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【発明の名称】 電気湯沸かし器
【発明者】 【氏名】浦田 隆行

【氏名】徳満 修三

【氏名】高田 清義

【氏名】宇治野 芳行

【氏名】谷本 康明

【要約】 【課題】本発明は電気湯沸かし器に関するものであり、低い保温電力を長期間維持することである。

【解決手段】芯材22を配置した耐熱性のラミネートフィルム24の間を真空に封止した真空断熱材20を配置しているため、高い断熱性能が長期間維持できるため、電気湯沸かし器の低い保温電力を長期間維持できるのである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 貯水用容器と、この貯水用容器内の水を加熱するヒータと、外部に水を出水する出湯経路とを設け、芯材を配置した耐熱性のラミネートフィルムの間を真空に封止した真空断熱材を有し、前記ラミネートフィルムはシール層とガスバリア層と保護層よりなる電気湯沸かし器。
【請求項2】 ガスバリア層としてアルミニウムを用い、アルミニウムの片面にシール層として無延伸のポリプロピレンを使用した請求項1記載の電気湯沸かし器。
【請求項3】 ガスバリア層としてアルミニウムを用い、前記ガスバリア層の片面にシール層として無延伸のポリプロピレンを用い、前記ガスバリア層のもう一方の側に保護層としてポリエステルとナイロンを用い、ナイロンを最外層とした耐熱性のラミネートフィルムを用いた請求項1または請求項2記載の電気湯沸かし器。
【請求項4】 芯材として合成シリカを用いた請求項1または請求項2または請求項3記載の電気湯沸かし器。
【請求項5】 真空断熱材のヒートシール部分を電気湯沸かし器の外側に近くなるように折ることを特徴とした請求項1〜4いずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
【請求項6】 アルミニウム箔を有するガスバリア層を用いたことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家庭や事務所などで飲料用の湯を供給する電気湯沸かし器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気湯沸かし器は水を入れて電源をつなげると、湯が沸き、一定温度で保温できるため、お茶やコーヒーなどの用途のほかに、幼児のミルク用のお湯など、様々な用途に使用されている。また、長時間お湯を保温しておく必要があるので、様々な断熱材が使用されてきた。従来の技術として、ウレタンなどの有機系の断熱材やガラスウールやセラミックウールなどの無機断熱材や金属の反射板を使用したものやガラスや金属の2重容器の間を真空にしたものなどがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ウレタンなどの有機系の断熱材は、電気湯沸かし器が100℃程度まで温度が上昇するため、断熱材が劣化し、断熱性が非常に悪くなるという問題があった。さらに、注入成形発泡を行うため再利用が非常にしにくく、環境負荷が大きいと言った問題があった。また、無機系の断熱材は耐久性能は優れるが、断熱性能が低いと言う問題や、表面から微細な繊維等が発生し、取り扱い時に手がちくちくし、取り扱いがしにくい等の問題があった。また、断熱性が低いと電気湯沸かし器の保温電力量が大きくなり、エネルギーを多く使用してしまう問題がある。さらに、ガラスや金属の二重容器のものは、真空に耐えれる強度が必要なため非常に重いものになってしまい、また形状も円や球に近い形状のものしかできない問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課題を解決しようとするものであり、貯水用容器と、この貯水用容器内の水を加熱するヒータと、外部に水を出水する出湯経路とを設け、芯材を配置した耐熱性のラミネートフィルムの間を真空に封止した真空断熱材を有し、前記ラミネートフィルムはシール層とガスバリア層と保護層よりなる電気湯沸かし器とすることにより、多様な形状で、簡便に取り扱いができ、高い断熱性を劣化なく維持した電気湯沸かし器が実現できるのである。
【0005】そして、上記発明によれば、芯材を配置した耐熱性のラミネートフィルムの間が真空に封止されており、この断熱材の中は真空に保たれているので、断熱性能が非常に優れている。耐熱性のラミネートフィルムは耐熱性を有しているので、経時劣化することはない。また、芯材は耐熱性のラミネートフィルムにより覆われているので、手に直接接することは無く、作業が非常にしやすい。また、平板等の形状も可能であるので、電気湯沸かし器の様々な部位で使用することができる。電気湯沸かし器は湯を高温に保つので、断熱性能の高い断熱材は非常に有効である。さらに、容易に分解、分離することができるため再利用や環境負荷が非常に小さくすることができるのである。
【0006】
【発明の実施の形態】上記の課題を解決するために請求項1記載の発明は、貯水用容器と、この貯水用容器内の水を加熱するヒータと、外部に水を出水する出湯経路とを設け、芯材を配置した耐熱性のラミネートフィルムの間を真空に封止した真空断熱材を有し、前記ラミネートフィルムはシール層とガスバリア層と保護層よりなる電気湯沸かし器としたものである。これにより、真空断熱材は断熱性能が高く、軽く、取り扱い性がよいため、ウレタンなどの有機系の断熱材やガラスウールなどの無機系の断熱材に比べ保温電力が小さく、真空二重容器のものに比べ軽い電気湯沸かし器が実現できるのである。さらに、真空断熱材は再利用できる電気湯沸かし器が実現できるのである。
【0007】また、請求項2記載の発明は、ガスバリア層としてアルミニウムを用い、アルミニウムの片面にシール層として無延伸のポリプロピレンを使用した電気湯沸かし器とするものである。そして、ガスバリア層としてアルミニウムを使用することで、真空層へのガスの進入を防ぎ、無延伸のポリプロピレンをシール層として利用することで耐熱性が向上するので、長期間断熱性能が劣化しない電気湯沸かし器が実現できるのである。
【0008】また、請求項3記載の発明は、ガスバリア層としてアルミニウムを用い、前記ガスバリア層の片面にシール層として無延伸のポリプロピレンを用い、前記ガスバリア層のもう一方の側に保護層としてポリエステルとナイロンを用い、ナイロンを最外層とした耐熱性のラミネートフィルムを用いた電気湯沸かし器としたものである。そして、アルミニウムに接する保護層にはポリエステルを使用することにより、耐熱性のラミネートフィルム全体の強度を向上させることのみではなく、アルミニウムのクラック発生なども防止することができる。また、ナイロンを最外層に使用することにより、電気湯沸かし器への装着や取り外しの際の耐傷つき性能が向上する。これらにより、真空断熱材が取り付けや取り外しが非常にしやすいものになり、さらに電気湯沸かし器に使用した場合の寿命を長く保持できるのである。
【0009】また、請求項4記載の発明は、芯材として合成シリカを使用した電気湯沸かし器としたものである。芯材として合成シリカを使用することにより、芯材の熱的な劣化を発生させることがなく、真空断熱材としても熱的な劣化を防止することができる。これにより、電気湯沸かし器で使用する際に長期間断熱性能を維持させることができる。
【0010】また、請求項5記載の発明は、ヒートシール部分を電気湯沸かし器の外側に近くなるように折った電気湯沸かし器としたものである。ヒートシール部分を折ることで正味の断熱部の被服率を向上させることができる。さらに、外側に折ることにより、ヒートシール部分をより低温側におくことができるので、断熱材の劣化をさらに抑えることができるのである。
【0011】また、請求項6記載の発明は、アルミニウム箔を有するガスバリア層を用いたことを特徴とする電気湯沸かし器としたものである。そして、ガスバリア層としてアルミニウム箔を使用することで、電気湯沸かし器に使用した場合、断熱材の真空の保持と熱リークとを両立した、断熱性能が高く、性能劣化のない断熱材が実現できるのである。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0013】(実施例1)以下、本発明の第一の実施例を図に基づいて説明する。図1において、1は電気湯沸かし器の本体(以下単に本体と称する)で、内部に湯を貯湯する内径184mm、深さ250mmの貯水用容器2(以下単に容器2と称する)を有している。3は容器2の口部を封じるように装着した中栓である。また、4は本体1の上部を開閉可能に覆った上蓋である。5は上蓋に設けられた蒸気通路であり、一端は中栓3を貫通して容器2内と連通しており、他端は大気と連通している。6は水漏れ防止弁であり、蒸気通路5内に配置されており、転倒時等には蒸気通路5を遮断するようになっている。
【0014】ここで、蒸気通路5は複雑に曲げられている。これにより容器2の水が沸騰した時など大気に比べ、容器2の内側の圧力が高くなったときは、蒸気が蒸気通路5を通じて本体外に排出されるが、容易には外気と容器2内の水面と上蓋4の間の空気(以下内気と称する)が混合しない構成となっている。
【0015】7は本体1と容器2との間の底部に設けたモータ、8はモータ7により駆動されるポンプで、その吸い込み口9は容器2の底部と連通している。10はポンプ8の吐出口で、出湯経路の一部を構成する11の出湯管に連通している。12は出湯口であり、ここより電気湯沸かし器外に出湯する。13は加熱用のヒーターであり、ドーナツ状に中央部が抜けており、容器2の下部に装着されている。14は温度検知器であり容器2の下部、ヒーター13の中心部に装着されている。15はモータ7を駆動する起動スイッチであり、可変抵抗体を有しており、押しボタン16の押し動作によりロッド17を介して動作する。18は圧縮形のスプリングで、このスプリング18は、常時ロッド17を上方に押し上げるように付勢している。19は制御装置であり、14の温度検知器からの信号を取り込み、ヒーター13等を制御する。20は容器2の側面に巻いた真空断熱材であり、容器2の熱が本体1の側面から逃げることを抑える役割をしている。
【0016】ここで、使用した真空断熱材20と真空断熱材21を図で説明する。図2は真空断熱材20の断面図を示している。22は真空断熱材の芯材である。芯材22は内袋23に納められている。芯材22を納めた内袋23はさらに耐熱性のラミネート24の袋に真空状態で納められている。ラミネート24はシール層25とガスバリア層26と保護層29より成り、保護層29は27のポリエステル層と29のナイロン層とから構成されている。
【0017】芯材22は芯材自身の熱伝導率が小さく、孔や隙間は外部と連通している必要がある。芯材22としては有機、無機材料等が使用できるが、電気湯沸かし器などの高温化で使用するときは、ガス発生のしない材料が要求される。ガス発生のしない材料としてパーライトやシラスバルーン等もあるが、本実施例では芯材22として合成シリカを使用した。合成シリカは粒子が非常に細かいため、粒子の熱伝導率が非常に小さい。さらに、10torr以下の圧力であれば圧力によらず非常に小さな熱伝導率を示すので、高温化で空気の分子運動の大きな条件下では、非常にふさわしい材料である。さらに、天然に多く存在する成分であるので、環境に対する負荷も非常に小さく使用後の処理も大変簡単である。
【0018】なお、上記で列記した芯材は粉末や短繊維等で通常取り扱うには粉が舞い上がったり、手に刺さってちくちくした刺激を与えるなど、非常に取り扱いがしにくいものである。しかし、本実施例に記載の真空断熱材においてはラミネートの袋で覆われているので、粉が舞い上がることも、手に刺激を与えることも無く、非常に取り扱いが優れるものである。シール層25は耐熱性のラミネート24を張り合わせ内部の真空を保持する役割を持つ。
【0019】シール層としては容易にヒートシールできる必要があるが、電気湯沸かし器では100℃程度の温度となるために100℃では劣化しない必要がある。そこで本実施例ではシール層25として無延伸のポリプロピレンを使用し、30の位置でヒートシールしている。このポリプロピレンは耐熱性が必要であるのでホモポリマーで結晶化度を上げたものである。ガスバリア層26としてはアルミニウム箔を使用した。ガスバリア層は耐熱性のラミネートフィルムの樹脂を透過する気体を遮断する役割を持つ。気体の透過の遮断材は厚いほど信頼性は高い。しかし、真空断熱材のガスバリア層として使用するには、薄いほど熱伝導が小さいので、断熱性能は向上する。そこで、本実施例ではガスバリア層26として5〜6μmのアルミニウム箔を使用した。
【0020】保護層29はシール層25とガスバリア層26を保護する役割を持つ。保護層29のガスバリア層に直接接する位置にポリエステル層27を配置した。本実施例ではポリエステル層27としてポリエチレンテレフタレート(以下PETと言う)を使用した。PETは耐熱性に優れるため、電気湯沸かし器の保護層としては非常にふさわしい。さらに保護層29の最外層にナイロン層28を配置している。ナイロンは吸湿性を有するため通常最外層には配置しない。ナイロンの吸湿により、ラミネートフィルムが変形してしまうためである。しかし、電気湯沸かし器では通常水や蒸気に接することは少ない。電気湯沸かし器では装着時や取り外し時には他の部品等と多く接触し、傷が付く可能性が高い。しかし、ナイロンは滑り性能が高いため、傷が付くことが少ない。また、最外層に滑りやすいナイロンを配置することにより、装着がスムースに行え、組立性能が向上する。さらにナイロンには引っ張り強度が高い性能も有している。よって、突起物に刺さったときも伸びて孔があきにくい性能を有しているため、電気湯沸かし器に使用する真空断熱材の耐熱性のラミネートフィルムとしてはナイロンを最外層に配置することは非常に重要である。
【0021】また、真空断熱材21の平板での形状を図3に示す。32は芯材22の入っている部分で真空断熱材として断熱性を有する部分である。32はヒートシール部分で、シール層25が溶着している部分30を有するため、芯材が入っていない部分である。真空断熱材21は長方形の形状をしている。容器2に巻き付ける際はヒートシール部分を折る。このとき図4に示すように円筒形の外側にヒートシール部分がくるようにして、容器2に巻き付ける。このようにすると耐熱性のラミネートのヒートシール部分32は熱湯の入っている容器2に直接接することがないので、耐久劣化はさらに小さくできるのである。
【0022】以下、本実施例の動作を説明する。容器2に水を入れた後通電すると、容器2内の水温は温度検知器14により計測されその信号が制御装置19に送られ、制御装置はヒーター13の通電を開始し始める。容器2内の水が沸騰すると、ヒーター13への通電が終了する。その後、温度検知器14からの信号を受けて、制御装置19はヒーター13を容器2の温度が一定温度になうように制御する。出湯する際は押しボタン16を押す。モーター7が動作し、容器2内の水はポンプ8により、11の出湯管を通り出湯口12より電気湯沸かし器外に排出され利用される。以下に実験例を示す。
【0023】〈実験例1〉上記の電気湯沸かし器(本実験例では真空断熱材と言う)と、上記の電気湯沸かし器の真空断熱材20を取り除いたもの(本実験例では断熱材無しと言う)、真空断熱材20の代わりにウレタンフォーム(本実験例ではウレタン断熱材と言う)を使用したもの、ガラスウールを使用したもの(本実験例ではガラスウール断熱材と言う)とを用意した。
【0024】これらの電気湯沸かし器に水を入れ、初期と耐久後(3500回使用後)の保温電力を測定した。なお、保温水温は97℃、雰囲気温度は20℃である。測定は十分平衡状態に達した後、行った。結果を断熱材の熱伝導率と保温電力を(表1)に示す。
【0025】
【表1】

【0026】このように、真空断熱材を使用したものは保温電力を低く押さえることができている。さらにウレタン断熱材は耐久後の保温電力増加が見られるが、真空断熱材は耐久による劣化も無く、真空断熱材を使用した電気湯沸かし器は有効であることが実証された。このように真空断熱材を使用することにより、保温電力の少ない電気湯沸かし器が実現できるのである。
【0027】〈実験例2〉上記の電気湯沸かし器(本実験例ではCPP品と言う)と上記電気湯沸かし器において真空断熱材21のラミネートフィルム24のシール層25として低融点ポリプロピレンを使用したもの(本実施例では低融点CPP品という)と上記電気湯沸かし器において真空断熱材21のラミネートフィルム24のシール層25としてポリプロピレンの代わりに高密度ポリエチレンを使用したもの(本実施例ではHDPE品という)と上記電気湯沸かし器において真空断熱材21のラミネートフィルム24のシール層25としてポリプロピレンの代わりにポリアクリロニトリルを使用したもの(本実施例ではPAN品という)を用意した。
【0028】これらの電気湯沸かし器に水を入れ初期と耐久後(3500回使用後)の保温電力を測定した。なお、保温水温は97℃、雰囲気温度は20℃である。測定は十分平衡状態に達した後、行った。結果を(表2)に示す。
【0029】
【表2】

【0030】このように、CPPを使用したものは耐久後も保温電力を低く押さえることができている。低融点CPP及びHDPE品及びPAN品は耐久後には熱伝導率の増加及び保温電力の増加が見られる。これは電気湯沸かし器の温度環境では低融点ポリプロピレンやポリエチレンやポリアクリロニトリルは熱劣化を起こし、初期の真空を保持できないために断熱性能の低下が発生したのである。このように電気湯沸かし器で真空断熱材を使用する際はシール層25として、ホモポリマーで結晶化度を上げた無延伸のポリプロピレンがふさわしいことが実証された。このようにシール層25としてホモポリマーで結晶化度を上げた無延伸のポリプロピレンを使用した真空断熱材を使用することにより、熱劣化することなく低い保温電力の電気湯沸かし器を実現できるのである。
【0031】〈実験例3〉上記の電気湯沸かし器(本実験例では6μmアルミニウム箔品と言う)と上記電気湯沸かし器において真空断熱材21のラミネートフィルム24のガスバリア層26としてアルミニウム箔の代わりに50μmのポリエチレンテレフタレートを使用したもの(本実施例ではアルミニウムレス品と言う)と上記電気湯沸かし器において真空断熱材21のラミネートフィルム24のガスバリア層26として25μmのアルミニウムを使用したもの(本実施例では25μmアルミニウム品という)と上記電気湯沸かし器において真空断熱材21のラミネートフィルム24のガスバリア層26としてアルミニウム箔の代わりに0.5μmの蒸着アルミニウムを使用したもの(本実施例では蒸着アルミニウム品という)を用意した。
【0032】これらの電気湯沸かし器に水を入れ初期と耐久後(3500回使用後)の保温電力を測定した。なお、保温水温は97℃、雰囲気温度は20℃である。測定は十分平衡状態に達した後、行った。結果を(表3)に示す。
【0033】
【表3】

【0034】このようにガスバリア層としてアルミニウムを使用しないものは真空を保持できないため、電気湯沸かし器の保温電力が耐久試験により大きく増加した。0.5μmの蒸着アルミニウムを用いたものはアルミニウム箔を用いたものに比べて電気湯沸かし器の使用条件下では劣化が大きい。アルミニウム箔またはアルミニウムを使用したものは有効なガスバリアを示し、耐久後まで断熱材の劣化を押さえることができる。しかし、アルミニウムの厚みが厚いと断熱材の表面を伝わる熱が大きくなり、断熱材としての断熱性能が悪くなる。よって、電気湯沸かし器の真空断熱材のラミネートフィルムに使用するガスバリア層としてはアルミニウムが必須で、アルミニウム箔がさらに望ましいと言える。このようにガスバリア層としてアルミニウムを使用した真空断熱材を用いることにより、低い保温電力を維持できる電気湯沸かし器が実現できるのである。さらに、アルミニウム箔を使用することによりさらに低い保温電力を維持できる電気湯沸かし器が実現できるのである。
【0035】〈実験例4〉上記の電気湯沸かし器(本実験例では合成シリカ品と言う)と、上記の電気湯沸かし器の真空断熱材20の芯材22として合成シリカの代わりにウレタンを用いたもの(本実験例ではウレタン芯材品と言う)、真空断熱材20の芯材22として合成シリカの代わりにガラスウールを使用したもの(本実験例ではガラス芯材品と言う)、真空断熱材20の芯材22として合成シリカの代わりに天然パーライトを使用したもの(本実験例ではパーライト品と言う)を用意した。
【0036】これらの電気湯沸かし器に水を入れ初期と耐久後(3500回使用後)の保温電力を測定した。なお、保温水温は97℃、雰囲気温度は20℃である。測定は十分平衡状態に達した後、行った。結果を断熱材の熱伝導率と保温電力を(表4)に示す。
【0037】
【表4】

【0038】このようにウレタン芯材品は耐久による劣化が大きく保温電力が増大している。ガラス芯材品やパーライト品は初期の断熱性も合成シリカ品に比べて大きいが、耐熱れの劣化も激しい。初期は初期はいずれのサンプルも内圧は1torrであり、耐久後は10torrであった。電気湯沸かし器においては真空断熱材は高温雰囲気になる。高温条件下では気体の拡散が大きくなり、真空部分への気体の進入機会が多くなったためである。しかし、合成シリカは内圧が増加しても高い断熱性を示す。よって、電気湯沸かし器に使用する真空断熱材としては合成シリカが有効と言える。このように、芯材として合成シリカを用いた真空断熱材とすることで低い保温電力が維持できる電気湯沸かし器が実現できるのである。
【0039】〈実験例5〉上記の電気湯沸かし器(本実験例では外折り品と言う)と、上記の電気湯沸かし器の真空断熱材20のヒートシール部分を内側に折り込んだもの(本実験例では内折り品と言う)を用意した。
【0040】これらの電気湯沸かし器に水を入れ初期と耐久後(3500回使用後)の保温電力を測定した。なお、保温水温は97℃、雰囲気温度は20℃である。測定は十分平衡状態に達した後、行った。
【0041】結果を断熱材の熱伝導率と保温電力を(表5)に示す。
【0042】
【表5】

【0043】このように、内折り品は耐久による劣化が大きく保温電力が増大している。ヒートシール部は常に高温にさらされるため、溶融し真空部中に気体が進入したのである。よって、電気湯沸かし器に使用する真空断熱材はヒートシール部が外側に鳴るように折ることが重要である。このように、ヒートシール部を外側に折った真空断熱材とすることで低い保温電力が維持できる電気湯沸かし器が実現できるのである。
【0044】〈実験例6〉上記の電気湯沸かし器(本実験例ではナイロン4層品と言う)と、上記の電気湯沸かし器の真空断熱材20の保護層29としてPETのみを使用したもの(本実験例ではPET3層品と言う)と、上記の電気湯沸かし器の真空断熱材20の保護層29としてナイロンのみを使用したもの(本実験例ではナイロン3層品と言う)と、上記の電気湯沸かし器の真空断熱材20の保護層29としてナイロンをアルミニウム側に、PETを最外層にしたものを使用したもの(本実験例ではPET4層品と言う)を用意した。
【0045】これらの真空断熱材をヒートシール部分を外側になるように折り、円筒形状にし、電気湯沸かし器に装着した。そして、電気湯沸かし器に水を入れ初期保温電力を測定した。その後、真空断熱材の取り外しと取り付けを100回行い、耐久後(100回装脱着後)の保温電力を測定した。なお、保温水温は97℃、雰囲気温度は20℃である。測定は十分平衡状態に達した後、行った。
【0046】結果を断熱材の熱伝導率と保温電力を(表6)に示す。
【0047】
【表6】

【0048】このように、いずれの保護層を用いた真空断熱材も初期においては同じ性能を示した。しかし、装脱着100回という過酷な取り扱いを行うとナイロン4層品以外は保護層が傷つき、真空の保持が困難になり、電気湯沸かし器の保温電力が増加してしまうのである。本実施例では、真空断熱材を円筒形に曲げて使用している。電気湯沸かし器のように変形させ、さらに表面が擦れることがある場合は、保護層にPETと最外層にナイロンを使用するのが好ましいことが実証された。このように保護層にPETと最外層にナイロンを使用した真空断熱材を使用することにより、外部の力を受けても低い保温電力を維持できる電気湯沸かし器を実現できるのである。
【0049】(実施例2)図2は電気湯沸かし器の上蓋に真空断熱材を配置したものである。1〜20は実施例1と同じである。21は蓋用真空断熱材であり、上蓋4を通しての熱の透過を抑える役割を持つ。本実施例で使用した蓋用真空断熱材21の形状を図6に平面図で示す。蒸気通路5等の構造物をさけるためこのような形状のものを作成し、使用した。蓋用真空断熱材21の厚さはおよそ1cmである。このような形状は真空の2重容器では作ることができず、蓋からの熱の透過は大きいので真空断熱材は非常に有効である。以下に実験例を示す。
【0050】〈実験例7〉本実施例の電気湯沸かし器(本実験例では真空断熱材と言う)と、本実施例の電気湯沸かし器の真空断熱材20を取り除いたもの(本実験例では断熱材無しと言う)、真空断熱材20の代わりにウレタンフォーム(本実験例ではウレタン断熱材と言う)を使用したもの、ガラスウールを使用したもの(本実験例ではガラスウール断熱材と言う)とを用意した。
【0051】これらの電気湯沸かし器に水を入れ初期と耐久後(3500回使用後)の保温電力を測定した。なお、保温水温は97℃、雰囲気温度は20℃である。測定は十分平衡状態に達した後、行った。
【0052】結果を断熱材の熱伝導率と保温電力を(表7)に示す。
【0053】
【表7】

【0054】このように、真空断熱材を使用したものは、保温電力を低く押さえることができている。さらに、ウレタン断熱材は耐久後の保温電力増加が見られるが、真空断熱材は耐久による劣化も無く、真空断熱材を使用した電気湯沸かし器は有効であることが実証された。
【0055】
【発明の効果】本実施例から明らかなように、請求項1記載の発明によれば、貯水用容器と、この貯水用容器内の水を加熱するヒータと、外部に水を出水する出湯経路とを設け、芯材を配置した耐熱性のラミネートフィルムの間を真空に封止した真空断熱材を有し、前記ラミネートフィルムはシール層とガスバリア層と保護層よりなる電気湯沸かし器としたもので、取り扱いも非常に簡便で、様々な形状の部分で使用でき、さらに断熱性能が優れるので、保温電力の少ない電気湯沸かし器を得ることができる。
【0056】また、請求項2の発明によれば、ガスバリア層としてアルミニウムを使用し、アルミニウムの片面にシール層として無延伸のポリプロピレンを使用したものでり、断熱性能の劣化がほとんどないため、少ない保温電力を長期間維持できる電気湯沸かし器を得ることができるのである。
【0057】また、請求項3の発明によれば、ガスバリア層としてアルミニウムを用い、前記ガスバリア層の片面にシール層として無延伸のポリプロピレンを用い、前記ガスバリア層のもう一方の側に保護層としてポリエステルとナイロンを用い、ナイロンを最外層とした耐熱性のラミネートフィルムを用いたものであり、外部の力に強い断熱材とすることができるため、容易に装脱着が行える電気湯沸かし器が実現できるのである。
【0058】また、芯材として合成シリカを使用することにより、さらに耐久性能に優れる断熱材とすることができるため、さらに長期間低い保温電力を維持できる電気湯沸かし器が実現できるのである。
【0059】また、ヒートシール部分を電気湯沸かし器の外側に近くなるように折ることにより、ヒートシール部分の耐熱条件を緩和できるため、さらに耐久性能に優れる断熱材とすることができるため、さらに長期間低い保温電力を維持できる電気湯沸かし器が実現できるのである。
【0060】また、ガスバリア層としてアルミニウム箔を使用することにより、断熱性能と耐久性が両立できるため、さらに低い保温電力を長期間維持できる電気湯沸かし器が実現できるのである。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【識別番号】000004488
【氏名又は名称】松下冷機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】滝本 智之 (外1名)
【公開番号】 特開平11−309069
【公開日】 平成11年(1999)11月9日
【出願番号】 特願平10−118345