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【発明の名称】 X線ビームトラッキング方法、X線ビーム位置測定方法およびX線CT装置
【発明者】 【氏名】黒地 治夫

【氏名】貫井 正健

【要約】 【課題】X線管温度の変動により焦点位置が変動しても、一定位置にX線ビーム位置を維持する。

【解決手段】参照チャネル511,512のシンチレータ部およびフォトダイオード部を第2方向D2に2分割し、その分割した一方側のフォトダイオード541a,542aの検出信号と他方側のフォトダイオード(541b),542bの検出信号とをそれぞれ独立に取得し、それら検出信号の強度が一定の比率になるようにコリメータ40の第2方向D2の位置を制御する【効果】 X線ビーム位置の変動による感度変動が防止され、感度補正が不要となり、データ処理の負担を軽減することが出来る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 夫々が検出チャネルを構成するX線検出器をコリメータの長手方向に対応する第1方向に並べた検出器アレイに、前記第1方向に広がり且つその第1方向に直交する第2方向の厚さが前記X線検出器の前記第2方向の厚さより小さいX線ビームを曝射したとき、当該X線ビームの前記第2方向の位置を一定範囲に維持するX線ビームトラッキング方法であって、被検体を撮影する時でも被検体を透過せずにX線ビームが入射しうる前記検出器アレイの位置に参照チャネルを設け、その参照チャネルを前記第2方向に2分割して、その分割位置を基準として一方側の検出信号と他方側の検出信号とをそれぞれ独立に取得し、それら検出信号の強度が一定の比率になるようにコリメータまたはX線管または検出器アレイの少なくとも一つの前記第2方向の位置を制御することを特徴とするX線ビームトラッキング方法。
【請求項2】 夫々が検出チャネルを構成するX線検出器をコリメータの長手方向に対応する第1方向に並べた検出器アレイに、前記第1方向に広がり且つその第1方向に直交する第2方向の厚さが前記X線検出器の前記第2方向の厚さより小さいX線ビームを曝射したとき、そのX線ビームの前記第2方向の位置を一定範囲に維持するX線ビームトラッキング方法であって、被検体を撮影する時でも被検体を透過せずにX線ビームが入射しうる前記検出器アレイの位置に参照チャネルを設け入射位置に応じて参照チャネルの検出信号の強度が単調に変化するように成し、その参照チャネルの検出信号の強度が一定になるようにコリメータまたはX線管または検出器アレイの少なくとも一つの前記第2方向の位置を制御することを特徴とするX線ビームトラッキング方法。
【請求項3】 夫々が検出チャネルを構成するX線検出器をコリメータの長手方向に対応する第1方向に並べた検出器アレイに、前記第1方向に広がり且つその第1方向に直交する第2方向の厚さが前記X線検出器の前記第2方向の厚さより小さいX線ビームを曝射したとき、そのX線ビームの前記第2方向の位置を測定するX線ビーム位置測定方法であって、被検体を撮影する時でも被検体を透過せずにX線ビームが入射しうる前記検出器アレイの位置に参照チャネルを設け、その参照チャネルを前記第2方向に2分割して、その分割位置を基準として一方側の検出信号と他方側の検出信号とをそれぞれ独立に取得し、それら検出信号の強度を比較してX線ビームの前記第2方向の位置を算出することを特徴とするX線ビーム位置測定方法。
【請求項4】 X線を放射するX線管と、X線をスリットの長手方向である第1方向に偏平なX線ビームにするコリメータと、前記第1方向に直交する第2方向に前記コリメータを移動させるコリメータ移動手段と、複数のX線検出器を前記第1方向に配列した検出器アレイとを有するX線CT装置において、被検体を撮影する時でも被検体を透過せずにX線ビームが入射しうる前記検出器アレイの位置に設けられ、前記第2方向に2分割する分割位置を基準として一方側の検出信号と他方側の検出信号とをそれぞれ独立に出力する参照チャネルのX線検出器と、前記検出信号の強度が一定の比率になるように前記コリメータ移動手段により前記コリメータの前記第2方向の位置を制御するコリメータ位置制御手段とを具備したことを特徴とするX線CT装置。
【請求項5】 X線を放射するX線管と、X線をスリットの長手方向である第1方向に偏平なX線ビームにするコリメータと、複数のX線検出器を前記第1方向に配列した検出器アレイとを有するX線CT装置において、被検体を撮影する時でも被検体を透過せずにX線ビームが入射しうる前記検出器アレイの位置に設けられ、前記第1方向と直交する第2方向に2分割する分割位置を基準として一方側の検出信号と他方側の検出信号とをそれぞれ独立に出力する参照チャネルのX線検出器と、前記検出信号の強度を比較してX線ビームの前記第2方向の位置を算出するX線ビーム位置算出手段とを具備したことを特徴とするX線CT装置。
【請求項6】 請求項4または請求項5に記載のX線CT装置において、前記参照チャネルのX線検出器がシンチレータ部とフォトダイオード部とからなり、前記シンチレータ部は前記第2方向に分割されていないが、前記フォトダイオード部が前記第2方向に2グループに分割されており、これにより実質的に参照チャネルが前記第2方向に2分割されていることを特徴とするX線CT装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線ビームトラッキング方法、X線ビーム位置測定方法およびX線CT装置(Computer Tomography)装置に関し、更に詳しくは、X線管温度の変動によるX線ビーム位置の変動を防止しX線ビーム位置を一定に維持するX線ビームトラッキング方法、X線管温度の変動により変動するX線ビーム位置を測定するX線ビーム位置測定方法およびそれらの方法を好適に実施しうるX線CT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】X線CT装置において撮影を継続していると、X線管温度が上昇する。X線管温度が上昇すると、焦点位置が変動し、X線検出器に入射するX線ビーム位置が変動する。そして、X線ビーム位置が変動すると、X線検出器の感度が変動してしまう。従来は、これに対処するため、X線ビーム位置を測定し、その変動に合わせてX線検出器の感度を補正していた。このような従来技術は、例えば特公平2−18853号公報や特開平9−38074号公報に開示されている。
【0003】図8および図9は、前記特公平2−18853号公報に開示されたX線ビーム位置測定方法の説明図である。X線管30(図10参照)は、集束電極およびフィラメントを内蔵する陰極スリーブ32と、回転するターゲット33と有し、焦点fからX線Xaを放射する。コリメータ40は、スリット41によりX線Xaを偏平なX線ビームXbにする。検出器アレイ50は、複数のX線検出器をコリメータ40のスリット41の長手方向である第1方向D1に配列したものである。第1方向D1に直交する第2方向D2のX線検出器の検出面幅W1は、X線ビームXbの検出器上面における幅よりも大きい。検出器アレイ50の一端の1チャネルのX線検出器51mは、参照チャネルになっている。この参照チャネルのX線検出器51mには、被検体を撮影する時でも、被検体を透過せずにX線ビームXbが入射しうる。X線遮蔽板501は、参照チャネルのX線検出器51mに入射するX線ビームXbの厚さ(d1,dj)を制限するようになっている。
【0004】図8は、X線管温度が室温の時のX線ビームXbの厚さd1を表している。R1は、この時に参照チャネルのX線検出器51mに入射するX線ビームXbの入射面積である。図9は、X線管温度が上昇した時のX線ビームXbの厚さdjを表している。Rjは、この時に参照チャネルのX線検出器51mに入射するX線ビームXbの入射面積である。すなわち、X線管温度の上昇により焦点fの位置が変動し、それにより参照チャネルのX線検出器51mへのX線ビームXbの入射面積が変化し、参照チャネルのX線検出器51mの出力信号が変化する。なお、X線ビームXbの入射位置の変化によるX線検出器51mの感度変化を無視できる程度に参照チャネルのX線検出器51mへの入射面積の変化を大きくしてある。
【0005】感度補正は、次のようにして行う。まず、図8に示すようにX線管温度が室温の時の参照チャネルのX線検出器51mの出力信号を測定する。同時に、検出器アレイ50の各X線検出器の出力信号を測定する。次に、X線の照射を一定時間継続し、図9に示すようにX線管温度を上昇させてから参照チャネルのX線検出器51mの出力信号を測定する。同時に、検出器アレイ50の各X線検出器の出力信号を測定する。これを繰り返して得られた参照チャネルのX線検出器51mの出力信号(これはX線ビーム位置を表わす)と検出器アレイ50の各X線検出器の出力信号の関係に基づいて感度補正データを作成し、記憶する。被検体を撮影する時は、参照チャネルのX線検出器51mで得られた出力信号に対応する感度補正データを求め、その感度補正データに基づいて検出器アレイ50の各X線検出器で得られた出力信号を感度補正する。
【0006】図10および図11は、特開平9−38074号公報に開示されたX線ビーム位置測定方法の説明図である。X線管30は、ハウジング31に、集束電極およびフィラメントを内蔵する陰極スリーブ32と、回転するターゲット33とを内設した構造であり、焦点fからX線Xaを放射する。コリメータ40は、第1方向D1に長いスリット41によりX線Xaを偏平なX線ビームXbにする。また、コリメータ40は、サーボ機構42により、前記第1方向と直交する第2方向D2に移動される。検出器アレイ50は、複数のX線検出器を第1方向D1に配列したものである。第1方向D1に直交する第2方向D2のX線検出器の検出面幅W1は、X線ビームXbの検出器上面における幅よりも大きい。検出器アレイ50の一端の1チャネルのX線検出器51mは、参照チャネルになっている。この参照チャネルのX線検出器51mには、被検体を撮影する時でも、被検体を透過せずにX線ビームXbが入射しうる。参照チャネルのX線検出器には、図11に示すように、この検出器の検出面の縦横の各へりと対角線からなる三角形の形状のX線遮蔽板52が設けられており、このX線遮蔽板52は、参照チャネルのX線検出器51mに入射するX線ビームXbの入射面積を制限する。これにより、X線ビーム位置が第2方向D2に沿って変動すると、参照チャネルのX線検出器51mへのX線入射量は線形に変化する。
【0007】感度補正は、次のようにして行う。まず、図11に示すように、X線ビームXbが初期位置P1になるようにコリメータ40を移動させて、参照チャネルのX線検出器51mの出力信号を測定する。同時に、検出器アレイ50の各X線検出器の出力信号を測定する。次に、X線ビームXbが別の位置Pjになるようにコリメータ40を移動させて、参照チャネルのX線検出器51mの出力信号を測定する。同時に、検出器アレイ50の各X線検出器の出力信号を測定する。これを繰り返して得られた参照チャネルのX線検出器51mの出力信号(これはX線ビーム位置を表わす)と検出器アレイ50の各X線検出器の出力信号の関係に基づいて感度補正データを作成し、記憶する。被検体を撮影する時は、参照チャネルのX線検出器51mで得られた出力信号に対応する感度補正データを求め、その感度補正データに基づいて検出器アレイ50の各X線検出器で得られた出力信号を感度補正する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来は、X線ビーム位置を測定し、その変動に合わせてX線検出器の感度を補正していた。しかし、感度補正データを予め作成する処理と取得したデータの補正処理とが必要となるため、データ処理の負担が大きい問題点がある。そこで、本発明の第1の目的は、X線ビーム位置を測定しその変動に合わせてX線検出器の感度を補正するのではなく、X線ビーム位置を一定に維持するX線ビームトラッキング方法を提供することにある。
【0009】また、本発明の第2の目的は、X線ビーム位置を一定に維持する制御に適したX線ビーム位置測定方法を提供することにある。さらに、本発明の第3の目的は、上記X線ビームトラッキング方法および上記X線ビーム位置測定方法を好適に実施し得るX線CT装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の観点では、本発明は、夫々が検出チャネルを構成するX線検出器をコリメータの長手方向に対応する第1方向に並べた検出器アレイに、前記第1方向に広がり且つその第1方向に直交する第2方向の厚さが前記X線検出器の前記第2方向の厚さより小さいX線ビームを曝射したとき、当該X線ビームの前記第2方向の位置を一定範囲に維持するX線ビームトラッキング方法であって、被検体を撮影する時でも被検体を透過せずにX線ビームが入射しうる前記検出器アレイの位置に参照チャネルを設け、その参照チャネルを前記第2方向に2分割して、その分割位置を基準として一方側の検出信号と他方側の検出信号とをそれぞれ独立に取得し、それら検出信号の強度が一定の比率になるようにコリメータまたはX線管または検出器アレイの少なくとも一つの前記第2方向の位置を制御することを特徴とするX線ビームトラッキング方法を提供する。上記第1の観点によるX線ビームトラッキング方法では、第2方向に2分割した参照チャネルの一方側の検出信号と他方側の検出信号の強度比が一定になるようにコリメータまたはX線管または検出器アレイの少なくとも一つの第2方向の位置を制御する。この結果、X線管温度の変動により焦点位置が変動しても、参照チャネルの分割位置に対して一定範囲にX線ビーム位置が維持されることとなる。従って、X線ビーム位置の変動による感度変動が防止され、感度補正が不要となり、データ処理の負担を軽減することが出来る。
【0011】第2の観点では、本発明は、夫々が検出チャネルを構成するX線検出器をコリメータの長手方向に対応する第1方向に並べた検出器アレイに、前記第1方向に広がり且つその第1方向に直交する第2方向の厚さが前記X線検出器の前記第2方向の厚さより小さいX線ビームを曝射したとき、そのX線ビームの前記第2方向の位置を一定範囲に維持するX線ビームトラッキング方法であって、被検体を撮影する時でも被検体を透過せずにX線ビームが入射しうる前記検出器アレイの位置に参照チャネルを設け入射位置に応じて参照チャネルの検出信号の強度が単調に変化するように成し、その参照チャネルの検出信号の強度が一定になるようにコリメータまたはX線管または検出器アレイの少なくとも一つの前記第2方向の位置を制御するX線ビームトラッキング方法を提供する。上記第2の観点によるX線ビームトラッキング方法では、参照チャネルの検出信号の強度が一定になるようにコリメータまたはX線管または検出器アレイの少なくとも一つの第2方向の位置を制御する。ここで、X線ビームの入射位置に対して参照チャネルの検出信号の強度が単調に変化するから、参照チャネルの検出信号の強度を一定に維持することは、X線ビーム位置を一定位置に維持することと等価となる。この結果、X線管温度の変動により焦点位置が変動しても、一定範囲にX線ビーム位置が維持されることとなり、X線ビーム位置の変動による感度変動が防止され、感度補正が不要となり、データ処理の負担を軽減することが出来る。
【0012】第3の観点では、本発明は、夫々が検出チャネルを構成するX線検出器をコリメータの長手方向に対応する第1方向に並べた検出器アレイに、前記第1方向に広がり且つその第1方向に直交する第2方向の厚さが前記X線検出器の前記第2方向の厚さより小さいX線ビームを曝射したとき、そのX線ビームの前記第2方向の位置を測定するX線ビーム位置測定方法であって、被検体を撮影する時でも被検体を透過せずにX線ビームが入射しうる前記検出器アレイの位置に参照チャネルを設け、その参照チャネルを前記第2方向に2分割して、その分割位置を基準として一方側の検出信号と他方側の検出信号とをそれぞれ独立に取得し、それら検出信号の強度を比較してX線ビームの前記第2方向の位置を算出することを特徴とするX線ビーム位置測定方法を提供する。上記第3の観点によるX線ビーム位置測定方法では、第2方向に2分割した参照チャネルの一方側の検出信号と他方側の検出信号の強度を比較するため、天秤計と同様の原理により、参照チャネルの分割位置に対して相対的なX線ビーム位置を高精度に測定することが出来る。よって、X線ビームが参照チャネルの分割位置を挟むような一定範囲にX線ビーム位置を維持する制御に適したX線ビーム位置測定方法が提供される。
【0013】第4の観点では、本発明は、X線を放射するX線管と、X線をスリットの長手方向である第1方向に偏平なX線ビームにするコリメータと、前記第1方向に直交する第2方向に前記コリメータを移動させるコリメータ移動手段と、複数のX線検出器を前記第1方向に配列した検出器アレイとを有するX線CT装置において、被検体を撮影する時でも被検体を透過せずにX線ビームが入射しうる前記検出器アレイの位置に設けられ、前記第2方向に2分割する分割位置を基準として一方側の検出信号と他方側の検出信号とをそれぞれ独立に出力する参照チャネルのX線検出器と、前記検出信号の強度が一定の比率になるように前記コリメータ移動手段により前記コリメータの前記第2方向の位置を制御するコリメータ位置制御手段とを具備したことを特徴とするX線CT装置を提供する。上記第4の観点によるX線CT装置では、前記第1の観点によるX線ビームトラッキング方法を好適に実施できる。
【0014】第5の観点では、本発明は、X線を放射するX線管と、X線をスリットの長手方向である第1方向に偏平なX線ビームにするコリメータと、複数のX線検出器を前記第1方向に配列した検出器アレイとを有するX線CT装置において、被検体を撮影する時でも被検体を透過せずにX線ビームが入射しうる前記検出器アレイの位置に設けられ、前記第1方向と直交する第2方向に2分割する分割位置を基準として一方側の検出信号と他方側の検出信号とをそれぞれ独立に出力する参照チャネルのX線検出器と、前記検出信号の強度を比較してX線ビームの前記第2方向の位置を算出するX線ビーム位置算出手段とを具備したことを特徴とするX線CT装置を提供する。上記第5の観点によるX線CT装置では、前記第3の観点によるX線ビーム位置測定方法を好適に実施できる。
【0015】第6の観点では、本発明は、上記構成のX線CT装置において、参照チャネルのX線検出器がシンチレータ部とフォトダイオード部とからなり、前記シンチレータ部は前記第2方向に分割されていないが、前記フォトダイオード部が前記第2方向に2グループに分割されており、これにより実質的に参照チャネルが前記第2方向に2分割されていることを特徴とするX線CT装置を提供する。上記第6の観点によるX線CT装置では、シンチレータ部およびフォトダイオード部がそれぞれ第2方向に2グループに分割されている場合に比べてX線ビーム位置の測定精度は低くなるが、シンチレータ部を第2方向に分割しないため、製作が容易となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図に示す本発明の実施の形態により本発明をさらに詳しく説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0017】−第1の実施形態−図1は、この発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置100の構成ブロック図である。このX線CT装置100は、操作コンソール1と、撮影テーブル10と、走査ガントリ20とを具備している。前記操作コンソール1は、操作者の指示入力や情報入力などを受け付ける入力装置2と、X線ビームトラッキング処理(後述)や撮影処理や画像再構成処理などを実行する中央処理装置3と、制御信号などを前記撮影テーブル10や前記走査ガントリ20とやり取りする制御インタフェース4と、走査ガントリ20で取得したデータを収集するデータ収集バッファ5と、前記データから再構成した画像を表示するCRT6と、プログラムやデータを記憶する記憶装置7とを具備している。前記撮影テーブル10は、被検体を乗せて体軸方向に移動させる。前記走査ガントリ20は、X線コントローラ21と、コリメータコントローラ22と、X線管30と、コリメータ40と、検出器アレイ50と、データ収集部23と、被検体の体軸の回りにX線管30などを回転させる回転コントローラ24とを具備している。
【0018】図2は、上記X線CT装置100の要部構成図である。X線管30は、ハウジング31に、集束電極およびフィラメントを内蔵する陰極スリーブ32と、回転するターゲット33とを内設した構造であり、焦点fからX線Xaを放射する。コリメータ40は、第1方向D1に長いスリット41によりX線Xaを偏平なX線ビームXbにする。また、コリメータ40は、サーボ機構421,422およびコリメータコントローラ22により、前記第1方向D1と直交する第2方向D2に移動される。尚、コリメータコントローラ22によりスリット41の第2方向D2の幅を変えることも出来る。検出器アレイ50は、複数のX線検出器を第1方向D1に配列したものである。検出器アレイ50の両端の複数チャネル(1チャネルでもよい)のX線検出器511,512は、参照チャネルのX線検出器になっている。これら参照チャネルのX線検出器511,512には、被検体を撮影する時でも、被検体を透過せずにX線ビームXbが入射しうる。また、X線検出器はシンチレータ部とフォトダイオード部とからなるが、参照チャネルのX線検出器511,512のシンチレータ部およびフォトダイオード部は第2方向D2に2グループに分割されている。すなわち、参照チャネルのX線検出器511のシンチレータ部はシンチレータ531a,531bからなり、フォトダイオード部はフォトダイオード541a,541b(図3参照)からなる。また、参照チャネルのX線検出器512のシンチレータ部はシンチレータ532a,532bからなり、フォトダイオード部はフォトダイオード542a,542bからなる。第1方向D1に広がる偏平なX線ビームXbの第2方向D2の厚さdは、前記X線検出器の第2方向D2の幅W1より小さい。
【0019】図3は、検出器アレイ50のフォトダイオード層の部分の平面図である。この検出器アレイ50は、フォトダイオード541a,541b,542a,542bを具備している。前記フォトダイオード541aの出力信号をA1とし、前記フォトダイオード541bの出力信号をB1とし、前記フォトダイオード542aの出力信号をA2とし、前記フォトダイオード542bの出力信号をB2とする。これらの出力信号A1,B1,A2,B2を用いて、以下に述べるようにX線ビームトラッキングを行う。
【0020】図4は、上記X線CT装置100のX線ビームトラッキング処理のフローチャートである。ステップS1では、X線曝射を行う。ステップS2では、参照チャネルの出力信号A1,B1,A2,B2を測定する。ステップS3では、出力信号強度比A1/(A1+B1)が目標値kから許容値εより大きく離れているか否かをチェックし、離れていないならステップS4へ進み、離れているならステップS5へ進む。ここで、目標値kは例えば“0.5”であり、許容値εは例えば出力信号強度比A1/(A1+B1)が目標値kに一致する位置と許容値εだけ離れる位置との距離が後述するステップS6,S7,S10,S11における所定距離に相当するような値である。ステップS4では、出力信号強度比A2/(A2+B2)が目標値kから許容値εより大きく離れているか否かをチェックし、離れていないならX線ビームトラッキング処理を終了し、離れているならステップS9へ進む。なお、X線ビームトラッキング処理を終了した時点における出力信号A1,B1,A2,B2は、強度補正用基準データとして利用する。
【0021】ステップS5では、A1<B1か否かをチェックし、A1<B1ならステップS6へ進み、A1<B1でないならステップS7へ進む。ステップS6では、サーボ機構421を駆動し、コリメータ40の第1端側をA側(フォトダイオード541a側)に所定距離(例えば2μm)だけ移動する。そして、ステップS8へ進む。ステップS7では、サーボ機構421を駆動し、コリメータ40の第1端側をB側(フォトダイオード541b側)に所定距離(例えば2μm)だけ移動する。そして、ステップS8へ進む。
【0022】ステップS8では、出力信号強度比A2/(A2+B2)が目標値kから許容値εより大きく離れているか否かをチェックし、離れていないなら前記ステップS1に戻り、離れているならステップS9へ進む。
【0023】ステップS9では、A2<B2か否かをチェックし、A2<B2ならステップS10へ進み、A2<B2でないならステップS11へ進む。ステップS10では、サーボ機構422を駆動し、コリメータ40の第2端側をA側(フォトダイオード542a側)に所定距離(例えば2μm)だけ移動する。そして、前記ステップS1に戻る。ステップS112では、サーボ機構422を駆動し、コリメータ40の第2端側をB側(フォトダイオード542b側)に所定距離(例えば2μm)だけ移動する。そして、前記ステップS1に戻る。
【0024】以上のX線CT装置100によれば、X線管30の温度の変動により焦点fの位置が変動しても、一定位置にX線ビーム位置が維持される。従って、X線ビーム位置の変動による感度変動が防止され、感度補正が不要となり、データ処理の負担を軽減することが出来る。
【0025】−第2の実施形態−第2の実施形態は、上記第1の実施形態において図4に示すようにX線ビームトラッキング処理を行う代りに、図5に示すようにX線ビームトラッキング処理を行うものである。図5のステップQ1では、X線曝射を行う。ステップQ2では、参照チャネルの出力信号A1,B1,A2,B2を測定する。ここで、A1=0且つB1>0なら、サーボ機構421を駆動し、A1>0且つB1>0となるまで、コリメータ40のフォトダイオード541a,541bに対応する一方の端部(以下、第1端側という)をA側(フォトダイオード541a側)に移動する。また、A1>0且つB1=0なら、サーボ機構421を駆動し、A1>0且つB1>0となるまで、コリメータ40の第1端側をB側(フォトダイオード541b側)に移動する。さらに、A2=0且つB2>0なら、サーボ機構422を駆動し、A2>0且つB2>0となるまで、コリメータ40のフォトダイオード542a,542bに対応する他方の端部(以下、第2端側という)をA側(フォトダイオード542a側)に移動する。また、A2>0且つB2=0なら、サーボ機構422を駆動し、A2>0且つB2>0となるまで、コリメータ40の第2端側をB側(フォトダイオード542b側)に移動する。そして、A1>0且つB1>0且つA2>0且つB2>0となったときの出力信号A1,B1,A2,B2を測定する。
【0026】ステップQ3では、第1端ずれ量Δ1を次式により算出する。
Δ1=S・{k−A1/(A1+B1)}
但し、SはX線ビームXbの検出器上面における厚さである。
【0027】この第1端ずれ量Δ1は、出力信号強度がk=A1/(A1+B1)となるときのX線ビーム位置のずれを“0”とするX線ビームの第1端のずれを表している。ステップQ4では、第1端ずれ量Δ1の絶対値が許容値δより大きいか否かをチェックし、大きいならステップQ5へ進み、大きくないならステップQ6へ進む。ステップQ5では、サーボ機構421を駆動し、コリメータ40の第1端側を次式より与えられる距離C1だけ第2方向D2に移動する。そして、ステップQ6へ進む。
C1=−Δ1・FC/FI但し、図6に示すように、FCは焦点fからコリメータ40までの距離であり、FIは焦点fからシンチレータ531a,531b,532a,532bまでの距離である。
【0028】ステップQ6では、次式により第2端ずれ量Δ2を算出する。
Δ2=S・{k−A2/(A2+B2)}
この第2端ずれ量Δ2は、出力信号強度がk=A2/(A2+B2)となるときのX線ビーム位置のずれを“0”とするX線ビームの第2端のずれを表している。ステップQ7では、第2端ずれ量Δ2の絶対値が許容値δより大きいか否かをチェックし、大きいならステップQ8へ進み、大きくないならば処理を終了する。ステップQ8では、サーボ機構422を駆動し、コリメータ40の第2端側を次式より与えられる距離C2だけ第2方向D2に移動する。そして、処理を終了する。
C2=−Δ2・FC/FI但し、FCは焦点fからコリメータ40までの距離であり、FIは焦点fからシンチレータ531a,531b,532a,532bまでの距離である。
【0029】以上の第2の実施形態のX線CT装置によれば、X線管30の温度の変動により焦点fの位置が変動しても、一定位置にX線ビーム位置が維持される。従って、X線ビーム位置の変動による感度変動が防止され、感度補正が不要となり、データ処理の負担を軽減することが出来る。
【0030】−第3の実施形態−第3の実施形態は、前記第1の実施形態および第2の実施形態における検出器アレイ50の代りに、図7に示す検出器アレイ50’を用いるものである。この図7の検出器アレイ50’は、参照チャネルのX線検出器511,512のシンチレータ部531,532は第2方向D2に分割せず、フォトダイオード部のみを第2方向D2に2グループに分割したものである。すなわち、参照チャネルのX線検出器511のシンチレータ部はシンチレータ531からなり、フォトダイオード部はフォトダイオード541a,541b(図3参照)からなる。また、参照チャネルのX線検出器512のシンチレータ部はシンチレータ532からなり、フォトダイオード部はフォトダイオード542a,542bからなる。上記検出器アレイ50’を用いると、シンチレータ部およびフォトダイオード部を第2方向に2グループに分割する場合に比べてX線ビーム位置の測定精度は低くなるが、シンチレータ部を第2方向に分割しないため、製作容易となる。
【0031】−第4の実施形態−上述の第1から第3の実施形態では、参照チャネルのX線検出器を2分割し、両分割部にそれぞれ入射するX線の照射量を比較することによって、X線ビーム位置を測定していたが、図8,図9または図10,図11に示した従来のX線ビーム位置測定方法によりX線ビーム位置を測定し、この測定されたX線ビーム位置が一定になるようにコリメータ40の第2方向D2の位置を制御してもよい。この場合も、感度補正が不要となり、データ処理の負担を軽減することが出来る。
【0032】−第5の実施形態−また、上述の第1から第4の実施形態では、参照チャネルのX線検出器による検出結果に従ってX線ビーム位置を移動させるときに、コリメータ40の第2方向D2の位置を変化させることによってX線ビーム位置を移動させていたが、コリメータ40の第2方向D2の位置を制御する代りに若しくはそれに加えて、X線管30の第2方向D2の位置および/または検出器アレイ50,50’の第2方向D2の位置を制御してもよい。
【0033】
【発明の効果】本発明のX線ビームトラッキング方法によれば、X線管温度の変動により焦点位置が変動しても、X線ビーム位置が検出器アレイのX線管対向面上の一定位置に維持されることとなり、X線ビーム位置の変動による感度変動が防止され、感度補正が不要となり、データ処理の負担を軽減することが出来る。また、本発明のX線ビーム位置測定方法によれば、参照チャネルの分割位置に対して相対的なX線ビーム位置を高精度に測定することが出来る。よって、X線ビームが参照チャネルの分割位置を挟むような一定位置にX線ビーム位置を維持する制御に適したX線ビーム位置測定方法となる。さらに、本発明のX線CT装置によれば、上記X線ビームトラッキング方法またはX線ビーム位置測定方法を好適に実施できる。
【出願人】 【識別番号】000121936
【氏名又は名称】ジーイー横河メディカルシステム株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】有近 紳志郎
【公開番号】 特開平11−9584
【公開日】 平成11年(1999)1月19日
【出願番号】 特願平9−168285