| 【発明の名称】 |
電磁誘導加熱調理容器 |
| 【発明者】 |
【氏名】西脇 悟
【氏名】宇都宮 定
【氏名】別枝 篤司
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| 【要約】 |
【課題】非磁性材料の外面に磁性材料の溶射膜層6を形成して電磁誘導加熱を可能ならしめると共に、その電磁誘導加熱に伴ってコイルが必要以上に発熱することのない、電磁誘導加熱調理容器を提供することを目的とする。
【解決手段】アルミニウムなどの非磁性材料よりなる基材5の外面に、鉄、ニッケル、コバルトなどの磁性を有する金属よりなる400ミクロン以上の溶射膜層6を形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 非磁性材料よりなる基材(5)の外面に、磁性を有する金属よりなる厚み400ミクロン以上の溶射膜層(6)を形成したことを特徴とする、電磁誘導加熱調理容器【請求項2】 前記基材(5)を構成する非磁性材料がアルミニウム又は銅であることを特徴とする、請求項1に記載の電磁誘導加熱調理容器【請求項3】 前記溶射膜層(6)を形成する磁性を有する金属が、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム若しくは白金又はこれらの合金であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電磁誘導加熱調理容器【請求項4】 前記溶射膜層(6)の厚みが、誘導加熱コイル(3)から発生する磁束の分布にほゞ比例して変化していることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の電磁誘導加熱調理容器【請求項5】 周方向において、その構造上熱が外部に伝達されやすい部分の近傍を、他の部分に比べて前記溶射膜層(6)の厚みを厚くしたことを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の電磁誘導加熱調理容器【請求項6】 前記熱が外部に伝達されやすい部分が、調理容器(4)に取付けられた把手(7)の部分であることを特徴とする、請求項5に記載の電磁誘導加熱調理容器 |
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は電磁誘導加熱調理容器に関するものであって、誘導加熱コイルの近傍に設置し、当該誘導加熱コイルから発生する高周波磁界により誘導電流を生じ、当該誘導電流により調理容器自体が発熱して内容物を加熱調理する、調理容器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来からこの種の誘導加熱コイルと共に使用して誘導電流により発熱する電磁誘導加熱調理容器としては、一般に鉄などの磁性材料よりなるものが使用されている。 【0003】しかしながらこのものでは比重の大きい鉄を主体とするために重く、取り扱いにくい。そのため、アルミニウムなどの非磁性材料を主体とし、その外面に磁性材料をクラッド材として張り付けるなどの手段で、磁性を持たせて電磁誘導加熱することが行われている。 【0004】しかしながらこれらのものにおいても、コストや耐蝕性において問題があり、またクラッド材を張り付ける方法では磁性材料の厚みの部分的な調節が困難であるため、全体として均一に加熱することが困難である。 【0005】そこで特開平9−3576号公報には、非磁性材料の外面にニッケル−コバルト合金のメッキを施し、当該メッキ層において誘導電流を生ぜしめて発熱させることが記載されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記公報に記載された発明では、メッキ層の厚みが10〜100ミクロンと薄いため、当該メッキ層を貫通する磁力線により発生する誘導電流に対する抵抗が大きく、十分な誘導電流を発生されることができず、出力電力が小さくなると共に、誘導電流の抵抗が大きいためにコイルが発熱し、コイルが必要以上に高温となる。 【0007】本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、非磁性材料の外面に磁性材料の溶射膜層を形成して誘導加熱を可能ならしめると共に、その誘導加熱に伴ってコイルが必要以上に発熱することのない、電磁誘導加熱調理容器を提供することを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】而して本発明の電磁誘導加熱調理容器は、非磁性材料よりなる基材の外面に、磁性を有する金属よりなる400ミクロン以上の溶射膜層を形成したことを特徴とするものである。 【0009】本発明において前記非磁性材料は、アルミニウム又は銅を使用することができる。また前記磁性を有する金属としては、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム若しくは白金又はこれらの合金が適当である。 【0010】本発明において、前記溶射膜層の厚みは、誘導加熱コイルから発生する磁束の分布にほゞ比例して変化していることが好ましい。また調理容器の周方向において、その構造上熱が外部に伝達されやすい部分、例えば当該調理容器に取付けられた把手の近傍を、他の部分に比べて前記溶射膜層の厚みを厚くすることが好ましい。 【0011】 【発明の実施の形態】図1は本発明の電磁誘導加熱調理容器を内鍋として使用した電磁誘導加熱炊飯器1を示すものであって、外装体2内に誘導加熱コイル3が設置され、当該誘導加熱コイル3上に内鍋4が載置されている。9は温度センサーであり、10は外装体2の上部を塞ぐ蓋である。 【0012】前記内鍋4において、5はアルミニウムなどの非磁性材料よりなる内鍋基材であって、その底面から側面下部の外面には鉄などの磁性を有する金属よりなる溶射膜層6が形成されている。 【0013】内鍋基材5は非磁性材料よりなることが必要であり、その素材としてはアルミニウム又は銅が適当であるが、その他SUS−304などの非磁性のステンレスを使用することもできる。またセラミック素材やガラスなどの非金属素材を使用することも可能である。 【0014】また溶射膜層6は磁性を有する金属であって、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム若しくは白金などの遷移金属又は、これらの合金が適当である。 【0015】そして本発明においては、溶射膜層6の厚みが400ミクロン以上であることが必要である。400ミクロン未満では誘導加熱コイル3が発熱し、誘導加熱コイル3の温度が不必要に高くなると共に、入力電力の一部がコイル3で消費されて損失となる。また溶射膜層6の厚みが大きくなると誘導加熱コイル3の温度は低くなるが、600ミクロン程度が限界で、それを超えても誘導加熱コイル3の発熱を抑制する効果は生じない。 【0016】前記溶射膜層6の厚みは、内鍋4の溶射膜層6における誘導加熱コイル3から発生する磁束に触れる範囲において、溶射膜層6の平均厚みが400ミクロン以上であることを要するが、当該範囲を超えて溶射膜層6が形成されていても差支えはなく、その部分における厚みは薄くてもよい。また温度センサー9に接触する部分は、溶射膜層6を形成しないことができる。 【0017】また前記磁束に触れる範囲における溶射膜層6の厚みは、部分的に変化させることは可能である。誘導加熱コイル3から発生する磁束密度は必ずしも均一ではなく部分的に大小にばらつくが、当該磁束の分布にほゞ比例して溶射膜層6の厚みを変化させることが好ましい。 【0018】また溶射膜層6の周方向において、その構造上熱が外部に伝達されて逃げやすい部分がある場合、その近傍を他の部分に比べて前記溶射膜層6の厚みを厚くすることが好ましい。例えば外装体2内に収容された内鍋4に把手が取付けられている場合には、当該把手の部分においてはその把手を嵌合するために外装体2の構造が複雑になり、熱が逃げやすくなる。かかる場合には、その把手の下方の溶射膜層6を厚くするのが好ましい。 【0019】図2及び図3は上記把手7を有する内鍋4を示すものであって、内鍋基材5の外面に溶射膜層6が形成されている。そして内鍋4の上端部の相対向する二か所に把手7が取り付けられており、その把手7の下方における溶射膜層6には、厚み増大部8が形成されている。当該厚み増大部8の厚みは把手7の部分における内鍋4や外装体2の構造にもよるが、溶射膜層6の平均厚みの20〜100%大きい程度が適当である。 【0020】本発明の電磁誘導加熱調理容器は、前記電磁誘導加熱炊飯器1の内鍋4として使用できるが、その他の電磁誘導加熱機能を有する調理器具における、内容物を収容する被加熱調理容器に適用することができる。また、一般の電磁調理器において使用可能の調理容器に適用することができ、鍋、フライパン、ホットプレートなどとしても適用できる。 【0021】 【作用】発明者等の研究によれば、溶射膜層6の厚みが大きくなるに従って、誘導電流が有効に発生して調理容器が発熱するために、電磁調理器具としての出力電力が大きくなり、且つコイルから生じた磁力線が調理容器の発熱に有効に利用されるため、コイルの不必要な発熱が抑制される。 【0022】図1に示す電磁誘導加熱炊飯器1において、アルミニウム製の厚み2.5mmの内鍋基材5に、溶射膜の厚みを種々に変化させた溶射膜層6を形成した内鍋4を装着し、当該内鍋4内に水を入れて入力電力500Wで1時間通電し、出力電力及び誘導加熱コイル3表面の最高温度を測定したところ、その結果は次の表1のとおりであった。 【0023】 【表1】
【0024】この表1の数値からも理解できるように、溶射膜層6の厚みが400ミクロン未満では出力電力が不十分であると共に、誘導加熱コイル3の温度が高く、不必要に発熱している。また600ミクロンを超えても出力電力は殆ど変らず、またコイル3の温度も殆ど変ることがない。 【0025】 【発明の効果】従って本発明によれば、非磁性材料よりなる基材5に磁性材料の溶射膜層6を形成しているので、鉄を主体とする調理容器に比べて軽くなり、また基材5として熱伝導性の良好なアルミニウムや銅を使用することにより、調理容器としての伝熱効率を高めることができる。 【0026】また入力電力が効率よく電磁誘導加熱による発熱に転換され、従来の鉄を主体とする調理容器を使用した場合と同等の大きな出力電力が得られ、被調理物を効率よく加熱調理することができると共に、誘導加熱コイルが不必要に発熱することがない。 【0027】また請求項4の発明によれば、前記溶射膜層6の厚みが、誘導加熱コイル3から発生する磁束の分布にほゞ比例して変化しているので、内鍋4全体がほゞ均一に加熱され、部分的な加熱むらが生じにくい。 【0028】さらに請求項5及び6の発明によれば、内鍋4の周方向において、その構造上熱が外部に伝達されやすい部分、例えば把手7の近傍を、他の部分に比べて溶射膜層6の厚みを厚くしているので、熱が外部に逃げやすい部分により多くの熱を補給することができ、加熱むらが生じない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002473 【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月2日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】竹安 英雄
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| 【公開番号】 |
特開平11−18925 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月26日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−193075 |
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