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【発明の名称】 蓋付きちり取り
【発明者】 【氏名】平山 大

【氏名】鍛治 邦彦

【要約】 【課題】構造を簡素化すると共に作業時及び吊り下げ時に、持ち易く、手首等が疲れない蓋付きちり取りを提供する。

【解決手段】ちり取り本体1の側板3に回動自在に連結されるアーム部8を蓋7と一体に形成する共に、該蓋7にハンドル12を固定することにより、ハンドル12と蓋7とアーム部8が本体1に対して一体的に回動するようにして、蓋の剛性を向上し、この蓋7の下端縁7aを、本体1に直接係合することにより、作業状態においてハンドル12を後傾姿勢に保持する。ハンドル後傾角度θ2を80°〜88°とすると、人間工学的に掃入れ作業がし易い。本体1によってハンドル12が後傾姿勢で係止されている時に、グリップ上側面13aが水平姿勢かあるいはやや後上がり傾斜姿勢となるようにする。また、グリップ13の下側面13bの根元側部分を、ハンドルの軸芯線に対して概ね直角に形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 底板と、左右側板と、天板と、奥板を一体に有し、掃入れ口が開口する本体と、掃入れ口を覆うと共に左右両側にアーム部を有し、該アーム部が本体側板に回動自在に連結された門形の蓋と、該蓋に固定されると共に一定長さ上方へと延び、上端部にL字形に折れ曲がるグリップを有するハンドルとを備え、ハンドルを吊り下げた時には、本体は掃入れ口を上側にした垂下姿勢となって蓋により掃入れ口が覆われ、本体を床面等に置いた時には、本体は底板が床面等に沿う倒伏姿勢となって掃入れ口が開口するようになっており、本体が倒伏姿勢の時に、蓋の端縁が本体に当接することによりハンドルを所定角度の後傾姿勢で係止するようにしていることを特徴とする蓋付きちり取り。
【請求項2】 請求項1記載の蓋付きちり取りにおいて、倒伏姿勢の本体によって蓋が係止されている時のハンドルの後傾角度が、水平面に対して80°〜88°になるようにしていることを特徴とする蓋付きちり取り。
【請求項3】 請求項1記載の蓋付きちり取りにおいて、倒伏姿勢の本体によってハンドルが後傾姿勢で係止されている時に、グリップの上側面が水平姿勢かあるいはやや後上がり傾斜姿勢となるように、ハンドル軸芯線に対するグリップの折曲角度を設定していることを特徴とする蓋付きちり取り。
【請求項4】 請求項3記載の蓋付きちり取りにおいて、グリップの下側面の根元側部分を、ハンドルの軸芯線に対して概ね直角に形成し、ハンドル吊り下げ時に上記下側面の根本側部分が概ね水平になるようにしていることを特徴とする蓋付きちり取り。
【請求項5】 請求項1記載の蓋付きちり取りにおいて、蓋のアーム部の内面に、柔軟性を有する緩衝部材を固着し、本体が垂下姿勢の時に緩衝部材に本体の側板が接触して本体を静止するようにしていることを特徴とする蓋付きちり取り。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、持ち歩いたり片付けたりする時には、本体が垂下姿勢となるようにハンドルを吊り下げた状態とし、一方、掃入れ作業をする時には本体を倒伏姿勢に回動して、底板を床面に設置すると共に掃入れ口を開口し、作業者が立った状態で掃入れ作業を行うことができる蓋付きのちり取りに関する。
【0002】
【従来の技術】図7はこの種ちり取りの従来例を示しており、前面に掃入れ口45が開口する本体42と、該本体42を左右に跨ぐと共に本体42の側板に支持ピン50を介して回動自在に連結されたコの字の回動金具43と、該回動金具43に固定されて上方に延びると共に上端部にL字形のグリップ48を有するハンドル44と、回動金具43の途中にピン51を介して回動自在に支持された蓋46とから構成されている。グリップ48はハンドル44の軸芯線に対して直角に後方へと折れ曲がっている。
【0003】図6はハンドル44を吊り下げた状態を示しており、本体42は掃入れ口45を上側にした垂下姿勢となり、蓋46により掃入れ口45を覆っている。
【0004】図7は作業時の状態を示しており、本体42は底板を床面に設置した倒伏姿勢となり、蓋46は掃入れ口45から後上方へと外れると共に、本体42の天板に形成されたストッパー用突起49に係止されており、これによりハンドル44は後傾姿勢に保持されている。ハンドル44の水平面に対する傾斜角度θ1は、概ね75°程度に設定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図6及び図7の従来の蓋付きちり取りでは、グリップ48がハンドル44の軸芯線に対して直角に後方へと折れ曲がっているので、図6のようにハンドル44のグリップ48を持って吊り下げた状態で持ち運ぶ場合には、グリップ48が水平姿勢となり、指でぶら下げやすく、手首等の疲れはあまり生じない。ところが図7のような作業時には、ハンドル44が水平面に対して後方へθ1=75°程度傾斜した姿勢となることにより、グリップ48は後下がり状の傾斜姿勢となる。このようにグリップ48が後下がり姿勢になっていると、一方の手でグリップ48を持ち、他方の手でほうきを持って前方のちりを掃き入れる作業を繰り返し行う場合、グリップ48を持つ手の手首が疲れやすいことが、人間工学的に判明している。
【0006】また、本体42にコの字形の回動金具43を取り付け、該回動金具43に対してさらに回動自在に蓋46を取り付けているので、清掃後に持ち上げて蓋46を閉じる時に「ガタン」という部品同士の不快な衝突音が生じ、また、吊り下げて持ち運ぶ時にも、本体42や蓋46が個々に揺れ動くことにより、ガチャガチャと不快な音が発生する。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため本願請求項1記載の発明による蓋付きちり取りは、底板と、左右側板と、天板と、奥板を一体に有し、掃入れ口が開口する本体と、掃入れ口を覆うと共に左右両側にアーム部を有し、該アーム部が本体側板に回動自在に連結された門形の蓋と、該蓋に固定されると共に一定長さ上方へと延び、上端部にL字形に折れ曲がるグリップを有するハンドルとを備え、ハンドルを吊り下げた時には、本体は掃入れ口を上側にした垂下姿勢となって蓋により掃入れ口が覆われ、本体を床面等に置いた時には、本体は底板が床面等に沿う倒伏姿勢となって掃入れ口が開口するようになっており、本体が倒伏姿勢の時に、蓋の端縁が本体に当接することによりハンドルを所定角度の後傾姿勢で係止するようにしている。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の蓋付きちり取りにおいて、倒伏姿勢の本体によって蓋が係止されている時のハンドルの後傾角度が、水平面に対して80°〜88°になるように蓋の端縁を形成している。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項1記載の蓋付きちり取りにおいて、倒伏姿勢の本体によってハンドルが後傾姿勢で係止されている時に、グリップの上側面が水平姿勢かあるいはやや後上がり傾斜姿勢となるように、ハンドル軸芯線に対するグリップの折曲角度を設定していることを特徴としている。
【0010】請求項4記載の発明は、請求項3記載の蓋付きちり取りにおいて、グリップの下側面の根元側部分を、ハンドルの軸芯線に対して概ね直角に形成し、ハンドル吊り下げ時に上記下側面の根本側部分が概ね水平になるようにしていることを特徴としている。
【0011】請求項5記載の発明は、請求項1記載の蓋付きちり取りにおいて、蓋のアーム部の内面に、柔軟性を有する緩衝部材を固着し、本体が垂下姿勢の時に緩衝部材に本体の側板が接触して本体を静止するようにしていることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本願発明を適用した蓋付きちり取りの作業時の状態を示す斜視図であり、ちり取りの本体1は、底板2と、左右の側板3と、天板4と、奥板5を一体に樹脂成形してなり、前端が掃入れ口6として開口している。蓋7は左右のアーム部8と共に樹脂により門形に一体成形されており、左右アーム部8の下端部は本体1の左右側板3に支持ピン10を介して回動自在に連結されている。ハンドル12は前後方向幅が短径となる断面楕円形のアルミパイプでできており、蓋7の上端部に形成された半割り円筒状の取付ボス部15にボルト等により固着されて上方へと延びている。ハンドル12の上端部には後方へとL字形に折れ曲がるグリップ13が固着(嵌着)されている。グリップ13の縦部分の下端部にはフォーク状の箒取付爪25が一体に形成されており、また、折曲部分にはリング状の紐26が固着されている。底板2の掃入れ口側の端縁には、ゴム製の舌状ブレード16が取り付けられている。
【0013】図4は作業状態における前面図であり、蓋7の下端縁7aは左右両端部に大きなR部が形成された形状となっており、本体1を倒伏姿勢まで回動した時に、蓋下端縁7aの左右両端位置Pが、本体天板4の左右両端、言い換えれば両側板3の上端に当接し、係止されるようになっている。蓋7の裏面には左右方向に間隔をおいて複数本のリブ17が形成されており、左右のアーム部8の内面には、弾性を有する緩衝部材、たとえばスポンジ21が接着されている。
【0014】図2は作業状態の縦断面図を示しており、本体1は底板2が床面Fに載せられた倒伏姿勢となっており、ハンドル12は後方に傾斜し、前述のように蓋下端縁7aの左右端位置Pが本体天板4の左右端部に係止されることにより、後方傾斜角度θ2=80°〜88°の範囲でハンドル12は保持されている。該実施の形態では、人間工学的に最も好ましい角度85°に保持されている。
【0015】グリップ13は、上側面13aが側方から見て略直線状となるように形成されており、下側面13bが側方から見て下方へ緩やかに膨らむ山形となるように形成されている。
【0016】ハンドル12の軸芯線O1に対するグリップ上側面13aの角度θ3は90°より大きく、図2のようにハンドル12が後傾姿勢で係止された時に、グリップ上側面13aが水平姿勢かあるいはやや後上がり姿勢となるように設定されている。たとえば、作業状態でグリップ上側面13aが水平になるようにする場合には、前述のようにθ2が80°〜88°の範囲に設定されるのに対応して、θ2+θ3=180°となるように、θ3=100°〜92°の範囲で設定されることになる。
【0017】また、グリップ上側面13aが作業状態で後上がり姿勢となるように設定する場合には、前述のようにハンドル傾斜角度θ2が80°〜88°の範囲に設定されるのに対応して、180°<(θ2+θ3)となるように、θ3は少なくとも92°より大きく設定される。水平面に対するグリップ上側面13aの傾斜角度としては最大8°程度までが適当であり、この場合は180°<(θ2+θ3)≦180°+8°となるように、θ3は設定される。ちなみに、該実施の形態ではθ2=85°、θ3=100°に設定しているので、作業状態におけるグリップ上側面13aは、水平面に対して5°の角度で後ろ上がりに傾斜している。
【0018】一方、ハンドル軸芯線O1に対するグリップ下側面13bの根本側部分の角度θ4は直角に設定されている。また、グリップ13の折曲部の内周面は、人差し指が引っ掛かる程度の凹部22となっている。
【0019】作用を簡単にまとめてみる。清掃後に図3のようにハンドル12を引き上げる場合、作業者はグリップ13を握るのではなくて、通常は、片手をグリップ13の下側面13bに当てて持ち上げる場合が多く、具体的には人差指を下側面13bの根本側部分に当てて持ち上げている。この時、グリップ下側面13bの根本側部分が水平姿勢になっていると、ちり取り全体の吊り下げ状態が安定するので、持ち運び易く、ずり落ちたりしなくなる。
【0020】また、図3のような吊り下げ状態においては、垂下姿勢の本体1はアーム部8のスポンジ21により弾性的に静止されており、これにより持ち運び中に本体1が揺れ動くことはなく、ガチャガチャという音もしない。
【0021】図2のように本体1を倒伏姿勢にして掃入れ作業をする場合には、グリップ13を握って床面F上を動かす場合が多く、この時、当該実施の形態ではハンドル12は水平面に対して85°の角度で後傾し、グリップ上側面13aは水平面に対して5°の角度で後上がり状に傾斜している。掃入れ作業時、作業者は若干前屈み姿勢となり、一方の手でグリップ13を握り、他方の手で箒を持って行うが、グリップ13が若干後上がりに傾斜し、ハンドル12が85°程度で後方に傾いていると、手首が疲れ難い。
【0022】また図2のような作業状態において、蓋7は本体天板4の左右両端部、いいかえれば側板3の上端部によって係止されているので、たとえば天板4の左右幅の中間部分で係止されるような場合に比べ、天板4のたわみにより傾斜角度が変化するようなことはない。
【0023】
【その他の実施の形態】(1)ハンドル12を後傾姿勢に係止するために、図4では蓋下端縁7aの左右端部を本体天板4の左右端部によって係止するように構成しているが、蓋下端縁7aの左右全幅が天板4に当接するように構成することもできる。
【0024】(2)緩衝部材21の材料としては、軟質のゴム、軟質の樹脂、厚手の布あるいはパイル糸を植毛した絨毯の切れ端等、各種弾性的性質を有する材料を利用することができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように本願請求項1記載の発明によると、(1)本体側板3に回動自在に連結されるアーム部8を蓋7と一体に形成すると共に、該蓋7にハンドル12を固定して、ハンドル12と蓋7とアーム部8が本体1に対して一体的に回動するように構成しており、このように剛性を向上させた蓋7の下端縁7aを本体1に直接係合することにより、作業状態においてハンドル12を後傾姿勢に保持するようにしているので、しっかりと所定の角度で後傾姿勢を保持することができると共に、回動支持箇所及び部品点数を図6の従来例よりも減らすことができる。すなわち、図6の従来例のような単独の回動金具及びストッパー用突起が不要になると共に、回動連結機構も1つ減ることになる。
【0026】(2)請求項2記載のように、作業状態におけるハンドル後傾角度θ2を、80°〜88°とすると、従来の75°程度の後傾に比べ、人間工学的に掃入れ作業がし易く、疲れにくいことが判明している。
【0027】(3)請求項3記載の発明のように、倒伏姿勢の本体1によってハンドル12が後傾姿勢で係止されている時に、グリップ13の上側面13aが水平姿勢かあるいはやや後上がり傾斜姿勢となるように、ハンドル軸芯線O1に対するグリップ13の折曲角度を設定していると、図7の従来例のようにグリップが後下がり姿勢となる構造に比べ、手首が疲れにくい。
【0028】(4)請求項4記載の発明のように、グリップ13の下側面13bの根元側部分を、ハンドル12の軸芯線O1に対して概ね直角に形成し、ハンドル吊り下げ時に上記下側面13bの根本側部分が概ね水平になるようにしていると、上記(3)のような作業時の利点を確保しながらも、吊り下げて持ち運ぶ時に、ずれ落ち難く、運び易い。
【0029】(5)蓋7とハンドル12とアーム部8とを一体的に回動するようにしていることにより、持ち運び中のがたつき等を減らすことができ、しかも、これに加え請求項5記載の発明のように、蓋7のアーム部8の内面に、柔軟性を有する緩衝部材21を固着し、本体1が垂下姿勢の時に緩衝部材21に本体側板3が接触して本体1を静止するようにしていると、持ち運び中のがたつきや音を一層減少させることができると共に、清掃後に持ち上げて蓋7を閉じる時にも、「バタン」というような不快な部品同士の衝突音がなくなる。
【出願人】 【識別番号】000133445
【氏名又は名称】株式会社ダスキン
【出願日】 平成10年(1998)5月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開平11−309104
【公開日】 平成11年(1999)11月9日
【出願番号】 特願平10−122035