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【発明の名称】
【発明者】 【氏名】中北 幸男

【要約】 【課題】汎用の箸の扱いが不自由な人でも、容易かつ確実に食べ物などをつかむことのできる箸を提供すること。

【解決手段】箸1は、それぞれ棒状に形成されて並置される1対の箸本体2,2がそれぞれの末端部3,3でバネ体5を介して連結されている。バネ体5はそのバネ端が末端部3,3の装着溝4,4に取り付けられており、各箸本体2,2の先端部36,36を被把持物25の外形寸法を超える位置まで開く付勢力(矢印32方向)を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 それぞれ棒状に形成されて並置される1対の箸本体がそれぞれの末端部でバネ体を介して連結され、バネ体は各箸本体の先端部を被把持物の外形寸法を超える位置まで開く付勢力を備えていることを特徴とする箸。
【請求項2】 1対の箸本体は、それぞれの末端部近傍で分割可能に連結された割箸であることを特徴とする請求項1に記載の箸。
【請求項3】 それぞれ棒状に形成されて並置される1対の箸本体を、末端部で固定される固定側箸本体と、この固定側箸本体に対し揺動する揺動側箸本体とから構成し、固定側箸本体の末端部を固定するとともに固定側箸本体に対し揺動自在に揺動側箸本体の末端部を枢支する枢支部を有し、揺動側箸本体の末端部と枢支部とをバネ体で連結し、バネ体は揺動側箸本体を固定側箸本体から開く付勢力を備え、固定側箸本体の先端部と揺動側箸本体の先端部との間が被把持物の外形寸法を超える位置で揺動側箸本体を揺動停止させる係止部を枢支部に設けたことを特徴とする箸。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容易にかつ確実に食べ物などをつかむことのできる箸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アジア人にとって、箸は幼少の頃から馴れ親しんだ棒状1対の食器であり、一般の人であれば箸を用いて食べ物をつかんだり、持ち上げたり、突き刺したりして自由に口に運ぶことができる。また、箸に慣れてしまえば、つまみにくいとされる生米粒や豆といった、小粒で丸く硬いものまでもいとも簡単につまみ上げることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、箸を扱い始めて間もない外国人や2〜3歳児などのように箸に不慣れな人、あるいは利腕の負傷や脳障害などによって反対側の手で食べなければならない人などのように、箸の扱いが不自由な人は予想以上に数多くいる。このような箸の扱いに不自由な人にとっては、ホテル,旅館,飲食店その他の飲食場所で御馳走が目の前にあり箸が置かれていたとしても、箸で口に運ぶこと自体が思うままにならず、折角の御馳走も美味しく頂けないことが多々ある。
【0004】本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、汎用の箸の扱いが不自由な人でも、容易かつ確実に食べ物などをつかむことのできる箸の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る箸は、それぞれ棒状に形成されて並置される1対の箸本体がそれぞれの末端部でバネ体を介して連結され、バネ体は各箸本体の先端部を被把持物の外形寸法を超える位置まで開く付勢力を備えている構成にしてある。
【0006】また、前記構成における1対の箸本体が、それぞれの末端部近傍で分割可能に連結された割箸であるものである。
【0007】そして、それぞれ棒状に形成されて並置される1対の箸本体を、末端部で固定される固定側箸本体と、この固定側箸本体に対し揺動する揺動側箸本体とから構成し、固定側箸本体の末端部を固定するとともに固定側箸本体に対し揺動自在に揺動側箸本体の末端部を枢支する枢支部を有し、揺動側箸本体の末端部と枢支部とをバネ体で連結し、バネ体は揺動側箸本体を固定側箸本体から開く付勢力を備え、固定側箸本体の先端部と揺動側箸本体の先端部との間が被把持物の外形寸法を超える位置で揺動側箸本体を揺動停止させる係止部を枢支部に設けたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る箸を示す正面図である。図において、この実施形態の箸1は、それぞれ棒状に形成されて並置される1対の箸本体2,2を備えて成っている。各箸本体2の末端部3には装着溝4がそれぞれ形成されている。これらの装着溝4には板バネ状のバネ体5の端部がそれぞれ装着され接着剤などで固定されている。これにより、各箸本体2はそれぞれの末端部3でバネ体5を介して連結されている。バネ体5はここでは竹表皮の外面に火炎を当てつつ湾曲させた板状のものを用いている。このバネ体5は各箸本体3の先端部36を被把持物25(食べ物など)の外形寸法を超える位置まで開く付勢力(矢印32方向)を備えている。尚、バネ体5は板状でなく線状やコイル状のものでよく、竹表皮でなく金属材やプラスチック材その他を用いても構わない。
【0009】引続き、上記した構成の箸1を使用する態様を図2を用いて説明する。まず、箸1の末端部3側を親指と人差指の付け根近傍に置き、一方の箸本体2を親指や中指などで保持する。次に、人差指を他方の箸本体2の上に添える。そうして、両方の箸本体2,2の先端部36,36(図1参照)を被把持物の両側方に持っていく。そこで、他方の箸本体2を人差指一本で押すと(図中矢印6方向、および2点鎖線で示す箸本体2参照)、先端部36,36で被把持物を確実に挟んでつまみ上げることができる。
【0010】上記したように、この実施形態の箸1によれば、一方の箸本体2を親指や中指などで保持して他方の箸本体2に人差指を添え、この人差指一本で押すだけなので容易であり、汎用の箸の扱いが不自由な人でも食べ物などを確実につかむことができる。また、2本の箸本体2,2が一体となっているので、片方だけを紛失するといったことがない。
【0011】一方、図3に示した箸1aでは、予め割溝7により多くの部分が分離されていてそれぞれの末端部3,3近傍で連結部8により連結された割箸2aから、1対の箸本体2,2が構成されている。この箸1aは、使用にあたり割箸2aが連結部8の部分で割られ、箸本体2,2として用いられる。すなわち、箸1aによれば、使用が簡便で安価な割箸として提供される。また、使用直前までは箸本体2,2が連結されているため、コンパクトで収容性がよい。従って、この箸1aは補助的な割箸として各種の宿泊施設や飲食店に常備しておけば、極めて有用となる。
【0012】他方、図4に示した箸1bは、箸本体2,2とバネ体5aがもともと一体に構成されたものである。この箸1bは、図5に示すように、表皮部10と茎肉部11とから成る竹材9を用いて製作される。まず、バネ体5aとなる表皮部10を残し当該部分の茎肉部11が切除部12として鋸やナイフで取り除かれる。切除部12の両側に残った茎肉部11,11は箸本体2,2となる。そこで、残した表皮部10の外面に火炎を当てつつ湾曲させてバネ体5aとすると、一体的な竹製の箸1bができ上がる。従って、この箸1bは、部品点数が少なく、比較的簡単に製作できて安価である。また、見た目もシンプルで使いやすい。
【0013】ここで、図6および図7のように、一方の箸本体が末端部近傍で他方の箸本体に対し枢支連結された箸1cを例示する。この箸1cでは、1対の箸本体として、固定側箸本体2bおよびこの固定側箸本体2bに対し揺動する揺動側箸本体2cが用いられる。固定側箸本体2bは末端側の末部本体16と先端側の先部本体14とから成っている。末部本体16と先部本体14とはそれぞれの雄ねじ部18と雌ねじ部20の螺合により着脱可能に接続されている。揺動側箸本体2cは末端側の末部本体15と先端側の先部本体13とから成っている。末部本体15と先部本体13とはそれぞれの雄ねじ部17と雌ねじ部19の螺合により着脱可能に接続されている。
【0014】枢支部21は正面が開口した箱状のケーシング22と、ケーシング22の正面開口を封止する蓋23とから成り、ケーシング22の内面中央部近傍にピン24が立設されている。枢支部21内の片側面には末部本体16の末端部3aが固設されている。また、末部本体15の末端部3bから延設された平板部26が、枢支穴27においてピン24に嵌挿され固定側箸本体2bに対し揺動自在に枢支されている。
【0015】ケーシング22および蓋23を組み立てた状態で、枢支部21の下面は開口しており、揺動する末部本体15を案内する案内用長穴35となっている。枢支部21における案内用長穴35の内側縁は係止部34と成っている。この係止部34は、固定側箸本体2bの先端部38と揺動側箸本体2cの先端部37との間が被把持物25(図1参照)の外形寸法を超える位置で揺動側箸本体2cの末部本体15を揺動停止させる位置に設定されている。
【0016】そして、例えば鋼線から成るコイル状のバネ体28がピン24に装着されている。このバネ体28は一方のバネ端が末部本体16の末端部3a側面に当てがわれ他方のバネ端が揺動側の末部本体15の末端部3b側面に当てがわれている。結果的に、バネ体28は揺動側箸本体2cと枢支部21のケーシング22とを弾性連結している。また、バネ体28は揺動側箸本体2cを固定側箸本体2bから矢印33方向に開く付勢力を備えている。更に、箸1cは不使用時の固定側箸本体2bおよび揺動側箸本体2cを収容する中空箱状の箸箱30を備えている。この箸箱30は枢支部21の嵌合凹部29と着脱自在に嵌合する嵌合凸部31を有しており、嵌合凸部31の内側が箸収容可能な大きさに開口している。
【0017】上記した構成の箸1cを使用するにあたっては、図8に示すように、まず枢支部21を親指と人差指の付け根近傍に置き、固定側箸本体2bを親指と中指などで保持する。次に、人差指を揺動側箸本体2cの上に添える。そうして、先部本体13,14の各先端部を被把持物25(図1参照)の両側方に持っていく。そこで、揺動側箸本体2cを人差指一本で押すと(図中矢印6方向、および2点鎖線で示す先部本体13参照)、揺動側の末部本体15がピン24回りに揺動しそのうえ案内用長穴35に沿って案内されるので、揺動側箸本体2cの先端部が固定側箸本体2bの先端部に正確に近づく。これにより、両方の先端部で被把持物を確実に挟んでつまみ上げることができる。
【0018】すなわち、前記の箸1cによれば、揺動側箸本体2cを人差指1本で押すだけで、極めて簡単、かつ、より確実に被把持物25をつかむことができる。また、先部本体13,14は末部本体15,16に対し着脱式であり、取外した先部本体13,14だけを洗うこともできるので、食器洗いが簡素化され衛生的である。そして、使用しないときは、枢支部21の嵌合凹部29に箸箱30の嵌合凸部31を装着することにより、箸箱30によって固定側箸本体2bおよび揺動側箸本体2cを密封できるので、衛生的であり持ち運びに便利となる。
【0019】尚、本発明に係る箸の材料としては、上記した各例のものに限らず、杉材,竹材,プラスチック材,ステンレス鋼などの金属材などといった汎用材料を用いることができる。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る箸によれば、それぞれの箸先端部を被把持物の外形寸法を超える位置まで開くバネ体を介して、1対の箸本体がそれぞれの末端部で連結されているので、汎用の箸の扱いが不自由な人でも一本の指により片方の箸本体を内向きに押すだけで、食べ物などの被把持物を容易にしかも確実につかむことができる。従って、本発明の箸は、ホテル,旅館,飲食店,幼稚園,病院,介護施設などで用いるのに極めて好適である。
【0021】また、1対の箸本体をそれぞれの末端部近傍で分割可能に連結してあるので、食べ物などの被把持物を確実につかめるのは無論のこと、使用が簡便で安価な割箸として適用できる。
【0022】そして、枢支部を基にして固定側箸本体を固定し揺動側箸本体を揺動自在に枢支にした箸であれば、揺動側箸本体を人差指1本で押すだけで枢支揺動により揺動側箸本体の先端部が固定側箸本体の先端部に正確に近づくので、極めて簡単に、かつ、より一層確実に被把持物をつかむことができる。
【出願人】 【識別番号】598069881
【氏名又は名称】中北 幸男
【出願日】 平成10年(1998)5月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 巌 (外1名)
【公開番号】 特開平11−332720
【公開日】 平成11年(1999)12月7日
【出願番号】 特願平10−146830