呼吸、栄養能としての脳内細小動脈、そこに至る脳外脳動脈の存在も無視できない。 【0005】仮性も含めた日本人の老人性痴呆は脳血管障害性由来が多く、アルツハイマーは比較的少ない。そして、脳血管障害発生の責任病巣は当然ながら内頸、椎骨動脈が構成する頸部動脈系病巣に発生し、末梢に離反、栓塞した血栓が大半の原因である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】近年はCT、MRI、MRA、SPECT等の装置が開発実用化され、脳血管、脳実質、脳循環障害の診断は飛躍的にその精度を向上させており、他の多くの診断装置によって局所的病変も的確に把握できるようになっている。しかしながら、これらの専門機器の多くは時間的に処理人数が限られてしまい、未発症、無症状の多くの人々を対象とはできないのが現状である。そして、頸部脳循環動態は極めて複雑で代償作用が強く、余程の非代償、不全状態に至らなければ症状としては表出せず、頸部動脈系の1本が完全閉塞していても無症状ということも良く見られている。 【0007】 【発明の目的】そこで、本発明は上記した実情、問題点に着目してなされたもので、かかる問題点を解消して、未発症、無症状の人々も広く対象として処理することを時間的にも可能とし、脳血管障害の責任病巣である頸部動脈系に焦点を合わせて早期病変、早期循環不全の予知、予防に有用となる新規な頸部脳循環動態の測定法を提供することを目的としている。 【0008】 【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、本発明に係る頸部脳循環動態の測定法は超音波変位計を内蔵する装置と超音波ドップラー血流計を用い、前記超音波変位計のプローブを解剖学的に合致する箇所に装着して、頸部動脈中総頸、洞、内頸、椎骨左右8本の血管横軸変位からその血管機能を測定し、前記超音波ドップラー血流計により、cm/secの速度として血流を測定することを特徴とし、上腕血圧から頸部動脈系対数脈圧に変換し、口径/変位で表わされる血管機能を採用することを特徴とし、前記した頸部動脈系対数脈圧は平均血流速度と末梢抵抗の積を血管機能で割った商として計出し、頸部動脈系対数脈圧と平均血流速度の積を供給血流量とすることを特徴としている。 【0009】 【作用】前記した構成としたことにより、処理人数を大幅にアップさせ、しかも独特の関数式を用いて計出を行なうため、頸部動脈系における早期病変、早期循環不全を予知し、予防する対策を図ることができることとなるのであり、総体的には個人レベルにおける老化や若さを評価でき、生活の環境指導等も行えることになる。 【0010】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は動脈系種々の部位における平均血圧、脈圧、血流量の変化を示す図、図2は上腕動脈圧による頸部動脈系血圧の算定を示すものでAは総頸・洞、Bは内頸・椎骨を示す図、図3はイヌ総頸動脈にあって末梢抵抗と動脈面積狭窄度の関係を示す図、図4は同じく動脈面積狭窄度70%までの関係を末梢抵抗を自然対数に変換して動脈面積狭窄度と対比した図、図5は循環因子としての血流速度の年齢分布を示す図、図6は同じく供給血流量の年齢分布を示す図、図7は同じく末梢抵抗の年齢分布を示す図である。 【0011】本発明は主として、血管機能を測定するための超音波変位計を内蔵する装置と、血流測定をするための超音波ドップラー血流計を使用する。そして、前記した超音波変位計は頸部動脈中総頸、洞、内頸、椎骨左右8本の血管横軸変位から血管機能を測定することとなる。 【0012】実際的な測定はプローブ針の先端を解剖学的に合致した箇所に装着することによって、横軸にせよ縦軸にせよ動脈壁の動きが画像として捕捉される。任意の血圧における血管機能は口径をD、変位を△DとするとD/△Dで表わされるが、このD/△Dとして求められる血管機能は動脈圧が変化すると共に変化する圧依存性のものとなっている。 【0013】この見かけの血管機能を個体固有のものに変換するには該当動脈の対数脈圧を掛け合わせることで求められる。 【0014】次いで、頸部動脈系の血圧については、図1として示す系統的動脈圧分布特性には通例、全身の血圧分布が示されるが頸部動脈系は明示されていなかった。そこで、発明者は上腕動脈コロトコフ音血圧とカテーテルによる直接圧を図2A(総頸・洞の最大、最小血圧)、同じくB(内頸・椎骨の最大、最小血圧)のように対比して、その変換式を作成して、前記した図1の分布特性に頸動脈の測定例を付加した。 【0015】従来の頸部脳循環算定法と本発明との相違点は、第一に圧測定の部位にあり、従来は上腕動脈であったのを頸部動脈系とした。第二は血圧の様式で、従来は平均血圧であったのを対数脈圧とした。これは、概念的に頸部動脈系が変圧器の機能を持つとした時に、この対数脈圧は電気的には交流を意味してくる。 【0016】第三には血流に関してであり、従来は総血流量であったのを速度とした。これは前記した概念からすると電流を意味する。そして、第四は従来なかった頸動脈機能(変圧器の概念)、第五として供給血流量(電力の概念)を導入した。 【0017】即ち、従来は頸動脈総血流量Fと上腕平均血圧mean BPからmeanBP=F Ro(Roは末梢抵抗)の式を適用していたが、本発明では上腕血圧から頸部動脈系対数脈圧1n Ps/Pdに変換して血管機能D/△Dを採用することとしている。そして血流は量でなく速度Fs cm/sec(Fsは平均血流速度)としている。 【0018】前記したように頸部動脈系が変圧器の機能を有するとすると、この変圧器を通った実効電圧eは△φ/△t(磁場速度)とN(コイル巻数)の積となる。ここで△φ/△t(磁場速度)は対数脈圧1n Ps/Pdに対応し、N(コイル巻数)は血管機能D/△Dに対応し、I(電流)はFs(平均血流速度)に対応するとして、オームの法則を変換してe=△φ/△t・N=IRの式から1nPs/Pd・D/△D=Fs・Roを導き作成した。この式には常数としてのKがFs・Roに乗ぜられる。そして、供給血流量Poは1n Ps/Pd・Fsとして表わされる。 【0019】動脈総血流量の年齢傾向を見ると、加齢に伴って増加することが判明し、これは加齢によって動脈口径は拡大する傾向があるためである。そこで、発明者は、この点に着目して血流量は動脈単位横断面積の毎秒通過量、即ち血流速度を採用した。 【0020】また、発明者は前記した1n Ps/Pd・D/△D=Fs・Roの式の正当性を立証するため、イヌを対象とした基礎実験を行なった。即ち、扁側頸動脈に微少口径変位計、微少電磁流量計、圧力テーテル等を装着して、その末梢側に狭窄度0〜80%まで順次動脈狭窄を起こし、循環動態を逐一記録、算出した。 【0021】その結果、最大(Ps)、最小(Pd)の血圧、対数脈圧(1n Ps/Pd)、見かけの血管機能(D/△D)、固有血管機能(1n Ps/Pd×D/△D)、血流速度(Fs)、供給血流量(Po)、末梢抵抗(Ro)等多くの因子は狭窄度(SG)が概ね50%までは著しい変化はないが、60%以上になると各々程度の差はあるにしても変化しはじめることが判った。 【0022】また、前記したように供給血流量(Po)は1n Ps/Pd・Fsとして表わされるが、これは電力P=IV(I:電流,V:電圧)の概念を導入して変換したもので、脳内消費の多寡にかかわらず供給する血流量をさすものである。 【0023】そして、最も重要な点は1n Ps/Pd・D/△D=K・Fs・Ro(Kは常数)の式の妥当性であるが、これは図3として示す末梢抵抗(Ro)と動脈面積狭窄度(SG)の関係を見ると明らかで、図3ではSGが40%までは漸増、50〜70%まで増加、80%で著増の推移を辿っている。この図3からは循環動態のRoは70%までSGの増加に伴い増加し、80%以上は破綻と解釈できる。 【0024】また、図4はSG70%までの関係を、Roを自然対数log Roに変換してSGと対比したもので、相関係数r:0.90で血流からみたlog Roと実面積狭窄度は高い相関を示すことが立証され、1n Ps/Pd・D/△D=K・Fs・Roの式の正当性を立証した。 【0025】ここで、D/△DとFsは各々前述した方式で計測するが、1n Ps/Pdについて説明する。図1に示すように、体血圧分布特性を見ると、頸部動脈系での最大は上腕のおよそ10数mmHg高く、最小は数mmHg低い。そこで、図2に示すように上腕コロトコフ音血圧から推定頸部動脈圧を算出する変換式をそれぞれ設定して求めた。 【0026】従って1n Ps/PdのPs,Pdは推定頸部動脈最大、最小血圧となる。前記した1n Ps/Pd・D/△D=K・Fs・Roの妥当性をもとにして臨床での測定も試みた。対象臨床群は年齢20〜80歳、男性718例、女性600例、建常および種々の疾患を含む1318例である。 【0027】ここで、図5は上記した臨床適用例にあって血流速度Fsの年齢分布を示したもので、図中白丸印は各年代プラスマイナス1SD内の症例、黒丸印はそれ以上、黒角印はそれ以下を示している。平均的に10代から80代までのFsは34プラスマイナス9cm/secとほとんど変わらない。そして、ここで示されたFsが臨床的に何を意味するかについてPoとRoに的を絞って検討した。 【0028】その結果を表わしたものが図6、図7である。まず供給血流量Poでみると、このPoの異常高値は黒丸印の血流速度大の例、異常低値は黒角印の血流速度小の例が大半を占めている。前述の電力の解釈からすると、Po高値は無駄な血液が脳に流れていることであり、Po低値は絶対不足となる。 【0029】次に、Roで見ると、Ro低値は相対的な減少で、流速大の黒丸印が、Ro高値は流速小の黒角印が占めており、これは脳動脈に何らかの抵抗増大の要因、即ち、脳動脈硬化が内在すると解釈される。 【0030】 【発明の効果】本発明に係る頸部脳循環動態の測定法は上述のように構成され、実行される。特に、独特の関数式にあてはめ、結果を評価することとなるので、特に無疾患、無症状の者であっても格別な専門機器を使用せずとも対象として処理することができ、病変、循環不全の予知、予防に大きな効力を発揮する。そして、血流速度の異常な速さは老化であり、逆に異常に遅い場合は脳に循環不全を来す器質的、機能的病変が内在することを示しており、脳循環不全の予徴と見て、対処することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595081046 【氏名又は名称】長谷川 元治
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月16日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 彰芳
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| 【公開番号】 |
特開平11−33025 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)2月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−207072 |
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