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【発明の名称】 吊下具
【発明者】 【氏名】日下部 直己

【氏名】三輪 眞己

【氏名】早坂 里美

【氏名】昼間 孝良

【要約】 【課題】吊下具の基板部を被取付面に固着したままの状態において、装飾シールのみを容易、かつ、きれいに交換することができるようにする。

【解決手段】硬質合成樹脂などからなる板状の基板部2と、同基板部2の下辺に設けられたフック部3とを備え、基板部2の裏面が両面粘着テープや釘などの固着手段4を介して壁面などの被取付面に固定され、基板部2の表面側に粘着剤を介して装飾シール5が貼着される吊下具において、基板部2の表面側に、装飾シール5の粘着剤に対して低接着性を呈する剥離処理手段6を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 硬質合成樹脂などからなる板状の基板部と、同基板部の一辺に設けられたフック部とを備え、上記基板部の一方の面が両面粘着テープや釘などの固着手段を介して壁面などの被取付面に固定され、上記基板部の他方の面に粘着剤を介して装飾シールが貼着される吊下具において、上記基板部の他方の面には、上記装飾シールの粘着剤に対して低接着性を呈する剥離処理手段が施されていることを特徴とする吊下具。
【請求項2】 上記剥離処理手段が、上記基板部の他方の面に直接的に塗布された剥離処理剤よりなることを特徴とする請求項1に記載の吊下具。
【請求項3】 上記剥離処理手段が、一方の面が粘着剤を介して上記基板部の他方の面に貼着され、他方の面側に剥離処理剤が塗布されたシート体からなり、同シート体の他方の面側に上記装飾シールが貼着されることを特徴とする請求項1に記載の吊下具。
【請求項4】 上記剥離処理手段が、上記基板部の他方の面に形成された微細な凹凸面からなることを特徴とする請求項1に記載の吊下具。
【請求項5】 上記微細な凹凸面に剥離処理剤が塗布されていることを特徴とする請求項4に記載の吊下具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は壁などに物を吊下げる際に使用される吊下具に関し、さらに詳しく言えば、吊下具に貼着される装飾シールを好みなどに応じて簡単に取り替えることができるようにした一般にフックと称される吊下具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6の斜視図およびその断面図である図7(ただし、フック部は省略)に示されているように、この種の吊下具1は、その一般的な構成として、例えば硬質合成樹脂からなる板状の基板部2と、同基板部2の一辺(下辺)に設けられたフック部3とを備えている。フック部3は合成樹脂により基板部2と一体成形される場合と、金属製として基板部2に取り付けられる場合とがある。
【0003】この例では、基板部2の一方の面(裏面;図7において左側の面)21には、両面粘着テープ4が貼着されており、吊下具1はこの両面粘着テープ4を固着手段として図示しない壁や家具などの被取付面に固定される。なお、釘によって被取付面に取り付けられる場合もある。
【0004】ほとんどの場合、基板部2の他方の面(表面;図7において右側の面)22には、例えばキャラクターや所定の図柄などが印刷されたラベルやシールもしくはステッカー(本明細書において、これらのものを総称して「装飾シール」という。)5が粘着剤を介して貼着されている。
【0005】なお、この例では、低学年向き(例えば、幼稚園向き)のものとして、自他の吊下具の判別を容易とするため、その装飾シール5に自分の名前などが書き込むことができるようにされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】引き続き低学年向きのものとして、幼稚園の場合を例して説明すると、その学年が変わるたびに、装飾シール5もしくは吊下具1自体を変える必要がある。また、成人にしても、気分などを変えるため、装飾シール5の図柄を別のものにしたい場合がある。
【0007】しかしながら、吊下具1の裏面21に貼着されている両面粘着テープ4には、例えば数Kgオーダーの吊り下げ荷重に耐え得るようにするため、かなり強力な粘着力を有するものが用いられており、簡単には外すことができない。
【0008】また、仮に外せたとしても、両面粘着テープ4の跡が被取付面に残ったり、被取付面が例えば印刷化粧板などの場合には、その印刷が剥がされてしまうことがある。さらに、釘打ちの場合には、その釘孔が被取付面に残るため、それをきれいにするには釘孔をパテなどで補修しなければならない。
【0009】そこで、吊下具1はそのままにして、装飾シール5のみを変えられればよいのであるが、装飾シール5にしても、同様に強力な粘着剤によって基板部2の表面22に貼り付けられているのが実情であり、簡単には貼り替えることができない。
【0010】このように、従来においては、一旦取り付けた吊下具1を装飾シール5を含めて交換することは、事後の見栄えを含めてきわめて困難であり、この点についての改善が求められていた。
【0011】なお、既存の装飾シールの上に新たな装飾シールを重ね貼りすることも考えられるが、既存の装飾シールを隠すには、まず、それと同じ大きさか、それによりも大きな装飾シールを選択しなければならないという制約がある。また、新たな装飾シールが既存の装飾シールと同じ大きさであっても、重ね貼りによる分厚い感じは否めず、却ってイメージを損なうことになり兼ねない。
【0012】本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、吊下具の基板部は被取付面に固着されたままにしても、装飾シールを容易、かつ、きれいに交換することができるようにした吊下具を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、硬質合成樹脂などからなる板状の基板部と、同基板部の一辺に設けられたフック部とを備え、上記基板部の一方の面が両面粘着テープや釘などの固着手段を介して壁面などの被取付面に固定され、上記基板部の他方の面に粘着剤を介して装飾シールが貼着される吊下具において、上記基板部の他方の面には、上記装飾シールの粘着剤に対して低接着性を呈する剥離処理手段が施されていることを特徴としている。
【0014】この場合、上記剥離処理手段は、上記基板部の他方の面に直接的に塗布された剥離処理剤より構成されていてもよいし、また、上記剥離処理手段が、一方の面が粘着剤を介して上記基板部の他方の面に貼着され、他方の面側に剥離処理剤が塗布されたシート体からなり、同シート体の他方の面側に上記装飾シールが貼着される態様であってもよい。
【0015】ここで、剥離処理剤とは、基板部やシート体に対しては強固に密着し、他方、粘着剤に対しては低接着性であるという相矛盾した性質を有しているものを言う。
【0016】このような相矛盾した性質を実現させる方法としては、基板部やシート体への密着性の良好な官能基含有のモノマーと、粘着剤に対して低接着性である表面エネルギーの小さなモノマーとを共重合させるか、もしくは基板部やシート体に密着性の良好なポリマーに低エネルギー表面を有する物質をグラフト重合させるなどの方法が知られている。
【0017】基板部やシート体に対して密着性の良好な物質は、その基板部やシート体の種類によって選択される。例えば、セロハンや紙などに対しては、官能基としてOH,COOHなどを持つ物質が選ばれ、塩化ビニルの場合には、CN基を有する物質が選択される。
【0018】また、低エネルギー表面を有する物質としては、長鎖アルキル基,フッ素,硅素などが選択される。なお、粘着力がそれほど強くないか、もしくは粘着剤がアクリル系などで極性がある場合には、基板部やシート体に対して密着性のある合成樹脂のみで、剥離処理の目的が十分に達せられる場合もある。
【0019】本発明の別の態様として、上記剥離処理手段は、上記基板部の他方の面(表面)に形成された微細な凹凸面であってもよい。この微細な凹凸面は梨地面もしくはシボ面とも呼ばれ、装飾シールの接着面積が小さくなることから、その接着力を弱めて装飾シールをきれいに剥がすことができる。この場合においても、その微細な凹凸面にさらに剥離処理剤を塗布してもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】まず、図1の斜視図およびその断面図である図2に基づいて、本発明の第1実施例としての吊下具1Aを説明する。なお、図2には作図の都合上、フック部は示されていない。
【0021】この吊下具1Aも、先に説明した従来例と同様に、例えば硬質合成樹脂からなる板状の基板部2と、同基板部2の一辺(下辺)に設けられたフック部3とを備えている。フック部3は合成樹脂により基板部2と一体成形されるたものであってもよいし、金属製として基板部2に取り付けられたものであってもよい。
【0022】また、基板部2の裏面(図2において左側の面)21には、両面粘着テープ4が貼着されており、吊下具1Aはこの両面粘着テープ4を固着手段として図示しない壁や家具などの被取付面に固定される。なお、釘によって被取付面に取り付けられるようにしてもよい。
【0023】この第1実施例において、基板部2の表面(図2において右側の面)22には、剥離剤層6が設けられており、この剥離剤層6に粘着剤付き装飾シール5が貼着されている。この場合、剥離剤層6は長鎖アルキル基系、シリコーン系もしくはフッ素系物質を例えばスプレーなどにより所定の厚さに塗布することにより形成することができる。
【0024】したがって、この第1実施例によれば、基板部2を被取付面に取り付けたままの状態で、装飾シール5のみを所望とする装飾シールに簡単に貼り替えることが可能となる。
【0025】なお、この第1実施例において、剥離剤層6は基板部2の表面22の全面にわたって設けられているが、少なくとも装飾シール5が貼着される部分に設けられればよい。
【0026】次に、図3の断面図を参照しながら、本発明の第2実施例としての吊下具1Bについて説明する。なお、図3にも図2と同様に作図の都合上、フック部は示されていない。
【0027】この第2実施例においては、基板部2とは別に剥離処理が施されたシート体7が用いられる。すなわち、シート体7は合成樹脂もしくは紙などからなる所定厚さのシート基材70を備え、その一方の面には例えば装飾シール5に用いられている粘着剤と同様の粘着力を有する粘着剤層71が設けられている。
【0028】シート基材70の他方の面には、剥離剤層72が設けられている。この剥離剤層72は、上記第1実施例の剥離剤層6と同様に、長鎖アルキル基系、シリコーン系もしくはフッ素系物質を例えばスプレーなどにより所定の厚さに塗布することにより形成される。
【0029】この吊下具1Bにおいて、シート体7は、粘着剤層71を介して基板部2の表面22に貼着され、他方の剥離剤層72側に粘着剤付き装飾シール5が貼着される。
【0030】したがって、この第2実施例においても、上記第1実施例と同様に、基板部2を被取付面に取り付けたままの状態で、装飾シール5のみを所望とする装飾シールに簡単に貼り替えることができる。
【0031】ところで、この第2実施例において、両面粘着テープ4による被取付面に対する基板部2の接着力をA、基板部2に対する粘着剤層71の接着力をB、剥離剤層72に対する装飾シール5の接着力をCとすると、A,B>Cであることが要件とされる。AとBについては、A>B,A=BもしくはA<Bのいずれであってもよいが、一般的にはA>Bとされる。なお、第1実施例の場合、Cを基板部2の剥離剤層6に対する装飾シール5の接着力とすれば、A>Cの関係が要求されることは言うまでもない。
【0032】ちなみに、一例を挙げれば、Bの接着力がJISC2107に準じたテストで概ね600gf/20mm以上の場合には、Cの接着力は同様のテスト値で500gf/20mm以下とされ、これによれば、シート体7を基板部2から剥がすことなく、装飾シール5のみを簡単に剥がすことができる。
【0033】なお、装飾シール5が不用意に剥離することがない範囲で、装飾シール5をきれいに剥がせる粘着力は、基板部2もしくはシート体7の材質によって異なるが、その材質が紙などで強度が弱い場合には、100〜300gf/20mm、ポリプロピレンフィルムなど強度が強い場合には、100〜500gf/20mmを一応の目安にすることができる。
【0034】次に、本発明の第3実施例を、図4の斜視図および図5の断面図(フック部は図示しない)を用いて説明する。
【0035】この第3実施例の吊下具1Cでは、基板部2の表面22を梨地面もしくはシボ面と呼ばれる微細な凹凸面8とし、これを剥離処理手段としている。
【0036】この微細な凹凸面8によれば、装飾シール5の接触面積が減少するため、その結果、接着力を弱めることができ装飾シール5を容易に剥がすことができる。なお、微細な凹凸面8に剥離処理剤を塗布してもよいことはもちろんである。
【0037】ここで、上記各実施例ともに、基板部2を被取付面に両面粘着テープもしくは釘で取り付けることを前提として説明しているが、本発明はマグネットや吸盤で基板部2を被取付面に磁気的に吸着固定する場合にも適用することができる。すなわち、マグネット式もしくは吸盤式吊下具においても、その基板部に対して装飾シールを容易かつきれいに貼り替えることができることに変わりはないからである。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、基板部の装飾シール貼着面に、装飾シールの粘着剤に対して低接着性を呈する剥離処理手段を設けたことにより、吊下具自体は被取付面に取り付けたままの状態で、装飾シールを容易、かつ、きれいに交換することができる。したがって、自分の好きな装飾シールなどを貼り付けることで、好みの吊下具(フック)が作れることになる。
【出願人】 【識別番号】390003562
【氏名又は名称】株式会社ニトムズ
【出願日】 平成10年(1998)5月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也
【公開番号】 特開平11−318686
【公開日】 平成11年(1999)11月24日
【出願番号】 特願平10−136230