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【発明の名称】 防水ベッドパッド
【発明者】 【氏名】胡井 幸一

【氏名】辻井 彰司

【要約】 【課題】失禁の多い病人、高齢者、乳幼児に対して蒸れの発生と密着を防止し、通気性が良く、しかも防水性を兼ね備えたベッドパッドを提供する。

【解決手段】クッション性に優れ、内部に大きな空隙があり、通気性に優れたポリエステル系の熱可塑性樹脂からなる網状構造体の底面に、直接防水性樹脂層を形成するか、もしくは、前記の網状構造体を、底面に防水性樹脂層を有する織物または編物からなる側地で包装する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリエステル系熱可塑性樹脂からなる厚さ10〜50mmの網状構造体の底面に防水性樹脂層を形成した防水ベッドパッド。
【請求項2】 ポリエステル系熱可塑性樹脂からなる厚さ10〜50mmの網状構造体を、底面に防水性樹脂層を有する織物または編物からなる側地で包んだベッドパッド。
【請求項3】 前記網状構造体の繊度が100デニール〜100000デニール、見掛け密度が0.02〜0.20g/cm3 である請求項1または請求項2に記載の防水ベッドパッド。
【請求項4】 前記網状構造体の少なくとも幅方向の一部の上面と下面を融着して接合した請求項1〜3のいづれかに記載のベッドパッド。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、老人の失禁、子供の夜尿などで寝具を汚すことを防ぐため、ベッドマットや敷き布団の上に敷いて利用する防水ベッドパッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、老人の失禁や子供の夜尿などの対策として、片面を塩化ビニールやウレタンでラミネートしたシ―ツやキルティングのベッドパッドをベッドマットや敷き布団の上に敷いて使われている。しかし、これらの防水シーツや防水ベッドパッドの多くは通気性がないため蒸れてしまい不快であり。場合によっては皮膚がかぶれることもある。また、排尿で濡れた場合、寝ている人と濡れた防水シーツや防水キルティングが密着してしまうため不快であり、非衛生的でもあるといった問題点があった。そこで、蒸れを防止するために編地の表地と裏地との間に、挿入糸を挿入して通気相を形成したもの(特開平9−238803号)や、繊維内部にクッション層を設けて、通気性を良くしたもの(特開平6−327724号)などが提案されている。
【0003】しかしながら、これらの方法では、蒸れの発生や密着を防止するということに関してはまだ不十分であり、防水性を維持しつつ蒸れにくく、排尿で濡れても寝ている人と濡れ面が密着しにくい防水シーツや防水ベッドパッドが望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、失禁や夜尿でベッドマットや敷き布団を汚すことなく、通常使用しているときに蒸れ感が少なく、排尿で濡れた場合に濡れ面と寝ている人とが密着しにくい防水ベッドパッドを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明者は鋭意検討した結果本発明の完成に至った。即ち、1.ポリエステル系熱可塑性樹脂からなる厚さ10〜50mmの網状構造体の底面に防水性樹脂層を形成した防水ベッドパッド、もしくは、該網状構造体を、底面に防水性樹脂層を有する織物または編物からなる側地で包んだ防水ベッドパッド。
2.前記網状構造体の繊度が100〜100000デニール、見掛け密度が0.02〜0.20g/cm3 である上記1に記載の防水ベッドパッド。
3.前記網状構造体の少なくとも幅方向の端部の上面と下面を融着して接合した上記1または2に記載のベッドパッドである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0007】本発明で使用するポリエステル系熱可塑性樹脂からなる網状構造体とは、ゴム弾性を持つ熱可塑性エラストマー100%からなる連続線条のランダムループを3次元スプリング構造化したもので、その詳しい構造および製法については、特開平7−238456号に記載されている。
【0008】本発明で使用する網状構造体は、連続線条からなるランダムループの3次元スプリング構造を有するため、その上面と下面との間に大きな空隙を有する。従って、使用者の体と底面との間に、空気が流通することが可能になり、蒸れの発生を大幅に抑制することができる。
【0009】また、排尿時、尿は所定の厚みのある網状構造体を通過して、底面の防水樹脂層に滞まるため、使用者と濡れ面との密着を防止することが可能である。
【0010】本発明で使用する防水樹脂層は、樹脂の種類や樹脂層の形成方法については特に限定されるものではないが、樹脂フィルムを網状構造体の底面にラミネートしたり、樹脂を塗布することで形成できる。樹脂は加工性や柔軟性の点からポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンなどが望ましい。
【0011】本発明のベッドパッドに適度なクッション性を持たせるためには、ベッドパッドを形成する網状構造体の樹脂、繊度、ループ径を選択する必要がある。例えば、ソフトなタッチと適度の沈み込みと張りのある膨らみを付与するためには、低密度で細い繊度で細かいループ径にするのが好ましく、中層のクッション機能も発現させるには、共振振動数を低くし、適度の硬さと圧縮時のヒステリシスを直線的に変化させて体型保持性を良くし、耐久性を保持させるためには、中密度で太い繊度、細かいループ径の層を積層一体化した構造にするのが好ましい。
【0012】本発明で使用する網状構造体を形成する線条の繊度は、100デニール未満では抗圧縮強力が低くなり反発力が低下するので好ましくない。100000デニールを越えると線条体の個々の抗圧縮性は大きいが、構成本数が少なくなり力の分散が悪くなるため、100kg/cm2 以上の著しく大きい圧縮力を受けた場合、応力集中によるへたりが発生するので、使用部分が制限される場合がある。好ましくは、300〜50000デニール、より好ましくは500〜30000デニ―ルである。
【0013】本発明で使用する網状構造体の平均の見掛け密度はクッション機能が発現できる0.02〜0.20g/cm3 である。0.02g/cm3 未満では反発力が失われるのでクッション機能を発現するには不適当であり、0.20g/cm3を越えると反発力が高すぎて寝心地が悪くなり好ましくない。なお、網状構造体の厚みは、10mm未満では厚みが不足し通気性が損なわれたり防水樹脂層と密着してしまうため好ましくない。また、50mmを越えると、ベッドマットや敷き布団の上に置いた場合に嵩張りすぎて使いにくくなってしまう。そのため、10〜50mmが好ましい。
【0014】本発明の防水パッドで使用する網状構造体は、幅方向の少なくとも一カ所が右端部から左端部まで連続した線条で網状構造体の上面と下面を融着し接合していることが好ましい。融着し接合する方法は、網状構造体を形成するポリマーの融点付近の温度で加圧したり、バインダー樹脂で加圧接着することで形成される。融着し接合して形成した線条は幅が30mmを越えるとクッション性が損なわれるので好ましくない。形状は、直線でも波状でも特に制限はない。このような形状を網状構造体に付与することで、折り畳んだり巻き込んだりすることが容易になり取り扱い性が向上する。また、寝心地もベッドパッド表面に適度な凹凸を付けることで向上する。例えば、50mmピッチで幅方向に直線状に融着部を形成することで、蒲鉾状の凹凸をベッドパッドを表面に形成することができる。また、長さ方向にも同様の融着し接合した線条を形成することで、ブロック状の凹凸を形成でき寝心地は向上する。
【0015】
【作用】本発明のベッドパッドは、クッション性と通気性に優れた網状構造体の底面に、又は網状構造体を包む側地の底面に防水樹脂層を形成することで、使用時に蒸れにくく、排尿で濡れた場合にも防水樹脂層に貯まった尿と身体が密着することなく不快感がない。
【実施例】以下に実施例で本発明を詳述する。
【0016】なお、実施例中の評価は以下の方法で行なった。
1.見掛け密度試料を15cm×15cmの大きさに切断し、4か所の高さを測定し、体積を求め試料の重さを体積で徐した値で示す(n=4の平均値)。
2.線条の繊度試料を10箇所から各線条部分を切り出し、アクリル樹脂で包埋して断面を削りだし、切片を作成して断面写真を得る。各部分の断面写真より各部の断面積(Si )を求める。また、同様にして得た切片をアセトンでアクリル樹脂を溶解し、真空脱泡して密度勾配管を用いて40℃にて測定した比重(SGi )を求めて、次式より線条の9000mの重さを求める(単位cgs)。
繊度=[(1/n)ΣSi ×SGi ]×9000003.寝心地30℃、75%RHの恒温恒湿室で、本発明の防水パッドまたは比較の防水パッドを敷いたベッド上に被験者を寝させ、以下の評価を行なった。
(イ)床付き感:寝たときに「どすん」と防水パッドの底面に当たった感じの程度を感覚的に定性的に評価した。この床付き感が大きいほど、身体と防水樹脂層との密着度が大きい。
感じない;◎、ほとんど感じない;○、やや感じる;△、感じる;×(ロ)蒸れ感:掛け布団(側地;綿、中綿;ポリエステル100%)を掛けて寝た状態で、試験者が蒸れを感じるまでの時間で判断した。
1時間以上;○、30分〜1時間;△、30分以下;×【0017】〔実施例1〕ポリエステル系熱可塑性樹脂からなる網状構造体として東洋紡績社製「ブレスエア―」(繊度1316デニール、見掛け密度0.045g/cm3 、厚さ20mm、幅83cm、長さ191cm)を用いた。このブレスエアーに線幅5mm、長さ90cmの凸部を5cmピッチでもつ金型を融点付近まで加熱し、網状構造体の上面から下面に向けて加圧して幅方向の端部から5cmピッチで蒲鉾状の凹凸をもつ網状構造体を得た。さらに、底面部にポリウレタンフィルムを張り付けることで、防水部を設けて防水ベッドパッドを作成した。作成したベッドパッドを30℃、75%RHの恒温恒湿室内に持ち込み、ベッドマットの上に敷いて被験者を寝かせて、寝心地の官能評価を行なった。その結果、床付き感は感じられず、1時間以上たっても蒸れ感を感じないベッドパッドであるという返答であった。表1に結果を示す。
【0018】〔実施例2〕ポリエステル系熱可塑性樹脂からなる網状構造体として東洋紡績社製「ブレスエアー」(中空繊度904デニール(中空率20%)、見掛け密度0.03g/cm3 、厚さ50mm、幅83cm、長さ191cm)を用いた。このブレスエアーに線幅10mm、長さ90cmの凸部を5cmピッチでもつ金型を融点付近まで加熱し、網状構造体の上面から下面に向けて加圧して幅方向の端部から5cmピッチで蒲鉾状の凹凸をもつ網状構造体を得た。この網状構造体を、底面部に塩化ビニルフィルムを張りつけて防水部を設けたカバーで包み、防水ベッドパッドを得た。作成したベッドパッドを30℃、75%RHの恒温恒湿室内に持ち込み、ベッドマットの上に敷いて被験者を寝かせて、寝心地の官能評価を行なった。結果は、床付き感は感じられず、1時間以上たっても蒸れ感を感じないベッドパッドあるという返答であった。表1に結果を示す。
【0019】〔比較例1〕綿100%の織物からなる表地とポリエステル100%からなる中綿と不織布からなる中裏地の三者をキルティング縫着し、中裏地面に塩化ビニルフィルムからなる防水シートを外裏地として接着剤で接合一体化して防水シーツを得た。作成した防水シーツを30℃、75%RHの恒温恒湿室内に持ち込み、ベッドマットの上に敷いて被験者を寝かせて、寝心地の官能評価を行なった。結果は、床付き感をはっきり感じ、15分で蒸れ感を感じるという返答であった。表1に結果を示す。
【0020】〔比較例2〕ポリエステル系熱可塑性樹脂からなる網状構造体として東洋紡績社製「ブレスエアー」(繊度1316デニール、見掛け密度0.045g/cm3 、厚さ5mm、幅83cm、長さ191cm)を用いた。さらに、底面部にポリウレタンフィルムを張りつけることで、防水部を設けた防水ベッドパッドを得た。作成したベッドパッドを30℃、75%RHの恒温恒湿室内に持ち込み、ベッドマットの上に敷いて被験者を寝かせて、寝心地の官能評価を行なった。結果は、床付き感がやや感じられ、25分で蒸れ感を感じるという返答であった。表1に結果を示す。
【0021】
【表1】

【0022】
【発明の効果】本発明の防水ベッドパッドは、ゴム弾性を持つ熱可塑性エラストマー100%からなる網状構造体を使用し、連続線条からなるランダムループの3次元スプリング構造を保有するため、大きな空隙を持ち通気性に優れているので、使用時の蒸れ感や防水樹脂層との密着感を軽減することが可能である。また、本発明に用いられる網状構造体自身が持つ適度なクッション性のため寝心地にも優れている。さらに、網状構造体の底面に、直接又は側地を介して防水性樹脂層が付与されているため、排尿で濡れた場合にも防水層に貯まった尿と身体とが密着することがない。以上のことから、本発明の防水ベッドパッドは、防水性を有し、蒸れの発生と密着を防止できるので、老人の失禁や子供の夜尿などの対策として、快適寝具として使用することが可能である。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月7日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−313743
【公開日】 平成11年(1999)11月16日
【出願番号】 特願平10−124905