| 【発明の名称】 |
食 器 |
| 【発明者】 |
【氏名】大石 朋広
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| 【要約】 |
【課題】カレー等の食品色移り性が少なく、機械的特性、耐薬品性、耐熱性、食品衛生性に優れ、かつマテリアルリサイクルが可能な熱可塑性ポリエステル樹脂からなる食器を提供する。
【解決手段】下記式で定義される色相変化Δb*が5以下であり、示差走査熱量計(DSC)により測定されるガラス転移温度が110℃以上である熱可塑性ポリエステル樹脂からなる食器。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記式で定義される色相変化Δb*が5以下であり、示差走査熱量計(DSC)により測定されるガラス転移温度が110℃以上である熱可塑性ポリエステル樹脂からなる食器。 Δb*=b*t−b*ib*i:処理前の色差計による成形品のb*値b*t:水1000gに対しカレー粉40gを混ぜた80℃のカレー液に成形品を10分間浸漬させ、浸漬後成形品重量に対し500倍以上の水で5分間攪拌洗浄後、1時間以内に色差計で計測した成形品のb*値【請求項2】 熱可塑性ポリエステル樹脂がポリエチレンナフタレートである請求項1記載の食器。 【請求項3】 ポリエチレンナフタレートがポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートである請求項1記載の食器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、耐移色性に優れる同時に、耐熱性、機械的強度に優れる食器に関する。さらに詳しくは、ガラス転移温度が110℃以上であり耐熱性に優れ、カレー等の食器への移色性が少なく、かつ機械的強度も十分兼ね備えた熱可塑性ポリエステル樹脂からなる食器に関する。 【0002】 【従来の技術】樹脂製の食器として用いられているプラスチックとして、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、また、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂がある。しかしながら、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂は、食器としての機能は果せるものの、成形品が3次元架橋した硬化物のため、基本的にマテリアルリサイクルができず、環境面に対し好ましくないところがある。また、原料に人体に有毒なホルムアルデヒドを使用しているため、食器からホルムアルデヒドが検出される問題等もあり好ましくない。ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂は安価で耐薬品性には優れるものの、熱変形温度が低く、耐熱性、剛性に劣る。ポリエーテルイミド、ポリスルホン、液晶ポリマー等のエンジニアリングプラスチックスは機械的特性、耐熱性等に優れるが材料が高価である。また、食器に透明性を付与するために、ポリスチレン等の樹脂もしばしば用いられるが、衝撃強度が低いのが難点となっており、また、ポリカーボネートは透明性、機械的強度は良好なものの、耐薬品性に劣るのが難点である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明者等の知見によれば、マテリアルリサイクルも可能で、耐熱性、機械的特性、食品衛生性、耐薬品性があり、食品色素等の食器への色移り性が出来るだけ少ない材料が樹脂製食器に対して求められる。その候補材料の一つとしてポリエステル系樹脂が挙げられる。現在、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある)は食品包装用材料として、ボトル、容器等に使用されている。しかしながら、特定な食品、例えばカレー等は食品色素が強く、食器への着色性が強いため、特に80℃以上の温度でカレーが食器に盛られていると、食器へカレーの色が移る問題がある。現在、汎用的に射出成形用に用いられているポリエステル樹脂として、PETやポリブチレンテレフタレート(以下、PBTということがある)、またはそれらのポリマーアロイ等があるが、機械的特性、食品衛生性、耐薬品性は満足するレベルにあるものの、カレー等の色移り性が大きく、食器等の用途にはいずれも適当であるとはいえなかった。 【0004】本発明の課題は、カレー等の食品の色移り性が少なく、機械的特性、耐薬品性、耐熱性、食品衛生性に優れ、かつ透明性を有する熱可塑性ポリエステル樹脂からなる食器を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、下記式で定義される色相変化Δb*が5以下であり、示差走査熱量計(DSC)により測定されるガラス転移温度が110℃以上である熱可塑性ポリエステル樹脂からなる食器である。 Δb*=b*t−b*ib*i:処理前の色差計による成形品のb*値b*t:水1000gに対しカレー粉40gを混ぜた80℃のカレー液に成形品を10分間浸漬させ、浸漬後成形品重量に対し500倍以上の水で5分間攪拌洗浄後、1時間以内に色差計で計測した成形品のb*値【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明でいう食器とは、一般家庭向けの各種形状の食器、或いは、レストラン、ファーストフード、カフェテリア、喫茶店等の業務用で使用される各種形状の食器ほか、各種料理、食品、飲料等を盛り付ける機能を果す容器として特に限定ないものである。 【0007】本発明の食器は、下記式で定義される色相変化Δb*が5以下である。 Δb*=b*t−b*ib*i:処理前の色差計による成形品のb*値b*t:水1000gに対しカレー粉40gを混ぜた80℃のカレー液に成形品を10分間浸漬させ、浸漬後成形品重量に対し500倍以上の水で5分間攪拌洗浄後、1時間以内に色差計で計測した成形品のb*値Δb*が5以上であると、カレー液の色移り性が大きく、樹脂製食器としての耐色移り性が低い。 【0008】本発明において、上記の要件を満足する食器に用いられる樹脂は、ガラス転移温度が110℃以上の熱可塑性ポリエステル樹脂である。熱可塑性ポリエステル樹脂は、好ましくはナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエチレンナフタレート(以下、PENということがある)であり、さらに好ましくはナフタレン−2,6−ジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエチレン−2,6−ナフタレートである。なお、PENは繰り返し単位の全部または大部分(通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上)がエチレンナフタレートであるポリエステルである。 【0009】また、このポリエステルには物性を損なわない範囲で、次の成分、すなわち、ジカルボン酸成分、グリコール成分、オキシカルボン酸成分の共重合が可能である。すなわち、酸成分としては、ナフタレンジカルボン酸以外の芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェニルスルフィドジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、脂環族ジカルボン酸、例えばシクロヘキサンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸等が例示される。 【0010】グリコール成分としては1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルケトン、ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ジヒドロキシジフェニルスルフォン等が例示される。 【0011】オキシカルボン酸成分としては、オキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシジフェニルカルボン酸、ω−ヒドロキシカプロン酸等が例示される。 【0012】また、ポリエステルが実質的に成形性能を失わない範囲で三官能以上の化合物、例えばグリセリン、トリメチルプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸等を共重合して良い。 【0013】かかるポリエステルは、ナフタレンジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とエチレングリコール及び/またはそのエステル形成性誘導体とを、従来公知の芳香族ポリエステルの製造方法を用いて重縮合させて得ることができる。本発明において用いられるPENは、成形性、機械的特性の観点から極限粘度数が0.3以上であることが望ましい。なお、この極限粘度数とは、テトラクロロエタン:フェノール=4:6の混合溶媒中で35℃で測定されるた値である。 【0014】本発明での食器成形品のガラス転移温度は110℃以上であることが必要であるが、ガラス転移温度が110℃以上であることにより、カレー等の食器への色移り性が抑制され、かつ、食器としての耐熱性を備える。他方、ガラス転移温度が110℃以下であると、色移り性が大きくなり、耐熱性も劣る。 【0015】また、本発明の食器の成形方法として、例えば、射出成形が一般に行われるが、熱可塑性ポリエステル樹脂を成形する方法を適用でき特に限定はない。 【0016】本発明の食器には、その物性と食器としての衛生性を著しく損なわない範囲で、他の添加剤、例えば強化剤、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、離型剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、結晶核剤、充填剤、衝撃改良剤等を添加することができる。 【0017】 【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。なお、物性値の測定条件は次の通りである。 【0018】(1)ガラス転移温度JIS K7121に準拠する方法で食器成形品のガラス転移温度を測定した。測定条件は、開始温度30℃、終了温度290℃、加熱速度20℃/分で、装置はデュポン社製差動走査熱重量計2910を使用した。 【0019】(2)カレー液色移り性射出容量5オンスの射出成形機にて、100×60mm、厚さ1.5mmの平板状成形品を作成しこれを試験片とした。この試験片を成形後、温度23±3℃、湿度50±5%で24時間以上調湿し、東京電色(株)社製色差計TC−1800MK2でb*を測定し、この値をb*iとした。その後、水1000gに対しS&B(株)社製レストラン用カレー粉40gを80±5℃で混合し、その温度に保持したカレー液に試験片を10分間浸漬した。浸漬後、成形品重量の500倍以上の水で5分間攪拌洗浄し、表面の水分を除去後、前述色差計でb*を測定し、この値をb*tとした。このとき、下記式Δb*=b*t−b*iにより、Δb*を求めた。Δb*が小さいほどカレー色移り性が小さく食器として良好である。 【0020】(3)引張強度ASTM D638に準拠して測定した。なお、試験片は射出容量5オンスの射出成形機にて成形した。 【0021】(4)耐薬品性上述(2)で示した平板成形片を試料とし、この試料を、アセトン、酢酸エチル及びトルエンに浸漬し、外観変化を調べた。浸漬条件は、各々室温にて7日間浸漬とした。判定基準は下記に示す。 ○:変化無し△:変形、クラック、膨潤あり(軽微) ×:変形、クラック、膨潤、溶解あり【0022】(5)透明性上述(2)で示した平板成形品を試料につき、透明性を目視で判定した。透明性のあるものは○、無いものは×とした。 【0023】(6)耐熱性荷重撓み温度(熱変形温度)をJIS K7207(A法)に従い測定した。なお、装置は(株)安田精機製作所製148−HDAを使用し、試験片は射出容量5オンスの射出成形機にて成形した。 【0024】実施例において、食器に用いられたポリエステル樹脂組成物を組成する原材料を以下に示す。 PEN1:ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、極限粘度数=0.70、帝人(株)製PEN2:ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、極限粘度数=0.50、帝人(株)製PBT:ポリブチレンテレフタレート、極限粘度数=0.88、帝人(株)製PET:ポリエチレンテレフタレート、極限粘度数=0.71、帝人(株)製PC:ポリカーボネート、帝人化成(株)製【0025】[実施例1]熱可塑性ポリエステル樹脂として上記PEN1を使用した。ガラス転移温度は110℃以上であり、カレー色移り性は少なく、強度も大きく、耐熱性も良好であり、食器用樹脂として好適なものであった。 【0026】[実施例2]熱可塑性ポリエステル樹脂として上記PEN2を使用した。ガラス転移温度は110℃以上であり、カレー色移り性は少なく、強度も大きく、耐熱性も良好であり、食器用樹脂として好適なものであった。 【0027】[比較例1]熱可塑性ポリエステル樹脂として上記PBTを使用した。ガラス転移温度は110℃以下であり、カレー色移り性は大きく、食器用樹脂として不適であった。 【0028】[比較例2]熱可塑性ポリエステル樹脂として上記PETを使用した。ガラス転移温度は110℃以下であり、カレー色移り性は大きく、食器用樹脂として不適であった。 【0029】[比較例3]熱可塑性ポリエステル樹脂として上記PBTおよびPETをPBT/PET=70/30(重量%)の比率で成形機でペレットブレンドしたものを使用した。ガラス転移温度は110℃以下であり、カレー色移り性は大きく、食器用樹脂として不適であった。 【0030】[比較例4]樹脂として上記PCおよびPBTをPC/PBT=70/30(重量%)の比率で成形機でペレットブレンドしたものを使用した。ガラス転移温度は110℃以下であり、カレー色移り性は大きく、食器用樹脂として不適であった。 【0031】[比較例5]樹脂としてPCを使用して評価した。ガラス転移温度は110℃以上であり、カレー色移り性は小さく良好であったが、耐薬品性に劣り、食器用樹脂として不適当であった。以上の結果を表1にまとめて示す。 【0032】 【表1】
【0033】 【発明の効果】本発明によれば、カレー等の食品色移り性が少なく、機械的特性、耐薬品性、耐熱性、食品衛生性に優れ、かつマテリアルリサイクルが可能な熱可塑性ポリエステル樹脂からなる食器を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003001 【氏名又は名称】帝人株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)5月28日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】前田 純博
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| 【公開番号】 |
特開平11−332717 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)12月7日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−147382 |
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