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【発明の名称】 羽毛ふとん並びにカバー付き羽毛ふとん
【発明者】 【氏名】稲垣 健一

【要約】 【課題】羽毛ふとんに対するカバーの脱着を容易に行える上に、羽毛ふとんの羽毛が吹き出ることもない羽毛ふとんおよびカバー付き羽毛ふとんを提供する。

【解決手段】このカバー付き羽毛ふとん1は、上下の側地5a,5b間に羽毛6が充填されてなる羽毛ふとん3と、この羽毛ふとん3の少なくとも前側部3aおよび後側部(不図示)を覆うカバー2とから構成されている。羽毛ふとん3の少なくとも前側部3aおよび後側部(不図示)に、係止部材としてのボタン9がそれぞれ配置され、カバー2の前側部および後側部に、羽毛ふとん3のボタン9が脱着可能に係止されるボタン穴13がそれぞれ設けられている。羽毛ふとん3への前記ボタン9の取り付け部周縁17において、羽毛ふとん3の上下の側地5a,5bが環状に互いに縫い合わされている。ボタン9をカバー2のボタン穴13に挿入して係止させて、羽毛ふとん3に対してカバー2を容易に固定できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上下の側地間に羽毛等が充填されてなる羽毛ふとんであって、前記羽毛ふとんの少なくとも前側部および後側部に、前記羽毛ふとんの少なくとも下側地や前記前側部および後側部を覆うカバーに脱着可能に係止される係止部材がそれぞれ配置され、前記羽毛ふとんの前記係止部材の取り付け部周縁において、前記羽毛ふとんの上下の側地が環状に互いに縫い付けられていることを特徴とする羽毛ふとん。
【請求項2】 前記羽毛ふとんの前記係止部材とは反対側に、フランジ部材が配置され、このフランジ部材と前記係止部材とは、前記羽毛ふとんの両側地を貫通する連結部材により連結されていることを特徴とする請求項1記載の羽毛ふとん。
【請求項3】 前記係止部材および前記フランジ部材としてそれぞれボタンが用いられており、この双方のボタンは、前記羽毛ふとんの両側地にそれぞれ形成されたボタン穴を貫通する前記連結部材としての糸により、互いに連結されている請求項2記載の羽毛ふとん。
【請求項4】 前記連結部材として、糸の代わりにゴムが用いられている請求項3記載の羽毛ふとん。
【請求項5】 前記羽毛ふとんの前側部および後側部にそれぞれ、複数の前記係止部材が、前記羽毛ふとんの幅方向に並んで配置されている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の羽毛ふとん。
【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の羽毛ふとんと、この羽毛ふとんの少なくとも下側地や前記前側部および後側部を覆うカバーとから構成され、前記カバーの少なくとも前側部および後側部にそれぞれ、前記羽毛ふとんの各係止部材とそれぞれ脱着可能に係止される開口部が設けられていることを特徴とするカバー付き羽毛ふとん。
【請求項7】 前記カバーの前記開口部はボタン穴である請求項6記載のカバー付き羽毛ふとん。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に掛ふとんとして使用される羽毛ふとん、およびこの羽毛ふとんに対するカバーの脱着構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図6に示すように、羽毛ふとん用のカバー30の一例としては、矩形状に形成された表地31と裏地(不図示)とをそれぞれ4側縁で縫い合わせて袋状に構成し、表地31の開口33より羽毛ふとん34の出し入れをするようにしたものが知られており、このようなふとんカバー30は、羽毛ふとん34のほぼ全体を被覆できて羽毛ふとん34を清潔に保つことができる。そして、羽毛ふとん34の四方の側縁部を紐(不図示)によりカバー30にそれぞれ連結することにより、カバー30内で羽毛ふとん34を固定して、羽毛ふとん34からのカバー30の外れや、カバー30内での羽毛ふとん34の位置ずれおよび不用意な折り返し等を防止できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来、羽毛ふとんに対してカバーを固定するには、いちいち紐を結んで羽毛ふとんおよびカバーを互いに連結し、この連結を解除するためには紐を解かねばならず、手間がかかるという問題点がある。特に、紐が強固に結ばれている場合には、この結び目を解くことは非常に困難となる。
【0004】なお、このような手間を軽減する手段として、羽毛ふとんに例えばボタン等を直接縫い付け、一方、カバー側にボタン穴を形成し、ボタンとボタン穴とを係止させることで、羽毛ふとんおよびカバーを容易に固定することができる。しかしながら、その反面、羽毛ふとん内の羽毛が、ボタンの取り付け部より吹き出てくる恐れがあって、商品価値が損なわれるので、このような手段を羽毛ふとんに採用することは到底できなかった。
【0005】このような事態を鑑みて、本発明者は日々鋭意研究開発を行った結果、以下に詳述するような優れた発明を達成するに至った。すなわち、本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、羽毛ふとんに対するカバーの脱着を容易に行える上に、羽毛ふとんの羽毛が吹き出ることもない羽毛ふとん、並びにカバー付き羽毛ふとんを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明の羽毛ふとんは、上下の側地間に羽毛等が充填されてなる羽毛ふとんであって、前記羽毛ふとんの少なくとも前側部および後側部に、前記羽毛ふとんの少なくとも下側地や前記前側部および後側部を覆うカバーに脱着可能に係止される係止部材がそれぞれ配置され、前記羽毛ふとんの前記係止部材の取り付け部周縁において、前記羽毛ふとんの上下の側地が環状に互いに縫い付けられていることを特徴とするものである。
【0007】この発明においては、羽毛ふとんの少なくとも前側部および後側部にそれぞれ設けられた係止部材を、カバーの開口部にそれぞれ係止させることにより、羽毛ふとんに対してカバーを容易に固定できる。これにより、羽毛ふとんからカバーが不用意に外れない上に、カバーに対する羽毛ふとんの位置ずれや不用意な折り返しを防止できる。そして、羽毛ふとんへの係止部材の取り付け部周縁において、羽毛ふとんの上下の側地が環状に縫い合わされていることにより、羽毛ふとんの羽毛が前記取り付け部より吹き出ることもない。
【0008】請求項2の発明は、前記羽毛ふとんの前記係止部材とは反対側に、フランジ部材を配置され、このフランジ部材と前記係止部材とを、前記羽毛ふとんの両側地を貫通する連結部材により連結したものである。このように、係止部材を羽毛ふとんの側地に直接縫い付けずに、係止部材とは反対側のフランジ部材により係止部材を羽毛ふとんに強固に固定できる。
【0009】ここで、請求項3のように、前記係止部材および前記フランジ部材としてそれぞれボタンを用い、この双方のボタンを、前記羽毛ふとんの両側地にそれぞれ形成されたボタン穴を貫通する糸により互いに連結することにより、羽毛ふとんの美観が損なわれない。
【0010】また、請求項4のように、連結部材としてゴムを用いて、両ボタン間の距離を可変とすることが好ましい。この場合、一方のボタンをカバーのボタン穴に係止する際およびこの係止を解除する際に、このボタンと羽毛ふとんの上側地との間に隙間を形成することにより、前記係止およびその解除が極めて容易となる。
【0011】さらに、請求項5のように、前記羽毛ふとんの前側部および後側部にそれぞれ、複数の前記係止部材を、前記羽毛ふとんの幅方向に並んで配置することにより、羽毛ふとんの位置ずれや不用意な折り返しを確実に防止できる。
【0012】本発明のカバー付き羽毛ふとんは、上記羽毛ふとんと、この羽毛ふとんの少なくとも下側地や前記前側部および後側部を覆うカバーとから構成され、前記カバーの少なくとも前側部および後側部にそれぞれ、前記羽毛ふとんの各係止部材とそれぞれ脱着可能に係止される開口部が設けられていることを特徴とするものである。ここで、前記カバーの前記開口部はボタン穴である。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。先ず、図1に示すように、本発明のカバー付き羽毛ふとん1は、掛ふとんとして使用される羽毛ふとん3と、この羽毛ふとん3の前側部3aおよび後側部3bをそれぞれ収納して覆う袋状部4a,4bを有するカバー2とから構成されている。
【0014】図1および図2に示すように、本発明の羽毛ふとん3は、2枚の側地5a,5bにキルティング7が施され、各区画内部に所定量の羽毛6(図4参照)を収納されたもので、羽毛ふとん3の全周囲には、側地のみからなる縁部8がそれぞれ形成されている。羽毛ふとん3の前側部3aおよび後側部3bにおける上側地5aの表面には、後述する複数のボタン9(係止部材)がそれぞれ配置されている。なお、上側地5aの表面には例えば花柄等の意匠が施されている。この羽毛ふとん3の長さ方向中間部の両縁部には、後述するカバー2と結合するための環状の紐10a,10bがそれぞれ縫い付けられている。
【0015】図1および図3に示すように、カバー2は、その長さ方向の前側部および後側部がそれぞれ袋状部4a,4bとなっており、各袋状部4a,4b内に、掛ふとん3の前側部3aおよび後側部3bをそれぞれ収納して覆うことができる。また、カバー2は羽毛ふとん3の下面の全域を覆う。羽毛ふとん3の前側部3aおよび後側部3bは、それぞれ人体の襟元および足元に相当し、他の部位よりも汚れ易い部位である。なお、本例では、羽毛ふとん3の前側部3aおよび後側部3bの長さ寸法S(図2参照)は、例えば25cm〜30cm程度となっている。
【0016】カバー2の各袋状部4a,4bの表地12には、羽毛ふとん3の前記複数のボタン9と係止可能なボタン孔13(開口部)が形成されている。また、カバー2の長さ方向中間部の両縁部には、羽毛ふとん3の環状の各紐10a,10bに通して結び付けるための紐11a,11bがそれぞれ縫い付けられている。これにより、羽毛ふとん3に装着されたカバー2が捲れたりせず、羽毛ふとん3の下側地5bをカバー2により確実に覆うことができる。なお、各紐10a,10b,11a,11bは必ずしも設ける必要はない。
【0017】ここで、羽毛ふとん3に対してカバー2を脱着自在に係止するための構造について、詳細に説明する。先ず、図2に示すように、羽毛ふとん3の長さ方向の両端部には、複数(本例では7つ)のボタン9(係止部材)が羽毛ふとん3の幅方向に並んで等間隔に配置されている。図3に示すように、カバー2の各袋状部4a,4bの表地12には、複数の前記ボタン9とそれぞれ脱着可能に係止する複数(本例では7つ)のボタン穴13(開口部)が、カバー2の幅方向に並んで等間隔に形成されている。
【0018】各ボタン9の羽毛ふとん3への取り付け構造は同一なので、ここでは、1つのボタンを例に挙げて説明する。図4(a)は図1における、カバー取り付け部の拡大平面図であり、図4(b)は図1におけるカバー取り付け部の拡大断面図、すなわちA−A線断面図であり、図5は図4(a)において、カバーをボタンから外した状態の平面図である。
【0019】図4(a),(b)および図5に示すように、羽毛ふとん3の上側地5aおよび下側地5bには、ボタン孔14a,14bがそれぞれ形成されており、ボタン9とは反対側の下側地5bには、フランジ部材15(ボタン)が配置されている。このフランジ部材15とボタン9とはそれらの中心部において、前記ボタン穴14a,14bを貫通する糸(連結部材)16により互いに連結されている。なお、この連結部材16としては糸に限らず、伸縮可能なもの(例えばゴム片やゴム糸等)を用いて、両ボタン9,15間の距離を可変とすることが好ましい。この場合、ボタン9をカバー2のボタン穴13に係止する際およびこの係止を解除する際に、ボタン9と羽毛ふとん3の上側地5aとの間に隙間を形成することにより、前記係止およびその解除が極めて容易となる。
【0020】また、羽毛ふとん3の上側地5aおよび下側地5bは、ボタン9の取り付け部すなわち前記ボタン穴14a,14bの周囲部において、環状(本例では矩形状)に互いに縫い合わされている(符号17参照)。したがって、羽毛ふとん3内の羽毛6が、前記ボタン穴14a,14bより吹き出ることはない。なお、本例では、縫い合わせ部17の一辺がキルティング部7と重なっているが、これに限定されない。
【0021】上記構成の本実施形態のカバー付き羽毛ふとん1は、以下のように様々な利点がある。羽毛ふとん3の前側部3aおよび後側部3bを、カバー2の両側の袋状部4a,4bにそれぞれ容易に挿入し、羽毛ふとん3側の各ボタン9をカバー2側の各ボタン穴13にそれぞれ係止する。したがって、羽毛ふとん3からカバー2が不用意に外れないとともに、カバー2内で羽毛ふとん3の位置ずれや折り返し等が起こりにくい。各ボタン9の各ボタン穴13との係止をそれぞれ解除することにより、羽毛ふとん3に対するカバー2の固定を容易に解除できるので、結果的に、羽毛ふとん3に対するカバー2の脱着作業は、従来の紐によるものと比較して格段に容易となる。また、羽毛ふとん3の両側地5a,5bを、ボタン穴14a,14bの周縁部において、環状に縫い合すことにより(図4中の符号17参照)、羽毛ふとん3の羽毛が前記ボタン穴14a,14bより吹き出ることはない。
【0022】さらに、ボタン9を羽毛ふとん3の両側地5a,5bに直接縫い付けずに、ボタン9とは反対側のフランジ部材15によりボタン9を羽毛ふとん3に強固に固定できる。そして、羽毛ふとん3の特に汚れやすい前側部3aおよび後側部3bをカバー2によって覆う構成となっているので、カバー2用の生地が小面積のもので済み、コストが安い。羽毛ふとん3の上側地5aの意匠を覆わずに済むので、見栄えもよい。
【0023】上記実施形態では、カバーの各袋状部を、それぞれ複数のボタンにより羽毛ふとんに係着させたが、それぞれ1つのボタンで係着させてもよい。また、ボタンおよびフランジ部材として、それぞれゴム板等を用いてもよい。さらに、羽毛ふとんへのボタンの取り付け構造は、図3(b)や図4に示したものに限らず、フランジ部材やボタン穴をなくして、ボタンを羽毛ふとんの上側地に直接縫い付けてもよい。もちろん、この場合、この縫い付け部からの羽毛の吹き出しを防止するために、この縫い付け部の周縁部において、上記実施形態と同様に、羽毛ふとんの上下の側地を環状に互いに縫い付ける必要がある。さらに加えて、羽毛ふとんの幅方向両側部もカバーによって覆い、さらに、この幅方向両側部に対してもカバーを固定してもよい。
【0024】
【発明の効果】本発明は、以上説明したとおりに構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。請求項1に記載の発明は、羽毛ふとんの少なくとも前側部および後側部にそれぞれ設けられた係止部材を、カバーの開口部にそれぞれ係止させることにより、羽毛ふとんに対してカバーを容易に固定できる上に、この固定解除も容易になる。したがって、羽毛ふとんに対するカバーの脱着が容易となる。また、羽毛ふとんからカバーが不用意に外れない上に、カバーに対する羽毛ふとんの位置ずれや不用意な折り返しも防止できる。そして、羽毛ふとんへの係止部材の取り付け部周縁において、羽毛ふとんの上下の側地を環状に縫い合わすことにより、羽毛ふとんの羽毛が前記取り付け部より吹き出ることもない。
【0025】請求項2に記載の発明は、係止部材を羽毛ふとんの側地に直接縫い付けずに、係止部材とは反対側のフランジ部材により係止部材を羽毛ふとんに強固に固定できる。請求項3に記載の発明は、羽毛ふとんの美観が損なわれない。請求項4に記載の発明は、ボタンをカバーのボタン穴に容易に係止できるとともに、その係止の解除も容易となる。請求項5に記載の発明は、カバーに対する羽毛ふとんの位置ずれや不用意な折り返しを確実に防止できる。
【0026】請求項6および請求項7に記載の発明は、上記効果を備えた商品価値の高いカバー付き羽毛ふとんを提供できる。
【出願人】 【識別番号】000141299
【氏名又は名称】株式会社丸八真綿
【出願日】 平成10年(1998)5月6日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
【公開番号】 特開平11−313742
【公開日】 平成11年(1999)11月16日
【出願番号】 特願平10−123656