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【発明の名称】 電気毛布と電気毛布の製造方法
【発明者】 【氏名】田中 義哲

【氏名】橘本 交只

【要約】 【課題】発汗を極力抑制でき、消費電力を少なくできながら、充分な寝床内温度(環境)を確保でき、且つ、簡単に製造できるところの電気毛布と該電気毛布の製造方法を提供すること。

【解決手段】裏地(肌側)と表地との間にヒーター線を逢着して構成する電気毛布で、前記裏地又は表地の何れか一方を構成する生地の繊維の一部又は全部に高吸放湿性発熱繊維を用い、他方の裏地又は表地の生地に化学繊維又は天然繊維或いはその混紡を用いた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】裏地(肌側)と表地との間にヒーター線を逢着して構成する電気毛布であって、前記裏地又は表地の何れか一方を構成する生地の繊維の一部又は全部に高吸放湿性発熱繊維を用い、他方の裏地又は表地の生地に化学繊維又は天然繊維或いはその混紡を用いた、電気毛布。
【請求項2】上記高吸放湿性発熱繊維が裏地に用いられ、表地に化学繊維又は天然繊維或いはその混紡を用いた、請求項1の電気毛布。
【請求項3】上記裏地が風通織で構成され、その裏側の横糸が高吸放湿性発熱繊維である、請求項1又は2の電気毛布。
【請求項4】上記高吸放湿性発熱繊維がポリアクリレート系繊維である、請求項1乃至請求項3の電気毛布。
【請求項5】裏地(肌側)と表地との間にヒーター線を逢着して構成する電気毛布の製造方法であって、前記裏地の裏側の横糸に高吸放湿性発熱繊維を用いて裏地を風通織し、該裏地の風通織の間を通してヒーター線を逢着し、これに化学繊維又は天然繊維或いはこれらの混紡を用いて織った前記表地を逢着する、電気毛布の製造方法。
【請求項6】上記高吸放湿性発熱繊維がポリアクリレート系繊維である、請求項5の電気毛布の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する分野】本発明は、寝具等として利用されるヒーター線内蔵の電気毛布に関する。
【0002】
【従来の技術】昨今の空調設備の改善、普及により、大抵の家屋では部屋の暖房が充分に行き届いていて、就寝前の体温は、寒さを感じない程度に維持させることができる。しかし乍ら、冬季は寝床が冷えて、ベッドにしろ、布団にしろ、寝具の温度は低く、加えて、就寝時に冷たい寝間着に着替えを行うことで体温を奪われ、その状態で寝床に入ると肌寒く感じる。 尤も、足については電気炬燵等のフットウオーマーを入れることで冷たさを解消できるが、全身の寒気は解消できない。
【0003】こうした問題解決の一手段として、従来から電気毛布が用いられてきた。 この種の電気毛布は、表地と裏地との間にヒーター線(ニクロム線)を逢着して電気を流し、温度を適宜(45°C〜47°C)に設定して加温し、サーモスタット等を用いて適度な温度に制御する方式を採っている。この電気毛布としては、化学繊維、天然繊維(綿等)を用いて織った生地を、平織のまま、パイル織りを混ぜ、或いは起毛処理乃至ナッピング処理を施したものを縫製して用いている。
【0004】電気毛布は、電気エネルギーを瞬時に熱エネルギーに変換して人体を加温することができるところから、就寝時に電源を入れるだけで直ちに布団を加温することができるという利点があるが、設定された制御温度(例えば、上記45°C〜47°C)に到達した時点では、既に寝具内面、人体に対して過剰の熱量を供給しており、人体が必要以上に加温され、その結果、発汗を見ることになる。そして、上記制御温度に達すると電気が遮断されることになるが、直ちに体温が低下することもなく、発汗が持続される。
【0005】その結果、寝床内温度(布団と人体との空隙乃至接触部)の上昇で、寝床内環境が悪化し、温度、湿度の上昇で寝苦しくなって幾度ともなく寝返りをうつことになる。 一般に、寝床内環境としては、温度が32°C±1°Cよりも高温で、湿度が50%±10%RHよりも低湿度が理想とされている。
【0006】こうした発汗は、毛布の裏地(肌側)の生地(化学繊維、天然繊維或いは混紡)に吸収或いはこの生地を通過して外気に放出されることになるが、これに伴い体温が低下する。 その結果、人体には、脱水症状と体温低下が生じる。加えて、こうした体温低下に伴い、寝床内温度(布団と人体との空隙乃至接触部)も低下し、再びサーモスイッチが入ってヒーターが加熱され、上記所定の温度まで加温され、前述した発汗が繰り返され、脱水症状が進行するという悪循環が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、こうした問題を解決するべく、寝床内温度を適正に制御するための温度、制御手段を研究し、また、電気毛布の構造についても研究を重ね、発汗を抑制できる方法、或いは寝床内環境を一定に保持する方法がないかと研究を重ねた。例えば、温度制御の応答性を高め、昇温後に速やかに通電を断つようにする従前のバイメタルよりも優れた感温センサー及び発汗を感知する感湿センサー等の試験を試みたが、入電、昇温、断電を繰り返し、発汗を繰り返すと共に電気の過剰供給によるエネルギーの無駄を解消できるものではなかった。
【0008】また、毛布の構造についても、表地と裏地を共に化学繊維としたり、表地に天然繊維を、裏地に化学繊維を用い、或いはその逆を行う等して、発汗を速やかに外気に放出して、寝床内環境(特に湿度)を改善できないものかと考えたが、こうした湿度の改善については比較的満足の行く結果が得られたものの、前述したた入電、昇温、断電を繰り返すという点において何等変わるところがなく、省エネ効果が期待できなかった。
【0009】本発明は、こうし従来技術の課題を解決し、発汗を極力抑制でき、消費電力を少なくできながら、充分な寝床内温度(環境)を確保でき、且つ、簡単に製造できるところの電気毛布と該電気毛布の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる電気毛布は、上記目的を達成するために、裏地(肌側)と表地との間にヒーター線を逢着して構成する電気毛布であって、前記裏地又は表地の何れか一方を構成する生地の繊維の一部又は全部に高吸放湿性発熱繊維を用い、他方の裏地又は表地の生地に化学繊維又は天然繊維或いはその混紡を用いた、という手段を講じたのである。
【0011】本発明において、上記高吸放湿性発熱繊維が裏地に用いられ、表地に化学繊維又は天然繊維或いはその混紡を用いることが好ましい。
【0012】本発明において、上記裏地が風通織で構成され、その裏側の横糸が高吸放湿性発熱繊維であるのが好ましい。
【0013】本発明において、上記高吸放湿性発熱繊維がポリアクリレート系繊維であるのが好ましい。
【0014】本発明にかかる電気毛布の製造方法は、上記目的を達成するために、裏地(肌側)と表地との間にヒーター線を逢着して構成する電気毛布の製造方法であって、前記裏地の裏側の横糸に高吸放湿性発熱繊維を用いて裏地を風通織し、該裏地の風通織の間を通してヒーター線を逢着し、これに化学繊維又は天然繊維或いはこれらの混紡を用いて織った前記表地を逢着する、という手段を講じた。
【0015】本発明の方法において、上記高吸放湿性発熱繊維がポリアクリレート系繊維であるのが好ましい。
【0016】本発明において、上記パイル編み布2のもう一方の繊維が天然繊維又は天然繊維を主体とする混成繊維で構成され、該繊維によってパイル編み布2の他面にも前記起毛対象となるパイル1よりも短いループを形成するパイル1’が編成されているのが好ましい。
【0017】本発明において、上記パイル1の合成繊維がアクリル又はポリエステルで構成されているのが好ましい。また、上記パイル編み布2がラッシェル編機で編成され、前記起毛パイル3を毛玉調面4にするナッピング加工がタンブラー乾燥機で行われるのが好ましい。
【0018】本発明にかかるナッピング加工毛布は、上述した製造方法によって製造されたものである。
【0019】
【発明の実施の態様】本発明によれば、電気毛布の裏地又は表地の何れか一方を構成する生地の繊維の一部又は全部に高吸放湿性発熱繊維を用い、他方の裏地又は表地の生地に化学繊維又は天然繊維或いはその混紡を用いたことで、ヒーター線による加熱で人体から発汗した水分を前記高吸放湿性発熱繊維が吸収して発熱する。その結果、ヒーター線による所定温度(45°C〜47°C)の加熱後にセンサーが感知して電源を切った後も、前記発汗による水分でもって発熱が得られ、その後の電気による強制加熱を抑制できる。
【0020】そして、通常の場合には、発汗による水分の気化によって急激に体温乃至寝床内温度(布団と人体との間)が低下し、比較的短い時間間隔で再び電源が入って加熱が行われ、当初の冷えた寝床を対象とした初期設定の温度域まで昇温されることになり、次の発汗を促すことになり、脱水症状を招くことになるが、本発明では、初期設定の温度域で電源が切れても、前述の発汗の水分による高吸放湿性発熱繊維の発熱で、水分の気化が行われても、図2に実線で示す如き緩やかな温度下降が得られ、一挙にヒーター線が入る下限の温度域にまで降下せず、省エネとヒーター線の再加熱に伴う発汗の継続を抑制できる。
【0021】従って、冷えた当初の寝床の寝床内温度を直ちに昇温させるべく、ヒーター線の制御を強(強、中、弱、或いはダイヤルメモリの上限)に設定して眠りに入っても、その後に再加熱が強で行われて発汗が持続され、寝苦しくなるということもなくなる。
【0022】更に、上記高吸放湿性発熱繊維が裏地(肌側)に用いられ、表地に化学繊維又は天然繊維或いはその混紡を用いる場合には、発汗の水分を直接吸収し易いので、発熱効率を高めてることができると共に表地に水分が移行した後に外気に放出されることとなって、裏地(肌側)の側では常時カラッとした肌触りが得られて寝床内環境を改善できる。
【0023】本発明において、上記裏地が風通織で構成され、その裏側の横糸が高吸放湿性発熱繊維である場合には、上記ヒーター線を裏側の横糸と縦糸による織り目を通して逢着でき、ヒーター線を囲むような別途の生地を必要とせず、且つ、ヒーター線に近接させて高吸放湿性発熱繊維を位置させることで、上述した発汗水分の吸収と発熱作用を恰もヒーター線が行っている如く直に感じることができて、人体に対する熱伝達性が良くなる。
【0024】そして、こうした生地の織り込み時に高吸放湿性発熱繊維を織り込むので、格別な織作業や縫製作業を必要とすることがなく、製造が簡単に行い得る。尚、こうした表地及び裏地は、パイル織りや、起毛(毛羽立ち)を施すことも随時可能であり、毛布としての変化を持たせても本発明を実施できる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の電気毛布と電気毛布の製造方法の好適実施例について図面を参照して詳述する。図1は、本発明の電気毛布の構造の概念を略示する拡大縦断面であり、図2は、本発明の高吸放湿性発熱繊維を用いた電気毛布の温度勾配を実線で示し、従来の電気毛布の温度勾配を破線で示す。
【0026】本発明の電気毛布は、裏地(肌側)1と表地2との間にヒーター線3を逢着して構成する電気毛布であって、この実施例では、前記裏地1を構成する生地の繊維の一部に高吸放湿性発熱繊維として、ポリアクリレート系繊維1a(例えば、東洋紡のブレスサーモ〔商標名〕)を用い、他方の表地の生地に天然繊維として綿を用いて構成している。
【0027】そして、前記裏地1は、風通織で構成され、その裏側の横糸が前記高吸放湿性発熱繊維1aである。 即ち、平織の生地とメッシュ状(粗い)の平織の生地の縦糸4の一部が共有(兼用)とされた織りで、二層構造ではあるが、一層として織られるものである。この風通織の方式を用いることで、両者を繋ぐ縦糸により区画された通路を利用して上述したヒーター線3を埋設、逢着できる。
【0028】ここに用いるポリアクリレート系繊維の高吸放湿性、発熱性については、吸湿性として、吸湿率が41%(20°C、RH65%)、発汗等に伴う水分の吸湿時の吸湿発熱量が、345cal/g(25°C、RH80.5%)のものを用いた。 吸湿と放湿は、通常、雰囲気の変化で自動的間歇的(30〜60分間隔)に繰り返し行われる。 ここで使用する繊維のデニールは4dx50mm(又は2.2dx38mm)のものである。 この繊維は、消臭性及び防かび性を備えており、一般の化学繊維と同様に繊維加工機で加工できる。
【0029】上述のヒーター線3は、一般に用いられる塩化ビニール被膜のニクロム線が用いられ、100V〜125Vで、100W〜25W(強、中、弱或いは1〜4段階のメモリ等)の出力が適宜コントロールされ、電源を入れた後は、上限温度45°C〜47°C、下限温度35°C〜37°Cで、サーモスタット(センサー)を用いて自動的に入電、遮断が制御される。
【0030】上記毛布の構造として、上記通風織に際して高吸放湿性発熱繊維以外の繊維を天然繊維(綿等)にするも、化繊にするも或いは混紡にするも適宜行うことができると共にこの高吸放湿性発熱繊維を表地に用い、裏地に化学繊維又は天然繊維或いはその混紡を用いるようにしても良いものである。
【0031】この電気毛布の製造方法は、裏地の裏側の横糸に高吸放湿性発熱繊維を用いて裏地を風通織し、該裏地の風通織の間を通してヒーター線を逢着し、これに化学繊維又は天然繊維或いはこれらの混紡を用いて織った前記表地を逢着するという工程で行われる。そして、この高吸放湿性発熱繊維がポリアクリレート系繊維(例えば、東洋紡のブレスサーモ〔商標名〕)を用いる。
【0032】勿論、上記裏地の織として、通風織以外の織り方を利用しても良く、また、上記高吸放湿性発熱繊維以外の繊維を天然繊維(綿等)にするも、化繊にするも或いは混紡にするも適宜行うことができると共にこの高吸放湿性発熱繊維を表地に用い、裏地に化学繊維又は天然繊維或いはその混紡を用いるようにしても良い。
【0033】図2に示すように、ヒーター線が加熱されて電気毛布の温度が所定の上限温度45°C〜47°Cに達すると、サーモスタットが作動して電流が遮断されるが、この間に寝床及び人体が加温され、これに伴って発汗を生じる。 この発汗は、上記高吸放湿性発熱繊維1aに吸着され、この際に発熱することになり、その結果、破線で示す従来の毛布に比べ、実線で示す如き緩やかな温度勾配で温度が下降する。
【0034】そして、従来では暫時温度が下降線を辿って、サーモスタットが作動する下限温度35°C〜37°Cに比較的早く到達して再び入電され、ヒーター線が加熱されるが、本発明では、上記高吸放湿性発熱繊維1aが生み出す発熱量によって、容易に温度が下降することがなく、入電、遮断のサイクルを非常に長く採ることができて、発汗の抑制及び電力消費の抑制を図ることができる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、ヒーター線による加熱で人体から発汗した水分を毛布生地の高吸放湿性発熱繊維が吸収して発熱し、ヒーター線による所定上限温度(45°C〜47°C)の加熱後にセンサーが感知して電源を切った後も、前記発汗による水分でもって発熱が得られ、その後の電気による強制加熱を抑制できて省エネが図れるのみならず、初期設定の上限温度域で電源が切れても、前述の発汗の水分による高吸放湿性発熱繊維の発熱で、水分の気化が行われても、寝床内において緩やかな温度下降が得られ、一挙にヒーター線が入る下限の温度域にまで降下することがなく、再加熱に伴う発汗の継続を抑制して脱水症状を抑制できるという利点がある。
【0036】従って、冷えた当初の寝床の寝床内温度を直ちに昇温させるべく、ヒーター線の制御を強(強、中、弱、或いはダイヤルメモリの上限)に設定して眠りに入っても、その後に再加熱が強で行われて発汗が持続され、寝苦しくなるということもなくなり、寝床内環境を大幅に改善できて安眠を生み出せる。また、本発明の電気毛布は、生地の織り込み時に高吸放湿性発熱繊維を織り込むので、格別な織作業や縫製作業を必要とすることがなく、製造が簡単に行い得る。その他の利点については、発明の実施の態様の項及び実施例において詳述した通りである。
【出願人】 【識別番号】592218632
【氏名又は名称】株式会社田中ミシン縫製
【出願日】 平成10年(1998)5月16日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−318666
【公開日】 平成11年(1999)11月24日
【出願番号】 特願平10−172033