| 【発明の名称】 |
消化管自動吻合装置の補助具 |
| 【発明者】 |
【氏名】谷 徹
【氏名】白数 昭雄
|
| 【要約】 |
【課題】消化管の側−端吻合により、吻合径をより大きくすることができる消化管自動吻合装置の補助具を提供する。
【解決手段】切断された消化管の端部断面と消化管の側壁とを吻合するための本体と該本体に着脱自在に取り付けられる補助具とからなる消化管自動吻合装置の補助具であって、該補助具が、扁平な円盤状のアンビル1と、該アンビル1が中央部に着脱自在な軸体2を装着するための連結部3を有している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 切断された消化管の端部断面と消化管の側壁とを吻合するための本体と該本体に着脱自在に取り付けられる補助具とからなる消化管自動吻合装置の補助具であって、該補助具が、扁平な円盤状のアンビルと、該アンビルが中央部に着脱自在な軸体を装着するための連結部を有してなる消化管自動吻合装置の補助具。 【請求項2】 前記アンビルが、前記軸体の装着側内面の周辺部位にステープラー圧迫用痕が刻設されてなる請求項1記載の消化管自動吻合装置の補助具。 【請求項3】 前記連結部が前記軸体を装着するための結合手段と円錐形状の軸受部とからなる請求項1または2記載の消化管自動吻合装置の補助具。 【請求項4】 前記連結部の上端部に薄肉の閉塞片が形成されてなる請求項1、2または3記載の消化管自動吻合装置の補助具。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は消化管自動吻合装置の補助具に関する。さらに詳しくは、外科手術により切断された腸管などの消化管の断端を吻合させるときに用いられる消化管自動吻合装置の補助具に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、消化管の断端と断端を消化管の軸方向に内側に絞り、吻合するいわゆる内翻吻合するために用いられる消化管自動吻合装置として、たとえば図12に示すように、操作部50および該操作部50に外筒51を介して連結された圧迫受け部52を有する本体53と、該本体53に着脱自在に取り付けられる補助具54とからなるものがある。また前記操作部50は、前記外筒51と圧迫受け部52内に挿入されるシャフト55を伸縮させる送りナット56と、前記圧迫受け部52の内周に配されたステープルおよびカッターを突出させるハンドル57とから構成されている。一方、補助具54は、三角錐の形状をしたアンビル58と、該アンビル58に圧着されたロッド59とから構成されている。そしてかかる補助具54は、圧入またはねじ構造などによりシャフト55に取り付けられ、たとえば圧入のばあい、ロッド59の端部に形成される円錐状の係合ノッチを前記シャフト55の端部内に形成される、前記円錐状とは逆の円錐状であって、拡径可能な係合ノッチに取り付けるようにしている。 【0003】かかる吻合装置による吻合は、端−端吻合であって、まず腸管からがん部分などの患部を切除したのち、患者の肛門外口に吻合装置のアンビル58を入れ当該アンビル58を前記切除部まで挿入する。ついで、図13に示すように、アンビル58を包むように腸管の断端をロッド59に縛るとともに、他方の腸管の断端をシャフト55に縛る。つぎに、図12〜図14に示すように、2つの腸管を送りナット56を回すことによって、腸壁を圧縮し、接着させる。そしてハンドル57を力一杯握り締め、圧迫受け部52内に輪状に並べられたステープラーで内側に翻転した腸壁を貫いて吻合する。このとき、ステープラーによる吻合部分を残して、余分な腸壁の内腔部がカッターによって切除される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる吻合装置による吻合では、吻合消化管径は元の消化管径よりも狭く、さらにステープラーを並べた円径が圧迫受け部の最外側にはなりえない。この点からも吻合腸管径はさらに狭くなる。図15に示すように、かかる吻合装置では、径の異なる消化管の吻合、たとえば径2rの結腸S1と径2Rの直腸S2を吻合するばあい、適応する圧迫受け部の外径も消化管径の小さい方に合わせざるをえないため、吻合後の腸管径は径の小さい消化管よりもさらに狭くなる。 【0005】一方、吻合においては消化管の側−端吻合は確立された技術であって、ステープラーに代えて針により吻合させる吻合装置の側−端吻合も行なわれている。たとえば、まず補助具を外した吻合器本体を結腸の断端から挿入し、ついで側壁にメスで開けた孔にシリンダを通したのち、該結腸側壁を縫合する。そしてシリンダに補助具を取り付ける。ついで該補助具のアンビルを他方の回腸の断端に挿入し、縫合ののち、送りナットおよびハンドルを操作し、吻合する両腸壁の外周部位を吻合させる。 【0006】しかしながら、現実の問題として、直腸における吻合装置使用の吻合径は外径33mmのアンビルを用いたばあいでも指が通過する程度の吻合径しかえられない。したがって、直腸吻合および食道、胃吻合において術後に挟窄や腸内容の通過障害になる惧れがあり、より広い吻合ができることが切望されている。 【0007】このように、従来の吻合装置の補助具では、口径の小さな消化管に入るアンビルの径が使用できる最大径となり、より広い消化管側は吻合の際に余ってしまう。また長い消化管の途中で側−端吻合をするばあいに、従来の吻合装置の補助具は使えないという問題がある。 【0008】本発明は、叙上の事情に鑑み、消化管の側−端吻合により、吻合径をより大きくすることができる消化管自動吻合装置の補助具を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明の消化管自動吻合装置は、切断された消化管の端部断面と消化管の側壁を吻合するための本体と該本体に着脱自在に取り付けられる補助具とからなる消化管自動吻合装置の補助具であって、該補助具が、扁平な円盤状のアンビルと、該アンビルが中央部に着脱自在な軸体を装着するための連結部を有する。さらに前記軸体の装着側内面の周辺部位にステープラー圧迫用痕が刻設されてなることを特徴としている。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明の消化管自動吻合装置の補助具を説明する。 【0011】図1は本発明の消化管自動吻合装置の補助具の一実施の形態を示す斜視図、図2は図1におけるアンビルの正面図、図3は図1におけるアンビルの底面図、図4は図1におけるアンビルの連結部を示す拡大断面図、図5は補助具の使用例を示す説明図、図6は消化管の断面図、図7は図6における消化管の対壁を合わせて平坦にした状態を示す説明図、図8は吻合状態を示す説明図、図9〜11は補助具の他の使用例を示す説明図である。 【0012】図1〜4に示すように、補助具は、消化管自動吻合装置における本体に着脱自在に取り付けられるものであって、アンビル1と該アンビル1に着脱自在な棒状の軸体2とから構成されている。消化管自動吻合装置の本体は、例えば図12に示すように、先端にシャフト55、ステープルおよびカッターを内在させた圧迫受け部52と、基端にシャフト55を伸縮させる送りナット56、前記ステープルおよびカッターを突出させるハンドル57とを設けてなる操作部50と、圧迫受け部52と操作部50とを連結する外筒51とから構成されている。 【0013】また補助具の前記アンビル1は、扁平な円盤状を呈しており、中央部に前記軸体2を装着するための連結部3と、前記軸体2の装着側の平担な内面4の周辺部位(外縁内側)に、たとえば千鳥状態の2列に並ぶように、刻設されたステープラー圧迫用痕5とを有している。アンビル1は、中央部が軸体2との結合強度が充分な高さ(肉厚)Hにされ、周縁部が消化管を傷つけないようにアール部(丸味をつけた部分)にされている。たとえばアンビル1の直径Dに対するHの比で表わした扁平率%が2〜50%にされているのが好ましい。 【0014】アンビル1の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂、ステンレス、チタンなどの金属、または前記合成樹脂と金属の複合材を用いることができる。かかる複合材は、たとえば合成樹脂に金属粉または金属片などを混入して成形するか、または金属の表面に合成樹脂を被膜したものなどがある。 【0015】前記連結部3は、前記内面4に開口する円筒形の開口部からなっている。この開口部の内壁には、前記軸体2を装着するための結合手段である雌ネジ6が形成され、さらに内壁の奥側には、円錐形状の軸受部7が形成されている。 【0016】一方、軸体2の一端には、前記軸受部7の円錐形状に相当する先端部8と前記ネジ6に螺合により装着するための第1の結合部である雄ネジ9が形成されている。また他端には、従来の本体のシャフトに取り付けるための第2の結合部であるノッチ部10またはネジ部などが形成されている。この軸体2は、短く、たとえば3〜4cmの長さであり、本体のシャフトとの着脱が可能なものであるため、円盤状のアンビル1と軸体2との取り付けおよび取り外しの作業が容易となり、腹腔内のどの部位においても容易に装着できる。 【0017】本実施の形態では、前記開口部の上端部に薄肉の閉塞片11を形成するのが好ましい。かかる閉塞片11を形成することにより、前記軸体2をアンビル1の開口部にねじ込むと、先端部8が最終的に薄い閉塞片11を突き抜くため、このとき発せられる音により、軸体2がアンビル1に確実に固定されたことを確認することができる。 【0018】なお、本実施の形態では、アンビルと軸体の結合はネジ構造による固定にされているが、本発明においては、とくにこれに限定されるものではなく、吻合時の圧迫に耐える充分な強度と、ステープラー用圧迫痕と一致する位置で軸体が固定できる構造であればよい。たとえば、軸体をくさびなどの差し込みにより、開口部内に挿入固定(圧入嵌合)したり、または前記ノッチ部などと同様にストッパーにより固定することもできる。 【0019】つぎに本実施の形態における補助具の使用例を説明する。一般的に腸の吻合は、口径の小さな腸と口径の大きな腸であることが多く、図5に示すように、小口径の腸内腔に大口径の腸径に合わせた平坦なアンビル1を入れる。ついで吻合部の腸壁に孔12を開けたのち、消化管壁の外側から軸体2をアンビル1に固定する。 【0020】一方、大口径の腸には、該腸の口径にほぼ相当する径にされた本体の圧迫受け部13を挿入したのち、従来の方法によって消化管の断端をシャフト14周りに縫合する。ついでアンビル1側の軸体2をシャフト14に取り付けて、従来どおりの吻合を行なう。図8に示すように、開放端Aとなった小口径腸管は自動縫合器により断端を閉鎖し、大径口吻合が完了する。 【0021】小腸のような上部消化管において側−端吻合を使用するばあいにおいて、図5に示すように、アンビル1を単独で長い消化管内へ移動させ、そして吻合部位に導いたのち、その部位において軸体2を消化管の腸壁から挿入し、ついでアンビル1に装着固定したのち、通常どおりの吻合操作を行なうことができる。 【0022】従来の吻合装置では、半径rの消化管の断端と断端を吻合するばあい、吻合径はrより小さくなる。これに対し、図6〜7のように円形の消化管Sの対壁を合わせると、その幅は約πrとなるため、この状態の消化管に薄い円盤状のアンビルを入れることにより、理論的に直径πrの円盤が入ることになることから、本実施の形態では図5のように消化管に挿入された半径1/2πrのアンビル1に腸管壁外から取り付けた軸体と本体により吻合したばあい、従来の方法では半径r以下の吻合径しか得られなかった吻合径が本発明では1/2πrの半径となり、理論上最大で約1.57倍の吻合径をうることができる。 【0023】したがって、口径が約1.57倍以内で異なる消化管の吻合のばあい、本実施の形態のように、側−端吻合を用いれば、従来狭い方の腸管径に合わせざるをえなかった吻合径は太い腸管の吻合径にて吻合できる。 【0024】また、長い消化管にアンビル1を単独に入れ、吻合を目的とする部位に移動させ、その部位にて側−端吻合を行なうことができる。 【0025】つぎに本実施の形態における補助具の他の使用例を説明する。 【0026】腹腔内視鏡下による腸切除術において、腸吻合に吻合装置を使ったばあい、操作は腹腔内でなされる。この際開放された腸管からの腹腔内汚染が重大な問題になる。しかし、本実施の形態による平坦なアンビルを用いたばあい、肛門からの吻合を例にとると、図9に示すように、前もって肛門側から患部Bを越え切除部B1より口側にアンビル1を留置しておき、口側の切除部B1は自動縫合器で仮縫い状態で閉鎖したのち、切断すれば腸断端が腹腔内において開放されることがない。そののち、患部Bよりも肛門側の切除部B2で腸を切断する。このばあいも自動縫合器にて閉鎖して切除すれば、切除腸管は口側および肛門側ともに閉鎖した状態で切除できる。これにより、前記切除腸管の口側腸管断端と肛門側腸管断端が閉鎖状態となる。つぎに図10に示すように、口側の平坦なアンビル1に腸管壁を通して軸体2を装着する。一方、肛門側は、図10〜11に示すように、閉鎖された腸管の縫合部の近くの腸壁から本体のシャフト14を出し、口側腸管の軸体2と接合させ、そして本体の操作により側−端吻合を完了する。ついでアンビル1から軸体2を外したのち、前記仮縫い状態の切除部B1をほどいて、アンビル1を取り出し、再度切除部B1を本縫い状態にする。一連の行為において、腸管を軸体に縫編固定する操作がなくなり、腹腔内で消化管が開放状態に放置されることがないため、腹腔内汚染の危険がない。 【0027】 【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、消化管吻合時に扁平なアンビルを使うため、口径の異なる消化管吻合において側−端吻合により大きい口径腸管と同じ吻合径をもつ消化管吻合ができる。また消化管口径が同じ部位においても消化管を側−端吻合ができる。さらに腹腔内視鏡下における手術においては、腹腔内において切除腸管を開放放置することなく、自動吻合することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000135036 【氏名又は名称】株式会社ニッショー
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月18日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】朝日奈 宗太 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開平11−4832 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月12日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−161335 |
|