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【発明の名称】 電気炊飯器
【発明者】 【氏名】井上 博喜

【氏名】山岡 由美

【要約】 【課題】炊飯容量に応じて適切な炊飯が可能となり、しかも、より早く炊飯できる電気炊飯器を提供する。

【解決手段】電気炊飯器は、加熱物27を入れる内鍋7と、内鍋7を加熱するヒータ11、12と、内鍋7の温度を検出する温度センサー9と、温度センサー9からの温度情報に基づいてヒータ11、12を制御して吸水工程及び炊飯工程を行う制御手段20とを備えている。制御手段20は、前記吸水工程を開始したときに特定の温度となるまでヒータ11、12により加熱を行い、内鍋7の温度変化とその温度変化に要した時間との関係に基づいて加熱物27の容量を判定し、前記吸水工程の時間を可変している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加熱物を入れる内鍋と、前記内鍋を加熱するヒータと、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、前記温度センサーからの温度情報に基づいて前記ヒータを制御して吸水工程及び炊飯工程を行う制御手段とを備えた電気炊飯器において、前記制御手段は、前記吸水工程を開始したときに第1の特定温度となるまで前記ヒータにより加熱を行い、前記内鍋の温度変化とその温度変化に要した時間との関係に基づいて前記加熱物の容量を判定し、前記吸水工程の時間を可変することを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】 前記制御手段は、前記第1の特定温度に到達した後に一定の期間前記ヒータをオフし、その期間経過による温度変化を仕切り値で比較して容量の大小を判定することを特徴とする請求項1に記載の電気炊飯器。
【請求項3】 前記吸水工程において、前記制御手段は前記第1の特定温度に到達後に前記ヒータをオフ状態とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気炊飯器。
【請求項4】 前記吸水工程において、前記制御手段は、前記内鍋を一定の温度に保つように前記ヒータを制御し、その際に前記ヒータをオンした積算時間により前記加熱物の容量を判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気炊飯器。
【請求項5】 前記制御手段は、前記炊飯工程の前記加熱物を沸騰させる炊飯立ち上げ工程における加熱率を前記加熱物の容量に応じて可変することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電気炊飯器。
【請求項6】 前記制御手段は、前記炊飯立ち上げ工程における加熱により前記加熱物が第2の特定温度となるまでの時間により前記加熱物の容量を判定することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電気炊飯器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は温度センサーにより加熱を制御する電気炊飯器に関する。
【0002】
【従来の技術】電気炊飯器は、米等の加熱物を内鍋に入れ、この内鍋の温度を温度センサーで検出し、その温度センサーからの温度情報に基づいて加熱を行うものである。従来の電気炊飯器の動作は、図10に示すように主に吸水工程Jと炊飯工程Kと蒸らし工程Lとから成る。
【0003】さらに、吸水工程Jは、温度Taとなるまで加熱を行う予熱立ち上げ工程Mと、内鍋の温度を温度Taに保つ予熱工程Nから成る。一方、炊飯工程Kは、沸騰するまで加熱を行う炊飯立ち上げ工程Pと、沸騰状態の温度Tbに維持する沸騰維持工程Qと、炊き上げ工程Hとから成る。炊き上げ工程Hにおいて温度Tcまで上昇すれば蒸らし工程Lに入り、炊飯を終了する。
【0004】通常、従来の電気炊飯器では吸水工程Jと炊飯工程Kとは明確に区別されており、特に予熱工程Nの時間は加熱物の容量にかかわらず、予め一定の時間に決められていた。尚、図10において実線Sは温度センサーにより検出される内鍋の温度を示し、点線Rは加熱物の温度を示す。
【0005】また、特開平9−28564号公報に記載されるように、予熱工程Nにおいて予め決められている時間、内鍋を一定の温度Taに保つようにヒータを制御し、その際に加熱時間(ta+tb+…)と休止時間との比により容量を判定して炊飯工程Kでの加熱率を制御するものもあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の電気炊飯器では容量の判定を行っていないために容量に応じた炊飯が行われていなかった。また、吸水工程Jと炊飯工程Kとが明確に区別され、予熱工程Nの期間が予め決められていたために、加熱物の容量によっては不必要な時間を含む場合があり、炊飯する時間が長くなる原因になっていた。
【0007】一方、後者の電気炊飯器(特開平9−28564号公報)では、加熱物の容量を判定しているが、予熱工程Nで判定しているので、容量に応じて予熱工程Nを行うことができないばかりでなく、上述と同様に炊飯時間が長くなるおそれや、容量の判定が1回しか行われていないために容量判定が不正確になるおそれがあった。
【0008】また、両者の電気炊飯器はともに吸水工程Jにおいて内鍋の温度を一定の温度Taに保つようにしているが、図10に示すように加熱物の温度がなかなか温度Taまで到達しない場合があった。特に、初期水温Toが低い場合にその傾向が強く、加熱物の温度を適切に維持することは容易なことではなかった。
【0009】本発明は上記問題を解決するものであり、その目的とするところは、加熱物の容量に応じて適切な炊飯が可能となり、しかも、より速く炊飯できる電気炊飯器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明の第1の構成では、加熱物を入れる内鍋と、前記内鍋を加熱するヒータと、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、前記温度センサーからの温度情報に基づいて前記ヒータを制御して吸水工程及び炊飯工程を行う制御手段とを備えた電気炊飯器において、前記制御手段は、前記吸水工程を開始したときに第1の特定温度となるまで前記ヒータにより加熱を行い、前記内鍋の温度変化とその温度変化に要した時間との関係に基づいて前記加熱物の容量を判定し、前記吸水工程の時間を可変するようにしている。
【0011】このような構成によると、電気炊飯器はまず吸水工程で第1の特定温度となるまで加熱を行う。そして、例えばその特定の温度となるまでの時間を計ることにより、加熱物の容量を判定する。電気炊飯器は例えば加熱物が大容量であるときには、吸水工程の時間を短くする。吸水工程の時間が短くても炊飯の立ち上げには時間を要するので米への吸水は十分に行われる。逆に、小容量であるときには吸水が十分に行われるように吸水工程の時間を長くする。
【0012】また、本発明の第2の構成では、上記第1の構成において、前記制御手段は、前記第1の特定温度に到達した後に一定の期間前記ヒータをオフし、その期間経過による温度変化を仕切り値で比較して容量の大小を判定している。
【0013】このような構成では、第1の特定温度まで加熱を行い、ヒータをオフした後は、加熱物の容量が大きいときにはその温度変化が大きくなるので、電気炊飯器はある仕切り値と比較することにより容量の大小を判定することができる。
【0014】また、本発明の第3の構成では、上記第1の構成又は上記第2の構成において、前記吸水工程において、前記制御手段は前記第1の特定温度に到達後に前記ヒータをオフ状態としている。
【0015】このような構成では、吸水工程の立ち上げ時にはある程度高い温度に一旦内鍋を加熱する。その後、容量に応じてヒータをオフする時間を設けると、その期間で米への吸水が行われるで、一定の温度を保つように制御する場合と同様の吸水効果が得られる。
【0016】また、本発明の第4の構成では、上記第1の構成又は上記第2の構成において、前記吸水工程において、前記制御手段は、前記内鍋を一定の温度に保つように前記ヒータを制御し、その際に前記ヒータをオンした積算時間により前記加熱物の容量を判定している。
【0017】このような構成によると、電気炊飯器は加熱開始時に一度容量の判定を行った後に一定の温度に保つようにし、ヒータをオンした積算時間を計る。積算時間が長い場合には加熱物が大容量であると判断でき、逆に短い場合には小容量であると判断できる。これにより、再び容量判定が行われので判定が正確となる。さらに加熱制御も容量に応じて適切に行うことが可能となる。
【0018】また、本発明の第5の構成では、上記第1の構成乃至上記第4の構成のいずれかにおいて、前記制御手段は、前記炊飯工程の前記加熱物を沸騰させる炊飯立ち上げ工程における加熱率を前記加熱物の容量に応じて可変している。
【0019】このような構成によると、加熱物の容量が大きいときには電気炊飯器は炊飯立ち上げ工程での加熱率を高くする。これにより、一気に炊き上げることができる。逆に容量が小さいときには、過加熱を防止するために加熱率を低くする。
【0020】また、本発明の第6の構成では、上記第1の構成乃至上記第5の構成のいずれかにおいて、前記制御手段は、前記炊飯立ち上げ工程における加熱により前記加熱物が第2の特定温度となるまでの時間により前記加熱物の容量を判定している。
【0021】このような構成によると、電気炊飯器は炊飯工程の立ち上げ段階で立ち上がりが速いか遅いかにより容量の大小が判定できる。電気炊飯器はこの判定に基づいて加熱制御を行う。吸水工程の立ち上がり時だけでなく炊飯工程の立ち上げ時にも容量の判定を行っているので、さらに判定の正確さが増すことになる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態について図1〜図9を用いて説明する。図1は本実施形態の電気炊飯器の外観図である。基本的構造として、電気炊飯器は調理器本体1と蓋体2とから成り、図1には蓋体2を開いている状態を示す。調理器本体1には電源コード25により電源が供給される。
【0023】本体1の正面側にはパネル部28が設けられており、スイッチ操作等による信号の入力やメッセージの表示等が行われる。本体1には内鍋7が収容されている。蓋体2の内側には内蓋16と蒸気パッキン18と蒸気キャップ19とが設けられている。
【0024】図2はその電気炊飯器の縦断面図である。調理器本体1は本体外殻3、底蓋4及び外釜5で構成されている。本体1の内部に収容される内鍋7は着脱自在となっている。加熱ヒータには炊飯ヒータ11と横ヒータ12がある。内鍋7の温度を検出する検温部は、感熱板8、温度センサー9及び温度ヒューズ10から成る。加熱ヒータ11、12により温度が上昇し過ぎると温度ヒューズ10により回路が切られる。
【0025】また、本体1の底部には、電源コード25(図1参照)を巻き取り収納する電源コードリール13が設けられている。図2には電源コード25が巻き取られた状態を示す。蓋体2は外蓋14と外蓋カバー15と内蓋16と蓋ヒータ17と蒸気パッキン18と蒸気キャップ19で構成されている。
【0026】炊飯をするには、図2に示すように内鍋7に水26と米粒27を入れ、加熱ヒータ11、12により加熱を開始する。その後、温度センサー9からの温度情報に基づいて制御基板20によりヒータ11、12、17をコントロールする。炊飯時、内鍋7に生じる水蒸気は矢印21のように蒸気キャップ19、蒸気排出通路22を通り、蒸気排出口23より排出される。
【0027】本実施形態の回路のブロック図を図3に示す。制御基板20は炊飯ヒータ11、横ヒータ12及び蓋ヒータ17を制御する制御手段である。パネル部28でスイッチ操作等により信号を制御基板20に送り、逆に制御基板20からの信号によりメッセージ等の表示を行う。制御基板20は加熱を開始すると、温度センサー9からの温度情報に基づいて加熱物の容量の判定等を行い、炊飯ヒータ11、横ヒータ12、蓋ヒータ17のそれぞれにオン/オフ制御を行い、炊飯を行う。
【0028】次に図4及び図5を用いて加熱開始時に加熱物の容量の判定について説明する。図4には加熱物が大容量である場合の加熱物の温度と、温度センサー9等で構成された検温部で検出される内鍋7の温度(以下単に「検温部温度」という)の時間変化を示す。図5には加熱物が小容量である場合の加熱物の温度と検温部温度の時間変化を示す。検温部温度の時間変化は実線Sで、加熱物の温度の時間変化は点線Rで示す。
【0029】予熱立ち上げ工程Aにおいて、電気炊飯器は、指定されている炊飯メニューにかかわらず、検温部温度が特定の温度T1になるまで加熱する。制御基板20では加熱開始から温度T1に到達するまでの期間TAを計る。図4と図5を見比べても分かるように容量が大きい方が時間TAが長くなる。例えば制御基板20は、時間TAをある仕切り値と比較することにより加熱物の容量を判定する。
【0030】もしくは、初温T0による判定への影響を軽減するために時間TAで容量を判定せず、温度T1の到達後に加熱ヒータ11、12を一旦休止させて容量判定工程Bとする。容量判定工程Bでは一定の時間t12の経過後の温度T2により容量の判定を行う。本実施形態では、温度変化(T1−T2)がある仕切り値αよりも大きい場合に大容量であると判定し、逆に小さい場合に小容量であると判定する。これにより、予熱工程Cの開始前に加熱物の容量を判定することができる。
【0031】図4及び図5において下段に示す波形は加熱ヒータ11、12のオン/オフ状態を表している。予熱立ち上げ工程Aでは加熱ヒータ11、12は全期間オン状態となる。尚、加熱ヒータ11、12は全期間オンするのでなく、断続的にオンするようにしてもよい。次に容量判定工程Bで加熱ヒータ11、12はオフ状態となる。
【0032】その後、予熱工程Cでは、検温部温度が温度T3となるように制御基板20は温度センサー9からの温度情報に基づいて加熱ヒータ11、12を制御する。加熱物が大容量であるときには予熱工程Cを時間t23で行い、一方、小容量であるときに時間t24で行う。
【0033】工程A、B、Cは吸水工程である。予熱工程Cの終了後に炊飯工程となる。炊飯工程ではまず炊飯立ち上げ工程Dとなり、制御基板20は加熱率を高くして加熱ヒータ11、12を動作させる。尚、加熱率とは加熱ヒータ11、12をオンする時間の比率をいう。
【0034】炊飯立ち上げ工程Dにおいて加熱物が小容量である場合には図5に示すように短時間で立ち上がるため、米27の吸水が十分に行われるように十分な予熱工程Cの時間t23をとる必要がある。一方、加熱物が大容量である場合には図4に示すように炊飯立ち上げ工程Dでは加熱率を高くしても、加熱物の温度上昇は遅く、予熱工程Cの時間t23を短くしても十分な吸水を行うことが可能となる。そこで、時間t23をt24より短くする。
【0035】本実施形態では、さらに加熱物の容量判定を予熱工程Cでも行っている。以下この容量判定を含めて電気炊飯器の処理の一例について図8に示すフローチャートと図4、図5により説明する。加熱を開始すると、まず予熱立ち上げ工程Aで検温部温度が温度T1となるまで加熱した後に容量判定工程Bを容量判定工程Iとして、時間t12の間の温度差(T1−T2)を仕切り値αと比較する。尚、容量判定Iは前述したように予熱立ち上げ工程Aにおいて温度T1となるまでの時間で判定してもよい。
【0036】ステップS1で、T1−T2<αの場合にはステップS2に進み、加熱物は小容量であると判定する。そして、予熱工程Cとなり、予め決められている一定の時間t24の間、検温部温度を温度T3に保つようにする。一方、T1−T2≧αの場合にはステップS8に進み、加熱物は大容量であると判定する。そして、予熱工程Cとなり、予め決められている一定の時間t23の間、検温部温度を温度T3に保つようにする。
【0037】予熱工程Cにおいて電気炊飯器は、制御基板20で炊飯ヒータ11をオンした積算時間Σ(ta+tb+tc+…)を計り、ステップS3、S9でそれぞれ容量判定IIを行う。加熱物が大容量であれば図4に示すように加熱物の温度が温度T3に到達するのが遅くなるので、この積算時間は長くなる。そのため、この積算時間をある仕切り値と比較することにより容量を判定することができる。
【0038】ステップS2で加熱物が小容量であると判定されている場合にはステップS3で積算時間Σ(ta+tb+tc+…)を仕切り値βで比較する。Σ(ta+tb+tc+…)>βのときにはステップS6に進み、中容量であると判定する。一方、Σ(ta+tb+tc+…)≦βのときにはステップS4に進み、小容量であると判定する。
【0039】ステップS8で加熱物が大容量であると判定されている場合には、ステップS9で積算時間Σ(ta+tb+tc+…)を仕切り値γで比較する。時間t23と時間t24とは異なるので、仕切り値γはβとは異なる。
【0040】積算時間Σ(ta+tb+tc+…)≦γのときにはステップS6に進み、中容量であると判定する。一方、Σ(ta+tb+tc+…)>γのときにはステップS10に進み、大容量であると判定する。容量判定I及びIIにより小容量、中容量、大容量のいずれかに判定され、それぞれ加熱シーケンスS5、S7、S11で容量に応じてた加熱シーケンスで加熱が行われる。すなわち、炊飯立ち上げ工程Dとなり、沸騰させる。その後、沸騰維持工程となり、炊き上げ工程と蒸らし工程を経て炊飯を終了する。
【0041】また、電気炊飯器の処理を次のようにすることも可能である。すなわち、容量判定Iで加熱物の容量が大容量であると判定した場合には、図6に示すように炊飯立ち上げ工程Dにおいて加熱率を大きくとり、δ2とする。一方、小容量である判定した場合には、図7に示すように工程Dにおいて加熱率を小さくとり、δ1とする。加熱ヒータ11、12のオンとオフの一周期あたりのオン時間をそれぞれtx、tyとすると、δ2>δ1(tx>ty)となる。炊飯立ち上げ工程Dでは特定の温度T4となるまでの時間t56、t57を計り、さらに容量の判定を行う。
【0042】この容量判定を含めて電気炊飯器の処理のフローチャートを図9に示す。ステップS1でまず容量判定Iを行い、T1−T2<αの場合にステップS20に進み、加熱物が小容量であると判定する。次に、ステップS21では加熱ヒータ11、12をある一定時間オフしてその期間を予熱工程Cとする。そして、ステップS22で、加熱率δ1で炊飯立ち上げを行い、温度T4となるまでの加熱時間t57を計る。容量判定IIでは、加熱時間t57をある仕切り値Δ1と比較し、t57>Δ1のときにはステップS6に進み、中容量であると判定する。一方、t57≦Δ1のときにはステップS4に進み、小容量であると判定する。
【0043】一方、ステップS1の容量判定IでT1−T2≧αの場合にステップS23に進み、加熱物が大容量であると判定する。次に、ステップS24で容量に応じた一定時間ヒータ11をオフする。そして、ステップS25で加熱率δ2で炊飯立ち上げを行い、温度T4となるまでの加熱時間t56を計る。尚、ステップS21の期間よりもステップS24の期間の方が短くなっている。
【0044】t56≧Δ2のときにはステップS10に進み、大容量であると判定する。一方、t56<Δ2であるときにはステップS6に進み中容量であると判定する。そして、ステップS26、S27、S28で各容量に適した加熱シーケンスで加熱を行って、炊飯を終了する。
【0045】容量判定Iにより加熱物が小容量である場合には加熱ヒータ11、12をオフして米の吸水を行う休止時間を長くとり、一方、大容量である場合に休止時間を短くとる。小容量の場合には炊飯立ち上げ工程Dにおいて加熱物の温度が短時間で上昇するため、吸水に必要な予熱時間を十分にとる必要があるが、大容量である場合には温度上昇が遅く、予熱工程Cが短くても十分に吸水を行うことができる。そのため、炊飯時間を短縮することができる。予熱工程Cを短くしても炊飯立ち上げ時に容量判定IIで容量を判定することができるので、炊飯工程の加熱率を適切に決めることが可能となる。
【0046】本実施形態では、本体外殻3と外釜5の2重構造のため、予熱工程Cでは加熱ヒータ11による加熱を行わなくても加熱物の急激な温度変化がなく、十分な吸水効果が得られる。予熱立ち上げ工程Aで一度温度T1となるまで加熱を行っているので、吸水可能な温度は確保される。加熱ヒータ11、12をオフ状態とすることにより節電効果がある。また、予熱工程Cでは加熱を行っていないので温度センサー9では加熱ヒータ11、12からの影響が受けにくくなるため、温度検出精度が向上する。
【0047】上述の3種類の容量判定を組み合わせて、さらに判定を正確にすることができる。例えば、まず吸水工程において温度T1まで加熱をした後に加熱を休止し、容量判定Iでは一定の時間t12の経過後の温度T2から温度差(T1−T2)をある仕切り値αと比較し、容量を判定する。
【0048】次に容量判定IIで予熱工程Cにおいて検温部温度を温度T3に保ち、炊飯ヒータ11をオンした積算時間Σ(ta+tb+tc+…)をそれぞれ仕切り値でβ、γで判定する。これにより、前述したように小容量、中容量、大容量のいずれかに判定することができる。さらに炊飯立ち上げ時に各容量に応じた加熱率で加熱を行い、温度がT3からT4となるまでの時間t56を計り、容量判定IIIでは各容量によってそれぞれ決められた仕切り値で容量を判定する。
【0049】容量の判定回数が3回に増えているので容量判定の正確さが増大する。例えば、容量判定IIとIIIが異なった場合、判定に重みをつけて間をとることや容量が大きい方の判定をとることなどのように判定に優先順位を決めておくことにより、容量の判定がより正確となる。
【0050】もしくは、容量判定IIで小容量、中容量、大容量に分けた後に、容量判定IIIでさらに容量の段階を分岐してそれぞれの加熱シーケンスで加熱を行うようにしてもよい。これにより、炊飯容量に応じて炊飯工程の加熱率を細かく決めることが可能となり、美味しいご飯をたくことができる。
【0051】以上説明したように本実施形態によれば、炊飯メニューにかかわらず、温度T3よりも高い温度T1まで加熱しているので、加熱物が温度T3に到達する時間が上記従来の電子炊飯器よりも短縮される。これにより、米27への吸水が促進され、炊飯時間が短縮される。特に初期水温Toが低いときに有効である。図9に示す処理例のように予熱工程Cでは加熱ヒータ11、12をオフした状態としても米への吸水は十分に行われる。
【0052】加熱の初期段階で容量が判定されるので、容量に応じて予熱工程Cを設定することができる。そのため、過度の吸水による炊飯終了時の米粒のべたつきや軟らかすぎ、逆に吸水不足による硬さを未然に阻止でき、どの容量でも美味しいご飯を炊くことができる。また、不要な吸水時間を省略されるので炊飯時間の短縮にもなる。
【0053】容量の判定を何回も行っているので容量に応じた加熱シーケンスを細かく設定することも可能となる。小容量のときには、炊飯立ち上げ工程Dでは加熱率を下げて過加熱による米粒の損傷やべたつきを阻止することができる。大容量のときには、加熱率を上げて一気に炊き上げることができる。さらに、複数の容量判定を行っているので判定の正確さが増す。
【0054】
【発明の効果】
<請求項1の効果>以上説明したように本発明によれば、電気炊飯器は予熱工程を開始したときにある特定の温度となるまで加熱を行う。その後、例えば第1の特定温度となるまでの時間をある仕切り値と比較することにより容量の判定をすることができる。この容量の判定により米への吸水を行う予熱工程の時間をそれぞれ設定することができるので、予熱工程には不要な時間がなくなり、炊飯時間の短縮が図られる。また、過度の吸水や吸水不足も未然に阻止できるので炊飯の性能も安定し、どの容量でも美味しいご飯を炊くことができる。
【0055】<請求項2の効果>第1の特定温度まで加熱を行った後の温度変化により容量を判定しているので初期温度の違いによる判定への影響が軽減されている。
【0056】<請求項3の効果>前記特定の温度を高めに設定しておくことにより、米への吸水を行う工程ではヒータをオフ状態としたままにしても吸水が十分に行われる。ヒータをオフしているので節電の効果もあり、また、ヒータによる温度センサーへの影響も低減される。
【0057】<請求項4の効果>予熱工程においてヒータをオンした積算時間を計ることにより容量の判定ができるので、判定の正確さが増大する。また、容量に応じて細かく加熱制御を設定することも可能となる。
【0058】<請求項5の効果>加熱物が小容量である場合には、炊飯立ち上げ工程で加熱率を低くして過加熱による米粒の損傷やべたつきを防止することができる。逆に、大容量である場合には、加熱率を高くして一気に炊き上げることにより美味しいご飯をたくことができる。
【0059】<請求項6の効果>炊飯立ち上げ工程で加熱による温度上昇の速さから加熱物の容量を判定することができる。また、上述の容量判定と組み合わせることにより、さらに正確に判定することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫
【公開番号】 特開平11−265
【公開日】 平成11年(1999)1月6日
【出願番号】 特願平9−151801