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【発明の名称】 超音波散乱物質の三次元イメージング・システムおよび方法
【発明者】 【氏名】ウィリアム・トーマス・ハットフィールド

【氏名】トッド・マイケル・ティルマン

【氏名】マイケル・ジョン・ハーシュ

【氏名】デイヴィッド・ジョン・ムジィラ

【氏名】アン・リンジィ・ホール

【氏名】マイケル・ジェイ・ワシュバーン

【氏名】ミール・セッド・セイド−ボロアフォロシュ

【氏名】デイヴィッド・ディー・ベッカー

【要約】 【課題】被検体ボリューム中の超音波散乱物質の三次元イメージング方法およびシステムを提供する。

【解決手段】被検体ボリュームの中へ超音波ビームを送信し、被検体ボリュームから反射された超音波エコーを検出し、焦点深度を変えるために前記送信された超音波ビームの方位方向焦点を制御し、焦点深度の関数として前記送信された超音波ビームの立て方向焦点を制御し、焦点深度の関数として送信波形の特性を調節し、方位方向および立て方向焦点の変更と送信波形の特性の調節とを調整して、被検体ボリューム内のサンプル・ボリュームから導き出された画素データのソース・ボリュームを取得し、ソース・ボリュームから、被検体ボリューム内の関心のあるボリュームに対応する一組の画素データを検索し、一組の画素データを第1の像平面に投影させて、第1の投影像を表す投影データの組を形成し、第1の投影像を前記表示モニタに表示させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検体ボリューム中の超音波散乱物質の三次元イメージング・システムにおいて、超音波ビームを送信して、被検体ボリュームから反射された超音波エコーを検出する超音波トランスジューサ・アレイ、焦点深度を変えるために前記トランスジューサ・アレイの方位方向収束を変える第1の変更手段、前記焦点深度の関数として前記トランスジューサ・アレイの立て方向収束を変える第2の変更手段、前記焦点深度の関数として、前記トランスジューサ・アレイを駆動するために使用される波形の特性を変える第3の変更手段、前記第1、第2および第3の変更手段を調整して、前記被検体ボリューム内のサンプル・ボリュームから導き出された画素データのソース・ボリュームを取得する手段、前記の画素データのソース・ボリュームを記憶するメモリ手段、前記メモリ手段から、前記被検体ボリューム内の関心のあるボリュームに対応する一組の画素データを検索する検索手段、前記一組の画素データを第1の像平面に投影させて、第1の投影像を表す投影データの組を形成する投影手段、表示モニタ、および前記第1の投影像を前記表示モニタに表示させる手段を有していることを特徴とする三次元イメージング・システム。
【請求項2】 前記画素データがBモード強度データを有している請求項1記載のシステム。
【請求項3】 前記画素データが速度データを有している請求項1記載のシステム。
【請求項4】 前記画素データがパワー・ドップラー・データを有している請求項1記載のシステム。
【請求項5】 前記第3の変更手段が、焦点深度の増大につれて送信波形のバースト長を増大させる請求項1記載のシステム。
【請求項6】 前記第3の変更手段が、焦点深度の増大につれて送信波形の周波数を減少させる請求項1記載のシステム。
【請求項7】 前記トランスジューサ・アレイが、1.5未満のFナンバーを持つ横方向開口を有するように作動される請求項1記載のシステム。
【請求項8】 前記第2の変更手段が、焦点深度の増大につれて増大する立て方向開口を持つように前記トランスジューサ・アレイを制御する請求項1記載のシステム。
【請求項9】 更に、前記一組の画素データを、前記第1の像平面に対して回転されている第2の像平面に投影させて、第2の投影像を表す投影データの組を形成する手段、および前記第2の投影像を前記表示モニタに表示させる手段を含んでいる請求項1記載のシステム。
【請求項10】 被検体ボリューム中の超音波散乱物質の三次元イメージング方法において、被検体ボリュームの中へ超音波ビームを送信するステップ、前記超音波ビームの送信に応答して、前記被検体ボリュームから反射された超音波エコーを検出するステップ、焦点深度を変えるために前記送信された超音波ビームの方位方向焦点を制御するステップ、前記焦点深度の関数として前記送信された超音波ビームの立て方向焦点を制御するステップ、前記焦点深度の関数として送信波形の特性を調節するステップ、方位方向および立て方向焦点の変更と送信波形の特性の調節とを調整して、前記被検体ボリューム内のサンプル・ボリュームから導き出された画素データのソース・ボリュームを取得するステップ、前記ソース・ボリュームから、前記被検体ボリューム内の関心のあるボリュームに対応する一組の画素データを検索するステップ、前記一組の画素データを第1の像平面に投影させて、第1の投影像を表す投影データの組を形成するステップ、および前記第1の投影像を前記表示モニタに表示させるステップ手段を有していることを特徴とする三次元イメージング方法。
【請求項11】 前記画素データがBモード強度データを有している請求項10記載の方法。
【請求項12】 前記画素データが速度データを有している請求項10記載の方法。
【請求項13】 前記画素データがパワー・ドップラー・データを有している請求項10記載の方法。
【請求項14】 前記送信波形のバースト長が、焦点深度の増大につれて増大する請求項10記載のシステム。
【請求項15】 前記送信波形の周波数が、焦点深度の増大につれて減少する請求項10記載のシステム。
【請求項16】 1.5未満のFナンバーを持つ横方向開口を有するように作動されるトランスジューサ・アレイによって超音波ビームが送信および受信される請求項10記載の方法。
【請求項17】 焦点深度の増大につれて増大する立て方向開口を持つように作動されるトランスジューサ・アレイによって超音波ビームが送信および受信される請求項10記載の方法。
【請求項18】 更に、前記一組の画素データを、前記第1の像平面に対して回転されている第2の像平面に投影させて、第2の投影像を表す投影データの組を形成するステップ、および前記第2の投影像を前記表示モニタに表示させるステップを含んでいる請求項10記載の方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の分野】本発明は、一般的には、医学診断のための人体の解剖学的構造の超音波イメージングに関するものである。特に、本発明は、組織または血液から反射された超音波エコーを検出することによって人体およびその中を流れている血液の三次元イメージングのための装置に関するものである。
【0002】
【発明の背景】診断用超音波イメージングの最も普通のモードには、(内部の物理的構造を映像化するために使用される)BおよびMモード、並びに(血管における様な流れ特性を映像化するために主に使用される)ドップラーおよびカラー流れモードがある。通常のBモード・イメージングにおいては、超音波スキャナによって、画素の輝度がエコー信号の強度に基づいて定められる像が作成される。カラー流れモードは、典型的にはトランスジューサへ向かう又はトランスジューサから離れる向きの流体の流れの速度を検出するために使用され、また本質的にはドップラー・モードで使用されるのと同じ技術を利用する。ドップラー・モードが単一の選ばれたサンプル・ボリューム(sample volume)について速度対時間を表示するのに対して、カラー流れモードは数百の隣接したサンプル・ボリュームを同時に表示し、これらの全てはBモード像の上に置かれ且つ各々のサンプル・ボリュームの速度を表すようにカラー符号化される。
【0003】ドップラー効果を使用して心臓および血管内の血流を測定することは良く知られている。組織の黒白像を作成するのに反射波の振幅が用いられるのに対して、組織または血液からの後方散乱物質の速度を測定するために後方散乱された波の周波数シフトを使用することが出来る。後方散乱された周波数の変化すなわちシフトは、血液がトランスジューサへ向かって流れているとき増加し、また血液がトランスジューサから離れるように流れているときは減少する。カラー流れ像は、血液のような移動する物質の速度のカラー像を黒白の解剖学的像の上に重畳することによって作成される。各々の画素における流れの測定速度がその色を決定する。
【0004】本発明は、4つの主要なサブシステム、すなわちビーム形成装置2(図1参照)、処理装置4、走査変換器/表示制御器6および主制御器8で構成されている超音波イメージング・システムに用いられる。システムの制御は主制御器8に集中しており、主制御器はオペレータ・インターフェース(図示していない)を介してオペレータ入力を受け入れて、種々のサブシステムを制御する。主制御器はまたシステム・タイミングおよび制御信号を発生し、これらの信号がシステム制御母線10および走査制御母線(図示していない)を介して分配される。
【0005】主データ路が、トランスジューサからビーム形成装置へのディジタル化されたRF入力で始まる。図2を参照して説明すると、通常の超音波イメージング・システムは、複数の別々に駆動されるトランスジューサ素子52より成るトランスジューサ・アレイ50を含む。各々のトランスジューサ素子は、送信器(図示していない)によって発生されたパルス波により付勢されたとき、超音波エネルギのバーストを発生する。被検体から反射されてトランスジューサ・アレイ50へ戻った超音波エネルギは、各々の受信用のトランスジューサ素子52によって電気信号に変換されて、ビーム形成装置2へ別々に印加される。
【0006】各々の超音波エネルギのバースによって作成されたエコー信号は、超音波ビームに沿った相次ぐ箇所に位置する被検体から反射される。エコー信号は各々のトランスジューサ素子52によって別々に検知され、特定の時点でのエコー信号の大きさが特定の距離で生じた反射量を表す。しかし、超音波散乱サンプル・ボリュームと各々のトランスジューサ素子52との間の伝搬路の差により、これらのエコー信号は同時に検出されず、またそれらの振幅は等しくない。ビーム形成装置2は別々のエコー信号を増幅し、各々の信号に適切な時間遅延を与え、そしてそれらの信号を加算することにより、サンプル・ボリュームから反射された全超音波エネルギを正確に表す単一のエコー信号を作成する。各々のビーム形成チャネル54がそれぞれのトランスジューサ素子52からエコー信号を受ける。
【0007】各々のトランスジューサ素子52に当たったエコーによって発生される電気信号を同時に加算するために、ビーム形成制御器56によって各々のビーム形成チャネル54にそれぞれ時間遅延が導入される。受信のためのビームの時間遅延は送信のための時間遅延と同じである。しかし、各々のビーム形成チャネルの時間遅延はエコーの受信の際に連続的に変えられて、エコー信号が出てくる距離の所に受信ビームを動的収束させる。ビーム形成チャネルはまた、受信したパルスに対してアポダイゼーション(apodization)およびフィルタリングを行うための回路(図示していない)を有する。
【0008】加算器44に入る信号は、それらが他のビーム形成チャネル54の各々からの遅延信号と加算されるように遅延される。その結果の加算信号は、ステアリングされたビームに沿って位置するサンプル・ボリュームから反射されたエコー信号の大きさおよび位相を表す。信号処理装置または検出器4が受け取った信号を表示データに変換する。
【0009】ビーム形成装置は、2つの加算されたディジタル・ベースバンド受信ビームを出力する。ベースバンド・データはBモード処理装置4Aおよびカラー流れ処理装置4Bに入力され、そこで取得モードに従って処理されて、走査変換器/表示処理装置6へ処理済み音響ベクトル(ビーム)データとして出力される。走査変換器/表示処理装置6はこの処理済み音響データを受け取って、ラスタ走査フォーマットの像に対するビデオ表示信号をカラー・モニタ12へ出力する。
【0010】Bモード処理装置4Aは、ビーム形成装置からのベースバンド・データを対数圧縮した信号包絡線へ変換する。B機能は、信号の包絡線の時間変化振幅を、各画素に対して8ビットの出力を使用してグレースケールで映像化する。ベースバンド信号の包絡線は、ベースバンド・データが表すベクトルの大きさである。血管や心室などの内部から反射された音波の周波数は血球の速度に比例して偏移する。血球がトランスジューサへ向かって動いている場合は正に偏移し、また血球がトランスジューサから離れる向きに動いている場合は負に偏移する。カラー流れ(CF)処理装置4Bは、イメージング平面内における血液の速度の実時間二次元像を作成するために使用される。血液の速度は、特定の距離ゲートにおいてファイアリング(firing)相互の間での位相シフト(移相)を測定することによって計算される。像内の1つの距離ゲートでドップラー・スペクトルを測定する代わりに、各々のベクトルに沿った多数の距離ゲートおよび多数のベクトル位置から平均血液速度が計算され、この情報から二次元像が作成される。更に詳しく述べると、カラー流れ処理装置は、(8ビットの)速度信号、(4ビットの)分散(乱れ)信号および(8ビットの)パワー信号を発生する。オペレータが、速度および分散またはパワーを走査変換器6へ出力するかどうか選択する。最終的には、出力信号が、ビデオ処理装置22内に含まれているクロミナンス制御ルックアップ・テーブルに入力される。
【0011】走査変換器/表示制御器6のBモード音響線メモリ14Aおよびカラー音響線メモリ14Bが、処理装置4Aおよび4Bからの処理済みディジタル・データをそれぞれ受け取って、Bモード・データおよびカラー流れデータを、極座標(R−θ)セクター・フォーマットまたはデカルト座標線形アレイから、X−Y表示メモリ18に記憶されるように適切にスケーリングしたデカルト座標表示画素データへ座標変換する。Bモードでは、強度データがX−Y表示メモリ18に記憶され、各々のアドレスに3つの8ビット強度画素が記憶される。カラー流れモードでは、データはメモリに次のように記憶される。すなわち強度データ(8ビット)、速度またはパワー・データ(8ビット)および乱れデータ(4ビット)が記憶される。
【0012】走査変換器6は、音響像データを、極座標(R−θ)セクター・フォーマットまたはデカルト座標線形アレイから、適切にスケーリングしたデカルト座標表示画素データへビデオ速度で変換する。この走査変換された音響データは次いで表示モニタ12で表示するために出力される。表示モニタは、Bモードでは、信号の包絡線の時間変化振幅をグレースケールで、すなわちエコー反射信号の強度に基づいて定められた画素の輝度で映像化する。カラー流れモードでは、もし動脈を流れる血液のように動きが存在する場合、反射された信号には動きの速度に比例したドップラー偏移が生じる。表示モニタは、この血液の流れすなわちドップラー偏移を異なる色を使用して、例えばトランスジューサの方へ向かう流れを赤で表示し、またトランスジューサから離れる向きの流れを青で表示する。パワー・ドップラー・イメージングでは、反射されたドップラー信号に含まれるパワーが表示される。
【0013】カラー流れまたはBモード・データの相次ぐフレームが、先入れ先出し形式でシネ(cine;動画)メモリ24に記憶される。記憶は連続的であってもよいし、外部からのトリガ事象が生じたときに行ってもよい。シネ・メモリは、背後で動作していて、使用者に実時間で表示される像データを捕獲するサーキュラー像バッファに類似するものである。使用者がシステムを停止したとき、使用者はシネ・メモリに前に捕獲された像データを見ることが出来る。表示された像上にグラフィック・オバーレイを作成するためのグラフィック・データが、時間線/グラフィック処理装置及び表示メモリ20において作成されて記憶される。ビデオ処理装置22が、グラフィック・データと像データと時間線データとの間でマルチプレクシングを行って、ビデオ・モニタ12上にラスタ走査形式で表示させる最終的なビデオ出力を作成する。更に、ビデオ処理装置は様々なグレースケールおよびカラー・マップを提供すると共に、グレースケールおよびカラー像を組み合わせる。
【0014】通常の超音波スキャナは、解剖学的構造の一領域を通る「スライス」の二次元像を作成する。二次元の超音波像は、観察者が走査している解剖学的構造を具体的に思い浮かべることが出来ないので、解釈するのがしばしば困難である。しかしながら、超音波プローブが関心のある領域にわたって掃引されて、二次元像を累積して三次元像を形成できれば、解剖学的構造は容易に思い浮かべることが出来る。データはボリュームおよび面の描写を含む多数のやり方で処理することが出来る。更に、データは、それを最初に収集した平面以外の平面で再サンプリングして表示することが出来る。これにより、使用者はプローブを適切に位置決め出来ない場合に得られないような視方向の解剖学的構造の像を得ることが可能になる。
【0015】上記の技術は、様々な程度で超音波データを表示するために使用されている。1つの問題は、(空間およびコントラストの両方の)分解能の不良が、スペックル(speckle)およびノイズと組み合わさって、投影像を適切に分割することを困難にすることである。二次元像における分解能の不良は、大きな範囲にわたってビームの一様な焦点を維持することが出来ないこと、帯域幅およびダイナミック・レンジの不良、システムのFナンバーが高いこと、などの多数の因子に起因する。別の問題は、単一列固定焦点トランスジューサ・アレイにより発生されるビームの立て方向(elevation)の焦点の範囲が制限されていることである。三次元像の再構成に使用されるソース・データのスライスの厚さが、一様でない立て方向のビーム幅に起因して変化する。従って、再構成像は、投影または再サンプリング像が取得平面に対して直角な角度に近づくにつれて、次第に劣化する。このことから、二次元像の空間分解能およびコントラスト分解能の両方を改善するために、Fナンバーを小さくし且つシステムの帯域幅を増大させることが要望されており、また更に、超音波ビームの立て方向焦点を一層大きい範囲にわたって制御して、一様な厚さの一層薄いスライスを得て、三次元イメージングにおいて分割(セグメンテーション)を改善できるようにすることが要望されている。
【0016】
【発明の概要】本発明は、関心のあるボリュームを走査することによって取得された超音波データを投影することにより三次元イメージングを行う方法および装置である。実質的に一様な厚さを持つ多数のスライスを使用して、被検体ボリュームが走査される。超音波スキャナが、Bモード像またはカラー流れ像を連続して又は外部のトリガ事象に応答して、すなわち多数のスライスに対してシネ・メモリ内に収集する。各々のスライスに対するそれぞれの関心のある領域からのサンプル・ボリューム・データが主制御器へ送られ、このようなデータは関心のあるボリュームを形成する。主制御器は、レイ・キャスティング(ray−casting)法を使用して、関心のあるボリューム内のサンプル・ボリューム・データを複数の回転された像平面上に投影する。各々の投影に対するサンプル・ボリューム・データがシネ・メモリ内に別々のフレームで記憶され、オプションとして最後の背景フレームの内の、関心のある領域の外側にある部分も一緒に記憶される。これらの再構成されたフレームは次いでシステムのオペレータによって選択的に表示される。
【0017】本発明によれば、三次元投影像の分割が、投影を導き出そうとする二次元スライスの厚さを小さくし且つ該スライスの分解能を増大する(すなわち、点広がり関数を低減する)ことによって向上される。スライス厚さは、ビームの立て方向焦点を増大することによって減少される。二次元分解能は、開口をひらくこと、すなわちFナンバーを小さくすることにより、また帯域幅を増大することにより、増大される。その結果、ボクセルの大きさがかなり小さくなる。
【0018】本発明の方法は、多数の送信焦点域の使用、および小さいFナンバーすなわちBモードに対して0.5〜2.0およびカラー流れモードに対して1.0〜3.0のFナンバーを持つ送受信開口の使用を含む、多数の技術を用いる。小さいFナンバーを持つ多数の送信焦点域を使用することにより、一層大きい被写界深度(depth−of−field)にわたって密な収束を行うことが可能になる。更に、各々の送信焦点域に対して特定の波形および特定の利得曲線が使用される。具体的に述べると、波形の中心周波数を深さの増加につれて低くして、減衰を減少させ且つ侵入を大きくすることができ、また波形のバースト長を深さの増加につれて短くして、より大きい深さの所での感度を改善することが出来る。
【0019】Bモード・イメージングでは、多数の焦点域が各々の音響フレームに対してファイアリングされ、焦点外(out−of−focus)データがビーム形成の際に廃棄される。カラー流れモードでは、各々の焦点域が別々の音響フレームでファイアリングされ、適応フレーム平均化アルゴリズムがこれらの音響フレームの各々からの焦点内(in−focus)データを一緒に組み合わせるために使用される。
【0020】一様な立て方向ビーム幅が、第1および第2の外側列の対になったトランスジューサ素子の間に中心列のトランスジューサ素子を有する多重列トランスジューサ・アレイの使用により達成される。好ましくは、中心列が外側の列の対になった素子の組合せ面積よりも小さい面積を持つ素子で作られる。この幾何形状により、特に極近距離場において、優れた性能(一層薄く且つ一様な像スライス、一層大きいコントラスト分解能)が得られる。好ましくは、このアレイは5列であって、多焦点レンズを持ち、最も外側の列の各対の素子の組合せ面積は、中心列の各素子の面積よりも大きく、また中間の列の各対の素子の組合せ面積よりも大きい。
【0021】本発明の好ましい実施態様によれば、立て方向焦点、波形の中心周波数および波形のバースト長の各々が深さの関数として変更される。従って、多数の焦点域をプログラムして、像全体にわたってより良好な点広がり関数を達成することが出来る。その上、ビーム形成パラメータを調節することにより、アクティブな素子の数を増大して、プローブの開口を開く、すなわちFナンバーを小さくすることが出来る。これは、サイドローブを小さくし、一層良好なピーク対ノイズ・フロア比を生じる効果を有し、これによりコントラスト分解能が改善される。また、超音波システムにおけるデータのビット幅を増大させ且つシステムの全体のノイズ・フロアを低下させることによって、ダイナミック・レンジを一層広くすることが出来る。
【0022】本発明の好ましい一実施態様による超音波イメージング・システムは、システムのビーム形成パラメータにより方位方向および立て方向の両方におけるビームの焦点を深さにつれて変えることが出来るようにするディジタル・ビーム形成装置を有する。第2の好ましい実施態様は、システムのビーム形成パラメータによりビームの方位方向焦点を変更し且つ固定焦点レンズにより立て方向焦点を深さにつれて変えることが出来るようにするディジタル・ビーム形成装置を有する。従って、ずっと大きい範囲にわたって一層狭く且つより一様なビーム幅を維持することが出来る。更に、ディジタル・ビーム形成装置は、一層広い開口したがって一層小さいFナンバーを生じるようにプローブの開口を制御することが可能である。
【0023】
【好ましい実施態様の説明】本発明の一面によれば、空間分解能を増大させるために小さい送受信Fナンバー(すなわち、広い開口)が使用される。小さいFナンバーの開口の使用による音響ビーム分布に及ぼす効果が、図3および4に示されている。図3は、大きいFナンバー(小さい開口)を使用した場合を示す。横方向の収束は、被写界深度がかなり大きい範囲になっていても、焦点において非常に鋭くはない。図4は、小さいFナンバー(大きい開口)を使用した場合のビームを示す。横方向の収束は焦点において狭く(鋭く)なっており、被写界深度は狭くなっている。本発明の好ましい実施態様では、Fナンバーの範囲はBモードに対して0.5〜2.0であり、カラー流れモードに対しては1.0〜3.0である。
【0024】本発明の別の特徴によれば、多数の送信焦点域が使用される。小さいFナンバーを持つ多数の焦点域を使用することにより、被写界深度の問題が解決され、図5に示されるように大きな被写界深度にわたって鋭い収束が可能である。本発明のシステムによれば、各々の走査線に沿って1〜8つの焦点域を使用することが出来る。本発明による多数の焦点域のファイアリングは、各々の焦点域に対して完全なパケットをファイアリングすることが必要であるので、既にフレーム速度で制限されているカラーイメージング・モードに対して問題を提起する。この問題は、別々の音響フレームで各々の焦点域をファイアリングすることによって克服される。従って、焦点域の位置がフレーム毎に変化する。
【0025】その上、各々の焦点域に対して特定の波形を使用することが出来る。近距離場では、送信波形は比較的短いバースト長を持つ。例えば、本発明の好ましい実施態様に従ったBモード・イメージングでは、近距離場における送信波形はただ1つのパルスを持つことが好ましく、このパルスはパルス繰返し周波数で繰り返される。短いバースト長の波形の使用により、感度を犠牲にして(波形のエネルギを小さくして)より良好な軸方向分解能が得られる。感度の低下は、近距離場で開口を大きくすることによって補償できる。遠距離場では所要の侵入を達成するために長いバースト長の波形がしばしば必要になる。本発明の別の面によれば、送信波形は焦点域毎に変えることが出来る。低い周波数の波形を使用すると、侵入深さが大きくなり、また高い周波数の波形を使用すると、近距離分解能が良くなる。
【0026】腹部のBモード・イメージングの場合、本発明のシステムは1.0のFナンバーを持つ開口を使用して、2.5〜5MHzの範囲で送信する。より小さい人体部分のBモード・イメージングでは、本発明のシステムは1.5のFナンバーを持つ開口を使用して、8.75〜12MHzの範囲で送信する。焦点域の好ましい数は2〜8である。
【0027】カラー流れモードでは、復調周波数の好ましい範囲は、プローブの応じて1.25〜8MHzである。各々の焦点域に対する好ましい送信サイクル数(すなわち、バースト長)は、送信焦点深度、中心周波数および所望の軸方向分解能に応じて、2〜8サイクルである。例えば、カラー流れモードに対する1つの高分解能ビーム形成セットアップによれば、復調周波数は全ての焦点域に対して5MHzであり、送信サイクル数は最初の10個の焦点域の位置(例えば、0.4cmから3.1cmまでの範囲)に対して3であり、11番目および12番目の焦点域の位置(例えば、それぞれ3.4cmおよび3.7cmの位置)に対する送信サイクル数は4である。
【0028】本発明の更に別の面によれば、各々の焦点域に対して特定の利得曲線が使用される。ここで「利得曲線」とは、システムの利得が深さにつれて変化する様子を表す。深さが大きくなるにつれて音響信号の減衰が大きくなるので、深さが大きくなるにつれ、深さが浅い場合よりも一層大きな利得が必要になる。深さにわたって比較的一様な像を作成する(利得を一様にする)ため、典型的には深さが大きくなるにつれてより大きい利得を適用することが必要になる。しかしながら、本発明によれば、送信された信号のエネルギの殆どが送信焦点域またはその付近に現れる。各々の焦点域に対して特定の利得曲線を使用して、利得整合が行われる。利得曲線は、ファイル内にある各々の焦点域に対する一組のナンバーであり、このナンバーはその処理段内の信号に適用される利得を表す。これらの利得曲線は、ビーム形成装置の一部である等化ボードで適用される。
【0029】カラー流れモードでは、利得は、信号が焦点域において幾分高くなり且つ焦点域から離れるにつれて小さくなるように、調節される。このようにして、カラー流れフレーム平均化アルゴリズムは、高い焦点内信号を捕捉し、且つ焦点域から離れた区域からの焦点外信号寄与分を最小にする。カラー流れモードで走査する際、二次元像を作成するには、垂直なベクトルを左から右へ順次ファイアリングして、像を形成する一組の二次元の画素データを蓄積する。この垂直なデータ・ベクトルの組は、カラー流れデータの音響フレームとして知られている。カラー流れモードで走査する際、カラー流れデータの各々の音響フレームが取得されたとき、それは次の音響フレームが取得されている間に更に処理される。本発明の考え方によれば、各々の音響フレームはそのベクトルに対して1つの送信焦点域の位置を持ち、それはその前の音響フレームおよびその後の音響フレームの焦点域から異なるものであってよい。表示の準備のためにこれらの音響フレームの各々からの焦点内データを一緒に組み合わるために、適応フレーム平均化アルゴリズムが使用される。好ましい実施態様によれば、非線形のデータ依存性フレーム平均化アルゴリズムを使用して焦点域が組み合わされる。この方法の利点は、伝統的な単一焦点カラー・モードに比べて何ら付加的なファイアリングが必要とされないので、実際のフレーム速度が更に低下されることがないことである。像中の任意の所与の流れ信号レベルは、その流れに最も近い焦点域が送信されたとき、振幅が強くなる。他の離れた焦点域がファイアリングされたときは、その同じ流れは振幅が弱くなって現れる。フレーム平均化アルゴリズムはこの事実を利用して、強い焦点内流れ振幅を弱い焦点外流れ振幅よりも多く存続させて、空間分解能が一層高く且つ感度が一層大きい合成表示像を作成する。これは速度モードでもうまく働く。というのは、送信焦点域から離れた弱い焦点外流れが速度モード振幅閾値以下に低下する傾向があって、表示されないからである。送信焦点域またはその付近における強い焦点内流れは、この閾値より大きくなる傾向があり、従って速度信号は表示されることになる。
【0030】本発明の好ましい実施態様によれば、最適な立て方向性能(最小の像スライス厚さおよび最大のコントラスト分解能)が、短い(すなわち、高さの小さい)中央列および高い(すなわち、高さの大きい)最も外側の列を有する多重列トランスジューサ・アレイにより達成される。最も外側の列はまた、立て方向の高さが中間の列よりも大きい。
【0031】上記のアレイ設計原理の一応用例として、図6は、本発明のシステムで用いることの出来る、小さい中心列102a並びに大きい最も外側の列102dおよび102eを持つ5列の1.25Dアレイ100Cを示す。各々の列の縁はアレイの中心線から距離(1/4 、2/4 、1)ymax の所にある。従って、中間列の対になった素子102bおよび102cが、中心列の各々の素子102aの面積に等しい面積を持つ。また最も外側の列の対になった素子102dおよび102eが、中心列の各々の素子102aの面積の2倍に等しい面積を持つ。超音波パルスが、35mm、65mmおよび90mmの焦点を持つ多焦点レンズ116を介して送信される。レンズ116の内の、35mmの焦点距離を持つ中心部分が、中心列102aによって送信された超音波ビームを収束する。また、65mmの焦点距離を持つ次に隣接したレンズ部分が、中間の列102bおよび102cによって送信された超音波ビームをそれぞれ収束する。また更に、90mmの焦点距離を持つ最も外側のレンズ部分が、最も外側の列102dおよび102eによって送信された超音波ビームをそれぞれ収束する。多焦点レンズは、中心列を、該中心列だけがアクティブである近距離場に収束(または焦点合わせ)させ、且つ外側の列を、それらがアクティブである唯一の領域である遠距離場に収束(または焦点合わせ)させることによって、立て方向のビーム分布の一様性を改善する。
【0032】図6に示された1.25Dアレイにおいて、多数のマルチプレクサ114が対応する多数の信号導線118(図6には1つのマルチプレクサおよび1つの信号導線だけしか示されていない)にそれぞれ接続される。各々の信号導線118はそれぞれのビーム形成チャネル(図6に示していない)に接続される。各々のマルチプレクサ114は3つの内部スイッチを有し、これらにより信号導線108a−108cを信号導線118と接続するように選択する。各々の立て方向の列のトランスジューサ素子は、このような信号導線のそれぞれの組に接続される。すなわち、中心列の素子102aが信号導線108aに接続され、中間列の対になった素子102bおよび102cが信号導線108bに接続され、最も外側の列の対になった素子102dおよび102eが信号導線108cに接続される。実際には、素子対の形成(すなわち、102bと102cとの接続、および102dと102eとの接続)はプローブ・ヘッド内で行われる。マルチプレクサは、プローブ・ヘッド内、またはプローブ・ケーブルの制御卓側の端部、或いは制御卓自身内に配置してよい。
【0033】マルチプレクサのスイッチの状態を変えるときにノイズが発生されるので、このプローブを使用するには、典型的には毎ビーム当たり3つの送受信サイクルが必要である。中心列の素子102aに対するマルチプレクサのスイッチ114aが閉じていて、他のスイッチ114bおよび114cが開いている場合、送信遅延は近距離場で方位方向収束(または焦点合わせ)を行うように設定され、近い部分のビーム・データが取得される。次に、スイッチ114aおよび114bが閉じられ、送信および受信遅延が再構成されて、列102a、102bおよび102cを使用して中距離場のデータが取得される。最後に、全てのマルチプレクサのスイッチが閉じられ、送信および受信遅延が再構成されて、列102a−102cを使用して遠距離場のデータが取得される。これらの3つの区域からのデータはイメージング・システム内で一緒に組み合わされ、遷移における感度の変化を補償する処置が取られる。従って、本発明によれば、立て方向および方位方向の両方向におけるビーム焦点が深さの関数として変えられる。
【0034】近距離場から遠距離場へイメージング深度が増大するにつれて、作動するトランスジューサ素子の列の数が多くなる。最大距離にわたって一様な立て方向性能を得るために、アクティブな開口が大きくなるにつれてアレイの有効焦点距離を増加させることが好ましい。図6に示したアレイの場合、全ての立て方向収束(または焦点合わせ)は音響レンズによって行われる。開口の増加につれて焦点の位置を増加させるため、多焦点レンズが使用される。
【0035】図6に示された好ましい実施態様の変形によれば、中心列102aの各々のトランスジューサ素子が所定の面積を持ち、また外側の列102dおよび102eの各対のトランスジューサ素子が該所定の面積よりも大きい第1の組合せ面積を持ち、更に中間の列102bおよび102cの各対のトランスジューサ素子が該所定の面積よりも大きく且つ第1の組合せ面積よりも小さい第2の組合せ面積を持つ。
【0036】図6に示されたアレイの立て方向ビーム制御はレンズおよびマルチプレクサだけによって行われる。アレイの各々の立て方向の列内の全ての素子が同じビーム形成チャネルに接続されて、同じ電気的時間遅延およびシェーディングを受ける。しかし、立て方向焦点を達成するために、本発明では1.5Dアレイも使用することが出来る。立て方向に対称な場合(ステアリング無し)、これは各組の対になった立て方向の素子に対して独立のビーム形成チャネルを必要とする。
【0037】上述の技術は、被検体ボリュームから取得された画素データの1スタック(stack)のフレームを得るために用いられる。プローブが、手による走査によって又はプローブを動かすためのシステムの使用によって、解剖学的構造のある領域にわたって掃引されたとき、三次元ボリュームを得ることが出来る。各々のフレーム像の、次のフレーム像に対する位置は、多数の仕方で決定し得る。プローブは、いくつかの態様で、例えば、直線的に動かすことにより、ある角度にわたって揺動させることにより、又はプローブ面に対して直角な角度を通って回転させることにより、走査することが出来る。もしプローブが既知の距離にわたって又は既知の角度範囲にわたって一定の速度で平行移動されるときは、各々の像間の距離は容易に決定することがあ出来る。プローブが平行移動した距離は、多数の仕方で、例えば、単純に適当な測定装置を使用して距離を測定することにより、解剖学的構造上に又は解剖学的構造内部にマーカーを使用することにより、またはプローブに位置センサを取り付けることにより、決定することが出来る。プローブはまた任意の経路に沿って動かすことができ、プローブ上に取り付けられた位置センサからのデータは各々の像の位置を決定するために使用することが出来る。更に、プローブは、既知の経路に沿ってプローブを動かす装置内に固定することも出来る。
【0038】図7および8を参照して、本発明に従ってサンプル・ボリューム・データを三次元像に投影する方法を説明する。図7に示されているように、主制御器8が中央処理装置(CPU)42およびランダム・アクセス・メモリ44を有する。CPU42はその中に、取得したサンプル・ボリューム・データを異なる角度で取った多数の投影像に変換するのに使用されるルーチンを記憶するための読出し専用メモリ(ROM)を含む。CPU42は、システム制御母線10を介してX−Y表示メモリ18およびシネ・メモリ42を制御する。具体的に述べると、CPU42はX−Y表示メモリ18からビデオ処理装置22およびシネ・メモリ24へのデータの流れを制御すると共に、シネ・メモリ24からビデオ処理装置22およびCPU42自身へのデータの流れを制御する。被検体の多数の走査またはスライスの内の1つを表す各フレームの画素データは、X−Y表示メモリ18に記憶されて、次のサイクルでビデオ処理装置22およびシネ・メモリ24へ伝送される。走査された被検体ボリュームを表す1スタックのフレームが、シネ・メモリ24内の一区分24Aに記憶される。初期化の際(図8のステップ26を参照)、CPU42はシネ・メモリの区分24Aから関心のある被検体ボリュームに対応するデータのみを検索する。これは、関心のある被検体ボリュームに交差する走査によって取得された各々の記憶されたフレームから、関心のある領域内の画素データのみを検索することにより達成される。換言すれば、1スタックの相次ぐフレームの内の各々の1つフレームからの関心のある領域に対応する画素データが、関心のあるソース・データ・ボリュームを形成する。図8に示されているように、関心のある被検体ボリュームに対応する画素データ組内の強度データが、オプションとして、スペックル・ノイズを平滑化し且つアーティファクトを低減するために、投影の前にフィルタリングされる(ステップ28)。これにより、投影の際に、スペックル・ノイズによるデータの損失が防止される。例えば、血管は周囲の組織よりもエコー源性(echogenic)が小さい。従って、血管は最小の強度の投影を使用して映像化することが出来る。この代わりに、逆ビデオ/最小モードで、強度データを逆転することにより、血管が暗くではなく明るくなるようにする。この場合、血管は最大の強度の投影を使用して映像化することが出来る。所望の画素データと対比して明るいスペックルである最大強度の選択を防止するために、フィルタを使用することにより、このような明るいスペックル強度を投影の前に除くことが出来る。シネ・メモリ24から検索されたソース・データ・ボリュームは、例えば111 141111カーネルを持つ3×3コンボリューション・フィルタを使用してCPU42によってフィルタリングすることができる。すなわち、各々のスライスまたはフレームにおいて各々の3×3画素配列内の中心画素の強度データが、この中心画素の値の4倍の値に該画素を囲む8つの画素の値の和を加えた値に比例する強度値に置き換えられる。このようにフィルタリングされたソース・データ・ボリュームは、次いでメモリ44に記憶される(ステップ30)。同様に、コンボリューション・フィルタを使用することにより、最小の強度の投影の前に像中のブラック・ホールを除去し得る。
【0039】次に、CPU42は、ここに引用する米国特許第5,226,113号明細書に開示されているレイ・キャスティング・アルゴリズムを使用して、一連の変換を行う。相次ぐ変換は、所定の角度範囲内、例えば+90°乃至−90°の範囲内で所定の角度増分で、例えば10°の間隔で作られた最大、最小または平均化された強度、速度またはパワーの投影を表す。しかしながら、角度増分は10°である必要はなく、また本発明が特定の角度範囲に制限されるものでもない。
【0040】本発明で使用されるレイ・キャスティング法によれば、サンプルの立体的に表現された投影像が、実質的に一様な立て方向ビーム幅を持つ超音波トランスジューサ・アレイを使用して被検体ボリュームを走査することによって、任意の視角度から表示される。サンプル・ボリュームは、一連の積み重なった隣接したスライスを作成するように走査され、各々のスライスは同じ数の被検体ボリューム要素(ボクセル)を含む。各々のボクセルはシートの平面(例えば、X−Y平面)内に矩形の輪郭を持つ。この輪郭が正方形になるように相補的な辺は等しい長さであってよいが、シートの厚さは一般にいずれの辺の長さよりも大きい。
【0041】各々の被検体ボクセルが分析されて、そのデータ値(強度、速度またはパワー)がデータ・ボリュームの対応するデータ・ボクセルに置かれる。データ・ボリュームは、各々の被検体スライスの厚さおよび各々の被検体ボクセルの面寸法(X−Y平面におけるボクセルの寸法)が一般に同じでなくても、簡単な立方格子である。
【0042】CPU42によって用いられる公知の技術に従って、各々のデータ・ボクセル内の格子点から像平面へのレイ・キャスティングすなわち射線の投射によって被検体ボリュームが投影される(図8のステップ34)。便宜のため、格子点は、例えばデータ・ボリュームの原点に最も近いデータ・ボクセルの頂点であってよい。全ての射線は像平面のある部分に当たるが、考慮中の像平面画素内に入る射線のみが該像平面画素に対するデータに寄与することが出来る。最大の画素の投影の場合、各々の投影された値が現在記憶されている値と比較されて、2つの値の内の大きい方の値がその画素60aに対して記憶される。最小の画素の投影の場合、2つの値の内の小さい方の値が記憶される。選ばれたデータ・ボリューム内の各々のボクセルが逐次的に入力されて像平面へ向けて投影されるとき、あるデータ・ボリュームのボクセルは最終的にその関連する射線に沿って投影されて、所望の画素内に衝突せず、これによりそのデータ値(例えば、強度)はその画素に対して現在記憶されているデータ値と比較されない。特定の三次元の視角度におけるデータのその投影に対して、その画素に対する最大データ値がそのとき確立される。全てのデータ値は、新しい投影が取られるときにゼロにリセットされる。従って、像平面の画素の各々は像投影手順の開始時にリセットされ、(選択された被検体ボリュームの部分によって設定されるような、全空間または選択された部分内の)データ・ボリュームのボクセルの全ては個別に且つ逐次的に走査される。各々データ・ボクセル内のデータ値は、その1つの画素内で像平面に衝突する関連の射線により投影され、各々の画素内の最大値は射線投射されたデータ・ボリューム・ボクセルの現在値との間で比較され、大きい方の値が最大値像の一部分として記憶される。
【0043】上記の技術の別の面によれば、データ投影がスケーリングされ(図8のステップ36)、被検体ボリュームと像平面との間の非等方性が、逆投影の完了後の一組の計算だけによって除かれる。被検体ボリュームが実際のボリューム(容積)であるのに対して、データ・ボリュームが抽象的な概念であるので、第1の平面において、任意の視方向が被検体ボリュームおよびデータ・ボリュームの両方に対して位置決めされる角度よりも異なる角度での立方データ・ボリューム格子の存在に起因するデータ投影のひずみの量を決定することが必要である。各々のボクセルの見かけの寸法は、有効な立て方向の角度(仰角)が変わるにつれて変わろうとする。アスペクト比(被検体ボリューム内の実際のスライスの厚さと同じ被検体ボリューム内の実際の画素の大きさとの比として定義される)が1でない(すなわち、1より大きい)場合、立て方向の角度が異なり、データ・ボリューム内の立て方向の角度が被検体ボリューム内の立て方向の角度とは異なる。そのとき、データは被検体の立て方向の角度に従って回転される。その後、投影されたデータは、(回転が水平軸の周りになされた場合)被検体ボリューム内で正しい高さを持つように、全ての投影されたデータの高さに立て方向スケーリング係数を乗算することによって、スケーリングすることが出来る。3×3回転マトリクスの要素が(米国特許第5,226,113号明細書に開示されている様に)決定され、これらの関係を使用してデータ・ボリュームから像平面への変換が決定される。データが像平面上に投影された後、等方性でない被検体ボクセルの効果を補正するために像がスケーリングされる。回転マトリクスの係数は投影の始めに予め計算して(図8のステップ32)、全ての回転の計算のために使用することが出来る。
【0044】本発明の別の面によれば、表示の前に、スケーリングされた像平面データが所望の輝度およびコントラストを達成するように写像される(図8のステップ38)。図8に示されている方法は、シネ・メモリから検索された関心のあるデータ・ボリュームに対して、Bモード強度データに、或いはカラー流れ速度またはパワー・データに適用することが出来る。投影像内の各々の画素は、所与の像平面上への投影によって導き出された、変換された強度データおよび変換された速度またはパワー・データを含む。更に、シネ・メモリがオペレータによって停止されたときに、CPU42はオプションとしてシネ・メモリ24の区分24B内の多数の相次ぐアドレスにX−Yメモリ18からの最後のフレームを記憶させる。第1の投影視角にたいする投影像データがシネ・メモリの区分24B内の第1のアドレスに書き込まれ、これにより関心のある領域内の投影像データが背景のフレーム上に重畳される。このプロセスは、全ての投影像がシネ・メモリの区分24B内に記憶されるまで、各々の角度増分に対して繰り返される。各々の投影像フレームは、変換されたデータを含む関心のある領域から成り、オプションとして関心のある領域を囲んでいて、関心のある領域の変換されたデータによってオーバーライト(上書き)されない背景フレーム・データより成る背景周辺部を有する。背景の像は、各々の表示された投影がどの場所から見たものであるかを一層明確にする。そこで、オペレータは投影像の内の任意の1つを表示のために選択することが出来る。更に、一連の投影像を表示モニタ上にリプレイ(再生)して、被検体ボリュームをあたかも観察者の前で回転しているかのように表示することが出来る。
【0045】上記の好ましい実施態様は例示の目的で開示された。超音波イメージングまたはコンピュータ・グラフィックスの分野における当業者には種々の変更および変形を容易になし得よう。このような全ての変更および変形は特許請求の範囲に包含されるものである。
【出願人】 【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【出願日】 平成10年(1998)5月6日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】生沼 徳二
【公開番号】 特開平11−28210
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平10−123445