| 【発明の名称】 |
電磁誘導加熱式炊飯器 |
| 【発明者】 |
【氏名】三宅 一也
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| 【要約】 |
【課題】加熱および保温の効率を向上させ、炊飯性能などの基本性能を悪化させることなく、省エネルギー化を実現する。
【解決手段】鍋収容部5の外底面および外側面の各々の外側に、所定の隙間を形成してこれら外底面および外側面を覆う胴断熱壁23およびコイルカバー25を設ける。これら胴断熱壁23およびコイルカバー25は、電気絶縁物材料であるプラスチックからなる。鍋収容部5とコイルカバー25との間の隙間に、鍋4を電磁誘導加熱するための加熱コイル21を設ける。これにより、鍋4を効率よく加熱および保温できるとともに、加熱コイル21自体の発熱も鍋4の加熱および保温に利用できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鍋と、この鍋を収容する鍋収容部と、前記鍋を電磁誘導加熱により加熱する発熱手段とを備え、前記鍋収容部の外底面および外側面の各々の外側に、前記鍋収容部の外底面および外側面との間に所定の隙間を形成してこれら外底面および外側面を覆う電気絶縁物材料からなる壁部を設けたことを特徴とする電磁誘導加熱式炊飯器。 【請求項2】 前記鍋収容部の外面と前記壁部との間に前記発熱手段を配設したことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式炊飯器。 【請求項3】 前記鍋収容部の外側面および前記壁部の側部により形成される側面空間と、前記鍋収容部の外底面および前記壁部の底部により形成される底面空間とを相互に通気する連通部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の電磁誘導加熱式炊飯器。 【請求項4】 前記鍋収容部の外面と前記壁部との間に前記発熱手段を配設し、この発熱手段は、炊飯時および保温時の共通の前記鍋の発熱手段であることを特徴とする請求項1または3記載の電磁誘導加熱式炊飯器。 【請求項5】 前記壁部をプラスチック製とし、前記鍋収容部の外底面および外側面と前記壁部との間の隙間を1mm以上9mm以下にしたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱式炊飯器。 【請求項6】 前記鍋収容部および発熱手段を有する器本体を備え、前記鍋を加熱する加熱手段は、前記鍋を電磁誘導加熱する発熱手段以外、前記器本体側に設けない構成としたことを特徴とする請求項1、2または4記載の電磁誘導加熱式炊飯器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電磁誘導加熱により炊飯および保温を行う電磁誘導加熱式炊飯器に係わり、特に、断熱構造に関する。 【0002】 【発明が解決しようとする課題】電磁誘導加熱式炊飯器において、鍋を発熱させるための発熱手段である加熱コイルは、鍋収容部の外底面、または外底面と外側面下部、または外底面と外側面上部および下部に備えてある。そして、加熱コイルに所定の高周波電流を供給すると、加熱コイル近傍の磁界中に設けられた鍋の磁性金属材料が発熱して、この鍋が電磁誘導加熱され、炊飯時や保温時にこの鍋が加熱される構成になっている。 【0003】ところで、消費電力量の低減は、近年のエネルギー事情もあり、従来から大きな技術的課題の一つになっている。省エネルギー化を実現する最大の方策は加熱量の低減であるが、単に加熱量を低減するのでは、炊飯時に加熱不足で炊きむらが多くなるなどの問題をきたすおそれがある。 【0004】そして、一般的に炊飯器において、熱が鍋の加熱に寄与することなく外へ逃げると加熱効率が悪くなり、炊きむらなどの炊飯不良や消費電力量の増大をきたすので、炊飯不良の防止や炊飯時および保温時の消費電力量低減のために、各種の断熱構造が提案されている。例えば、鍋収容部の側面をアルミニウムやステンレスや鋼板により覆って空気層を形成するものや、この空気層中に鍋側面加熱用の電熱式ヒータを設けるものなどである。しかし、電磁誘導加熱式炊飯器では、断熱材として導電性を有する材料を選定した場合、この断熱材が加熱コイルに接触すると短絡などの問題を生じ、また、主として鍋の底部が発熱するものであるから、鍋収容部の側面を覆う断熱材では十分な効果が期待できない。 【0005】本発明は、このような問題点を解決しようとするもので、炊飯性能などの基本性能を悪化させることなく、省エネルギー化を実現できる電磁誘導加熱式炊飯器を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明の電磁誘導加熱式炊飯器は、前記目的を達成するために、鍋と、この鍋を収容する鍋収容部と、前記鍋を電磁誘導加熱により加熱する発熱手段とを備え、前記鍋収容部の外底面および外側面の各々の外側に、前記鍋収容部の外底面および外側面との間に所定の隙間を形成してこれら外底面および外側面を覆う電気絶縁物材料からなる壁部を設けたものである。 【0007】炊飯時などには、鍋収容部に収容された鍋が発熱手段により電磁誘導加熱される。その際、鍋収容部の外底面および外側面を、所定の隙間を形成して覆っている壁部により断熱がなされる。この壁部は電気絶縁物材料からなるので、電磁誘導加熱用の発熱手段などの充電部が接触しても、短絡などの問題を生じない。 【0008】請求項2の発明は、請求項1の発明の電磁誘導加熱式炊飯器において、前記鍋収容部の外面と前記壁部との間に前記発熱手段を配設したものである。 【0009】これにより、発熱手段自体の発生する熱が鍋収容部側へ供給され、鍋の加熱、保温に利用される。 【0010】請求項3の発明は、請求項1または2の発明の電磁誘導加熱式炊飯器において、前記鍋収容部の外側面および前記壁部の側部により形成される側面空間と、前記鍋収容部の外底面および前記壁部の底部により形成される底面空間とを相互に通気する連通部を設けたものである。 【0011】例えば鍋収容部の底部側にのみ発熱手段がある場合でも、この底部側で発生した熱が前記底面空間から連通部を介して側面空間に伝わり、鍋の側面の加熱効率が向上する。 【0012】請求項4の発明は、請求項1または3の発明の電磁誘導加熱式炊飯器において、前記鍋収容部の外面と前記壁部との間に前記発熱手段を配設し、この発熱手段は、炊飯時および保温時の共通の前記鍋の発熱手段であるものである。 【0013】鍋収容部と壁部との間に発熱手段があることにより、この発熱手段の発生する熱が鍋収容部側へ供給され、鍋の保温性が高まる。発熱手段は、炊飯時のみならず保温時にも加熱を行うものなので、炊飯時でも保温時でも前記鍋の保温性の効果が得られる。 【0014】請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかの電磁誘導加熱式炊飯器において、前記壁部をプラスチック製とし、前記鍋収容部の外底面および外側面と前記壁部との間の隙間を1mm以上9mm以下にしたものである。 【0015】一般的にプラスチックは金属よりも断熱性に優れるので、効果的に断熱ができる。また、鍋収容部の外底面および外側面と壁部との間の隙間は、狭すぎると製造誤差などによる接触により断熱性が損なわれるおそれがあるので、1mm以上であることが好ましく、一方、広すぎると内部で空気対流が生じて断熱効果が低下することから、9mm以下であることが好ましい。 【0016】請求項6の発明は、請求項1、2または4の電磁誘導加熱式炊飯器において、前記鍋収容部および発熱手段を有する器本体を備え、前記鍋を加熱する加熱手段は、前記鍋を電磁誘導加熱する発熱手段以外、前記器本体側に設けない構成としたものである。 【0017】前述のような断熱性の向上により、電磁誘導加熱用の発熱手段以外に器本体側に加熱手段がなくても、鍋を十分に加熱、保温できる。 【0018】 【発明の実施形態】以下、本発明の電磁誘導加熱式炊飯器の一実施例について、図1を参照しながら説明する。炊飯器の全体断面図を示す図1において、1は器本体、2はこの器本体1の外殻をなす外枠で、外枠2の開口した底部下端には、底板3が嵌合し固定されている。また、外枠2の内部には、鍋4を着脱可能に収容する有底筒状の鍋収容部5が配設される。鍋収容部5の側面を構成する鍋収容壁6は、この鍋収容部5の上部を形成する外枠2と一体に形成される。外枠2の材料は、プラスチック材料であるポリプロピレンなどの電気絶縁物であり、外観が光沢を有し、しかも、電気用品取締法に定めるボールプレッシャー温度が140 ℃以上の材料から選定したものを使用している。一方、外枠2とは別部品であって、鍋収容部5の底部を形成するコイルベース7は、例えばポリエチレンテレフタレートにガラス繊維を含有した材料などの電気絶縁物からなり、難燃性を有し、電気用品取締法に定める電気絶縁物の使用温度の上限が120 ℃以上の材料から選定したものを使用している。そして、炊飯時において米や水などの被炊飯物を収容し、保温時においてご飯などの被保温物を収容する有底筒状の前記鍋4が、鍋収容部5の内部に挿脱自在に収容される。 【0019】鍋4は、例えばアルミニウムなどの熱伝導性の良い材料から選定した材料を主材料として、鍋本体11を形成している。鍋本体11は、ダイキャストや溶湯鍛造製法により形成され、成形時において、鍋本体11の底面と側面下部に、フェライト系ステンレスなどの磁性金属材料から選定した材料を所定の皿形状に成形した発熱体12を接合してある。鍋4の上部には、水平方向外側に延出したフランジ部13が形成されており、フランジ部13の下面を鍋収容部5の上端部に載置することにより、鍋収容部5の内部にて鍋4を吊設状態に収容する構成となっている。このとき、鍋4の外面と鍋収容部5の内面との間には、1mm以上6mm以下(これ以降、以上,以下を単に〜と表記する。)程度の隙間14が形成され、断熱空間として鍋4の保温性を高める構成になっている。 【0020】15は、コイルベース7の底部中央に設けられた鍋温度検出手段たる鍋温度センサである。この鍋温度センサ15は、図示しないコイルスプリングにより、鍋4の外面底部に弾性的に押圧接触しており、鍋4ひいては鍋4内の被炊飯物または被保温物の温度を常時検出することで、炊飯時や保温時における加熱を制御するようになっている。また、鍋温度センサ15の鍋4に接触する部分の外面は、熱伝導性の良好なアルミニウムにより形成される。 【0021】21は、コイルベース7の外面に設けられた発熱手段たる加熱コイルである。この加熱コイル21は、炊飯と保温にて兼用して鍋4を電磁誘導加熱するものであり、発熱体12に対向する状態で、鍋4の底面と側面下部に対向する位置に設けられる。なお、鍋4の底面のみ、あるいは、鍋4の側面の複数箇所に対向する状態に、加熱コイル21を設けてもよい。前記鍋収容壁6の外方には、この鍋収容壁6の外側面との間に1〜9mmの所定の隙間a、好ましくは1〜5mmの隙間を有する側面空間22を介在して、鍋収容壁6を覆う壁部の側部たる胴断熱壁23が設けられる。この胴断熱壁23は、前記鍋収容壁6と同様に外枠2と一体に形成され、その材厚は0.8 〜3.0mm に形成される。したがって、鍋収容壁6や胴断熱壁23は、外枠2と同一材料にて、プラスチックの射出成形時に同時に形成される合理的な製造性を有する構成となっている。 【0022】コイルベース7の外方には、このコイルベース7の外底面との間に1〜9mmの隙間b、好ましくは1〜5mmの隙間を有する底面空間24を介在して、壁部の底部たるコイルカバー25が設けられる。但し、前記加熱コイル21を配置した箇所は、加熱コイル21の厚さ以上の隙間を有する底面空間24が形成されている。コイルカバー25の材料は、コイルベース7と同様に、プラスチック材料であるポリエチレンテレフタレートにガラス繊維を含有した材料などの電気絶縁物であって、難燃性を有し、電気用品取締法に定める電気絶縁物の使用温度の上限が120 ℃以上の材料から選定したものを使用している。また、コイルカバー25の材厚は、1.2 〜3.5 mmに形成される。そして、コイルカバー25にてコイルベース7の底部を覆うと、鍋収容壁6の下端にある隙間が略遮蔽され、鍋収容部5の外底面と外側面に、各々側面空間22と底面空間24とが連通部26により相互に連通、通気して形成される構成になっている。なお、この側面空間22と底面空間24は、完全に密閉された空間であることが望ましいが、各部材の嵌合部や、加熱コイル21のリード線(図示せず)の引出口や、鍋温度センサ15を装着する部分など、多少の隙間があっても構わない。また、加熱コイル21は螺旋状をなし、コイルベース7の外面にシリコーン接着剤などにて部分的に接着固定され、コイルカバー25にてさらに下方から覆って落下しない構造になっている。したがって、加熱コイル21は、コイルベース7とコイルカバー25との隙間すなわち底面空間24内に配置される構成となる。また、落下防止や振動防止のためには、加熱コイル21を設けた部分のコイルベース7とコイルカバー25との隙間は、形成しないことが好ましい。コイルカバー25の外側には、加熱コイル21からの磁束の漏れを防止するフェライト部材27が装着される。 【0023】外枠2内には、フェライト部材27の下方に位置して加熱基板31が設けられる。この加熱基板31は、いずれも前記加熱コイル21の制御回路を構成する加熱基板ユニット32と発熱部品であるスイッチング素子33が搭載される。加熱基板ユニット32は、インバータ回路などを備え、加熱コイル21に所定の高周波電流を供給するものである。そして、この高周波電流の供給により、加熱コイル21に磁界が発生することで、鍋4の発熱体12を電磁誘導加熱にて発熱させて、鍋4を加熱する構成は、従来周知の電磁誘導加熱式のジャー保温釜と同一である。また、高周波電流を発生させるスイッチング素子33と加熱基板31の間には、下方に向けて多数のフィン34を形成した放熱板35が、熱的に密着した状態で取り付けられる。フィン34の下端は底板3に形成した通気口36に対向しており、ここで外気との熱循環を行なうように構成している。 【0024】37は、外枠2の前部内側に設けられた基板である。この基板37には、電源回路を形成する電源ユニット38が、下方に向けて設けられると共に、LCDやLEDなどの表示手段と、各種スイッチからなる操作手段とを備えた表示操作ユニット39が、外枠2の前面に装着された操作パネル40に対向して設けられる。なお、41は外枠2の後部内側に設けられたコードリールであって、これは、図示しない電源コードを巻取るためのものである。 【0025】51は、鍋4の上部開口部を直接覆う蓋体である。蓋体51は、ポリプロピレンなどのプラスチック樹脂材料からなり、蓋体51の外表面を形成する外蓋52と、蓋体51の下部外周にあって、鍋4の上部開口部に対向しない部分を形成し、外蓋52の下部外周に嵌合させたポリプロピレンなどのプラスチック樹脂材料からなる外蓋カバー53と、アルミニウムなどの熱伝導性に優れた部材からなり、蓋体51の下面の鍋4の上部開口部に対向する部分を形成する下面部材54とにより概ね構成される。下面部材54の外周部には、図示しないねじを介して外蓋カバー53に取付け固定されるフランジ状の固定部55が形成されると共に、それ以外の部分には、中央に孔56を設けた基部57が形成される。この基部57の下面は、蓋体51を開けた時の外観性および清掃性を良好に維持するために、凹部58を除いてねじなどが露出しない平坦状に形成される。また、基部57の上面には、円環状の溝59が形成される。これらの凹部58や溝59は、下面部材54の外周部にある固定部55の温度上昇を抑制するために設けられている。 【0026】下面部材54の上面すなわち裏面には、この下面部材54の温度を検出する蓋温度検出手段としての蓋温度センサ61と、結露防止のために炊飯時と保温時に下面部材54を加熱する蓋加熱手段たる蓋ヒータ62が各々が設けられる。そして、蓋温度センサ61からの温度情報を受けて、蓋ヒータ62を通断電制御しながら、蓋体51の特に下面部材54の温度管理を行なうように構成している。 【0027】蓋体51の内部には、下面部材54からの熱を遮断する蓋下面遮熱板63が、下面部材54の裏面を覆うように設けられる。また、外蓋52の内側にも、別の外蓋遮熱板64が設けられる。外蓋カバー53と下面部材54との間には、環状の弾性体からなり、蓋体51を閉塞した際に、その下部が鍋4の上面に密着する蓋パッキン65が配設される。蓋体51は、器本体1の一側に軸支され、軸支部たるヒンジ66には、蓋体51を常時開く方向に付勢するばね(図示せず)が配設される。そして、ヒンジ66の反対側にある蓋体51の係止用のクランプボタン67を解除すると、自動的に蓋体51が開く構成となっている。 【0028】前記外蓋52の上面には、鍋4側に陥没した凹部71が設けられている。凹部71の中央に対応した前記下面部材54の孔56は、蒸気口72の下部を形成する蒸気筒73を装着するものであって、孔56の周囲に位置する凹部71の底部裏側と、下面部材54の裏面との間は、シリコーンゴム製の蒸気口パッキン74でシールされる。蒸気口72は、いずれも耐蒸気性に優れた例えばポリプロピレン樹脂からなる蒸気口キャップ75と蒸気口ケース76とにより構成され、前記蒸気口パッキン74に係合,離脱して、凹部71の開口下外側より着脱自在に装着される。また、蒸気筒73の上部開口部には、この蒸気筒73の上部開口を開閉する遮閉板77が上下動自在に組み付けられる。そして、炊飯中に鍋4内に発生した蒸気が、澱粉の溶けた水分(おねば)と共に蒸気筒73内に流入すると、蒸気はその圧により遮閉板77を押し上げて、開放された蒸気筒73の上部開口部から蒸気口72の内部に侵入する。ここで、蒸気とおねばは分離され、比重の大きいおねばは蒸気口72の下部に収容される一方、蒸気は蒸気口キャップ75に形成した蒸気出口78から外部に放出される。そして、炊飯が進みむらしになると、鍋4の内圧が下がることにより、蒸気口72の下部に溜まったおねばが戻し孔79から鍋4内に戻される。これと共に、遮閉板77も下方に下がり、蒸気筒73の上部開口部を塞いで、熱の放出を防ぐように構成している。 【0029】次に、上記構成についてその作用を説明する。炊飯に際して、蓋体51を開けて、被炊飯物である米および水を収容した鍋4を器本体1の鍋収容部5に収容し、蓋体51を閉じる。この状態では、蓋体51の下面部材54の表面が、鍋4の上部開口部を直接覆う。そして、表示操作ユニット39にある操作手段を操作して炊飯を開始すると、加熱コイル21への高周波通電により鍋4の発熱体12が発熱してこの鍋4が加熱される。鍋4の加熱は、鍋温度センサ15が検出する鍋4の温度に応じて制御される。すなわち、炊飯時には、加熱コイル21へ供給される高周波電流の調節により、500 〜1300Wの加熱出力が断続し、鍋4が加熱されて炊飯が行われる。炊飯終了後は、同様に加熱コイル21への高周波通電による鍋4の加熱により、鍋4内のご飯を所定温度に保温する。この保温時には、 500Wの加熱出力で1秒オンと10秒オフの断続加熱が行われ、鍋4の温度が所定の保温温度、例えば71℃であれば、1秒オンを省略して温度調節を行い、保温を行う。このように鍋4の発熱源となる加熱コイル21への電力供給により炊飯および保温の両方で鍋4が加熱される。なお、蓋ヒータ62の加熱は、炊飯時から保温時における蓋体51の下面部材54の表面に結露が生じることを防止する。 【0030】前記実施例の構成によれば、鍋収容部5の外底面および外側面の各々の外側に、所定の隙間a,bを形成してこれら外底面および外側面を覆う電気絶縁物材料からなる壁部として胴断熱壁23およびコイルカバー25を設けたので、鍋収容部5の外底面および外側面の断熱性が向上し、炊飯時や保温時に鍋4の保温性が向上して加熱効率が向上する。したがって、炊飯性能などの基本性能を悪化させることなく、すなわち、炊飯時に加熱不足により炊きむらが多くなるなどの問題を防止しながら、使用する消費電力量を低減でき、省エネルギー化を実現できる。また、胴断熱壁23およびコイルカバー25は電気絶縁物材料からなるので、加熱コイル21などの充電部にコイルカバー25あるいは胴断熱壁23が接触しても、電気的短絡などの問題を生じない。したがって、組立性も極めてよいものになる。しかも、胴断熱壁23およびコイルカバー25はプラスチックからなるので、取付け形状に応じた任意の形状が射出成形により容易に実現できる。また、プラスチックは金属に比べて熱伝導率が小さいので、より高い断熱作用を得られる。また、鍋4の側面から外方への放熱が抑制されることにより、鍋4の側面の加熱効率が向上し、特に炊飯量が多い場合に、鍋4の側面の加熱が強化され、加熱むらの抑制効果も得られる。また、加熱コイル21のある部分すなわちコイルカバー25に使用する電気絶縁物として難燃性を有する材料を選定すれば、万一短絡などにより異常発熱があった場合でも、他への延焼を防止でき、安全性を確保できる。さらに、鍋収容部5の外側面および外底面の外側の閉鎖空間たる側面空間22および底面空間24の形成は、鍋収容部5の底面方向からコイルカバー25を被せるのみの組立で同時に実現できるため、組立性が良好である。 【0031】また、加熱コイル21は、炊飯時や保温時に高周波電流の供給により自己発熱するが、鍋収容部5とコイルカバー25との間の底面空間24内に加熱コイル21を配したので、加熱コイル21自体の発熱により底面空間24さらには側面空間22内を加熱できる作用も得られる。もし加熱コイル21を閉鎖空間内に配さずに露出させた場合、加熱コイル21の発する熱は器本体1の内部に自由に放熱してしまうが、空間24内に加熱コイル21を配することにより、この加熱コイル21の熱が鍋収容部5の外面空間に供給されることになり、加熱コイル21の発熱を鍋収容部5の周囲の加熱および保温の効率改善に活用できることになる。このように炊飯時や保温時に鍋4の保温性が高まることにより、いっそう加熱効率のよい炊飯や保温を実現でき、よりいっそうの消費電力量の低減を図ることができる。なお、加熱コイル21は、鍋4に対してその底部、または底部および側面下部、または底部および側面の複数箇所に設けてもよいが、少なくとも側面下部に設ければ、鍋4の側面の保温性が向上し、特に保温時に鍋4の側面の冷えを防止して、温度むらを抑制できる効果が得られる。 【0032】さらに、鍋収容部5の外側面および胴断熱壁23間の側面空間22と、鍋収容部5の外底面およびコイルカバー25間の底面空間24とを連通部26により相互に連通させたので、底面空間24のみに加熱コイル21が設けられている場合でも、加熱コイル21の自己発熱による熱が側面空間22側へ供給されやすく、鍋4の側面が効率よく加熱され、この側面の保温性が向上する。また、通常の炊飯器では、保温時に鍋の側面を保温加熱する加熱手段としてコード状の電熱ヒータを備えたものが多いが、本炊飯器では、鍋4の側面が側面下部の加熱コイル21の発熱を利用して保温されるため、器本体1側において加熱コイル21以外に別の電熱ヒータなどの加熱手段を使用しなくても、加熱源は加熱コイル21のみで側面の保温もできる。したがって、保温加熱むらが大きくなるなどの保温性能の悪化をきたすことなく、構造の簡素化を図れるとともに、電熱ヒータの使用電力がなくなる分、保温時の消費電力量を低減できる。 【0033】ところで、一般的に断熱空間の隙間は、この隙間が大きくなると内部の空気が対流することにより断熱効果が薄くなることが知られている。しかし、隙間を限りなく0に近付けると、断熱空間を形成する部品の寸法のばらつきなどにより、これらの部品が部分的に接触して断熱空間の作用がなくなるおそれがある。したがって、接触防止上、最小隙間は 1.0mmに設定するのが望ましい。すなわち、本炊飯器において、断熱空間たる側面空間22および底面空間24を形成する鍋収容部5の外側面および外底面と胴断熱壁23およびコイルカバー25間の隙間a,bは 1.0mm以上にするのが望ましい。 【0034】さらに、前述のように隙間が大きくなると断熱効果が薄くなるので、隙間の上限も設定すべきであるが、これに関して次のような試験を行った。この試験は、側面空間22の隙間aを1mm、5mm、9mm、13mm、17mmに調節して、消費電力量が最も多くなる長時間の保温試験で確認したものである。試験方法は、1.8Lの米を室温20℃、 100Vの定格電圧で炊飯した後、12時間保温したときの消費電力量を測定するというものである。その結果は、断熱空間を設けない従来の構造では428Wh 、隙間17mmでは426Wh (従来の構造に対して 0.5%減)、隙間13mmでは424Wh (従来の構造に対して 0.9%減)、隙間9mmでは407Wh (従来の構造に対して4.9%減)、隙間5mmでは398Wh (従来の構造に対して 7.0%減)、隙間1mmでは395Wh (従来の構造に対して 7.7%減)であった。この結果より、隙間a,bは10mm未満が好ましく、できれば5mm以下にすることが好ましいとの結論が得られた。 【0035】すなわち、側面空間22、底面空間24の隙間a,bを1〜9mmに設定することにより、確実にかつ効率よく鍋収容部5の断熱性を高めることができ、鍋4の保温性を向上して使用時の消費電力低減効果が得られることになる。 【0036】さらに、プラスチック製の胴断熱壁23、コイルカバー25の材厚を0.8 〜3.5mmの中でも、1.5 〜2.5mm 程度に厚くすれば、断熱効果がさらに向上する。 【0037】なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施例では、鍋収容部5の外側面および外底面を各々覆う胴断熱壁23およびコイルカバー25を別部材にしたが、鍋収容部5の外側面および外底面を覆う壁部は全体が一体の部材からなるものとしてもよい。また、前記実施例では、鍋収容部5を外枠2と一体の鍋収容壁6とコイルベース7との2部材により構成したが、鍋収容部は全体が一体の部材からなるものとしてもよい。 【0038】 【発明の効果】請求項1の発明の電磁誘導加熱式炊飯器によれば、鍋収容部の外底面および外側面の各々の外側に、鍋収容部の外底面および外側面との間に所定の隙間を形成してこれら外底面および外側面を覆う電気絶縁物材料からなる壁部を設けたので、電気的短絡などの問題をきたすことなく、鍋の断熱性を向上でき、加熱むらなどの基本性能の悪化を生じることなく、使用時の消費電力量を低減できる。 【0039】請求項2の発明の電磁誘導加熱式炊飯器によれば、請求項1の発明の効果に加えて、鍋収容部の外面と壁部との間に発熱手段を配設したので、この発熱手段自体の発生する熱を鍋の加熱に有効に利用でき、加熱効率をよりいっそう向上できる。 【0040】請求項3の発明の電磁誘導加熱式炊飯器によれば、請求項1または2の発明の効果に加えて、鍋収容部の外側面および壁部の側部により形成される側面空間と、鍋収容部の外底面および壁部の底部により形成される底面空間とを相互に通気する連通部を設けたので、例えば鍋収容部の底部側にのみ発熱手段があっても、鍋の側面も効率よく加熱でき、鍋収容部の側面に別の電熱ヒータを設ける必要もなくなる。 【0041】請求項4の発明の電磁誘導加熱式炊飯器によれば、請求項1または3の発明の効果に加えて、鍋収容部の外面と壁部との間に発熱手段を配設し、この発熱手段は、炊飯時および保温時の共通の鍋の発熱手段であるので、発熱手段自体の発生する熱を鍋の加熱に有効に利用でき、加熱効率をよりいっそう向上できるとともに、この効果が炊飯時でも保温時でも簡素な構造により得られる。 【0042】請求項5の発明の電磁誘導加熱式炊飯器によれば、請求項1から4のいずれかの発明の効果に加えて、壁部をプラスチック製とし、鍋収容部の外底面および外側面と壁部との間の隙間を1mm以上9mm以下にしたので、よりいっそう断熱性能を向上できるとともに、製造誤差などによる断熱性の低下も防止できる。 【0043】請求項6の発明の電磁誘導加熱式炊飯器によれば、請求項1、2または4の発明の効果に加えて、鍋を加熱する加熱手段は、鍋を電磁誘導加熱する発熱手段以外、器本体側に設けない構成としたので、鍋の加熱性、保温性を損なうことなく、構造を簡素化できるとともに、省エネルギーを図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390010168 【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月26日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】牛木 護
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| 【公開番号】 |
特開平11−9443 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月19日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−170733 |
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