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【発明の名称】 浴 槽
【発明者】 【氏名】岡田 哲

【氏名】小川 恵嗣

【氏名】布川 安彦

【要約】 【課題】高齢者や身障者、或いは幼児等が楽に出入りすることができる浴槽を提供する。

【解決手段】浴槽1の出入り部の側壁に略四角形状の切欠部4を形成する。この切欠部4の底部に、上部開口部6aを形成して底部が浴槽1の下端まで達する箱状空間のシリンダ部6を設け、このシリンダ部6に直方体形状のゲート部5を挿入する。また、シリンダ部6の底部に給排水口12を設け、この給排水口12と接続する配管の途中に給排水制御弁13を設けた。そして、給排水制御弁13が給水動作を行うとシリンダ部6に水道水が供給され、ゲート部5が自動的に上昇していく。また、給排水制御弁13が排水動作を行うとシリンダ部6内の水が排出され、ゲート部5が自動的に下降していく。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 床面から上側に突出する部分を有する浴槽であって、出入り部の側壁に該側壁の上面から前記床面に向けて切り欠いた切欠部と、前記切欠き部の底部に形成した開口部から下方の側壁内に箱状空間として設けたシリンダ部と、前記開口部から前記シリンダ部内に挿入され、前記切欠部を開閉すべく前記切欠部に沿って上下方向に移動するゲート部と、前記切欠き部及び前記ゲート部間の隙間を液密状態で塞ぐ液密保持部材と、前記ゲート部を前記切欠き部内の所定高さまで自動的に昇降し、該ゲート部を前記所定高さに固定しておくことが可能な昇降手段とを備えたことを特徴とする浴槽。
【請求項2】 前記昇降手段を、前記ゲート部より下方の前記シリンダ部内に流体を供給し、或いは前記シリンダ部内の流体を排出する流体供給制御装置により構成し、前記シリンダ部内の流体圧の変化を利用して前記ゲート部を所定の高さまで昇降させることを特徴とする請求項1記載の浴槽。
【請求項3】 前記液密保持部材を、前記切欠き部の側面及び前記開口部の内周全域に貼着した弾性体からなるパッキン材により構成し、前記ゲート部との接触により前記パッキン材が弾性変形することにより前記切欠き部及び前記ゲート部間の液密を保持するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の浴槽。
【請求項4】 前記シリンダ内に、前記ゲート部を上下方向にスライド可能に支持するスライド部材を配設したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の浴槽。
【請求項5】 エプロンステージを設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の浴槽。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、床面から突出する部分を有する浴槽に関し、特に、高齢者や身障者、或いは幼児等に適した浴槽に関する。
【0002】
【従来の技術】床面から上側に突出する部分を有する浴槽は、高齢者や身障者等にとって側壁の突出高さが高すぎて浴槽内への出入りに負担がかかるため、このような負担を軽減するために、例えば、図8に示すようなエプロンステージ付きのものが提案されている。
【0003】この浴槽に入浴するには、先ず、左手で横手すりaをつかんでエプロンステージbに腰掛け、次いで、右手でL型手すりcの横位置をつかみ、この状態で足を水平に保ちながら身体を約1/3回転させて側壁dを乗り越え、浴槽内に足を入れる。次いで、右手をL型手すりcに持ち替えて腰を上げ、浴槽内のハンドグリップ(図示せず。)をつかんで身体を安定させる。なお、浴槽から出るときは入浴時と逆の動作を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来のエプロンステージ付き浴槽においては、エプロンステージbに腰掛けて両手で横手すりa及びL型手すりcをつかみながら、足を水平に保ちつつ身体を約1/3回転させて側壁dを乗り越えなければならないため、高齢者等には負担が大きく、また、身体を回転させる際に不安定感があるという不都合がある。
【0005】本発明は、このような不都合を解消するためになされたものであり、高齢者や身障者、或いは幼児等が楽に出入りすることができる浴槽を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に係る浴槽は、床面から上側に突出する部分を有する浴槽であって、出入り部の側壁に該側壁の上面から前記床面に向けて切り欠いた切欠部と、前記切欠き部の底部に形成した開口部から下方の側壁内に箱状空間として設けたシリンダ部と、前記開口部から前記シリンダ部内に挿入され、前記切欠部を開閉すべく前記切欠部に沿って上下方向に移動するゲート部と、前記切欠き部及び前記ゲート部間の隙間を液密状態で塞ぐ液密保持部材と、前記ゲート部を前記切欠き部内の所定の高さまで自動的に昇降し、該ゲート部を前記所定高さに固定しておくことが可能な昇降手段とを備えている。
【0007】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の浴槽において、前記昇降手段を、前記ゲート部より下方の前記シリンダ部内に流体を供給し、或いは前記シリンダ部内の流体を排出する流体供給制御装置により構成し、前記シリンダ部内の流体圧の変化を利用して前記ゲート部を所定の高さまで昇降させるようにした。
【0008】また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の浴槽において、前記液密保持部材を、前記切欠き部の側面及び前記開口部の内周全域に貼着した弾性体からなるパッキン材により構成し、前記ゲート部との接触により前記パッキン材が弾性変形することにより前記切欠き部及び前記ゲート部間の液密を保持するようにした。
【0009】また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の浴槽において、前記シリンダ内に、前記ゲート部を上下方向にスライド可能に支持するスライド部材を配設した。
【0010】さらに、請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の浴槽において、エプロンステージを設けた。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態の一例である浴槽を説明するための説明的斜視図、図2は図1のII−II線矢視断面図、図3は図2のIII −III 線矢視断面、図4は図2の一部を拡大した斜視図である。
【0012】図1において符号1は床面2から上側に突出する部分を有する浴槽であり、この浴槽1の長手方向の一端側にはエプロンステージ3が設けられている。浴槽1の出入り部の側壁には該側壁の上面から床面2に向けて延びる略四角形状の切欠部4が形成されており、該切欠部4の底部は床面2より上方に位置している。
【0013】そして、切欠部4には、該切欠部4を開閉する箱状のゲート部5が上下方向に液密にスライド可能に設けられている。すなわち、切欠部4の底部には、上部開口部6aを形成して底部が浴槽1の下端まで達する箱状空間のシリンダ部6が設けられており、このシリンダ部6に直方体形状のゲート部5が挿入されている。
【0014】切欠き部4の側面4aには、図1及び図4に示すように、帯状のゴム製パッキン部材7aが上下方向に延在して貼着されているとともに、上部開口部6aの内周全域にもゴム製パッキン部材7bが貼着されている。そして、シリンダ部6に挿入したゲート部5の側面にゴム製パッキン部材7a、7bが弾性変形しながら当接することによって浴槽1の内外の液密が保持されている。
【0015】シリンダ部6内には、図2に示すように、ゲート部5の幅方向の側面に当接する一対の第1ガイドローラ9が設けられている。また、ゲート部5の厚さ方向の側面下部にも、シリンダ部6の内壁に当接する一対の第2ガイドローラ10が設けられている。なお、シリンダ部6の内壁の上部に設けた符号11の部材は、前記第2ガイドローラ10の上方移動を規制するストッパーである。
【0016】そして、上下方向に移動するゲート部5は、ゲート部4の幅方向の側面を転動する第1ガイドローラ9と、シリンダ部6の内壁を転動する第2ガイドローラ10とによりガイドされてスライド移動し、第2ガイドローラ10がストッパ11に当接したときに、ゲート部5の上方向移動が規制されるようになっている。
【0017】また、図1及び図2に示すように、シリンダ部6の底部には給排水口12が設けられており、この給排水口12と接続する配管の途中にソレノイド型の給排水制御弁13が設けられているとともに、給排水制御弁13は、浴室の内壁に設けた制御パネル14から制御信号が入力するようになっている。
【0018】給排水制御弁13は、図2に示すように、給排水口12と接続する第1ポート13aと、水道水の供給配管と接続する第2ポート13bと、ドレインポート13cと、第1及び第2ソレノイド13d、13eとを備えた流路切換え弁である。制御パネル14は、ゲート上昇スイッチ、ゲート下降スイッチ、停止スイッチ(図示せず)を備えており、ゲート上昇スイッチを選択すると第1ソレノイド13dに制御信号が入力され、給排水制御弁13の第1ポート13a及び第2ポート13bが連通してシリンダ部6に水道水を供給する。また、制御パネル14のゲート下降スイッチを選択すると、第2ソレノイド13eに制御信号が入力されて第1ポート13a及びドレインポート13cが連通してシリンダ部6内の水が排出される。さらに、制御パネル14の停止スイッチを選択すると、第1ポート13a、第2ポート13b及びドレインポート13cのいずれも連通しない。ここで、給排水制御弁13及び制御パネル14が、本発明の請求項1記載の昇降手段、請求項2記載の流体供給制御装置に相当する。
【0019】かかる構成の浴槽1においては、浴槽1内に入る際は、切欠部4がゲート部5によって閉塞されている状態で制御パネル14のゲート下降スイッチを選択すると、給排水制御弁13の第1ポート13a及びドレインポート13cが連通してシリンダ部6内の水が排出される。これにより、ゲート部5が第1及び第2ガイドローラ9、10にガイドされながら下降していくことにより切欠部4が開放され、図2及び図3に示す状態になる。これにより、高齢者、身障者或いは幼児等であっても低くなったゲート部5を跨いで開放された切欠部4から浴槽1内に足を安定した状態で楽に入れることができる。
【0020】次いで、制御パネル14のゲート上昇スイッチを選択すると、給排水制御弁13の第1ポート13a及び第2ポート13bが連通してシリンダ部6に水道水が供給される。そして、シリンダ部6に流れ込んだ水道水の水圧上昇によりゲート部5が第1及び第2ガイドローラ9、10にガイドされて自動的に上昇し、図5及び図6に示すように、切欠き部4及びシリンダ部6との間で弾性変形したゴム製パッキン部材7a、7bにより液密が保持された状態で切欠部4が閉塞される。したがって、入浴時の湯面は従来の浴槽の湯面と同一レベルとなり、違和感なく入浴できる。
【0021】また、浴槽1から出る場合には、身体の体積分減少により湯面が下がった位置まで制御パネル14のゲート下降スイッチを選択してゲート部5を下降することにより、浴槽1内から低くなったゲート部5を跨いで足を安定した状態で楽に出ることができる。ここで、浴槽1から出る際にゲート部5に手を載せて体を預けても、ゲート部5はシリンダ部6内の水圧により下がらないので安全に浴槽1内から出ることができる。
【0022】このように、本実施形態では、制御パネル14のゲート下降スイッチ、或いはゲート上昇スイッチを選択することにより、ゲート部5を任意の高さに自動的に設定することができるので、高齢者、身障者或いは幼児等であってもゲート部5を昇降して安定した状態で浴槽1への出入り動作を行うことができる。
【0023】また、エプロンステージ3を使用して入浴する場合には、浴槽1内に出入りする際に上記同様にしてゲート部5を低くしておくことにより、エプロンステージ3に腰掛けて身体を浴槽1側に約1/3回転させる際に、足をくの字状態にしたままで開放された切欠部4から浴槽1内に足を安定した状態で楽に出入りさせることができ、特に、重症者に好適なものとすることができる。
【0024】そして、本実施形態では、水圧を利用してゲート部5を自動的に昇降させているので、簡便な装置構成とすることができる。なお、本実施形態では、ゲート部5を昇降させる手段として給排水制御弁13及び制御パネル14を記載したが、本発明の請求項1記載の昇降手段がこれに限定されるものでなく、例えば機械的にゲート部5を昇降させる装置であってもよい。また、本発明の請求項2記載の流体供給制御装置も、前記給排水制御弁13及び制御パネル14に限らず、例えば図7に示すように、シリンダ部6に連通する給水口20、排水口21を設け、給水口20に浴室の水道蛇口22を接続し、排水口21をフロート23で閉塞しておく構造も考えられる。この実施形態では、水道蛇口22を開いてシリンダ部6に水を供給することによりゲート部5を自動的に上昇させることができる。また、フロート23に連結した鎖24をハンドル25で引くことでフロート23が排水口21の閉塞を解除し、シリンダ部6の水が外部に流れ出てゲート部5を自動的に下降させることができる。このような装置構造によって前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0025】また、図1から図6で示した実施形態では、浴槽1の底面が床面(洗い場の床面)2より下側にあるが、本発明はこれに限定されず、浴槽の底面と床面とが一致しているものや、浴槽の底面が床面より高い位置にあるものも含まれる。
【0026】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、請求項1記載の浴槽によると、高齢者、身障者或いは幼児等であっても、開放された切欠部から浴槽内へ、安定した状態で楽に足を出し入れすることができる。また、ゲート部を前記切欠き部内の所定の高さまで自動的に昇降させる昇降手段が、ゲート部を所定の高さに固定しておく構造となっているので、浴槽内の人はゲート部に手を載せて体を預けながら安全に出ることができる。
【0027】また、請求項2記載の浴槽によると、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができるとともに、シリンダ部内に供給した流体の流体圧を利用してゲート部が上昇し、シリンダ部内の流体を排出することによってゲート部が下降するので、簡便な構造の昇降手段を提供することができる。また、シリンダ部内の流体圧によってゲート部を所定の高さに確実に固定しておくことができる。
【0028】また、請求項3記載の浴槽によると、請求項1又は2記載の発明と同様の効果を得ることができるとともに、切欠き部内の所定の高さまで昇降するゲート部の液密を確実に保持することができる。
【0029】また、請求項4記載の浴槽によると、請求項1乃至3の何れかに記載の発明と同様の効果を得ることができるとともに、ゲート部は、浴槽に入る人の補助を必要とせずに、スライド部材に支持されて切欠き部内の所定高さまでスムーズに昇降動作を行うことができる。
【0030】さらに、請求項5の浴槽によると、請求項1乃至4の何れかに記載の発明と同様の効果を得ることができるとともに、エプロンステージ法による入浴の際に入浴者にかかる負担が軽くなるため、特に、重症者であっても楽に入浴することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月31日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外3名)
【公開番号】 特開平11−128101
【公開日】 平成11年(1999)5月18日
【出願番号】 特願平9−300584