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【発明の名称】 加熱流体を利用した蓄熱式暖房便座
【発明者】 【氏名】服部 元彦

【氏名】光永 知仁

【氏名】平井 宏満

【氏名】豊吉 英文

【要約】 【課題】便器本体に対して便座本体を取り外すことができ、また水洗いもできる清掃性及びメンテナンス性に優れた蓄熱式暖房便座を提供する。

【解決手段】便器本体側に対して分離できる便座本体24内に、蓄熱材26を配設すると共に、蓄熱材26を加熱するための温風通路27を形成するか又はヒートパイプ39を配設し、便器本体側に配設した温風発生装置30から便座本体24内の温風通路27へ温風を供給するか又は便器本体側のヒーター41で便座本体24側のヒートパイプ受熱部41を加熱するようにする。これにより、蓄熱式の暖房便座にあって、便座本体24を便器本体から分離することができる。また便座本体24内には電気的な部品は介在しない。そのため、便座本体を便器本体側から分離して水洗いができ、清掃性及びメンテナンス性に優れている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】便器本体側に対して分離できる中空の便座本体を有し、該便座本体の中空内に蓄熱材を配設すると共に、蓄熱材を加熱するための温風通路を形成し、便器本体側には温風の発生装置を設けて成り、該温風発生装置の温風吐出口と前記温風通路の温風流入口とを連通接続したことを特徴とする加熱流体を利用した蓄熱式暖房便座。
【請求項2】蓄熱材と接触した後の温風又は温風発生装置から吐出される温風が人体の局部へ向けて吐出されることを特徴とする請求項1に記載の加熱流体を利用した蓄熱式暖房便座。
【請求項3】蓄熱材と接触した後の温風が便座本体の前方側へ吐出され、使用者の脚部等を温めるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の加熱流体を利用した蓄熱式暖房便座。
【請求項4】便器本体側に対して分離できる中空の便座本体を有し、該便座本体の中空内に蓄熱材を配設すると共に、蓄熱材を加熱するためのヒートパイプを配設し、便器本体側には前記ヒートパイプを加熱するためのヒーターを設けて成り、前記ヒートパイプの受熱部と前記ヒーターとを接合可能にしたことを特徴とする加熱流体を利用した蓄熱式暖房便座。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温風又はヒートパイプにより便座本体及び便座本体内の蓄熱材を温めるようにした加熱流体を利用した蓄熱式の暖房便座に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日では、冬期や寒冷地等の寒い環境における便器の使用に際し、便座の着座面を温めて使用する暖房便座が広く普及している。この暖房便座は、電気式のヒーターを便座の裏面側へ貼り付けておき、常時通電するタイプのものが主流であった。ところが、常時通電するようにすると、電気の消費量が増大して不経済であり、ヒーターを用いることで温度ムラが生じるので過大な熱量が必要なるという問題があった。
【0003】そのため、電気式のヒーターと、ポリエチレングリコール等の蓄熱材とを併用し、電気式のヒーターで所定時間加熱した後は、ヒーターをOFFにしておき、その後はヒーターによって温められた蓄熱材からの熱によって便座の着座面を温める蓄熱式のものが開発されている。
【0004】図6〜図9は、それぞれ従来の蓄熱式の暖房便座1〜4を示すものである。図6の図(A)及び図(B)に示す暖房便座1は、実開昭50−73035号公報に開示された技術である。この暖房便座1は、便器本体5の便鉢上面に開閉自在に載置される便座本体6を、耐熱性の合成樹脂で中空状かつドーナツ形状に成形し、便座本体6の内周面にグラスファイバーその他からなる断熱材7を配設している。そして、断熱材7の内方に、エチレングリコール、水若しくはポリビニールアルコール等からなるゼリー状の蓄熱材8を内蔵し、この蓄熱材8と断熱材7との上部側の境界付近にニクロム線若しくは熱電素子等の発熱体9を配設している。
【0005】図7の縦断面図に示す暖房便座2は、実開昭62−53095号公報に開示された技術である。この従来の暖房便座2は、便座本体10を断面逆U字状にして下面側を開口面とし、開口面側にヒーター取付板11を固定している。そして、ヒーター取付板11の上面にヒーター12を配設し、ヒーター取付板11と便座本体10の裏面との間の空間に蓄熱材13を充填すると共に、サーミスタ等の温度制御手段12aを配設している。蓄熱材13は、パラフィン、塩化カルシウム、植物性油脂等である。
【0006】図8の縦断面図に示す暖房便座3は、特開昭61−73623号公報に開示された技術である。この従来の暖房便座3は、断面逆U字状の便座本体14の裏面側に、蓄熱体ユニット15を配設し、この蓄熱体ユニット15の下面側に発熱体16及びサーミスタ17を配設している。蓄熱体ユニット15は、アルミニウム箔で形成された外皮内に、酢酸ナトリウム三水塩等の蓄熱材が充填されたものである。
【0007】更に、図9の縦断面図に示す暖房便座4は、実開平3−82098号公報に開示された技術である。この従来の暖房便座4は、断面逆U字状の便座本体18の内周面に沿ってヒーター19を配設し、ヒーター19の下面側であって便座本体18の裏面側空間内に、空気層20を介して樹脂パック材21によって密閉状に封入された蓄熱材22を配設している。蓄熱材としては、酢酸ナトリウム三水塩とチオ硫酸ナトリウム五水塩の混合物と水とを混合したものや、酢酸ソーダを主成分とするもの等がある。
【0008】なお、図6〜図9に示す前記各従来の暖房便座1〜4にあっては、蓄熱材8,13,15,22を封入してなる容器は、各蓄熱材の膨張による破損を防ぐため、容器内にエアーが混入されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、図6〜図9に示す従来の蓄熱式の暖房便座1〜4は、いずれもヒーター9,12,16,19が便座本体6,10,14,18内に配設されており、これらの便座本体から配線コード等が露出しているため、簡単に取り外すことができず、メンテナンス性が悪いという欠点があった。また水洗いもできないので清掃性も悪いという欠点があった。
【0010】更に、図6及び図9に示す従来の暖房便座1及び2では、便座本体6及び10自体を容器として利用し、その中に蓄熱材8,13を封入しており、封入作業が困難であった。また便座本体6の取扱いも十分に気をつける必要があり、更にはヒーター9及び12が蓄熱材8,13内にあるため、組立性や分解性能が悪く、メンテナンス時等に手間を要するという問題があった。
【0011】また図8に示す従来の暖房便座3では、便座本体14の下面側が開口しているため、発熱体16及び蓄熱体ユニット15の放熱ロスが大きく、熱効率が悪かった。また蓄熱体ユニット15内に混入されたエアーが、発熱体ユニット15の頂部へ集まって伝熱を妨げ、使用者が着座する部分の便座本体14を十分に温めることができないという問題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は従来の前記課題に鑑みてこれを改良除去したものであって、便器本体に対して便座本体を取り外すことができ、また水洗いもできる清掃性及びメンテナンス性に優れた蓄熱式暖房便座を提供せんとするものである。
【0013】而して、前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、便器本体側に対して分離できる中空の便座本体を有し、該便座本体の中空内に蓄熱材を配設すると共に、蓄熱材を加熱するための温風通路を形成し、便器本体側には温風の発生装置を設けて成り、該温風発生装置の温風吐出口と前記温風通路の温風流入口とを連通接続したことを特徴とする加熱流体を利用した蓄熱式暖房便座である。このように構成することで、便座本体は便器本体から分離でき、また便座本体内には電気的な部品は介在しないので、メンテナンス性に優れ、水洗いができる等の清掃性にも優れている。更に、各部品単位に分けられるので、リサイクル性にも優れる。
【0014】また本発明が採用した請求項2の手段は、蓄熱材と接触した後の温風又は温風発生装置から吐出される温風が人体の局部へ向けて吐出されることを特徴とする請求項1に記載の加熱流体を利用した蓄熱式暖房便座である。人体の局部を乾燥するたびごとに、その温風で蓄熱材を加熱することができ、蓄熱材の放熱時間を実質的に延長することが可能である。
【0015】更に、本発明が採用した請求項3の手段は、蓄熱材と接触した後の温風が便座本体の前方側へ吐出され、使用者の脚部等を温めるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の加熱流体を利用した蓄熱式暖房便座である。温風が蓄熱材を温めた後、使用者の脚部へ吐出されるので、足元等の暖房ができ、また部屋全体の暖房へも寄与する。
【0016】更にまた、本発明が採用した請求項4の手段は、便器本体側に対して分離できる中空の便座本体を有し、該便座本体の中空内に蓄熱材を配設すると共に、蓄熱材を加熱するためのヒートパイプを配設し、便器本体側には前記ヒートパイプを加熱するためのヒーターを設けて成り、前記ヒートパイプの受熱部と前記ヒーターとを接合可能にしたことを特徴とする加熱流体を利用した蓄熱式暖房便座である。便座本体内には、両端が閉塞されたヒートパイプと蓄熱材が介在するだけであり、この場合も便器本体に対して分離できると共に、水洗いができ、メンテナンス性及び清掃性に優れている。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の構成を図面に示す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。図1は本発明の第1の実施の形態に係る蓄熱式暖房便座23を示す横断平面図である。同図に示す如く、この暖房便座23は、便座本体24と便座ボックス25とを有し、便座ボックス25が便器本体に取り付けられて固定されており、便座本体24は便座ボックス25に対して開閉自在に取り付けられている。前記便座本体24は、図2の図(A)〜図(F)の各縦断面図に示すように、中空のケース状に成形されており、その内部には蓄熱材26が配設されると共に、温風通路27が形成されている。蓄熱材26は、酢酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム又は工業用ワックス等の材料から成り、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)等の比較的に固いパック材料28に封入されている。
【0018】而して、図2の図(A)は、便座本体24の中空の中央部分にパック材料28で封入された蓄熱材26を配設し、その余の領域を温風通路27としたものである。なお、図1は図2の図(A)で示す蓄熱材26を配設した場合を示す図面である。また同図の図(B)は、便座本体24の中空を上下に二分割し、下側半分の領域にパック材料28で封入された蓄熱材26を配設し、上側半分の領域に温風通路27を形成したものである。また同図の図(C)は、中空の中央部分に温風通路27を形成し、その余の領域にパック材料28で封入した蓄熱材26を配設したものである。更に、図(D)及び図(E)は、図(A)及び図(C)に示すパック材料28に伝熱面積を増加させるためのフィン29を取り付けた場合のものであり、図(F)は中空の全領域にパック材料28で封入した蓄熱材26を配設し、該蓄熱材26内に管等を利用した温風通路27を多数形成するようにしたものである。
【0019】一方、便座ボックス25内には、温風発生装置30が配設されている。温風発生装置30は、例えばヒーター内蔵型のファンであり、従来公知の温風による局部乾燥装置を利用したものである。従って、この温風発生装置30は、便鉢の空間領域へ連通する局部乾燥用の通路31と、前記便座本体24内の温風通路27へ温風を供給するための通路32とを有しており、両通路の選択を開閉弁33によって切り換えることができるようになされている。またこの便座ボックス25内に設けられた温風通路32の吐出口32aと、便座本体24内に設けられた温風通路27の流入口27aとは、便座本体24の使用状態のときに連通するようにしてもよく、常時連通するようにしてもよい。
【0020】このように構成することにより、便座本体24には電気的な部品や配線は装着されておらず、便器本体側に対して分離することが可能である。そのため、便座本体24を分離してこれを水洗いすることが可能であり、その清掃性及びメンテナンス性に優れたものとなる。
【0021】次に、上述の如く構成された蓄熱式暖房便座23の動作態様を説明する。例えば、夜間等の一般の使用電力量が少なく、電気料金も安いときに、温風発生装置30を駆動させ、温風を通路32からその吐出口32aを通じてこれに連通する便座本体24内の温風通路27の入口27aへ供給する。温風通路27へ供給された温風は、温風通路27を循環して便座本体とその底面側のケースとの隙間から外部へ排出される。また温風は、循環後に便座ボックス25内へ戻るように構成してもよい。そして、循環途中において、蓄熱材26と接触して熱交換し、蓄熱材26を加熱する。また循環する温風は、便座本体24自体を直接加熱し、温める。蓄熱材26の加熱が終わった昼間は、温風発生装置30の駆動を停止させ、蓄熱材26からの放熱により、便座本体24を加熱すればよい。
【0022】このように蓄熱材26によっても便座本体24を温度ムラなく加熱することで、使用電力量が少なくなり、省エネルギー化が可能である。しかも、ピークカット及びランニングコストの低減が可能である。また温風発生装置30を人体の局部乾燥装置として利用する場合は、開閉弁33を切り換えて通路32を閉塞し、通路31を開放する。これにより、温風発生装置30から供給される温風が人体の局部へ向けて吐出され、温水洗浄装置(図示せず)で洗浄した後の人体の局部を乾燥させるようになる。
【0023】図3は、本発明の第2の実施の形態に係る蓄熱式暖房便座34を示す横断平面図である。同図に示す如く、この暖房便座34は、温風発生装置30から吐出される通路を、便座本体24内の温風通路27へ連通する通路32のみとし、人体の局部へ向けて温風を吐出する通路35を温風発生装置30とは別個に設けている。つまり、便座本体24の流入口27aが設けたられた枢支部とは反対側の枢支部に温風通路27の流出口27bを形成し、これと対向する便座ボックス25の位置に通路35の流入口35aを形成し、通路35の吐出口を便鉢内の空間へ臨ませている。
【0024】従って、温風発生装置30から通路32を経て便座本体24内の温風通路27へ供給される温風は、該通路27内を循環する間に蓄熱材26及び便座本体24自体を加熱し、通路27の流出口27bから便座ボックス25内の通路35へ流入し、便鉢空間内に存在する人体の局部へ向けて吐出される。このため、人体の局部を乾燥する場合に、蓄熱材26及び便座本体24を加熱することができ、蓄熱材26の放熱時間を延長することが可能である。その他の構成並びに作用効果については、前記図1に示す実施の形態の場合と同じである。
【0025】また図4は本発明の第3の実施の形態に係る蓄熱式暖房便座36を示す横断平面図である。同図に示す如く、この実施の形態にあっては、便座本体24の手前側(使用者が便座本体24へ着座した状態で使用者の足元側)に、温風の吹出口37を形成している。便座本体24内の温風通路27を循環する温風は、温風通路27を分岐して流れ、その途中において蓄熱材26及び便座本体24自体を加熱し、温風吹出口37から使用者の足元へ向けて吹き出される。従って、使用者の脚部の全体を温めることが可能であり、また部屋全体の暖房効果もある。その他の構成並びに作用効果は、前述した図1に示す第1の実施の形態の場合と同じである。
【0026】図5は、本発明の第4の実施の形態に係る蓄熱式暖房便座38を示すものである。この暖房便座38は、便座本体24内に蓄熱材26を配設し、該蓄熱材26内にヒートパイプ39を装着している。そして、ヒートパイプ39の受熱部40と、便座ボックス25側に配設した電気式のヒーター41とが衝合可能に配設されている。従って、便座ボックス25側のヒーター41を夜間等の電力使用量が少ないときにON動作させてヒートパイプ39の受熱部40を加熱し、ヒートパイプ39の熱媒体の循環を利用して蓄熱材26及び便座本体24を加熱すればよい。この場合も便座本体24は、便器本体側に固定された便座ボックス25に対して脱着自在であり、しかも電気的部品が配設されていないので、水洗いができ、清掃性及びメンテナンス性に優れている。蓄熱材26による作用効果は前述した各実施の形態の場合と同じである。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明にあっては、便器本体側に対して分離できる中空の便座本体内に、蓄熱材を配設すると共に、蓄熱材を加熱するための温風通路を形成するか又はヒートパイプを配設し、便器本体側に配設した温風発生装置から便座本体内の温風通路へ温風を供給するか又は便器本体側のヒーターで便座本体側のヒートパイプの受熱部を加熱するようにしたから、便器本体側から便座本体内の蓄熱材を加熱して更に便座本体を温めることができる。しかも、便座本体を便器本体から分離することができる。また便座本体内には電気的な部品は介在しない。そのため、便座本体を便器本体側から分離して水洗いができ、清掃性及びメンテナンス性に優れている。
【0028】また本発明にあっては、蓄熱材と接触した後の温風又は温風発生装置から吐出される温風が人体の局部へ向けて吐出されるようにしており、人体の局部を乾燥するたびごとに、その温風で蓄熱材を加熱することができ、蓄熱材の放熱時間を実質的に延長することが可能である。
【0029】更に、蓄熱材と接触した後の温風を便座本体の前方側へ吹き出すようにしており、使用者の足元暖房及び部屋全体の暖房を行うことが可能である。
【出願人】 【識別番号】000000479
【氏名又は名称】株式会社イナックス
【出願日】 平成9年(1997)10月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敏彦
【公開番号】 特開平11−128119
【公開日】 平成11年(1999)5月18日
【出願番号】 特願平9−298203