| 【発明の名称】 |
金属製真空二重容器とその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】井奥 浩史
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| 【要約】 |
【課題】金属製真空二重容器において、抗菌性を満足できるようにする。
【解決手段】主として、内容器21がCu32を表面に析出した抗菌性のステンレス鋼よりなり、必要に応じて、内容器21の内面がCuの析出促進処理されたものとして、上記の目的を達成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属製の内外容器間を真空断熱空間とした金属製真空二重容器において、内容器がCuを表面に析出した抗菌性のステンレス鋼よりなることを特徴とする金属製真空二重容器。 【請求項2】 内容器の内面がCuの析出を促進する析出促進処理されている請求項1に記載の金属製真空二重容器。 【請求項3】 内容器は上下に分割された各部が接合されたものである請求項1、2のいずれか一項に記載の金属製真空二重容器。 【請求項4】 外容器がCuを表面に析出した抗菌性のステンレス鋼よりなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属製真空二重容器。 【請求項5】 金属製内外容器のうちの少なくとも内容器をCuを表面に析出した抗菌性のステンレス鋼で形成して双方を嵌め合わせて接合した後、ステンレス鋼についての通常の焼きなまし温度よりも低い低温雰囲気中で内外容器間を排気することにより真空化して封止したことを特徴とする金属製真空二重容器の製造方法。 【請求項6】 低温雰囲気の温度は550℃前後である請求項5に記載の金属製真空二重容器の製造方法。 【請求項7】 内容器を有底な形状に絞り加工した有底部材と、筒部材とを接合して形成する請求項5、6のいずれか一項に記載の金属製真空二重容器の製造方法。 【請求項8】 内容器の内面をCuの析出促進処理する請求項5〜7のいずれか一項に記載の金属製真空二重容器の製造方法。 【請求項9】 Cuの析出促進処理はバフ研磨、スコッチ研磨、研磨粉と研磨液とを併用したサイダル研磨、ブラスト処理などの機械研磨である請求項8に記載の金属製真空二重容器の製造方法。 【請求項10】 内容器の内面を電解研磨する請求項5〜7のいずれか一項に記載の金属製真空二重容器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は金属製真空二重容器とその製造方法に関し、例えば携帯用保温ポットなどに用いられる金属製真空二重容器とその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】容器を洗浄した後、水切りのために口部を下にして台所の流しの上等に立てかけたときに、流し台面にあった菌が口部に付着し、あるいは手や他のものが口部に触れたときに菌が口部に付着することがときとしてあり、熱湯を入れるような場合は心配ないにしても、冷水や常温水、ぬるま湯などを入れるような場合に、その菌が死なずに内容器の内側に持ち込まれ、直ちに、あるいは温度が適温になったときに、繁殖しだして、食中毒を引き起こすことが考えられる。 【0003】特に近時では、人命に係わるような食中毒の原因になる菌が発見され、また、実際に被害に合う中で、菌に対する関心が高まり、飲食用の機器や容器類の内部分的な樹脂部材を抗菌性のものとしたものが提案されつつある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】金属製真空二重容器においても、抗菌性を持たせることが課題となっているが、これを満足するものはまだ提案されていない。 【0005】本発明は、このような点に鑑み、抗菌性を満足する金属製真空二重容器とその製造方法を提供することを目的とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成するために、請求項1の本発明の金属製真空二重容器は、金属製の内外容器間を真空断熱空間としたものにおいて、内容器がCuを表面に析出した抗菌性のステンレス鋼よりなることを特徴とするものである。 【0007】このような構成では、何らかの理由で口部に付着した菌が、死なずに内容器の内側に持ち込まれたとしても、内容器を形成するステンレス鋼自体がそれに含有しているCuのイオン化した溶出ないしは析出によって、それらの菌を減菌し、また増殖するのを抑えるので、菌による食中毒を防止することができ、請求項2の発明のように内容器の内面がCuの析出を促進する析出促進処理されていると、Cuイオンの溶出ないしは析出が活発になるので、前記減菌作用および増殖抑制作用が向上するので好適である。また、請求項3の発明のように、内容器が上下に分割された各部材が接合されたものであると、全体が一体物よりなるものよりも絞り加工度が分割分だけ低減するので、焼きなましを高温で長時間行う必要がなく、内容器の抗菌性をよく保持したものとなり有効である。また、外容器がCuを表面に析出した抗菌性のステンレス鋼よりなるものであると、この部分は菌が付着しやすくこの部分を持ち、あるいは触れた手が口部に及ぶことも多いが、外容器を形成するステンレス鋼自体がそれに含有しているCuのイオン化した析出によって減菌するので、口部や内部に菌をもたらし食中毒の原因になるようなことを防止しやすくなる。 請求項5の発明の金属製真空二重容器の製造方法は、金属製内外容器のうちの少なくとも内容器をCuを表面に析出した抗菌性のステンレス鋼で形成して双方を嵌め合わせて接合した後、ステンレス鋼についての通常の焼きなまし温度よりも低い低温雰囲気中で内外容器間を排気することにより真空化して封止したことを特徴とするものである。 【0008】このような構成では、抗菌性とする内容器を別部材で形成するので、部分的な抗菌構造が容易に得られるし、内外容器間を真空化して封止するのにステンレス鋼についての通常の焼きなまし温度、例えば900℃前後よりも低い、請求項6の発明のように、550℃程度の低温雰囲気中で行うので、Cuを表面に析出した内容器の抗菌性が高温雰囲気中で行って折角析出しているCuが内部に固溶して表面から消失してしまう場合のように損なわれることがなく、充分な抗菌効果が得られる。また、請求項7の発明のように、内容器を有底な形状に絞り加工した有底部材と、筒部材と、を接合して形成すれば、有底部材の絞り度が半減して加工硬化が低減するので、従来一体物としていた場合に必要であった前記900℃程度の高温にて長時間の焼きなましを低減することができ、複数部材を溶接接合する場合の局部的かつ短時間の加熱に比し、熱影響を小さくして内容器の抗菌性を充分の保証することができる。さらに、請求項8の発明のように、内容器の内面をCuの析出促進処理すると、Cuイオンの溶出や析出を促進することができ、抗菌性が向上する。Cuの析出促進処理は請求項9の発明のように、バフ研磨、スコッチ研磨、研磨粉と研磨液とを併用したサイダル研磨、ブラスト処理などの機械研磨であると、電解研磨の場合のようなCuイオンの溶出や析出を妨げる不動態皮膜ができないので、抗菌性の向上に有効である。もっとも、不動態皮膜は使用中の内容器内面の酸化によってもでき、内容器内面が金属製のブラシ等で洗浄されるとそれが部分的に破壊されるので、洗浄等によって抗菌性は使用中繰り返し復活する。従って、請求項10の発明のように内容器の内面を電解研磨する表面処理をしておいてもよい。 【0009】 【発明の実施の形態】以下に本発明の代表的な一実施の形態につき、図1、図2を参照しながら説明する。 【0010】本実施の形態は図1に示すように、金属製真空二重容器A自体が露出するようにした保温ポットの場合を示している。しかし、これに限られることはなく、金属製、あるいは合成樹脂製、あるいはこれらを併用した各種の外装ケース内に収容したものでもよい。 【0011】金属製真空二重容器Aは、ステンレス鋼製の内外容器21、22より構成され、双方の口部21a、22aの上端が密に嵌合した状態で溶接接合されて金属製真空二重容器Aの口部2を形成しており、内容器21の口部21aに合成樹脂製で筒状の口部材1と螺合する螺子11と、口部材1の下端との間にシリコンゴム等からなるシール部材10を挟持する環状の座面12とを形成している。外容器22の口部22a外周には合成樹脂製の蓋体7と螺合するねじ9が形成されるとともに、口部22a下には蓋体7のスカート部7bと面一になる金属製真空二重容器Aの胴部を形成するための肩部13が形成されている。口部材1には合成樹脂製のワンタッチ栓3が嵌め付けられ、合成樹脂製のプッシュ釦4を押圧操作する都度、合成樹脂製の弁体5がばね8に抗し下動されてシール部材10から離れ口部材1の流出路6を開き内容液が流出できるようにすることと、弁体5がばね8の付勢で上動されてシール部材10に圧着し口部材1の流出路6を閉じ内容液が流出しないようにすることとを繰り返し行うようにしてある。 【0012】外容器22の底部は別の底板14を溶接接合して形成され、この底板14の中央部に内外容器21、22間を真空断熱空間15とするための吸引口16が設けられ、吸引排気後に蓋板17により閉塞し、ろう接接合している。このろう接接合は、吸引排気中にろう材を熱で溶かして内外容器21、22間を所定の真空度に保ちながら接合するために採用される。底板14の内面にはこれに溶接接合した金具18によってゲッター19を保持している。これは、真空化し密閉された内外容器21、22間の断熱空間15に残存し、または何らかの理由で事後発生するガスを吸収し、所定の真空度に安定させるためである。 【0013】金属製真空二重容器Aの外容器22の底部外まわりにはさらに、ステンレス鋼製の保護底23が外容器22の胴部と面一になるように嵌め付けられ、溶接接合などして一体化している。この保護底23により金属製真空二重容器Aの底部を保護し、底部の耐衝撃性を向上している。 【0014】本実施の形態では特に、金属製真空二重容器Aの内容器21をCuを表面に析出した抗菌性のステンレス鋼で形成しており、何らかの理由で口部に付着した菌が、死なずに内容器21の内側に持ち込まれたとしても、内容器21を形成するステンレス鋼自体がそれに含有しているCuのイオン化した溶出ないしは析出によって、それらの菌を減菌し、また増殖するのを抑えるので、菌による食中毒を防止することができる。 【0015】この抗菌構造は定かではないが、図3に模式的に示すような構造が考えられる。つまり、Cuを含有するステンレス鋼母相31内のε−Cu相32が、ステンレス鋼母相31の表面に酸化等によってできる不動態皮膜33の破れ目からCuイオンとして溶出し、あるいは析出して、菌34の酵素と反応し菌34の呼吸が停止するものと思われる。 【0016】湿潤環境下での黄色ブドウ球菌に対する抗菌持続性について実験した場合の結果を示すと下記表1の通りであり、充分な抗菌性を発揮する。 【0017】 【表1】
【0018】また、内容器21の内面をCuの析出促進処理している。これにより、Cuイオンの溶出や析出を促進することができ、抗菌性が向上する。Cuの析出促進処理は、バフ研磨、スコッチ研磨、研磨粉と研磨液とを併用したサイダル研磨、ブラスト処理などの機械研磨であると、電解研磨の場合のようなCuイオンの溶出や析出を妨げる不動態皮膜33ができないので、抗菌性の向上に有効である。 【0019】もっとも、不動態皮膜33は使用中の内容器21の内面の酸化によってもでき、内容器21内面が金属製のブラシ等で洗浄されるとそれが部分的に破壊されるので、洗浄等によって抗菌性は使用中繰り返し復活する。従って、内容器21の内面を電解研磨にて表面処理しておいてもよく、抗菌性が損なわれることはない。 【0020】また、内容器21は図1、図2に示すように上下に2分割された各部材21a、21bを溶接接合したものとしてある。これにより、全体が一体物よりなるものよりも絞り加工度が分割分だけ低減するので、焼きなましを高温で長時間行う必要がなく、内容器の抗菌性をよく保持したものとなり有効である。また、外容器22をもCuを表面に析出した抗菌性のステンレス鋼で形成するのが好適であり、この部分は菌が付着しやすくこの部分を持ち、あるいは触れた手が口部2に及ぶことも多いが、外容器22を形成するステンレス鋼自体がそれに含有しているCuのイオン化した析出によって減菌するので、口部2や内部に菌をもたらし食中毒の原因になるようなことを防止しやすくなる。 【0021】さらに本実施の形態では、金属製真空二重容器A全体の抗菌性のために、口部材1、ワンタッチ栓3、プッシュ釦4、弁体5、蓋体7、およびシール部材10のそれぞれを抗菌性樹脂で形成してある。 【0022】本実施の形態では、金属製内外容器21、22のうちの少なくとも内容器21をCuを表面に析出した抗菌性のステンレス鋼で形成して双方を嵌め合わせて接合した後、ステンレス鋼についての通常の焼きなまし温度である例えば850℃〜950℃よりも充分に低い例えば550℃前後の低温雰囲気中で内外容器21。22間を排気することにより真空化して封止し、金属製真空二重容器Aを製造する。 【0023】これにより、抗菌性とする内容器21を別部材で形成するので、部分的な抗菌構造が容易に得られるし、内外容器21、22間を真空化して封止するのにステンレス鋼についての通常の焼きなまし温度よりも低い550℃程度の低温雰囲気中で行うので、Cuを表面に析出した内容器の抗菌性が、高温雰囲気中で行って折角析出したCuが内部に固溶して表面から消失する場合のように損なわれることがなく、充分な抗菌効果が得られる。 【0024】また、上記したように、内容器21は有底な形状に絞り加工した有底部材21aと、筒部材21bとを接合して形成するので、有底部材21aの絞り度が半減して加工硬化が低減するので、従来一体物としていた場合に必要であった前記850℃〜950℃程度の高温にて長時間焼きなましするのを低減でき、複数部材を溶接接合する場合の局部的かつ短時間の加熱に比し、熱影響を小さくして内容器の抗菌性を充分に保証することができる。 【0025】以上のような金属製真空二重容器Aの溶接接合部36とろう接接合部37は、図1に示す通りである。内容器21や外容器22は本実施の形態の場合よりも多くに分割して溶接接合し、必要な形状にすることができる。内外容器1の円筒形状はスピンドルの側周面に筒状のステンレス鋼板を押しつけながらローラをに当てがい成形するスピンドル加工によって、ねじ11、19、座面12、肩部19、口部2の各種形状等はロール加工によって、それぞれ従来からよく知られた方法で形成されればよい。もっとも、種々な加工方法を採ることもできる。 【0026】 【発明の効果】請求項1の本発明の金属製真空二重容器によれば、何らかの理由で口部に付着した菌が、死なずに内容器の内側に持ち込まれたとしても、内容器を形成するステンレス鋼自体がそれに含有しているCuのイオン化した溶出ないしは析出によって、それらの菌を減菌し、また増殖するのを抑えるので、菌による食中毒を防止することができる。 【0027】請求項2の発明によれば、Cuイオンの溶出ないしは析出が活発になるので、前記減菌作用および増殖抑制作用が向上するので好適である。 【0028】請求項3の発明によれば、全体が一体物よりなるものよりも絞り加工度が分割分だけ低減するので、焼きなましを高温で長時間行う必要がなく、内容器の抗菌性をよく保持したものとなり有効である。 【0029】請求項4の発明によれば、外容器は菌が付着しやすくこの部分を持ち、あるいは触れた手が口部に及ぶことも多いが、外容器を形成するステンレス鋼自体がそれに含有しているCuのイオン化した析出によって減菌するので、口部や内部に菌をもたらし食中毒の原因になるようなことを防止しやすくなる。 【0030】請求項5の発明の金属製真空二重容器の製造方法によれば、Cuを表面に析出した内容器の抗菌性が高温雰囲気中で行う場合のように損なわれることがなく、充分な抗菌効果が得られる。 【0031】請求項7の発明によれば、従来一体物としていた場合に必要であった前記900℃程度の高温にて長時間の焼きなましを低減することができ、複数部材を溶接接合する場合の局部的かつ短時間の加熱に比し、熱影響を小さくして内容器の抗菌性を充分の保証することができる。 【0032】請求項8の発明によれば、内容器の内面をCuの析出促進処理すると、Cuイオンの溶出や析出を促進することができ、抗菌性が向上し、Cuの析出促進処理が請求項9の発明のように、バフ研磨、スコッチ研磨、研磨粉と研磨液とを併用したサイダル研磨、ブラスト処理などの機械研磨であると、電解研磨の場合のようなCuイオンの溶出や析出を妨げる不動態皮膜ができないので、抗菌性の向上に有効である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003702 【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月20日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】石原 勝
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| 【公開番号】 |
特開平11−9474 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月19日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−164460 |
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