トップ :: A 生活必需品 :: A47 家具;家庭用品または家庭用設備;コ−ヒ−ひき;香辛料ひき;真空掃除機一般




【発明の名称】 タフテッドカーペット用一次基布
【発明者】 【氏名】野口 信夫

【氏名】鈴木 克昇

【氏名】渡辺 智子

【氏名】高橋 達

【要約】 【課題】構成繊維同士の接着力を向上させ、熱圧着の際に細心の注意を払わなくとも容易に熱圧着が可能であり、強固に熱圧着しても熱圧着部表面がフィルム化せず、良好な機械的特性を有し、パイル抜けのないタフテッドカーペット用一次基布を提供する。

【解決手段】高融点重合体とこの重合体との融点差が20℃以上である低融点重合体とが繊維表面に露出した横断面形態で、低融点重合体が繊維表面に占める表面積比率が5〜30%である複合長繊維からなり、多数の熱圧着部を有している不織布からなることを特徴とするタフテッドカーペット用一次基布。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高融点重合体とこの重合体との融点差が20℃以上である低融点重合体とが繊維表面に露出した横断面形態を有し、低融点重合体が繊維表面に占める表面積比率が5〜30%である複合長繊維からなり、多数の熱圧着部を有した不織布からなることを特徴とするタフテッドカーペット用一次基布。
【請求項2】 不織布が、構成繊維同士が交絡したニードルパンチ不織布であることを特徴とする請求項1記載のタフテッドカーペット用一次基布。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱圧着されてなるタフテッドカーペット用一次基布およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】タフテッドカーペットは、タフト工程すなわちタフテッドカーペット用一次基布にタフティングによりパイル糸を打ち込む工程、次いで染色工程を経た後、さらにバッキング加工されてタフテッドカーペットになるのが一般的である。
【0003】従来から、タフテッドカーペット用一次基布として、織物や不織布等が用いられており、不織布としては、ポリエステル長繊維からなる不織布、ポリエステルを芯成分としポリエステルより融点の低い熱可塑性重合体を鞘成分とした複合長繊維からなる不織布、ポリエステル繊維とポリエステルより融点の低い合成繊維とを混繊して得られた不織布等が知られている。
【0004】このようなタフテッドカーペット用一次基布として用いられる長繊維不織布は、一般にスパンボンド法と呼ばれる製法で得られるものが多い。そしてこれらの長繊維不織布は、紡糸ノズルより紡出された連続繊維をエアーサッカー等で吸引延伸し、移動する網状体の上に開繊堆積された連続繊維ウェブをエンボスロール等により部分的に熱圧着する方法、接着剤等で構成繊維同士を接着する方法、またはこれらを組み合わせて形態を安定化する方法により得られたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の部分熱圧着や接着剤による接着によって形態安定化してなる不織布をタフテッドカーペット用一次基布として用いた場合、カーペット加工工程中のタフト工程において不織布が層状に分離する層間剥離現象や、また、染色工程後の乾燥工程で幅入りする等の工程上の不具合を生じるという問題があった。
【0006】前記問題を解消するためには、不織ウェブ内層部での構成繊維間の接着力を向上させることが重要となる。接着剤の量を増やして接着力を向上させることが考えられるが、不織布全体において構成繊維の自由度がなくなるため、タフティングの際にタフト針で長繊維を損傷させ、結果的に基布自体の強力および伸長時の応力が弱くなり、実用上使用できないものとなってしまうという問題がある。
【0007】低融点重合体を鞘部に配した芯鞘型複合長繊維からなる不織布では、構成繊維同士の接着力の向上を目的とし熱圧着温度や線圧を上げると、繊維表面の全周に低融点重合体が存在するために、エンボスロールに溶融した低融点重合体が付着して操業性を著しく損ない、また得られる不織布の柔軟性、ドレープ性が損なわれるものとなる。また、熱圧着部の表面は、溶融した低融点重合体によりフィルム状となっているため引裂強力に劣る傾向となり、この部分にタフト針が突き刺さると、突き刺さった部分に穴が開くのみでなく、針穴の周辺部もまた引裂かれてしまい、タフトされたパイル糸は、基布から抜けやすく、いわゆるパイル抜けが発生しやすい。一方、構成繊維同士が融着しすぎないように、熱圧着温度や線圧を下げると、繊維間の接着力に劣るという問題がある。すなわち、目的とする繊維間の接着力を有するものを得るための条件範囲が極めて狭いため、この条件を設定することが極めて困難であり、熱圧着の際に細心の注意を払う必要がある。
【0008】混繊不織布においてもまた、構成繊維同士の接着力の向上を目的とし熱圧着温度や線圧を上げると、上記芯鞘型複合長繊維からなる不織布と同様の問題が起こる。
【0009】本発明は、構成繊維同士の接着力を向上させ、熱圧着の際に細心の注意を払わなくとも容易に熱圧着が可能であり、強固に熱圧着しても熱圧着部表面がフィルム化せず、良好な機械的特性を有し、タフティング後のパイル抜けのないタフテッドカーペット用一次基布を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、高融点重合体とこの重合体との融点差が20℃以上である低融点重合体とが繊維表面に露出した横断面形態を有し、低融点重合体が繊維表面に占める表面積比率が5〜30%である複合長繊維からなり、多数の熱圧着部を有した不織布からなることを特徴とするタフテッドカーペット用一次基布を要旨とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、高融点重合体とこの重合体との融点差が20℃以上である低融点重合体とが、繊維表面に露出した横断面形態で、低融点重合体が繊維表面に占める表面積比率が5〜30%である複合長繊維を用いる。
【0012】複合長繊維は、高融点重合体とこの重合体との融点差が20℃以上である低融点重合体とからなる。重合体の融点差が20℃未満であると、熱圧着処理の際、低融点重合体のみでなく高融点重合体もまた溶融し、熱圧着部は硬化したフィルム状となるため引裂強力が劣り、タフティングされたパイル糸が基布から抜け落ちる、いわゆるパイル抜けが生じる原因となり好ましくない。両重合体の融点差を20℃以上とすることにより、部分的に熱圧着が施された際、低融点重合体同士が熱接着し、高融点重合体は熱による影響を受けることなく繊維形態を維持し、長繊維不織布の形態保持性、引張強力等の機械的特性を保持し、かつ柔軟性に優れた長繊維不織布となる。熱圧着部は、低融点重合体同士が溶融または軟化により繊維同士が強固に接合した状態であり、非熱圧着部は、低融点重合体および高融点重合体は熱による影響を受けることなく、繊維構造を維持した繊維間空隙を有する状態である。
【0013】複合長繊維を構成する重合体としては繊維形成性を有する熱可塑性重合体であればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体、あるいは前記重合体にフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸等の酸成分やジエチレングリコール、プロピレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールA、1,4ブタンジオール等のジオール成分などが共重合された共重合ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン46などのポリアミド系重合体、ビニロンに代表されるポリビニルアルコール系重合体などが挙げられる。
【0014】高融点重合体/低融点重合体の組み合わせとしては、前記融点差を満足するものであればよく、具体的には、ポリエステル/ポリオレフィン、ポリエステルホモポリマー/共重合ポリエステル、ポリアミド/ポリオレフィン、高融点ポリアミド/低融点ポリアミド、ポリプロピレン/ポリエチレン等が挙げられる。この組み合わせは、前記重合体より適宜選択すればよいが、熱安定性や寸法安定性、生産性の面より、また両重合体が互いに相溶性であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエステル、ポリプロピレン/共重合ポリプロピレン等の組み合わせがよい。
【0015】複合長繊維の横断面形態は、両重合体が繊維表面に露出したものであり、低融点重合体が繊維表面に占める表面積比率は5〜30%とする。低融点重合体の表面積比率が5%未満であると、基布としての形態保持性、機械的強度に劣るものとなる。一方、30%を超えると、繊維同士の接触面積が大きくなるので、熱圧着工程で処理温度の適切な調節が必要となり、それを怠るとエンボスロールに溶融した低融点重合体が付着して操業性を著しく損なう。また、得られる基布の熱圧着部の表面は、繊維構造を維持した高融点重合体を溶融した低融点重合体がほぼ全面的に覆うフィルム状となるため、タフティングの際、このような熱圧着区域にタフト針が突き刺さるとタフト針が損傷しやすく、また突き刺さった部分のみに穴が開くのでなく針穴の周辺部もまた引裂かれ、タフトされたパイル糸が基布から抜けやすい。
【0016】複合長繊維の断面の具体例としては、図1〜4に示すものが挙げられるが、これらに限られず公知のものを用いるとよい。図1〜2は、両重合体が放射状に配されている。図3〜4では、断面の中心に一方の重合体が配され、その周辺に葉部である他方の重合体が配されている。
【0017】断面が図3〜4のごとき多葉断面の場合、葉部の個数は2〜4個とすることが好ましい。1個では、重合体の組み合わせとして粘度の異なる重合体を用いた場合、溶融紡糸工程において紡糸口金直下におけるポリマー流の曲がりの発生、ないしは、捲縮の発現により、長繊維不織布の地合いの均一性が損なわれやすいため、重合体の粘度を考慮して重合体の組み合わせを選択する必要がある。一方、葉部が4個を超えると、重合体の複合比、粘度によっては、熱圧着処理後、中心に配した重合体が葉部の重合体にほぼ覆われる形となって圧着され、実質的に芯鞘型複合形態の断面形状に近くなり、本発明の目的が達成されにくい。
【0018】複合長繊維を構成する低融点重合体/高融点重合体の重量比は、10/90〜40/60とする。低融点重合体の比が10重量%未満では、複合断面の形状安定性に欠け、一方、40重量%を超えると、本発明が目的とする表面積比率を制御するのが困難となる。
【0019】複合長繊維の単糸繊度は、2デニール以上であればよく、上限は特に限定しないが20デニール程度までであればよい。単糸繊度が2デニール未満であると、得られるタフテッドカーペット用一次基布は寸法安定性に劣り、また、カーペット化のためのタフト工程において、繊維の剛性が劣るためにタフト針による衝撃で繊維が切断される恐れがある。また構成繊維として長繊維を用いるのは、短繊維により構成された不織布に比べ、機械的強力が高く、寸法安定性が良好であるため、本発明の目的を達成するために効果的であるためである。
【0020】不織布の目付は、上記の単糸繊維の繊度により異なるが、40〜200g/m2 の範囲で用途に応じて適宜選択される。目付けが40g/m2 以下では、長繊維不織布を構成する長繊維の本数が希薄となり、均一性に乏しいものとなり好ましくなく、また、200g/m2 を超えると、熱圧着の際に長繊維不織布の内層部まで十分な熱量が到達せず、熱圧着が不十分となり形態保持性に乏しいものとなりやすい。
【0021】本発明のタフテッドカーペット用一次基布は、多数の熱圧着部を有している。このように、多数の熱圧着部を有して形態保持しているため、基布の伸長時の応力や引張強力が向上し、連続染色工程において必要な一定張力に耐えることができ、またバッキング工程で皺が生じないだけの剛性を補えることとなる。また、熱圧着部以外の区域は、構成繊維が単に集積されたものであるのでタフト工程でのタフト針の貫入の際、タフト針がまともに繊維に突き刺さることを避けるための自由度と空隙を有している。
【0022】不織布全面積に対する全熱圧着部の比率(圧着面積率)は、10〜40%の範囲が好ましく、特に好ましくは、15〜30%である。圧着面積率が10%未満では、タフト工程後の連続染色工程およびバッキング工程に耐えうる伸長時の応力、剛性に乏しい傾向となる。一方、40%を超えると、非熱圧着部での繊維の自由度が少なくなるためタフティング時のタフト針で多数の構成繊維を損傷させて基布の強力および応力が弱くなる傾向にある。
【0023】1個の熱圧着部の面積、配設密度は適宜選択すればよいが、1個の熱圧着部の面積を0.5〜2mm2 、配設密度を10〜40個/cm2 程度とすればよい。熱圧着部の形状は、円形、角形、井型等適宜選択すればよい。
【0024】また、予め不織布にニードルパンチや水流絡合処理を施して、構成繊維同士を厚み方向に対して絡合させてもよい。絡合した不織布は、各方向に構成繊維がランダムに絡み合い、不織布の内層部においても構成繊維同士が交絡一体化したものであるため、タフト工程において、タフト針の貫入により基布が層状に剥離するという層間剥離現象が発生することはない。また、構成繊維同士は、物理的に絡み合っているため、構成繊維それぞれは、ある程度自由に動けるだけの自由度を持っている。従って、タフト工程において、タフト針の貫入により、タフト針が繊維に直接突き刺さることや繊維が損傷する恐れがない。
【0025】また、本発明のタイルカーペット用一次基布の伸長時の応力・引張強力向上のために、熱圧着処理を施した基布を樹脂含浸し、構成繊維同士の接点を樹脂により接着させてもよい。このときの樹脂含浸量(固形分付着量にて)は、1〜15重量%程度が好ましい。但し、タフト工程にて繊維が自由度を失わない程度の量とする。含浸する樹脂としては、バインダー樹脂として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル、スチレン等のモノマーを1種または2種以上組み合わせて所望のモル比で共重合した共重合体を採用するのが好ましい。またこの共重合体が架橋剤によって架橋されている架橋型のバインダー樹脂を用いてもよい。架橋剤としては、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド樹脂等を用いることができる。
【0026】本発明における複合長繊維からなる不織布は以下の製造方法により効率的に製造することができる。高融点重合体と低融点重合体を別個に溶融し、複合断面形状が得られる複合紡糸口金を用いて紡出し、口金より紡出された糸条を、従来公知の横吹き付け、環状吹き付け等の冷却装置により冷却後、エアサッカーやローラー等の引き取り手段により引き取り、メッシュ構成のスクリーン上に堆積し、複合長繊維ウェブを形成する。冷却後の糸条の引き取り速度は、複合長繊維を形成する重合体により異なるが、概ね、3500m/分以上、好ましくは4000m/分以上である。引き取り速度が、3500m/分以下では、単繊維糸条を形成する重合体の配向が不足し、熱的安定性に乏しい長繊維不織布となり好ましくない。
【0027】スクリーン上に堆積された複合長繊維ウェブは、凸部の彫刻が施されたエンボスロールと表面フラットなロールが対を構成する装置、ないしはエンボスロール同士が対を構成する装置に導き、ロールの表面温度を、低融点重合体の融点温度(Tm)℃に対し、(Tm−40)℃以上、Tm℃未満の範囲に設定、ロール間の線圧を10〜100kg/cmの範囲で選択し、凸部に相当する部位に熱圧着を施し、形態保持性に優れた不織布とする。
【0028】ロールの表面温度として、低融点重合体の融点以上の温度を適用すると、溶融した低融点重合体がロール表面に融着し生産を阻害することとなる。一方、(Tm−40)℃未満では、低融点重合体の熱圧着効果が発揮できない。
【0029】以上の方法により、高融点重合体、低融点重合体がともに、部分的に繊維の外周に露出した断面形状の複合長繊維からなり、多数の熱圧着部により接合され、形態安定性を保持した不織布からなるタフテッドカーペット用一次基布が得られる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例で行ったタフテッドカーペット用一次基布の評価方法を下記に示す。
(1)重合体の融点(℃)
パーキンエルマー社製DSC−2型の示差走査型熱量計を用いて、昇温速度20℃/分で測定した融解吸熱ピークの最大値を与える温度を融点(℃)とした。
【0031】(2)ポリエステルの相対粘度フエノールと四塩化エタンとの等重量比の混合溶媒100mlに試料0.5gを溶解し温度20℃の条件で常法により測定した。
【0032】(3)ポリプロピレンのメルトフローレート(g/10分)〔以下、MFRとする。〕
ASTM D1238(L)に記載の方法で測定した。
【0033】(4)目付(g/m2
標準状態の試料から縦10cm×横10cmの試料片を計10点作成し、平衡水分に到らしめた後、各試料片の重量(g)を秤量し得られた値の平均値を単位面積(m2 )当たりに換算し目付(g/m2 )とした。
【0034】(5)引張強力(kg/5cm幅)および伸度(%)
幅5cm、長さ20cmの試験片10枚を用意し、定速伸長型引張り試験機(株式会社東洋ボールドウィン製:テンシロンRTM−500)を用いて、つかみ間隔10cm、引張速度20cm/分で測定し、10枚の平均値を引張強力(kg/5cm幅)とした。また、最大荷重時における伸度の10枚の平均値を伸度(%)とした。
【0035】(6)圧縮剛軟度(g)
幅(縦方向)5cm、長さ(横方向)10cmの試験片10枚を用意し、その試験片を横方向に曲げて円筒状とし、その端部を接合して円筒状試料とした。株式会社東洋ボールドウィン製:テンシロンUTM−4−100を用いて、円筒状試料を5cm/分の圧縮速度で縦方向に圧縮し、その最大荷重時の応力(g)を測定し、10枚の平均値を圧縮剛軟度(g)とした。この値が小さいほど柔軟性に優れている。
【0036】実施例1高融点重合体として融点160℃、MFRが50g/10分のポリプロピレン、低融点重合体として融点138℃、MFRが30g/10分であり、プロピレンにエチレンが4重量%ランダムに共重合された共重合ポリプロピレンを準備した。これらの重合体を、公知の溶融複合紡糸機を用い、図1に示すごとき複合断面となる口金を用い、紡糸温度230℃、単孔吐出量1.4g/分、低融点重合体の表面積比率が8%となるような複合比として紡出した。口金より紡出された糸条を冷却後、エアーサッカーにより4200m/分の速度で引き取り、公知の方法にて開繊させ、移動する捕集面上に捕集・堆積させて長繊維ウェブとした。この長繊維ウェブに熱圧着を施し、目付50g/m2 の長繊維不織布を得た。熱圧着を施すに際しては、圧着面積率15%、6角形のポイントが配設密度18個/1cm2 に施されたエンボスロールと、フラットロールを用い、双方のロールの表面温度を135℃とした。捕集面上に堆積された長繊維ウェブから採取した複合長繊維の単糸繊度は3デニールであった。
【0037】実施例2単孔吐出量1.33g/分、低融点重合体の表面積比率が30%となるような複合比として紡出し、エアーサッカーにより速度4000m/分で引き取った以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
【0038】実施例3図2に示すごとき複合断面となる口金を用いた以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
【0039】実施例4図3に示すごとき複合断面となる口金を用いた以外は、実施例1と同様にして、長繊維不織布を得た。
【0040】実施例5高融点重合体として、融点260℃、相対粘度1.38のポリエチレンテレフタレート、低融点重合体として、エチレンテレフタレートにイソフタル酸が15モル%共重合された融点215℃、相対粘度が1.35である共重合ポリエステルを準備し、紡糸条件を紡糸温度290℃、単孔吐出量1.6g/分として紡出し、エアーサッカーにより速度4800m/分で引き取り、以降、熱圧着条件をロールの表面温度を200℃とした以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
【0041】比較例1低融点重合体の表面積比率が50%となるような複合比とし、単孔吐出量1.2g/分として紡出し、エアーサッカーにより速度3600m/分で引き取った以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
【0042】比較例2複合断面形態として芯鞘型とし、単孔吐出量1.47g/分として紡出し、エアーサッカーにより速度4400m/分で引き取った以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
【0043】得られた実施例1〜5、比較例1〜2の長繊維不織布をタフテッドカーペット用一次基布としてタフト試験機にてタフト幅30cm、タフト針98本、ゲージ8本/インチ、ステッチ8本/インチの条件で、ナイロンタフト糸を用いてループ長6mmでタフティングを行った。次に、タフティングを行ったタイルカーペット用一次基布からタフト糸を取り除き、タフト後の基布の引張強力(kg/5cm幅)を測定した。そして、下式により強力保持率(%)を算出した。
【0044】強力保持率(%)=(タフト後の基布の引張強力/タフト前の基布の引張強力)×100本発明において、パイル糸除去後の基布の引張強力が、タフト前の基布の引張強力の50%以上の引張強力を保持しているものは、基布にタフトされたパイル糸を効率よく固定するのみでなく、パイル糸とともに、カーペットとしての形状保持に寄与し、タフト後の染色工程、バッキング工程等においても良好な形態保持性を有するものである。
【0045】得られたタイルカーペット用一次基布の物性およびタフト保持率を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】表1から明らかなように、本発明の実施例1〜5のタフテッドカーペット用一次基布は、引張強力に優れたものであり、タフト後のパイル糸除去後の引張強力も保持でき、基布にタフトされたパイルを効率よく固定するのみでなく、パイル糸条とともに、カーペットとしての形状保持に寄与し、タフト後の染色工程、バッキング工程等においても良好な形態保持性を有するものであった。
【0048】一方、比較例1〜2のタフテッドカーペット用一次基布は、繊維表面に占める低融点重合体が多いため、熱圧着部の表面は、溶融した低融点重合体によりフィルム状となっており、熱圧着による接着が強くタフト前の強力は優れていた。しかし、タフト後、パイル糸は抜けやすく、また、パイル糸を除去した基布は、実施例の基布のような丸い針穴が開いたものでなく、針穴の周辺部も引き裂かれており、強力保持率が低く、手で引っ張ると容易に引き裂けるものであった。
【0049】
【発明の効果】高融点重合体とこの重合体との融点差が20℃以上である低融点重合体とが繊維表面に露出した横断面形態を有し、低融点重合体が繊維表面に占める表面積比率が5〜30%である複合長繊維からなり、多数の熱圧着部を有している不織布からなるため、熱圧着部では溶融した低融点重合体により構成繊維同士が融着しているものの、繊維構造を維持した高融点重合体が繊維表面に存在しているので、熱圧着部表面は、完全にフィルム化されてない。したがって、熱圧着部にタフト針が突き刺さると、突き刺さった部分のみに針穴が開き、周辺部が引き裂かれることなく、パイル抜けが発生しにくく、形態保持性が維持される。
【0050】また、構成繊維同士の接着剤となる低融点重合体は、繊維表面の特定の範囲を占め、特定範囲の横断面積を有するので、熱圧着の際に細心の注意を払わなくとも構成繊維同士の接着を容易に行うことができ、強固に熱圧着しても熱圧着部表面全体がフィルム化せず、良好な機械的特性を有するタフテッドカーペット用一次基布が得られる。
【出願人】 【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月28日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−309063
【公開日】 平成11年(1999)11月9日
【出願番号】 特願平10−118377