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【発明の名称】 蒸し庫
【発明者】 【氏名】水梨 豊三

【要約】 【課題】熱の損失が少ない蒸し装置を使用しつつ加工速度を向上させ、また、内部温度の均一化を図ることによって食品の加工状態をも向上させることのできる蒸し庫を提供する。

【解決手段】扉2に隣接する一方の側壁11の内部に中空部13を設けるとともに、内側壁面に無数の蒸気流入口21を穿設し、他方の側壁12の内部にも中空部14を設けるとともに、内側壁面に無数の蒸気流出口22を穿設し、両側壁の中空部の間をブロワ6を介して連続させる流通路を設けたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開閉可能な扉と、底付近に設けられた排気口と、この排気口に連続しつつ天部外方で開口する排気ダクトと、底付近に配設されるスパージ管へ蒸気を供給する蒸気供給部と、外気を強制供給する送風機とを備えてなる蒸し庫において、上記扉に隣接する一方の側壁の内部に中空部を設けるとともに、内側壁面に無数の蒸気流入口を穿設し、他方の側壁の内部にも中空部を設けるとともに、内側壁面に無数の蒸気流出口を穿設し、両側壁の中空部の間をブロワを介して連続させる流通路を設けたことを特徴とする蒸し庫。
【請求項2】 前記ブロワは、外気を強制供給する前記送風機に兼用させ、流通路を強制循環させる場合と、外気を強制供給させる場合とで、流路を切り換え可能にした請求項1記載の蒸し庫。
【請求項3】 前記蒸気流出口は、前記蒸気流入口よりも大きく穿設されてなる請求項1又は2記載の蒸し庫。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍食品の解凍又は蒸し料理に使用する業務用の蒸し庫に関し、特に、熱を有効利用しつつ内部の温度を均一化する蒸し庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の蒸し庫は、高温の蒸気を供給するとともに、温度の低下した蒸気を排出する構造になっていた。即ち、高温の蒸気が蒸し庫内の台車に積まれた食品を通過したのち排出するようになっていたのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような蒸し庫では、蒸気の熱が食品に均等に作用できず、蒸した食品の状態が蒸し庫内部に置いた場所によって異なることがあった。つまり、蒸気の供給口に接近するところでは良く蒸され、離れたところでは不十分であった。また、蒸気は熱を含んだ状態で排出され、蒸気の熱を十分に利用できていなかった。そこで、出願人において特開平6−304069号公報に開示する蒸し装置が開発された。この蒸し庫は、底付近に開口する排気ダクトが設けられるとともに、この排気ダクト内に挿通されつつ蒸し庫の底部に配設されるスパージ管に蒸気を供給する蒸気供給部が設けられており、熱の損失が抑制されている。しかし、蒸し庫内の温度を均等に近い状態とすることができず、また、蒸し庫の内部における蒸気の対流は自然対流であり、蒸し加工の速度を向上させるに至らなかった。即ち、底に配設されたスパージ管から供給された高温の蒸気は、上昇して蒸し庫内の上方に移動したのち、温度低下に伴って徐々に下降し、排気ダクトを経て外方に排出されるものであり、この排出は、供給される蒸気の圧力(陽圧)によって行われていたのである。従って、蒸気の有する熱エネルギを蒸し庫内で放出したのちに蒸し庫の底から排出されるので、熱を有効に利用しているものの食品に対する熱の伝達速度が遅く、加工に時間を要する結果となっていた。
【0004】本発明は、上記諸点にかんがみ、熱の損失が少ない蒸し装置を使用しつつ加工速度を向上させ、また、内部温度の均一化を図ることによって食品の加工状態をも向上させることのできる蒸し庫を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、開閉可能な扉と、底付近に設けられた排気口と、この排気口に連続しつつ天部外方で開口する排気ダクトと、底付近に配設されるスパージ管へ蒸気を供給する蒸気供給部と、外気を強制供給する送風機とを備えてなる蒸し庫において、上記扉に隣接する一方の側壁の内部に中空部を設けるとともに、内側壁面に無数の蒸気流入口を穿設し、他方の側壁の内部にも中空部を設けるとともに、内側壁面に無数の蒸気流出口を穿設し、両側壁の中空部の間をブロワを介して連続させる流通路を設けたことを特徴とする蒸し庫を要旨とする。
【0006】そして、前記ブロワは、外気を強制供給する前記送風機に兼用させ、流通路を強制循環させる場合と、外気を強制供給させる場合とで、流路を切り換え可能にするのが好ましく、前記蒸気流出口は、前記蒸気流入口よりも大きく穿設されてなるのが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1ないし図3に基づいて説明する。図1は蒸し庫1の正面図であり、図2は側面図であり、図3は平面図である。まず、蒸し庫1には、図に示すように、手前側に開閉可能な扉2が設けられており、蒸し庫1の内部に台車3を搬入できるようになっている。また、蒸し庫1の後方の側壁内を通過して蒸気供給部4が設けられるとともに、この蒸気供給部4に連続するスパージ管5が蒸し庫1の底付近に設けられている。この蒸気供給部4は、図示せぬ排気ダクト内に挿通されており、排気ダクト内を通過するやや低温の蒸気によって蒸気供給部4は保温されることとなり、スパージ管5から噴出されるまでの蒸気から熱が損失するのを防止している。なお、この排気ダクトは、蒸し庫1の底部において開口する排気口を有しており、蒸し庫1内に強制的に供給される蒸気によって押し出されるように自然排気される。排気ダクトは蒸し庫1の上方において開口され、蒸し庫1の外へ放出される。また、蒸し庫1の上部には送風機6が設けられており、外気を強制的に蒸し庫1内に供給できる。
【0008】そこで、上記のような蒸し庫1の左右の側壁11,12の適宜範囲に中空部13,14が設けられている。左側の側壁11の上部は送風機6の送風口15が接続されており、一方、右側の側壁12の上部には送気パイプ16が接続されているとともに、この送気パイプ16は、切り換え弁装置17を経由しつつ送風機6の吸入口18に接続されている。従って、送風機6の始動により、右側の側壁12に設けた中空部14の内部の空気を左側の側壁11に設けた中空部13へ強制的に送気することができるのである。なお、切り換え弁装置17には、外気取入口19が上向きに開口しており、切り換え弁装置17の内部の弁を切り換えることによって外気を吸入することもできるようになっている。
【0009】次に、両側壁11,12の詳細を説明する。まず、左側の側壁11の内側壁面には、図4に示すように、円形の蒸気流入口21が無数穿設されている。この蒸気流入口21は、側壁11の内部に設けられている中空部13に貫通しており、送風機6によって強制的に供給される蒸気を蒸気流入口21から蒸し庫1の内方に流入させることができるようになっている。即ち、側壁11の内部の中空部13は、側壁11のほぼ全域に至るように設けられており、しかも一体的な空間を構成しているため、中空部13に供給された蒸気は、若干加圧されて蒸気流入口21から流入できるようになっている。一方、右側の側壁12の内側壁面には、図5に示すように、楕円形の蒸気流出口22が無数穿設されている。この蒸気流出口22も側壁12の内部に設けている中空部14に貫通しており、さらに、中空部14は側壁12のほぼ全域に至って設けられ、全部の蒸気流出口22が単一の中空部14に貫通して設けられている。そして、この中空部14には、送気パイプ16に連続しているため、送風機6の始動によって、蒸気が吸引されることとなり、中空部14の内部圧力が若干低下し、各蒸気流出口22から蒸し庫1の内部の蒸気を吸入することができるようになっている。
【0010】本実施形態は、上記のような構成であるので、図6に示すように、スパージ管5から蒸し庫1の内部に蒸気を供給しながら、送風機6によって右側の中空部14の蒸気を左側の中空部13内へ強制的に送気することによって、蒸し庫1の内部では、左側の側壁11から右側の側壁12に向かう気流が生じることとなり、蒸し庫1に供給された蒸気が食品の周辺を流れるようにすることができるので、蒸気の有する熱をすばやく食品に伝達させることができる。このとき、蒸気流入口21から流入される蒸気が極端に速い場合には、蒸し庫1の内部が攪拌されるため、供給される蒸気の熱が他の蒸気に伝達して逆に熱損失を招くこととなり、また、極端に遅く流入する場合には、当該蒸気流入口21付近に位置する食品の加工のみが促進されることとなり、均等な加工を阻害することとなるから、適度な蒸気の流出が望まれる。なお、外気の取入用として使用する送風機6を採用すれば、比較的適度な速度によって蒸気を流入させることができる。
【0011】なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる実施の態様をとることができることは無論である。例えば、上記の実施形態においては、蒸気流入口21の形状を円形、蒸気流出口22の形状を楕円形としたが、これらの形状は本発明を左右するものではなく、あらゆる形状に構成することができる。また、蒸気流出口22は、蒸気流入口21よりも大きいほうが蒸し庫1の内部における蒸気の流れがスムーズである。これは、蒸気流入口21には弱い陽圧、蒸気流出口22には弱い陰圧が作用することとなり、陽圧の付与された蒸気が蒸し庫1の内部に流入した際、陰圧の方向へ移動することとなるが、このとき、蒸気流出口22が大きく開口していれば、移動した蒸気を蒸気流出口22から流出させることができ、蒸し庫1の内部に安定した対流を発生させることができるからである。また、上記の実施形態において説明していないが、蒸し庫1には扉2の隣に制御装置が備えられており、内部温度を検出しつつ蒸気の供給を制御するとともに、所定の加工時間に到達したとき、蒸気の供給を停止し、切り換え弁装置17の内部の弁を切り換えて、外気を送風機6によって蒸し庫1に取り入れ、内部温度が低下したとき、扉2の開閉ができるように操作される。
【0012】
【発明の効果】以上のように、本発明は、開閉可能な扉と、底付近に設けられた排気口と、この排気口に連続しつつ天部外方で開口する排気ダクトと、底付近に配設されるスパージ管へ蒸気を供給する蒸気供給部と、外気を強制供給する送風機とを備えてなる蒸し庫において、上記扉に隣接する一方の側壁の内部に中空部を設けるとともに、内側壁面に無数の蒸気流入口を穿設し、他方の側壁の内部にも中空部を設けるとともに、内側壁面に無数の蒸気流出口を穿設し、両側壁の中空部の間をブロワを介して連続させる流通路を設けたことを特徴とする蒸し庫を要旨とするので、高温の蒸気を蒸気供給部から供給させつつ蒸し庫内部の蒸気を流動させることができ、加工すべき食品に蒸気の有している熱を急速に伝達させることができる。従って、食品の加工を迅速に行うことができ、また、蒸気の熱を十分に食品に伝達させることができるので、熱の損失量を一層減少させることができるとともに、蒸し庫内の蒸気を対流させることによって蒸し庫内部の温度を均一化することができ、よって、加工後の食品の状態を向上させることができる。
【0013】そして、前記ブロワは、外気を強制供給する前記送風機に兼用させ、流通路を強制循環させる場合と、外気を強制供給させる場合とで、流路を切り換え可能にすれば、蒸気の供給時に使用しない送風機により蒸し庫内を流動させることができる。また、前記蒸気流出口は、前記蒸気流入口よりも大きく穿設されれば、蒸し庫の内部に流入された蒸気が蒸気流出口に向かって流動することとなり、蒸し庫内に安定した対流を生じさせることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】593080319
【氏名又は名称】高技工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 肇
【公開番号】 特開平11−266
【公開日】 平成11年(1999)1月6日
【出願番号】 特願平9−156250