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【発明の名称】 積層紙、積層紙の製造方法及び積層紙の製造装置
【発明者】 【氏名】角田 文男

【要約】 【課題】積層紙の融着面積を少なくしても十分な融着強度を得ることができ、全体のボリューム感も増大することができるようにする。

【解決手段】クレープ紙1の皺と略直交する方向に所定長略直線状に延びる線状部11aを、皺の方向と同一方向に所定間隔ずらして交互に配置すると共に、線状部11a間を点状部11bにより接続して、積層状態のクレープ紙1と不織布2に融着部11を形成し、かつ、隣接する融着部11を対称的に配置して線状部11a間のピッチを交互に幅狭及び幅広とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一方向に延びる皺を有するクレープ紙と熱融着性シートを積層し、それらを熱融着してなる積層紙において、前記クレープ紙の皺と略直交する方向に所定長略直線状に延びる第1の部分を、前記皺の方向と同一方向に所定間隔ずらして交互に配置すると共に、前記第1の部分間を第2の部分により接続して、積層状態のクレープ紙と熱融着性シートに融着部を形成し、かつ、隣接する融着部を対称的に配置して第1の部分間のピッチを交互に幅狭及び幅広としたことを特徴とする積層紙。
【請求項2】 前記融着部の第2の部分を第1の部分より幅広とし、前記クレープ紙と熱融着性シートを前記第1の部分では線状に、第2の部分では点状に融着したことを特徴とする請求項1に記載の積層紙。
【請求項3】 一方向に延びる皺を有するクレープ紙と熱融着性シートを積層する積層工程と、対向配置した一対のヒートシールローラを使用して、前記クレープ紙の皺と略直交する方向に所定長略直線状に延びる第1の部分を前記皺の方向と同一方向に所定間隔ずらして交互に配置すると共に前記第1の部分間を第2の部分により接続して前記積層状態のクレープ紙と熱融着性シートに融着部を形成し、かつ、隣接する融着部を対称的に配置して第1の部分間のピッチを交互に幅狭及び幅広とする融着工程とを具備することを特徴とする積層紙の製造方法。
【請求項4】 積層状態のクレープ紙及び熱融着性シートを、対向配置した第1及び第2のヒートシールローラの一側から、第1及び第2のヒートシールローラの一方の周面を折り返してそれらの間に導入し、その反対側に導出することを特徴とする請求項3に記載の積層紙の製造方法。
【請求項5】 積層状態のクレープ紙及び熱融着性シートを、対向配置した第1及び第2のヒートシールローラの一側に配置した第1案内ローラから、第1及び第2のヒートシールローラの一方の周面を経て、第1及び第2のヒートシールローラの他側に配置した第2案内ローラへと導き、その第2案内ローラを折り返して第1及び第2のヒートシールローラ間に導入し、その反対側に導出すると共に、運転時には前記第2案内ローラを前記第1及び第2のヒートシールローラの接点の略接線方向から前記第1案内ローラと反対方向に離間する使用位置に配置し、運転停止時は前記第2案内ローラを前記第1及び第2のヒートシールローラの接点の略接線方向に移動して待機位置に配置することを特徴とする請求項3に記載の積層紙の製造方法。
【請求項6】 一方向に延びる皺を有するクレープ紙と熱融着性シートを積層して熱融着する積層紙の製造装置において、周方向に直線的に延びる平坦なヒートシール面を有する突状のヒートシール部を、軸心方向に所定間隔で配置してなる第1のヒートシールローラと、周方向に所定長直線的に延びる第1の部分を軸心方向に所定間隔ずらして交互に配置すると共に、前記第1の部分間を第2の部分により接続してなるヒートシール面を有する突状のヒートシール部を、軸心方向に前記第1のヒートシールローラのヒートシール部と同一間隔で配置し、更に、隣接するヒートシール部を対称的に配置して第1の部分間のピッチを交互に幅狭及び幅広として、前記第1のヒートシールローラのヒートシール部に対向配置する第2のヒートシールローラとを具備することを特徴とする積層紙の製造装置。
【請求項7】 前記第2のヒートシールローラのヒートシール部の第2の部分を第1の部分より幅広とし、前記第1の部分を線状の、第2の部分を点状のヒートシール面としたことを特徴とする請求項6に記載の積層紙の製造装置。
【請求項8】 更に、ロール巻き熱融着性シートを支持する支持ローラを複数段配置し、それらの間で熱融着性シートを切り替えて供給自在としたことを特徴とする請求項6または7に記載の積層紙の製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は紙お絞り、ペーパタオル等に使用可能な積層紙、その製造方法及びその製造装置に関し、特に、クレープ紙と熱融着性シートを積層して熱融着する積層紙、その製造方法及びその製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の紙お絞り等に使用可能な積層紙として、本願発明の発明者の発明乃至考案に係る特公平4−24480号公報または実公平4−15116号公報に記載の技術がある。この技術では、クレープを有する吸湿紙と熱融着性シート(合成繊維を混抄した吸湿紙または不織布)とを積層して、吸湿紙のクレープと略直交する方向に延びるようヒートセット部乃至ヒートシール部を形成し、それらを熱融着して一体化している。
【0003】この技術は、肌触りが良く、外観及び使用感にも優れた積層紙を提供することができ、また、積層紙のヒートシールを低温で行うことができ、加工が容易になり、製造コストを低減することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本願の発明者は、上記のような優れた効果を有する従来の積層紙を更に改良し、特に、クレープ紙及び熱融着性シートのヒートシール部の融着強度を大幅に向上し、かつ、全体のボリューム感を格段に増大して外観を更に向上することができる技術を確立した。
【0005】即ち、本発明は、融着面積を少なくしても十分な融着強度を得ることができ、全体のボリューム感も増大することができる積層紙、かかる積層紙の製造方法及びかかる積層紙の製造装置の提供を課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の積層紙は、一方向に延びる皺を有するクレープ紙と熱融着性シートを積層し、それらを熱融着してなるものにおいて、前記クレープ紙の皺と略直交する方向に所定長略直線状に延びる第1の部分を、前記皺の方向と同一方向に所定間隔ずらして交互に配置すると共に、前記第1の部分間を第2の部分により接続して、積層状態のクレープ紙と熱融着性シートに融着部を形成し、かつ、隣接する融着部を対称的に配置して第1の部分間のピッチを交互に幅狭及び幅広とした。
【0007】請求項2の積層紙は、請求項1の構成において、前記融着部の第2の部分を第1の部分より幅広とし、前記クレープ紙と熱融着性シートを前記第1の部分では線状に、第2の部分では点状に融着した。
【0008】請求項3の積層紙の製造方法は、一方向に延びる皺を有するクレープ紙と熱融着性シートを積層する積層工程と、対向配置した一対のヒートシールローラを使用して、前記クレープ紙の皺と略直交する方向に所定長略直線状に延びる第1の部分を前記皺の方向と同一方向に所定間隔ずらして交互に配置すると共に前記第1の部分間を第2の部分により接続して前記積層状態のクレープ紙と熱融着性シートに融着部を形成し、かつ、隣接する融着部を対称的に配置して第1の部分間のピッチを交互に幅狭及び幅広とする融着工程とを具備する。
【0009】請求項4の積層紙の製造方法は、請求項3の構成において、積層状態のクレープ紙及び熱融着性シートを、対向配置した第1及び第2のヒートシールローラの一側から、第1及び第2のヒートシールローラの一方の周面を折り返してそれらの間に導入し、その反対側に導出する。
【0010】請求項5の積層紙の製造方法は、請求項3の構成において、積層状態のクレープ紙及び熱融着性シートを、対向配置した第1及び第2のヒートシールローラの一側に配置した第1案内ローラから、第1及び第2のヒートシールローラの一方の周面を経て、第1及び第2のヒートシールローラの他側に配置した第2案内ローラへと導き、その第2案内ローラを折り返して第1及び第2のヒートシールローラ間に導入し、その反対側に導出すると共に、運転時には前記第2案内ローラを前記第1及び第2のヒートシールローラの接点の略接線方向から前記第1案内ローラと反対方向に離間する使用位置に配置し、運転停止時は前記第2案内ローラを前記第1及び第2のヒートシールローラの接点の略接線方向に移動して待機位置に配置する。
【0011】請求項6の積層紙の製造装置は、一方向に延びる皺を有するクレープ紙と熱融着性シートを積層して熱融着する積層紙のものにおいて、周方向に直線的に延びる平坦なヒートシール面を有する突状のヒートシール部を、軸心方向に所定間隔で配置してなる第1のヒートシールローラと、周方向に所定長直線的に延びる第1の部分を軸心方向に所定間隔ずらして交互に配置すると共に、前記第1の部分間を第2の部分により接続してなるヒートシール面を有する突状のヒートシール部を、軸心方向に前記第1のヒートシールローラのヒートシール部と同一間隔で配置し、更に、隣接するヒートシール部を対称的に配置して第1の部分間のピッチを交互に幅狭及び幅広として、前記第1のヒートシールローラのヒートシール部に対向配置する第2のヒートシールローラとを具備する。
【0012】請求項7の積層紙の製造装置は、請求項6の構成において、前記第2のヒートシールローラのヒートシール部の第2の部分を第1の部分より幅広とし、前記第1の部分を線状の、第2の部分を点状のヒートシール面とした。
【0013】請求項8の積層紙の製造装置は、請求項6または7の構成において、更に、ロール巻き熱融着性シートを支持する支持ローラを複数段配置し、それらの間で熱融着性シートを切り替えて供給自在とした。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】図1は本発明の一実施の形態に係る積層紙を示す平面図である。図2は本発明の一実施の形態に係る積層紙の要部を拡大して示す平面図である。図3は本発明の一実施の形態に係る積層紙の一部を示す側面図である。図4は本発明の一実施の形態に係る積層紙を図1のA−A線で切断して示す要部断面図である。図5は本発明の一実施の形態に係る積層紙を図1のB−B線で切断して示す要部断面図である。
【0016】本実施の形態の積層紙10は、一方向に延びる多数の皺(クレープ)を全面に有するクレープ紙と熱融着性シートを積層し、それらを熱融着してなる。即ち、図3〜図5に示すように、積層紙10は、一対のクレープ紙1の間に熱融着性シートとしての不織布2を挟んで積層している。不織布2は、内部に融点の高い熱可塑性合成樹脂繊維(例えばポリプロピレン)を混入し、表面側に融点の低い熱可塑性合成樹脂繊維(例えばポリエステル)を混入したものを使用可能である。また、図1及び図2に示すように、積層紙10の左右方向に所定間隔を置いて多数の融着部11が熱融着により形成され、不織布2の溶融合成繊維により両側のクレープ紙1を融着している。融着部11の間には膨出部12が形成される。
【0017】各融着部11は、第1の部分としての線状部11a及び第2の部分としての点状部11bより構成され、図1及び図2に示すように、積層紙10の長さ方向乃至巻取り方向(図中上下方向)に沿って延びる所定の平面形状を有している。そして、多数の融着部11を積層紙10の幅方向(図中左右方向)に一定パターンとなるよう配置している。詳細には、各融着部11は、クレープ紙1本来の皺の延びる方向(図中略左右方向)と略直交する方向(図中上下方向)に所定長略直線状に延びる多数の線状部11aを、前記皺の方向と同一方向である左右方向に所定間隔ずらして交互に配置すると共に、前記線状部11a間を点状部11bにより接続して形成される。また、隣接する融着部11は、その平面形状が対称的になるように配置され、線状部11a間のピッチを交互に幅狭及び幅広としている。なお、図1中では、クレープ紙1本来の皺は図示していないが、多数の皺が積層紙10の全面にわたって略左右方向に多数延びている。
【0018】更に、前記融着部11の点状部11bは線状部11aより幅広とされている。そして、各融着部11は、クレープ紙1と不織布2を線状部11aの部分では線状に、点状部11bの部分では点状に融着している。この点状部11bは、上下に隣接する線状部11aを斜めに接続し、融着部11は、全体として、略台形を積層紙10の上下方向に互い違いに連続した平面形状を形成している。本実施の形態では、点状部11bは、線状部11aの約2倍の幅を有している。
【0019】上記のように構成した積層紙10は、クレープ紙1と不織布2を積層融着した段階では、2枚のクレープ紙1と1枚の不織布2の厚みの略合計の厚みであり、その表面にクレープ紙1本来の皺のみが存在する。しかし、積層紙10は、乾燥状態から、例えば、紙お絞り等に加工するために適度の水分を含浸させることにより、融着部11間に、融着部11の平面形状及び配置パターンに対応した平面形状の膨出部12が形成される。これは、クレープ紙1の膨潤率が不織布2の膨潤率より大きいため、不織布2の吸水による膨張に比べて、クレープ紙1が吸水して積層紙10の厚さ方向に大きく膨張する一方、融着部11によりクレープ紙1と不織布2間のずれが抑制され、それらの間にたるみが生じるためである。そして、膨出部12は、幅広の線状部11a間では幅広部12aとなり、幅狭の線状部11a間では幅狭部12bとなる。更に、融着部11により膨出部12の膨張が規制されるため、膨出部12には積層紙10の略左右方向に延びる大皺12cが上下方向に略均等な間隔を置いて多数形成される。更に、大皺12cは、幅広部12aでは幅狭部12bより更に大きな皺となっている。
【0020】これにより、本実施の形態の積層紙10を例えば紙お絞りの原紙として使用し、水分を含有させると、包装時及び使用時共に、全体のボリューム感が大幅に増大する。特に、いわゆる観音折りの紙お絞りとしたときには一層ボリューム感が増大する。なお、膨出部12の大皺12cは、含水した積層紙10を再度乾燥しても残ったままとなり、全体のボリューム感は維持される。よって、膨出部12により、安価な材料を使用して安価に製造される紙お絞りでありながら、布お絞りに近いボリューム感及び良好な肌触りを得ることができ、ソフト感及び高級感も付与することができる。更に、膨出部12により十分な保水性を維持することができる。加えて、紙お絞り特有の効果である清潔性も確保できる。特に、膨出部12は、幅広部12a及び幅狭部12bを交互に配置し、大皺12cを多数有する一方、幅広部12aでは幅狭部12bより一層大きな大皺12cが形成されるため、ボリューム感が上下方向に交互に変化し、独特の意匠的効果を付与することができ、かつ、特有の肌触りを与えることもできる。
【0021】一方、融着部11は、多数の線状部11aを点状部11bで接続した所定平面形状に形成されるため、全体の融着長さが大きくなり、融着強度が増大する。即ち、融着幅を小さくしても、全体の融着面積は十分に確保することができる。特に、線状部11aでは膨出部12の面積を大きく確保して、ボリューム感の増大に寄与し、点状部11bでは大きな融着面積を確保して強固な融着を行うことができる。よって、全体のボリューム感を維持しながら、クレープ紙1と不織布2間の剥離を確実に防止でき、製品不良をなくすことができる。また、積層紙10は、線状部11aでは細い幅で融着されるため、上下方向へ若干延びることができ、全体に柔軟性を付与することもできる。
【0022】次に、本実施の形態に係る積層紙10の製造装置について説明する。
【0023】図6は本発明の一実施の形態に係る積層紙の製造装置を概略的に示す側面図である。
【0024】本実施の形態の積層紙の製造装置は、図6に示すように、一方のロール巻きクレープ紙1Aを回転供給自在に支持する支持ローラ21と、ロール巻き不織布2Aを回転供給自在に支持する支持ローラ22と、他方のロール巻きクレープ紙1Aを回転供給自在に支持する支持ローラ23を左右に定間隔で並設して互いに平行に配置している。ロール巻きクレープ紙1Aからはクレープ紙1が、ロール巻き不織布2Aからは不織布2が、それぞれ引き出して供給され、上下一対のクレープ紙1間に不織布2を挟んで積層した状態で供給される。前記支持ローラ21の左方には、回転自在な第1案内ローラ51が平行に配置され、支持ローラ21〜23から供給された積層状態のクレープ紙1及び不織布2を、下方へ折り返して案内する。第1案内ローラ51の下方には、第1及び第2のヒートシールローラ30及び40が平行に対向配置されている。
【0025】更に、第1及び第2のヒートシールローラ30,40の下方には、第2案内ローラが平行に配置され、第1案内ローラ51からの積層状態のクレープ紙1及び不織布2を、右斜め上方へと折り返して案内する。第2案内ローラ52からの積層状態のクレープ紙1及び不織布2は、前記第1及び第2のヒートシールローラ30,40間に導入され、上方へと垂直方向(第1及び第2のヒートシールローラ30,40の接点の接線方向)に導出される。これら第1及び第2のヒートシールローラ30,40間で、積層状態のクレープ紙1及び不織布2が熱融着され、上記のような融着部11を有する積層紙10が形成される。第1及び第2のヒートシールローラ30,40間の垂直方向上方には、第3案内ローラ53が平行に配置され、第1及び第2のヒートシールローラ30,40からの積層紙10を左斜め下方へと折り返して案内する。第1のヒートシールローラ30の左方には、第4案内ローラ54が平行に配置され、第3案内ローラ53からの積層紙10を左方へと略水平に折り返して案内する。第4案内ローラ54の左方には巻取りローラ55が平行に配置され、第4案内ローラ54からの積層紙10を巻き取って、ロール巻き積層紙10Aとする。このロール巻き積層紙10Aは、巻取りローラ55から取り外し、紙お絞り等の原紙として使用される。なお、図示はしないが、第4案内ローラ54と巻取りローラ55との間には、スリッタが配置され、積層紙10を幅方向に複数に切断し、所定幅の積層紙10を複数並設して巻取りローラ55に巻き取るようになっている。
【0026】次に、第1及び第2のヒートシールローラ30,40について詳細に説明する。
【0027】図7は本発明の一実施の形態に係る積層紙の製造装置のヒートシールローラを概略的に示す側面図である。図8は本発明の一実施の形態に係る積層紙の製造装置のヒートシールローラを概略的に示す平面図である。図9は本発明の一実施の形態に係る積層紙の製造装置のヒートシールローラのヒートシール面を展開して示す説明図である。図10は本発明の一実施の形態に係る積層紙の製造装置のヒートシールローラのヒートシール部を概略的に示す断面図である。
【0028】図7乃至図9に示すように、本実施の形態に係る第1のヒートシールローラ30は、所定径の円筒状に形成され、その周面に多数の突状のヒートシール部31をストライプ状に配置している。各ヒートシール部31は、第1のヒートシールローラ30の周方向に直線的に延びる平坦なヒートシール面31aを有し、かかるヒートシール部31が、第1のヒートシールローラ30の軸心方向に所定間隔で多数ストライプ状に配置される。また、第2のヒートシールローラ40は、第1のヒートシールローラ30と同一径の円筒状に形成され、その周面に多数の突状のヒートシール部41をストライプ状に配置している。ヒートシール部41は、第2のヒートシールローラ40の軸心方向に前記第1のヒートシールローラ30のヒートシール部31と同一間隔で多数配置される。また、本実施の形態では、第1のヒートシールローラ30のヒートシール部31と第2のヒートシールローラ40のヒートシール部41は同一幅の突状に形成される。
【0029】前記ヒートシール部41は、第1の部分としての線シール面41a及び第2の部分としての点シール面41bより構成され、図8及び図9に示すように、第2のヒートシールローラ40の周方向に沿って延びる所定の平面形状を有している。そして、多数のヒートシール部41を第2のヒートシールローラ40の軸心方向に一定パターンとなるよう配置している。詳細には、各ヒートシール部41は、第2のヒートシールローラ40の周方向に所定長略直線状に延びる多数の線シール面41aを、第2のヒートシールローラ40の軸心方向に所定間隔ずらして交互に配置すると共に、前記線シール面41a間を点シール面41bにより接続して形成される。また、隣接するヒートシール部41は、その平面形状が対称的になるように配置され、線シール面41a間のピッチを交互に幅狭及び幅広としている。
【0030】更に、前記ヒートシール部41の点シール面41bは線シール面41aより幅広とされている。この点シール面41bは、周方向に隣接する線シール面41aを斜めに接続し、ヒートシール部41は、全体として、略台形の凹部41cを周方向に互い違いに連続して配置した平面形状を有している。本実施の形態では、点シール面41bは、線シール面41aの約2倍の幅を有している。前記線シール面41a及び点シール面41aにより、ヒートシール部41のヒートシール面が構成される。また、第1及び第2のヒートシールローラ30,40にはそれぞれ加熱手段(図示略)が内蔵され、それぞれのヒートシール部31,41を所定温度に加熱自在となっている。そして、各ヒートシール部41は線状及び点状のヒートシール面を交互に配置して構成され、クレープ紙1と不織布2を線シール面41aの部分では線状に、点シール面41bの部分では点状に融着するようになっている。本実施の形態では、かかる第2のヒートシールローラ40のヒートシール部41を前記第1のヒートシールローラ30のヒートシール部31に対向配置している。
【0031】次に、第1案内ローラ51及び第2案内ローラ52について詳細に説明する。図11は本発明の一実施の形態に係る積層紙の製造装置の第2案内ローラ周辺の機構を概略的に示す側面図である。
【0032】第1案内ローラ51は、第1及び第2のヒートシールローラ30,40の右上方に固定的に配置される。そして、積層状態のクレープ紙1及び不織布2は、第1案内ローラから、第2のヒートシールローラ40の周面を経て、第1及び第2のヒートシールローラ30,40の他側に配置した第2案内ローラ40へと導かれ、その第2案内ローラ52を折り返して第1及び第2のヒートシールローラ30,40間に導入し、その反対側に導出される。一方、第2案内ローラ52は、図示しないエアシリンダー等の駆動機構により、図11(a)に示す使用位置と、図11(b)に示す待機位置の間で移動自在とされる。即ち、積層紙の製造装置の通常運転時には、第2案内ローラ52は、第1及び第2のヒートシールローラ30,40の接点の略接線方向から前記第1案内ローラと反対方向に離間する使用位置に配置される。また、紙切れ等による運転停止時には、第2案内ローラ52は、第1及び第2のヒートシールローラ30,40の接点の略接線方向に移動して待機位置に配置される。
【0033】詳細には、図11(a)に示すように、第2案内ローラ52は、使用位置では、第1のヒートシールローラ30の左下方に配置され、第1及び第2案内ローラ51,52は、第1及び第2のヒートシールローラ30,40を間に挟んで略対称的に配置される。また、図11(b)に示すように、第2案内ローラ52は、待機位置では、第1及び第2のヒートシールローラ30,40間の真下に配置される。なお、第2案内ローラ52の使用位置及び待機位置間での移動は、制御手段により積層紙の製造装置の運転停止等を判断して自動的に行ってもよく、手動で行ってもよい。
【0034】次に、本実施の形態に係る積層紙10の製造方法を説明する。
【0035】本実施の形態の製造方法は、上記図6乃至図11に示す積層紙の製造装置を使用して実施することができる。この場合、まず、運転開始に先立つ準備工程として、第1乃至第3支持ローラ21,22,23からクレープ紙1及び不織布2を積層状態で引き出し、第1案内ローラ51及び第2案内ローラ52を介して第1及び第2のヒートシールローラ30,40間に導入する。このとき、クレープ紙1は、その皺(クレープ)が第1及び第2のヒートシールローラ30,40のヒートシール部31,41と略直交する状態で導入される。そして、そのクレープ紙1及び不織布2を第3及び第4案内ローラ53,54を介して巻取りローラ55に導き、その先端を巻取りローラ55に固定する。次に、第1及び第2のヒートシールローラ30,40を加熱手段により、不織布2の熱可塑性樹脂繊維の融点温度以上に昇温加熱してその温度に保持し、巻取りローラ55を巻取り方向に回転する。すると、第1乃至第3支持ローラ21〜23のクレープ紙1及び不織布2が、3層の積層状態で移送され(積層工程)、第1及び第2案内ローラ51,52を介して、第1及び第2のヒートシールローラ30,40により加熱して互いに融着される(融着工程)。この融着工程では、3層のクレープ紙1及び不織布2は、第1及び第2のヒートシールローラ30,40間で熱圧着され、積層紙10とされる。このとき、積層紙10には前記構成の融着部11が形成される。
【0036】このとき、第2案内ローラ52が使用位置にあり、3層のクレープ紙1及び不織布2は、第1及び第2のヒートシールローラ30,40間で融着される前に、第2のヒートシールローラ40の周面の一部で一次予備加熱され、更に、第1のヒートシールローラ30の周面の一部で二次予備加熱される。予備加熱温度は、不織布2の熱可塑性樹脂が軟化はするが溶融しない温度である。その後、第1及び第2のヒートシールローラ30,40間で最終加熱及び圧着され、不織布2の熱可塑性樹脂が溶融してクレープ紙1及び不織布2が熱融着される。よって、十分に予備加熱された状態のクレープ紙1及び不織布2は、特に接着剤となる不織布2の外側の熱可塑性樹脂が軟化しているため、予備加熱しない場合と比較して、第1及び第2のヒートシールローラ30,40間でより強固に熱融着することができる。例えば、クレープ紙1に乾燥不良がある場合でも、熱融着が十分かつ確実に行われる。また、このとき、不織布2内部の樹脂繊維は融点が外側の樹脂繊維より高いため、溶融することなく固体のままに維持される。よって、不織布2全体が形状変形等して不具合を生じることはない。
【0037】更に、紙切れや機械故障等による運転停止時には、第2案内ローラ52が使用位置のままでは、積層状態のクレープ紙1及び不織布2が、第1及び第2のヒートシールローラ30,40の周面で停止し、同一個所が継続的に加熱されて焼き付いたり、クレープ紙1と不織布2との間で融着不良が生じる等の不具合が起こる可能性がある。しかし、本実施の形態では、運転停止時には、第2案内ローラ52を待機位置に移動するため、クレープ紙1及び不織布2と第1及び第2のヒートシールローラ30,40との接触面積は最小限(点状)となる。よって、上記のような不具合を確実に防止することができる。
【0038】ところで、本発明の積層紙の製造装置は、前記第2案内ローラ52を省略して実施してもよく、この場合でも、積層状態のクレープ紙1及び不織布2は、第1及び第2のヒートシールローラ30,40の一側(右側)から、右側に位置する第2のヒートシールローラ40の略下側半周面に接触して折返された後、第1及び第2のヒートシールローラ30,40間に導入され、その反対側である上方に導出される。これにより、従来のように、第1及び第2のヒートシールローラ30,40の接点の真下から積層状態のクレープ紙1及び不織布2を導入して垂直上方に導出する場合と異なり、積層状態のクレープ紙1及び不織布2が第2のヒートシールローラ40との予備接触により予備加熱して昇温することができる。
【0039】また、本発明は、支持ローラを多段に配置してもよい。図12は本発明の一実施の形態に係る積層紙の製造装置の別例を概略的に示す側面図である。
【0040】図12に示すように、この別例では、ロール巻き不織布2を回転自在に支持する支持ローラを左右に2段配置して、それらの間で不織布2を切り替えて供給自在としている。即ち、第1支持ローラ21と第2支持ローラ22の間に第4支持ローラ24を平行に配置している。これにより、支持ローラ22の不織布2がなくなったときは、第4支持ローラ24から不織布2を引き出し、クレープ紙1間に挟んで積層することにより、ロール巻き不織布2Aを交換するためのロスタイムを減少することができる。また、積層紙の製造装置を運転停止してロール巻き不織布2Aを交換する間に、不織布2の樹脂が溶融したり、再度硬化して柔軟性を損なったり、クレープ紙1等が焦げ付いたりする等の不具合を防止することができる。
【0041】ところで、上記実施の形態では、熱可塑性シートとして不織布2を使用しているが、不織布2の代わりに、接着剤となる熱可塑性の合成樹脂繊維を混抄したクレープ紙等を使用してもよい。また、上記実施の形態では、一対のクレープ紙1の間に不織布2を挟んで積層し熱融着した3層構造の積層紙10としているが、1枚のクレープ紙1に、熱融着性シートとしての熱可塑性樹脂を混抄したクレープ紙を積層して熱融着した2層構造の積層紙としてもよい。
【0042】また、積層紙10の融着部11の点状部11bは、上下に隣接する線状部11aを斜めに接続することなく積層紙10の左右方向に直線的に接続し、融着部11を、全体として、略コ字状の平面形状を積層紙10の上下方向に互い違いに連続した平面形状としてもよい。この場合、上記ヒートシールローラ30,40のヒートシール部31,41を対応する形状とする。しかし、ヒートシールローラ30,40のヒートシール部31,41の損傷防止の点で、点状部11bにより線状部11aを斜めに接続する方が好ましい。更に、ヒートシール部41の幅をヒートシール部31の幅の範囲内とする限りにおいて、線状部11a及び点状部11bの幅は適宜設定できる。例えば、点状部11bは、線状部11aの2倍未満の幅、2倍を超える幅としてもよい。点状部11bの幅は、上下に連続する線状部11aの左右の配置間隔に応じて決定されるため、任意に決定することができる。
【0043】更に、第1のヒートシールローラ30のヒートシール部31と第2のヒートシールローラ40のヒートシール部41を同一間隔で配置し、それらが互いに正確に対向して積層紙10の熱融着を行える限りにおいて、ヒートシール部31の幅をヒートシール部41の幅より大きくする等、第1及び第2のヒートシールローラ30,40の構成を適宜変更してもよい。
【0044】なお、上記実施の形態の積層紙10の融着部11は、上記ヒートシールローラ30,40のヒートシール部31,41の平面形状に対応した平面形状となるが、実際には、吸水、乾燥等の諸条件により、正確に同一の平面形状が転写されない場合もある。また、本発明の積層紙は、上記実施の形態の積層紙の製造装置とことなる構成の装置により製造することも可能である。
【0045】
【発明の効果】請求項1の積層紙は、前記融着部により積層状態のクレープ紙と熱融着性シートとの融着を強固に行うことができる。また、第1の部分間のピッチを交互に幅狭及び幅広としたため、吸水時に融着部間のクレープ紙が十分に膨張し、大皺を形成することができる。その結果、融着面積を少なくしても十分な融着強度を得ることができ、全体のボリューム感も増大することができる。
【0046】請求項2の積層紙は、更に、前記クレープ紙と熱融着性シートを、前記融着部の第1の部分では線状に、第2の部分では点状に融着することができる。その結果、融着強度を一層増大することができる。
【0047】請求項3の積層紙の製造方法は、融着工程で前記融着部を形成するため、積層状態のクレープ紙と熱融着性シートとの融着を強固に行うことができる。また、第1の部分間のピッチが交互に幅狭及び幅広となるため、吸水時に融着部間のクレープ紙が十分に膨張し、大皺を形成することができる。その結果、融着面積を少なくしても十分な融着強度を有し、全体のボリューム感も増大した積層紙を容易に製造することができる。
【0048】請求項4の積層紙の製造方法は、更に、積層状態のクレープ紙及び熱融着性シートが、熱融着前に第1及び第2のヒートシールローラの一方の周面に接触して予備加熱される。その結果、融着強度を一層増大した積層紙を製造することができる。
【0049】請求項5の積層紙の製造方法は、更に、運転時には、積層状態のクレープ紙及び熱融着性シートが、熱融着前に第1及び第2のヒートシールローラの周面に接触して予備加熱される。その結果、融着強度を一層増大することができる。また、運転停止時には、積層状態のクレープ紙及び熱融着性シートが、第1及び第2のヒートシールローラの周面との接触をほぼ解除され、それらの意図しない加熱を防止することができる。その結果、意図しない加熱による熱融着性シートの溶融等の不具合を防止することができる。
【0050】請求項6の積層紙の製造装置は、第1のヒートシールローラのヒートシール部と第1のヒートシールローラのヒートシール部との間で、クレープ紙の皺と略直交する方向に所定長略直線状に延びる第1の部分を、前記皺の方向と同一方向に所定間隔ずらして交互に配置すると共に、前記第1の部分間を第2の部分により接続して、積層状態のクレープ紙と熱融着性シートに融着部を形成することができ、かつ、隣接する融着部を対称的に配置して第1の部分間のピッチを交互に幅狭及び幅広とすることができる。その結果、融着面積を少なくしても十分な融着強度を有し、全体のボリューム感も増大した積層紙を容易に製造することができる。
【0051】請求項7の積層紙の製造装置は、更に、前記クレープ紙と熱融着性シートを、前記融着部の第1の部分では線状に、第2の部分では点状に融着することができる。その結果、融着強度を一層増大した積層紙を容易に製造することができる。
【0052】請求項8の積層紙の製造装置は、更に、複数段の支持ローラ間で熱融着性シートを切り替えて供給することができる。その結果、熱融着性シート交換のためのロスタイムを減少することができる。
【出願人】 【識別番号】598073512
【氏名又は名称】角田紙業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)6月4日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 武尚 (外1名)
【公開番号】 特開平11−342090
【公開日】 平成11年(1999)12月14日
【出願番号】 特願平10−155655