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【発明の名称】 高周波加熱装置用容器
【発明者】 【氏名】稲田 育弘

【氏名】甲斐 年雄

【氏名】平井 和美

【要約】 【課題】本発明は高周波加熱装置用容器に関するものであり、被加熱物である食品を加熱するとき、昇温しにくい部位の加熱を促進し、各部の仕上がり温度を安定的に均一化する。

【解決手段】被加熱物である食品9を載置する被加熱物載置台を食品9の形状に合わせた容器13として形成し、容器13の底部裏面には、誘電体材料によって形成した分離可能、もしくは容器13と一体成形の電波集中体10を食品9の裏面側になるよう設ける。この構成により、食品9の昇温しにくい部分を確実に電波集中体10の直上部に位置させることにより、均一な仕上がり温度を安定して得ることが出来る。また、どのような高周波加熱器にも汎用で使用することができるし、洗浄時等の取り扱いも容易になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被加熱物を載置する容器をポリフェニレンサルファイドなどの低誘電損失の耐熱樹脂材料、あるいはセラミックスや耐熱ガラスによって形成し、前記容器の底部裏面には、3mm以上の厚みを有する誘電体材料によって形成した電波集中体を前記容器と一体又は分離可能に備えた高周波加熱装置用容器。
【請求項2】 電波集中体は容器の裏面に弾性接着剤により貼付した請求項1記載の高周波加熱装置用容器。
【請求項3】 被加熱物を載置する容器をポリフェニレンサルファイドなどの低誘電損失の耐熱樹脂材料、あるいはセラミックスや耐熱ガラスによって形成し、前記容器の底部裏面には部分的に3mm以上の厚肉部を有した電波集中体を前記容器と一体形成した請求項1記載の高周波加熱装置用容器。
【請求項4】 容器の被加熱物載置面に凸形の突起を堤防状(線状)あるいは点状に複数箇所形成した請求項1又は3記載の高周波加熱装置用容器。
【請求項5】 容器の載置面周囲フランジ高さは被加熱物載置面より上に略10mm以下の範囲で設けた形状をした請求項1又は3記載の高周波加熱装置用容器。
【請求項6】 一つの容器に複数箇の電波集中体を位置をずらして設けた請求項1又は3記載の高周波加熱装置用容器。
【請求項7】 一つの容器に複数箇の電波集中体を互いに位置をずらして設け、その少なくとも1カ所は他の電波集中体と異なる厚みを有する請求項6記載の高周波加熱装置用容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子レンジ等の高周波加熱装置に於いて、被加熱物を加熱調理する際に被加熱物をその上部に載置して使用する、高周波加熱装置用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来水分含有量が多いものや大きな形状の被加熱物の場合、マイクロ波の半減深度の関係で食品の中央部やその周辺が外周部に比べて加熱され難かった。そのため、被加熱物の外周部が適温になった時点で加熱を終了したくても中央部やその周辺部に加熱の不十分な部分が残るので、その部分を適温になるまで追加加熱せざるを得なく、その結果外周部が過加熱になり、脱水、硬化等の不具合を生じていた。特に冷凍食品の再加熱の場合、加熱されやすい外周部が先に融け、融けることで誘電損失がさらに増加して発熱しやすくなり、さらに内外の加熱むらが増長され、極端な場合外周部が炭化しているのに内部に凍っている部分があるということが生じ、この加熱むらのために高周波加熱の使途が限定されてきた。
【0003】この問題の解決手段として以下に記載のような高周波加熱装置が提案されている。その構成の概略について図5及び図6を参照しながら説明する。
【0004】図5は従来の高周波加熱装置の断面図、図6は従来の高周波加熱装置用被加熱物載置台の斜視図を示す。
【0005】図5に示すようにマグネトロン1からの電波は導波管2を通って開口3から加熱室4内に照射される。加熱室4の上部には電波攪拌羽根5を設け、電波照射量を均一化する。6は電波撹拌用羽根5の駆動用のモータである。加熱室4の側面には棚7が設けられ、棚7には低誘電率材料から構成され、内部に樹脂、ほう珪酸ガラス、結晶化ガラス、セラミックなどの低誘電率材料によって構成した電波集中体10が設けられた凹部11を有する被加熱物載置台8が着脱自在に係止されている。被加熱物載置台8の上には被加熱物である食品9が載置されている。食品9はマグネトロン1からの電波で高周波加熱される。図1、図5中の鎖線の矢印12は食品9に加わる電波の状態を模式的に示したものである。なお、図6は被加熱物載置台8の外観斜視図を示す。
【0006】電波集中体10は誘電体であり、誘電体は電波を引き寄せる性質を有するので、誘電体近傍の電界強度は他の部分よりも高くなる。電波集中体10直上部に加熱されにくい食品9の中央部を位置させることで、従来加熱されにくかった食品9の中央部がより効果的に加熱され、結果的には食品全体が均一に加熱できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのような従来の構成においては、その原理上、昇温しにくい部分を確実に電波集中体の直上部に位置させなければならない。しかし載置台の載置面が広いため、被加熱物はどこにでも置くことができるので、使用者が被加熱物と電波集中体の位置がずれないよう注意して加熱操作を行う必要がある。また、食品個々で大きさや昇温の度合いが異なるため、最適な電波集中体の形状や取付位置が変わるが、各々の食品に最適な載置台を夫々製作することは、物が大きいこともありコスト高となり容易でない。
【0008】さらに、庫内に棚を設けてそこに載置台を係止する構成であると、庫内に棚を設けなければならないし、庫内寸法により載置台の外形寸法が制約され、各々の高周波加熱装置専用となり汎用性が無くコスト高にもなる。
【0009】また、ハンバーグなどの肉汁が垂れる食品の加熱を行うと、肉汁に漬かっていた部分が先に煮えてしまうし、載置台を取り出し洗わないといけないし、通常の家庭用の食器洗い機に入らない等取り扱いが困難である。また、載置台と電波集中体を別物で構成し、上面よりはめ込んで樹脂シートやゴムシートで固定する構成のため、生産性が低いし、ハンバーグなどの肉汁による汚れが隙間に入り込み、清掃しきれず衛生上や食品かす、スパーク等の信頼性上の問題が懸念される。
【0010】また、高周波加熱では食品の温度を上げることはできるが、焦げ目が付けられないしフライなどのカリット感が出せないため、仕上げにオーブンやグリルに入れて焦げ目などを付けるのが好ましいが、載置台が大きいため、そのままオーブンやグリルに入れられず、食品の移し替えが必要で使い勝手が良くない。
【0011】このように従来の高周波加熱装置によると、使い勝手や信頼性、性能の安定確保、コストの面に於いての課題を有していた。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために被加熱物である食品を載置する載置台を食品の形状に合わせて容器状に形成し、前記容器の底部裏面には、誘電体材料によって形成した前記容器と一体又は分離可能の電波集中体を設ける。上記発明により食品の昇温しにくい部分を確実に電波集中体の直上部に選択的に位置させることができ、温まりにくかった部位の加熱を安定的に改善する効果を有すると共に、どのような高周波加熱器にも汎用で使用することができるし、洗浄時などの取り扱いが容易になる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は被加熱物を載置する容器をポリフェニレンサルファイドなどの低誘電損失の耐熱樹脂材料、あるいはセラミックスや耐熱ガラスによって形成し、前記容器の底部裏面には、3mm以上の厚みを有する誘電体材料によって形成した電波集中体を前記容器と一体又は分離可能に備えたものである。
【0014】そして食品の昇温しにくい部分を確実に電波集中体の略直上部に位置させることができ、温まりにくかった部位の加熱を安定的に改善する効果すると共に、形状が汎用であるのでどのようなタイプの高周波加熱装置にも適用できる。
【0015】また、小型であり洗浄時などの取り扱いが容易であるし、耐熱材料を使用することで高周波加熱後に移し替えの手間無くオーブン加熱にも使用でき、使い勝手が良い。
【0016】そして電波集中体を一体形成することで生産性が高まると共に、肉汁などの汚れが隙間に入り込み衛生上や信頼性上の問題発生の心配が無い。
【0017】また、容器と電波集中体を分離可能とし、電波集中体を容器の裏面に弾性接着剤により貼付して形成したものである。
【0018】そして弾性接着剤により任意の場所に食品個々で異なる最適な形状の電波集中体を貼付できるので、ユーザーの要望に容易に対応することができるとともに、オーブンでの使用時に熱膨張量の差による両者の剥離が生じない。
【0019】また、容器の底部裏面には部分的に3mm以上の厚肉部を有した電波集中体を一体形成したものである。
【0020】また、容器の被加熱物載置面に凸形の突起を線状あるいは点状に複数箇所形成したものである。
【0021】そしてこの凸部によりハンバーグなど加熱時に出た水分や油分に食品が漬からず、部分的な煮えが生じる問題が無い。
【0022】また、容器の被加熱物載置面の周囲フランジ高さは被加熱物載置面より上に略10mm以下の範囲で設けたものである。
【0023】そしてフランジ高さが低いので熱風循環式オーブンの場合も熱風が遮られることなく被加熱物に直接当たり、効率よく加熱を行える。
【0024】また、一つの容器に複数箇所の電波集中体を位置をずらして設けたものである。
【0025】そして複数個の食品を同時に均一加熱することができる。また、一つの容器に複数箇所の電波集中体を設け、その少なくとも1カ所は他と異なる厚みを有するものである。
【0026】そしてその各々の電波集中体を各々の食品に適した形状、厚みにすることで複数種の食品を一つの容器で一度に均一加熱することができる。
【0027】
【実施例】以下本発明の実施例における高周波加熱装置用容器について図面とともに説明する。
【0028】(実施例1)図1及び図2は本発明の実施例1の高周波加熱装置用容器の断面図及び上面図である。食品9を載置する容器13は、低誘電損失の耐熱樹脂材料もしくはセラミックスや耐熱ガラスによって、食品9の形状に合わせて形成している。また、容器13の底部裏面には、別物で3mm以上の厚みを有する誘電体材料より成る電波集中体10を、シリコンパテなどの弾性接着剤16により貼付して構成している。鎖線の矢印12は食品9に加わる電波の分布状態を模式的に示したものである。
【0029】誘電体は電波を引き寄せる性質を持ち、その近傍の電界強度が他の部分よりも高くなるため、その部分の加熱を促進させる効果があるが、本発明の容器13を用いれば、温度が上がりにくい部分を確実に電波集中体10の直上部に位置させることができ、均一な仕上がり温度を安定して得ることができる。
【0030】さらに容器13は汎用な形状なので、どのタイプの高周波加熱器にも使用できるし、使用後洗浄するときも自動食器洗浄機が使用出来る等、取り扱いが容易である。
【0031】また、耐熱材料を使用することで高周波加熱後に移し替えの手間も無く、そのままでオーブン加熱も行えるため使い勝手が良い。
【0032】さらに弾性接着剤16(例えばシリコンパテ)により任意の場所に、食品個々に最適な形状の電波集中体10を貼付できる構成のため、ユーザーの要望に容易に対応することができると共に、オーブンでの使用時の熱膨張量の差による両者の剥離が生じない。
【0033】また、容器13の食品載置面には高さ3mm程度の凸形の突起14を複数本、堤防状に形成している。この凸形の突起14にハンバーグなどの食品9が載置され、谷部に加熱時にたれ出た肉汁や油が溜まることで、良好な調理結果が得られる。
【0034】さらに容器13の周囲フランジ15の高さを食品載置面より上に10mm以下の高さで設けているので、熱風循環式オーブンの場合も熱風が遮られることなく被加熱物に直接当たり、効率よく加熱を行うことができる。
【0035】(実施例2)図3及び図4は本発明の実施例2の高周波加熱装置用容器の断面図及び上面斜視図である。容器13の底部裏面には電波集中体10として容器13の底部の厚みにさらに3mm以上の厚肉部を複数個、容器13と同一材料で形成している。各々の電波集中体10の厚みは、加熱したい食品9の昇温特性に対応して設定されており、異なる厚みや形状を有している。
【0036】従来、種々の食品が一つの容器に入ったいわゆる弁当や定食のようなものは、食品の水分量や形状によって必要とする高周波エネルギー量が異なるため、高周波加熱すると全体を均一に昇温させることは困難であった。
【0037】しかし、本実施例の容器13を用いれば、各々の食品の昇温特性に対応して厚みや形状を設定出来るために均一加熱が可能になる。
【0038】また、容器13と電波集中体10を一体で形成できるので、容器13の生産性が高まり安価で提供できるし、汚れが入る隙間が無く衛生上や信頼性上の問題が少い。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の高周波加熱用容器によれば、次の効果が得られる。
【0040】被加熱物である食品を載置する載置台を食品の形状に合わせて容器として小さく形成し、前記容器の底部裏面には、誘電体材料によって形成した別物、もしくは容器と一体成形の電波集中体を設けることにより食品の昇温しにくい部分を確実に電波集中体の直上部に位置させることができ、温まりにくかった部位の加熱を安定的に改善することができる。
【0041】また、どのような高周波加熱器にも汎用で使用することができるし、洗浄時等の取り扱いが容易になる。
【0042】このとき容器と電波集中体を別物で構成し、容器裏面に貼着することで、食品個々で異なる最適な形状の電波集中体や取付位置に容易に対応することができる。なお、電波集中体の容器への固定にはシリコンパテなどの弾性接着剤を用いることで、オーブンでの使用時に熱膨張量の差による両者の剥離を防止することができる。
【0043】あるいは容器の一部に厚肉部を設けることによって電波集中体を一体形成することで生産性が高まると共に、肉汁などの汚れが隙間に入り込み衛生上や信頼性上の問題発生の心配が無い。
【0044】また、一つの容器に複数箇所の電波集中体を設けることで、複数個の食品を同時に均一加熱することができるし、その各々の電波集中体を各々の食品に適した形状、厚みにすることで複数種の食品を一つの容器で一度に均一加熱することができる。
【0045】また、容器の被加熱物載置面に高さ3mm程度の凸形の突起を堤防状(線状)あるいは点状に複数箇所形成することで、ハンバーグなど加熱時に垂れ出た水分や油分に食品が漬かって煮えが生じる等の問題が解決できる。
【0046】また、構成材料はポリフェニレンサルファイド等の低誘電損失の耐熱樹脂材料、あるいはセラミックスや耐熱ガラス等のオーブンでの使用に耐えられる耐熱を有するものを使用することで、高周波加熱後に移し替えの手間無くオーブンに入れられ使い勝手が良い。なお、容器の周囲フランジ高さを被加熱物載置面より上に10mm以下の範囲で設けることで、熱風循環式オーブンの場合も熱風が被加熱物に直接当たり、効率よく加熱を行える。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】滝本 智之 (外1名)
【公開番号】 特開平11−128068
【公開日】 平成11年(1999)5月18日
【出願番号】 特願平9−296745