トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 光ヘテロダイン法分光分析装置
【発明者】 【氏名】三井 隆久

【氏名】中島 浩二

【氏名】亀井 智成

【氏名】内藤 建

【氏名】内藤 義英

【要約】 【課題】被測定体の光吸収特性を正確に分析し被測定体中の被測定物の濃度を測定することができる光ヘテロダイン法分光分析装置を提供することを課題とする。

【解決手段】光ヘテロダイン法分光分析装置は、第1、第2の光源から発光された光を被測定体を通過させる信号光と被測定体を通過させない参照光とに分割する手段と、第1の波長と第2の波長の信号光及び参照光を所要の周波数で変調し変調信号光及び変調参照光を生成する手段と、各波長の変調信号光及び変調参照光を合波したうえ所定の比で分割送光する手段と、分割送光された各波長の変調信号光及び変調参照光を光電変換することにより各波長の変調信号光及び変調参照光の変調周波数の差に対応した光ヘテロダインビ−ト電気信号を得る手段と、前記光ヘテロダインビ−ト電気信号を差動演算する手段と、差動演算された光ヘテロダインビ−ト電気信号に基づいて被測定体の光吸収特性を分析し、被測定体中の被測定物の濃度を測定する手段とを備えることである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被測定体中の被測定物により吸収され易い第1の波長の光を発光させる第1の光源と、前記被測定体中の被測定物により吸収され難い第2の波長の光を発光させる第2の光源と、前記第1の光源及び第2の光源から発光されたそれぞれの光を前記被測定体を通過させる信号光と前記被測定体を通過させない参照光とに分割する手段と、前記第1の波長と前記第2の波長それぞれの信号光及び参照光を所要の周波数で変調し第1の波長と第2の波長の変調信号光及び変調参照光を生成する手段と、前記第1の波長と第2の波長の変調信号光及び変調参照光を合波したうえ所定の比で分割送光する手段と、前記分割送光された前記第1の波長と第2の波長の変調信号光及び変調参照光を光電変換することにより前記各波長の変調信号光及び変調参照光の変調周波数の差に対応した光ヘテロダインビ−ト電気信号を得る手段と、前記光ヘテロダインビ−ト電気信号を差動演算する手段と、差動演算された光ヘテロダインビ−ト電気信号に基づいて前記被測定体の光吸収特性を分析し前記被測定物の濃度を測定する手段とを備えた光ヘテロダイン法分光分析装置。
【請求項2】 前記第1の光源から波長の異なる複数の光を発光させ、それぞれの波長の光を信号光と参照光とに分割して変調することにより各波長の光ヘテロダインビ−ト電気信号を得る請求項1に記載の光ヘテロダイン法分光分析装置。
【請求項3】 前記変調信号光及び変調参照光を生成する手段は、超音波発振器で変調駆動される音響光学変調器を用いた請求項1又は2に記載の光ヘテロダイン法分光分析装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ヘテロダイン法により被測定体、例えば生体の多重散乱体の光吸収特性を分析し被測定体中の被測定物の濃度を測定するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、生体等の多重散乱体から成る被測定体の光吸収特性等を測定する手段として、例えば特開平5−176917号公報に記載された「光学的血糖値非破壊測定方法および装置」がある。この発明は、波長0.78〜1.32μmから選択される近赤外光を人体に入射させ、その透過光の強度を検出し、その検出結果に基づいて人体内のグルコ−ス濃度等を求めるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平5−176917号公報に記載された「光学的血糖値非破壊測定方法および装置」によれば、波長0.78〜1.32μmから選択される近赤外光を人体に入射させ、その透過光の強度を検出し、その検出結果に基づいて人体内のグルコ−ス濃度等を求めるものであるが、光源から照射される近赤外光には時間的に変化する振幅変動成分が含まれているためグルコ−ス濃度を正確に測定することができないという問題がある。また、その透過光の強度は、人体内のグルコ−スによる吸収のみでなく、遠方を迂回して戻ってくる散乱光も含まれるため被測定体の形状に大きく依存するという問題がある。
【0004】そこで本発明では、複数の光源からの時間的に変化する振幅変動成分を除去するとともに被測定体の形状に依存せずに非散乱光(直進光、弾道光子)のみを選択的に検出し、被測定体の光吸収特性を正確に分析し、被測定体中の被測定物の濃度を測定することが可能な光ヘテロダイン法分光分析装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、被測定体中の被測定物により吸収され易い第1の波長の光を発光させる第1の光源と、前記被測定体中の被測定物により吸収され難い第2の波長の光を発光させる第2の光源と、前記第1の光源及び第2の光源から発光されたそれぞれの光を前記被測定体を通過させる信号光と前記被測定体を通過させない参照光とに分割する手段と、前記第1の波長と前記第2の波長それぞれの信号光及び参照光を所要の周波数で変調し第1の波長と第2の波長の変調信号光及び変調参照光を生成する手段と、前記第1の波長と第2の波長の変調信号光及び変調参照光を合波したうえ所定の比で分割送光する手段と、前記分割送光された前記第1の波長と第2の波長の変調信号光及び変調参照光を光電変換することにより前記各波長の変調信号光及び変調参照光の変調周波数の差に対応した光ヘテロダインビ−ト電気信号を得る手段と、前記各波長の光ヘテロダインビ−ト電気信号を差動演算する手段と、差動演算された光ヘテロダインビ−ト電気信号に基づいて前記被測定体の光吸収特性を分析し前記被測定物の濃度を測定する手段とを備えることである。
【0006】請求項2の発明は、請求項1の光ヘテロダイン法分光分析装置において、前記第1の光源から波長の異なる複数の光を発光させ、それぞれの波長の光を信号光と参照光とに分割して変調することにより各波長の光ヘテロダインビ−ト電気信号を得ることである。
【0007】請求項3の発明は、請求項1又は2の光ヘテロダイン法分光分析装置において、前記変調信号光及び変調参照光を生成する手段は、超音波発振器で変調駆動される音響光学変調器を用いることである。
【0008】請求項1の発明によれば、第1の光源及び第2の光源から発光された第1の波長及び第2の波長それぞれの光が分割された信号光及び参照光を所要の周波数で変調し、第1の波長と第2の波長それぞれの変調信号光及び変調参照光を生成するとともに、第1の波長と第2の波長の変調信号光及び変調参照光を合波したうえ所定の比で分割送光された各波長の変調信号光及び変調参照光を光電変換することにより得られた光ヘテロダインビ−ト電気信号を差動演算することにより第1の光源及び第2の光源からの時間的に変化する振幅変動成分を除去できる。そのため、第1の光源及び第2の光源からの光の振幅が時間的に変動しても光ヘテロダインビ−ト電気信号の差に基づいて被測定体の光吸収特性を正確に分析し被測定物の濃度を測定することができる。また、非散乱光による測定のため被測定体の形状に依存せずに被測定体の光吸収特性を正確に分析し被測定物の濃度を測定することができる。
【0009】請求項2の発明によれば、第1の光源から発光された複数波長それぞれの変調信号光及び変調参照光の変調周波数の差に対応した光ヘテロダインビ−ト電気信号から被測定物と吸収波長が近い他の成分の吸収特性を区別して測定できるため被測定体のより正確な光吸収特性の測定ができる。
【0010】請求項3の発明によれば、変調信号光及び変調参照光を生成するため音響光学変調器を用いるため、光ヘテロダインビ−ト電気信号を得るために必要な光の変調が容易にできる。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態の光ヘテロダイン法分光分析装置の全体的な構成を示したブロック図である。以下、この光ヘテロダイン法分光分析装置の構成を作用とともに説明する。図1に示すように、レ−ザダイオ−ドから成る第1の光源1から発せられた光PAは、1/2波長板2を介してノンポラライゼ−ションタイプのビ−ムスプリッタ4に入射される。尚、上記光PAは、後述する被測定体Sを透過する際、被測定体S中の被測定物、例えばグルコ−スによる吸収率の高い波長、780nmの波長を有するものである。
【0012】ビ−ムスプリッタ4に入射された光PAは、直進する光PA1と、反射される光PA2とに50対50に分割される。尚、上記光PA1は後述の被測定体Sを通過する信号光となる一方、光PA2は被測定体Sを通過しない参照光となる。信号光PA1は音響光学変調器(AOM1)5に入射され、参照光PA2は音響光学変調器(AOM2)7に入射される。音響光学変調器5に入射された参照光PA1は、音響光学変調器5において超音波発振器6から発振された80.000MHzの超音波で変調される。従って音響光学変調器5を通過した光は、80.000MHzの周波数で変調された変調信号光PA3となる。
【0013】一方、音響光学変調器7に入射された参照光PA2は音響光学変調器7において超音波発振器8の出力信号により80.455MHzの超音波で変調される。従って音響光学変調器7を通過した光は、80.455MHzの超音波で変調された変調参照光PA4となる。そして、音響光学変調器5を通過した変調信号光PA3はミラ−9で90度反射されたあと、合波器11に入射される。
【0014】レ−ザ光を発する第2の光源12から発せられた光PBは、ノンポラライゼ−ションタイプのビ−ムスプリッタ14に入射され、直進する光PB1と、反射される光PB2とに50対50に分割される。尚、上記光PB1は被測定体Sを通過する信号光となる一方、光PB2は被測定体Sを通過しない参照光となる。信号光PB1は音響光学変調器(AOM)15に入射され、参照光PB2は音響光学変調器(AOM)16に入射される。尚、光PBは、被測定体Sを透過する際、被測定体S中の被測定物、例えばグルコ−スによる吸収率の低い波長、850nmの波長を有するものである。
【0015】音響光学変調器15に入射された信号光PB1は、音響光学変調器15において超音波発振器17から発振された79.800MHzの超音波で変調される。従って音響光学変調器15を通過した光は、79.800MHzの周波数で変調された変調信号光PB3となる。そして、音響光学変調器15を通過した変調信号光PB3はミラ−19で90度反射されたあと前記合波器11に入射される。
【0016】一方、音響光学変調器16に入射された参照光PB2は音響光学変調器16において超音波発振器18から発振された80.550MHzの超音波で変調される。従って音響光学変調器16を通過した光は、80.550MHzの超音波で変調された参照光PB4となる。
【0017】合波器11で合波された変調信号光PA3及び変調信号光PB3は、被測定体S(例えば人の指)を透過し、合波信号光P1となってノンポラライゼ−ションタイプのビ−ムスプリッタ21に入射される。
【0018】前記音響光学変調器7を通過した前記変調参照光PA4はミラ−22で90度反射されたあと前記合波器24に入射される。また、前記音響光学変調器16を通過した前記変調参照光PB4はミラ−25で90度反射されたあと前記合波器24に入射される。上記合波器24は、変調参照光PA4と変調参照光PB4とを合波したうえ、合波参照光P2として前記ビ−ムスプリッタ21に入射する。
【0019】ビ−ムスプリッタ21は、被測定体Sを透過した合波信号光P1と上記合波参照光P2とを合波したうえ、50対50に分割して光電変換器31,32に入射させる。フォトダイオ−ドから成る光電変換器31,32から出力される光電変換信号は光ヘテロダイン検波されたものである。即ち、第1の光源1から発光された波長780nmのレ−ザ光は信号光が音響光学変調器5で80.000MHzで変調されるとともに参照光が音響光学変調器7で80.455MHzで変調されるため、光電変換器31,32から出力される光電変換信号は信号光と参照光の変調周波数の差455KHzの光ヘテロダインビ−ト電気信号となり、第2の光源12から発光された波長が850nmのレ−ザ光は信号光が音響光学変調器15で79.800MHzで変調されるとともに参照光が音響光学変調器16で80.550MHzで変調されるため、光電変換器31,32から出力される光電変換信号はその変調周波数の差750KHzの光ヘテロダインビ−ト電気信号となる。
【0020】光電変換器31,32から出力された455KHzの光ヘテロダインビ−ト電気信号と750KHzの光ヘテロダインビ−ト電気信号は差動演算回路33で差動演算される。そのため、前記第1の光源1、第2の光源12からの時間的に変化する振幅変動成分に対しても、差動演算回路33から出力される455KHzの光ヘテロダインビ−ト電気信号と750KHzの光ヘテロダインビ−ト電気信号の振幅変動成分は除去される。
【0021】差動演算回路33の出力端子には455KHzのバンドパスフィルタ34と750KHzのバンドパスフィルタ35とが接続されており、差動演算回路33から出力された455KHzの光ヘテロダインビ−ト電気信号、750KHzの光ヘテロダインビ−ト電気信号は、バンドパスフィルタ34,35を通過することにより分離される。
【0022】バンドパスフィルタ34を通過した455KHz信号は整流器36で直流信号に変換され、バンドパスフィルタ35を通過した750KHz信号は整流器37で直流信号に変換される。そして、整流器36から出力された直流信号と整流器37から出力された直流信号は比率演算回路38で比率演算される。
【0023】比率演算回路38から出力される信号は、455KHz信号に対応した直流信号の値と750KHz信号に対応した直流信号の値の比となる。比率演算回路38の出力端子に接続された分析装置39は、上記直流信号の比に基づいて前記被測定体S中の被測定物(グルコ−ス)の光吸収率を測定する。即ち、455KHz信号に対応した直流信号は被測定体S中のグルコ−スにより吸収される波長の光が被測定体Sを非散乱光として透過したあとの光強度に対応し、750KHz信号に対応した直流信号は被測定体S中のグルコ−スにより吸収されない波長の光が被測定体Sを非散乱光として透過したあとの光強度に対応するため、分析装置39は両直流信号の比に基づいて被測定体Sの光吸収率からグルコ−スの濃度を測定することができる。
【0024】尚、上記のように分析装置39が両直流信号の比に基づいて被測定体Sの光吸収率を分析し被測定体S中のグルコ−スの濃度を測定する際、初期調整として前記合波器11で合波された変調信号光PA3及び変調信号光PB3を被測定体Sを透過させずに直接前記ビ−ムスプリッタ21に入射させて比率演算回路38から出力される信号が等しくなるように前記第1の光源からの発光強度と第2の光源からの発光強度を調整し、そのあと被測定体Sを光路にセットする。
【0025】尚、上記実施の形態では、第1の光源1と第2の光源12はそれぞれ1個の発光体を用いたが、第1の光源として被測定体S中の被測定物により吸収され易い波長の近傍の波長の光を複数光発光させるために複数の発光体を用いてもよい。この場合、それぞれの発光体から発光された光を信号光と参照光とに分割したうえ音響光学変調器で変調し、それぞれの波長の変調信号光と変調参照光の変調周波数の差に対応した複数の光ヘテロダインビ−ト電気信号が得られ、被測定体S中の被測定物とは別の成分の光吸収特性を区別して測定できることから被測定体S中の被測定物の濃度をより正確に測定することができる。
【0026】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、第1、第2の各光源の光の振幅が時間的に変動しても被測定体の光吸収特性を正確に分析し、被測定体中の被測定物の濃度を測定することができる。また、被測定体の形状に依存せずに被測定体中の被測定物の濃度を測定することができる。
【0027】請求項2の発明によれば、第1の光源から発光された複数波長それぞれの変調信号光及び変調参照光の変調周波数の差に対応した光ヘテロダインビ−ト電気信号から被測定体中の被測定物とは別の成分の光吸収特性を区別して測定できるため、被測定体のより正確な光吸収特性の測定ができる。
【0028】請求項3の発明によれば、光ヘテロダインビ−ト電気信号を得るために必要な光の変調が容易にできる。
【出願人】 【識別番号】000132194
【氏名又は名称】株式会社スズケン
【識別番号】595016897
【氏名又は名称】三井 隆久
【出願日】 平成9年(1997)7月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 英彦 (外6名)
【公開番号】 特開平11−33017
【公開日】 平成11年(1999)2月9日
【出願番号】 特願平9−188603