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【発明の名称】 炊飯器
【発明者】 【氏名】諸田 博

【氏名】北沢 悟

【氏名】三宅 一也

【氏名】弦巻 孝司

【要約】 【課題】蒸気口を構成するバケットとキャップとを分離可能にした炊飯器において、バケットとキャップとを安定して確実に密閉できるようにする。

【解決手段】蒸気口42の下部を形成するバケット51の外周面上部に、4本の螺旋状の係止凸部66を形成する。蒸気口42の上部を形成するキャップ61には、縦リブ68の内周面下部に4つの係止爪部69を形成する。バケット51とキャップ61とを結合するには、このキャップ61を回しながら係止凸部66の下側に係止爪部69を引っ掛けて締め込む。それに伴い、バケット51の上部開口部の周辺端面のシール部71にキャップ61の上壁部下面の周辺部のシール部72が押し当たる。これにより、バケット51とキャップ61との隙間からの蒸気漏れを抑制または防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鍋と、この鍋の上部開口部を覆う蓋体と、この蓋体に設けられた蒸気口とを備え、前記蒸気口は、この蒸気口の下部を形成し上部を開口したバケットと、蒸気口の上部を形成し前記バケットに着脱自在に結合されるキャップと、これらバケットとキャップとを結合させる結合手段とを有し、この結合手段は、前記バケットの上部開口部に形成されたシール部と前記キャップの下面に形成されたシール部とを上下方向に押し当てる構成とし、これらシール部の押し当てにより前記バケットとキャップとの隙間からの蒸気漏れを抑制または防止することを特徴とする炊飯器。
【請求項2】 前記結合手段は、前記バケットの外側面に設けられた複数の傾斜した係合凸部と、前記キャップの内側面に設けられた複数の係止爪部とからなり、これら係止爪部の上側と前記係止凸部の下側とが上下方向に接した状態で結合されることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】 前記バケット内に蒸気を侵入させる孔部の開口面積よりも大きい開口面積を有する蒸気放出口を、前記キャップとバケットとのシール部近傍のキャップの上面部に形成したことを特徴とする請求項1または2記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジャー兼用炊飯器などの炊飯器に係わり、特に分解可能な蒸気口の密閉構造に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】炊飯器は、鍋を覆う蓋体に、炊飯時に鍋内で発生した蒸気を放出させるための蒸気口を備えている。従来より、蒸気口の清掃性をよくして使い勝手を高めるために、蒸気口を蓋体に対して着脱可能にした炊飯器がある。着脱可能な蒸気口には様々な構成のものがあるが、一般的には有底容器状のバケットと、これを上から覆うキャップとを主体にした構成になっている。そして、鍋内で発生した蒸気は、バケットの下部の蒸気侵入口から蒸気口内に入り、この蒸気口内で蒸気とおねば(澱粉の溶けた水分)との分離工程などを経て、キャップに開けられた蒸気放出口から蒸気のみが外部に放出される。その際、バケットとキャップとの密閉が不完全であると、蒸気やおねばがバケットとキャップとの結合部分から漏れ出し、バケットの周囲や蓋体の上面までも汚してしまう。このため、バケットとキャップとの密閉は必要不可欠である。
【0003】バケットとキャップとの間からの蒸気漏れを抑制または防止する手段としては、■ゴムパッキンによる密閉、■超音波溶着などによる接着、■キャップの外周部に設けられた縦リブとバケットの上部側面との嵌め合いがある。しかし、■の手段は、部品点数が多くなり、コストアップをきたす問題がある。また、■の手段は、バケットとキャップとを分解できないので、蒸気口の内部を直接洗えず、また、加工工程数が多くなり、コストアップをきたす問題がある。さらに、■の手段は、高精度の嵌め合いの寸法管理が必要であり、特に炊飯時の蒸気による熱収縮や着脱による摩耗を考慮する必要があり、品質保証が難しい。また、バケットとキャップとの着脱が容易でない問題もある。
【0004】本発明は、このような問題点を解決しようとするもので、蒸気口を構成するバケットとキャップと分離可能にした炊飯器において、コストアップを招くことなく、バケットとキャップとの隙間からの蒸気漏れを安定して抑制または防止できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の炊飯器は、前記目的を達成するために、鍋と、この鍋の上部開口部を覆う蓋体と、この蓋体に設けられた蒸気口とを備え、前記蒸気口は、この蒸気口の下部を形成し上部を開口したバケットと、蒸気口の上部を形成し前記バケットに着脱自在に結合されるキャップと、これらバケットとキャップとを結合させる結合手段とを有し、この結合手段は、前記バケットの上部開口部に形成されたシール部と前記キャップの下面に形成されたシール部とを上下方向に押し当てる構成とし、これらシール部の押し当てにより前記バケットとキャップとの隙間からの蒸気漏れを抑制または防止するものである。
【0006】炊飯時に鍋内で発生した蒸気は、蓋体にあるバケットおよびキャップからなる蒸気口を通って放出される。また、バケットからキャップを外せば、蒸気口の内部を直接洗える。このようにバケットとキャップとが分離可能になっているのに対して、結合手段がバケットのシール部とキャップのシール部とを上下方向に押し当てることにより、ゴムパッキンや高精度の寸法管理や接合工程なしで、バケットとキャップとの隙間からの蒸気漏れが確実に抑制または防止される。これとともに、炊飯時の蒸気による熱収縮や着脱による摩耗があっても、シール部の押し当て状態が安定して保たれる。
【0007】請求項2の発明は、請求項1の発明の炊飯器において、前記結合手段は、前記バケットの外側面に設けられた複数の傾斜した係合凸部と、前記キャップの内側面に設けられた複数の係止爪部とからなり、これら係止爪部の上側と前記係止凸部の下側とが上下方向に接した状態で結合されるものである。
【0008】このようにバケットとキャップとの結合は、傾斜した係合凸部と係止爪部とが上下方向に接することによりなされるため、炊飯時に蒸気により高温になってバケットやキャップが多少変形したり、あるいは、バケットやキャップの製造時に多少寸法精度が悪化しても、傾斜した係合凸部に対する係止爪部の接触位置が多少移動するのみで、バケットのシール部とキャップのシール部との接触状態が確実に保持された状態で、バケットとキャップとが結合される。
【0009】請求項3の発明は、請求項1または2の発明の炊飯器において、前記バケット内に蒸気を侵入させる孔部の開口面積よりも大きい開口面積を有する蒸気放出口を、前記キャップとバケットとのシール部近傍のキャップの上面部に形成したものである。
【0010】蒸気は、蒸気放出口より大気中へ放出されるが、十分な開口面積を有するこの蒸気放出口の近傍にシール部があるため、このシール部付近にかかる蒸気圧が低減される。したがって、蒸気圧によりバケットとキャップとの間に隙間ができて、この隙間から蒸気が漏れるといった不都合が生じない。
【0011】
【発明の実施形態】以下、本発明の炊飯器の第1実施例について、図1から図10を参照しながら説明する。炊飯器全体の断面図である図1において、1は炊飯器本体で、この炊飯器本体1は、ほぼ筒状の外枠2およびその下面開口を覆う底板3と、外枠2内に設けられた鍋収容部をなす有底筒状の内枠4とを備えている。この内枠4は、赤外線の放射率が高いアルミニウム材からなる。また、5は炊飯器本体1を持ち運ぶための回動自在のハンドルである。
【0012】6はアルミニウム材料を主体とした鍋で、この鍋6は、上面を開口した有底筒状になっている。そして、鍋6は、被炊飯物である米および水が内部に収容されるとともに、前記内枠4内に挿脱自在に収容されるものである。そして、鍋6は、その上端周辺部に形成されたフランジ部7が、内枠4の上端周辺部に形成されたフランジ部8上に載ることにより支持されるものである。
【0013】また、内枠4内の底面上には、鍋6を加熱する加熱手段であるシーズヒータなどからなる輻射加熱式の主ヒータ11が碍石12を介して固定されている。この主ヒータ11は、1重または2重の円状または螺線状で、内枠4に対して離隔した状態に備えてある。一方、内枠4内の外面上部には、この内枠4の保温用の加熱手段であるコードヒータなどからなる胴ヒータ13が設けられている。また、内枠4の底部中央には、鍋6の外底面に接触する鍋センサ14が上下動自在に、かつ、上方へ付勢された状態で設けられている。この鍋センサ14は、図示していないが、鍋6の外面温度を検出するための負特性サーミスタを内蔵している。さらに、鍋センサ14はスイッチレバー15を備えており、内枠4内に鍋6が収容されると、この鍋6に押されて鍋センサ14が下方へ下がる動作に連動してスイッチレバー15が下がり、鍋スイッチ16のオン・オフ用のレバー17を動作させることにより、鍋スイッチ16から鍋あり信号が発生するようになっている。
【0014】さらに、前記炊飯器本体1の下面後部には、電源コードを巻き取るコードリール21が設けられている。また、炊飯器本体1内の前部には、電源基板22および表示基板23が基板ホルダ24により保持されて設けられており、表示基板23には表示用のLCD25、LED26および操作スイッチが搭載されている。なお、外枠2の前面には、表示および操作のための操作パネル27が設けられている。
【0015】31は前記炊飯器本体1の上側に回動開閉自在に設けられた蓋体で、この蓋体51は、外蓋32と、この外蓋32の下側周辺部に固定された枠板33と、この枠板33の内側に固定されたアルミニウム材料からなる放熱板34となどからなっている。この放熱板34は、蓋体31の下面を形成し、前記鍋6の上部開口部を覆うものである。そして、蓋体31は、その後部において炊飯器本体1の後部にヒンジ軸35により回動自在に支持されているとともに、ヒンジばね36により開く方向へ付勢されており、炊飯器本体21の前上部に設けられたクランプ37により閉じた状態に保持されるようになっている。また、前記放熱板34の裏面つまり上面には、この放熱板34を加熱する加熱手段であるコードヒータなどからなる蓋ヒータ38が設けられている。この蓋ヒータ38は、前記胴ヒータ13と電気的に並列回路をなしている。さらに、前記枠板33と放熱板34との間には蓋パッキン39が設けられている。この蓋パッキン39は、蓋体31を閉じたとき鍋6のフランジ部7上に接触するものである。
【0016】さらに、前記蓋体31には、鍋6内で発生した蒸気を放出させる蒸気通過路41を内部に形成する蒸気口42が着脱自在に設けられている。この蒸気口42は、鍋6の上部開口部の内径の中心よりもやや後側に対応する位置にある。つぎに、この蒸気口42の構成について、図2から図10を加えて詳細に説明する。前記放熱板54には開口部43が形成されている。一方、前記外蓋32には、その上面において直径約60mm程度で開口する嵌合穴44を形成する蒸気口収納部45が一体に形成されている。この蒸気口収納部45は外蓋32から下方へ延び出ており、この蒸気口収納部45の底部中央には、放熱板54の開口部43に対向する開口部46が形成されている。そして、これら開口部43,46の周辺部で放熱板34の上面と蒸気口収納部45の下端部との間には、その密閉のためにシリコーンゴムからなる環状の蒸気口パッキン47が介在させてあり、この蒸気口パッキン47の下部中央には開口部48が形成されている。なお、蒸気口収納部45の上部には、この蒸気口収納部45の径を拡げる形で段部49が形成されている。
【0017】51は蒸気口42の下部を形成するバケットで、このバケット51は、前記外蓋32の嵌合穴44内に着脱自在に収容されるもので、上面を開口した有底容器状になっている。そして、バケット51の底部中央には筒状の蒸気侵入口52が下方へ突出形成されているとともに、パイプ53が上方へ突出形成されている。蒸気侵入口52は、外蓋32へのバケット51の装着のために蒸気口パッキン47内に押し込まれ、その開口部48に対向するものである。パイプ53は、直径が5〜12mm程度で蒸気侵入口52よりも若干径が小さくなっており、パイプ53の上端の高さまでのバケット51の容量は約35mlである。また、蒸気流入口72の内周側でパイプ53の外周側に位置してこのパイプ53の根元部には、2×2mm程度の寸法のおねば戻し孔54が2か所に開口形成されている。さらに、パイプ53の上部開口部には、このパイプ53の上面開口を開閉する蒸気弁55が無理嵌めにより上下動自在に組み付けられている。すなわち、この蒸気弁55は、その下面に突出形成された抜け止め突起56とパイプ53の内周面上端部に形成された抜け止め爪57とによりパイプ53に対して抜け止めされている。前記パイプ53の内部は、バケット51内に蒸気を侵入される孔部53a をなすものであるが、この孔部53a の内径は3〜10mm程度である。
【0018】61は蒸気口42の上部を形成するキャップで、このキャップ61は、前記バケット51上に着脱自在に結合され、前記嵌合穴44の周囲および上部を覆うものであり、外蓋32の蒸気口収納部45および前記バケット51とともに蒸気口42の主たる構成部品をなすものである。そして、キャップ61の上面部には、同心円上に位置する複数、例えば4つのスリット状の蒸気放出口62が開口形成されている。一例であるが、キャップ81の上面部の材厚は2mmであり、蒸気放出口62は幅2.5mm 、長さ25mmである。これら蒸気放出口62の総開口面積は、内径が3〜11mm程度の前記バケット51の孔部53a の開口面積よりも大きくなっている。そして、これら蒸気放出口62の周囲の下側の角部には、炊飯時の蒸気の結露防止のために、1.5mm のC面カットが施されている。さらに、キャップ61の下面には、蒸気放出口62の内周側に位置する筒状の邪魔壁63が突出形成されいる。
【0019】つぎに、前記バケット51とキャップ61とを分離可能に結合する構成について詳細に説明する。バケット51の外側面である外周面上部には結合手段としての4本の互いに平行な螺旋状に傾斜した係止凸部66が等間隔で形成されている。各係止凸部66の終端は、隣接する係止凸部66の始端と周方向の位置がほぼ一致している。なお、これら係止凸部66の高さは、例えば 2.5mm程度である。また、係止凸部66の下面中間部には小突起67が形成されている。一方、キャップ61の外周部から下方へ屈曲した縦リブ68の内側面である内周面下部には、結合手段としての幅10mm、長さ2mm程度の細長い係止爪部69が等間隔で4つ突出形成されている。これら係止爪部69は、先端縁が弧状になっており、前記各係止凸部66の下面にそれぞれ係合する小突起70が上面中央に形成されている。また、バケット51の上部開口部の周辺端面はシール部71になっている。一方、キャップ61の上壁部下面の周辺部は、バケット51のシール部71が押し当たるシール部72になっている。前記蒸気放出口62は、このシール部72の近傍に位置している。そして、バケット51とキャップ61とを結合するには、このキャップ61を回しながら係止凸部66に係止爪部69を引っ掛けて締め込めばよい。その際、螺旋状に傾斜した係止凸部66の下側と係止爪部69の上側とが上下方向に接して押し当たることにより、バケット51のシール部71とキャップ61のシール部72とが上下方向に互いに押し当たる。これにより、バケット51とキャップ61とが密閉され、これらバケット51とキャップ61との隙間からの蒸気漏れが抑制または防止される。なお、シール部71,72の形状は、テーパー面あるいは互いに凹凸係合する形状などであってもよいが、平坦状であることがより好ましい。
【0020】つぎに、前記の構成について、その作用を説明する。炊飯中に鍋6内で発生した蒸気は、澱粉の溶けた水分(おねば)とともに、蒸気侵入口52を通過してバケット51のパイプ53内に流入する。そして、蒸気は、その圧により蒸気弁55を押し上げて、開放されたパイプ53の上部開口部からバケット51の内部に侵入する。ここで、蒸気とおねばとが分離され、比重の大きいおねばはバケット51内の下部に収容され、蒸気は蒸気放出口62より外部へ放出される。そして、炊飯が進みむらしになると、鍋6内の圧が下がることにより、バケット51内に溜まったおねばはおねば戻し孔54を通って鍋6内に戻される。これとともに、蒸気弁55が下方へ下がってパイプ53の上端の出口を密閉状態にして熱の放出を防ぐ。これによって、保温時にこの部分に露が付くことおよび鍋6の内部のご飯に露が垂れることが防止される。
【0021】また、汚れた蒸気口52を清掃するには、まずキャップ61およびバケット51を外蓋32の嵌合穴44から外す。つぎに、バケット51に対しキャップ61を上から見て反時計回りに数十度回して係止凸部66と係止爪部69との係合を解除することにより、バケット51とキャップ61とを分離する。これにより、ユーザーは、バケット51の内部まで容易に洗える。清掃後は、バケット51に対しキャップ61を時計回りに数十度回して係止凸部66と係止爪部69とを係合させることにより、バケット51とキャップ61とを結合する。それに伴い、前述のようにバケット51のシール部71とキャップ61のシール部72とが上下方向に互いに押し当たることにより、バケット51とキャップ61とが密閉される。さらに、このようにしてキャップ61を取り付けたバケット51を外蓋32の嵌合穴44に取り付ける。
【0022】以上のように、螺旋状の係止凸部66と係止爪部69との係合により、バケット51のシール部71とキャップ61のシール部72とを互いに押し当てて、バケット51とキャップ61との隙間からの蒸気漏れを抑制または防止する構成としたので、ゴムパッキンや高精度の寸法管理や接合工程なしでバケット51とキャップ61との密閉状態を確実に保つことができ、バケット51およびキャップ61のシール部71,72間から蒸気が漏れたりしない。しかも、炊飯時に発生する蒸気の熱でバケット51やキャップ61が熱収縮して開口部の直径が変化しても、あるいは、着脱による摩耗があっても密閉状態が安定して保たれる。すなわち、係合凸部66の外周より係止爪部69の内周が小さくなっていれさえすれば、バケット51に対するキャップ61の回動によって傾斜した係合凸部66に対する係止爪部69の接触位置が多少移動するのみで、蒸気による熱変形や、プラスチックからなるバケット51やキャップ61の射出成形時における寸法精度の悪化などがあっても、バケット51のシール部71とキャップ61のシール部72との接触状態が確実に保持され、バケット51とキャップ61との間の隙間からの蒸気やおねばのもれが確実に抑制または防止される。
【0023】そして、ゴムパッキンや高精度の寸法管理や接合工程が不要であることによりコストを低減できる。また、バケット51とキャップ61との着脱操作は、バケット51に対してキャップ61を数十度回すだけの操作であって容易であり、蒸気口42の内部の清掃を容易に行える。
【0024】また、蒸気は、キャップ61の蒸気放出口62より大気中へ放出されるが、十分な開口面積を有するこの蒸気放出口62の近傍にシール部71,72があるため、このシール部71,72付近にかかる蒸気圧が低減される。したがって、蒸気圧によりバケット51とキャップ61との間に隙間ができて、この隙間から蒸気が漏れるといった不都合が生じない。
【0025】つぎに、本発明の炊飯器の第2実施例について、図11から図13を参照しながら説明する。81は炊飯器本体で、この炊飯器本体81は、その外殻を形成するほぼ筒状の外枠82およびその下面開口を覆う底板83と、外枠82内に設けられた鍋収容部をなす有底筒状の内枠84とを備えている。前記外枠82は、その上部から内周側へ張り出したフランジ部85と、このフランジ部85の内周部から下方へ延び前記内枠84の上部を形成するほぼ筒状の側面保護枠86とを一体に有している。また、この側面保護枠86の下側には、内枠84の下部を形成する上端面を開口した椀状の底面保護枠87が固定されている。この底面保護枠87の上部開口部の周辺部には、外周側に張り出した平坦で水平な段部88と、この段部88の外周部から上方へ屈曲した嵌合リブ89とが全周に渡って一体に形成されている。そして、前記側面保護枠86は、その下側先端部が前記底面保護枠87の嵌合リブ89の内周側に嵌合され、段部88の上面に当接している。また、この段部88の一部は、段部88の他の部分よりも幅が広い平坦な幅広部91になっている。この幅広部91は、底面保護枠87の内周側に面した角部が側面保護枠86の下側先端面が対向する凹部92になっているが、この凹部92の幅は、側面保護枠86の下側先端面の幅よりも広くなっている。また、幅広部91には、凹部92よりも外周側に位置して排水部をなす通孔93が開口形成されているとともに、この通孔93の周辺部から下方へ延び出るガイドリブ94が一体に突出形成されている。このガイドリブ94は、凹部92側の部分が下方へ長く延び出ている。なお、以上のような幅広部91は、底面保護枠87の上部開口部の周辺部の1箇所のみに形成してもよいが、複数箇所に形成してもよい。いずれにせよ、幅広部91は、その通孔93から液体が流れ落ちたとき、この液体が炊飯器本体81に備えられている電装品類に付着することのない位置に設けてある。また、図示していないが、底板83には排水孔が開口形成されている。さらに、前記外枠82のフランジ部85上の複数箇所には鍋支持台96が上方へ突出させて設けられている。
【0026】101 は鍋で、この鍋101 は、上面を開口した有底筒状になっている。そして、鍋101 は、被調理物である米および水が内部に収容されるとともに、前記内枠84内に着脱自在に収容されるものである。鍋101 の上部開口部の周辺部には外周側に張り出したほぼ水平なフランジ部102 が一体に形成されており、このフランジ部102 の下面が前記鍋支持台96上に載ることにより、鍋101 が支持されるようになっている。したがって、この状態でフランジ部102 は外枠82のフランジ部85の上方に位置する。また、鍋101 の平面形状(水平面への投影形状)はほぼ楕円形状になっており、その短軸方向aの両側においてフランジ部102 に持ち運び用の取手103 がそれぞれ取り付けられている。これら取手103 は鍋101 とは別部材からなるが、この部材は鍋101 の材料よりも熱伝導率が低いものである。そして、フランジ部102 から外周側に突出した取手103 とその下方に位置する外枠82のフランジ部85との間には、指を入れられる空間104 が設けてある。さらに、鍋101のフランジ部102 は、この鍋101 の平面形状の長軸方向bの両側において一部削除され、切欠き部105 になっている。前述のように鍋101 の平面形状をほぼ楕円形状にし、その短軸方向aの両側に取手103 を設けることにより、これら取手103 を含めた鍋101 全体の幅Aを、従来のように平面形状が円形状でフランジ部に取手のない鍋の幅と同等程度に抑えている。その結果、取手103 の位置と直角な方向bにおいては鍋101 の幅が大きくなっているが、この方向bの両側においてフランジ部102 を一定幅削除することにより、この方向におけるフランジ部102を含めた鍋101 全体の幅Bが増大するのを抑えている。取手103 の位置と直角な方向bのフランジ部102 は指先を掛ける部分ではないので、削除しても問題はない。
【0027】また、前記側面保護枠86は、所定幅の空間を介して前記鍋101 の側面上部を囲うものであり、前記底面保護枠87は、所定幅の空間を介して前記鍋101 の側面下部から底面を覆うものである。そして、底面保護枠87に対向する鍋101 の側面下部および底面には磁性金属材料からなる発熱層106 が設けられている。一方、底面保護枠87の外面には加熱手段としての加熱コイル107 が設けられており、この加熱コイル107 に高周波電流が通電されることにより発熱層106 が発熱して鍋101 が電磁誘導加熱されるようになっている。また、加熱コイル107 はコイルカバー108 により覆われている。底面保護枠87は、加熱コイル107 を設けるものであるため、側面保護枠86よりも耐熱性の優れた高価な材料からなっている。なお、前記底面保護枠87のガイドリブ94の下側先端94a は、コイルカバー108 の上端108aの高さよりも下方まで延びている。
【0028】また、前記底面保護枠87の底部下側に設けられたセンサカバー111 には、加熱制御のために鍋101 の温度を検出する感温センサである鍋センサ112 が上下動自在に設けられている。この鍋センサ112 は、底面保護枠87の底部中央に形成された貫通孔113 を通って上方へ突出し、鍋101 の底面に上面が当接するものである。また、鍋センサ112 は、外形の側面形状が凸字形状になっており、フランジ部114 を下部に有している。このフランジ部114 は、前記貫通孔113 よりも径が大きくなっている。また、鍋センサ112 のフランジ部114 の裏面に上端を、センサカバー111 内の底面に下端をそれぞれ当接させてセンサばね115 が設けられており、このセンサばね115 により鍋センサ112 は上方へ付勢されている。
【0029】121 は前記炊飯器本体81の上側に回動開閉自在に設けられた蓋体で、この蓋体121 は、外蓋122 と、この外蓋122 の下側周辺部に固定された枠板123 と、この枠板123 の内側に固定された放熱板124 となどからなっている。この放熱板124は、蓋体121 の下面を形成し、前記鍋101 の上部開口部を覆うものである。そして、蓋体121 の側面部には下方へ屈曲したカバー部125 が形成されている。このカバー部125 は、蓋体121 を閉じたとき前記鍋101 の取手103 を覆うものである。また、前記枠板123 と放熱板124 との間には蓋パッキン126 が設けられている。この蓋パッキン126 は、蓋体121 を閉じたとき鍋101 のフランジ部102 上に接触するものである。さらに、蓋体121 の中央部には、鍋101 内で発生した蒸気を放出させる蒸気口127 が設けられている。詳しくは図示していないが、この蒸気口127 は、前記第1実施例の蒸気口42と同様の構成になっており、外蓋122 に対して着脱自在のバケットとこのバケットに対して着脱自在のキャップ128 とからなっている。
【0030】つぎに、前記の構成について、その作用を説明する。炊飯に際しては、まず鍋101 内に適量の米と水を入れて、この鍋101 を炊飯器本体81の内枠84内に収容する。鍋101 は、その両側にある取手103 を把持して持ち運ぶ。そして、内枠84内に鍋101 を収容すると、図11に実線で示すように、この鍋101 の底面が鍋センサ112 を押すことにより、この鍋センサ112 がセンサばね115 に抗して下降し、鍋センサ112 のフランジ102 は底面保護枠87の底面から離れた状態になる。さらに、蓋体121 を閉じると、この蓋体121 により鍋101 の取手103 が完全に覆い隠され、この取手103 が直接外観に出ることはない。そして、加熱コイル107 による加熱によって炊飯が行われ、炊飯後には保温が行われる。
【0031】例えば使用後に鍋101 を洗浄するには、まず蓋体121 を開け、鍋101 の両側の取手103 を把持し、鍋101 を持ち上げて炊飯器本体81から取り出す。このとき、鍋101 は、そのフランジ部102 が炊飯器本体81の外枠82のフランジ部85上に突設された複数個の鍋支持台96上に載って支持されており、外枠82のフランジ部85と取手103 との間には十分な隙間があるので、取手103 をつかみやすい。また、取手103 は、鍋101 よりも熱伝導率の低い材料からなっているので、保温中に鍋101 を取り出すなどしても、火傷を負うような虞がない。
【0032】また、炊飯器本体81から鍋101 を取り除くと、図11に鎖線で示すように、鍋センサ112 は、これに当接していた鍋101 がなくなったことで、センサばね115の力によりフランジ部114 が底面保護枠87の底面に当たるまで押し上げられる。その結果、鍋センサ112 が通っている底面保護枠87の貫通孔113 は閉塞された状態になる。
【0033】この状態で、内枠84内に誤って水などの液体を大量に入れてしまった場合、この液体は、貫通孔113 からは出ることができず、側面保護枠86の下側先端面と底面保護枠87の上端部にある段部88との当接部まで溜まり、この当接部から外側へ溢れ出るが、底面保護枠87の段部88の外周部には、上方へ突出し側面保護枠86の下側先端部を囲う嵌合リブ89が全周に渡ってあるので、この嵌合リブ89と側面保護枠86との間に浸入したとしても、まだ底面保護枠87の外面を伝って下方へ溢れることはない。この段階で、前記液体は、段部88の幅広部91にも達しているが、この幅広部91には通孔93があるので、この通孔93から下方へ流れ落ちる。これにより、この通孔93以外の位置で、底面保護枠87内に入った液体が底面保護枠87外へ溢れ出ることはない。しかも、幅広部91における底面保護枠87の内周側の角部は、側面保護枠86の先端面の幅よりも広い幅で凹部92になっているので、段部88における他の部分よりも幅広部91の方に液体が流入しやすく、この液体が積極的に通孔93のある幅広部91へ導かれる。そして、この通孔93から流れ落ちた液体は、通孔93の周囲下側にあるガイドリブ94により、底面保護枠87の外面を伝わることなく、炊飯器本体81の下面部へ導かれ、そこにある排水孔から炊飯器本体81外へ排出される。
【0034】なお、炊飯器本体81内に鍋101 が収容された状態では、前述のようにこの鍋101 により鍋センサ112 が押し下げられて底面保護枠87の底部にある貫通孔113 が開放されているので、内枠84内に水などの液体が入った場合、この液体は、貫通孔113 を通って排水される。
【0035】ところで、電磁誘導加熱式の炊飯器において、下部に発熱部を有する鍋を収容する内枠を側面保護枠と底面保護枠とで構成したものは、従来、筒状の側面保護枠の下側先端を椀状の底面保護枠の上側先端に単に平面的に当接させた構成になっていた。そのため、鍋が収容されていない状態で内枠内に水などの液体を大量に入れてしまった場合、側面保護枠と底面保護枠との当接部の高さ以上に液体が入ると、当接部の全周から底面保護枠の外側へ液体が溢れ出し、底面保護枠の外面にある加熱コイルや冷却ファン、さらには加熱ユニットなどの電気ユニット部に液体が付着してショートなどを生じる虞があった。
【0036】これに対して、本第2実施例の炊飯器によれば、鍋101 を外した状態で内枠84内に誤って水などの液体を入れてしまっても、この液体を決まった一定の位置から排水できるので、電装品類に液体が付着することはなく、この電装品類をショートさせる虞がない。
【0037】また、従来の炊飯器は、本第2実施例のように鍋に専用の取手を設けることをせず、鍋の上端の開口部に一体に形成された水平なフランジ部を指先が掛けられる程度の幅のものとして、鍋の持ち運び用の取手部と兼用した構成が一般的であった。しかし、この従来の構成では、フランジ部が小さいために持ちにくく、また、保温中に鍋を取り出す場合、鍋に一体に形成されているフランジ部はご飯の保温温度と同じ熱さになっているため、不快感をもたらす。そのため、鍋の側面部に別部品の取手を設けた炊飯器も提案されているが、取手付き鍋を有する従来の炊飯器では、炊飯器の大型化を避けることを目的として、蓋体または外枠の一部を切り欠いて蓋体を閉じた状態でも取手が炊飯器本体の側面に露出するようにしているため、外観性を損なったり、あるいは、取手を炊飯器本体内に入れるために、この炊飯器本体の横幅が大きくなったりする問題があった。
【0038】これに対して、本第2実施例の炊飯器では、鍋101 の平面形状をほぼ楕円形状にし、短軸方向aの両側に取手103 を設けるとともに、長軸方向bの両側ではフランジ部102 を削除したので、炊飯器本体81全体の幅を大きくすることなく、蓋体121 を閉じた状態で取手103 が炊飯器本体81外へ露出しないようにできる。すなわち、蓋体121 を閉じた状態では、この蓋体121 の側面部のカバー部125 の中に取手103 が収まるので、炊飯器の外観性を損なうことがない。これとともに、蓋体121 が取手103 を完全に覆うことにより、外部の空気が局部的に鍋101 に当たってこの鍋101 が冷えることがない。また、鍋101 がほぼ楕円形状で、平面形状において方向性を有していることにより、ユーザーが鍋101 を炊飯器本体81の内枠84内に挿入するとき、方向性を間違うことがない。
【0039】なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、前記第1実施例の説明にあった蒸気口に関する各種寸法や、係止凸部や係止爪部の数は一例にすぎず、適宜設定できるものである。
【0040】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、蒸気口が、この蒸気口の下部を形成し上部を開口したバケットと、蒸気口の上部を形成しバケットに着脱自在に結合されるキャップと、これらバケットとキャップとを結合させる結合手段とを有する炊飯器において、バケットの上部開口部にシール部を形成し、キャップの下面にシール部を形成し、結合手段がこれらバケットのシール部とキャップのシール部とを上下方向に押し当てることによりバケットとキャップとの隙間からの蒸気漏れを抑制または防止するので、コストアップを招くことなく、安定して確実に蒸気漏れを抑制または防止できる。
【0041】請求項2の発明の炊飯器によれば、請求項1の発明の効果に加えて、前記結合手段は、前記バケットの外側面に設けられた複数の傾斜した係合凸部と、前記キャップの内側面に設けられた複数の係止爪部とからなり、これら係止爪部の上側と前記係止凸部の下側とが上下方向に接した状態で結合されるので、蒸気によりバケットやキャップが多少熱変形したり、あるいは、バケットやキャップの製造時に多少寸法精度が悪化しても、傾斜した係合凸部に対する係止爪部の接触位置が多少移動するのみで、バケットのシール部とキャップのシール部との接触状態を確実に保持でき、よりいっそう安定して確実に蒸気漏れを抑制または防止できる。
【0042】請求項3の発明の炊飯器によれば、請求項1または2の発明の効果に加えて、前記バケット内に蒸気を侵入させる孔部の開口面積よりも大きい開口面積を有する蒸気放出口を、前記キャップとバケットとのシール部近傍のキャップの上面部に形成したので、シール部付近にかかる蒸気圧が低減され、したがって、蒸気圧によりバケットとキャップとの間に隙間ができて、この隙間から蒸気が漏れるといった不都合を防止できる。
【出願人】 【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
【公開番号】 特開平11−9445
【公開日】 平成11年(1999)1月19日
【出願番号】 特願平9−170731