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【発明の名称】 浴室洗浄装置
【発明者】 【氏名】槻田 祐二

【氏名】鳩野 広典

【氏名】酒井 謙吉

【氏名】菊地 満

【要約】 【課題】装置の構造が簡単で且つ環境汚染の面から合成洗剤を使わない浴室洗浄装置を提供する。

【解決手段】浴室内または浴室外に設けられ、出水要求に基づいて所定量の水を吐出し、浴室内に設けられた浴槽や浴室壁などの施設を洗浄するための浴室洗浄装置において、前記洗浄装置に送水するための配管途中、または水洗金具、シャワー等の吐水口近傍に設けられる装置であって、この装置は、弱酸性水を生成することとした
【特許請求の範囲】
【請求項1】 浴室内または浴室外に設けられ、出水要求に基づいて所定量の水を吐出し、浴室内に設けられた浴槽や浴室壁などの施設を洗浄するための浴室洗浄装置において、前記洗浄装置に送水するための配管途中、または水洗金具、シャワー等の吐水口近傍に設けられる装置であって、この装置は、弱酸性水を生成することを特徴とする浴室洗浄装置。
【請求項2】 請求項1に記載の浴室洗浄装置において、この装置は水溶性の有機酸を徐放する手段を備えることを特徴とする浴室洗浄装置。
【請求項3】 請求項1に記載の浴室洗浄装置において、この装置は無機酸を徐放する手段を備えることを特徴とする浴室洗浄装置。
【請求項4】 請求項1〜3に記載の浴室洗浄装置において、前記浴室洗浄装置が生成する弱酸性水は弱酸性であり、かつ軟水であることを特徴とする浴室洗浄装置。
【請求項5】 請求項4に記載の浴室洗浄装置において、前記弱酸性かつ軟水のpHが3〜6に調整されることを特徴とする浴室洗浄装置。
【請求項6】 請求項4,5に記載の浴室洗浄装置において、前記弱酸性かつ軟水のカルシウム濃度は1〜30ppmであることを特徴とする浴室洗浄装置。
【請求項7】 請求項4〜6に記載の浴室洗浄装置において、この装置は陽イオン交換樹脂を備えることを特徴とする浴室洗浄装置。
【請求項8】 請求項7に記載の浴室洗浄装置において、この装置は前記陽イオン交換樹脂の官能基末端が水素型であることを特徴とする浴室洗浄装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浴室内または浴室外に設けられ、出水要求に基づいて所定量の水を吐出し、浴室内に設けられた浴槽や壁などの施設を洗浄するための浴室洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の浴室洗浄装置としては、特開平7−308354、特開平9−313381、特開平9−314082などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の浴室内洗浄装置では、以下のごとく問題がある。すなわち、例えば特開平7−308354、特開平9−313381では浴槽内のみの洗浄を目的としたものであって浴室全体を洗浄するものではないこと、浴槽の水を循環、浄化するため、ポンプなどが必要で、装置が煩雑化する。一方、特開平9−314082は浴室全体を洗浄しようとしたものではあるが、洗浄のために洗剤例えば合成洗剤を使う必要があり、環境汚染の面から不安がある。
【0004】本発明は、装置の構造が簡単で且つ環境汚染の面から化学物質を使わない浴室洗浄装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するためになされた本発明においては、浴室内または浴室外に設けられ、出水要求に基づいて所定量の水を吐出し、浴室内に設けられた浴槽や浴室壁などの施設を洗浄するための浴室洗浄装置において、前記洗浄装置に送水するための配管途中、または水洗金具、シャワー等の吐水口近傍に設けられる装置であって、この装置は、弱酸性水を生成することとした。
【0006】浴室洗浄装置が弱酸性水を生成することにより、浴室内のあらゆる資材、例えば壁、浴槽、床、カウンター、水洗金具、鏡、窓、窓枠、天井などの汚れを十分に落とせるとともに、防汚にも効果的となる。同時に、環境に対する負荷が非常に少なく、望ましい。
【0007】本発明の好ましい態様においては、前記浴室洗浄装置において、この装置は水溶性の有機酸を徐放する手段を備えるようにする。
【0008】浴室洗浄装置において、この装置が水溶性の有機酸を徐放する手段を備えるようにすることにより、弱酸性水を効率よく簡便に生成することができる。水溶性の有機酸は主に粉末のため取扱い性に優れ、少量の添加であっても水のpHを弱酸性にすることができ、そして、人体にもほとんど無害のものが数多く存在し、入手も容易のため望ましい。さらに、環境負荷の面からも生分解性が良く、望ましい。
【0009】本発明の好ましい態様においては、前記浴室洗浄装置において、この装置は無機酸を徐放する手段を備えるようにする。
【0010】浴室洗浄装置において、この装置が無機酸を徐放する手段を備えるようにすることにより、弱酸性水を飛躍的に効率よく簡便に生成することができる。無機酸は主に室温で液体であるものが多いため水溶性の有機酸(主に粉末)に比べて水に溶解させる手間が省略できる。また、水溶性の有機酸と同様、少量の添加であっても水のpHを弱酸性にすることができるため、利便性が高い。ただし、人体に有害な物質が多いため、直接肌に触れることのないようにな工夫が必要である。
【0011】本発明の好ましい態様においては、前記浴室洗浄装置が生成する弱酸性水は弱酸性であり、かつ軟水である水を生成することを特徴とする。
【0012】浴室洗浄装置において、浴室洗浄装置が生成する弱酸性水が弱酸性であり、かつ軟水であることにより、浴室洗浄時の汚れ落ち性能、また汚れを付けない防汚性能が飛躍的に向上する。これは、浴室内の汚れの成分が主として石鹸かすと菌繁殖によるものだからである。すなわち、弱酸性であることによって菌の繁殖を抑制し、また石鹸かす汚れを溶解することができ、軟水であることによって石鹸かすを生成させないという効果があるためである。ここで言う軟水とは、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの含有量の少ない水であり、カルシウム濃度が50ppm以下のものを指す。
【0013】本発明の好ましい態様においては、前記弱酸性かつ軟水のpHが3〜6に調整されるようにする。
【0014】弱酸性かつ軟水のpHが3〜6に調整されることにより、浴室洗浄時の汚れ落ち性能、また汚れを付けない防汚性能が飛躍的に向上する。pH6より大であると、石鹸かすを溶解する能力が低下し、また、pH3未満の場合には、人間の肌がpHが主に4〜6であるということからわかるように、もし触れた場合の安全性が問題となる場合があるためである。
【0015】本発明の好ましい態様においては、前記弱酸性かつ軟水のカルシウム濃度は1〜30ppmであるようにする。
【0016】弱酸性かつ軟水のカルシウム濃度が1〜30ppmに調整されることにより、浴室洗浄時の汚れ落ち性能が飛躍的に向上する。カルシウム濃度を低下させるためには様々な手法が考えられるが、1ppm未満にするにはかなりの手間、コストをかける必要があり、実用的ではない。まして洗浄用水として大量に水が必要となる用途にはそぐわない。またカルシウム濃度が30ppm以上になると、石鹸かす汚れの成分を促進する結果となり好ましくない。
【0017】本発明の好ましい態様においては、前記浴室洗浄装置において、この装置は陽イオン交換樹脂を備えるようにする。
【0018】浴室洗浄装置において、この装置が陽イオン交換樹脂を備えるようにすることにより、軟水の生成を至極簡便に行うことができる。陽イオン交換樹脂以外の手法、例えば電気透析法、電気分解法、逆浸透膜法などを用いた場合には、装置が煩雑化し、また、大流量の水を生成するのが困難である。ゆえに、陽イオン交換樹脂を用いることが軟水の生成には最も簡便である。
【0019】本発明の好ましい態様においては、前記浴室洗浄装置において、この装置は官能基末端が水素型の陽イオン交換樹脂を備えるようにする。
【0020】浴室洗浄装置において、この装置が官能基末端が水素型の陽イオン交換樹脂を備えるようにすることにより、弱酸性かつ軟水の生成を至極簡便に行うことができる。官能基末端が水素型の陽イオン交換樹脂を用いる理由は、水道水中に存在するカルシウム、マグネシウムといった陽イオンとイオン交換樹脂中の水素イオンとが交換した際に水素イオンが水中に放出されるため、得られる洗浄用水が弱酸性かつ軟水となるためである。
【0021】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。
【0022】ユニットバスの床部分に試験用サンプルを数種類敷設し、身体を洗ってサンプルの上に石鹸泡や石鹸かすなどの汚れを付着させた。一日4人行った後、サンプルに対して水道水または弱酸性かつ軟水が発生するシャワーによって、これらのサンプルの表面を洗い流し、洗浄を行った。シャワーの流量は10L/minとした。 これを5日間行い、サンプルの乾燥後、その外観を評価した。試験用サンプルとして用意した材料は、次の3種類である。
【0023】(1) アクリル剤(三菱レイヨン(株)製XS−4040)とシリコーン(信越化学工業(株)製X−22−174DX)をそれぞれ50質量%ずつ混合し、硬化剤として日本油脂(株)製パーロイルTCPを外添加0.5質量%添加した。
(2) アクリル剤(三菱レイヨン(株)製XS−4040)とシリコーン(信越化学工業(株)製X−22−174DX)をそれぞれ60質量%、40質量%ずつ混合し、親水基付加のために親水化剤として旭電化工業(株)製NE−10を外添加10%添加(以下親水化剤1)、また硬化剤として日本油脂(株)製パーロイルTCPを外添加0.5質量%添加した。
(3) アクリル剤(三菱レイヨン(株)製XS−4040)とシリコーン(信越化学工業(株)製X−22−174DX)をそれぞれ60質量%、40質量%ずつ混合し、親水基付加のために親水化剤として日本ユピカ(株)製2−HEMAを外添加20%添加(以下親水化剤2)、また硬化剤として日本油脂(株)製パーロイルTCPを外添加0.5質量%添加した。それぞれ型に流し込んで硬化させ、試験用の板状サンプルとした。
【0024】洗浄用としては水道水以外に、次の水を用いた.50ppmクエン酸(水溶性の有機酸の一種)水溶液、pH6、カルシウム濃度は20ppm(水道水と同じ)の弱酸性水。官能基末端が水素型の強酸性陽イオン交換樹脂(Sybron Chemicals社、C−267)に通水することによって生成した弱酸性かつ軟水。ここで得られた弱酸性かつ軟水はpH3、カルシウム濃度は3ppmであった。洗浄試験結果を下の表に示す.
【0025】
【表1】

【0026】弱酸性水または弱酸性かつ軟水で洗浄した場合に、試料の汚れ落ち性能が良いこと、特に弱酸性かつ軟水で洗浄した場合には汚れ落ち性能が飛躍的に良くなることが確認できた。
【0027】本発明が利用可能な施設は、浴槽や浴室壁に限定されるものではなく、広く利用できる。例えば、浴室用グレーチング、浴室用天井、浴槽エプロン部、浴室用窓、浴室用窓枠、排水目皿、排水ピット、浴室用鏡等に好適に利用できる。
【0028】弱酸性水生成装置は、その配置は、通水途中であれば限定されない。浴室内の施設を洗浄する洗浄装置に送水するための配管途中に設けてもよいし、また水洗金具、シャワー等の吐水口近傍に設けられ、これらの金具、シャワーを用いて浴室内を洗浄する手段に利用されてもかまわない。
【0029】酸性水で使用される水溶性の有機酸は特に限定されるものではないが、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸等が利用可能である。
【0030】酸性水で使用される無機酸は特に限定されるものではないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸等が利用可能である。
【0031】酸性水で使用される弱酸性軟水の生成装置は特に限定されるものではないが、陽イオン交換樹脂を用いるのが好適である。望ましくは陽イオン交換樹脂は官能基末端が水素型の陽イオン交換樹脂が使われる。ここで陽イオン交換樹脂とは、強酸性型陽イオン交換樹脂、弱酸性型陽イオン交換樹脂、キレート樹脂を含んでいる。
【0032】本発明における弱酸性かつ軟水はpHが3〜6、さらに望ましくはカルシウム濃度が1〜30ppmである。そうすることによって、汚れの主原因である石鹸かすが溶解して流れ落ちるために汚れがつかず、同時に石鹸かすを生成しにくくするために防汚性も発揮される。また特に排水トラップの等の汚れの主原因である菌の繁殖に関しては、洗浄のための水が弱酸性水であるために制菌作用が発揮され、菌の繁殖が抑制されるため、結果として防汚性が発揮される。
【0033】
【発明の効果】以上に説明した如く本発明の浴室洗浄装置によれば、弱酸性水を用いて、石鹸泡や石鹸かすなどで汚れた面を洗浄することにより、その面の石鹸かすなどの汚れを十分に落とせるとともに、汚れを防止する事ができる。また、用いる資材に合成洗剤などが含まれないため、環境に対する負荷が非常に少なくできる。
【出願人】 【識別番号】000010087
【氏名又は名称】東陶機器株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月17日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−262459
【公開日】 平成11年(1999)9月28日
【出願番号】 特願平10−87916