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【発明の名称】 浴室ユニットの脚構造
【発明者】 【氏名】犬塚 明彦

【要約】 【課題】床パンの水密性を損なうリスクを低減するとともに、少ない部品点数で構成可能な浴室ユニットの脚構造を提供する。

【解決手段】床パン10は、貫通穴11と、この貫通穴11を形成する周縁に垂下され、ナット部材22を有する傾斜フランジ部12と、ナット部材22に螺合可能に形成され、床パン10を基礎F上に支持する脚部材13とを備えて構成されている。脚部材13は、軸方向に貫通する通路29を備えた中空体24によって構成されている。従って、脚部材13を基礎F上に設置した状態で、脚部材13の開口部27からモルタル33を流し込むことで、そのモルタル33が基礎F上に到達し、脚部材13を基礎F上に固定できることとなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建築物の基礎上に床パンを支持する脚部材を備えてなる浴室ユニットの脚構造において、前記脚部材は、少なくとも上部から前記基礎上に連通する通路を備えた中空体により構成され、この中空体内に固定用流動体を流し込むことで、前記脚部材が基礎上に固定可能に設けられていることを特徴とする浴室ユニットの脚構造。
【請求項2】 前記脚部材の上端に開口部が形成され、この開口部位置は、前記床パンを設置した状態で当該床パンの下面高さ位置よりも低く、且つ、当該下面高さ位置に近接した位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の浴室ユニットの脚構造。
【請求項3】 前記床パンの下面側に前記脚部材の高さを調整するナット部材が一体的に支持され、前記脚部材は前記ナット部材に螺合して前記床パンを昇降可能とすることを特徴とする請求項1記載の浴室ユニットの脚構造。
【請求項4】 前記脚部材の下部外周面には、前記通路を内外に連通する穴が穿設され、この穴を通じた前記基礎上の領域に前記固定用流動体が流動可能とすることを特徴とする請求項1、2又は3記載の浴室ユニットの脚構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は浴室ユニットの脚構造に係り、更に詳しくは、床パンの底壁の貫通穴の数を必要最小限とし、十分な水密性を確保することができ、且つ、少ない部品点数で構成可能な浴室ユニットの脚構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近時の浴室高質化指向により、浴槽を浴室と一体化する浴室ユニットが広く普及されるに至っており、この浴室ユニットを施工する際には、浴槽等が搭載される床パンを建築物の基礎上に敷設することが一般的である。この床パンの敷設に当たっては、床パンの下面に設けられた脚部材を前記基礎上に立設し、その脚部材が設置された領域にモルタル等を流し込んで基礎上に脚部材を固定するという構成が採用されている。ここで、前記脚部材はボルトによって形成され、床パンに支持されたナットに係合可能となっている。このため、脚部材を適宜回転すれば、床パンが昇降し、床パンの高さ調整が可能となる。
【0003】ところが、前記浴室ユニットの脚構造では、床パン設置後に、その上面側から前記脚部材の回転に必要なドライバー等をアクセス可能とするための貫通穴の他に、モルタルを脚部材の設置領域に流し込むための貫通穴がそれぞれ床パンに必要となる。このため、作業後は貫通穴に適宜な蓋体が被覆されるものの、貫通穴からの水漏れの可能性はそれだけ高くなる。
【0004】そこで、例えば、特開平10−1990号公報に示されるように、貫通穴の数を減らして水密性を高めるために、同一の貫通穴で脚部材にアクセスできるとともに、脚部材固定のためのモルタルの流し込みが可能な浴室ユニットの脚構造が提案されている。この脚構造は、脚部材の中央部における外周側にモルタルの流路を設け、貫通穴からドライバー等で床パンの高さを調整した後、その貫通穴からモルタルを流し込み、前記流路によりモルタルが脚部材に沿って落下し、それが基礎上に溜まった後の自然固化によって、脚部材が固定されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特開平10−1990号公報の脚構造にあっては、モルタルの流路を脚部材とは別部材で形成しなければならず、部品点数が増大し、製品コストの高騰化を招来するという不都合がある。また、前記流路が脚部材の中央部にしか設けられておらず、貫通穴から離れているため、モルタルを貫通穴から注入したときに、モルタルが脚部材の外側に飛散し易くなり、より慎重な注入作業が要求され、施工効率が低下するという不都合もある。しかも、このような飛散が生じたときは、固定に必要なモルタルの量を予め計量していても十分に行き渡らない可能性もある。
【0006】
【発明の目的】本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その第1の目的は、床パンの水密性を損なうリスクを低減するとともに、少ない部品点数で構成可能な浴室ユニットの脚構造を提供することにある。
【0007】本発明の第2の目的は、固定用流動体の注入作業を迅速且つ確実に行うことのできる浴室ユニットの脚構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成するため、本発明は、建築物の基礎上に床パンを支持する脚部材を備えてなる浴室ユニットの脚構造において、前記脚部材は、少なくとも上部から前記基礎上に連通する通路を備えた中空体により構成され、この中空体内に固定用流動体を流し込むことで、前記脚部材が前記基礎上に固定可能に設けられる、という構成を採っている。このような構成によれば、脚部材自体が固定用流動体の通路としても作用するため、この脚部材にアクセス可能とする貫通穴を床パンに形成すれば、当該貫通穴を使って固定用流動体を流し込むことが可能となり、固定用流動体の注入用の貫通穴を別途設ける必要がなく、床パンの水密性を損なうリスクを低減することができる。また、固定用流動体の流路を別部材により形成する必要がなく、部品点数の軽減を図ることも可能である。
【0009】また、前記第2の目的をも達成するため、本発明は、更に、前記脚部材の上端に開口部が形成され、この開口部位置は、前記床パンを設置した状態で当該床パンの下面高さ位置よりも低く、且つ、当該下面高さ位置に近接した位置に設けられる、という構成を採用する。この構成によれば、脚部材の開口部位置が床パンの下面高さ位置に近接した位置に設けられているため、固定用流動体を開口部に注入させ易く、固定用流動体の不用意なる飛散を防止することができ、固定用流動体の注入作業を迅速且つ確実に行うことができるという更なる作用、効果を付加することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】また、本発明において、前記床パンの下面側に前記脚部材の高さを調整するナット部材が一体的に支持され、前記脚部材は前記ナット部材に螺合して前記床パンを昇降可能にする、という構成を採ることが好ましい。このように構成することで、ナット部が床パンに一体的に支持されているため、ナット部を支持するための連結部材等を別途設ける必要がなく、部品点数の軽減を一層図ることができる。
【0011】更に、前記脚部材の下部外周面には、前記通路を内外に連通する穴が穿設され、この穴を通じた前記基礎上の領域に前記固定用流動体が流動可能とする、という構成も併せて採用することができる。これにより、前記脚部材の外側における基礎上にも、固定用流動体が流動可能となり、固定領域の拡大を通じてより強固に脚部材を固定することができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0013】図1には、第1の実施例に係る浴室ユニットの脚構造が適用された床パンの概略斜視図が示され、図2には、浴室ユニットの脚構造の概略縦断面図が示され、図3には、後述する蓋体を除いた状態における図2の概略平面図が示されている。これらの図において、浴槽Bを搭載可能な床パン10は、その底壁10Aの複数箇所に形成された貫通穴11と、この貫通穴11を形成する周縁に垂下された傾斜フランジ部12と、この傾斜フランジ部12に係合可能に設けられ、床パン10を建築物の基礎F上に支持する脚部材13と、貫通穴11を閉塞する蓋体14とを備えて構成されている。
【0014】前記傾斜フランジ部12は、床パン10の下面に連なる傾斜面部17と、この傾斜面部17の下端に連なり、前記床パン10と略水平に位置するリング部18とによって構成されている。傾斜面部17の上端には段部20が形成され、この段部20に前記蓋体14が着座して貫通穴11を閉塞するようになっている。この際、段部20に図示しないシール剤を充填するとよい。前記リング部18には、溝18Aが形成されており、この溝18Aを埋めるようにナット部材22が配置されている。このナット部材22はインサート成形によってリング部18に一体化されている。
【0015】前記脚部材13は、円筒状の中空体24と、この中空体24の下端に設けられ、前記基礎F上に着座可能なフランジ部25とを備えて構成されている。前記中空体24は、その上端及び下端に開口部27,28を設け、これら開口部27,28によって、軸方向に貫通する通路29が形成されている。従って、脚部材13を基礎F上に設置した状態で、中空体24の上端の開口部27から、固定用流動体としてのモルタル33を流し込めば、それが下端の開口部28から基礎F上に到達し、脚部材13を基礎F上に固定できることとなる。ここで、中空体24の外周面には、ねじ溝31が設けられ、前記ナット部材22に係合可能となっている。また、中空体24の上端には、凹溝35が周方向に略180度又は90度の間隔をもって形成されている。これにより、床パン10を脚部材13を介して基礎F上に設置した後、モルタル33の注入前に、図示しないドライバー等を凹溝35に差し入れて回転させることで、床パン10の高さ調整が可能となる。ここで、脚部材13は、床パン10を設計上の高さで基礎F上に設置した際に、開口部27が床パン10の下面高さ位置よりも低い位置で当該床パン10に近接するように設けられている。すなわち、脚部材13の高さ調整をしても、開口部27が床パン10の下面とリング部18の上面との間に開口部27が位置するようになっている。
【0016】次に、床パン10を基礎F上に据え付ける手順について説明する。
【0017】まず、床パン10を基礎F上に設置し、貫通穴11から図示しないドライバーを脚部材13の凹溝35に差し入れる。そして、床パン10が所望の高さとなるように、ドライバーを回転し、脚部材13を回転させる。次いで、脚部材13の上端の開口部27から、モルタル33を注入し、脚部材13を基礎F上に固定する。最後に、適宜なシール剤を介して、蓋体14で貫通穴11を閉蓋すればよい。
【0018】従って、このような実施例によれば、脚部材13を構成する中空体24の上下両端に開口部27,28を設け、これら開口部27,28を通路29によって連通したから、脚部材13にアクセス可能とする貫通穴11からモルタル33を流し込むことができ、モルタル33の流し込み作業のための貫通穴を別途設ける必要がない。このため、床パン10の水密性を損なうリスクを低減することができる。また、脚部材13を中空にしてモルタル33を流し込めるようにしたから、モルタル33の流路を別部材により形成する必要がなく、部品点数の軽減を図ることも可能である。
【0019】なお、脚部材13は、中空体であれば前記実施例の円筒状に限られず、また、中空体24が十分な強度を備え、且つ、自立可能であれば、フランジ部25を設けなくてもよい。
【0020】次に、第2の実施例について図4を用いながら以下に説明する。なお、以下の説明において、前記第1の実施例と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
【0021】この第2の実施例は、前記第1の実施例における中空体24の下部外周面に、前記通路29の延出方向に対して横方向となる穴37を設け、通路29を内外に連通し、通路29に注入されるモルタル33を脚部材13外側における基礎F上の領域に流動可能としたところに特徴を有する。その他の構成は、フランジ部25が設けられていない点を除き、前記第1の実施例と同一となっている。
【0022】この第2の実施例によれば、脚部材13の内側のみならず外側の基礎F上にも、モルタル30が流出可能となるため、脚部材13をより強固に固定することができる。
【0023】なお、前記各実施例では、脚部材13をナット部材22に螺合させることで、床パン10の高さ調整を行うことができるようにしたが、床パン10の高さ調整が不要な場合には、脚部材13が固定用流動体の通路29を備えた中空体24により構成されていればよい。
【0024】また、固定用流動体としては、前記各実施例のモルタル33に限られず、他の接着剤等に代替可能である。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、脚部材を少なくとも上部から前記基礎上に連通する通路を備えた中空体により構成したから、固定用流動体の注入用の貫通穴を別途設ける必要がなく、床パンの水密性を損なうリスクを低減できるとともに、部品点数の軽減をも図ることが可能となる。
【0026】また、前記脚部材の上端に開口部を形成し、この開口部が前記床パンの下面高さ位置よりも低い位置で当該床パンに近接するように設けたから、固定用流動体を開口部に注入させ易くなり、固定用流動体の不用意なる飛散を防止し、固定用流動体の注入作業を迅速且つ確実に行うことができる。
【0027】更に、前記床パンの下面側に前記脚部材の高さを調整するナット部材を一体的に支持し、前記脚部材を前記ナット部材に螺合して前記床パンを昇降可能にしたから、ナット部を支持するための連結部材等を別途設ける必要がなく、部品点数の軽減を一層図ることができる。
【0028】また、前記脚部材の下部外周面に前記通路を内外に連通する穴を穿設した場合には、前記脚部材の外側における基礎上の領域にも、固定用流動体が流動可能となり、より強固に脚部材を固定することができる。
【出願人】 【識別番号】392008529
【氏名又は名称】ヤマハリビングテック株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月6日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山口 義雄
【公開番号】 特開平11−244182
【公開日】 平成11年(1999)9月14日
【出願番号】 特願平10−54555