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【発明の名称】 X線CT装置
【発明者】 【氏名】中澤 哲夫

【氏名】宮崎 靖

【要約】 【課題】スライス方向に複数配列されているX線検出器の一部を散乱線検出器として用いることで高精度の散乱X線補正を行うX線CT装置を提供する。

【解決手段】X線源であるX線管200を連続して回転し、X線検出器250により被検体Bの投影データを複数回連続して計測すると共に、この投影データを基に被検体Bの断層映像を画像処理装置103で再構成して表示装置100上に逐次表示するX線CT装置において、被検体Bを透過するX線を検出するX線検出器250は、スライス方向に複数列配置されており、コリメータ300によりスライス方向にX線をコリメートし、この複数列配置されたX線検出器の内の一部の列(例えば1列目と四列目)の検出器を散乱X線検出器として用い、この検出器で検出された散乱線を補正に用いる。これにより、高精度の散乱X線補正を可能とし、散乱線により引き起こされるCT値の落ち込みやCT値一様性の劣化を抑制し、高画質な画像を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 X線源と、X線検出器とを持ち、画像再構成を行うX線CT装置において、前記X線検出器は、スライス方向に複数列配置されており、この複数列配置されたX線検出器の内の一部の列の検出器を、散乱線検出器として用いることを特徴とする散乱線補正機能付X線CT装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線を用いて患者など体内の断層映像を得るX線CT装置に関し、特に、散乱X線の悪影響を低減することの可能な構造を備えた散乱線補正機能付X線CT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】X線CT装置は、医療などにおいて既に広く利用されており、また、様々な利用方法がユーザーによってなされている。例えば、第3世代のX線CT装置で説明するならば、X線源より様々な角度からX線を被検体に向けて照射し、これにより被検体を透過したX線をX線検出器で取り込み、この取り込んだデータ(一般的に、「投影データ」と呼ばれる)を元にして再構成処理を行い、これにより被検体の断層映像を得る。なお、取り込んだ投影データから画像を得る再構成処理には色々な手法が堤案されており、例えば、逐次近似法,フーリエ変換法,逆投影法等が知られている。
【0003】ところで、上記のX線CT装置において検出器で取り込まれる投影データには、純粋に被検体を透過したデータのみが含まれている訳ではなく、その中には、X線が被検体によって散乱された散乱X線や、装置による散乱X線等も含まれている。このように、投影データには、被検体を透過しただけの直接線のみではなく、様々な原因による散乱線が含まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この散乱線の影響としては、実際には被検体を透過していないデータがX線検出器により取得されることとなるため、最終的に再構成処理によって得られる画像上において、CT値の一様性などを著しく劣化させる要因となっている。また、人体の骨等、X線吸収係数が高い物質の周辺でも、やはり、このCT値の落ち込みにより、得られる画像上で黒く表示されてしまい、臨床の場では、誤診を招くことにもなり兼ねない。
【0005】そこで、従来、かかる投影データに入り込んだ散乱線を取り除く散乱線補正方法が各種提案されている。例えば、ある投影角度の投影データのチャンネル方向の合計値から、実験的に予測した散乱線量を求めておき、これを投影データから取り除く方法や、特に、スライス方向に複数の検出器を配置していない一次元のX線検出器では、周辺のチャンネルを散乱線検出器として用い、この散乱線検出器に入り込んだデータを散乱線量として補正に用いる等の方法などが提案されている。
【0006】しかしながら、上記の従来技術では、特に、スライス方向に複数のX線検出器を有しているX線CT装置では、上記のような効果的な散乱線補正法についての堤案は何らなされていないのが現状である。
【0007】本発明では、スライス方向に設けた複数のX線検出器の一部を利用することにより、正確に散乱線量を測定して効果的な散乱補正を行い、もって、高画質な画像を得ることが可能な散乱線補正機能付X線CT装置を提供することをその目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の目的を達成するために提供される散乱線補正機能付X線CT装置は、X線源を連続して回転して被検体の投影データを複数回連続して計測すると共に、この投影データを基に被検体の断層映像を再構成して表示装置上に逐次表示するX線CT装置において、前記被検体を透過するX線を検出するX線検出器は、スライス方向に複数列配置されており、この複数列配置されたX線検出器の内の一部の列の検出器を、散乱線検出器として用いるものである。
【0009】すなわち、本発明によれば、複数のX線検出器内の一部を散乱線検出器として用いることにより正確な散乱線量を測定し、これを補正に用いることで散乱線の悪影響抑制し、アーチファクトを低減させ、CT値の一様性の良好な画像を得ることが出来るようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を用いて詳細に説明する。まず、図2には、本発明の実施の形態になる散乱線補正機能付X線CT装置の全体構成が示されている。図からも明らかなように、このX線CT装置は、表示装置100と、装置全体を統括するホストコンピュータ101と、X線発生系やX線検出系などを搭載し、スリップリングによって連続スキャンが可能なスキャナ系102と、画像の前処理や画像再構成処理あるいは各種解析処理を担当する、プリアンプ(図3において、符号106で示す)を含む画像処理装置103と、前記X線発生系に高電圧を供給する高電圧発生装置104と、その上に被検者を載せる患者テーブルl05などから構成される。なお、図示しないが、ホストコンピュータ10lは、その入力装置として、キーボード,マウス,トラッキングボール等を備えている。
【0011】図3は、上記スキャナ系102の詳細な説明図であり、本発明の散乱線補正機能付X線CT装置によれば、高電圧発生装置104から供給される高電圧によりX線を発生するX線管200は、図示しないチャンネルコリメータにより、チャンネル方向のX線照射範囲を予め設定されて被検体Bに照射される。一方、被検体Bを介してX線源である前記X線管200と対向する位置には、X線検出器250が配置される構造となっており、これらが被検体あるいは被写体B等の周囲を回りながら、様々な角度から投影データを求めるようになっている(第3世代CT)。
【0012】次に、本発明になる散乱線補正機能付X線CT装置の特徴となる、スライス方向に複数配列されたX線検出器の構造とその動作について、図4により説明する。
【0013】このスライス方向に複数配列されたX線検出器250は、図4(a)からも明らかなように、スライス方向に複数列のX線検出器を配列して構成されており、本実施の形態の例では、例えば、4列のX線検出器を配列して構成されたX線検出器が示されている。また、図4(b)には、このスライス方向に4列のX線検出器を配列してなるX線検出器250のスライス方向の断面が示されている。
【0014】これに対し、比較のため、現在多く普及している第3世代のX線CT装置におけるX線源であるX線管200と、そのX線検出器250’の概略が、添付の図5に示されている。すなわち、図5(a)にも明らかなように、この第3世代のX線CT装置におけるX線検出器250’は、1列のX線検出器で構成されている。
【0015】続いて、上記図4と図5に示した本発明になる散乱線補正機能付X線CT装置のX線検出器250と、第3世代のX線CT装置におけるX線検出器250’との比較を以下に説明する。まず、図5に示す上記第3世代のX線CT装置におけるX線検出器250’の構造では、図5(b)に示すように、被写体Bを透過したX線は、上記X線検出器250’で得られるものであるが、しかしながら、この場合、1回のスキャンで断層像は、1断面分しか得られない。
【0016】これに対して、上記図4(a)に示すように、スライス方向に4列のX線検出器を配列してなるX線検出器250を備えたX線CT装置では、1回のスキャンで、4断面分を得ることが可能になる。なお、実際に、この1回のスキャンで得た4断面分のデータから4断面を再構成しようとする場合には、上記した通常の再構成処理に加え、さらに補正が必要となり、また、この複数の検出器からの補正及び画像再構成方法については、各種の方法が堤案されているが、ここでは、本発明とは直接関連しないことから、その補正についての説明は省略する。
【0017】なお、ここで、上述の本発明の散乱線補正機能付X線CT装置におけるX線検出器250ように、X線検出器を複数(4列)配列にした場合の利点を考えると、1回のスキャンで得ることができる断屠像は著しく増大する(4倍に増加する)ので、X線CT検査におけるスループットが向上し、患者に与える負担を軽減することに加えて、患者が受ける被曝線量を低減することが挙げられる。また、X線源に対しても、1スキャン分の曝射で複数枚(4枚)の断層像が得られるわけであるから、相対的にX線源の寿命が延びることともなる。
【0018】次に、本発明のスライス方向に複数配列されたX線検出器を具備した散乱線補正機能付X線CT装置の動作について説明する。図4(a)及び(b)での説明では、X線検出器250には被写体Bを透過したX線のみが得られるようになっているが、実際には、図6の様に、被検体Bに当たって散乱されたX線や、CT装置によって散乱されたX線など、様々に散乱された散乱線が、被写体Bを透過したX線(直接線)と共にX線検出器250には入ってくる。これらの散乱線による影響は、前述したように、最終的な再構成画像上で、CT値の一様性低下や高吸収体の回りの黒い落ち込みになって現れる。
【0019】そこで、本発明の散乱線補正機能付X線CT装置では、この散乱X線のみを検出して、補正に用いるものであるが、その検出構造について以下に示す。
【0020】まず、図1に示すように、X線源から曝射されたX線をスライス方向にコリメータ300で絞り、複数(具体的には、4個)あるX線検出器250のうち、例えば1番目(図の符号1)と4番目(図の符号4)の列の検出器には、X線源200からのX線が直接線は入らず、中央部の2番目(図の符号2)と3番目(図の符号3)にだけに入るようにする。この時のコリメータ300の開口幅などは、CT装置の幾何学関係から容易に計算することができる。また、コリメータ300自身には、現在のCT装置に具備されスライス厚制御に用いられているのもを流用することができる。
【0021】次に、上記のような検出構造によれば、理論的には検出器250の1番目と4番目の列の検出器には何のデータも入り込むことはない。しかしながら、実際には、散乱されたX線がデータとして検出される。その場合、この1番目と4番目の列の検出器によって検出されたデータは、被写体Bを透過したX線(直接線)は一切含んでおらず、散乱されたX線のみのデータである。このようにして、すなわち、上記検出器250の1番目と4番目の列の検出器によって検出されたデータにより、散乱X線を精度高く実測することが出来ることとなる。
【0022】なお、この散乱X線の実測では、コリメータ300を絞り込んで測定するため、本スキャンの前にプレスキャンを実行することによってデータをCT装置に記憶しておき(例えば、ホストコンピュータ101のメモリ等)、次回からのスキャンの際に、上記実測されて記憶されたX線検出器250の1番目と4番目の列の散乱線データを用いて、具体的には、X線検出器250の1番目〜4番目までの列の検出器で検出されたデータから差し引くことにより、この散乱線補正を容易に行うことが出来る。なお、次回からのスキャンの場合では、コリメータ300の絞り込みの操作は必要ないため、得られる断層画像は、複数のX線検出器分、この例では4枚の断層画像分のデータが得られる。
【0023】さらに、高精度な補正が必要であれば、コリメータ300を絞り込んで、X線検出器250の1番目と4番目の検出器は散乱X線検出用の検出器として扱い、投影データの取得には2番目と3番目のX線検出器のみを使用し、スキャン中には、順次取り込んだ散乱X線量を補正に用いることも可能である。しかし、この場合には、1番目と4番目のX線検出器は散乱X線検出器となるので、これらによって断層画像を得ることは出来なくなる。つまり、その場合には、2枚分だけの断層画像が得られることとなる。
【0024】なお、これまでの説明では、X線検出器250の1番目と4番目の列の検出器を散乱X線検出器として用いるものとして説明したが、本発明ではこれにのみ限定されることなく、例えば、1番目の列の検出器のみを、あるいは、4番目の列の検出器のみを上記散乱X線検出器として用いるようにすることも可能である。
【0025】以上は一般のCT装置の例で述べたが、CT透視法と呼ばれるリアルタイム再構成を行うことのできる高速CT装置での散乱線補正にも適用して効果大である。ここで高速CT装置とは、X線源を連続して回転して被検体の投影データを複数回連続して計測すると共に、このデータをもとに断層像を再構成して逐次にリアルタイムで表示するようにした装置である。
【0026】
【発明の効果】以上の詳細な説明からも明らかなように、本発明になる散乱線補正機能付X線CT装置によれば、スライス方向に複数列のX線検出器を配列してなるX線CT装置にいて、その複数のX線検出器列の一部のX線検出器列を散乱X線検出器として用いることにより、正確な散乱X線量の測定を可能にし、これを補正に用いることにより、アーチファクトを低減させて高画質な断層画像を得ることを可能にするという優れた効果を発揮する。
【出願人】 【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
【出願日】 平成9年(1997)7月10日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−28203
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−199190