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【発明の名称】 容 器
【発明者】 【氏名】石島 哲彦

【要約】 【課題】主に液体を保持するための容器であって、当該容器の胴体部の湾曲度を抑えて転写方法による美的装飾を容易にした容器を提供する。

【解決手段】底部(11)と、上部に開口(12)を有し水平方向における断面がほぼ楕円形状である胴体部(13)と、この胴体部の側部に設けた持手(15)とを具え、前記持手が、前記楕円形状の中心を通る軸上に延在するように設けられており、この楕円形状の中心を通る軸が当該楕円の長軸または短軸でないように容器を構成する。また、この胴体部の水平方向における断面をなす楕円形状の長軸が短軸の2倍以上であることが望ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 底部と、上部に開口を有し水平方向における断面がほぼ楕円形状である胴体部と、持手とを具え、前記持手が、前記楕円形状の中心を通る軸上に延在するように設けられており、この楕円形状の中心を通る軸が当該楕円の長軸または短軸でないことを特徴とする容器。
【請求項2】 請求項1に記載の容器において、前記楕円形状の中心を通る軸を中心にして前記持手と対称をなす位置に更に注ぎ口を設けたことを特徴とする容器。
【請求項3】 請求項1又は2に記載の容器において、前記持手または持手および注ぎ口が延在している軸が前記楕円形状の長軸に対して10〜30度をなしていることを特徴とする容器。
【請求項4】 底部と、上部に開口を有し水平方向における断面がほぼ楕円形状である胴体部と、この胴体部の側部に設けた持手とを具え、前記持手が、当該持手の軸の延在方向が前記楕円形状の中心を通らないように設けられていることを特徴とする容器。
【請求項5】 請求項4に記載の容器において、前記楕円形状の中心について前記持手と対称をなす位置に更に注ぎ口を設けたことを特徴とする容器。
【請求項6】 請求項5に記載の容器において、前記持ち手と注ぎ口の延在方向が互いに平行であることを特徴とする容器。
【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の容器において、前記楕円形状の長軸が短軸の2倍ないし5倍であることを特徴とする容器。
【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載の容器において、前記胴体部の側面の前記楕円形状の断面の長軸と交わる両部分にエッジを設けたことを特徴とする容器。
【請求項9】 請求項8に記載の容器において、前記両側のエッジが前記胴体部の上端において連続しており、前記開口が前記エッジで規定される前記胴体部の側面のいずれか一方に設けられていることを特徴とする容器。
【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかに記載の容器において、当該容器が更に、前記開口と係合する蓋を具えることを特徴とする容器。
【請求項11】請求項10に記載の容器において、前記蓋の表面が前記胴体部の開口を設けた側面に連続する面を構成していることを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主に液体を保持するための容器に関し、特に、当該容器の胴体部表面の湾曲度を抑えて容器側面に装飾、特に平面的な装飾を容易に施すことができるようにした容器に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は従来の容器の構成を示す斜視図である。ここでは従来の容器の例として、主にお茶などを淹れるために用いる急須の構成を示す。この急須1は底部2と、上部に開口4を有する胴体部3と、この開口4と係合する蓋5と、胴体部の側部にほぼ対向する位置に設けた注ぎ口6と持手7とを具えている。なお、この急須1の底部2および開口4はほぼ円形をしており、胴体部3の水平方向における断面も同様にほぼ円形である。
【0003】図3に示すように、従来の急須1の胴体部3は球体の上下を詰めたような形状に構成されている。すなわち、円形の底部2から上方へ上がるに従って断面をなす円が大きくなり、急須1の高さ方向におけるほぼ中央でこの断面が最大となって、ここからは徐々に円が小さくなるような形状を有する。胴体部3の上端に設けられた開口4は前記底部2とほぼ同じ大きさであり、通常の設計では、これら底部2及び開口4の直径が胴体部3の高さ方向における中間部(断面をなす円が最も大きい部分)の断面の直径の約半分程度である。又、この胴体部3の断面はいずれの高さにおいてもほぼ正円形である。
【0004】
【発明が解決すべき課題】この例のように従来の急須1は、その胴体部3がほぼ球形をしており、その表面の曲率が大きいため、胴体部3の表面に装飾を施しにくいという問題がある。模様を湾曲した胴体部3の表面に転写する作業は困難であり、特に、平面的なデザインを胴体部3の表面に転写する場合、強く湾曲した胴体部にその平面性を表現するのが困難であった。
【0005】又、従来の急須1は胴体部3がそのもっとも膨らんだ部分である中央付近の相対向する位置に注ぎ口と持手が設けられているため、持手と注ぎ口の延在方向において長さが長くなってしまい、搬送の際、あるいは食器棚などに収納する際にかなりのスペースを必要とするという不都合がある。このような問題を鑑み、本発明は、搬送あるいは収納の際に要するスペースが小さくて済み、装飾、特に平面的な装飾をその平面性を失うことなく胴体部に施すことのできる容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本願第1発明の容器は、底部と、上部に開口を有し水平方向における断面がほぼ楕円形状である胴体部と、持手とを具え、前記持手が、前記楕円形状の中心を通る軸上に延在するように設けられており、この楕円形状の中心を通る軸が当該楕円の長軸または短軸でないことを特徴とする。また、本願第2発明の容器は、底部と、上部に開口を有し水平方向における断面がほぼ楕円形状である胴体部と、この胴体部の側部に設けた持手とを具え、前記持手が、当該持手の軸が前記楕円形状の中心を通らないように設けられていることを特徴とする。このように容器の胴体部を水平方向における断面が楕円形状になるように構成することによって、容器の側面を比較的平坦にすることができるため、この側面に色彩や模様などを容易に転写することができる。又、平面的なデザインを施す場合に、その平面性が失われることがない。また、持手の取付け位置を、持手の軸が前記楕円形状の中心を通らないようにするか、あるいは、胴体部の楕円形状の断面の中心を通る軸のうち長軸または短軸以外の軸上に延在するようにすることによって、容器全体の形を平たくし、かつ、容器長手方向の長さ短くすることができ、従って、搬送又は収納の際に容器が占めるスペースを小さく抑えることができる。なお、本明細書で、容器の長手方向とは、容器断面の楕円形状の長軸方向をさすものとする。
【0007】なお、第1及び第2発明において、前記持手に対向する位置に注ぎ口を設けても良い。 また、前記楕円形状の長軸が短軸の2ないし5倍であることが好ましい。長軸が短軸の2倍以下になると、胴体部の側面の湾曲度が大きくなりすぎて、平面的な装飾を施した時に、その平面性を保つことが難しくなる。また、5倍以上になると、容器の容量を確保しにくくなってしまう。更に、第1発明については、持手または持手および注ぎ口が延在している軸の楕円形状の長軸に対する角度が10〜30゜なすことが好ましい。この角度が10゜以下では、持手または持手および注ぎ口はほとんど長軸上に設けられていることになり、搬送または収納の際のスペースの低減が困難になると共に、30゜を超えると容器を正面から(短軸方向から)見たとき持手または持手および注ぎ口の位置が中央によりすぎて、装飾を施すのに不都合が生じる。
【0008】又、本発明の容器は、前記胴体部の側面の前記楕円形状の長軸と交わる両部分にエッジを設けることが好ましく、更に、エッジが前記胴体部の上端において連続しており、前記開口が前記エッジで規定される前記胴体部の側面のいずれか一方に設けられていることが好ましい。
【0009】このように胴体部の側面と前記楕円形状の長軸とが交わる部分にエッジを設けることによって、装飾を施す容器の側面を広くかつ平坦にすることができる。又、エッジを設けることにより、胴体部の強度が向上する。さらに、このエッジを胴体部の上端で連続させることによって装飾を施す面をより広く取ることができる。この場合、開口は胴体部の側面のいずれか一方に設けるようにする。
【0010】又、本発明の容器は、また、この開口と係合する蓋を具える。上述のように胴体部の一側面に開口を形成し、蓋の表面を胴体部の側面に連続する面とすることにより、蓋の表面にも平面的な装飾をその平面性を失うことなく施すことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1(a)は本発明の容器の実施の形態である急須10の構成を示す斜視図であり、図1(b)はこの急須10を真上から見た図である。図1(a)に示すように、本実施形態の急須10は図3に示す従来の急須1と同様に、底部11と、上部に開口12を有する胴体部13と、蓋14と、胴体部13の側面に互いに対向する位置に設けられた持手15と注ぎ口16とを具えている。
【0012】図1(b)に示すように、本実施形態の急須10はその胴体部13の水平方向における断面がほぼ楕円形に形成されている。すなわち、胴体部13はその断面において両凸レンズ形をなしており、長軸a−a’を中心にほぼ対称的で、緩やかに外側へ湾曲している対の側面13c,13dを有しており、この長軸a−a’と胴体部13が交わる部分にエッジ13a,13bが形成されている。尚、本例では、長軸a−a’が短軸b−b’の2倍以上の長さを有している。又、この胴体部13の対の側面13c,13dは底部11から上方向に向けてなだらかに内側に傾斜して延在している。このように急須10の胴体部13を水平方向における断面をほぼ楕円形として、胴体部13を偏平な形状とすることにより、胴体部13の側面13c及び13dの湾曲度を小さく抑えて、これらの面をなるべく平面に近いものにするようにしている。
【0013】図1(b)に示すように、容器10の持手15及び注ぎ口16は、胴体部13の両側面のほぼ対向する位置にそれぞれ設けられている。これら持手15及び注ぎ口16の延在方向c−c’は、胴体部13の断面における長軸a−a’に対して所定の角度(本例では約17°)を成している。従って、持手15及び注ぎ口16は楕円形断面の中心を通り、長軸(あるいは短軸)から所定の角度だけずれた軸c−c’に沿って延在している。このように持手15及び注ぎ口16を楕円形の断面の長軸からずらした方向に延在させることによって、持手15および注ぎ口16は容器の長手方向における両端部(エッジ13a、13b)より中心に向かって内側の位置から取付けられることになり、容器の長さ方向における長さを短くすることができる。従って、容器の搬送又は収納の際に、必要なスペースを小さく抑えることができる。
【0014】本例では、胴体部13のエッジ13a及び13bが急須10の上端で連続しており、胴体部13の側面13c及び13dは上方にいくに従って徐々に内側に傾斜している。一方の側面13dの頂部近傍に開口12が設けられており、この開口12に係合する蓋14が設けられている。なお、蓋12の表面は側面13dに連続する面を形成している。
【0015】本実施形態の急須10の高さは比較的高く構成されている。これは胴体部13の側面13c,13dの湾曲が抑えられているため急須10の容量が制限されてしまうので、急須10全体を高く構成してその容量を確保するようにしたものである。
【0016】図2は図1に示す急須10の蓋14の構成を示す側面図である。図2に示すようにこの蓋14は、開口12に係合させた時に、ほぼ垂直に上方向に延在する取っ手14aと、開口12に係合する係合部14bとを具えている。前述したように急須10の開口12は胴体部13の一方の側面13dに設けられており、蓋14は表面がこの側面と連続面をなすように設けられているため、急須10に蓋14を係合させた際に、蓋14の表面は水平面に対してかなり傾斜した状態になる。ガイド部14bは取っ手14とは逆にほぼ垂直に下方向に延在しているが、本例では開口12がかなり傾斜しているため、蓋14のガイド部14bをある程度長くして、注ぎ口からお茶などを注ぐ時に蓋14が開口12から容易に落ちないようにしている。
【0017】以上、本発明の一つの実施の形態を詳細に説明したが、本発明の容器はここで実施形態として示した急須に限るものではなく、コーヒーカップ、あるいはじょうろなど液体を保持するいろいろな容器に適用することができる。又、上述した実施の形態では楕円形状の胴体部と長軸とが交わる部分にエッジ設けるようにしているが、かならずしもエッジを設けなくても良い。さらに、胴体部の開口は、かならずしも胴体部の側面に設ける必要はなく、通常の容器と同様に胴体部の上端に水平に設けるようにしてもよい。
【0018】なお、持手及び注ぎ口の位置はその軸が本明細書に規定したラインにほぼ沿っていれば良く、デザイン上の多少の変更は本発明の範囲を逸脱するものではない。また、上述した実施例では、持手と注ぎ口を胴体部の断面の中心を通る一本の軸上に設けるようにしているが、胴体部の断面の中心を通らない互いに平行なライン上に設けるようにしても良い。更に、前述の例では持手を胴体部の側部に設けた容器を説明したが、これをいわゆる土瓶のように持手を胴体部の上部に掛け渡すようにしても良い。
【0019】
【発明の効果】以上に詳細に説明したように、本発明の容器によれば、その胴体部側面を比較的湾曲度の小さい面とすることができるため、従来の断面正円形の容器に比して、容器表面への転写による装飾が容易になり、特に、平面的なデザインを転写した場合に、そのデザインの平面性が失われない。
【0020】又、同時に胴体部の水平方向における断面をほぼ楕円形状に構成して、持手や注ぎ口の取付位置に工夫をこらすことにより、容器の容量を維持して、長手方向における幅を小さくすることができる。したがって、従来の容器に比して嵩張らず搬送時や収納時などに、省スペース化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】598047812
【氏名又は名称】石島 哲彦
【出願日】 平成10年(1998)3月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 三枝子
【公開番号】 特開平11−276330
【公開日】 平成11年(1999)10月12日
【出願番号】 特願平10−98179