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【発明の名称】 焼物用調理装置
【発明者】 【氏名】清川 晋

【要約】 【課題】表面が焼き過ぎなく、内部まで肉汁が滲出しない状態で、短時間に、しかも美味に調理できる装置を提供する。

【解決手段】発熱体3の近傍に、少なくとも表面にセラミックス層4bを形成した放熱体4を配置し、前記発熱体4の反対側であって、放熱体4の近傍に被加工食品Fを支持するように構成した焼物用調理装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発熱体の近傍に、少なくとも表面にセラミックス層を形成した放熱体を配置し、前記発熱体の反対側であって、放熱体の近傍に被加工食品を支持するように構成した焼物用調理装置。
【請求項2】 発熱体の近傍に、少なくとも表面にセラミックス層を形成した放熱体を配置するとともに、この放熱体より離間して表面にセラミックス層を形成した上部放熱体を配置し、前記放熱体と上部放熱体の間に被加工食品を配置してこの被加工食品の両面より輻射熱を与えるように構成した焼物用調理装置。
【請求項3】 放熱体は銅あるいは銅合金、又は熱伝導性の良好な材質であり、この放熱体の表面にセラミックス層を形成した請求項1あるいは2記載の焼物用調理装置。
【請求項4】 前記放熱体の近傍に移動装置を配置し、この移動装置によって被加工食品を支持させ、この移動装置を操作して前記放熱体と被加工食品との距離を変化させて輻射熱を受ける量を調節するように構成した請求項1あるいは2記載の焼物用調理装置。
【請求項5】 発熱体は電気加熱式である請求項1,2,3あるいは4のいずれかに記載の焼物用調理装置。
【請求項6】 放熱体は断面が円弧形である請求項1,2,3,4あるいは5のいずれかに記載の焼物用調理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼物用調理装置に関し、主として大量の輻射熱を利用して魚介類や野菜等の食品を調理する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】焼鳥屋をウナギ屋は一般に上面が解放された横長の調理炉内に木炭を燃料として燃焼させ、この調理炉の上部に配置した複数本の支持棒の上に金串や竹串に鳥肉や豚肉等の肉や、これらの肉と共に、あるいは別にねぎやピーマンやナス等の野菜を刺したた串を載せ、これらを加熱調理して焼鳥を製造したり、同様にウナギの蒲焼きを行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種の焼物用調理炉には一般には木炭が使用されているが、その中でも備長炭は硬質で高級な燃料として使用されている。この硬質の木炭は火力が強い上に燃焼時間が長く、更に燃焼中の木炭の保形性が良好であることから、空気の供給が良く、火力が安定し、高温で比較的長時間燃焼させることが比較的容易である点において秀れている。しかし、この調理炉を使用する際は、客の入店前に予め木炭に着火して客の入店と同時に直ちに調理ができるような調理炉を準備しておく必要がある。そしてこの調理装置を使用する場合に最も重要である点は、調理炉の下方から上昇する大量の高温の燃焼ガスの量を調節しながら、赤熱状態の木炭から放射される大量の輻射熱を肉類等の被加工食品物に如何に効率的で一定した状態で供給するかが調理人の技術である。
【0004】もし、高温の燃焼ガスで被加工食品を包囲した状態で全体を加熱し、更に下方から大量の輻射熱を与えると、被加工食品が受ける熱量は調理される速度に比較して過大になり、表面がこげながらその内部から大量の肉汁が滲出する。このように必要以上に表面をこがすと焼物の価値を減少させ、肉汁の滲出と共に肉が締って硬く仕上がることになる。また、肉汁が滲出すると当然、肉の栄養素が無駄に放出され、それと共に味が落ちる。更に前記のように肉が全体的に硬くなりながら、肉全体の大きさが減少して見栄えも悪化することになる。
【0005】このように、木炭を熱源として焼鳥等の調理をする際は、高温の燃焼ガスを被加工食品になるべく当てないようにウチワや扇風機を使用してこの高温の燃焼ガスを排除する必要がある。そして被加工食品を均一に加熱するために、焼け具合に応じて串をしばしば反転させる必要がある。前記のように木炭を使用した焼物においては、第一に木炭の火加減を常時管理する必要があり、第二に高温の燃焼ガスを排除して輻射熱を有効に利用するために団扇で常にあおぎながら食品の高温の加熱を防止する必要がある。そして第三に被加工食品の表裏がまんべんなく調理されるように串を常に反転させる必要がある。
【0006】このような一連の複雑な操作は、長期の経験と秀れた勘を持った調理人が会得するものであって、その仕事を始めたばかりのような調理人には到底できる技術ではない。従って、有名店で調理している豊富の経験を持つ調理人の場合には、肉が比較的柔らかく、外形の変形が少なく、肉汁の滲出量が少なく、更にこげ目も適当に付いた見栄えと味の良いものに仕上げることができ、それは経験年数の浅い者が調理した焼物食品とは格段に差異がある。
【0007】この木炭を使用した焼物調理には別の大きな問題がある。即ち、前記のように火加減や炙り加減という高度な技術を必要とする問題の他に、調理時間が長いことである。特に鯛の塩焼き、あるいはウナギの蒲焼きといった高級料理において長い時間が必要であり、短時間内に焼物料理をすることが困難であった。また、加熱手段としてガスを燃料とする方法や電熱を使用する方法があるが、ガスを使用する方法は、高温の燃焼ガスが直接に被加工食品を包むためにその表面が高温に曝されてこげ易い上に、短時間に大量の肉汁を滲出することから著しく味を損なう。そしてこの肉汁の滲出と共に肉類は大きく縮み、硬くなって味と共に風合いを損なってしまうことになる。このような理由からガスによる焼物調理は制限された範囲のものしかない。
【0008】一方、電熱は特に家庭用調理装置に使用されることが多いが、一般には発熱量が少なく、大量の熱を必要とする大型の被加工食品の場合は到底料理できない。また、この電熱による方法は被加工物を高温に加熱することが困難であるから、炭火のように美味な焼物料理を製造することが困難である。本発明は、前記従来の木炭を使用した焼物料理やガスを使用した焼物料理、更に電気を使用した焼物料理の持つ欠点を実質的に解消できる焼物用調理装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための本発明に係る焼物用調理装置は、発熱体の近傍に、少なくとも表面にセラミックス層を形成した放熱体を配置し、前記発熱体の反対側であって、放熱体の近傍に被加工食品を支持するように構成している。また、本発明に係る焼物用調理装置は、発熱体の近傍に、少なくとも表面にセラミックス層を形成した放熱体を配置するとともに、この放熱体より離間して表面にセラミックス層を形成した上部放熱体を配置し、前記放熱体と上部放熱体の間に被加工食品を配置してこの被加工食品の両面より輻射熱を与えるように構成している。
【0010】更に、別の焼物用調理装置に使用される放熱体は、銅あるいは銅合金、又は熱伝導性の良好な材質であり、この放熱体の表面にセラミックス層を形成している。また、本発明に係る焼物用調理装置は、前記放熱体の近傍に移動装置を配置し、この移動装置によって被加工食品を支持させ、この移動装置を操作して前記放熱体と被加工食品との距離を変化させて輻射熱を受ける量を調節するように構成している。
【0011】また、本発明の熱源として電気加熱式のものを使用することもできる。そして前記放熱体は断面が円弧形のものを使用するのが良い。本発明は、燃焼ガスを直接に被加工食品に接触させて加熱するのではなく、燃焼ガスで放熱体を一旦加熱し、蓄熱することによって、この放熱体から放射される輻射熱を利用して被加工食品を加熱するものである。
【0012】従って、本発明においては放熱体が重要を構成要素である。そしてこの放熱体は可能な限り熱容量と熱伝達率の大きなものが好ましく、その意味において銅あるいは銅合金などの金属、あるいは熱伝達率の大きな材料を使用し、更にその表面にセラミックス層を形成しておくことによって大量の赤外線を放射できるように構成しておくのが良い。しかし、本発明における放熱体は、金属のみに限定されるものではなく、例えば耐熱ガラスや粘土の焼物を使用することも可能である。
【0013】また、被加工食品は片面のみはなく、両面より輻射熱で加熱するのが良い。勿論、この加熱に燃焼ガスを使用する場合はこの燃焼ガスによる加熱と輻射熱による加熱の両方の加熱作用を受けることになるが、主として輻射熱を利用して加熱することによってその目的を達成することができる。更に、1つのガスバーナのような発熱体に対して2つの放熱体を使用する場合は、ガスバーナの上に第1の放熱体を配置し、その上方に被加工食品を配置し、更にこの被加工食品の上方に第2の放熱体を多段に配置することによって被加工食品を両面から放射熱によって加熱するのが良い。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明を実施した焼物調理装置の要部を切開して示す側面図、図2は同部分の正断面図である。また、図3は主要部分の斜視図である。焼物調理装置1は本体2の内部にガスバーナ部3(発熱体)とその上方に放熱体4(蓄熱・放熱体)を設け、更にこの本体2の両側に設けた移動装置5の受け棒5a上に横棒6を載置し、この横棒6上に網部材7載置し、更にこの網部材7の上方に上部放熱体8を載置して構成している。
【0015】前記発熱体あるいは熱源であるバーナ部3は、各種の燃料ガスに対応したガスバーナであり、つまみ5bを回転操作して火力を調節できるようになっている。そしてこのバーナ部3の上方であって、燃焼ガスを受けて加熱されるように断面が半円形をした放熱体4が配置されている。この放熱体4は本発明において重要な構成部品であって、前記バーナ部3の燃焼ガスが直接に上昇して被加工食品を必要以上に加熱するのを防止し、この熱を受けて加熱され、蓄熱し、そして高温の状態において大量の輻射熱を前記バーナ部3の反対側、即ち上方に放射する部材である。
【0016】このバーナ部3と放熱体4との組合わせは重要であって、バーナ部3からの燃焼ガスを効率的に受けることによって加熱され、そして蓄熱されて高温において大量の輻射熱を放射する機能を持つものであって、この放熱体4より大量の輻射熱を上面である半円弧面から放射するようになっている。この放熱体4は燃焼ガスの上昇を阻止する役目をしているが、この放熱体4のみでは必要な燃焼ガスの上昇阻止効果がない場合は、この放熱体と同様な材質を使用した板状の補助放熱体を併用することもできる。
【0017】放熱体4は前記のように加熱され、そして蓄熱して大量の輻射熱を放射する機能を持つもので、図4に示すように本体4aは熱容量の大きな金属、例えば銅あるいは銅合金や熱伝達率の大きな材質のものを使用し、その表面にセラミックス層4bを形成する。このセラミックス層4bとしては、遠赤外線を大量に放射するものが良く、アルミナ、シリカ、β−スポジメン、ジルコン、ジルコニアを使用し、6−15ミクロンを主波長とするものを使用し、このセラミックス材料をプラズマ溶射してセラミックス層4bを均一に形成する。
【0018】図5は発熱体としてガスバーナの他に、電熱を使用したもので、二重の金属筒からなる本体4aを形成し、この金属筒の間にシーズヒータ4Dを封入し、断面が半円形になるようにプレス加工したもので、この本体4aの表面にセラミックス層4bを形成して放熱体4Aを示している。この放熱体4Aを使用する場合は、ガスバーナを使用しないので、燃焼ガスによる被加工食品の加熱はないことになる。
【0019】前記本体2の両側に配置した移動装置5は、レバー5cを上下に操作することによって上部に設けてある受け棒5aを上下させるようになっているが、この受け棒5a上に横棒6を複数本載置しており、この横棒6上に載置した網部材7上に肉や魚や野菜等の食品F(図6)を載せるようになっている。そしてこの網部材7の上方に上部放熱体8が恰も加熱炉の天井部を形成するように載置されており、この上部放熱体8が加熱されるとこれからも食品Fに対して輻射熱を放射することになる。この上部放熱体8の上面や側面にロックウール等の耐熱性断熱材を積層することによって放熱を効率的に防止しながら食品Fに対して熱輻射して調理することができる。
【0020】本発明に係る焼物調理装置によれば、被加工食品の少なくとも片面、好ましくは両面に放熱体を配置することによって、一方の放熱体がバスバーナ等の熱源から熱を受けてこれを蓄熱し、400℃〜800℃程度に加熱されると魚や肉の被加工食品を焼料理するのに最適な輻射熱を放射し、更にこの輻射熱の一部は被加工食品の反対の面、図においては上部放熱体8を加熱し、この上部放熱体8が所定の温度以上になると被加工食品に向けて輻射熱を放射することになる。
【0021】本発明に係る装置は、前記したように焼鳥やウナギの蒲焼きや焼肉や焼魚の調理をして各種の効果を得ることができる。しかも、ヤキイモを焼いた場合は通常の装置であると約90分の時間を必要としたが、約20分で焼き上げることができ、しかも美味なものであった。
【0022】
【発明の効果】本発明に係る焼物用調理装置は、燃焼ガスで被加工食品を直接に加熱して調理するものではなく、この燃焼ガスによって放熱体を加熱し、この放熱体から放射される輻射熱によって加熱するものであって、この放熱体を熱的なクッションとして利用してている点に特徴がある。
【0023】そして本発明によれば、次の効果を奏することができる。
1)燃焼ガスで放熱体を加熱して蓄熱し、この放熱体より放射される大量の輻射熱によって食品を加熱処理するので、間接加熱となり、加熱時間は通常の焼物料理に比較して著しく短縮される。
2)被加工食品は主として放熱体より輻射される輻射熱によって加熱されることから内部まで効率的に加熱され、表面に付いたこげ目に比較して内部の焼け具合が良好である。
3)前記のように被加工食品は放熱体から放射される輻射熱によって内部から加熱されることから、表面層が焼けて組織が破壊される前に、内部が調理されることになり、肉汁等の内部含有物が滲出することがなく、良好な味を保持した料理を提供できる。
4)一般に、被加工食品の表面を高温に加熱するとこげ目が付きながら内部は生焼けとなる場合がある。しかし、本発明によればこのようなこげ目を薄く付けた状態でも生焼けとなることがない。
【0024】また、移動装置を操作して被加工食品を上下に移動させて、放熱体と被加工物との距離を調整することによって最適な濃さのこげ目を付けることができる。
5)一般に、被加工食品を燃焼ガスや木炭の火で高温に加熱すると内部含有物が滲出しながら全体が収縮し、そして硬いものとなる。しかし、本発明によれば放熱体から放射される輻射熱によって加熱されることから食品は肉汁等のうま味成分を保持したままで、内部までしっかりと焼け、しかもその肉等は柔らかい状態のままで保持され、更に全体の大きさが殆ど縮小しないことから、味と見栄えの良い焼物料理を得ることができる。
6)本発明に係る焼物用調理装置は、遠赤外線を効果的に利用するものであるから、従来の燃焼ガスによる高温加熱による調理に比較して著しく短時間に調理することができる。
【出願人】 【識別番号】592132981
【氏名又は名称】清川 晋
【出願日】 平成10年(1998)2月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開平11−225889
【公開日】 平成11年(1999)8月24日
【出願番号】 特願平10−28918