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【発明の名称】 エアークッション材
【発明者】 【氏名】野寺 哲生

【氏名】日置 利通

【要約】 【課題】膨張させたとき所望の形状、特に三次元的形状になし得るエアークッション材を提供する。

【解決手段】一方向伸縮性編織物と合成樹脂層とを積層してなる一方向伸縮性気密性シート片の複数枚、或は該一方向伸縮性気密性シート片1枚以上と非伸縮性気密性シート片1枚以上とを接着して形成させたエアークッション材である。長さ方向に伸縮する一方向伸縮性編織物1と幅方向に伸縮する一方向伸縮性編織物2とを重ねてその周辺を接着3し、空気吹き込み口4から空気を吹き込んで膨張させると、裏側面に湾曲したエアークッション材が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】一方向伸縮性編織物と合成樹脂層とを積層してなる気密性シートで作成したことを特徴とするエアークッション材。
【請求項2】一方向伸縮性編織物と合成樹脂層とを積層してなる気密性シート片の複数枚を結合して形成され、且つ隣接する気密性シートの一方向伸縮性編織物の伸縮方向が異なることを特徴とするエアークッション材。
【請求項3】一方向伸縮性編織物と合成樹脂層とを積層してなる気密性シート片の一枚以上と、非伸縮性編織物と合成樹脂層を積層してなる気密性シート片の一枚以上とを結合して作成されたことを特徴とするエアークッション材。
【請求項4】一方向伸縮性編織物と合成樹脂層とを積層してなる気密性シートが、該気密性シートを伸長性の大きい方向に20%伸長したとき、伸長性の大きい方向の応力が3Kgf/3cm以下であり、且つ伸長性の小さい方向の1/2以下の応力を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載のエアークッション材。
【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載のエアークッション材で作られたU字状の空気枕。
【請求項6】請求項1〜4のいずれかに記載のエアークッション材で作られたH字状空気腰枕。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気を吹き込んで膨張させてクッション作用をさせる、所謂エアークッション材に関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】従来、編織物層と合成樹脂層とを積層した気密性シートでエアークッション材を作ることは知られている。例えば普段は折り畳んで携帯し、使用時に空気を吹き込んで膨らませる携帯用空気枕が良く知られている。この空気枕は、上記の気密性シートの2枚を重ね、その周辺を接着し、任意の一箇所に空気注入用のバルブを取付けて作っていた。そして、この従来の空気枕は、その空気注入口から空気を吹き込むと、単に表側と裏側にほぼ均等に膨張して所定の大きさ、形状になる。そして、従来の気密性シートを用いて特殊な形状、例えばアーチ型に湾曲するエアークッションを作るには、このアーチ型を立体裁断法によって多数の部分に分割し、この分割にしたがって気密性シートを裁断し、そしてこの裁断した気密性シート片を接合して製造していた。本発明は、かかる煩雑な手段によることなく、膨張させたとき所望の形状、特に三次元的形状になし得るエアークッション材を提供することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、一方向伸縮性編織物と合成樹脂層とを積層した気密性シートで作られたエアークッション材である。また本発明は、一方向伸縮性編織物と合成樹脂層とを積層した気密性シートの複数枚で作られ、且つ隣接する気密性シートの一方向伸縮性編織物の伸縮方向が異なることを特徴とするエアークッション材である。ま等本発明は、一方向伸縮性編織物と合成樹脂層とを積層してなる気密性シート片の一枚以上と、非伸縮性編織物と合成樹脂層を積層してなる気密性シート片の一枚以上とを結合して作成されたことを特徴とするエアークッション材である。
【0004】
【発明の実施の形態】本発明で用いる気密性シートは、一方向伸縮性編織物と合成樹脂層とを積層したものである。ここに一方向伸縮性編織物とは、同じ応力で経方向又は緯方向に伸長したとき、その一方の方向の伸びが他の方向の伸びより大きい編織物である。この一方向伸縮性編織物は、例えば一方向のみに伸縮性を有するように加工した織物、経糸又は緯糸に伸縮糸を用いて織成した織物、或はトリコット、天竺などの編織物である。繊維には、綿、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維などが用いられる。具体的には、例えばナイロンを素材とするトリコットやウーリーナイロンを素材とする天竺などである。
【0005】気密性シートの合成樹脂層を構成する合成樹脂は、軟質ポリ塩化ビニル、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体とポリオレフィンの混合物、ウレタン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、オレフィン系エラストマーとポリオレフィンの混合物などが好ましく、ゴム類も用いられる。この合成樹脂層は、柔軟性が大きいことが好ましい。この合成樹脂層は、具体的には、例えばポリ塩化ビニル100重量部に対し可塑剤を60重量部以上配合した軟質ポリ塩化ビニルの単独層シート、或はエチレン−メチルメタクリレートとポリエチレンとの混合物層/オクテン重合比率20重量%以上のエチレン−オクテン共重合体エラストマー層/エチレン−メチルメタクリレートとポリエチレンとの混合物層の3層シートからなる。この合成樹脂層は気密性があると共にヒートシール可能なものが好ましい。特に高周波ウエルダー加工可能なものが好ましい。
【0006】一方向伸縮性編織物と合成樹脂層とを積層して気密性シートを作るには、一方向伸縮性編織物に合成樹脂シートを熱ラミネートしたり、或は接着剤を用いてラミネートする。また、編織物に、必要に応じてプライマー処理を施して、合成樹脂をコーティングして合成樹脂層を形成させてもよい。そして、この気密性シートは一方向伸縮性編織物と合成樹脂層とを積層してあるので一方向に伸び易い、すなわち一方向に伸長性が大きい。この伸長性の大きい方向の伸びは、気密性シートを伸長性の大きい方向に20%伸ばしたときの応力(JIS K−6772の測定法により、インストロン型引っ張り試験機で測定)が3Kgf/3cm以下であるようにすることが好ましく、容易に三次元形状にするには2Kgf/3cm以下であるようにするのが好ましい。また、伸長性の小さい方向の伸びについては、伸長性の大きい方向に伸ばすときの応力の2倍以上の応力を持つことが好ましい。
【0007】一方向伸縮性編織物と合成樹脂層とを積層した気密性シートを用いてエアークッション材を作成するには種々の形態が採用できる。通常は一方向伸縮性編織物と合成樹脂層とを積層した気密性シートを所定の形状大きさに裁断し、この一方向伸縮性気密性シート片の複数片をその伸長方向を考慮して適宜に組合せて接着結合させてエアークッション材を作る。また、非伸縮性の通常の編織物と合成樹脂層とを積層した非伸縮性気密性シートを裁断して非伸縮性気密性シート片を作り、この非伸縮性気密性シート片の1枚以上と上記の一方向伸縮性気密性シート片の1枚以上とを、その伸長方向を考慮して適宜に組合せて接着結合させてエアークッション材を作ってもよい。
【0008】例えば、長方形の2枚の一方向伸縮性気密性シート片を使用し、表皮部は長さ方向に伸長するように気密性シート片を配し、裏皮部には幅方向に伸長するように気密性シートを配して重ね合わせ、その周囲を気密性に熱シールしたエアークッション材は、空気を吹き込んで膨張させると、表皮部の気密性シートは横方向には伸びなく、長さ方向に伸びようとし、一方裏皮部の気密性シートは長さ方向に伸びなく、横方向には伸びようとする。そのため空気を吹き込んで膨張させるにつれて、この枕は長さ方向が変形し、最後的には図1の斜視図に示すように、長さ方向について裏側に湾曲した形状になる。図1において、1は表皮部の気密性シートで、長さ方向に伸長するように配置されている。2は裏皮部の気密性シートで、幅方向に伸長するように配置されている。3は表皮部の気密性シートと裏皮部の気密性シートの接着部である。4は空気吹き込み口である。このように、一方向伸縮性気密性シート片、非伸縮性気密性シート片の結合の組合せによって膨張したときの形状を種々変えることができ、特に三次元的な形状を作り出し得る特徴がある。そして、例えばU字状の携帯用、旅行用の空気枕やH字状の空気腰枕などの作成に好適である。
【0009】
【実施例及び比較例】実施例1一方向伸縮性編織物としてナイロントリコットを用いた。ポリ塩化ビニル100重量部、ジオクチルフタレート(DOP)90重量部及びBa−Zn系安定剤2重量部を混練し、カレンダー成形によって厚さ0.2mmの軟質ポリ塩化ビニルシートに成形した。上記ナイロントリコットと軟質ポリ塩化ビニルシートとを接着剤を用いてラミネートし、厚さ0.4mmの一方向伸縮性気密性シートを作成した。この気密性シートをJIS K−6772の方法でインストロン型引っ張り試験機で200mm/分の引っ張り速度で測定したところ、破断時の伸びが縦方向60%、横方向164%であり、また20%伸長時の応力は縦方向4.8Kgf/3cm、横方向1.8Kgf/3cmであった。
【0010】上記の一方向伸縮性気密性シートを用いてU字状空気枕を製造した。すなわち、先ず該気密性シートを図2に示すごとき形状に2枚裁断した。そのうちの1枚は、図2の(a)図に示すように、伸縮方向(矢印方向)が縦方向になるように切断した。他の1枚は図2の(b)図に示すように、伸縮方向(矢印方向)が横方向になるように裁断した。そして一方の気密性シート片の隅に通常の空気吹き込み口4を設けた。この2枚の気密性シート片を、図2の(a)図のものを表皮部に、図2の(b)図のものを裏皮部に配し、且つ軟質ポリ塩化ビニル面が向い合うようにして重ね合わせ、その周辺を熱接着して、首に掛けて使用するU字状空気枕を製造した。この製造した空気枕に、空気吹き込み口から空気を入れ膨張させたところ、図3の(a)図の如く膨張した。この膨張に伴い、図3の(b)図に模式的に図示(5の側から見た図)するように、5、6の部分は裏側に湾曲し、また図3の(c)図に模式的に図示するように、7の部分は表側に湾曲した。このように三次元立体的に膨張するため、使用感の良い携帯乗り物用の空気枕が得られた。
【0011】実施例2ポリ塩化ビニル100重量部、ジオクチルフタレート(DOP)90重量部及びBa−Zn系安定剤2重量部を混練し、カレンダー成形によって厚さ0.2mmの軟質ポリ塩化ビニルシートに成形した。ナイロン織物と上記軟質ポリ塩化ビニルシートとを接着剤を用いてラミネートして非伸縮性気密性シートを作成した。この非伸縮性気密性シートと実施例1で作成した一方向伸縮性気密性シートを用いてH字状空気腰枕を製造した。
【0012】すなわち、実施例1で作成した一方向伸縮性気密性シートを図4の(a)図の如きH形状に裁断した。矢印はこの一方向伸縮性気密性シートの伸縮方向を示す。また、上記非伸縮性気密性シートを図4の(b)図の如きH形状に裁断した。そして一方の気密性シート片の隅に通常の空気吹き込み口4を設けた。この同じ形状、大きさの2枚の気密性シート片を、図4の(a)図のものを表皮部に、図4の(b)図のものを裏皮部に配し、且つ軟質ポリ塩化ビニル面が向い合うようにして重ね合わせ、その周辺を熱接着してH字状空気腰枕を製造した。この製造した空気腰枕に、空気吹き込み口4から空気を入れ膨張させたところ、図5の(a)図の如く膨張した。この膨張に伴い、図5の(b)図に模式的に図示(8の側から見た図)するように全体的に裏側に湾曲した形状になり、そのため使用感の良い携帯乗り物用の空気腰枕が得られた。
【0013】
【発明の効果】一方向伸縮性気密性シート片同士、或は一方向伸縮性気密性シート片と非伸縮性気密性シート片とを種々組み合わせて接着することによって、空気を吹き込んで膨張させたとき種々の形状、特に三次元的な形状のクッション材を簡単に、安価に製造しえる。例えば、片側に湾曲した使用感の良いU字状空気枕やH字状空気腰枕など、三次元的形状のクッション材の作成に好適である。
【出願人】 【識別番号】000000550
【氏名又は名称】オカモト株式会社
【識別番号】000227168
【氏名又は名称】株式会社ハイビックス
【出願日】 平成10年(1998)3月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】田中 宏 (外1名)
【公開番号】 特開平11−276327
【公開日】 平成11年(1999)10月12日
【出願番号】 特願平10−81673