| 【発明の名称】 |
核磁気共鳴を用いた撮影装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】越智 久晃
【氏名】谷口 陽
【氏名】岡島 健一
【氏名】▲高▼橋 哲彦
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| 【要約】 |
【課題】本発明の目的は、一般に臨床に用いられている磁気共鳴イメージング装置に用意されているRFパワーアンプでは、sinc関数で振幅変調したRFバーストのsinc関数の中心に位置するサブパルスとそれと隣り合わせたサブパルスを出力するには容量不足となるという問題点を解消し、コストを増大させることなしに、 sinc関数で振幅変調したRFバーストの sinc関数の中心に位置するサブパルスとそれと隣り合わせたサブパルスを出力する方法を提供する。
【解決手段】Sinc関数で振幅変調したRFバーストを構成するサブパルス群のうちの任意のサブパルスのパワーの積分値と、このサブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度の積分との積が一定となる条件での上、サブパルスの時間幅を任意に設定することにより、サブパルスのピークパワーと、これが印加される期間に印加するリードアウト傾斜磁場強度を小さく抑える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の磁場空間に配置された被写体に、sinc関数で振幅変調したRFバーストからなる励起用RFパルスとリードアウト方向の傾斜磁場をほぼ同時に印加した後、該被写体内に生じる核磁気共鳴にともなう信号を、リードアウト傾斜磁場を印加することによりスピンエコー群あるいはフィールドエコー群として取り出して、該被写体の断層像を作成する核磁気共鳴を用いた撮影装置において、前記sinc関数で振幅変調したRFバーストを構成するサブパルス群のうちの少なくとも1つのサブパルスのパワーの積分値と、前記サブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度の積分との積が一定となる上で、前記サブパルスの時間幅を任意に設定し、前記サブパルスのピークパワーと、前記サブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度を小さくする抑えることを特徴とする核磁気共鳴を用いた撮影装置。 【請求項2】 所定の磁場空間に配置された被写体に、sinc関数で振幅変調したRFバーストからなる励起用RFパルスとリードアウト方向の傾斜磁場をほぼ同時に印加した後、該被写体内に生じる核磁気共鳴にともなう信号を、リードアウト傾斜磁場を印加することによりスピンエコー群あるいはフィールドエコー群として取り出して、該被写体の断層像を作成する核磁気共鳴を用いた撮影装置において、前記sinc関数で振幅変調したRFバーストを構成するサブパルス群のうちの少なくとも1つのサブパルスのパワーの積分値と、前記サブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度の積分との積が一定となる上で、前記サブパルスの時間幅を任意に設定し、また前記サブパルスと前記サブパルスに隣り合うサブパルスの間に印加する傾斜磁場の積分値が、前記サブパルスと前記サブパルスに隣り合うサブパルスに対応する2つのエコーの間に印加するリードアウト傾斜磁場の積分値と一致する上で、前記サブパルスと前記サブパルスに隣り合うサブパルスの時間間隔を設定し、前記サブパルスのピークパワーと、前記サブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度を小さく抑えることを特徴とする核磁気共鳴を用いた撮影装置。 【請求項3】 前記サブパルスが、前記sinc関数の中心に位置するサブパルスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の核磁気共鳴を用いた撮影装置。 【請求項4】 前記サブパルスが、前記sinc関数の中心に位置するサブパルスと隣り合うサブパルスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の核磁気共鳴を用いた撮影装置。 【請求項5】 所定の磁場空間に配置された被写体に、sinc関数で振幅変調したRFバーストからなる励起用RFパルスとリードアウト方向の傾斜磁場をほぼ同時に印加した後、該被写体内に生じる核磁気共鳴にともなう信号を、リードアウト傾斜磁場を印加することによりスピンエコー群あるいはフィールドエコー群として取り出して該被写体の断層像を作成するパルスシーケンスを有する核磁気共鳴撮影装置において、前記sinc関数で振幅変調したRFバーストを構成するサブパルス群のうちの少なくとも1つのサブパルスのパワーの積分値と、前記サブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度の積分との積が一定となる上で、前記サブパルスと前記サブパルスに隣り合うサブパルスの時間幅を任意に設定し、前記サブパルスのピークパワーと、前記サブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度を小さく抑えることを特徴とするパルスシーケンスを有する核磁気共鳴を用いた撮影装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は核磁気共鳴を用いた画像の撮影装置に係わり、特に励起RFパルスとして複数のサブパルスから構成されるRFバーストを印加する撮影装置に係わる。 【0002】 【従来の技術】磁気共鳴イメージング装置は、核磁気共鳴を利用して被写体の断層像を計測する装置である。図10に磁気共鳴イメージング装置の構成の一例を示す。図10において、101は静磁場を発生するマグネット、102は傾斜磁場を発生するコイル、103は被写体であり、これはマグネット101及びコイル102内に設置される。また、シーケンサ104は傾斜磁場電源105とRFパルス発生器106に命令を送り、傾斜磁場及びRFパルスをそれぞれコイル102及びプローブ107より発生する。通常、RFパルスはRFパルス発生器106の出力をRFパワーアンプ115により増幅し、プローブ107を通じて被写体103に印加される。被写体103から発生した信号はプローブ107により受波され、受信器108で検波が行われる。検波の基準とする磁気共鳴周波数は、シーケンサ104によりセットされる。検波された信号は計算機109に送られ、ここで画像再構成等の信号処理が行われる。結果はディスプレイ110に表示される。必要に応じて、記憶媒体111に信号や測定条件を記憶させることもできる。静磁場均一度を調整する必要がある時は、シムコイル112を使う。シムコイル112は複数のチャネルからなり、シム電源113により電流が供給される。静磁場均一度調整時には、各コイルに流れる電流をシーケンサ104により制御する。シーケンサ104はシム電源113に命令を送り、静磁場不均一を補正するような付加的な磁場をコイル112より発生させる。なお、シーケンサ104は通常、予めプログラムされたタイミング、強度で各装置が動作するように制御を行う。このプログラムのうち、特にRFパルス、傾斜磁場、信号受信のタイミングや強度を記述したものは撮影パルスシーケンスと呼ばれている。 【0003】磁気共鳴イメージング装置では被写体内の原子核を励起するために静磁場強度に比例した周波数のRFパルスを被写体に印加する。この励起RFパルスとしては振幅を変調したRFバーストを印加する方法が知られている(特願平7−117015)。ここで、RFバーストとは複数のサブパルスから構成される一連のRFパルスをいう。 【0004】図1に示すようなsinc関数で振幅変調した時間軸上のRFバーストをフーリエ変換すると、周波数軸上では特定の幅を持った方形周期波となる。ここで、時間軸上のRFバーストを構成するサブパルスの間隔をu[秒]とすると、周波数軸上の方形周期波の周期は1/u[Hz]である。また、時間軸上のRFバーストを振幅変調したsinc関数の周期をT[秒]とすると、周波数軸上の方形周期波の幅は、1/T[Hz]となる。 【0005】磁気共鳴イメージング装置では、傾斜磁場により計測される周波数帯域が実空間上の座標に割り振られるため、励起RFパルスと同時に印加される傾斜磁場の強度がRFパルス印加期間において不変である場合、周波数軸上での波形はそのまま原子核の実空間上の励起プロファイル、すなわち横磁化の絶対値を表す。特に、T=2u として振幅変調したRFバーストを励起RFパルスとして用いた場合、励起されている領域と励起されていない領域が同じ体積で交互に現れる。このT=2u とした振幅変調RFバーストの搬送周波数を1/(2 u)[Hz]だけシフトしたRFバーストをフーリエ変換すると、図2に示すように、励起されている領域と励起されていない領域がちょうど入れ替わる。 【0006】図2に示したような搬送周波数を1/(2 u)[Hz]だけシフトした2つの振幅変調RFバーストを被写体に印加することにより、被写体の撮影断面内の原子核ほぼ全てを励起して撮影を行うことができる。その具体例として、上記2つの振幅変調RFバーストのうちの第1の振幅変調RFバーストを被写体に印加して撮影を行った直後、第2の振幅変調RFバーストを被写体に印加して撮影を行い、それぞれを2次元逆フーリエ変換した後、合成する方法がある。この方法の詳細については、特願平8−74960に述べられているが、以下の具体例をもとに簡単に説明する。例えば、第1の振幅変調RFバーストを被写体に印加した時の励起プロファイルの方形周期波の幅が3ミリメートル、撮影画像のリードアウト傾斜磁場印加方向のピクセルサイズが6ミリメートルとなる条件で、図3に示した撮影シーケンスにより撮影し、得られた複数個のエコーを2次元逆フーリエ変換する。図3の横軸は時間を、縦軸はRFパルスや傾斜磁場等の強度を表す。 【0007】図3において、1は励起RFパルス、2はリードアウト傾斜磁場、3はエンコード傾斜磁場、4はスライス傾斜磁場、6はエコー(磁気共鳴信号)、31は180度パルスである。励起RFパルス1は、5個のサブパルス1-a, 1-b, 1-c, 1-d, 1-eから構成されている。リードアウト傾斜磁場2と同時に励起RFパルス1を印加し、被写体内部の原子核を励起する。次に、スライス傾斜磁場4と180度パルス31を同時に被写体を印加すると、スライス傾斜磁場印加方向に垂直な特定の幅を持った断面内(撮影断面)にある原子核の磁気モーメントは反転し、断面外にある原子核の磁気モーメントは位相がバラバラになる。次に、リードアウト傾斜磁場2を印加することによりエコー6が発生する。エコー6-1-e, 6-1-d, 6-1-c, 6-1-b, 6-1-a は、それぞれサブパルス1-e, 1-d, 1-c, 1-b, 1-aの180度パルスによるスピンエコーである。エコー6-1-e, 6-1-d, 6-1-c, 6-1-b, 6-1-a を観察した後、リードアウト傾斜磁場2の極性を反転すると、フィールドエコー6-2-a, 6-2-b, 6-2-c, 6-2-d, 6-2-e が発生する。エコー6-2-a, 6-2-b, 6-2-c, 6-2-d, 6-2-e は、それぞれエコー6-1-a, 6-1-b, 6-1-c, 6-1-d, 6-1-e の傾斜磁場反転によるフィールドエコーであるから、エコー6-2-a, 6-2-b, 6-2-c, 6-2-d, 6-2-e は、それぞれサブパルス1-a, 1-b, 1-c, 1-d, 1-eに対応している。 【0008】このように5個のサブパルス1-a, 1-b, 1-c, 1-d, 1-eに対応する5個のエコーを1つのセットとして、リードアウト傾斜磁場反転を繰り返しによりnセットのエコー群を発生し、画像再構成に必要な数のエコーを計測する。この画像の1ピクセルと励起プロファイルの位置関係を図4に示す。無限個のサブパルスから構成される振幅変調RFバーストを励起RFパルスとして用いれば、励起プロファイルは完全方形周期波となるが、図3の撮影シーケンスでは5個のサブパルスを用いているため、励起プロファイルは完全な方形周期波とはならない。 【0009】しかし、ここではこの励起プロファイルをほぼ方形周期波と見なすことができるものとして説明する。この画像の1ピクセルには、実際には励起されている3ミリメートルの領域のみの情報を持っている。搬送周波数を1/(2 u)[Hz]だけシフトした第2の振幅変調RFバーストを被写体に印加して撮影し、2次元逆フーリエ変換するすると、今度の画像の1ピクセルには先程励起されていなかった3ミリメートルの領域のみの情報を持っている。2つの画像を1ピクセルおきに交互に配列し合成すれば、リードアウト傾斜磁場印加方向の空間分解能3ミリメートルの画像ができる。すなわち、撮影画像のリードアウト傾斜磁場印加方向のピクセルサイズを6ミリメートルから3ミリメートルに改めることができる。第1の振幅変調RFバーストと第2の振幅変調RFバーストの印加において、それぞれ励起する領域が異なるため、2つの撮影の間には磁化の回復を待つための時間は必要ない。 【0010】上述したように、5個のサブパルスを用いた場合、励起プロファイルは完全方形周期波とはならないため、隣のピクセルに若干の漏れ込みが生じるが、実用上問題のない程度である。以上示したように、第1の振幅変調RFバーストと第2の振幅変調RFバーストを励起RFパルスとして用いて連続して撮影を行い、2つの画像を合成することによって、被写体の撮影断面内の原子核ほぼ全てを励起して撮影を行うことができる。 【0011】Sinc関数で振幅変調したRFバーストの設計方法について述べる。図5(d)は、撮影に実際に用いる振幅変調したRFバーストの波形の例を示し、図5(a),(b),(c)は図5(d)に示した波形を要素分解した波形を示している。すなわち、図5(d)は、(a)〜(c)の積とコンボリューションとして考えることができ、このような図を用いると振幅変調RFバーストの設計に便利である。 【0012】図5(d)のサブパルスのフリップ角の大きさは、通常、全サブパルスのフリップ角の合計が90度程度になるように決められる。図5(d)は、−10度,30度,45度の3種類の大きさのサブパルス5つを用いた例であり、この場合、フリップ角の合計は−10度+30度+45度+30度−10度=85度である。フリップ角の合計が90度の時に横磁化は最大となる。フリップ角の合計が小さいと、磁化も小さくなり、画像のS/Nが低下する。S/Nを向上するためには、フリップ角の合計をできるだけ90度に近づけることが望ましい。 【0013】図5(a)に示すように1個のサブパルスとしては3山のsinc波形を用いた。ここで重要なのは、この3山のsinc波形の有する周波数帯域が、計測領域の有する周波数帯域よりも大きくなるようにサブパルスの時間幅を決める必要があることである。この条件を満たさないで被写体を撮影すると、被写体のリードアウト傾斜磁場印加方向の両端が励起されず、両端が切れた画像が得られる。これは、サブパルスと同時にリードアウト傾斜磁場Grを印加しているため、リードアウト傾斜磁場印加方向にスライスを切ることになるためである。前記条件を満たそうとすると、SE法等の他の撮影法で用いる励起RFパルスの時間幅に比べて、サブパルスの時間幅は非常に短くなる。例えば、図5(b)に示すようにサブパルスの時間間隔が128マイクロ秒である場合、周波数軸上の方形周期波の周期は7.8125キロHzである。 【0014】先に述べた第1の振幅変調RFバーストと第2の振幅変調RFバーストを励起RFパルスとして用いて連続して撮影し2つの画像を合成する方法で、64*64マトリクスの撮影画像を得る場合、サブパルスの有する周波数帯域は、7.8125*64/2=250キロHz必要である。磁気共鳴イメージング装置では、この250キロHzの周波数帯域が傾斜磁場により実空間上の座標に割り振られる。今、頭部の撮影を想定し、画像の視野を19センチメートルとする。1テスラにおける水素原子核の磁気共鳴周波数は約43メガHzであるため、19センチメートルの視野の両端で周波数が250キロHz異なるように傾斜磁場強度を決定すると、250/(43*103)/0.19= 0.0305 となり、約30ミリテスラ/メートルである。この250キロHzの周波数帯域から逆算するとサブパルスの時間幅は16マイクロ秒以下である必要がある。 【0015】SE法等の他の撮影法で用いる励起RFパルスの時間幅は通常、数百マイクロ秒である。一方、サブパルスのフリップ角の大きさはサブパルスの積分値に比例するため、サブパルスのフリップ角を一定にしてサブパルスの時間幅を短縮する場合、サブパルスの振幅を大きくする必要がある。RFパワーアンプの容量が十分大きければ、サブパルスの振幅をいくらでも大きくすることができる。 【0016】しかしながら、大容量のRFパワーアンプは一般に高価である。一般に臨床に用いられている磁気共鳴イメージング装置ではコスト低減のため、数百マイクロ秒の時間幅のRFパルスによりフリップ角180度の出力がだせる程度にRFパワーアンプの容量が決められるのが普通である。仮に150マイクロ秒の時間幅のRFパルスによりフリップ角180度の出力がだせる容量のRFパワーアンプがあったとする。サブパルスの波形が同じ場合、サブパルスのフリップ角はサブパルスの時間幅に比例する。従って、このRFパワーアンプを用いた時に、時間幅16マイクロ秒のサブパルスのだせる最大フリップ角は、180/(150/16)=19.2度である。すなわち、このRFパワーアンプを用いた場合、図5(d)に示したサブパルスのうち、フリップ角30度と45度のものは出力できない。 【0017】従って、一般に臨床に用いられている磁気共鳴イメージング装置に用意されているRFパワーアンプでは、sinc関数の中心に位置するサブパルスとそれと隣り合わせたサブパルスを出力するには容量不足である。RFパワーアンプの容量を大きくすれば、sinc関数の中心に位置するサブパルスとそれと隣り合わせたサブパルスを出力することができるが、コストが増大するという欠点がある。 【0018】一方、RFバーストを用いて被写体を励起する場合に、サブパルス印加時にはリードアウト傾斜磁場Gr強度をゼロにし、サブパルスとサブパルスの間に大強度のGrを印加する方法が、特願平7−240439に述べられている。この方法であれば、サブパルスと同時にリードアウト傾斜磁場Grを印加していないため、リードアウト傾斜磁場印加方向にスライスを切ることはない。従って、短い時間幅のサブパルスを使う必要がなく、通常装置で使用されているRFパワーアンプを用いて撮影を行うことができる。 【0019】しかしながら、図5(b)に示すようにサブパルスの時間間隔が128マイクロ秒と短い場合、この間に大強度のGrを印加するには大容量の傾斜磁場電源が必要であり、やはりコストが増大する。また、大強度傾斜磁場の高速オン-オフを繰り返すと大きな騒音が発生するという欠点がある。 【0020】 【発明が解決しようとする課題】上述したように、一般に臨床に用いられている磁気共鳴イメージング装置に用意されているRFパワーアンプでは、sinc関数で振幅変調したRFバーストのsinc関数の中心に位置するサブパルスとそれと隣り合わせたサブパルスの合計3つのサブパルスを出力するには容量不足となるという欠点がある。RFパワーアンプの容量を大きくすれば、sinc関数の中心に位置するサブパルスとそれと隣り合わせた3つのサブパルスを出力することができるが、コストが増大するという欠点がある。 【0021】本発明はこの問題を解消し、コストを増大させることなしに、sinc関数で振幅変調したRFバーストのサブパルス、特にsinc関数の中心に位置するサブパルスとそれと隣り合わせたサブパルスを出力する方法を提供する。 【0022】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明によれば、所定の磁場空間に配置された被写体に、sinc関数で振幅変調したRFバーストからなる励起用RFパルスとリードアウト方向の傾斜磁場をほぼ同時に印加した後、該被写体内に生じる核磁気共鳴にともなう信号を、リードアウト傾斜磁場を印加することによりスピンエコー群あるいはフィールドエコー群として取り出して、該被写体の断層像を作成する核磁気共鳴を用いた撮影装置において、前記sinc関数で振幅変調したRFバーストを構成するサブパルス群のうちの少なくとも1つのサブパルスのパワーの積分値と、前記サブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度の積分との積が一定となる上で、前記サブパルスの時間幅を任意に設定し、前記サブパルスのピークパワーと、前記サブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度を小さく抑えるようすることを特徴とするものである。 【0023】また、本発明によれば、所定の磁場空間に配置された被写体に、sinc関数で振幅変調したRFバーストからなる励起用RFパルスとリードアウト方向の傾斜磁場をほぼ同時に印加した後、該被写体内に生じる核磁気共鳴にともなう信号を、リードアウト傾斜磁場を印加することによりスピンエコー群あるいはフィールドエコー群として取り出して、該被写体の断層像を作成する核磁気共鳴を用いた撮影装置において、前記sinc関数で振幅変調したRFバーストを構成するサブパルス群のうちの少なくとも1つのサブパルスのパワーの積分値と、前記サブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度の積分との積が一定となる上で、前記サブパルスの時間幅を任意に設定し、また前記サブパルスと前記サブパルスに隣り合うサブパルスの間に印加する傾斜磁場の積分値が、該サブパルスと該サブパルスに隣り合うサブパルスに対応する2つのエコーの間に印加するリードアウト傾斜磁場の積分値と一致する上で、前記サブパルスと前記サブパルスに隣り合うサブパルスの時間間隔を任意に設定し、前記サブパルスのピークパワーと、前記サブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度を小さく抑えることを特徴とするものである。 【0024】好ましくは、前記サブパルスが、前記sinc関数の中心に位置するサブパルスであることである。 【0025】または、好ましくは、前記サブパルスが、前記sinc関数の中心に位置するサブパルスと隣り合うサブパルスであることである。 【0026】さらに、本発明によれば、所定の磁場空間に配置された被写体に、sinc関数で振幅変調したRFバーストからなる励起用RFパルスとリードアウト方向の傾斜磁場をほぼ同時に印加した後、該被写体内に生じる核磁気共鳴にともなう信号を、リードアウト傾斜磁場を印加することによりスピンエコー群あるいはフィールドエコー群として取り出して該被写体の断層像を作成するパルスシーケンスを有する核磁気共鳴撮影装置において、前記sinc関数で振幅変調したRFバーストを構成するサブパルス群のうちの少なくとも1つのサブパルスのパワーの積分値と、前記サブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度の積分との積ば一定となる上で、前記サブパルスの時間幅を任意に設定し、前記サブパルスのピークパワーと、前記サブパルスを被写体に印加する時間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度を小さく抑えるようにすることを特徴とするパルスシーケンスである。 【0027】 【発明の実施の形態】本発明の第一の実施形態として、図6に示した撮影パルスシーケンスについて述べる。図6の横軸は時間を、縦軸はRFパルスや傾斜磁場等の強度を表す。図6において、61は励起RFパルス、62はリードアウト傾斜磁場、3はエンコード傾斜磁場、4はスライス傾斜磁場、6はエコー、31は180度パルスである。励起RFパルス61は、サブパルス61-a, 61-b, 61-c, 61-d, 61-eから構成される。傾斜磁場62と同時に励起RFパルス61を印加し、被写体内部の原子核を励起する。 【0028】ここで、従来の撮影パルスシーケンスを示した図3においては、 傾斜磁場2の強度はRFパルス1を印加する間、同じであったが、本実施形態では、 sinc関数で振幅変調したRFバーストの sinc関数の中心に位置するサブパルス61-cとそれと隣り合わせたサブパルス61-b, 61-dの合計3つのサブパルスを印加する間に印加する傾斜磁場62-2の強度が、他のサブパルスを印加する間に印加する傾斜磁場62-1の強度よりも小さくなっている。次に、スライス傾斜磁場4と180度パルス31を同時に被写体を印加すると、スライス傾斜磁場印加方向に垂直な特定の幅を持った断面内にある原子核の磁気モーメントは反転し、断面外にある原子核の磁気モーメントは位相がバラバラになる。次に、リードアウト傾斜磁場2を印加することによりエコー6が発生する。 【0029】従来の撮影パルスシーケンスを示した図3と本実施形態のパルスシーケンスを示した図6とは、励起ステップを除けばすべて同じである。図7は撮影シーケンスのうちの励起ステップの拡大図を示しており、図7(a)は従来例、図7(b)は本実施形態の場合を示している。頭部の撮影を想定し、画像の視野を19センチメートルとすると、前述したようにリードアウト傾斜磁場強度は約30ミリテスラ/メートルとなる。図7(b)において、サブパルス61-b, 61-c, 61-dを印加する間に同時に印加する傾斜磁場62-2の強度は、図7(a)においてRFパルス1を印加する間に同時に印加する傾斜磁場2の強度の3分の1に設定されている。すなわち、傾斜磁場62-2の強度は、30/3=10ミリテスラ/メートルである。また、図7(b)におけるサブパルス61-b, 61-c, 61-dの時間幅は、図7(a)におけるサブパルスの時間幅の3倍に設定されている。すなわち、サブパルス61-b, 61-c, 61-dの時間幅は16*3=48マイクロ秒である。150マイクロ秒の時間幅のRFパルスによりフリップ角180度の出力がだせる容量のRFパワーアンプを用いた時に、時間幅48マイクロ秒のサブパルスのだせる最大フリップ角は、180/(150/48)=57.6 度であり、45度を超えている。 【0030】また、図7(b)におけるサブパルス61-bと61-c、およびサブパルス 61-cと 61-dの間隔は、図7(a)におけるサブパルスの間隔の3倍に設定されている。すなわち、サブパルス61-bの中心と61-cの中心、およびサブパルス 61-cの中心と 61-dの中心の間に印加する傾斜磁場の積分値は、サブパルス1-bの中心と1-cの中心、およびサブパルス1-cの中心と 1-dの中心の間に印加する傾斜磁場の積分値と一致するように、サブパルスの間隔を設定している。同様に、サブパルス61-aの中心と61-bの中心、およびサブパルス 61-dの中心と 61-eの中心の間に印加する傾斜磁場の積分値は、サブパルス1-aの中心と1-bの中心、およびサブパルス 1-dの中心と 1-eの中心の間に印加する傾斜磁場の積分値と一致するように、サブパルスの間隔を設定している。 【0031】これらから分かるように、それぞれサブパルスの設定条件は、サブパルスのパワーの積分値と、サブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度の積分との積が一定となる条件で設定され、この条件の上でサブパルスの時間幅を任意に設定することにより、サブパルスのピークパワーと、これが印加される期間に印加するリードアウト傾斜磁場強度を小さく抑えることができる。従って、一般に臨床に用いられている磁気共鳴イメージング装置に用意されているRFパワーアンプを用いても、RFバーストのsinc関数の中心に位置するサブパルスとそれと隣り合わせたサブパルスの時間間隔を広げ全体のサブパルスを出力することが可能になる。 【0032】従来の撮影パルスシーケンスを示した図3においては、RFパルス1印加と同時に印加する傾斜磁場の強度とエコー取得時に印加するリードアウト傾斜磁場2の強度は同じである。また、従来の撮影パルスシーケンスを示した図3と本実施形態のパルスシーケンスを示した図6とは、励起ステップを除けばすべて同じである。従って、図6において、サブパルス61-bの中心と61-cの中心の間に印加する傾斜磁場の積分値は、それらサブパルスに対応する2つのエコー、例えばエコー6-1-bの中心と6-1-cの中心の間に印加するリードアウト傾斜磁場の積分値と一致するようにサブパルスの間隔を設定していると言える。同様に、他のサブパルスについても、該サブパルスの中心と該サブパルスに隣り合うサブパルスの中心の間に印加する傾斜磁場の積分値が該サブパルスと該サブパルスに隣り合うサブパルスに対応する2つのエコーの中心の間に印加するリードアウト傾斜磁場の積分値と一致するように該サブパルスと該サブパルスに隣り合うサブパルスの間隔を設定していると言える。この時、リードアウト傾斜磁場印加方向の励起プロファイルは、従来例と同じく図4に示したような方形周期波になる。 【0033】以上述べたように、図6に示した本実施形態のシーケンスを用いれば、一般に臨床に用いられている磁気共鳴イメージング装置に用意されているRFパワーアンプを用いて、RFバーストの sinc関数の中心に位置するサブパルスとそれと隣り合わせたサブパルスを出力することが可能であるという効果がある。また、サブパルス印加時にはリードアウト傾斜磁場Gr強度をゼロにし、サブパルスとサブパルスの間に大強度のGrを印加する従来法(特願平7−240439)と比較し、励起ステップにおける傾斜磁場の切り替えが少ないため、励起ステップにおいて発生する騒音が小さいという効果がある。 【0034】本発明の第二の実施形態として、図8(b)に示した励起ステップについて述べる。図8(a)は従来の励起ステップを示している。図8(b)においては、サブパルスを印加する間に同時に印加する傾斜磁場82の強度は、図8(a)においる傾斜磁場の強度の3分の1に設定されている。また、図8(b)におけるサブパルスの時間幅は全て、図8(a)におけるサブパルスの時間幅の3倍に設定されている。すなわち、図8(b)におけるサブパルスの時間幅は16*3=48マイクロ秒であり、傾斜磁場強度は30/3=10ミリテスラ/メートルである。 【0035】この第二の実施形態も第一の実施形態と同様に、サブパルスの中心と該サブパルスに隣り合うサブパルスの中心の間に印加する傾斜磁場の積分値が該サブパルスと該サブパルスに隣り合うサブパルスに対応する2つのエコーの中心の間に印加するリードアウト傾斜磁場の積分値と一致するように該サブパルスと該サブパルスに隣り合うサブパルスの間隔を設定していると言える。この時、リードアウト傾斜磁場印加方向の励起プロファイルは、従来例と同じく図4に示したような方形周期波になる。150マイクロ秒の時間幅のRFパルスによりフリップ角180度の出力がだせる容量のRFパワーアンプを用いた時に、時間幅48マイクロ秒のサブパルスのだせる最大フリップ角は、180/(150/48)=57.6 度であり、45度を超えている。 【0036】すなわち、RFバーストを構成する全てのサブパルスの時間幅を広げ及びピークパワーを下げたことにより、一般に臨床に用いられている磁気共鳴イメージング装置に用意されているRFパワーアンプを用いて、これらサブパルスを出力することが可能であるという効果がある。 【0037】また、図7(b)に示した第一の実施形態と比較して、図8(b)に示した励起ステップを用いれば、励起ステップにおける傾斜磁場の切り替えが少ないため、励起ステップにおいて発生する騒音が小さいという効果がある。ただし、図8(b)に示した励起ステップを用いると、図8(a)に示した従来の励起ステップと比較して、励起に必要な時間が大幅に長くなる。撮影時間短縮を優先させるならば、図7(b)に示した励起ステップを用いた方が良い。 【0038】本発明の第三の実施形態として、図9(b)に示した励起ステップについて述べる。図9(a)は従来の励起ステップを示している。図9(b)においては、サブパルス91-cを印加する間に同時に印加する傾斜磁場92-3の強度は、図9(a)における傾斜磁場の強度の4分の1、すなわち30/4=7.5ミリテスラ/メートルに設定されている。また、サブパルス91-c の時間幅は、図9(a)におけるサブパルスの時間幅の4倍、すなわち16*4=64マイクロ秒に設定されている。また、サブパルス91-b, 91-dを印加する間に同時に印加する傾斜磁場92-2の強度は、図9(a)においる傾斜磁場の強度の3分の1、すなわち30/3=10ミリテスラ/メートルに設定されている。また、サブパルス91-b, 91-dの時間幅は、図9(a)におけるサブパルスの時間幅の3倍、すなわち16*3=48マイクロ秒に設定されている。 【0039】この第三の実施形態も第一の実施形態と同様に、サブパルスの中心と該サブパルスに隣り合うサブパルスの中心の間に印加する傾斜磁場の積分値が該サブパルスと該サブパルスに隣り合うサブパルスに対応する2つのエコーの中心の間に印加するリードアウト傾斜磁場の積分値と一致するように該サブパルスと該サブパルスに隣り合うサブパルスの間隔を設定している。この時、リードアウト傾斜磁場印加方向の励起プロファイルは、従来例と同じく図4に示したような方形周期波になる。図9(b)に示した励起ステップを用いれば、250マイクロ秒の時間幅のRFパルスによりフリップ角180度の出力がだせる容量のRFパワーアンプを用いて、RFバーストを構成する全てのサブパルスを出力することが可能である。 【0040】250マイクロ秒の時間幅のRFパルスによりフリップ角180度の出力がだせる容量のRFパワーアンプを用いた時に、時間幅64マイクロ秒のサブパルスのだせる最大フリップ角は、180/(250/64)=46.08 度であり、45度を超えている。すなわち、サブパルス91-cを出力することが可能である。また、250マイクロ秒の時間幅のRFパルスによりフリップ角180度の出力がだせる容量のRFパワーアンプを用いた時に、時間幅48マイクロ秒のサブパルスのだせる最大フリップ角は、180/(250/48)=34.56 度であり、30度を超えている。すなわち、サブパルス91-b, 91-dを出力することが可能である。また、250マイクロ秒の時間幅のRFパルスによりフリップ角180度の出力がだせる容量のRFパワーアンプを用いた時に、時間幅16マイクロ秒のサブパルスのだせる最大フリップ角は、180/(250/16) =11.52 度であり、10度を超えている。すなわち、サブパルス91-a , 91-eを出力することが可能である。 【0041】以上から、図9(b)に示した励起ステップを用いれば、図7(b)に示した第一の実施形態と比較して、任意のサブパルスの時間幅を広げピークパワーを下げたことにより、第一の実施形態の説明で述べたRFパワーアンプよりも容量の小さいRFパワーアンプを用いた場合でも、RFバーストを構成する全てのサブパルスを出力することが可能となる。 【0042】以上、本発明を特定の撮影パルスシーケンスについて説明したが、上記以外の撮影パルスシーケンスについても同様に、sinc関数で振幅変調したRFバーストを構成するサブパルス群のうちの任意のサブパルスのパワーの積分値と、このサブパルスを被写体に印加するのと同時に印加する傾斜磁場強度の積分との積が一定となる上で、このサブパルスとこのサブパルスに隣り合うサブパルスの時間間隔を任意に設定し、このサブパルスのピークパワーと、前記サブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度とを小さくするように設定することにより、一般に臨床に用いられている磁気共鳴イメージング装置に用意されているRFパワーアンプを用いて、RFバーストを構成する全てのサブパルスを出力することが可能になる。例えば、1セット目のエコーは、180度パルスにより発生するスピンエコーである必要はなく、リードアウト傾斜磁場の反転により発生するフィールドエコーであっても良い。同様に2セット目以降のエコーは、リードアウト傾斜磁場の反転により発生するフィールドエコーである必要はなく、180度パルスにより発生するスピンエコーであっても良い。 【0043】 【発明の効果】Sinc関数で振幅変調したRFバーストを構成するサブパルス群のうち少なくとも1つのサブパルスのパワーの積分値と、このサブパルスを被写体に印加するのと同時に印加する傾斜磁場強度の積分との積が一定となる上で、このサブパルスの時間幅を任意に設定し、このサブパルスの時間幅を広げピークパワーを下げ、このサブパルスを被写体に印加する期間に印加するリードアウト方向の傾斜磁場強度を小さくするように設定することにより、一般に臨床に用いられている磁気共鳴イメージング装置に用意されているRFパワーアンプを用いて、RFバーストを構成する全てのサブパルスを出力することが可能になるという効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】590002404 【氏名又は名称】技術研究組合医療福祉機器研究所
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月18日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鵜沼 辰之
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| 【公開番号】 |
特開平11−4817 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月12日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−160805 |
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