| 【発明の名称】 |
加熱調理器 |
| 【発明者】 |
【氏名】三木 匡
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| 【要約】 |
【課題】従来の赤外線センサを使った加熱調理器では、被加熱物の放射率により検知温度がズレるという問題点があった。
【解決手段】発光手段7から被加熱物11で反射した光を受光手段9により受光して反射率を測定し、この反射率から換算した放射率を使って赤外線センサ8の赤外線量を補正することにより放射率の影響のない温度検知方式を備えた加熱調理器を提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 赤外線センサにより調理物や鍋などの被加熱物の温度を計測する加熱調理器において、前記被加熱物に対して投光する発光手段と、前記被加熱物からの反射光を受光する受光手段を備え、前記受光手段の出力から換算された前記被加熱物の放射率、及び前記赤外線センサの受光量から前記被加熱物の温度を換算してなる加熱調理器。 【請求項2】 反射率の測定波長として、受光手段の素子としてシリコン組成の受光素子が利用できる600nmから1000nm波長域を使用する請求項1記載の加熱調理器。 【請求項3】 反射率の測定波長として、1000nmから2000nm波長域を使用する請求項1記載の加熱調理器。 【請求項4】 反射率の測定波長として、2000nm以上の波長域を使用する請求項1記載の加熱調理器。 【請求項5】 反射率の測定波長の分光手段として、受光素子の受光感度波長域を使って分光する請求項1記載の加熱調理器。 【請求項6】 反射率の測定波長の分光手段として、発光手段にLEDまたはレーザなどの狭波長域の光源を使用することにより分光する請求項1記載の加熱調理器。 【請求項7】 反射率の測定波長の分光手段として、一定波長域の波長を通過させる光学的なバンドパスフィルタを使用することにより分光する請求項1記載の加熱調理器。 【請求項8】 赤外線センサが焦電センサである請求項1記載の加熱調理器。 【請求項9】 赤外線センサがサーモパイルである請求項1記載の加熱調理器。 【請求項10】 加熱調理器が電磁誘導方式の調理器であり、被加熱物が調理鍋である請求項1記載の加熱調理器。 【請求項11】 加熱調理器が電子レンジである請求項1記載の加熱調理器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、加熱調理機器の温度センサに関するものであり、電磁誘導式による調理器の鍋温度検知や、電子レンジでの調理物の温度センサとして応用することができる。 【0002】 【従来の技術】従来、加熱調理器では被加熱物である食品の温度や鍋温度を温度センサにより検知することにより、調理の進行度合いを検知して加熱制御を行って最適な調理具合に仕上げたり、調理物や調理器の温度が急に上昇した場合の電源オフなどの安全対策を行っている。 【0003】こうした加熱調理器の温度センサとしては、サーミスタなどの温度センサなどの熱伝導により雰囲気温度を検出するセンサ構成が一般的であるが、放射温度計として知られている様に、物体の発する赤外線を瞬時に感知して温度を計測する焦電センサやサーモパイルなどの赤外線センサによる放射温度方式を応用した構成も提案されている。この赤外線センサ方式では、赤外線が瞬時にセンサに到達するため、熱伝導により検知を行う場合に比べ、応答性が非常に良い利点がある。 【0004】赤外線センサ方式における原理は、被加熱物は温度が上昇するほど、より多くの赤外線を放出する。従って、この赤外線量を検出素子により、起電力の発生量や抵抗値の変化量として検出する事により温度に換算するものである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、赤外線センサ方式では、対象物からの赤外線の放射効率を示す放射率の差が計測上の課題となる。一般には、被加熱物の温度が同じでも放射率が高ければ放射される赤外線量は多く、放射率が小さければ赤外線量は減少する。従って、赤外線センサでは、基準量の赤外線量に比べて、温度の低いために赤外線量が少ないのか、放射率が小さいため赤外線量が少ないのかを判別する方法がない。 【0006】放射温度計などの赤外線センサ方式では、この課題に対して、予め調べて置いた放射率εをユーザが入力したり、対象物の基準温度での赤外線量で補正したり、放射率εは一定のままで計測温度は相対温度として利用するなどの方法が取られていた。 【0007】しかし、測定する対象が余り変わらない監視用などの用途ではこうした方法が使えるが、放射率は対象物の色や材質、表面状態などにより様々に変わるため、調理のたびに被加熱物が千差万別に変わるような加熱調理器では、こうした方法では実用にならなかった。かといって、放射率を補正せずに、赤外線量から温度への換算を行えば、検知温度は全くズレてしまうといった問題が発生する。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は、赤外線センサにより調理物や鍋などの被加熱物の温度を計測する加熱調理器において、前記被加熱物に対して投光する発光手段と、前記被加熱物からの反射光を受光する受光手段を備え、前記受光手段の出力から換算された前記被加熱物の放射率、及び前記赤外線センサの受光量から前記被加熱物の温度を換算してなるものである。 【0009】 【発明の実施の形態】請求項1記載の発明では、発光手段から被加熱物で反射した反射光を受光手段で検出することにより、被加熱物の温度測定部位の反射率を測定し、予めプログラム等しておいた反射率と放射率の換算式により被加熱物の放射率を随時測定し、この放射率を用いて赤外線センサの検知温度を補正することにより、被加熱物の放射率に影響されない正確な温度検知を行うものである。即ち、本願発明は、酸化金属表面など熱が透過しない物質のときに、物質の放射率εと反射率Rの間に、ε=1―Rの関係が成立すること(参考文献「赤外線工学」久野治義著、電子情報通信学会編)に着眼したものであり、本願発明の対象の如く、取換え可能で、かつ鍋底等の形状が比較的同一な部分の温度検出に上記関係を利用し、従来為し得なかった迅速かつ正確な温度検出を可能としたものである。 【0010】請求項2記載の発明では、反射光の波長として、600nm〜1000nmの波長を利用することにより、被加熱物の色や外光などの影響を低減でき、LEDなどの光源を使って反射率の測定できる方式となっているものである。 【0011】請求項3記載の発明では、反射光の波長域として、第2の発明よりも更に波長の長い1000nm〜2000nmの近赤外の波長を利用することにより、被加熱物の色や外光などの影響を更に低減でき、より正確な反射率の測定ができる方式となっているものである。 【0012】請求項4記載の発明では、反射光の波長として、第3の発明よりも更に赤外線センサの波長に近い2000nm以上の赤外線の波長領域を利用することにより、赤外線センサの受光する赤外線波長域の放射率と非常に相関の高い換算のできる方式になっているものである。 【0013】請求項5記載の発明では、反射率の測定波長の分光手段として、フォトトランジスタなどの受光センサ自体の受光感度波長域を使って分光することにより、簡易な構成で波長域の限定ができ、反射率の測定が可能になっているものである。 【0014】請求項6記載の発明では、反射率の測定波長の分光手段として、発光手段にLEDまたはレーザなどの狭波長域の光源を使用することにより、簡易な構成で波長域の限定ができ、反射率の測定が可能になっているものである。 【0015】請求項7記載の発明では、反射率の測定波長の分光手段として、一定波長域の波長を通過させる光学的なバンドパスフィルタを使用することにより、より正確な波長域の限定ができ、正確な反射率の測定が可能になっているものである。 【0016】 【実施例】以下に本発明の一実施例について説明する。図1は、本発明の一実施例の構成を示すブロック図であり、本実施例では、電磁誘導式の調理器において鍋底温度を検知する場合の構成例を示す。図1の1は、加熱調理器全体の制御や温度算出の演算などを行う演算制御部であり、マイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。2は演算制御部1からの指示により鍋を加熱量の制御を行う加熱制御部であり、3はユーザからの温度設定値や調理コースの入力操作や現在の鍋温度表示などを行う操作表示部である。7は鍋10の反射率を検知するための光源であり、9は鍋底から反射してきた光を受光する受光センサである。また、4は光源7の発光や消灯を制御する発光制御回路であり、6は受光センサ9の出力を検知するための反射検知回路である。8は鍋底からの放射される赤外線量を検知する赤外線センサであり、5は赤外線センサ8からの出力を検出するための放射検知回路である。10は加熱調理器のトッププレートであり、赤外線を透過する材質や検知部に赤外線透過材をはめ込んだものを使用する。 【0017】また、図2は、赤外線センサ8で受光する赤外線総量Wと、それを基に放射検知回路5および演算制御部1で算出される換算温度Tの関係の一例を示す模式図である。図2の21は放射率ε=1.0の場合の関係式を示し、同様に22、23は放射率ε=0.5およびε=0.1の場合の関係式を示している。放射率εが低い程、同じ温度における放射割合は小さいため、同じ赤外線総量Wが検出される場合には、対象物質の温度は放射率εが低い程T0→T1→T2のように高いと解釈できることになる。 【0018】また、図3は、ある波長での放射率εと反射率Rの相関の一例を表す模式図を示す。受光センサ9の指向性や感度特性などの実験上の条件により、厳密にはε=1―Rにはならない場合があるが、図3に示すように反射率Rが高い程放射率εは低く、反射率Rが低いほど放射率εは高い傾向を示す。 【0019】これらの図2及び図3のグラフは演算制御部1に演算式または換算テーブルの形で記憶し、放射率の算出や温度の算出に使用する。 【0020】以上の内容を使って、図1のブロック図の概略動作を説明する。演算制御部1は発光制御回路4に指示し発光素子を点灯し、鍋底で反射した光を受光センサ9で受光し反射検知回路6で電圧量に変換し、演算制御部1に入力して反射率を算出する。演算制御部1には、図3の反射率と放射率の相関関係を示す演算式31が予め設定されており、この演算式を使って放射率εに換算する。同時に、赤外線センサ8で鍋底から放射される赤外線を受光し、放射検知回路5で電圧量に変換して演算制御部1に入力する。次に、演算制御部1には予め図2に示すような赤外線量と放射率εから温度に換算するための温度算出式21〜23及び他の放射率εに対応した温度算出式を記憶させておき、この温度算出式により鍋底温度を算出する。算出された温度Tは表示操作部3でユーザ表示を行ったり、加熱制御部2で設定温度と比較して加熱量の増減などを行う。 【0021】最後に、反射率を検知する波長の選出方法について説明する。図4には、物質の放射率と波長との関係を示す放射率の波長特性の一例を表す模式図を示す。図4に示すように、波長により放射率の大きく替わる波長特性を有する物質は選択放射体と呼ばれる。物質の赤外線放射は対象物質の温度が数百度程度の場合には、図4の領域IVに示す領域に相当する大体3マイクロメートル付近以上の波長の赤外線の占める割合が多い。従って、反射率から放射率を補正するには、赤外線センサが実際に受光する領域IVでの放射率を知る必要がある。つまり、波長特性の全く異なる波長領域での放射率を調べても相関は小さくなる。それならば直接に領域IVの反射率で測定すれば良いが、この領域は対象物質の放射する赤外線を受けるため、つまり対象物質の温度自体の影響で反射率が正確に測定できない。 【0022】このような状況において、どの波長を反射率の測定波長に選べば良いかの手段としては、次の手段が考えられる。1つは、鍋色や室内の蛍光灯からの外光などの影響の大きい可視光領域Iを避け、領域IIに相当する近赤外波長の反射率から放射率を推定し補正を行う方法である。領域IIでは、対象物中の水分や対象物自体の材質による吸収が比較的小さく、反射率がばらつく要因を低減できる。この領域IIの受光素子としては、シリコン組成の受光素子やインジウムガリウム砒素インガリの組成の受光素子がある。特に、これらの受光素子や発光素子は、一般の家電機器のリモコンや光通信用のデバイスとして広く普及しているデバイスの流用が可能なため、商業的な効果も期待できる。 【0023】もう1つの方法は、対象領域である領域IVでは、より近い領域IIIの反射率から補正する方法である。この領域IIIでは、領域IVに近い放射率を有する上、この領域の赤外線は数千度の物質からでないと殆ど放射されないため、対象物自体の放射する赤外線量の影響を受けにくくなり、反射率を正確に測れる。 【0024】なお、本実施例では鍋温度を測定する構成を示したが、本発明の方法は電子レンジの上部に設置して調理食品の温度検知を行う方法も可能である。特に、本方法は温度計測とほぼリアルタイムに放射率εを算出するため、予めεが設定できない場合や色々な対象物を移動させながら温度検知を行う場合に特に効果がある。 【0025】また、反射率を検知するための光源9からの影響が発生する場合には、発光制御回路より、変調して赤外線センサの検知停止時間の間に発光するなどの時分割で発光することにより反射センサの影響が出ないようにする方法も可能である。 【0026】更に、本願発明の構成は、調理分野のみならず、生産ラインにおける塗装工程における温度制御や自動販売機の珈琲缶等の温度制御等への応用も考えられるものであり、被加熱物が取り換え可能であり、且つ取り換えた被加熱物の反射面の形状が比較的同様な形状であれば、本願発明を応用することは容易である。 【0027】 【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明は、赤外線センサにより調理物や鍋などの被加熱物の温度を計測する加熱調理器において、前記被加熱物に対して投光する発光手段と、前記被加熱物からの反射光を受光する受光手段を備え、前記受光手段の出力から換算された前記被加熱物の放射率、及び前記赤外線センサの受光量から前記被加熱物の温度を換算してなることにより、被加熱物の放射率に影響されない正確な温度検知が可能な温度検知センサを備えた加熱調理器を実現することが可能となるものである。 【0028】また、請求項2記載の発明は、反射光の波長として、600nm〜1000nmの波長を利用することにより、被加熱物の色や外光などの影響を低減でき、LEDなどの光源を使って反射率の測定できる方式となっており、より正確な温度検知が可能な温度検知センサを備えた加熱調理器を実現することが可能となるものである。 【0029】また、請求項3記載の発明は、反射光の波長域として、第2の発明よりも更に波長の長い1000nm〜2000nmの近赤外の波長を利用することにより、被加熱物の色や外光などの影響を更に低減でき、より正確な反射率の測定ができる方式となっており、更に正確な温度検知が可能な温度検知センサを備えた加熱調理器を実現することが可能となるものである。 【0030】また、請求項4記載の発明は、反射光の波長として、第3の発明よりも更に赤外線センサの波長に近い2000nm以上の赤外線の波長領域を利用することにより、赤外線センサの受光する赤外線波長域の放射率と非常に相関の高い換算のできる方式になっており、より正確な温度検知が可能な温度検知センサを備えた加熱調理器を実現することが可能となるものである。 【0031】また、請求項5記載の発明は、反射率の測定波長の分光手段として、フォトトランジスタなどの受光センサ自体の受光感度波長域を使って分光することにより、簡易な構成で波長域の限定ができ、正確な反射率から放射率への換算が可能な可能な温度検知センサを備えた加熱調理器を実現することが可能となるものである。 【0032】また、請求項6記載の発明は、反射率の測定波長の分光手段として、発光手段にLEDまたはレーザなどの狭波長域の光源を使用することにより、簡易な構成で波長域の限定ができ、正確な反射率から放射率への換算が可能な可能な温度検知センサを備えた加熱調理器を実現することが可能となるものである。 【0033】また、請求項7記載の発明は、反射率の測定波長の分光手段として、一定波長域の波長を通過させる光学的なバンドパスフィルタを使用することにより、より正確な波長域の限定ができ、より正確な反射率から放射率への換算が可能な可能な温度検知センサを備えた加熱調理器を実現することが可能となるものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005821 【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)2月13日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】滝本 智之 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−225881 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)8月24日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−30985 |
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